特許第6252488号(P6252488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6252488インクジェットヘッドの電源制御装置及びインクジェット記録装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6252488
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】インクジェットヘッドの電源制御装置及びインクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20171218BHJP
   B41J 2/045 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   B41J2/01 301
   B41J2/045
   B41J2/01 401
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-552023(P2014-552023)
(86)(22)【出願日】2013年12月6日
(86)【国際出願番号】JP2013082862
(87)【国際公開番号】WO2014092023
(87)【国際公開日】20140619
【審査請求日】2016年9月26日
(31)【優先権主張番号】特願2012-272090(P2012-272090)
(32)【優先日】2012年12月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】特許業務法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 雅和
【審査官】 村石 桂一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−198495(JP,A)
【文献】 特開2004−195761(JP,A)
【文献】 特開2012−201079(JP,A)
【文献】 特開2009−255335(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J2/01−2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電源から供給される電力が入力される第1の入力部と、
前記第1の電源よりも所定時間あたりの電力供給能力が大きい第2の電源から供給される電力が入力される第2の入力部と、
前記第1の電源又は前記第2の電源のいずれか一方をインクジェットヘッドの駆動系に接続するように前記駆動系と前記第1の入力部及び前記第2の入力部との間の接続状態を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記第1の入力部及び前記第2の入力部の両方から所定以上の電力が入力されている場合に、前記第2の電源を前記第1の電源よりも優先して前記駆動系に接続するように前記接続状態を制御し、
前記第2の電源の電圧値に基づいて検出された検出電圧値が第1の電圧値よりも高い場合に前記第2の電源を優先して前記駆動系に接続し、
前記第2の電源が前記駆動系に接続されている場合であって、前記検出電圧値が第2の電圧値以下になった場合に、前記第1の電源を前記駆動系に接続し、
前記第1の電圧値は、前記第2の電圧値よりも高い
とを特徴とするインクジェットヘッドの電源制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、電源の切り替えを許可する情報が得られた場合に前記第2の電源を優先して前記駆動系に接続することを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドの電源制御装置。
【請求項3】
前記第1の入力部は、前記駆動系と前記駆動系の動作を制御する動作制御系との間に設けられた配線と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェットヘッドの電源制御装置。
【請求項4】
インクジェットヘッドの駆動系と、
請求項1からのいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの電源制御装置と、
を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッドの電源制御装置及びインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットヘッドを駆動するための電力の供給源が複数設けられたインクジェット記録装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載のインクジェット記録装置は、主電源と、電池を用いた緊急用の二次電源とが切り替え可能に設けられ、主電源からの電力供給が停止した場合に二次電源に切り替える機能を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−187263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、インクジェット記録装置の高性能化に伴い、インクジェットヘッドの消費電力が増大している。具体的には、例えば、インククジェットヘッドのノズル数の増加に伴うノズル駆動電力の増大や、インクジェット記録装置の生産性の向上、即ち、所定時間内に行われる各ノズルからのインク吐出回数の増加等により、インクジェットヘッドの消費電力が増加している。係る消費電力の増大に対応するため、インクジェットヘッドに供給される最大電力を大きくする必要がある。
