特許第6252591号(P6252591)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特許6252591-積層体 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6252591
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】積層体
(51)【国際特許分類】
   B32B 15/08 20060101AFI20171218BHJP
   B32B 15/082 20060101ALI20171218BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20171218BHJP
   H01M 2/02 20060101ALN20171218BHJP
【FI】
   B32B15/08 F
   B32B15/082 Z
   B32B27/30 102
   !H01M2/02 K
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-534312(P2015-534312)
(86)(22)【出願日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】JP2014072651
(87)【国際公開番号】WO2015030144
(87)【国際公開日】20150305
【審査請求日】2016年7月21日
(31)【優先権主張番号】特願2013-179201(P2013-179201)
(32)【優先日】2013年8月30日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 美菜
(72)【発明者】
【氏名】西嶋 奈緒
(72)【発明者】
【氏名】林 佑美
【審査官】 長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−060013(JP,A)
【文献】 特開2010−111410(JP,A)
【文献】 特開2012−203985(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00−43/00
C09D1/00−10/00
101/00−201/10
H01M2/00−2/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面と、前記第1の面とは反対側の第2の面と、を有する基材層と、
前記基材層の前記第1の面に対向するように設けられた金属箔層と、
前記第1の面に対向する前記金属箔層の面とは反対側の面に対向するシーラント層と、
水溶性高分子及びOH基架橋剤を含有し、前記基材層の前記第2の面に設けられた基材保護層と、を有し、
前記OH基架橋剤が、無水マレイン酸構造を含む高分子である積層体。
【請求項2】
前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールである請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記基材保護層の厚みが、1μm以上10μm以下である請求項1または請求項2に記載の積層体。
【請求項4】
前記OH基架橋剤の濃度が、前記水溶性高分子100質量%に対し、5質量%以上40質量%以下である請求項1から請求項のいずれか一項に記載の積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体に関する。
本願は、2013年8月30日に日本に出願された特願2013−179201号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
ナイロンフィルムにより成形された基材層と、この基材層の外側に形成されたコーティング層とを有する積層体が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された積層体では、コーティング層として、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、セルロースエステル、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂のうちの少なくとも1種が選ばれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】日本国特許第3567229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された積層体は、二次電池などに適用可能な電池ケース用包材(外装材)として使用される。携帯機器の小型化や設置スペースの制限等により二次電池の小型化が求められている。このため、従来のニッケル水素や鉛蓄電池等に比べてエネルギー密度が高いリチウムイオン電池が近年注目されている。
リチウムイオン電池用の外装材としては、従来使用されていた金属製の缶に比べて軽量で放熱性が高く、低コストで製造できる多層フィルムにより成形された外装材が広く用いられている。このような外装材としては、例えば、基材層/第1接着層/アルミニウム箔層/フッ酸による腐食を防止する腐食防止処理層/第2接着層/シーラント層が順次積層された外装材が知られている。
【0005】
このような外装材を使用したリチウムイオン電池は、例えば、外装材を二つ折りにしたときの一方の部分に、冷間成型によって形成された凹部を有している。そして、凹部内には、正極、セパレータ、負極、電解液等の電池内容物が収容されている。外装材の残りの部分は折り返してヒートシールされ、電池内容物を密封している。近年では、より多くの電池内容物を効率的に収容してエネルギー密度を高める目的で、貼り合わせる外装材の両側に凹部を形成したリチウムイオン電池が提案されている。
