特許第6252599号(P6252599)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6252599
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】送信装置および送信方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/04 20060101AFI20171218BHJP
   H03F 1/06 20060101ALI20171218BHJP
   H03F 3/20 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   H04B1/04 J
   H03F1/06
   H04B1/04 P
   H03F3/20
【請求項の数】10
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2015-553327(P2015-553327)
(86)(22)【出願日】2014年5月9日
(86)【国際出願番号】JP2014002460
(87)【国際公開番号】WO2015092946
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年4月7日
(31)【優先権主張番号】特願2013-259211(P2013-259211)
(32)【優先日】2013年12月16日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】山之内 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】國弘 和明
【審査官】 金子 秀彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−205821(JP,A)
【文献】 特表2012−525093(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/136860(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/04
H03F 1/06
H03F 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のキャリア周波数帯のRF(Radio Frequency)信号を発生させて出力するRF信号発生手段と、
前記RF信号発生手段から出力された前記RF信号を増幅して出力する電力増幅手段と、
前記電力増幅手段から出力された前記RF信号のうちで最大の電力を持つキャリア周波数帯のRF信号に該当する最大電力キャリア周波数帯RF信号の振幅信号を発生させて出力する振幅信号発生手段と、
前記振幅信号発生手段から出力された前記最大電力キャリア周波数帯RF信号の振幅信号を増幅して出力する電源変調手段と
を少なくとも備え、
前記電源変調手段からの出力信号により前記電力増幅手段の電源端子の電源電圧を変調しつつ、前記電源電圧が変調された前記電力増幅手段から出力される複数のキャリア周波数帯の前記RF信号を送信信号として送信する
ことを特徴とする送信装置。
【請求項2】
前記電力増幅手段から出力された前記RF信号の中から前記最大電力キャリア周波数帯RF信号を検知する制御手段と、
前記振幅信号発生手段から出力された前記振幅信号のうち、前記制御手段により検知された前記最大電力キャリア周波数帯RF信号の振幅信号を被選択振幅信号として選択して出力するバンド選択手段と
をさらに備え、
前記バンド選択手段から出力された前記被選択振幅信号を前記電源変調手段によって増幅して、前記電源変調手段から前記電力増幅手段の電源端子に出力し、
前記電源変調手段からの出力信号により前記電力増幅手段の電源端子の電源電圧を変調する
ことを特徴とする請求項1に記載の送信装置。
【請求項3】
前記電源変調手段として複数の電源変調手段を備え、
複数の前記電源変調手段のうち、前記被選択振幅信号の選択結果に応じて使用する電源変調手段を切り替える
ことを特徴とする請求項2に記載の送信装置。
【請求項4】
前記電力増幅手段の前段、前記電源変調手段の前段の双方またはいずれか一方に遅延手段をさらに備え、
前記遅延手段により、前記電力増幅手段に入力される前記最大電力キャリア周波数帯RF信号と前記電源変調手段に入力される該最大電力キャリア周波数帯RF信号に関する前記振幅信号との双方の信号間の遅延量を調整して、双方の信号間の同期を取る
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の送信装置。
【請求項5】
前記RF信号発生手段から出力するRF信号の振幅を事前に定めた一定の値に規制するリミッタをさらに備え、
前記リミッタは、前記最大電力キャリア周波数帯RF信号に対して動作し、前記最大電力キャリア周波数帯RF信号は、当該最大電力キャリア周波数帯RF信号の振幅が前記一定の値に規制された状態で、前記RF信号発生手段から前記電力増幅手段に出力される
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の送信装置。
【請求項6】
直流電源と、前記直流電源のオン・オフ状態を制御するスイッチと、を前記電源変調手段の前段にさらに備え、
前記電力増幅手段から出力された前記最大電力キャリア周波数帯のRF信号の電力が事前に定めた閾値以下になる場合は、前記スイッチにより前記直流電源をオン状態に設定することにより、前記直流電源から出力される直流電圧が前記電源変調手段に対して入力されるように制御し、
一方、前記電力増幅手段から出力される前記最大電力キャリア周波数帯のRF信号の電力が前記閾値よりも大きくなる場合は、前記スイッチにより前記直流電源をオフ状態に設定することにより、前記最大電力キャリア周波数帯の振幅信号が前記電源変調手段に対して入力されるように制御する
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の送信装置。
【請求項7】
RF信号発生手段により発生させた複数のキャリア周波数帯のRF(Radio Frequency)信号を電力増幅手段により増幅して出力するRF信号増幅ステップと、
前記電力増幅手段から出力された前記RF信号のうちで最大の電力を持つキャリア周波数帯のRF信号に該当する最大電力キャリア周波数帯RF信号の振幅信号を発生させて出力する振幅信号発生ステップと、
しかる後、前記振幅信号発生ステップにおいて出力された前記振幅信号を増幅させて、前記電力増幅手段の電源端子に対して出力する電源変調ステップと
を少なくとも有し、
前記振幅信号発生ステップにおいて出力された前記振幅信号により前記電力増幅手段の電源端子の電源電圧を変調しつつ、前記電源電圧が変調された前記電力増幅手段から出力される複数のキャリア周波数帯の前記RF信号を送信信号として送信する
ことを特徴とする送信方法。
【請求項8】
前記電力増幅手段から出力された前記RF信号の中から前記最大電力キャリア周波数帯RF信号を検知する検知ステップと、
前記振幅信号発生ステップにおいて出力された前記振幅信号のうち、前記検知ステップにおいて検知された前記最大電力キャリア周波数帯RF信号の振幅信号を被選択振幅信号として選択して出力する選択ステップと
をさらに有し、
前記選択ステップにおいて選択された前記被選択振幅信号を、前記電源変調ステップにおいて、増幅させて、前記電力増幅手段の電源端子に対して出力し、
前記電源変調ステップにおいて出力された前記被選択振幅信号により前記電力増幅手段の電源端子の電源電圧を変調する
ことを特徴とする請求項7に記載の送信方法。
【請求項9】
前記電力増幅手段に入力される前記最大電力キャリア周波数帯RF信号と前記電源変調ステップにおいて増幅される該前記最大電力キャリア周波数帯RF信号に関する前記振幅信号との双方の信号間の遅延量を調整して、双方の信号間の同期を取る遅延ステップをさらに有する
ことを特徴とする、請求項7または8に記載の送信方法。
【請求項10】
前記最大電力キャリア周波数帯RF信号を、当該最大電力キャリア周波数帯RF信号の振幅が事前に定めた一定の値に規制された状態で、前記RF信号発生手段から前記電力増幅手段に出力させる振幅規制ステップをさらに有する
ことを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の送信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信装置および送信方法に関し、主として、無線通信で使用され、複数のキャリア周波数帯のRF(Radio Frequency)信号を送信する送信装置および送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信で使用される送信装置においては、送信するRF信号を増幅する電力増幅器(PA:Power Amplifier)が、送信装置の構成要素の中でも特に電力を消費する。そのため、送信装置の開発においては、電力増幅器の電力効率改善が重要課題とされている。近年の通信規格は、スペクトル効率改善のために線形変調方式が主流になっている。この線形変調方式は、信号歪に対する要求が厳しい。