【0005】
最大電力を大きくする方法としては、単純にインクジェットヘッドに接続された電源をより大きな電力供給能力を有するものに置き換える方法が考えられる。しかしながら、一般的に、インクジェットヘッドに対する電力供給のための配線(電力線)で許容されるピーク電流は開発時の最大電力を想定したものとなっている。しかも、電力線は、電力線を接続するためのコネクターを介してインクジェットヘッドに接続されている。即ち、単純に電源を置き換えた場合、電力線も置き換えられた電源からのピーク電流に対応した電力線とする必要があるが、電力線の置き換えのためには、コネクターを含む接続系統を置き換えなければならなくなり、極めて大きなコストが生じることとなる。
このような問題は、電力線が、インクジェットヘッドを駆動するための制御信号を伝達するための配線(信号線)と束ねられ、電力線と信号線を一体的に接続するためのコネクターを介してインクジェットヘッドに接続されている場合により顕著なものとなる。
【0006】
また、電力の供給源が複数設けられた従来のインクジェット記録装置は、単に主電源からの電力供給が失われた場合に二次電源に切り替えるに過ぎず、このような消費電力の増大に対応した電源の切り替え制御を行うことができなかった。
【0007】
本発明は、インクジェットヘッドの消費電力の増大に対応可能なインクジェットヘッドの電源制御装置及びインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明によるインクジェットヘッドの電源制御装置は、第1の電源から供給される電力が入力される第1の入力部と、前記第1の電源よりも所定時間あたりの電力供給能力が大きい第2の電源から供給される電力が入力される第2の入力部と、前記第1の電源又は前記第2の電源のいずれか一方をインクジェットヘッドの駆動系に接続するように前記駆動系と前記第1の入力部及び前記第2の入力部との間の接続状態を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1の入力部及び前記第2の入力部の両方から所定以上の電力が入力されている場合に、前記第2の電源を前記第1の電源よりも優先して前記駆動系に接続するように前記接続状態を制御し、前記第2の電源の電圧値に基づいて検出された検出電圧値が第1の電圧値よりも高い場合に前記第2の電源を優先して前記駆動系に接続し、前記第2の電源が前記駆動系に接続されている場合であって、前記検出電圧値が第2の電圧値以下になった場合に、前記第1の電源を前記駆動系に接続し、前記第1の電圧値は、前記第2の電圧値よりも高いことを特徴とする。
【0013】
請求項に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットヘッドの電源制御装置であって、前記制御部は、電源の切り替えを許可する情報が得られた場合に前記第2の電源を優先して前記駆動系に接続することを特徴とする。
【0014】
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載のインクジェットヘッドの電源制御装置であって、前記第1の入力部は、前記駆動系と前記駆動系の動作を制御する動作制御系との間に設けられた配線と一体的に形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項に記載の発明によるインクジェット記録装置は、インクジェットヘッドの駆動系と、請求項1からのいずれか一項に記載のインクジェットヘッドの電源制御装置と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、インクジェットヘッドの消費電力の増大に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】インクジェット記録装置におけるインクジェットヘッドの動作制御に係る主要構成の機能ブロック図である。
図2】電源制御部の詳細構成の一例を示す図である。
図3】制御部の回路構成の一例を示す図である。
図4】検出電圧の変化、基準電圧及び接続状態の制御の対応関係の一例を示すグラフの模式図である。
図5】電源制御部の詳細構成の変形例を示す図である。
図6】変形例における制御部の回路構成の一例を示す図である。
図7】検出電圧の変化、基準電圧及び接続状態の制御の対応関係の別の一例を示すグラフの模式図である。
【発明を実施するため最良の形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0019】
図1は、インクジェット記録装置1におけるインクジェットヘッド12の動作制御に係る主要構成の機能ブロック図である。
インクジェットヘッド12は、ヘッド部12a、ヘッド駆動制御部12b及び電源制御部20を備える。
【0020】
まず、インクジェットヘッド12に係る各構成のうち、画像形成に係る構成について説明する。
ヘッド部12aは、用紙に対してインクを吐出する。
具体的には、ヘッド部12aは、例えば、インクを吐出する複数のノズルを有するインクジェットヘッドチップや、インクジェットヘッドチップにインクを導くマニホールド等を備え、図示しないインク供給部から供給されたインクを用紙に吐出する。
【0021】
ヘッド駆動制御部12bは、ヘッド部12aからのインクの吐出に係る駆動信号を出力する。
