【文献】
Qualcomm Europe,Access Stratum based solution to connection recovery after RLF [online],3GPP TSG-RAN WG2 Meeting #66 R2-093242,2009年 4月28日,pages 1-6,[検索日 2016.07.28],URL,http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG2_RL2/TSGR2_66/Docs/R2-093242.zip
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態である移動通信システムの構成を示すブロック図である。
【0018】
図1に示す移動通信システムは、3GPP TS 36.300に記載されているLTE方式等を採用する移動通信システムであって、移動局10と、それぞれがセルを備え、該セル内において移動局10と無線通信を行う複数の無線基地局20と、コアネットワーク30と、を有する。
【0019】
コアネットワーク30は、上位階層にある、ユーザパケットのルーチングとバッファ処理を行うS-GW(サービングゲートウェイ)や認証制御を行うMME(モビリティマネジメントエンティティ)を備える。各無線基地局20とS-GW/MMEとは、S1リンクにより接続されている。無線基地局20同士は、X2リンクにより接続されている。
【0020】
無線基地局20間の情報の送受信は、S1リンクまたはX2リンクもしくは両リンクを使用して行われる。
【0021】
なお、
図1に示す例では、移動局10と無線基地局20との数はそれぞれ1と3であるが、これに限定されない。実際の移動通信システムは、複数の移動局10と、複数の無線基地局20とからなる。
【0022】
図2は、移動局10の主要部の構成を示すブロック図である。
【0023】
図2を参照すると、移動局10の主要部は、制御部11、通信部13およびメモリ14を有する。
【0024】
通信部13は、セル内において、該セルを管理している無線基地局20と無線通信を行う。セルの境界付近では、通信部13は、現在通信中のセルを管理している無線基地局20からの無線信号を受信するとともに、隣接セルを管理している他の無線基地局20からの無線信号を受信する。
【0025】
制御部11は、CPU(Central processing unit)よりなり、移動局10の動作を制御する。制御部11は、ハンドオーバに必要な処理を行うハンドオーバ制御部12を有する。
【0026】
ハンドオーバ制御部12は、ハンドオーバを行うに当たって、現在通信中のセルを管理しているハンドオーバ元の無線基地局20から報告条件を取得し、それを保持する。ここで、報告条件は、受信品質がハンドオーバ元のセルよりも高く、その差が閾値以上である隣接セルがあるか否かの判定条件を含み、該判定条件を満たす隣接セルが1つ以上あれば、その隣接セルの情報を報告するというものである。
【0027】
例えば、ハンドオーバ制御部12は、一定時間毎に、通信部13にて受信される無線信号の受信品質を測定し、報告条件を満たす隣接セルがある場合に、その隣接セルの識別情報および受信品質の測定結果を含むリストをハンドオーバ元の無線基地局20へ送信する。
【0028】
また、ハンドオーバ制御部12は、通信部13を介して、ハンドオーバ元の無線基地局20からハンドオーバ指示を受信し、無線品質の悪化やハンドオーバ先の無線基地局へのランダムアクセスの失敗などで、ハンドオーバ先の無線基地局へのハンドオーバに失敗した場合には、受信品質の測定を行い、受信品質が最も高いセルを選択する。
【0029】
さらに、ハンドオーバ制御部12は、セル再選択で選択したセルを管理している無線基地局20に再接続要求を送信し、この無線基地局20との間で、再接続手順およびリコンフィグレーション手順を行う。
【0030】
再接続要求は、移動局10の接続元の無線基地局のセル(再接続するに至ったセル)のセル識別子と、当該セル内における移動局10を一意に識別する移動局識別子と、移動局10の認証コードとを含む。
【0031】
ここで、再接続が必要な状態になったセルとは、ハンドオーバ元のセルまたはハンドオーバ先のセルである。ハンドオーバのどの過程で再接続するに至ったかによって、ハンドオーバ元またはハンドオーバ先のセルが指定される。
【0032】
例えば、ハンドオーバが完了しておらず、移動局10の接続先がハンドオーバ元の無線基地局であれば、ハンドオーバ元のセルが、再接続が必要な状態になったセルとして指定される。一方、ハンドオーバがほぼ完了し、移動局10の接続先がハンドオーバ先の無線基地局となっていれば、ハンドオーバ先のセルが、再接続が必要な状態になったセルとして指定される。
【0033】
メモリ14は、半導体メモリに代表される記憶手段であって、移動局10を動作させるのに必要なプログラムやデータが格納されている。例えば、ハンドオーバに必要な処理を実行するためのプログラムやデータもメモリ14に格納されており、CPUがメモリ14に格納されているプログラムを実行することで、ハンドオーバ制御部12等の機能を提供することができる。