【0003】
そこで、電力増幅器においては、線形性を維持するために、瞬時最大出力電力(ピーク電力)が飽和出力電力以下になるように、平均出力電力が設定される。すなわち、電力増幅器においては、増幅する信号のピーク電力と平均電力との比(Peak-to-Average Ratio、以下、PARと略称する)が大きい値を持つ場合ほど、線形性維持のために、平均出力電力を飽和出力電力から一層低く設定することが必要である。
【0004】
しかしながら、一般に、電力増幅器は、平均出力電力を飽和出力電力から低く設定するほど、電力増幅器へ供給される供給電力と電力増幅器から取り出される出力電力との比(電力効率)が低下する性質を持っている。かくのごとき電力効率の低下は、省エネルギー化に反する問題である。
【0005】
一方、RF信号のPARは、通信規格ごとに固有の値を有している。近年用いられているCDMA(Code Division Multiple Access)、WLAN(Wireless Local Area Network)、地上デジタル放送、LTE(Long Term Evolution)などの高速無線通信においては、PARはおよそ数dBから十数dBという大きな値となる。このようなPARの大きな値は、電力増幅器の電力効率を大きく低下させる要因となっている。
【0006】
また、電力増幅器において、平均出力電力を低く設定した場合の電力効率の低下の問題を解決するために、ポーラ変調技術が近年盛んに研究されている。図16は、従来の技術に基づくEnvelope Tracking(ET)方式の電力増幅器を備えた送信装置のブロック構成を示すブロック構成図であり、ポーラ変調技術の一種であるET方式の電力増幅器の構成例を示している。
【0007】
ET方式の電力増幅器は、図16に示すように、ポーラ変調器111の入力端子101に送信信号データを入力し、ポーラ変調器111の一方の出力端子102に送信信号データの振幅成分信号103を出力し、ポーラ変調器111の他方の出力端子107に送信信号データの振幅成分および位相成分を搬送波に載せたRF変調信号108を出力する。ポーラ変調器111は、振幅成分信号103とRF変調信号108との出力タイミングを個別に所望値に設定することができる機能も備えている。
【0008】
電源変調器104は、ポーラ変調器111の一方の出力端子102から出力された振幅成分信号103を増幅した振幅成分信号105を出力し、振幅成分信号105によってRF−PA(Radio Frequency Power Amplifier)106の電源端子109の電源電圧の変調を行う。ポーラ変調器111の他方の出力端子107から出力されたRF変調信号108はRF−PA106に入力される。その結果、RF−PA106の出力端子112からは、送信信号データの振幅成分および位相成分が搬送波に載り且つ増幅されたRF変調信号110が出力される。
【0009】
ET方式においては、出力されるRF変調信号110の振幅に合わせて、RF−PA106の電源端子109の電源電圧を制御する。特に、RF変調信号110が低出力電力である場合は、それに合わせて、RF−PA106の電源端子109の電源電圧を低下させるので、低出力時に電源変調器104からRF−PA106への供給電力を必要最低限の量に抑制し、無駄な消費電力を抑制することができる。
【0010】
ET方式の電力増幅器とほぼ同じ技術として、図17で示すEER(Envelope Elimination and Restoration)方式の電力増幅器がある。ここで、図17は、従来の技術に基づくEER方式の電力増幅器を備えた送信装置のブロック構成を示すブロック構成図である。
【0011】
EER方式の電力増幅器は、図17に示すように、ポーラ変調器111の他方の出力端子107には、ET方式におけるRF変調信号108の代わりに、送信信号データの位相成分を搬送波に載せたRF位相変調信号113を出力し、出力したRF位相変調信号113をRF−PA106に入力する技術である。EER方式の場合も、ET方式の場合と同様、RF−PA106の電源端子109の電源電圧を振幅成分信号105で変調し、出力されるRF変調信号110の振幅が低い時は、RF−PA106の電源電圧を下げ、低出力時の無駄な消費電力を抑制することができる。
【0012】
一方で、近年の通信規格においては、さらなる高速無線通信の実現に向けて、非特許文献1の三木信彦他による“LTE-Advancedにおける広帯域化を実現するCarrier Aggregation”にも示されているように、断片化した複数の帯域を集めて利用するCarrier Aggregation(CA)技術が用いられている。このCA技術においては、複数の帯域を束ねることによって、広帯域を確保し、伝送速度を高速化することができる。
【0013】
また、各キャリア周波数が大きく離れた(各キャリア周波数の差Δfが各キャリアのRF信号の変調帯域幅fBBよりも十分に大きい)状態になるInter-band Non-contiguous CAモードにおいては、伝播特性の異なる複数のキャリア周波数で同時に通信することによって、通信の安定性を向上させることができる。また、CA技術を適用することによって、複数の事業者が断続的に帯域を割り当てる場合や、複数の事業者が帯域を共用する場合についても、これに対応した通信を行うことができる。
【0014】
かくのごときCA技術を用いた無線通信システムにおいては、複数の帯域(バンド)のRF信号を送信することができる送信装置および送信方法が必要となる。さらに、そのような送信装置においても、電力効率の改善が求められる。
【0015】
図18は、特許文献1の特開2006−324878号公報「無線通信機」に記載された送信装置のブロック構成を示すブロック構成図であり、無線通信機として該特許文献1に開示された送信装置の機能構成図を示している。図18の送信装置は、複数バンドのRF信号を送信する機能とともに、ポーラ変調技術の適用により電力効率を改善する機能も備えており、周波数発生器11、プリアンプ13、パス選択スイッチ14、コントローラ15、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)信号経路20(GSM用電力増幅器21、ローパスフィルタ22)、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)信号経路30(UMTS用電力増幅器31、デュプレクサ33)、受信部34、アンテナ切り替えスイッチ41、共用アンテナ42、変調信号発生器61、ポーラ制御部62、PM制御部63、AM制御部64の各部を備えている。
【0016】
図18に示された送信装置においては、変調信号発生器61により発生させた変調信号は、ポーラ制御部62において直交座標系の信号から極座標系の信号に変換され、位相情報を持つPM信号と振幅情報を持つAM信号とに分離される。分離されたPM信号は、PM制御部63により、周波数発生器11に対する位相変調に用いられる。同様に、AM信号は、電源変調器となるAM制御部64により、GSM用電力増幅器21およびUMTS用電力増幅器31に対する電源変調に用いられる。すなわち、GSM用電力増幅器21およびUMTS用電力増幅器31の出力電力の増減に応じて、AM制御部64からGSM用電力増幅器21およびUMTS用電力増幅器31への供給電力を増減させるポーラ変調技術が適用される。これにより、平均出力電力を低く取った高バックオフ状態においても電力効率の低下が抑制される。
【0017】
また、図18に示された送信装置においては、GSM用電力増幅器21が設けられたGSM信号経路20と、UMTS用電力増幅器31が設けられたUMTS信号経路30と、を切り替えるパス選択スイッチ14およびアンテナ切り替えスイッチ41が備えられている。GSM用電力増幅器21はキャリア周波数fc1の無線通信システム(GSM)のRF信号を、UMTS用電力増幅器31はキャリア周波数fc2の無線通信システム(UMTS)のRF信号を、それぞれ増幅する。
【0018】
キャリア周波数fc1の無線通信システム(GSM)で通信を行う場合は、コントローラ15からの制御信号により、GSM用電力増幅器21がRF信号を入力および出力するようにパス選択スイッチ14およびアンテナ切り替えスイッチ41が切り替えられる。また、キャリア周波数fc2の無線通信システム(UMTS)で通信を行う場合は、コントローラ15からの制御信号により、UMTS用電力増幅器31がRF信号を入力および出力するようにパス選択スイッチ14およびアンテナ切り替えスイッチ41が切り替えられる。
【0019】
なお、図18に示された送信装置は、2つの所望周波数成分fc1およびfc2を同時に出力するCA技術には対応していないが、時間的に、周波数成分fc1およびfc2を切り替えていずれか一方の周波数に対する動作を行うマルチバンド動作の機能を備えている。
【0020】