具体的には、ヘッド駆動制御部12bは、例えば、インクジェットヘッド12内に設けられた基板に設けられた回路や配線等からなり、ヘッド部12aの各ノズルを駆動するための駆動信号を出力する。
また、ヘッド駆動制御部12bは、図2に示すように、電源制御部20を介してインクジェット記録装置1の中央統括部11に接続されている。ヘッド駆動制御部12bは、中央統括部11の制御下で動作する。また、中央統括部11は、図示しない通信装置やバスインターフェース等を介して、PC2等の外部の機器に接続されている。
なお、図1では、1つのインクジェットヘッド12についてのみ、ヘッド部12a、ヘッド駆動制御部12b及び電源制御部20を図示しているが、実際には、インクジェット記録装置1に設けられた複数のインクジェットヘッド12の各々が同様の構成を備えている。
【0022】
PC2は、インクジェット記録装置1にデータを出力する。
具体的には、PC2は、例えば、インクジェット記録装置1のプリンタードライバーを実行し、インクジェット記録装置1により用紙に記録させるための画像データに対してプリンタードライバーによる処理を施す。より具体的には、PC2は、画像データに基づいて、ヘッド駆動データの生成や吐出タイミング信号の生成に係る各種のデータを生成して出力する。
【0023】
中央統括部11は、PC2から出力されたデータに基づいて、各インクジェットヘッド12を駆動するためのデータをヘッド駆動制御部12bに転送する。
具体的には、中央統括部11は、例えば、PC2から出力されたデータをバッファリングすると共に、バッファリングされたデータに基づいて各インクジェットヘッドによるインクの吐出タイミングを決定し、決定された吐出タイミングに応じてヘッド駆動データ及び吐出タイミング信号を各ヘッド駆動制御部12bに転送する。
インクジェットヘッド12のヘッド駆動制御部12bは、中央統括部11から転送されたデータに応じてヘッド部12aを駆動する。
【0024】
この他、図示しないが、インクジェット記録装置1には、インクジェットヘッド12が搭載されたキャリッジをレールに沿って移動させるアクチュエーターやインクジェット記録装置1の動作に係る各種のセンサーの動作に係るメカ駆動部等が設けられている。メカ駆動部は、各種のセンサーによる検知内容に応じたフィードバック情報を出力する。フィードバック情報は、中央統括部11を介してPC2に送信される。PC2は、画像データに加えて、フィードバック情報から得られたインクジェット記録装置1の情報に基づいて、インクジェット記録装置1にデータを出力する。
【0025】
次に、インクジェットヘッド12の電源制御に係る構成について説明する。
図2は、電源制御部20の詳細構成の一例を示す図である。
電源制御部20は、第1の入力部21、第2の入力部22、制御部23、スイッチSW1、SW2及びこれらを接続する配線を備える。電源制御部20は、例えば、ヘッド駆動制御部12bと同様に、インクジェットヘッド12内に設けられた基板に設けられた回路や配線等からなる。
インクジェットヘッド12のヘッド駆動制御部12bやヘッド部12aにより構成されるインクジェットヘッドの駆動系は、電力供給を受けるための電力線に関して、スイッチSW1、SW2による接続状態に応じて第1の入力部21、第2の入力部22のいずれか一方と接続可能に設けられている。スイッチSW1、SW2はそれぞれ、各入力部とインクジェットヘッドの駆動系との間の電力線の接続と切断とを切り替え可能に設けられたスイッチである。
【0026】
第1の入力部21、第2の入力部22は、電源と接続される配線として機能する構成であり、例えば、電源のコネクターに応じて設けられた端子である。第1の入力部21、第2の入力部22にはそれぞれ個別の電源から電力が入力される。ここで、第1の入力部21に電力を入力する電源を第1の電源31と記載し、第2の入力部22に電力を入力する電源を第2の電源32と記載する。
第1の電源31及び第2の電源32は、インクジェットヘッドの駆動系に対応した電流を供給するための電源である。本実施形態における第1の電源31及び第2の電源32は、直流出力電源であるが、これに限られるものでなく、インクジェットヘッドの駆動系に応じた電流を出力する電源が用いられる。
また、第2の電源32は、第1の電源31よりも所定時間あたりの電力供給能力が大きい。具体的には、例えば、第1の電源31の電源容量は24Wであり、第2の電源32の電源容量は75Wであるが、あくまで一例であってこれに限られるものでない。
【0027】
また、第1の入力部21は、インクジェットヘッドの駆動系と当該駆動系の動作を制御する動作制御系との間に設けられた配線と一体的に形成されている。
具体的には、第1の入力部21とインクジェットヘッドの駆動系との間には、動作制御系として機能する中央統括部11からインクジェットヘッドの駆動系に出力されるタイミング信号等の信号を伝送するための信号線HEAD_SIGや、中央統括部11とインクジェットヘッドの駆動系との間での交信に用いられる各種のコマンドを伝送するための信号線COMM等が設けられている。第1の入力部21に接続されるコネクターは、これらの信号線や第1の電源31からの電力供給を受けるための電力線が互いに短絡しないように束ねられた一体型のコネクターである。当該コネクターの接続により、第1の入力部21を通じて第1の電源31からの電力供給と、中央制御部11とインクジェットヘッドの駆動系との間における各種の信号、コマンド等の伝送とが可能となる。