【0006】
リチウムイオン電池のエネルギー密度を高めるには、冷間成型によって形成される凹部をより深くし、凹部内に収容する電池内容物の量を多くすることが重要である。そのため、基材層には、成型性に優れたナイロンフィルムが広く使用されている。しかし、ナイロンフィルムは、電解液に対する耐久性が低いため、リチウムイオン電池の製造時や使用時に電解液が基材層に付着すると、基材層が溶解してアルミニウム箔層が腐食されるおそれがある。また、ナイロンフィルムは、耐擦傷性が低いため、取り扱う際に基材層の表面に傷が付いて意匠性や強度等が低下するおそれもある。
【0007】
特許文献1に記載された積層体は、基材層側における電解液に対する耐久性が高められている。しかし、特許文献1に記載の積層体は、充分な耐擦傷性を得ることが困難である。
【0008】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたもので、ヒートシールする際に必要な耐熱性を有する基材保護層を備えた積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の一態様に係る積層体は、第1の面と、前記第1の面とは反対側の第2の面と、を有する基材層と、前記基材層の前記第1の面に対向するように設けられた金属箔層と、前記第1の面に対向する前記金属箔層の面とは反対側の面に対向するシーラント層と、水溶性高分子及びOH基架橋剤を含有し、前記基材層の前記第2の面に設けられた基材保護層と、を有し、前記OH基架橋剤が、無水マレイン酸構造を含む高分子である。
【0010】
なお、上記一態様において、前記水溶性高分子が、ポリビニルアルコールであってもよい。
【0011】
また、上記一態様において、前記基材保護層の厚みが、1μm以上10μm以下であってもよい。
【0013】
また、上記一態様において、前記OH基架橋剤の濃度が、前記水溶性高分子100質量%に対し、5質量%以上40質量%以下であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
上記一態様によれば、本発明の積層体は、成型性に優れているとともに、電解液に対する高い耐久性と高い耐擦傷性とをともに有する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の積層体の一例を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る積層体の一実施形態を、図1を参照しながら説明する。本実施形態では、積層体の一例として、リチウムイオン電池用の外装材を挙げて説明する。図1は、本発明の積層体の一例を示すリチウムイオン電池用の外装材10の一実施形態の断面図である。
図1に示すように、外装材10は、基材層11と、第1接着層12と、第1腐食防止処理層13と、金属箔層14と、第2腐食防止処理層15と、第2接着層16と、シーラント層17と、基材保護層18と、を有する。本実施形態では、外装材10は、基材保護層18、基材層11、第1接着層12、第1腐食防止処理層13、金属箔層14、第2腐食防止処理層15、第2接着層16、シーラント層17がこの順に積層されている。
【0017】
第1接着層12は、基材層11の第1の面19に積層されている。
第1腐食防止処理層13は、基材層11に積層される第1接着層12の面とは反対側の面に積層されている。
金属箔層14は、第1接着層12に積層される第1腐食防止処理層13の面とは反対側の面に積層されている。
第2腐食防止処理層15は、第1腐食防止処理層13に積層される金属箔層14の面とは反対側の面に積層されている。
第2接着層16は、金属箔層14に積層される第2腐食防止処理層15の面とは反対側の面に積層されている。
シーラント層17は、第2腐食防止処理層15に積層される第2接着層16の面とは反対側の面に積層されている。
基材保護層18は、基材層11の第2の面20に積層されている。
外装材10は、基材保護層18を外側に配置し、シーラント層17を内側に配置した状態で使用される。
【0018】
以下に、外装材10の各積層物の詳細について説明する。
(基材保護層)
基材保護層18は、基材層11を保護し、基材層11が電解液によって劣化したり、傷付いたりすることを抑制する役割を果たす。基材保護層18は、水溶性高分子を含有する。水溶性高分子は、リチウムイオン電池の電解液に用いられるLiPF、LiBF等のリチウム塩が、水分により加水分解反応され発生するフッ酸による腐食に対する耐久性があり、電池の外装として成形するのに適した柔軟性を得ることができる。水溶性高分子としては、例えば、でんぷん、たんぱく質、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ソーダ、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、変性ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール等が挙げられる。なお、水溶性高分子としては、結晶性が特に高く、安価に入手できるポリビニルアルコールが好ましい。
【0019】
ポリビニルアルコールの重合度は、1000以上3500以下が好ましく、1700以上2400以下がより好ましい。ポリビニルアルコールの重合度は、下限値(1000)以上であれば、延伸性が向上し、成型性が良好となる。ポリビニルアルコールの重合度は、上限値(3500)以下であれば、フィラーや顔料等の分散性に優れる。
【0020】
ポリビニルアルコールのケン化度は、80以上が好ましく、95以上がより好ましい。