図18に示された送信装置と同じく、使用バンド数と同数の電力増幅器(PA)を用意して、バンドごとに各電力増幅器(PA)を割り当て、また、電力増幅器(PA)の入力側もしくは出力側にバンド選択スイッチを設置し、使用中のバンドに対応する電力増幅器(PA)がRF信号を入力ないし出力するようにバンド選択スイッチを切り替え、かつ、各電力増幅器(PA)に電源からの供給電力を制御するポーラ変調技術を適用して、平均出力電力を低く設定した場合であっても、電力効率を高く維持するようにした技術が、特許文献2の特表2011−512098号公報「複数モード電力増幅器」、特許文献3の特開2005−244826号公報「高周波回路装置」、特許文献4の特開2006−270923号公報「電力増幅器およびポーラ変調システム」、特許文献5の特開2008−205821号公報「高周波電力増幅装置およびそれを用いた送信装置」においても開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2006−324878号公報(第10−11頁)
【特許文献2】特表2011−512098号公報(第8−10頁)
【特許文献3】特開2005−244826号公報(第5−6頁)
【特許文献4】特開2006−270923号公報(第8−10頁)
【特許文献5】特開2008−205821号公報(第6−8頁)
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】三木信彦他、“LTE-Advancedにおける広帯域化を実現するCarrier Aggregation”,NTT DoCoMoテクニカルジャーナル,Vol.18,No.2
【非特許文献2】P.Colantonio,et.al. ,“A Design Technique for Concurrent Dual-Band Harmonic Tuned Power Amplifier”, IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques,vol.56,no.11,pp.2545−2555,2008
【非特許文献3】S.Kousai,et.al. ,“An Octave-Range,Watt-Level,Fully-Integrated CMOS Switching Power Mixer Array for Linearization and Back-Off-Efficiency Improvement”, IEEE Journal of Solid-State Circuits,vol.44,no.12,pp.3376−3392,2009
【非特許文献4】P.Saad,et.al. ,“Design of a Highly Efficient 2−4GHz Octave Bandwidth GaN-HEMT Power Amplifier”, IEEE Transactions on Microwave Theory and Techniques,vol.58,no.7,pp.1677−1685,2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかしながら、前記特許文献1ないし前記特許文献5に記載の従来の技術の場合においては、使用バンド数と同数の電力増幅器を設置する必要がある。このことは、特に使用バンド数の多い無線通信システムにおいて、送信装置の回路サイズおよびコストの増大を招くという課題がある。
【0024】
(本発明の目的)
本発明の目的は、前述の課題を解決するためになされたものであり、回路サイズおよびコストの低減が可能な送信装置および送信方法を提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0025】
前述の課題を解決するため、本発明による送信装置および送信方法は、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
【0026】
(1)本発明による送信装置は、
複数のキャリア周波数帯のRF(Radio Frequency)信号を発生させて出力するRF信号発生器と、
前記RF信号発生器から出力された前記RF信号を増幅して出力する電力増幅器と、
前記電力増幅器から出力された前記RF信号のうちで最大の電力を持つキャリア周波数帯のRF信号に該当する最大電力キャリア周波数帯RF信号の振幅信号を発生させて出力する振幅信号発生器と、
前記振幅信号発生器から出力された前記最大電力キャリア周波数帯RF信号の振幅信号を増幅して出力する電源変調器と
を少なくとも備え、
前記電源変調器からの出力信号により前記電力増幅器の電源端子の電源電圧を変調しつつ、前記電源電圧が変調された前記電力増幅器から出力される複数のキャリア周波数帯の前記RF信号を送信信号として送信する
ことを特徴とする。
【0027】
(2)本発明による送信方法は、
RF信号発生器により発生させた複数のキャリア周波数帯のRF(Radio Frequency)信号を電力増幅器により増幅して出力するRF信号増幅ステップと、
前記電力増幅器から出力された前記RF信号のうちで最大の電力を持つキャリア周波数帯のRF信号に該当する最大電力キャリア周波数帯RF信号の振幅信号を発生させて出力する振幅信号発生ステップと、
しかる後、前記振幅信号発生ステップにおいて出力された前記振幅信号を増幅させて、前記電力増幅器の電源端子に対して出力する電源変調ステップと
を少なくとも有し、
前記振幅信号発生ステップにおいて出力された前記振幅信号により前記電力増幅器の電源端子の電源電圧を変調しつつ、前記電源電圧が変調された前記電力増幅器から出力される複数のキャリア周波数帯の前記RF信号を送信信号として送信する
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明の送信装置および送信方法によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0029】
すなわち、単一の電力増幅器によって複数のキャリア周波数帯のRF信号を同時に増幅し、かつ、単一の電源変調器によって該電力増幅器の電源端子を変調することを可能にすることにより、複数の周波数のRF信号を同時に増幅することが可能なCA(Carrier Aggregation)技術に対応し、且つ、送信装置の回路サイズおよびコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明による第一、第二、第四および第五の実施の形態における送信装置のブロック構成を示すブロック構成図である。
図2図1の送信装置のRF信号発生器と振幅信号発生器とバンド選択器との内部構成の本発明による第一の実施の形態の一例を示すブロック構成図である。
図3図1の送信装置の電源変調器から出力される振幅信号の時間波形の一例を示す特性図である。
図4図1の送信装置において送信する2つのバンドのうち、出力電力が常に高いバンド1のRF出力電力を固定し、バンド2のRF出力電力をスイープした場合の電力増幅器の電力効率の変化の一例を示す特性図である。
図5】本発明による第一の実施の形態の変形例における送信装置のブロック構成を示すブロック構成図である。
図6】本発明による第二の実施の形態における送信装置のRF信号発生器と振幅信号発生器とバンド選択器との内部構成の一例を示すブロック構成図である。
図7】本発明による第三の実施の形態における送信装置のブロック構成を示すブロック構成図である。
図8図7の送信装置のRF信号発生器と振幅信号発生器との内部構成の一例を示すブロック構成図である。
図9】本発明による第三の実施の形態の第一の変形例における送信装置のブロック構成を示すブロック構成図である。
図10】本発明による第三の実施の形態の第二の変形例における送信装置送信装置のRF信号発生器と振幅信号発生器との内部構成の一例を示すブロック構成図である。
図11】本発明による第四の実施の形態における送信装置のRF信号発生器と振幅信号発生器とバンド選択器との内部構成の一例を示すブロック構成図である。
図12】本発明による第五の実施の形態における送信装置のRF信号発生器と振幅信号発生器とバンド選択器との内部構成の一例を示すブロック構成図である。
図13】本発明による第六の実施の形態における送信装置のブロック構成を示すブロック構成図である。
図14】本発明による第六の実施の形態における送信装置のRF信号発生器と振幅信号発生器とバンド選択器との内部構成の一例を示すブロック構成図である。
図15】本発明による第六の実施の形態の変形例における送信装置のブロック構成を示すブロック構成図である。
図16】従来の技術に基づく、Envelope Tracking(ET)方式の電力増幅器を備えた送信装置のブロック構成を示すブロック構成図である。
図17】従来の技術に基づく、EER(Envelope Elimination and Restoration)方式の電力増幅器を備えた送信装置のブロック構成を示すブロック構成図である。
図18】特許文献1に記載された送信装置のブロック構成を示すブロック構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明による送信装置および送信方法の好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、かかる送信方法をコンピュータにより実行可能な送信プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、送信プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良いことは言うまでもない。また、以下の各図面に付した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではないことも言うまでもない。