一方、第2の入力部22に接続されるコネクターは、第2の電源32からの電力供給を受けるための電力線のみに対応するコネクターである。当該コネクターの接続により、第2の入力部22を通じて第2の電源32からの電力供給が可能となる。言い換えれば、第2の入力部22及び第2の入力部22とインクジェットヘッドの駆動系との間に設けられる配線は、インクジェットヘッドの駆動系に対して第2の電源32からの電力供給を行うことのみを目的とした電力線である。
【0028】
また、インクジェット記録装置1の動作時、第1の入力部21からの入力は常に安定するよう設けられている。即ち、インクジェット記録装置1の動作時は、中央統括部11とインクジェットヘッドの駆動系との間の交信等が可能な状態であり、かつ、第1の電源31から、その電源容量の範囲内で定められた所定以上の電力が第1の入力部21に入力される状態である。
一方、第2の入力部22からの入力は、第2の電源32の状態に応じる。例えば、第2の電源32は、1つのインクジェットヘッドの駆動系に限らず、インクジェット記録装置1内に設けられた図示しない動作部等、電力消費を伴う複数のデバイスに接続され、これらの複数のデバイスの動作状態によって、1つのインクジェットヘッドの駆動系に対して供給可能な電力が変動することがある。
【0029】
制御部23は、第1の電源31又は第2の電源32のいずれか一方をインクジェットヘッドの駆動系に接続するようにインクジェットヘッドの駆動系と第1の入力部21及び第2の入力部22との間の接続状態を制御する。
具体的には、制御部23は、スイッチSW1、SW2のいずれか一方をONとし、他方をOFFとすることで、ONとされた側のスイッチを介してインクジェットヘッドの駆動系と接続されている入力部に対応する電源を当該駆動系に接続する。制御部23による接続状態の制御下で、インクジェットヘッドの駆動系は、第1の電源31又は第2の電源32のいずれか一方から電力の供給を受けて動作する。
【0030】
図3は、制御部23の回路構成の一例を示す図である。
制御部23は、接続状態の制御に係る構成として、例えば、図3に示すように、基準電圧生成部23a、分圧回路23b、比較部23c等を備える。
【0031】
基準電圧生成部23aは、基準電圧Vrefを比較部23cに出力する。
具体的には、基準電圧生成部23aは、第1の入力部21を通じて印加された第1の電源31の電圧V1、第2の入力部22を通じて印加された第2の電源32の電圧V2又は駆動系に接続された電源の電圧Vcのいずれかの印加に応じて、所定の基準電圧Vrefを比較部23cの一方の入力部Aに印加する。ここで、電圧Vcは、第1の入力部21を通じて印加された第1の電源31のV1又は第2の入力部22を通じて印加された第2の電源32の電圧V2となる。
より具体的には、基準電圧生成部23aは、例えば、外部から印加された電圧の高低に関わらず所定の電圧値の電圧を出力するレギュレーター等により構成されており、所定の電圧値の電圧を基準電圧Vrefとして出力する。
【0032】
なお、図3に示す例では、第1の入力部21を通じて印加された第1の電源31の電圧V1、第2の入力部22を通じて印加された第2の電源32の電圧V2及び駆動系に接続された電源の電圧Vcを印加するための配線がそれぞれダイオードDを介して基準電圧生成部23aに接続されているが、一例であってこれに限られるものでない。例えば、第1の電源31の電圧V1及び第2の電源32の電圧V2に対応する配線及びダイオードDのみが設けられていてもよい。
【0033】
分圧回路23bは、第2の電源32の電圧に基づいた検出電圧V2detを発生させて比較部23cに出力する。
具体的には、分圧回路23bは、図3に示すように、電圧V2が入力される配線、即ち、第2の入力部22と比較部23cとの間に介在するよう設けられる。分圧回路23bを構成する2つの抵抗器のうち、一方の抵抗器Raは第2の入力部22と比較部23cの他方の入力部Bとを接続する配線上に設けられ、他方の抵抗器Rbは、一方の抵抗器Raと他方の入力部Bとの間の配線とグランド(GND)とを接続する配線上に設けられる。
分圧回路23bを介して比較部23cの他方の入力部Bに印加される検出電圧V2detの電圧値は、分圧回路23bを構成する2つの抵抗器Ra、Rbの各々の電気抵抗値に対応した電圧値となる。
具体的には、比較部23cの他方の入力部Bに印加される検出電圧V2detの電圧値は、以下の式(1)により算出される。なお、式(1)におけるV2は、第2の入力部22を通じて印加された第2の電源32の電圧V2の電圧値である。また、式(1)におけるRa、Rbはそれぞれ、分圧回路23bを構成する2つの抵抗器Ra、Rbの各々の電気抵抗値である。

V2det={Rb/(Ra+Rb)}×V2…(1)

このように、検出電圧V2detの電圧値は、第2の入力部を通じて入力された第2の電源32の電圧V2が分圧回路23bによって分圧された電圧値である。
また、本実施形態の他方の抵抗器Rbは、可変抵抗器等によりその電気抵抗値を変更可能に設けられている。式(1)に示すように、他方の抵抗器Rbの電気抵抗値が変更されると、算出される検出電圧V2detが変更されることとなる。即ち、分圧回路23bは、検出電圧V2detの電圧値を変更可能に設けられている。
【0034】
比較部23cは、基準電圧Vrefと検出電圧V2detとを比較する。