ポリビニルアルコールのケン化度は、下限値(80)以上であれば、耐熱性及び耐水性が良好となる。さらに、ポリビニルアルコールのケン化度は、95以上であれば、車載用などの高信頼性が求められるものでも十分な耐熱性及び耐水性が得られる。
ポリビニルアルコールのケン化度として、上限値(99)より大きいものは、一般的に合成が難しく高価になりがちである一方、性能の向上は望めないことから、上限値(99)以下であることが望ましい。
【0021】
ポリビニルアルコールは、カルボキシル基やカルボニル基等の官能基をつけた変性ポリビニルアルコールを用いてもよい。
【0022】
基材保護層18に、水溶性高分子のほかに、OH基架橋剤を添加することによって、電池として成形する際の熱ラミネートの際に必要な耐熱性を付与することができる。これは線状分子構造のOH基架橋剤の分子同士が相互作用して剛直な結晶構造をとっていることにより保護層18の過度な流動性が抑えられるためと考えられる。OH基架橋剤としては、例えば、ジアルデヒド、グリオキザール、メチロール化合物、フェノール化合物、イソシアネート等が挙げられる。また、OH基架橋剤としては、例えば、ポリアミドアミンエピクロルヒドリン、ビニルスルホン化合物、有機金属化合物及びビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。OH基架橋剤としては、ポリアミドアミンエピクロルヒドリンが好ましく、ビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体が特に好ましい。
【0023】
OH基架橋剤の添加濃度は、水溶性高分子100質量%に対し、5質量%以上40質量%以下が好ましく、10質量%以上30質量%以下がより好ましい。架橋剤の濃度は、下限値(5質量%)以上であれば、外装材10をヒートシールする際に必要な耐熱性が得られる。架橋剤の濃度は、上限値(40質量%)以下であれば、フィラーの分散性が良好となる。
【0024】
基材保護層18には、滑剤が含有されるか、または、滑剤が基材保護層18の表面に付与されることが好ましい。これにより、外装材10の成型性、及び巻取り歩留まりが向上する。滑剤としては、例えば、脂肪酸アミド、グリセリン等が挙げられる。脂肪酸アミドとしては、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスエルカ酸アミド等が挙げられる。なお、滑剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
基材保護層18は、エラストマーを含有してもよい。これにより、外装材10の成型性が向上する。エラストマーとしては、スチレン系、オレフィン系、エステル系、軟質塩ビ系、ウレタン系、アミド系等が挙げられる。
【0026】
基材保護層18は、可塑剤を含有してもよい。これにより、外装材10の成型性が向上する。可塑剤は、フタル酸系可塑剤として、ジオクチルフタレート(DOP)、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、フタル酸ジブチルが挙げられる。より詳しくは、ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、オクチルカプリルフタレート等が挙げられる。また、フタル酸系可塑剤としては、ジシクロヘキシルフタレート、ジドデシルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジメチルグリコールフタレート、エチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。また、フタル酸系可塑剤としては、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、ジイソデシルグリコレート等が挙げられる。
【0027】
グリコール系可塑剤としては、グリセリンが好ましいが、グリセリンに限定されない。グリコール系可塑剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等が挙げられる。また、グリコール系可塑剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、ブチルフタリルグリコレート、トリエチレングリコール−2−エチルブチレート等が挙げられる。グリコール系可塑剤としては、上記の他に、ソルビトール、キシリトール等の糖アルコール及びその化合物を可塑剤として用いることができる。グリコール系可塑剤としては、上記の他に、ポリエステル系エラストマーが挙げられる。ポリエステル系エラストマーは、ハードセグメントとソフトセグメントからなる。ハードセグメントとしては、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等の結晶性ポリエステルが挙げられる。ポリエステル系エラストマーとしては、特にポリブチレンテレフタレートが好ましい。ソフトセグメントとしては、ポリテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール類、または、ポリカプロラクトン、ポリブチレンアジペート等のポリエステルが挙げられる。ソフトセグメントとしては、ポリテトラメチレングリコールが特に好ましい。
【0028】
基材保護層18には、有機フィラー及び無機フィラーの群から選ばれる1種以上のフィラー成分が含有されることが好ましい。これにより、基材保護層18の耐擦傷性が向上する。有機フィラーとしては、プラスチック粉末や微粒子を用いることができる。プラスチックとしては、アクリル、ウレタン、シリコン樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、塩化ビニル、塩化ビニリデン、メラミン等が挙げられる。無機フィラーとしては、カーボン、シリカ、ガラスビーズ、ガラス粉、珪酸アルミニウム、クレー、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、窒化硼素、マイカ等の微粒子等が挙げられる。