【0032】
(本発明の概要)
本発明の具体的な実施形態の説明に先立って、本発明の概要をまず説明する。本発明は、RF信号発生器により発生させた複数のキャリア周波数帯(バンド)のRF(Radio Frequency)信号を同時に増幅することが可能なCA(Carrier Aggregation)技術に対応した電力増幅器を備え、且つ、回路サイズおよびコストの低減が可能な送信装置を実現していることを主要な特徴としている。
【0033】
すなわち、本発明の送信装置は、複数のキャリア周波数帯のRF(Radio Frequency)信号を送信する送信装置において、複数のキャリア周波数帯のRF信号を発生させて出力するRF信号発生器と、前記RF信号発生器から出力された前記RF信号を増幅して出力する電力増幅器と、前記電力増幅器から出力された前記RF信号のうちで最大の電力を持つキャリア周波数帯のRF信号に該当する最大電力キャリア周波数帯RF信号の振幅信号を発生させて出力する振幅信号発生器と、前記振幅信号発生器から出力された前記最大電力キャリア周波数帯RF信号の振幅信号を増幅して出力する電源変調器と、を少なくとも備えた送信装置であって、前記電源変調器からの出力信号により前記電力増幅器の電源端子の電源電圧を変調しつつ、前記電源電圧が変調された前記電力増幅器から出力される複数のキャリア周波数帯の前記RF信号を送信信号として送信する、ことを主要な特徴とする。
【0034】
もしくは、本発明の送信装置は、前記送信装置において、前記電力増幅器から出力された前記RF信号の中から前記最大電力キャリア周波数帯RF信号を検知する制御器と、前記振幅信号発生器から出力された前記振幅信号のうち、前記制御器により検知された前記最大電力キャリア周波数帯RF信号の振幅信号を被選択振幅信号として選択して出力するバンド選択器と、をさらに備えた送信装置であって、前記バンド選択器から出力された前記被選択振幅信号を前記電源変調器によって増幅して、前記電源変調器から前記電力増幅器の電源端子に出力し、前記電源変調器からの出力信号により前記電力増幅器の電源端子の電源電圧を変調する、ことも主要な特徴とする。
【0035】
以上のように、本発明の送信装置においては、単一の電力増幅器によって複数のキャリア周波数帯のRF信号を同時に増幅することを可能にしているので、増幅するキャリア周波数帯のRF信号の個数によらず、電力増幅器の数は一つのみで良い。さらに、本発明の送信装置においては、単一の電力増幅器しか用いないため、電源変調器も一つのみで良い。したがって、本発明の送信装置においては、前記特許文献1ないし前記特許文献5に記載のいずれの送信装置に比べても、より少ない数の電力増幅器および電源変調器によって高電力効率の送信装置を構成することができ、回路サイズおよびコストを削減することができる。
【0036】
また、本発明の送信装置においては、単一の電力増幅器によって複数のキャリア周波数帯のRF信号を同時に増幅するため、該電力増幅器の入力ないし出力に使用周波数帯を切り替えるためのスイッチを設置する必要がない。したがって、本発明の送信装置においては、このような切り替え用のスイッチの設置により回路サイズおよびコストが増大したり、スイッチの挿入損失により送信装置全体の電力効率が低下したりすることを回避することができる。
【0037】
また、本発明の送信装置においては、複数のキャリア周波数帯のRF信号を同時に増幅し同時に出力することが可能であるので、本発明の送信装置においては、CA技術への対応が可能である。
【0038】
(第一の実施の形態)
次に、本発明の送信装置に関する第一の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明による第一の実施の形態における送信装置のブロック構成を示すブロック構成図である。図1に示す第一の実施の形態における送信装置は、RF信号発生器201と、電力増幅器202と、振幅信号発生器203と、バンド選択器204と、電源変調器205と、制御器208と、を少なくとも含んで構成される。RF信号発生器201と電力増幅器202とは端子207を介して接続されている。バンド選択器204と電源変調器205とは端子210を介して接続されている。電源変調器205と電力増幅器202とは端子211を介して接続されている。
【0039】
RF信号発生器201は、キャリア周波数fc1、fc2、・・・、fcNのN個(N:正整数)のRF信号221、221、…、221を発生させて端子207に向けて出力する。RF信号221、221、…、221は、端子207を経由して電力増幅器202に入力される。RF信号発生器201において発生されたRF信号221、221、…、221は、電力増幅器202において増幅されて、RF信号222、222、…、222として端子206に向けて出力される。
【0040】
なお、本第一の実施の形態においては、電力増幅器202として、複数(n個)のキャリア周波数fc1、fc2、…、fcNに対応して設計された、マルチバンド電力増幅器を用いることが望ましい。例えば、電力増幅器202には、前述の非特許文献の項に記載した非特許文献2のP.Colantonio他による“A Design Technique for Concurrent Dual-Band Harmonic Tuned Power Amplifier”において開示されているような、2つ以上の周波数で入出力の整合設計を行った電力増幅器を用いても良い。
【0041】
もしくは、電力増幅器202には、キャリア周波数fc1からfcNまでの波数範囲をカバーするような広帯域の電力増幅器を用いても良い。広帯域の電力増幅器の構成は、例えば、前述の非特許文献の項に記載した非特許文献3のS.Kousai他による“An Octave-Range,Watt-Level,Fully-Integrated CMOS Switching Power Mixer Array for Linearization and Back-Off-Efficiency Improvement”または非特許文献4のP.Saad他による“Design of a Highly Efficient 2−4GHz Octave Bandwidth GaN-HEMT Power Amplifier”等に開示されている構成を採用しても良い。
【0042】
振幅信号発生器203は、RF信号発生器201にて生成されたN個のRF信号221、221、・・・、221それぞれに関する振幅信号を生成し、生成したN個の前記振幅信号を制御器208およびバンド選択器204に対してそれぞれ出力する。制御器208およびバンド選択器204は、入力されたRF信号221、221、・・・、221の振幅信号に基づいて、RF信号221、221、・・・、221の振幅信号のうちいずれか一つの振幅信号例えば最大の電力を持つRF信号221(i=1、2、…、N)の振幅信号を選択して、振幅信号223として端子210に出力する。振幅信号223は端子210を経由して電源変調器205に入力される。振幅信号223すなわちVAM_IN(t)は電源変調器205において増幅されて、振幅信号224すなわちVAM_OUT(t)として端子211に出力される。端子211は電力増幅器202の電源端子であり、電力増幅器202の電源電圧は、振幅信号224すなわちVAM_OUT(t)によって変調される。つまり、電源変調器205は、振幅信号発生器203から出力された振幅信号223すなわちVAM_IN(t)を増幅させて、振幅信号224すなわちVAM_OUT(t)として電力増幅器202の電源端子に対して出力する機能(電源変調ステップの機能)を有し、電力増幅器202の電源電圧は、振幅信号224すなわちVAM_OUT(t)によって変調される。
【0043】
以上のように、本第一の実施の形態の送信装置においては、複数バンドのRF信号を単一の電力増幅器202によって増幅し、且つ、該電力増幅器202の電源電圧に変調を掛ける場合においては、電力増幅器202の電源電圧を変調する信号として、複数バンドのRF信号のうちいずれか一つのバンドのRF信号221(i=1、2、…、N)例えば最大の電力を持つバンドのRF信号221の振幅信号を選択して用いるという点に特徴がある。
【0044】
図2は、図1の送信装置のRF信号発生器201と振幅信号発生器203とバンド選択器204との内部構成の本発明による第一の実施の形態の一例を示すブロック構成図である。図2において、RF信号発生器201は、N個のベースバンド信号発生器231、231、…、231と、N個の局所発振(LO)信号発生器232、232、…、232と、N個のミキサ233、233、…、233と、一つの合成器234とによって構成されている。
【0045】
ベースバンド信号発生器231、231、…、231のそれぞれは、各バンドで送信するベースバンド信号をそれぞれ発生させる。局所発振(LO)信号発生器232、232、…、232のそれぞれは、各バンドのキャリア周波数fc1、fc2、…、fcNの局所発振(LO)信号をそれぞれ発生させる。ミキサ233、233、…、233のそれぞれは、ベースバンド信号発生器231、231、…、231のそれぞれから出力されたベースバンド信号と、局所発振(LO)信号発生器232、232、…、232のそれぞれから出力された局所発振(LO)信号とをミキシングして、RF信号221、221、…、221をそれぞれ生成する。ミキサ233、233、…、233のそれぞれにおいて生成されたRF信号221、221、…、221は、合成器234において合成されて、端子207へと出力される。