具体的には、比較部23cは、例えば、入力された2つの電圧の比較結果に応じて出力を行うコンパレーター等からなる。比較部23cは、一方の入力部Aに印加された基準電圧Vrefの電圧値と他方の入力部Bに印加された検出電圧V2detの電圧値とを比較し、検出電圧V2detの電圧値が基準電圧Vrefの電圧値よりも高い場合、出力部から信号S0を出力する。一方、検出電圧V2detの電圧値が基準電圧Vrefの電圧値以下である場合、比較部23cは信号S0の出力を行わない。
【0035】
ここで、比較部23cの出力部はNOT回路23dを介して第1の入力部21とインクジェットヘッドの駆動系とを接続するスイッチSW1に接続されている。また、比較部23cの出力部はNOT回路23dの手前で分岐し、分岐した側が第2の入力部22とインクジェットヘッドの駆動系とを接続するスイッチSW2に接続されている。
また、比較部23cから出力される信号S0は、接続先のスイッチをONにする命令として機能する。即ち、信号S0が入力された側のスイッチは接続状態となり、信号S0が入力されなかった側のスイッチは切断状態となる。
【0036】
基準電圧Vrefと検出電圧V2detとの比較結果に応じて比較部23cから信号S0が出力された場合、スイッチSW2にはそのまま信号S0が入力されることから、スイッチSW2は接続状態となる。このため、第2の入力部22を通じて第2の電源32から供給される電力がインクジェットヘッドの駆動系に入力されることとなる。また、このとき、NOT回路23dを介して比較部23cと接続されているスイッチSW1には信号S0が入力されず、スイッチSW1は切断状態となる。このため、インクジェットヘッドの駆動系に対して、第1の電源31からの電力の供給は行われない。
このように、制御部23は、第2の電源32の電圧値に基づいて検出された検出電圧V2detの電圧値が基準電圧Vrefの電圧値(第1の電圧値)よりも高い場合に、第2の電源32を優先してインクジェットヘッドの駆動系に接続する。
【0037】
一方、比較部23cから信号S0が出力されていない場合、スイッチSW2には信号S0が入力されないことから、スイッチSW2は切断状態となる。このため、インクジェットヘッドの駆動系に対して、第2の電源32からの電力の供給は行われない。また、このとき、NOT回路23dを介して比較部23cと接続されているスイッチSW1には、「信号S0の入力がない」場合の逆、即ち、「信号S0の入力がある」ことを示す命令が入力されることとなり、スイッチSW1は接続状態となる。このため、第1の入力部21を通じて第1の電源31から供給される電力がインクジェットヘッドの駆動系に入力されることとなる。
【0038】
ここで、基準電圧Vrefの電圧値は、第1の電源31の電源容量の範囲内で定められて第1の入力部21から入力される電力(上記の「所定以上の電力」)を上回る電力が、第2の入力部22を通じて第2の電源32から供給されていることを確認可能な電圧値となるよう設けられている。即ち、比較部23cから信号S0の出力がある場合には、必ず第2の入力部22を通じて第2の電源32から所定以上の電力が供給されていることとなる。
このように、第1の入力部21及び第2の入力部22の両方から所定以上の電力が入力されている場合に、制御部23は、第2の電源32を第1の電源31よりも優先してインクジェットヘッドの駆動系に接続するように、インクジェットヘッドの駆動系と第1の入力部21及び第2の入力部22との間の接続状態を制御する。
【0039】
また、第2の電源32がインクジェットヘッドの駆動系に接続されると、分圧回路23bは、検出電圧V2detの電圧値が高くなるように制御される。
具体的には、分圧回路23bは、例えば、比較部23cからの信号S0の出力に応じて出力された信号Tに応じて、他方の抵抗器Rbの電気抵抗値が高くなるように制御される。これによって、式(1)により算出される検出電圧V2detの電圧値が高くなる。
なお、検出電圧V2detの電圧値を高くするための分圧回路23bの制御に係る処理は、例えば、ヘッド駆動制御部12bにより行われるが、一例であってこれに限られるものでなく、第2の電源32がインクジェットヘッドの駆動系に接続されたことを検知可能な構成であれば当該処理を担うことができる。
【0040】
また、制御部23は、第2の電源32がインクジェットヘッドの駆動系に接続されている場合であって、検出電圧V2detの電圧値が第2の電圧値以下になった場合に、第1の電源31をインクジェットヘッドの駆動系に接続する。
【0041】
具体的には、第2の電源32からの電力供給が複数のデバイスに対して行われる等の理由により、第2の入力部22を通じて印加された第2の電源32の電圧V2の電圧値が低下すると、この低下に応じて検出電圧V2detの電圧値も低下することとなる。
ここで、上記のように、第2の電源32がインクジェットヘッドの駆動系に接続されている場合の検出電圧V2detの電圧値は、分圧回路23bにより、第2の電源32がインクジェットヘッドの駆動系に接続される前よりも高められている。よって、図4に示すように、第2の電源32がインクジェットヘッドの駆動系に接続されている場合、即ち、検出電圧V2detの電圧値が基準電圧Vrefの電圧値よりも高くなったタイミングt1から検出電圧V2detの電圧値が基準電圧Vrefの電圧値以下となったタイミングt2までの間の検出電圧V2detの電圧値には、基準電圧Vrefの電圧値に対してマージンMがある状態となっており、マージンMに対応する範囲内であれば、第2の電源32の電圧V2の電圧値が低下しても検出電圧V2detの電圧値は基準電圧Vrefの電圧値を下回らない。
【0042】