【0034】
図3は、無線基地局20の主要部の構成を示すブロック図である。
【0035】
図3を参照すると、無線基地局20の主要部は、制御部21、通信部23およびメモリ24を有する。
【0036】
通信部23は、無線通信部231、S1インタフェース部232およびX2インタフェース部233を有する。
【0037】
無線通信部231は、自基地局のセル内において、移動局10との無線通信を行う。S1インタフェース部232は、S1リンクを介してS-GW/MMEと通信する。X2インタフェース部233は、X2リンクを介して他の無線基地局と通信する。
【0038】
制御部21は、CPUよりなり、ハンドオーバに必要な処理を実行するハンドオーバ制御部22を有する。
【0039】
ハンドオーバ制御部22は、移動局10との無線通信に必要なリソースを確保するリソース管理部221と、接続先を切り替えるためのハンドオーバを実行した移動局10からの再接続要求に応じて、リソース管理部221により確保されたリソースを使用して移動局10との無線通信を確立するための再接続制御を行う通信制御部222と、を有する。
【0040】
通信制御部222は、リソース管理部221に移動局10のリソースが確保されていない状態で、他の無線基地局を接続元とする移動局10から再接続要求を受信した場合には、再接続制御を中断し、他の無線基地局との間で、移動局10の接続先を自基地局へ切替えるためのハンドオーバを実行して、リソース管理部221に移動局10のリソースを確保させ、その後、再接続制御を再開する。
【0041】
メモリ24は、半導体メモリに代表される記憶手段であって、無線基地局20を動作させるのに必要なプログラムやデータが格納されている。例えば、ハンドオーバに必要な処理を実行するためのプログラムやデータもメモリ24に格納されており、CPUがメモリ24に格納されているプログラムを実行することで、ハンドオーバ制御部22等の機能を提供することができる。
【0042】
上記の無線基地局20において、自基地局に隣接する複数の隣接無線基地局それぞれについて、当該隣接無線基地局を識別する基地局識別子と、当該隣接無線基地局によって管理される隣接セルを識別するセル識別子とが関連づけて格納された隣接基地局テーブルがメモリ24に格納されていてもよい。この場合、通信制御部222は、移動局10から、接続元の無線基地局のセル(再接続するに至ったセル)を識別するセル識別子と、当該セル内で移動局10を一意に識別する移動局識別子と、移動局10の認証コードとを含む再接続要求を受信し、当該再接続要求のセル識別子と対応する基地局識別子を隣接基地局テーブルから取得し、当該基地局識別子により特定される隣接無線基地局に、再接続要求に含まれているセル識別子、移動局識別子および認証コードを含む再接続通知を送信してもよい。
【0043】
また、通信制御部222は、移動局10の接続先を第1の隣接無線基地局から自基地局へ切り替えるためのハンドオーバを実行中に、第2の隣接無線基地局から、移動局10の接続元である無線基地局のセル(再接続するに至ったセル)を識別するセル識別子と、当該セル内における移動局10を一意に識別する移動局識別子と、移動局10の認証コードとを含む再接続通知を受信した場合は、当該再接続通知を第1の隣接無線基地局に転送するとともに、リソース管理部221に確保させたリソースを解放してもよい。
【0044】
さらに、通信制御部222は、移動局10の接続先を自基地局から第1の隣接無線基地局へ切り替えるためのハンドオーバを実行中に、第1の隣接無線基地局と第2の隣接無線基地局のそれぞれから、移動局10の接続元である無線基地局のセル(再接続するに至ったセル)のセル識別子と、当該セル内の移動局10を一意に識別する移動局識別子と、移動局10の認証コードとを含む再接続通知を受信した場合は、当該再接続通知を先に受信した方の隣接無線基地局との間で、移動局10の接続先を自基地局から当該隣接無線基地局へ切り替えるためのハンドオーバを実行してもよい。
【0045】
さらに、通信制御部222は、第2の隣接無線基地局からの再接続通知よりも後に第1の隣接無線基地局からの再接続通知を受信した場合に、第1の隣接無線基地局に対して、移動局10のリソースの解放を指示してもよい。
【0046】
次に、本実施形態の移動通信システムの動作について、具体的に説明する。
【0047】
まず、移動局10のハンドオーバに伴う動作について説明する。
【0048】
図4は、移動局10のハンドオーバ制御部12の動作の一例を示すフローチャートである。
【0049】
図4を参照すると、ステップS10で、ハンドオーバ制御部12が、受信品質の測定を行う。ステップS11で、ハンドオーバ制御部12が、受信品質の測定結果が報告条件を満たすか否かを判定する。報告条件を満たさない場合は、ハンドオーバ処理は終了する。
【0050】