【0046】
ベースバンド信号発生器231、231、…、231のそれぞれにおいて生成されるベースバンド信号は、振幅信号発生器203にも出力される。振幅信号発生器203は、その内部にN個の振幅検波器241、241、…、241を備えている。振幅検波器241、241、…、241は、ベースバンド信号発生器231、231、…、231のそれぞれから出力されたベースバンド信号それぞれに関する振幅信号をそれぞれ生成する。ベースバンド信号発生器231、231、…、231のそれぞれから出力されたベースバンド信号に関する振幅信号は、ミキサ233、233、…、233のそれぞれにおいて生成されたRF信号221、221、…、221のそれぞれの振幅信号に相当するものである。振幅検波器241、241、…、241のそれぞれにおいて生成された振幅信号は、制御器208およびバンド選択器204の双方に出力される。
【0047】
制御器208は、振幅検波器241、241、…、241のそれぞれにおいて生成された振幅信号に基づいて、いずれか一つのバンド例えば電力増幅器202から出力されるRF信号222、222、…、222のバンドのうち最大の電力を持つバンドのRF信号を最大電力キャリア周波数帯RF信号として検知する機能(検知ステップの機能)を有している。バンド選択器204は、その内部にN個のバンドスイッチ251、251、…、251を備えている。制御器208は、バンド選択器204内のN個のバンドスイッチ251、251、…、251のうち、選択した一つのバンドの振幅信号が入力されるスイッチのみをオン状態にして、選択した一つのバンドの振幅信号のみが端子210に出力され、電源変調器205に入力されるようにする。つまり、バンド選択器204は、振幅信号発生器203から出力された振幅信号のうち、制御器208において選択されたいずれか一つのバンド例えば制御器208において検知された前記最大電力キャリア周波数帯RF信号の振幅信号を被選択振幅信号として選択して出力する機能(選択ステップの機能)を有している。なお、制御器208は、バンド選択器204内のN個のバンドスイッチ251、251、…、251のうち、選択したバンド以外の振幅信号が入力されるスイッチは全てオフ状態にする。かくのごとき動作により、本第一の実施の形態においては、選択したいずれか一つのバンドのRF信号の振幅信号を用いて、電力増幅器202の電源電圧の変調を行うことが可能になる。
【0048】
なお、本第一の実施の形態においては、前述において例示したように、制御器208およびバンド選択器204において、電力増幅器202から出力されるN個のRF信号222、222、…、222のN個のバンドのうち、最大の電力を持つバンドが選択されて、電源変調器205に入力され、該バンドの振幅信号が電力増幅器202の電源電圧の変調に用いられることが望ましい。RF信号222、222、…、222のそれぞれの電力は、事前に測定された電力増幅器202の各周波数における利得と、振幅検波器241、241、…、241のそれぞれにおいて生成された振幅信号の強度とから見積もることができる。ここで、バンドの選択に用いられるRF信号222、222、・・・、222のそれぞれの電力は、瞬時電力と平均電力とのいずれを用いても良い。また、該平均電力を求める際の平均時間は任意の時間を用いて構わない。
【0049】
複数バンドのRF信号を単一の電力増幅器202によって増幅する場合、電力増幅器202から出力されるRF信号の電力が最大となるバンドが、電力増幅器202の電力効率に最も大きな影響を与える。したがって、電力増幅器202から出力されるRF信号の電力が最大となるバンドに対して電力増幅器202の電源変調を行うことによって、電力増幅器202の出力電力が変化した場合においても、電力増幅器202の電力効率を高く維持することができる。言い換えると、RF出力信号すなわち電力増幅器202から出力されるRF信号の電力が最大となるバンド以外に対して電力増幅器202の電源変調を行わなくても、電力増幅器202の電力効率を高く維持することが可能になるということを意味している。
【0050】
以下、本第一の実施の形態における効果を示すために、送信装置の特性について開示する。ここで、送信装置は、バンド1(キャリア周波数800MHz)とバンド2(キャリア周波数2,000MHz)との2バンドの信号を送信するものと仮定する。また、バンド1のRF信号には変調帯域幅1MHzの正弦変調波が搬送され、バンド2のRF信号には変調帯域幅2.4MHzの正弦変調波が搬送されるものと仮定する。また、バンド2のRF出力信号に比べ、バンド1のRF出力信号の方が常に高い電力を持つものと仮定する。この場合、電源変調器205から出力される振幅信号224として、バンド1の変調帯域幅1MHzの正弦変調波が常に選択されて、図3に示すような正弦変調波が出力される。図3は、図1の送信装置の電源変調器205から出力される振幅信号224の時間波形の一例を示す特性図である。
【0051】
図4は、図1の送信装置において送信する2つのバンドのうち、出力電力が常に高いバンド1のRF出力電力(平均出力電力)を15.3dBmに固定し、バンド2のRF出力電力(平均出力電力)をスイープした場合の電力増幅器202の電力効率の変化の一例を示す特性図である。図4の特性図に示すように、出力電力が常に低い方のバンド2のRF出力電力が低下した状態においても、電力増幅器202の電力効率は高く維持されている。かくのごとく、複数バンドのRF信号を単一の電力増幅器202によって増幅する場合、RF出力信号の電力が最大となるバンドのみに対して電力増幅器202の電源変調を行うように制御することによって、電力増幅器202の出力電力が変化した場合であっても、電力増幅器202の電力効率を高く維持することが可能であることが分かる。
【0052】
(第一の実施の形態の変形例)
次に、本発明の送信装置の第一の実施の形態の変形例について図5を用いて説明する。電力増幅器202の電源変調において、RF信号222、222、…、222のうち選択したバンドのRF信号222(i=1、2、…、N)と、振幅信号224とは同期が取られている必要がある。図5は、本発明による第一の実施の形態の変形例における送信装置のブロック構成を示すブロック構成図である。
【0053】
図5に示す送信装置においては、図1で示した送信装置に対して遅延器212と遅延器213とがさらに追加されている。遅延器212は、RF信号発生器201と電力増幅器202との間に設置され、RF信号221、221、…、221のそれぞれをτRFずつ遅延させる。一方、遅延器213は、バンド選択器204と電源変調器205との間に設置され、振幅信号223をτAM遅延させる。
【0054】
図5に示す送信装置においては、遅延器212と遅延器213とを用いて、RF信号222、222、…、222のうち振幅信号224の生成用として選択したバンドのRF信号222と、振幅信号224とのそれぞれの間の遅延量を調整することにより、RF信号222、222、…、222のうち選択したバンドのRF信号222と、振幅信号224との同期を取ることが可能になる。つまり、遅延器212、遅延器213は、RF信号222、222、…、222のうち選択したバンドのRF信号222例えば最大の電力を持つ最大電力キャリア周波数帯RF信号に対応する信号として電力増幅器202に入力されるRF信号221と電源変調器205に入力される当該RF信号221に関する振幅信号との双方の信号間の遅延量を調整して、双方の信号間の同期を取る機能(遅延ステップの機能)を有している。
【0055】
図5に示す本変形例においては、遅延器212と遅延器213との両方を設置した場合を説明したが、遅延器212と遅延器213とのいずれか一方のみを設置するようにしても良い。また、ベースバンド信号発生器231、231、…、231のそれぞれからベースバンド信号を出力するタイミングをそれぞれ調整することにより、RF信号221、221、…、221間の同期を調整するようにしても良い。
【0056】
(第二の実施の形態)
次に、本発明の送信装置に関する第二の実施の形態について詳細に説明する。本発明による第二の実施の形態における送信装置の全体の構成については、第一の実施の形態として図1に示した送信装置と同様であるが、RF信号発生器の内部構成が、第一の実施の形態として図2に示したRF信号発生器201の内部構成と異なっている。
【0057】
図6は、本発明による第二の実施の形態における送信装置のRF信号発生器201Aと振幅信号発生器203とバンド選択器204との内部構成の一例を示すブロック構成図である。図6に示すRF信号発生器201Aの内部構成においては、第一の実施の形態として図2に示したRF信号発生器201の内部構成に対してN個のリミッタ235、235、…、235が新たに追加されている。N個のリミッタ235、235、…、235のそれぞれは、N個のベースバンド信号発生器231、231、…、231とN個のミキサ233、233、…、233とのそれぞれの間に配置され、N個のベースバンド信号発生器231、231、…、231のそれぞれから出力されるRF信号221、221、…、221の振幅を事前に定めた一定の値に規制することができる。