しかしながら、マージンMに対応する範囲を超えて第2の電源32の電圧V2の電圧値が低下した場合、検出電圧V2detの電圧値は基準電圧Vrefの電圧値以下になる。この場合、比較部23cからの信号S0の出力が行われなくなることから、スイッチSW2が切断状態となると共に、スイッチSW1が接続状態となる。即ち、第2の電源32とインクジェットヘッドの駆動系との間の接続が解消されて、第1の電源31がインクジェットヘッドの駆動系に接続される。
即ち、制御部23は、第2の電源32がインクジェットヘッドの駆動系に接続されている場合であって、検出電圧V2detの電圧値が基準電圧Vrefの電圧値(第2の電圧値)以下になった場合に、第1の電源31をインクジェットヘッドの駆動系に接続する。このように、本実施形態では、基準電圧Vrefの電圧値は、第1の電圧値及び第2の電圧値として機能する。
【0043】
第1の電源31がインクジェットヘッドの駆動系に接続されると、分圧回路23bは、他方の抵抗器Rbの電気抵抗値が第2の電源32がインクジェットヘッドの駆動系に接続される前の電気抵抗値となるように制御される。
その後、再び検出電圧V2detの電圧値が基準電圧Vrefの電圧値よりも高くなった場合には、再び第2の電源32がインクジェットヘッドの駆動系に接続されると共に、検出電圧V2detの電圧値のマージンMが確保される。制御部23は、インクジェット記録装置1の動作中、係る各電源とインクジェットヘッドの駆動系との間の接続状態の制御を行う。
【0044】
以上、本実施形態のインクジェット記録装置1によれば、第1の入力部21及び第2の入力部22の両方から所定以上の電力が入力されている場合に、第2の電源32を第1の電源31よりも優先してインクジェットヘッドの駆動系に接続するように接続状態を制御するので、いずれの電源からも所定以上の電力供給が可能である場合に、より電力供給能力が大きい第2の電源32を優先して用いるようにすることができる。即ち、本実施形態のインクジェット記録装置1によれば、インクジェットヘッドの消費電力の増大に対応した電力供給を第2の電源32により行うことができる。
【0045】
また、検出電圧V2detの電圧値が、第1の電圧値として機能する基準電圧Vrefの電圧値よりも高い場合に第2の電源32を優先してインクジェットヘッドの駆動系に接続するので、第2の入力部22を通じて供給される第2の電源32の電力が十分であるか否かを基準電圧Vrefにより判定することができることから、第2の電源32が優先される場合には必ず第2の電源32からの電力供給が十分な状態であるようにすることができる。
【0046】
また、第2の電源32が前記駆動系に接続されている際の検出電圧V2detの電圧値が、第2の電圧値として機能する基準電圧Vrefの電圧値以下になった場合に、第1の電源31をインクジェットヘッドの駆動系に接続するので、第2の電源32がインクジェットヘッドの駆動系に接続された後に第2の電源32の電力が十分でなくなった場合に第1の電源31による電力供給に切り替えてインクジェットヘッドの駆動系に対する電力供給を確保することができることから、インクジェットヘッドの駆動系に対してより安定した電力供給を行うことができる。
【0047】
また、検出電圧V2detの電圧値は、分圧回路23bを介して検出された第2の電源32の電圧値であり、分圧回路23bは、検出電圧V2detの電圧値を変更可能に設けられるので、上記のように、第2の電源32がインクジェットヘッドの駆動系に接続されているか否かに応じて検出電圧V2detの電圧値を変更することができることから、基準電圧Vrefの電圧値を用いた第2の電源32の接続の管理において、接続の基準となる検出電圧V2detの電圧値と接続の解消の基準となる検出電圧V2detの電圧値との間にマージンMを持たせることができる。即ち、第2の電源32の電圧値について、接続の条件となる第1の電圧値と接続の解消の条件となる第2の電圧値との間にヒステリシスを持たせることができ、接続に係り第2の電源32に要求される条件に比して接続の解消に係り第2の電源32に要求される条件を緩和することができる。
また、第2の電源32から供給される直流電圧の電圧値は、図4に示すように所定の時間単位で上昇と低下を繰り返す波形Wを描くことが想定され得る。ここで、第2の電源32がインクジェットヘッドの駆動系に接続される場合と当該接続が解消される場合の基準電圧Vrefの電圧値が同じであって、かつ、分圧回路23bによる検出電圧V2detの電圧値の変更がない場合を仮定する。当該仮定の条件下では、波形Wが示す電圧値の下降によって検出電圧V2detの電圧値が基準電圧Vrefの電圧値以下となった場合に当該接続が解消され、波形Wが示す電圧値の上昇によって検出電圧V2detの電圧値が基準電圧Vrefの電圧値を上回った場合に当該接続が行われることが繰り返されてしまう可能性があることから第2の電源32による安定した電力供給を行うことができないこととなる。これに対し、本実施形態では、検出電圧V2detの電圧値が基準電圧Vrefの電圧値より高くなると(タイミングt1)、信号S0の出力に応じて信号Tが出力され、この信号Tの出力に応じて検出電圧V2detの電圧値が上昇する。また、検出電圧V2detの電圧値が基準電圧Vrefの電圧値以下になると(タイミングt2)、信号S0の出力が行われなくなって信号Tが消失し、この信号Tの消失に応じて検出電圧V2detの電圧値が下降する。即ち、タイミングt1からタイミングt2までの間、分圧回路23bによる検出電圧V2detの電圧値の変更によりマージンMを確保することができるので、波形Wによる接続と接続の解消の繰り返しを防止することができることから、第2の電源32による安定した電力供給を実現することができる。