報告条件を満たす場合は、ステップS12で、ハンドオーバ制御部12が、受信品質が移動元のセルよりも高く、その差が閾値以上である隣接セルの情報を含むリストを作成し、その隣接セルリストをハンドオーバ元の無線基地局20(Source eNB)に送信する。隣接セルリストは、隣接セルのセル識別子と、隣接セルを管理している無線基地局20の基地局識別子とを含む。
【0051】
次に、ステップS13で、ハンドオーバ制御部12が、ハンドオーバ元の無線基地局20(Source eNB)からハンドオーバ指示を受信したか否かを判定する。
【0052】
次に、ステップS14で、ハンドオーバ指示を受信し、無線品質の悪化やハンドオーバ先の無線基地局へのランダムアクセスの失敗などで、ハンドオーバ先の無線基地局へのハンドオーバに失敗した場合(セル再選択を行う場合)は、ハンドオーバ制御部12は、受信品質が最も高いセルを選択する。
【0053】
次に、ステップS15で、ハンドオーバ制御部12が、セル再選択で選択した隣接セルを管理している無線基地局20に再接続要求を送信する。
【0054】
最後に、ステップS16で、ハンドオーバ制御部12が、再接続要求先の無線基地局20との間で、再接続手順およびリコンフィグレーション手順を実行する。
【0055】
次に、無線基地局20のハンドオーバに伴う動作について説明する。
【0056】
この無線基地局20のハンドオーバに伴う動作は、ハンドオーバ元としての第1の動作と、ハンドオーバ先としての第2の動作、再接続要求先としての第3の動作を含む。
【0057】
図5は、ハンドオーバ元としての第1の動作の一手順を示すフローチャートである。
【0058】
図5を参照すると、ステップS20で、通信制御部222が、移動局10から無線通信部231を介して、隣接セルリストを含む通信品質報告を受信する。
【0059】
ステップS21で、通信制御部222が、隣接セルリストに基づいてハンドオーバの要否を判定する。ハンドオーバの要否判定において、例えば、通信制御部222は、隣接セルリスト中の各隣接セルについて、CPUの処理負荷が大きいためにアクセスが制限されているか否かといった条件や、移動局10へサービスを提供しているか否かといった条件に基づいて、ハンドオーバの要否判定を行う。
【0060】
ステップS22で、通信制御部222が、隣接セルリストからアクセスが制限されているセルや移動局10へサービスを提供していないセルを除き、残りのセルのうち、受信品質値の最も高いセルをハンドオーバ先セルとして決定する。
【0061】
上記のステップS22において、通信制御部222は、決定したハンドオーバ先セルが自基地局の配下のセルかどうかを確認する。
【0062】
配下のセルでない場合は、ステップS23で、通信制御部222が、ハンドオーバ先セルを管理している無線基地局(Target eNB)に、ハンドオーバ準備要求を送信する。
【0063】
ハンドオーバ準備要求は、移動局10のコンテキスト情報、例えば、ハンドオーバ元の無線基地局がユーザに提供していたサービスを識別するためのサービス識別子、当該サービスを提供するための無線リソースの設定情報、セキュリティ機能の設定情報、ハンドオーバ元のセルのセル識別子、当該セル内で移動局10を一意に識別するための移動局識別子、および移動局10の認証コードなどを含んでいてもよい。
【0064】
ハンドオーバ準備要求の送信は、S1インタフェース部232またはX2インタフェース部233を介して行われる。例えば、通信制御部222は、自基地局とTarget eNBの間でX2リンクによる通信が確立しているか否かを確認し、確立していれば、ハンドオーバ準備要求をX2インタフェース部233より送信させてもよい。
【0065】
なお、ハンドオーバ準備要求の送信に使用するリンクは、予め指定しておいてもよい。また、自基地局とTarget eNBの間で、S1リンクおよびX2リンクそれぞれによる通信が確立している場合は、通信制御部222は、X2リンクを優先的に使用してハンドオーバ準備要求を送信してもよい。
【0066】
ステップS24で、通信制御部222が、S1インタフェース部232またはX2インタフェース部233を介して、ハンドオーバ準備要求に対する応答を受信したか否かを判定する。このハンドオーバ準備要求応答は、ハンドオーバの可否を示す情報と、ハンドオーバ先のセルのセル識別子や移動局10の無線リソースの情報を含むハンドオーバ指示とを含む。
【0067】
ステップS25で、通信制御部222が、ハンドオーバ準備要求応答がハンドオーバ可を示すか否かを判定する。ハンドオーバ可でない場合は、ハンドオーバ処理は終了する。
【0068】
ハンドオーバ可であれば、ステップS26で、通信制御部222が、HO完了通知待ちタイマを起動して、ハンドオーバ準備要求応答に含まれているハンドオーバ指示を、無線通信部231より移動局10へ送信する。
【0069】
なお、上記のステップS22において、決定したハンドオーバ先セルが自基地局の配下である場合は、自基地局内のセル間で、上記のステップS23〜S26に基づくハンドオーバが実行される。
【0070】
ステップS27で、通信制御部222が、HO完了通知待ちタイマがタイムアウトしたか否かを確認する。タイムアウトした場合は、ハンドオーバ処理は終了する。
【0071】