【0058】
本第二の実施の形態においては、第一の実施の形態の場合と同じく、制御器208が最大の電力を持つバンドとして選択した一つのバンドのRF信号の振幅信号を用いて、電力増幅器202の電源電圧の変調を行う。且つ、N個のリミッタ235、235、…、235のうち、制御器208が選択したバンドに関連する一つのリミッタ235(i=1、2、…、N)のみを動作させて、RF信号221、221、…、221のN個のバンドのうち制御器208が選択した当該バンドのRF信号のみを一定振幅に規制された位相変調信号の波形に変形する。つまり、動作させたリミッタ235は、選択した一つのバンドのRF信号例えば最大の電力を持つバンドのRF信号すなわち最大電力キャリア周波数帯RF信号を、当該バンドのRF信号例えば当該最大電力キャリア周波数帯RF信号の振幅が事前に定めた一定の値に規制された状態で、RF信号発生器201から電力増幅器202に出力させる機能(振幅規制ステップの機能)を有している。かくのごとき動作により、本第二の実施の形態においては、制御器208により選択されたバンドに対してEER(Envelope Elimination and Restoration)動作が実現されることになる。
【0059】
また、本第二の実施の形態においては、N個のリミッタ235、235、…、235のうち、制御器208が選択していないバンドに対するリミッタは動作させず、RF信号221、221、…、221のN個のバンドのうち制御器208が選択していないバンドのRF信号は、振幅の規制を受けずそのまま通過するものとする。
【0060】
なお、本第二の実施の形態においても、第一の実施の形態の場合と同じく、複数バンドのRF信号を単一の電力増幅器202によって増幅する場合、RF出力信号の電力が最大となるバンドのみに対して電力増幅器202の電源変調を行うことによって、電力増幅器202の出力電力が変化した場合においても、電力効率を高く維持することができる。
【0061】
また、本第二の実施の形態においても、第一の実施の形態の変形例と同じく、遅延器212をRF信号発生器201Aと電力増幅器202との間に設置しても良く、遅延器213をバンド選択器204と電源変調器205との間に設置しても良い。あるいは、遅延器212と遅延器213とのいずれか一方のみを設置するようにしても良い。遅延器212、遅延器213の双方またはいずれか一方をさらに追加して備えることにより、RF信号222、222、…、222のうち選択したバンドのRF信号222(i=1、2、…、N)と、振幅信号224との間の遅延量を調整することを可能にし、RF信号222、222、…、222のうち振幅信号224の生成用として選択したバンドのRF信号222と、振幅信号224との同期を取ることができる。
【0062】
(第三の実施の形態)
次に、本発明の送信装置に関する第三の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図7は、本発明による第三の実施の形態における送信装置のブロック構成を示すブロック構成図である。図7に示す第三の実施の形態における送信装置は、図1に示した第一の実施の形態における送信装置からバンド選択器204と制御器208とが省かれて構成されている。
【0063】
図1に示した第一の実施の形態における送信装置においては、電力増幅器202から出力されるRF信号222、222、…、222のN個のバンドのうち、制御器208がいずれかのバンド例えば電力の変化に応じて最大の電力を持つバンドの選択ないし変更を行うことを可能としていた。これに対して、本第三の実施の形態においては、バンドの選択機能を省くことによって、第一の実施の形態の場合よりも送信装置の構成を簡素化している。
【0064】
本第三の実施の形態における送信装置は、最大の電力を持つバンドが変化することなく常に固定されており、且つ、当該バンドが既知の場合に好適に適用することができる。例えば、2.4GHz帯のバンドを用いて100mWの送信電力で送信する無線LANと、900MHz帯のバンドを用いて10mWの送信電力で送信するセンサとを扱う送信装置の場合、常に、無線LANの2.4GHz帯が最大の出力電力を送信するバンドとなるので、図7に示す本第三の実施の形態の送信装置を適用することが望ましい。この場合、電力増幅器202は、最大の出力電力となる無線LAN(2.4GHz帯)の振幅信号によって電源変調を受けることになる。
【0065】
図8は、図7の送信装置のRF信号発生器201と振幅信号発生器203Aとの内部構成の一例を示すブロック構成図であり、常に最大の電力を持つバンドがバンドKに固定されている場合を例示している。図8に示す本第三の実施の形態においては、図2に示した第一の実施の形態における振幅信号発生器203の場合とは異なり、振幅信号発生器203Aの内部には一つの振幅検波器241のみが備えられている。振幅検波器241は、RF信号発生器201内のベースバンド信号発生器231と接続されている。ベースバンド信号発生器231はバンドKのRF信号221に搬送させるベースバンド信号を生成する。ここで、電力増幅器202から出力されるバンドKのRF信号222は、RF信号222、222、…、222の中で常に最大の電力を持つものとしている。つまり、本第三の実施の形態における振幅信号発生器203Aは、電力増幅器202から出力されるRF信号222、222、…、222のうちで最大の電力を持つキャリア周波数帯のRF信号に該当する最大電力キャリア周波数帯RF信号の振幅信号を発生させて出力させる機能(振幅信号発生ステップの機能)を有している。
【0066】
振幅検波器241は、RF信号221の振幅信号223を生成して、端子210に出力する。しかる後、第一の実施の形態の場合と同様に、第三の実施の形態においても、振幅信号223は端子210を経由して電源変調器205に入力される。振幅信号223すなわちVAM_IN(t)は電源変調器205において増幅されて、振幅信号224すなわちVAM_OUT(t)として端子211に出力される。端子211は電力増幅器202の電源端子であり、電力増幅器202の電源電圧は、振幅信号224すなわちVAM_OUT(t)によって変調される。
【0067】
以上のように、本第三の実施の形態の送信装置においても、第一の実施の形態の送信装置と同様に、複数バンドのRF信号を単一の電力増幅器202によって増幅する場合、RF出力信号の電力が最大となるバンドのみに対して電力増幅器202の電源変調を行うことによって、電力増幅器202の出力電力が変化した場合においても、電力効率を高く維持することができる。
【0068】
(第三の実施の形態の第一の変形例)
また、本第三の実施の形態においても、第一の実施の形態の変形例と同じく、図9に示すように、遅延器212をRF信号発生器201と電力増幅器202との間に設置しても良い。また、遅延器213を振幅信号発生器203Aと電源変調器205との間に設置しても良い。ここで、図9は、本発明による第三の実施の形態の第一の変形例における送信装置のブロック構成を示すブロック構成図である。あるいは、遅延器212と遅延器213とのいずれか一方のみを設置するようにしても良い。遅延器212、遅延器213の双方またはいずれか一方をさらに追加して備えることにより、電源変調用の振幅信号224が生成されるバンドのRF信号222と、振幅信号224との間の遅延量を調整することを可能にし、RF信号222と、振幅信号224との同期を取ることができる。
【0069】
(第三の実施の形態の第二の変形例)
また、本第三の実施の形態においても、第二の実施の形態と同じく、図10に示すように、リミッタ235をベースバンド信号発生器231とミキサ233との間に設置しても良い。ここで、図10は、本発明による第三の実施の形態の第二の変形例における送信装置送信装置のRF信号発生器と振幅信号発生器との内部構成の一例を示すブロック構成図である。図10に示すような構成とすることにより、RF信号222、222、…、222のN個のバンドのうち、バンドKに対してEER(Envelope Elimination and Restoration)動作を実現することができる。而して、第一の実施の形態の場合と同じく、複数バンドのRF信号を単一の電力増幅器202によって増幅する場合、RF出力信号の電力が最大となるバンドのみに対して電力増幅器202の電源変調を行うことによって、電力増幅器202の出力電力が変化した場合においても、電力効率を高く維持することができる。
【0070】
(第四の実施の形態)
次に、本発明の送信装置に関する第四の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本発明による第四の実施の形態における送信装置の全体の構成については、第一の実施の形態として図1に示した送信装置と同様であるが、バンド選択器の内部構成が、第一の実施の形態として図2に示したバンド選択器204の内部構成と異なっている。
【0071】
図11は、本発明による第四の実施の形態における送信装置のRF信号発生器201と振幅信号発生器203とバンド選択器204Aとの内部構成の一例を示すブロック構成図である。図11に示すバンド選択器204Aの内部構成においては、第一の実施の形態として図2に示したバンド選択器204の内部構成に対してスイッチ252と直流電源253とが新たに追加されている。