【0048】
また、第1の入力部21は、インクジェットヘッドの駆動系と当該駆動系の動作を制御する動作制御系との間に設けられた配線と一体的に形成されているので、インクジェットヘッドに対して第1の電源31の電力が入力される電力線と当該配線の接続を一体的に行うことができる。
また、既に第1の電源31の電力が入力される電力線とインクジェットヘッドの駆動系と当該駆動系の動作を制御する動作制御系との間に設けられた配線とが一体的に形成されているインクジェットヘッドに対して、第2の電源32と、第2の電源32からインクジェットヘッドの駆動系に電力を入力するための第2の入力部22及び電力線と、制御部23及び2つのスイッチSW1、SW2を設けることで従来のインクジェットヘッドに対して第2の電源32を優先して接続することができるようになることから、低コストで従来のインクジェットヘッドに対してより大きな電力供給能力を有する電源による電力供給を行うことができるようになる。
【0049】
(変形例)
次に、本発明の変形例について図5図6を参照して説明する。
変形例における電源制御部200の制御部230は、上記の実施形態の制御部23の構成に加えて、AND回路23e、OR回路23f、ヘッド駆動制御部12bからの信号EN、Uを入力するための配線を備える。変形例によるインクジェット記録装置の構成のうち、電源制御部200以外の構成については、上記の実施形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
なお、変形例における第1の入力部21には、上記の実施形態における信号線HEAD_SIGや信号線COMM等、インクジェットヘッドの駆動系と当該駆動系の動作を制御する動作制御系との間に設けられた配線が設けられていないが、上記の実施形態と同様に当該配線が設けられていてもよい。第1の入力部21に当該配線が設けられない場合、当該配線に対応する接続が別途設けられる。例えば、中央統括部11とヘッド駆動制御部12bとが直結される。
【0050】
AND回路23eは、比較部23cの出力部からの信号S0の出力とヘッド駆動制御部12bからの信号ENの出力の両方がある場合に出力部から信号S1を出力する。
OR回路23fは、AND回路23eからの信号S1の出力及びヘッド駆動制御部12bからの信号Uの出力の少なくともいずれか一方の出力がある場合に出力部から信号S2を出力する。
図6に示すように、変形例では、OR回路23fの出力部とスイッチSW1、SW2とが接続される。また、OR回路23fの出力部とスイッチSW1との間には上記の実施形態と同様の意図でNOT回路23dが設けられる。変形例では、信号S2が接続先のスイッチをONにする命令として機能する。また、変形例では、信号S2に応じて他方の抵抗器Rbの電気抵抗値を高くするための信号Tが出力される。
【0051】
変形例における制御部230は、電源の切り替えを許可する情報が得られた場合に第2の電源32を優先してインクジェットヘッドの駆動系に接続する。
具体的には、制御部230は、電源の切り替えの許可を示すイネーブル信号である信号ENがヘッド駆動制御部12bから出力されている場合に第2の電源32を優先してインクジェットヘッドの駆動系に接続する。
【0052】
より具体的には、AND回路23eは、信号S0と信号ENの両方の出力が得られた場合に信号S1の出力を行うことから、信号S0の有無に応じた信号S1の出力が行われるには、信号ENが出力されている必要があることとなる。即ち、制御部は、電源の切り替えを許可する情報として機能する信号ENが得られた場合に、比較部23cからの出力に応じた、第2の電源32を優先してインクジェットヘッドの駆動系に接続するためのスイッチSW1、SW2の接続状態の制御を行う。
また、AND回路23eは、信号ENの出力がない場合に信号S1の出力を行わない。即ち、信号ENが得られない場合、制御部230は、比較部23cの出力に応じた制御を行わない。
【0053】
なお、OR回路23fは、AND回路23eからの信号S1の出力及びヘッド駆動制御部12bからの信号Uの出力の少なくともいずれか一方の出力がある場合に信号S2を出力することから、EN信号が得られている場合、AND回路23eから出力される信号S1に応じて信号S2の出力が行われることとなる。
【0054】
さらに、変形例では、信号Uにより、第2の電源32を優先してインクジェットヘッドの駆動系に接続することもできる。
具体的には、信号Uが得られている場合、OR回路23fは信号S2を出力することから、信号Uが得られている時点で、制御部230は、第2の電源32を優先してインクジェットヘッドの駆動系に接続する。
【0055】
信号EN、Uが出力される条件は、任意に決定される。
例えば、原則としてインクジェット記録装置1の動作中に信号ENが出力されるようにしてもよい。また、何らかの理由によりインクジェットヘッド12が動作不良を生じた場合に、信号ENが出力されない状態となるようにしてもよい。また、信号ENの出力の有無を決定する処理を中央統括部11の制御下として、インクジェットヘッドの駆動系が第1の電源31の電力供給では十分でない可能性がある大きな電力消費を伴うインクジェットヘッド12の動作に応じて中央統括部11により信号ENの出力が決定されるようにしてもよい。ここで、大きな電力消費を伴うインクジェットヘッド12の動作とは、例えば、ベタ塗りのように多くのノズルの動作に伴い電力消費が大きくなる動作をさす。