ステップS28で、通信制御部222が、HO完了通知待ちタイマがタイムアウトする前に、再接続通知を受信したか否かを判定する。再接続通知は、接続元の無線基地局のセル(再接続するに至ったセル)のセル識別子、当該セル内の移動局の移動局識別子、および移動局の認証コードと、再接続要求を受信した無線基地局のセル(再接続要求先セル)のセル識別子とを含む。
【0072】
再接続通知を受信した場合は、ステップS29で、通信制御部222が、UEコンテキストを確認する。具体的には、通信制御部222は、再接続通知に含まれている、セル識別子、移動局識別子および認証コードが自基地局に保存されているか否かを確認する。保存されていない場合は、再接続要求先の無線基地局(Non-prepared eNB)として動作する(後述の第3の動作参照)。
【0073】
保存されている場合は、ステップS30で、通信制御部222が、HO完了通知待ちタイマを停止する。
【0074】
ステップS31で、通信制御部222が、再接続通知に含まれている、再接続要求先セルのセル識別子に基づいて、再接続要求先のセルを管理している無線基地局を特定する。また、通信制御部222は、ハンドオーバ先の無線基地局へハンドオーバ準備手順で確保した無線リソースの解放を要求する。
【0075】
ステップS32で、通信制御部222が、S1インタフェース部232またはX2インタフェース部233より、特定した無線基地局にハンドオーバ準備要求を送信する。
【0076】
ステップS33で、通信制御部222が、S1インタフェース部232またはX2インタフェース部233を介して、ハンドオーバ準備要求に対する応答を受信したか否かを判定する。このハンドオーバ準備要求応答は、ハンドオーバの可否を示す情報と、ハンドオーバ先(この場合は、再接続要求先と同じ)のセルのセル識別子や移動局10の無線リソースの情報を含むハンドオーバ指示とを含む。
【0077】
ステップS34で、通信制御部222が、ハンドオーバ準備要求応答がハンドオーバ可を示すか否かを判定する。ハンドオーバ可でない場合は、ハンドオーバ処理は終了する。
【0078】
ハンドオーバ可であれば、ステップS35で、通信制御部222が、HO完了通知待ちタイマを起動する。
【0079】
ステップS36で、通信制御部222が、HO完了通知待ちタイマがタイムアウトしたか否かを確認する。タイムアウトした場合は、ハンドオーバ処理は終了する。
【0080】
ステップS37で、通信制御部222が、HO完了通知待ちタイマがタイムアウトする前に、S1インタフェース部232またはX2インタフェース部233を介して、ハンドオーバ完了通知を受信したか否かを判定する。
【0081】
ハンドオーバ完了通知を受信した場合は、ステップS38で、HO完了通知待ちタイマを停止して、UEコンテキストを解放する。
【0082】
図6は、ハンドオーバ先としての第2の動作の一手順を示すフローチャートである。
【0083】
図6を参照すると、ステップS40で、通信制御部222が、S1インタフェース部232またはX2インタフェース部233を介して、ハンドオーバ元の無線基地局からハンドオーバ準備要求を受信したか否かを判定する。
【0084】
ハンドオーバ準備要求を受信した場合は、ステップS41で、通信制御部222が、ハンドオーバ準備要求を受け付けることができるか否かを判断する。ハンドオーバ準備要求を受け付けることができる場合は、通信制御部222が、移動局10のコンテキスト情報をメモリ24に保存し、移動局10にサービスを提供するために必要な自基地局の無線リソースを確保し、ハンドオーバ先のセルのセル識別子や移動局10に設定する無線リソースの情報を含むハンドオーバ指示を編集する。
【0085】
ステップS42で、通信制御部222が、S1インタフェース部232またはX2インタフェース部233より、上記の編集がなされたハンドオーバ指示を含むハンドオーバ準備要求応答をハンドオーバ元の無線基地局に送信する。なお、ハンドオーバ準備要求を受け付けることができない場合は、通信制御部222は、ハンドオーバ準備要求を受け付けることができない旨の応答をハンドオーバ元の無線基地局に送信する。
【0086】
ステップS43で、通信制御部222が、ハンドオーバ要求に対応する移動局10からのアクセス待ちタイマを起動する。このタイマのタイムアウトのタイミングが、ステップS41で保存したコンテキスト情報や確保した無線リソースを解放するためのトリガとされる。
【0087】
ステップS44、S45で、通信制御部222が、タイムアウトする前に、再接続通知を受信したか否かを判定する。ここで、再接続通知は、接続元の無線基地局のセル(再接続するに至ったセル)のセル識別子、当該セル内の移動局の移動局識別子、および移動局の認証コードと、再接続要求を受信した無線基地局のセル(再接続要求先セル)のセル識別子とを含む。
【0088】
再接続通知を受信した場合は、ステップS46で、通信制御部222が、UEコンテキスト情報を確認する。そして、ステップS47で、通信制御部222が、自基地局がハンドオーバ先(ターゲット)であるか否かを判定する。具体的には、通信制御部222は、再接続通知に含まれている、セル識別子、移動局識別子および認証コードが自基地局に保存されているか否かを確認し、保存されていれば、自基地局がハンドオーバ先(ターゲット)であると判断する。