【0072】
例えば、電力増幅器202から出力されるRF信号222、222、…、222のうち、出力電力が最大となるバンドをバンドKとする。かかる場合、本第四の実施の形態においても、第一の実施の形態の場合と同じく、出力電力が最大となるバンドKのRF信号222の振幅信号を用いて電力増幅器202の電源変調を行うことという点に関しては同じである。ただし、本第四の実施の形態においては、当該バンドKのRF信号222の電力が事前に定めた閾値以下になった場合には、バンド選択器204A内のバンドスイッチ251、251、…、251は全てオフ状態になり、且つ、スイッチ252がオン状態となり、直流電源253から事前に定めた一定の電圧が端子210に供給されるという機能が、第一の実施の形態から新たに追加されている。
【0073】
電力増幅器202の電源電圧が極端に低くなると、電力増幅器202から出力されるRF信号222、222、…、222の信号波形が歪んでしまい、信号の誤差が問題となる。そこで、出力電力が最大となるバンドKのRF信号222の電力が前記閾値以下に低下した場合には、直流電源253から事前に定めた一定の電圧を端子210に供給することによって、電力増幅器202の電源電圧が極端に低くなることを防いでいる。
【0074】
なお、本第四の実施の形態においても、第一の実施の形態の変形例と同じく、遅延器212をRF信号発生器201と電力増幅器202との間に設置しても良いし、遅延器213をバンド選択器204Aと電源変調器205との間に設置しても良い。あるいは、遅延器212と遅延器213とのいずれか一方のみを設置するようにしても良い。遅延器212、遅延器213の双方またはいずれか一方をさらに追加して備えることにより、RF信号222、222、…、222のうち選択したバンドのRF信号と、振幅信号224との間の遅延量を調整することを可能にし、RF信号222、222、…、222のうち振幅信号224の生成用として選択したバンドのRF信号と、振幅信号224との同期を取ることができる。
【0075】
また、本第四の実施の形態においても、第二の実施の形態と同じく、リミッタ235(i=1、2、・・・、N)をRF信号発生器201内のベースバンド信号発生器231とミキサ233との間に設置しても良い。かくのごとき構成とすることにより、RF信号222、222、…、222のN個のバンドのうち、出力電力が最大になるバンドiに対してEER(Envelope Elimination and Restoration)動作を実現することができる。而して、第一の実施の形態の場合と同じく、複数バンドのRF信号を単一の電力増幅器202によって増幅する場合、RF出力信号の電力が最大となるバンドiのみに対して電力増幅器202の電源変調を行うことによって、電力増幅器202の出力電力が変化した場合においても、電力効率を高く維持することができる。
【0076】
(第五の実施の形態)
次に、本発明の送信装置に関する第五の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。本発明による第五の実施の形態における送信装置の全体の構成については、第一の実施の形態として図1に示した送信装置と同様であるが、振幅信号発生器とバンド選択器との内部構成が、第一の実施の形態として図2に示した振幅信号発生器203とバンド選択器204との内部構成と異なっている。
【0077】
図12は、本発明による第五の実施の形態における送信装置のRF信号発生器201と振幅信号発生器203Bとバンド選択器204Bとの内部構成の一例を示すブロック構成図であり、電力増幅器202から出力されるRF信号222、222、…、222のうち最大の出力電力となるバンドがバンドKである場合を例示している。本第五の実施の形態として図12に示す振幅信号発生器203Bの内部構成においては、バンドKに対応する振幅検波器241のみを備え、バンドK以外のバンドi(i≠K)に対応する振幅検波器241は削除され、また、バンド選択器204Bの内部構成においては、バンドKに対応するバンドスイッチ251のみを備えてバンドK以外のバンドi(i≠K)に対応するバンドスイッチ251(i≠K)は削除されるとともに、スイッチ252と直流電源253とが新たに追加されている。
【0078】
ここで、図12に示す本第五の実施の形態においては、第三の実施の形態の場合と同じく、電力増幅器202から出力されるRF信号222、222、…、222のうち最大の電力を持つバンドは、バンドKから変化することなく常に固定されており、当該バンドKのRF信号222の振幅信号を用いて電源変調を掛ける点に特徴がある。したがって、本第五の実施の形態においては、第三の実施の形態と同じく、電力増幅器202から出力されるRF信号222、222、…、222のうち最大の電力を持つバンドが固定されており、且つ、当該バンドが既知の場合に好適に適用することができる。
【0079】
また、本第五の実施の形態においては、第四の実施の形態の場合と同じく、出力電力が最大となるバンドKのRF信号222の電力が事前に定めた閾値以下になった場合には、バンド選択器204A内のバンドスイッチ251はオフ状態になり、且つ、スイッチ252がオン状態となり、直流電源253から事前に定めた一定の電圧が端子210に供給されるという機能が備えられている。すなわち、本第五の実施の形態においても、第四の実施の形態の場合と同じく、出力電力が最大となるバンドKのRF信号222の電力が前記閾値以下に低下した場合には、直流電源253から事前に定めた一定の電圧を端子210に供給することによって、電力増幅器202の電源電圧が極端に低くなることを防いでいる。
【0080】
また、本第五の実施の形態においても、第一の実施の形態の変形例と同じく、遅延器212をRF信号発生器201と電力増幅器202との間に設置しても良いし、遅延器213をバンド選択器204Bと電源変調器205との間に設置しても良い。あるいは、遅延器212と遅延器213とのいずれか一方のみを設置するようにしても良い。遅延器212、遅延器213の双方またはいずれか一方をさらに追加して備えることにより、RF信号222、222、…、222のうち選択したバンドKのRF信号222と、振幅信号224との間の遅延量を調整することを可能にし、RF信号222、222、…、222のうち振幅信号224の生成用として選択したバンドKのRF信号222と、振幅信号224との同期を取ることができる。
【0081】
さらに、本第五の実施の形態においても、第二ないし第三の実施の形態と同じく、バンドKに対応するリミッタ235をRF信号発生器201内のベースバンド信号発生器231とミキサ233との間に設置しても良い。かくのごとき構成とすることにより、RF信号222、222、…、222のN個のバンドのうち、出力電力が最大になるバンドKに対してEER(Envelope Elimination and Restoration)動作を実現することができる。而して、第一の実施の形態の場合と同じく、複数バンドのRF信号を単一の電力増幅器202によって増幅する場合、RF出力信号の電力が最大となるバンドKのみに対して電力増幅器202の電源変調を行うことによって、電力増幅器202の出力電力が変化した場合においても、電力効率を高く維持することができる。
【0082】
(第六の実施の形態)
次に、本発明の送信装置に関する第六の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図13は、本発明による第六の実施の形態における送信装置のブロック構成を示すブロック構成図である。図13に示す第六の実施の形態における送信装置は、図1に示した第一の実施の形態における送信装置のように単一の電源変調器205のみが設置されている場合とは異なり、電源変調器205、205、…、205と複数個備えられている場合を示している。
【0083】
第一の実施の形態における送信装置においては、例えば、電源変調に用いる振幅信号223を切り替えた場合、振幅信号223の変調帯域幅の変化により、電源変調器205の電力効率の低下が生じるおそれがある。そこで、本第六の実施の形態における送信装置においては、各バンドのRF信号222、222、…、222の振幅信号に対して最適に設計された電源変調器205、205、…、205をそれぞれ設置するとともに、RF信号222、222、…、222のそれぞれの振幅信号を電源変調器205、205、…、205のそれぞれに対して出力するバンド選択器204Cを設置することによって、振幅信号223を切り替えた場合であっても、電源変調器205の電力効率が低下することを確実に回避することを可能にしている。
【0084】
図14は、本発明による第六の実施の形態における送信装置のRF信号発生器201と振幅信号発生器203とバンド選択器204Cとの内部構成の一例を示すブロック構成図である。図14で示す本第六の実施の形態におけるバンド選択器204Cの内部構成は、第一の実施の形態として図2に示したバンド選択器204とは異なり、バンドスイッチ251、251、…、251のそれぞれに異なる出力端子210、210、…、210が設置され、RF信号222、222、…、222のそれぞれの振幅信号を、出力端子210、210、…、210にそれぞれ出力することができる。図13に示すように、N個の出力端子210、210、…、210は、それぞれ、N個の電源変調器205、205、…、205に接続される。