【0029】
基材保護層18には、意匠性の点を考慮して、顔料が含有されていることが好ましい。顔料を使用する場合、金属箔層14よりも外側のいずれの層に顔料を含有させてもよい。ただし、基材保護層18は、顔料分散性に優れ、色が均一になりやすいことを考慮して、基材保護層18に顔料を含有させることが好ましい。
【0030】
顔料は、基材保護層18と基材層11との密着性を損なわない範囲であれば、特に限定されず、有機顔料でもよく、無機顔料でもよい。有機顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アンスラキノン系、ジオキサジン系、インジゴチオインジゴ系、ペリノン−ペリレン系、イソインドレニン系等が挙げられる。無機顔料としては、カーボンブラック系、酸化チタン系、カドミウム系、鉛系、酸化クロム系等が挙げられる。また、無機顔料としては、マイカ(雲母)の微粉末、魚鱗箔等を使用してもよい。
【0031】
基材保護層18(100質量%)中の水溶性高分子の含有量は、電解液に対する耐久性(以下「耐電解液性」と称する。)に優れ、また優れた耐擦傷性が得られる点を考慮して、30質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましい。
【0032】
基材保護層18(100質量%)中の滑剤の含有量は、基材保護層18に滑剤を含有させる場合、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下がより好ましい。基材保護層18中の滑剤の含有量は、下限値(0.1質量%)以上であれば、成型性がより良好になる。基材保護層18中の滑剤の含有量は、上限値(10質量%)以下であれば、滑剤が基材層11面する基材保護層18の面からブリードして基材層11と基材保護層18との密着性の低下することを抑制できる。
【0033】
基材保護層18(100質量%)中のエラストマー成分含有量は、基材保護層18にエラストマー成分を含有させる場合、5質量%以上70質量%以下が好ましく、10質量%以上60質量%以下がより好ましい。基材保護層18中のエラストマー成分含有量は、上限値(70質量%)以下であれば耐擦傷性や耐電解液性が良好になる。
【0034】
基材保護層18(100質量%)中の可塑剤含有量は、基材保護層18に可塑剤成分を含有させる場合、1質量%以上60質量%以下が好ましく、10質量%以上50質量%以下がより好ましい。基材保護層18中の可塑剤含有量は、上限値(60質量%)以下であれば耐熱性がより良好になる。
【0035】
基材保護層18(100質量%)中のフィラー成分の含有量は、基材保護層18にフィラー成分を含有させる場合、1質量%以上70質量%以下が好ましく、10質量%以上60質量%以下がより好ましい。基材保護層18中のフィラー成分の含有量は、下限値(1質量%)以上であれば耐擦傷性がより良好になる。基材保護層18中のフィラー成分の含有量は、上限値(70質量%)以下であれば成型性がより良好になる。
【0036】
基材保護層18(100質量%)中の顔料の含有量は、基材保護層18に顔料を含有させる場合、0.1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。基材保護層18中の顔料の含有量は、下限値(0.1質量%)以上、上限値(30質量%)未満であれば、意匠性は良好になる。
【0037】
基材保護層18の厚さは、1μm以上10μm以下が好ましく、3μm以上5μm以下がより好ましい。基材保護層18の厚さは、下限値(1μm)以上であれば、耐擦傷性及び耐電解液性がより良好になる。基材保護層18の厚さは、上限値(10μm)以下であれば、成型性がより良好になる。
【0038】
(基材層)
基材層11としては、例えば、ナイロンフィルムやポリエステルフィルム等が使用できる。特にナイロンフィルムが好ましい。ナイロンフィルムは、延伸フィルムであってもよく、無延伸フィルムであってもよい。ナイロンフィルムを形成するナイロンとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612等が挙げられる。基材層11の第2の面20においては、コロナ処理、プラズマ処理等の表面処理が施されていることが好ましい。すなわち、基材層11を形成するナイロンフィルムは、基材保護層18を設ける面の表面にコロナ処理、プラズマ処理等の表面処理が施されていることが好ましい。これにより、基材層11と基材保護層18との密着性がより良好になる。
【0039】
基材層11の厚さは、6μm以上40μm以下が好ましく、10μm以上30μm以下がより好ましい。基材層11の厚さは、下限値(6μm)以上であれば、耐ピンホール性、絶縁性がより良好になる。基材層11の厚さは、上限値(40μm)以下であれば、成型性がより良好になる。
基材層11の第1接着層12を設ける面には、接着強度の向上を補助するためにカップリング剤をコーティングしてもよい。
【0040】
(第1接着層)
第1接着層12は、基材層11と第1腐食防止処理層13とを接着する層である。第1接着層12を構成する接着成分としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が好ましい。また、第1接着層12を構成する接着成分としては、アクリルポリオール等の主剤に、硬化剤として2官能以上の芳香族系又は脂肪族系イソシアネート化合物を作用させる2液硬化型のウレタン系接着剤等が好ましい。ウレタン系接着剤を使用した場合、塗工後、例えば40℃で4日以上のエージングを行うことにより、主剤の水酸基と硬化剤のイソシアネート基との反応が進行して強固な接着が可能となる。第1接着層12の厚さは、接着強度、追随性、加工性の点を考慮して、1μm以上10μm以下が好ましく、3μm以上7μm以下がより好ましい。