【0089】
なお、再接続通知に含まれている、セル識別子、移動局識別子および認証コードが自基地局に保存されていない場合は、再接続要求先の無線基地局(Non-prepared eNB)として動作する(後述の第3の動作参照)。
【0090】
自基地局がハンドオーバ先(ターゲット)である場合は、ステップS48で、通信制御部222が、タイマを停止して、ステップS41で保存したコンテキスト情報および確保した無線リソースを解放する。
【0091】
上記のステップS44で、タイムアウトした場合は、ステップS49で、通信制御部222が、ステップS41で保存したコンテキスト情報および確保した無線リソースを解放する。
【0092】
図7は、再接続要求先としての第3の動作の一手順を示すフローチャートである。
【0093】
図7を参照すると、ステップS50で、通信制御部222が、再接続要求を受信したか否かを判定する。ここで、再接続要求は、移動局10の接続元の無線基地局のセル(再接続するに至ったセル)のセル識別子と、当該セル内における移動局10を一意に識別する移動局識別子と、移動局10の認証コードとを含む。
【0094】
再接続要求を受信した場合は、ステップS51で、通信制御部222が、再接続要求に応じて再接続制御を開始し、UEコンテキスト情報を確認する。具体的には、通信制御部222は、再接続要求に含まれている、接続元の無線基地局のセル(再接続するに至ったセル)のセル識別子、移動局識別子および認証コードが自基地局に保存されているか否かを確認する。保存されていない場合は、ステップS52以降の処理を実行する。保存されている場合は、ハンドオーバ元またはハンドオーバ先の無線基地局として動作する。
【0095】
ステップS52で、通信制御部222が、再接続制御を中断し、ハンドオーバ準備要求待ちタイマを起動する。
【0096】
ステップS53で、通信制御部222が、再接続要求に含まれているセル識別子と対応する基地局識別子を隣接基地局テーブルから取得し、当該基地局識別子により特定される隣接無線基地局に、S1インタフェース部232またはX2インタフェース部233により、再接続通知を送信する。
【0097】
再接続通知は、例えば、
図8に示すような情報要素を含む。
図8の例では、情報要素は、再接続通知を示す識別子「Message Type」、再接続するに至ったセルのセル識別子「Failure Cell Identity」、再接続するに至ったセルのUE識別子「UE Identity」、UEの認証コード「Authentication Code」、再接続要求を受信したセルのセル識別子「Re-establishment Cell Identity」を含む。
【0098】
ステップS54、S55で、通信制御部222が、タイムアウトする前に、S1インタフェース部232またはX2インタフェース部233を介して、ハンドオーバ元の無線基地局からハンドオーバ準備要求を受信したか否かを判定する。タイムアウトした場合は、ハンドオーバ処理は終了する。
【0099】
ハンドオーバ準備要求を受信した場合は、ステップS56で、通信制御部222が、ハンドオーバ準備要求を受け付けることができるか否かを判断する。ハンドオーバ準備要求を受け付けることができる場合は、通信制御部222が、移動局10のコンテキスト情報をメモリ24に保存し、移動局10にサービスを提供するために必要な自基地局の無線リソースを確保し、ハンドオーバ準備要求待ちタイマを停止する。そして、通信制御部222が、S1インタフェース部232またはX2インタフェース部233より、ハンドオーバ準備要求を受け付ける旨の応答をハンドオーバ元の無線基地局へ送信する。
【0100】
ステップS57で、通信制御部222が、再接続制御を再開する。ステップS58で、通信制御部222が、ハンドオーバ元の無線基地局との間で、再接続手順およびリコンフィグレーション手順を行う。
【0101】
ステップS59で、通信制御部222が、S1インタフェース部232より、パス切り替え指示をコアネットワーク30に送信する。
【0102】
ステップS60で、通信制御部222が、S1インタフェース部232またはX2インタフェース部233より、ハンドオーバ完了通知をハンドオーバ元の無線基地局へ送信する。
【0103】
次に、本実施形態の移動通信システムの具体的な動作として、移動局(UE)とハンドオーバ元の無線基地局(Source eNB)とハンドオーバ先の無線基地局(Target eNB)とハンドオーバ元/先以外の無線基地局(Non-prepared eNB)との間で、ハンドオーバ元/先以外の無線基地局が再接続要求を受信する場合の、ハンドオーバに伴う一連の移動通信処理について説明する。
【0104】
図9は、そのようなハンドオーバに伴う一連の移動通信処理の一手順を説明するための図である。
【0105】