また、第1の電源31の動作不良等、何らかの理由により第1の電源31からの電力供給が得られなくなった場合に、電力供給源を第2の電源32に固定するために信号Uが出力されるようにしてもよい。
【0056】
以上、変形例によれば、上記の実施形態の効果に加えて、電源の切り替えを許可する情報として機能する信号ENが得られた場合に第2の電源32を優先してインクジェットヘッドの駆動系に接続するので、第2の入力部22から所定以上の電力が入力されていることに係る条件に加えて、別の条件を設定したい場合において、当該別の条件が満たされた場合に信号ENの出力が行われるようにすることで、当該別の条件の成立と第2の電源32の優先とを連動させることができる。このように、第2の電源32を優先してインクジェットヘッドの駆動系に接続する制御に係る条件をより柔軟に設定することができる。
【0057】
なお、本発明の実施の形態は、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0058】
例えば、上記の実施形態や変形例における制御部23、230の回路構成はあくまで一例であって、これに限られるものでない。以下、各部の別の形態の例を列挙する。
例えば、上記の実施形態等では、第1の電圧値及び第2の電圧値を同一の基準電圧Vrefの電圧値とし、分圧回路23bによる検出電圧V2detの電圧値の変更によって第2の電源32がインクジェットヘッドの駆動系に接続される場合の第2の電源32の電圧V2の電圧値に対して第2の電源32とインクジェットヘッドの駆動系との接続が解消される条件となる電圧V2の電圧値の下限が実質的に低くなるように設けられているが、一例であってこれに限られるものでない。別の形態の例として、第2の電源32がインクジェットヘッドの駆動系に接続されているか否かに応じて、第1の電圧値、第2の電圧値に対応する電圧値となるように基準電圧生成部23aから出力される基準電圧Vrefの電圧値が変更されるようにしてもよい。この場合、例えば、可変レギュレーター等、出力電圧の電圧値が変更可能な構成が基準電圧生成部23aの構成として設けられる。そして、第2の電源32がインクジェットヘッドの駆動系に接続されているか否かに応じて、可変レギュレーターにより出力電圧の電圧値を変更することで、基準電圧Vrefの電圧値を変更する。即ち、第2の電源32がインクジェットヘッドの駆動系に接続されていない場合の基準電圧Vrefの電圧値が第1の電圧値となり、第2の電源32がインクジェットヘッドの駆動系に接続されている場合の基準電圧Vrefの電圧値が第2の電圧値となる。また、この場合、図7に示すように、第1の電圧値(Vr1)に対応する基準電圧Vrefの電圧値は、第2の電圧値(Vr2)に対応する基準電圧Vrefの電圧値よりも高くなるよう制御される。
なお、上記のように基準電圧生成部23aから出力される電圧値が第1の電圧値及び第2の電圧値に対応するように変更される場合、上記の実施形態等における分圧回路23bの他方の抵抗器Rbの電気抵抗値の変更に係る制御は不要となる。また、この場合には、分圧回路23bを省略することもできる。
以上のように、第1の電圧値に対応する基準電圧Vrefの電圧値が第2の電圧値に対応する基準電圧Vrefの電圧値よりも高くなるようにすることで、上記の実施形態等と同様に、接続の条件となる第1の電圧値と接続の解消の条件となる第2の電圧値との間にヒステリシスを持たせることができる。加えて、分圧回路23bによる検出電圧V2detの制御や分圧回路23bそのものを省略することができる。
【0059】
また、上記の実施形態等において、分圧回路23bを構成する抵抗器Ra、Rbはあくまで一例であってこれに限られるものでなく、その組み合わせにより検出電圧V2detの電圧値に応じた電気抵抗値を示す構成であればよい。例えば、抵抗器Ra、Rbはそれぞれ、複数の抵抗器を直列に接続したものであってもよい。
また、変形例において、OR回路23fを省略し、AND回路23eから出力される信号S1に応じて接続状態が制御されるようにしてもよい。
【0060】
また、上記の実施形態等では、スイッチSW1、SW2が電源制御部20、200に含まれているが、一例であってこれに限られるものでない。例えば、制御部23、230は、電源制御部20の外に設けられてインクジェットヘッドの駆動系と第1の入力部21及び第2の入力部22との接続状態を切り替え可能に設けられた切替部を制御するようにしてもよい。また、電源制御部20は、インクジェットヘッドの外に設けられてもよい。
また、上記の実施形態等におけるPC2はあくまでインクジェット記録装置1にデータを出力する機器の一例であって、これに限られるものでない。例えば、上記の実施形態等においてPC2がプリンタードライバーを読み出して実行することにより実現される機能に対応する構成をインクジェット記録装置1に設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、インクジェットヘッドの電源制御装置及びインクジェット記録装置に利用することが出来る。
【符号の説明】
【0062】
1 インクジェット記録装置
2 PC
11 中央統括部
12 インクジェットヘッド
12a ヘッド部
12b ヘッド駆動制御部
20、200 電源制御部
21 第1の入力部
22 第2の入力部
23、230 制御部
23a 基準電圧生成部
23b 分圧回路
23c 比較部
23d NOT回路
31 第1の電源
32 第2の電源
SW1、SW2 スイッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7