【0041】
(金属箔層)
金属箔層14としては、アルミニウム、ステンレス鋼等の各種金属箔を使用することができ、防湿性、延展性等の加工性、コストの面から、アルミニウム箔が好ましい。アルミニウム箔としては、一般の軟質アルミニウム箔を用いることができる。金属箔層14としては、耐ピンホール性、及び成形時の延展性に優れる点を考慮して、鉄を含むアルミニウム箔が特に好ましい。鉄を含むアルミニウム箔(100質量%)中の鉄の含有量は、0.1質量%以上9.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。鉄の含有量は、0.1質量%以上であれば、外装材10の耐ピンホール性、延展性を向上できる。鉄の含有量は、9.0質量%以下であれば、外装材10の柔軟性を向上できる。金属箔層14の厚さは、バリア性、耐ピンホール性、加工性の点を考量して、9μm以上200μm以下が好ましく、15μm以上100μm以下がより好ましい。
【0042】
(腐食防止処理層)
第1腐食防止処理層13及び第2腐食防止処理層15は、電解液や、電解液と水分の反応により発生するフッ酸による金属箔層14の腐食を抑制する役割を果たす。リチウムイオン電池の電解液に用いられるLiPF、LiBF等のリチウム塩が、水分により加水分解反応されるとフッ酸が発生する。そのため、第1腐食防止処理層13は、金属箔層14の内側がフッ酸によって腐食されることを抑制し、金属箔層14の内側での層間剥離を抑制できる。また、第2腐食防止処理層15は、金属箔層14と第2接着層16との密着力を高める役割を果たす。第1腐食防止処理層13及び第2腐食防止処理層15としては、塗布型、又は浸漬型の耐酸性の腐食防止処理剤によって形成された塗膜が好ましい。塗膜は、金属箔層14の酸に対する腐食防止効果に優れる。また、塗膜は、アンカー効果によって、金属箔層14と第2接着層16との密着力をより強固にするので、電解液等の内容物に対して優れた耐性が得られる。
【0043】
塗膜としては、例えば、酸化セリウム、リン酸塩、及び各種熱硬化性樹脂からなる腐食防止処理剤によるセリアゾル処理によって形成される塗膜等が挙げられる。また、塗膜としては、クロム酸塩、リン酸塩、フッ化物、及び各種熱硬化性樹脂からなる腐食防止処理剤によるクロメート処理により形成される塗膜等が挙げられる。なお、第1腐食防止処理層13及び第2腐食防止処理層15は、金属箔層14の耐食性が充分に得られる塗膜であれば、上記塗膜に限定されない。第1腐食防止処理層13及び第2腐食防止処理層15は、例えば、リン酸塩処理、ベーマイト処理等によって形成した塗膜であってもよい。
【0044】
第1腐食防止処理層13及び第2腐食防止処理層15は、単層であってもよく、複数層であってもよい。また、第1腐食防止処理層13及び第2腐食防止処理層15には、シラン系カップリング剤等の添加剤が添加されてもよい。第1腐食防止処理層13及び第2腐食防止処理層15の厚さは、腐食防止機能、及びアンカーとしての機能の点から、10nm以上5μm以下が好ましく、20nm以上500nm以下がより好ましい。
【0045】
(第2接着層)
第2接着層16は、第2腐食防止処理層15が形成された金属箔層14とシーラント層17とを接着する層である。外装材10は、第2接着層16を形成する接着成分によって、熱ラミネート構成とドライラミネート構成とに大きく分けられる。熱ラミネート構成における第2接着層16を形成する接着成分としては、ポリオレフィン系樹脂を無水マレイン酸等の酸でグラフト変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂が好ましい。酸変性ポリオレフィン系樹脂は、無極性であるポリオレフィン系樹脂の一部に極性基が導入されて作られる。酸変性ポリオレフィン系樹脂は、第2腐食防止処理層15が極性を有する塗膜である場合、シーラント層17と第2腐食防止処理層15との両方に強固に密着できる。また、酸変性ポリオレフィン系樹脂は、電解液等の内容物に対する耐性を向上でき、電池内部でフッ酸が発生しても第2接着層16の劣化による密着力の低下を防止できる。第2接着層16に使用する酸変性ポリオレフィン系樹脂は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0046】
酸変性ポリオレフィン系樹脂に用いるポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度、中密度又は高密度のポリエチレン;エチレン・α−オレフィン共重合体;ホモ、ブロック等が挙げられる。また、酸変性ポリオレフィン系樹脂に用いるポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ランダムポリプロピレン;プロピレン・α−オレフィン共重合体等が挙げられる。また、ポリオレフィン系樹脂としては、上記共重合体にアクリル酸やメタクリル酸等の極性分子を共重合させた共重合体、架橋ポリオレフィン等の重合体等も使用できる。ポリオレフィン系樹脂を変性する酸としては、カルボン酸、エポキシ化合物、酸無水物等が挙げられ、無水マレイン酸が特に好ましい。
【0047】