図9を参照すると、ステップS201で、UEが、隣接セルの受信品質を測定し、通信中のセルを管理しているSource eNBから指示された報告条件を満たした場合に、測定によって得られた複数の隣接セルの受信品質を、Source eNBに送信する。
【0106】
ステップS202で、Source eNBが、ハンドオーバ要否判定を行う。現在の状況がハンドオーバトリガ条件を満たした場合、Source eNBが、当該UEがハンドオーバを要すると判断し、ステップS203を実行する。なお、現在の状況がハンドオーバトリガ条件を満たしていない場合、本移動通信処理プロセスを終了する。
【0107】
ステップS203で、Source eNBが、受信品質値の最良なセルをハンドオーバ先セルとして決定し、ハンドオーバ準備要求を、当該セルを管理しているTarget eNBに送信する。
【0108】
上記のステップS203において、例えば、Source eNBは、負荷が大きくアクセス制限されているセルや、当該UEにサービスを提供していないセルを除外し、残ったセルから受信品質値の最良なセルをハンドオーバ先セルとして決定することができる。
【0109】
また、Source eNBは、当該ハンドオーバ先セルが自eNB配下のセルかどうか、ハンドオーバ先セルを管理する無線基地局との間で、X2インタフェースのリンクを確立しているかどうかを確認するとともに、ハンドオーバ準備要求をX2インタフェースと、S1インタフェースのどちらで送信するかを決定することができる。
【0110】
さらに、Source eNBは、ハンドオーバ準備要求に、UEのコンテキスト情報(例えば、Source eNBでユーザに提供していたサービス識別子、当該サービスを提供するための無線リソースの設定情報、セキュリティ機能の設定情報、ハンドオーバ元のセルの識別子、当該セル内でUEを一意に識別するためのUE識別子、認証コードなど)を付加してもよい。これにより、後続のステップで、Target eNBが、当該コンテキスト情報に基づいて、UEの所要リソースを決定したり、ハンドオーバが何らかの原因で失敗し、RRCコネクションの再接続を行った後でも、ハンドオーバを再試行してサービスの提供を継続することができる。
【0111】
ステップS204で、ハンドオーバ準備要求を受信したTarget eNBは、ハンドオーバ準備要求を受け付けることができるかどうかを判断する。
【0112】
ハンドオーバ準備要求を受け付けることができる場合は、Target eNBは、当該UEのコンテキスト情報を保存し、当該UEにサービスを提供するために必要な自eNBのリソースを確保し、ハンドオーバ先のセルの識別子やUEに設定する無線リソースの情報を含むハンドオーバ指示を編集する。そして、Target eNBは、当該UEのコンテキスト情報と当該UEのために確保したリソースを解放するためのトリガとなる、当該ハンドオーバ要求に対応するUEからのアクセス待ちタイマを起動する。
【0113】
ステップS205で、Target eNBは、先に編集したハンドオーバ指示を含む、ハンドオーバ準備要求を受け付ける旨の応答を、Source eNBへ送信する。なお、ハンドオーバ準備要求を受け付けることができない場合は、Target eNBは、ハンドオーバを受け付けられない旨の応答をSource eNBに送信する。
【0114】
ステップS206で、ハンドオーバ準備要求応答を受信したSource eNBは、ハンドオーバに成功したUEのコンテキスト情報を解放するためのトリガとなる、当該ハンドオーバ要求に対応するTarget eNBからのハンドオーバ完了通知待ちタイマを起動する。また、Source eNBは、UEから送信された、または、UEが受信しようとする通信データをバッファしている場合、バッファされている通信データを、Target eNBに転送することができる。UEとTarget eNBとのRRCコネクションの確立に成功した後、当該通信データは、当該Target eNBによって、上位のS-GWに転送される、またはUEに送信される。
【0115】
ステップS207で、Source eNBは、ハンドオーバ準備要求応答に含まれていたハンドオーバ指示をUEに送信し、当該UEに対して、Target eNBへアクセスするように指示する。
【0116】
ステップS208で、UEは、無線品質の悪化やTarget eNBへのランダムアクセスの失敗などで、Target eNBへのアクセスが失敗した場合、ハンドオーバをなるべく早く回復させ、UEが享受するサービスを継続させるために、適切なセルを選択する。
【0117】
ステップS209で、UEは、再接続するに至ったセルの識別子と当該セル内でUEを一意に識別するためのUE識別子と認証コードとを含む再接続要求を、選択したセルを管理する無線基地局に送信する。
【0118】
ステップS210で、再接続要求を受信した無線基地局は、再接続要求に含まれている、再接続するに至ったセルの識別子と、当該セルのUE識別子と、認証コードとを、ハンドオーバ準備手順にて保存していたかどうかを確認する。保存していた場合は、当該無線基地局は、自基地局がTarget eNBであると判断し、アクセス待ちタイマを停止し、再接続手順を継続する。これにより、ハンドオーバ失敗に対する回復に成功する。