【0085】
(第六の実施の形態の変形例)
また、本第六の実施の形態においても、第一の実施の形態の変形例と同じく、図15に示すように、遅延器212をRF信号発生器201と電力増幅器202との間に設置しても良い。また、N個の遅延器213、213、…、213をバンド選択器204Cのバンドスイッチ251、251、…、251とN個の電源変調器205、205、…、205とのそれぞれの間に設置しても良い。ここで、図15は、本発明による第六の実施の形態の変形例における送信装置のブロック構成を示すブロック構成図である。あるいは、場合によっては、遅延器212とN個の遅延器213、213、…、213とのいずれか一方のみを設置するようにしても良い。遅延器212と、N個の遅延器213、213、…、213との双方またはいずれか一方をさらに追加して備えることにより、RF信号222、222、…、222のうち振幅信号224の生成用として選択したバンドi(i=1、2、…、N)のRF信号222と、振幅信号224との間の遅延量を調整することを可能にし、RF信号222、222、…、222のうち選択したバンドiのRF信号222と、振幅信号224との同期を取ることができる。
【0086】
また、本第六の実施の形態においても、第二の実施の形態と同じく、RF信号222、222、…、222のN個のバンドそれぞれに対応するリミッタ235、235、…、235のそれぞれをRF信号発生器201内のベースバンド信号発生器231、231、…、231とミキサ233、233、・・・、233とのそれぞれの間に設置しても良い。かくのごとき構成とすることにより、RF信号222、222、…、222のN個のバンドのうち、出力電力が最大になるバンドi(i=1、2、…、N)に対してEER(Envelope Elimination and Restoration)動作を実現することができる。而して、第一の実施の形態の場合と同じく、複数バンドのRF信号を単一の電力増幅器202によって増幅する場合、RF出力信号の電力が最大となるバンドiのみに対して電力増幅器202の電源変調を行うことによって、電力増幅器202の出力電力が変化した場合においても、電力効率を高く維持することができる。
【0087】
(本発明による各実施の形態における効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本発明による各実施の形態における送信装置は、前記特許文献1ないし前記特許文献5において開示されている送信装置に比べて、以下のような効果が得られる。
【0088】
前記特許文献1ないし前記特許文献5に記載の送信装置の場合、一つの電力増幅器では一つのキャリア周波数帯のRF信号のみを増幅するような構成であるため、複数個(n個)のキャリア周波数帯のRF信号を増幅する場合には、複数個(n個)の電力増幅器が必要となる。また、一つの電力増幅器ごとに個別に電源変調(ポーラ変調)を適用するために、複数個(n個)の電源変調器が必要になる。
【0089】
これに対して、本発明による各実施の形態における送信装置の場合には、単一の電力増幅器202によって複数個(n個)のキャリア周波数帯のRF信号を同時に増幅することが可能であるので、増幅するキャリア周波数帯のRF信号の個数(n個)の如何によらず、電力増幅器202の個数は一つのみで良い。これは、本発明による全ての実施の形態において共通の利点である。さらに、本発明による実施の形態における送信装置の場合には、単一の電力増幅器202しか用いないので、電源変調(ポーラ変調)を行うための電源変調器205も、第六の実施の形態の場合を除き、1個のみで良い。
【0090】
したがって、前記特許文献1ないし前記特許文献5に記載の送信装置に比べ、本発明による各実施の形態における送信装置においては、より少ない個数の電力増幅器202および電源変調器205によって高電力効率の送信装置を構成することができるため、回路サイズとコストとを削減することができる。これは、本発明による第六の実施形態以外の全ての実施の形態において実現される利点である。
【0091】
また、前記特許文献1ないし前記特許文献5に記載の送信装置の場合、電力増幅器の入力ないし出力に使用バンドを切り替えるためのバンド切り替え用のスイッチを設置する必要がある。このようなバンド切り替え用のスイッチの使用は、部品点数の増加による回路サイズおよびコストの増大という問題に加え、バンド切り替え用のスイッチの挿入損失により送信装置全体の電力効率が低下するという問題の原因にもなっていた。
【0092】
これに対して、本発明による実施の形態における送信装置の場合は、電力増幅器の入力ないし出力に使用バンドを切り替えるためのバンド切り替え用のスイッチを設置する必要がないので、余分のスイッチの使用による回路サイズおよびコストの増大の問題や、余分のスイッチの挿入損失による送信装置全体の電力効率の低下の問題を回避することができる。
【0093】
さらに、前記特許文献1ないし前記特許文献5に記載の送信装置の場合、バンド切り替えスイッチによって使用する電力増幅器を切り替える方式であり、送信装置が対応している全てのバンドのRF信号を同時には出力することができないという制約がある。かくのごとき制約のため、前記特許文献1ないし前記特許文献5に記載の送信装置は、複数個のバンドを同時に用いて通信するCA技術には適さないという問題があった。
【0094】
これに対して、本発明による実施の形態における送信装置の場合は、任意の個数のバンドのRF信号を同時に出力することが可能であり、CA技術への対応が可能であるという効果が得られる。
【0095】
以上のように、本発明による各実施の形態における送信装置は、部品点数を削減しながら、CA技術に対応し、且つ、電力増幅器の電源変調による電力効率の改善を図ることができるという効果が得られる。
【0096】
以上、本発明の好適な実施形態の構成を説明した。しかし、かかる実施形態は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。例えば、前述の各特許文献等に開示されている内容を、本発明による送信装置に引用をもって繰り込むことも可能である。また、本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることも、当業者には容易に理解できよう。つまり、本発明の全開示(特許請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施の形態の変更・調整が可能である。また、本発明の特許請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせあるいは選択も可能である。以上のように、本発明は、特許請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって、当業者であればなし得ることが可能な各種変形、修正を含むことが当然であることは言うまでもない。
【0097】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0098】
この出願は、2013年12月16日に出願された日本出願特願2013−259211を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【符号の説明】
【0099】
11 周波数発生器
13 プリアンプ
14 パス選択スイッチ
15 コントローラ
20 GSM信号経路
21 GSM用電力増幅器
22 ローパスフィルタ
30 UMTS信号経路
31 UMTS用電力増幅器
33 デュプレクサ
34 受信部
41 アンテナ切り替えスイッチ
42 共用アンテナ
61 変調信号発生器
62 制御部
63 PM制御部
64 AM制御部
101 入力端子
102 出力端子
103 振幅成分信号
104 電源変調器
105 振幅成分信号
106 RF−PA(Radio Frequency Power Amplifier)
107 出力端子
108 RF変調信号
109 電源端子
110 RF変調信号
111 ポーラ変調器
112 出力端子
113 RF位相変調信号
201、201A RF信号発生器
202 電力増幅器
203、203A、203B 振幅信号発生器
204、204A、204B、204C バンド選択器
205 電源変調器
206、207、210、211 端子
208 制御器
212、213 遅延器
221、222 RF信号
223、224 振幅信号
231 ベースバンド信号発生器
232 局所発振(LO)信号発生器
233 ミキサ
234 合成器
235 リミッタ
241 振幅検波器
251 バンドスイッチ
252 スイッチ
253 直流電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
図11
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図13
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図18