熱ラミネート構成の第2接着層16を構成する接着成分としては、ポリオレフィン系樹脂を無水マレイン酸でグラフト変性させた無水マレイン酸変性ポリオレフィン系樹脂が好ましい。そして、熱ラミネート構成の第2接着層16を構成する接着成分としては、無水マレイン酸変性ポリプロピレンが特に好ましい。これらは、電解液が浸透してもシーラント層17と金属箔層14の密着力を維持し易い点を考慮して選ばれる。無水マレイン酸変性ポリプロピレンの無水マレイン酸による変性率は、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、0.3質量%以上5質量%以下がより好ましい。無水マレイン酸変性ポリプロピレンの無水マレイン酸による変性率とは、無水マレイン酸変性ポリプロピレンの総質量に対する無水マレイン酸に由来する部分の質量を意味する。
【0048】
熱ラミネート構成の第2接着層16中には、基材保護層18の説明に記載したエラストマー成分が含有されていることが好ましい。これにより、エラストマー成分は、冷間成型時に第2接着層16にクラックが生じて白化することを抑制し易く、濡れ性の改善による密着力の向上、異方性の低減による製膜性の向上等が期待できる。エラストマー成分は、酸変性ポリオレフィン系樹脂中にナノメートルオーダーで分散、相溶していることが好ましい。
【0049】
熱ラミネート構成の第2接着層16は、上記の接着成分を押出し装置で押し出すことにより形成できる。熱ラミネート構成の第2接着層16の接着成分のメルトフローレート(MFR)は、230℃、2.16kgfの条件において4g/10分以上30g/10分以下が好ましい。熱ラミネート構成の第2接着層16の厚さは、2μm以上50μm以下が好ましい。
【0050】
ドライラミネート構成の第2接着層16の接着成分としては、例えば、第1接着層12で挙げたものと同様の2液硬化型のポリウレタン系接着剤が挙げられる。ドライラミネート構成の第2接着層16は、エステル基やウレタン基等の加水分解性を有する結合部を有しているので、より高い信頼性が求められる用途には熱ラミネート構成の第2接着層16が好ましい。
【0051】
(シーラント層)
シーラント層17は、外装材10においてヒートシールによる封止性を付与する層である。シーラント層17としては、ポリオレフィン系樹脂、又はポリオレフィン系樹脂に無水マレイン酸等の酸をグラフト変性させた酸変性ポリオレフィン系樹脂から形成される樹脂フィルムが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度、中密度又は高密度のポリエチレン;エチレン・α−オレフィン共重合体;ホモ、ブロック等が挙げられる。
また、ポリオレフィン系樹脂としては、ランダムポリプロピレン;プロピレン・α−オレフィン共重合体等が挙げられる。これらポリオレフィン系樹脂は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。酸変性ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、第2接着層16で挙げた樹脂と同じ樹脂が挙げられる。
【0052】
シーラント層17は、単層フィルムであってもよく、多層フィルムであってもよく、必要とされる機能に応じて選択すればよい。シーラント層17は、例えば、防湿性を付与する点では、エチレン・環状オレフィン共重合体やポリメチルペンテン等の樹脂を介在させた多層フィルムを使用できる。
【0053】
シーラント層17として、押出成型により形成したフィルムを使用する場合、フィルムの押出方向に分子が配向する傾向がある。そのため、シーラント層17には、配向による異方性を緩和するために、基材保護層18の説明に記載したエラストマー成分を配合してもよい。これにより、シーラント層17は、外装材10を冷間成型して凹部を形成する際に白化し難くなる。また、シーラント層17には、難燃剤、滑剤、アンチブロッキング剤、酸化防止剤、光安定剤、粘着付与剤等の各種添加材が配合されてもよい。シーラント層17の厚さは、10μm以上100μm以下が好ましく、20μm以上60μm以下がより好ましい。
【0054】
外装材10としては、ドライラミネーションによってシーラント層17が積層された外装材でもよい。また、外装材10は、接着性向上の点を考慮して、第2接着層16が酸変性ポリオレフィン系樹脂からなる、サンドイッチラミネーションによってシーラント層17を積層していることが好ましい。
【0055】
(製造方法)
以下、外装材10の製造方法について説明する。ただし、外装材10の製造方法は以下の方法に限定されない。外装材10の製造方法としては、例えば、下記工程(1)から(4)を有する方法が挙げられる。
(1)金属箔層14の両面に、第1腐食防止処理層13及び第2腐食防止処理層15を各々形成する工程。
(2)金属箔層14が積層される第1腐食防止処理層13の面とは反対側の面に、第1接着層12を介して基材層11を積層する工程。
(3)第1接着層12が積層される基材層11の面とは反対側の面に、基材保護層18を積層する工程。
(4)金属箔層14が積層される第2腐食防止処理層15の面とは反対側の面に、第2接着層16を介してシーラント層17を積層する工程。
【0056】
次に、各工程の詳細について説明する。
工程(1):
金属箔層14の両面に、腐食防止処理剤を塗布、乾燥して第1腐食防止処理層13及び第2腐食防止処理層15を形成する。腐食防止処理剤としては、例えば、上記のセリアゾル処理用の腐食防止処理剤、クロメート処理用の腐食防止処理剤等が挙げられる。腐食防止処理剤の塗布方法は、特に限定されず、グラビアコート、リバースコート、ロールコート、バーコート等、各種方法を採用できる。
【0057】
工程(2):
第1接着層12を形成する接着剤を用いて、金属箔層14が積層される第1腐食防止処理層13の面とは反対側の面に、ドライラミネーション等の手法で基材層11を貼り合わせる。工程(2)では、接着性の促進のため、室温以上100℃以下の範囲でエージング(養生)処理を行ってもよい。