【0119】
保存していなかった場合は、ステップS211で、当該無線基地局は、自基地局がNon Prepared eNBであると判断し、本来、UEのコンテキスト情報を保持していないために再接続要求を拒絶するところを、再接続制御を中断して、再接続するに至ったセルの識別子と隣接基地局テーブルを基に、当該セルを管理する無線基地局を特定する。そして、当該無線基地局は、中断した再接続制御を再開するためのトリガとなる、ハンドオーバ準備要求待ちタイマを起動する。
【0120】
隣接基地局テーブルは、Non Prepared eNBに隣接するセルの識別子と当該セルを管理する無線基地局の情報の組合せからなる。隣接基地局テーブルは、Non Prepared eNBの局データとして予め用意されていてもよく、X2リンクを介して無線基地局間で交換されたセルの情報を基に作成されてもよい。
【0121】
ハンドオーバ準備要求待ちタイマの起動後、Non Prepared eNBは、ステップS212またはステップS212’もしくは両ステップを実行する。
【0122】
ステップS212で、Non Prepared eNBは、再接続通知をTarget eNBに送信する。ステップS212’で、Non Prepared eNBは、再接続通知をSource eNBに送信する。ここで、再接続通知は、
図8に示したような情報要素からなる。
【0123】
再接続通知の送信に際し、Non Prepared eNBは、再接続に至ったセルを管理する無線基地局(Source eNB またはTarget eNB)との間で、X2リンクを確立しているかどうかを確認し、再接続通知をX2インタフェースとS1インタフェースのどちらで送信するかを決定することができる。
【0124】
ステップS212の実行後、ステップS213で、再接続通知を受信したTarget eNBは、再接続通知に含まれている、再接続するに至ったセルの識別子と、当該セルのUE識別子と、認証コードとを保存しているかどうかを確認する。
【0125】
上記確認の結果、保存していなかった場合は、Target eNBは、受信した再接続通知を無視する。
【0126】
上記確認の結果、保存していた場合は、ステップS214で、Target eNBは、再接続してきたUEからのアクセス待ちタイマを起動しているかどうかを確認し、タイマを起動していた場合には、自基地局がTarget eNBとして動作していたと判断して、当該タイマを停止し、当該UEのコンテキスト情報と当該UEにサービスを提供するために確保したリソースを解放する。そして、ステップS215で、Target eNBは、再接続通知をSource eNBに転送する。
【0127】
ステップS212’の実行後またはステップS215の実行後、ステップS213’で、再接続通知を受信したSource eNBは、再接続通知に含まれている、再接続するに至ったセルの識別子と、当該セルのUE識別子と、認証コードを保存しているかどうかを確認する。
【0128】
上記確認の結果、保存していなかった場合は、Source eNBは、受信した再接続通知を無視する。
【0129】
上記確認の結果、保存していた場合は、ステップS216で、Source eNBは、ハンドオーバ完了通知待ちタイマを起動しているかどうかを確認し、タイマを起動していた場合には、自基地局がSource eNBとして動作していたと判断して、当該タイマを停止する。
【0130】
ハンドオーバ完了通知待ちタイマの停止後、ステップS217で、Source eNBは、再接続通知に含まれている再接続要求を受信したセルの識別子と隣接基地局テーブルを基に、当該セルを管理するNon Prepared eNBを特定する。Source eNBは、再接続通知を送信した無線基地局がTarget eNBでない場合、UEのために確保していたリソースの解放をTarget eNBに指示する。
【0131】
ステップS218で、Source eNBは、ハンドオーバ準備要求をNon Prepared eNBに送信する。ここで、Source eNBは、ハンドオーバ準備要求に、UEのコンテキスト情報(例えば、Source eNBでユーザに提供していたサービス識別子、当該サービスを提供するための無線リソースの設定情報、セキュリティ機能の設定情報、ハンドオーバ元のセルの識別子、当該セル内でUEを一意に識別するためのUE識別子、認証コードなど)を付加してもよい。これにより、後続のステップで、Non Prepared eNBが当該コンテキスト情報に基づいてUEの所要リソースを決定したり、再接続制御が何らかの原因で失敗し、RRCコネクションの再接続が行われた後でも、再接続制御を再試行してサービスを継続することができる。
【0132】
ステップS219で、ハンドオーバ準備要求を受信したNon Prepared eNBは、当該UEのコンテキスト情報を保存し、当該UEにサービスを提供するために必要な自eNBのリソースを確保し、ハンドオーバ準備要求待ちタイマを停止する。
【0133】
ステップS220で、Non Prepared eNBは、ハンドオーバ準備要求を受け付ける旨の応答をSource eNBに送信する。
【0134】
ステップS221で、ハンドオーバ準備要求応答を受信したSource eNBは、ハンドオーバに成功したUEのコンテキスト情報を解放するためのトリガとなる、当該ハンドオーバ要求に対応するNon Prepared eNBからのハンドオーバ完了通知待ちタイマを起動する。
【0135】
上記のステップS221の処理において、Source eNBは、UEから送信された、または、UEが受信しようとする通信データをバッファしている場合、バッファされている通信データを、Non Prepared eNBに転送することができる。UEとNon Prepared eNBとのRRCコネクションの再接続に成功した後は、当該通信データは、当該Non Prepared eNBによって、上位のS-GWに転送される、またはUEに送信される。
【0136】
ステップS222で、Non Prepared eNBは、UEとの間で、再接続手順とRRCコネクションのReconfiguration手順を実行する。
【0137】
ステップS223で、Non Prepared eNBは、当該UEに対するSource eNBとコアネットワーク間のコネクションをNon Prepared eNBとコアネットワーク30との間のコネクションに切り替えるようコアネットワークに指示する。ステップS224で、コアネットワーク30が、Source eNBにハンドオーバ完了を通知する。
【0138】
ステップS225で、ハンドオーバ完了通知を受信したSource eNBは、当該UEのハンドオーバ完了通知待ちタイマを停止し、当該UEのコンテキスト情報を解放する。
【0139】
以上説明した本実施形態の移動通信システムによれば、以下のような作用効果を奏する。
【0140】
特許文献1に記載の方法においては、UEは、ハンドオーバ先の候補となる複数の無線基地局からの応答を待たなければならず、ハンドオーバに要する時間が長くなる。また、複数の無線基地局が同じUEのリソースを確保する必要があるために、システム全体の容量が小さくなる。さらに、候補とされた無線基地局のうち、UEによって選択された無線基地局以外の無線基地局において、ハンドオーバキャンセル処理を実施しなければならず、そのための処理負荷が増加する。
【0141】
本実施形態の移動通信システムによれば、複数の無線基地局に対してハンドオーバ準備手順を実施する必要がないので、ハンドオーバ実行時の再接続の成功率を向上させることができる。
【0142】
また、ハンドオーバに要する時間や処理負荷を削減し、無駄なリソース確保を抑制することができる。
【0143】
さらに、UEからの再接続要求を受信した無線基地局は、自基地局における当該UEの無線リソースを確保していない場合は、再接続制御を中断し、再接続するに至ったセルを管理する無線基地局(Source eNBまたはTarget eNB)との間でハンドオーバを実施することで、当該UEの無線リソースを確保し、その後、再接続制御を再開する。これにより、確実に再接続制御を実施することができ、ハンドオーバ実行時の再接続の成功率をさらに向上させることができる。
【0144】
以上説明した本実施形態の移動通信システムは、本発明の一例であり、その構成は、発明の趣旨に基づいて当業者が理解し得る範囲内で変更することができる。
【0145】
例えば、
図9の移動通信処理手順において、Source eNBは、ステップS205のハンドオーバ準備要求応答として、ハンドオーバを受け付けることができない旨を受信した場合に、次回の受信品質報告を待ってもよく、また、ステップS201の報告で得られたリスト中のハンドオーバが可能な無線基地局の候補のうちから、次に受信品質の高い無線基地局をハンドオーバ先として決定してステップS203の処理を実行してもよい。前者の場合は、後者の場合と比較して、無駄にリソース確保が行われることを抑制することができる。
【0146】
無線基地局20のCPUが実行するプログラム(例えば、ハンドオーバ制御部22の機能を提供するためのプログラム)は、コンピュータ読み出し可能な記録媒体、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Video Disc)などの光ディスクや、USB(Universal Serial Bus)メモリやメモリカードなどにより提供されてもよく、また、通信網(例えばインターネット)を介して提供されてもよい。
【0147】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の構成および動作については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、当業者が理解し得る様々な変更を行うことができる。
【0148】
この出願は、2012年7月18日に出願された日本出願特願2012−159637を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。