【0058】
工程(3):
第1接着層12が積層される基材層11の面とは反対側の面に、水溶性高分子、OH基架橋剤、必要に応じて使用する滑剤、及びエラストマー成分等を含む塗工液を塗工、乾燥して基材保護層18を形成する。基材保護層18を形成する塗工液の固形分濃度は、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。固形分濃度は、下限値(1質量%)以上であれば、塗工後の乾燥が容易になる。固形分濃度は、上限値(20質量%)以下であれば、塗工性がより良好になる。
【0059】
工程(4):
ドライラミネート構成の場合は、第1接着層12を形成する接着剤と同じ接着剤を使用し、金属箔層14が積層される第2腐食防止処理層15の面とは反対側の面に、第2接着層16を介してシーラント層17を貼り合わせる。この貼り合わせには、ドライラミネーション、ノンソルベントラミネーション、ウェットラミネーション等の手法を用いる。熱ラミネート構成の場合、ドライプロセスでは、熱ラミネート用の接着成分を用いて、金属箔層14が積層される第2腐食防止処理層15の面とは反対側の面に押出ラミネート法によって第2接着層16を形成する。次いで、ドライプロセスでは、サンドイッチラミネーションによってシーラント層17を積層する。また、ウェットプロセスでは、熱ラミネート用の接着成分を溶媒に分散させた接着樹脂液を金属箔層14が積層される第2腐食防止処理層15の面とは反対側の面に塗工し、接着成分の融点以上の温度で溶媒を揮発させる。次いで、ウェットプロセスでは、接着成分を溶融軟化させて焼き付けを行った後、第2接着層16上にシーラント層17を熱ラミネーション等の熱処理により積層する。
【0060】
以上説明した工程(1)〜(4)により、外装材10を得ることができる。なお、外装材10の製造方法は、上記の工程(1)〜(4)を順次実施する方法に限定されない。例えば、工程(2)を行ってから工程(1)を行ってもよい。また、工程(4)を行ってから工程(3)を行ってもよい。
【0061】
以上説明したように、本実施形態の外装材10によれば、基材層11の外側に水溶性高分子及びOH基架橋剤を含有する基材保護層18が設けられている。従って、外装材10は、優れた耐電解液性及び耐擦傷性を持ちつつ、フィラーや顔料等の微粒子を添加しても充分な成型性を有している。
【0062】
また、本実施形態の外装材10によれば、水溶性高分子が、ポリビニルアルコールであるために、結晶性が高く、安価に入手できる。
【0063】
また、本実施形態の外装材10によれば、基材保護層18の厚みが、1μm以上10μm以下であるために、耐擦傷性及び耐電解液性を良好にでき、成型性を良好にすることができる。
【0064】
また、本実施形態の外装材10によれば、OH基架橋剤が、無水マレイン酸構造を含む高分子であるために、耐擦傷性及び耐電解液性を向上させることができる。
【0065】
また、本実施形態の外装材10によれば、OH基架橋剤の濃度が、水溶性高分子100質量%に対し、5質量%以上40質量%以下であるために、耐擦傷性及び耐電解液性を向上させることができる。
【実施例】
【0066】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[使用材料]
本実施例で使用した材料を以下に示す。
(基材保護層18)
水溶性高分子:ポリビニルアルコール(商品名「PVA124」、クラレ社製)
OH基架橋剤:ビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体(商品名「ガントレッツAN−119」、アイエスピージャパン社製)
フィラー:粒子径2.2μmのアクリルビーズ(商品名「J−4P」、根上工業製)(基材層11)
フィルム(D):厚さ25μmのナイロン6フィルム。
(第1接着層12)
接着成分(E):ウレタン系接着剤(商品名「A525/A50」、三井化学ポリウレタン社製)。
(金属箔層14)
金属箔(F):軟質アルミニウム箔8079材(東洋アルミニウム社製、厚さ40μm)。
(第1腐食防止処理層13及び第2腐食防止処理層15)
処理剤(G):溶媒として蒸留水を使用し、固形分濃度10質量%に調整した「ポリリン酸ナトリウム安定化酸化セリウムゾル」。酸化セリウム100質量%に対して、リン酸塩は10質量%とした。
(第2接着層16)
接着成分(H):無水マレイン酸でグラフト変性したポリプロピレン系樹脂(商品名「アドマー」、三井化学社製)。
(シーラント層17)
フィルム(I):無延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ40μm)の内面となる面をコロナ処理したフィルム。
【0067】
[実施例1]
金属箔(F)の両面に処理剤(G)を塗布、乾燥して、金属箔層14の両面に第1腐食防止処理層13及び第2腐食防止処理層15(厚さ200μm)を形成した。次いで、金属箔層14が積層される第1腐食防止処理層13の面とは反対側の面に、接着成分(E)を用いたドライラミネート法によりフィルム(D)を貼り合わせ、第1接着層12(厚さ4μm)を介して基材層11を積層した。その後、60℃、6日間のエージングを行った。次に、水溶性高分子の水溶液(固形分濃度10質量%)に、OH基架橋剤を水溶性高分子の固形分濃度に対し15質量%加えて攪拌した。次いで、得られた溶液をグラビアコート法にて第1接着層12が積層される基材層11の面とは反対側の面に塗工し、乾燥させて基材保護層18(厚さ3μm)を形成した。次に、得られた積層体の第2腐食防止処理層15側に、押出し装置にて接着成分(H)を押出して第2接着層16(厚さ50μm)を形成した。次いで、フィルム(I)を貼り合わせてサンドイッチラミネーションすることによりシーラント層17を形成した。その後、得られた積層体に対し、160℃、4kg/cm、2m/分の条件で加熱圧着することにより外装材を得た。
【0068】
[実施例2]
基材保護層18に、フィラーを基材保護層18(100質量%)に対し50質量%添加した以外は実施例1と同様にして外装材を得た。
【0069】
[比較例1]
基材保護層18の厚さを0.5μmにした以外は実施例2と同様にして外装材を得た。
【0070】
[比較例2]
基材保護層18にOH基架橋剤を添加しなかった以外は実施例2と同様にして外装材を得た。
【0071】
[比較例3]
基材保護層18のOH基架橋剤を水溶性高分子の固形分濃度に対し50質量%にした以外は実施例2と同様にして外装材を得た。
【0072】
[比較例4]
基材保護層18を形成しなかった以外は実施例1と同様にして外装材を得た。
【0073】
[耐擦傷性の評価]
実施例1〜2、及び比較例1〜4で得られた外装材の外表面(基材層11または基材保護層18の表面)に対して、#0000スチールウール(日本スチールウール社製)を150g/cmの荷重を加えながら10往復させて擦り合わせた。そして、実施例1〜2、及び比較例1〜4で得られた外装材の外表面において、レーザー変位計によって傷の深さを測定した。耐擦傷性の評価は、以下の基準に従って行った。
G(GOOD):表面の傷の深さが1μm未満であり、耐擦傷性に優れている。
P(POOR):表面の傷の深さが1μm以上であり、耐擦傷性に劣っている。
【0074】
[耐電解液性の評価]
実施例1〜2、及び比較例1〜4で得られた外装材の外表面に電解液を数滴滴下し、25℃、65%RHの環境下で24時間放置し、電解液を拭き取り、表面の変質を光学顕微鏡(島津社製)にて確認した。エチレンカーボネート/ジメチルカーボネート/ジエチルカーボネート=1/1/1(質量比)の混合液に対し、LiPF(六フッ化リン酸リチウム)を1.5Mになるように調整して溶解して電解液を得た。耐電解液性の評価は、以下の基準に従って行った。
G(GOOD):表面の変質(白化)が見られず、電解液に対する耐久性に優れている。
P(POOR):表面の変質(白化)が見られず、電解液に対する耐久性に劣っている。
【0075】
[耐熱性の評価]
実施例1〜2、及び比較例1〜4で得られた外装材の外表面同士を合わせてバー圧力0.2MPa、バー温度200度で10秒間ヒートシールを行い、表面を目視にて確認した。評価は、以下の基準に従って行った。
G(GOOD):表面に融着や剥がれが見られず、耐熱性に優れている。
P(POOR):表面に融着や剥がれが見られた、耐熱性に劣っている。
【0076】
[成型性の評価]
実施例1〜2、及び比較例1〜4で得られた外装材を、150mm×190mmのブランク形状に切り取り、成型深さを変化させながら冷間成型し、成型性を評価した。パンチとしては、形状が100mm×150mm、パンチコーナーR(RCP)が1.5mm、パンチ肩R(RP)が0.75mm、ダイ肩R(RD)が0.75mmのパンチを使用した。評価は、以下の基準に従って行った。
E(EXCELLENT):破断、クラックを生じさせずに、成型深さ7mm以上の深絞り成型が可能であり、成型性に非常に優れている。
G(GOOD):破断、クラックを生じさせずに、成型深さ5mm以上7mm未満の深絞り成型が可能であり、成型性に優れている。
P(POOR):成型深さ5mm未満の深絞り成型で破断、クラックが生じており、成型性に劣っている。
【0077】
【表1】
【0078】
表1により明らかなように、OH基架橋剤を水溶性高分子に対し15質量%添加した基材保護層を形成した実施例1及び2では、フィラーの有無に関わらず充分な耐擦傷性、耐電解液性、耐熱性及び成型性を有していた。基材保護層の膜厚を薄くした比較例1では、耐擦傷性や耐電解液性が低下した。また、基材保護層にOH基架橋剤を添加しなかった比較例2では、耐熱性が得られなかった。また、基材保護層にOH基架橋剤を多量に添加した比較例3では、フィラーの分散性が低下し、成型性に影響を与えた。一方、基材保護層を形成しなかった比較例では、耐擦傷性や耐電解液性が得られなかった。
【0079】
なお、本発明の外装材10は、上記に限定されない。例えば、本発明の効果を損なわない範囲内において、各層18、11、12、13、14、15、16、17のいずれかの間に別の層を有していてもよい。また、例えば、金属箔層14の第1接着層12に近い面に第2腐食防止処理層15が形成されていてもよい。
【0080】
また、本発明の外装材10は、本発明の効果を損なわない範囲内において、基材保護層18の外側に別の層を有していてもよい。本発明の外装材10では、耐擦傷性及び耐電解液性に優れる効果が得られやすい点を考慮して、水溶性高分子及びOH基架橋剤を含む基材保護層が最表層であることが好ましい。また、本発明の外装材10では、ヒートシールによる封止性が良好に得られる点を考慮して、シーラント層17が最表層であることが好ましい。
【0081】
本発明の外装材10により形成するリチウムイオン電池としては、例えば、パソコン、携帯電話等の携帯端末装置、ビデオカメラ、衛星、電気自動車、電動自転車等に用いられるリチウムイオン電池が挙げられる。リチウムイオン電池は、本発明の外装材10を袋状等にした容器体内に電池内容物を、タブの一部が外部に位置するように収容して密封することで製造される。電池内容物としては、正極、セパレータ、負極、電解液、並びにリード及びタブシーラントからなるタブである。リチウムイオン電池は、本発明の外装材10を有する以外は、公知の形態を採用できる。
【符号の説明】
【0082】
10 外装材
11 基材層
12 第1接着層
13 第1腐食防止処理層
14 金属箔層
15 第2腐食防止処理層
16 第2接着層
17 シーラント層
18 基材保護層
19 第1の面
20 第2の面
図1