(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。本明細書で「水」とは、低温の冷水から高温の湯まで、あらゆる温度の水を含む概念である。
【0011】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の給湯暖房システムを示す構成図である。
図1に示すように、本実施の形態1の給湯暖房システム1は、水ヒーター100と、タンクユニット200とを備える。水ヒーター100とタンクユニット200との間は、第一共通管9、第二共通管3、及び電気配線(図示省略)を介して接続される。本実施の形態1の給湯暖房システム1は、水ヒーター100とタンクユニット200とが分かれた構成であるが、本発明では、水ヒーター100とタンクユニット200とが一体化していても良い。
【0012】
本実施の形態1の水ヒーター100は、ヒートポンプ式の水ヒーターである。水ヒーター100は、冷媒を圧縮する圧縮機13と、水−冷媒熱交換器15と、冷媒を減圧させる減圧装置16と、低温熱源(例えば外気)の熱を冷媒に吸収させる低温側熱交換器17(蒸発器)と、これらの機器を環状に接続することで冷媒回路を形成する冷媒配管14とを備える。水ヒーター100は、この冷媒回路でヒートポンプサイクル(冷凍サイクル)の運転を行うことで、水を加熱する。水ヒーター100は、圧縮機13で圧縮された高温高圧の冷媒と、水とを、水−冷媒熱交換器15にて熱交換させることで、水を加熱する。
【0013】
本発明における水ヒーターは、上述したようなヒートポンプ式の水ヒーターに限定されるものではなく、いかなる方式のものでも良い。例えば、本発明における水ヒーターは、太陽熱で水を加熱するソーラー水ヒーター、または、燃料(例えばガス、灯油、重油、石炭など)の燃焼熱で水を加熱する燃焼式水ヒーターでも良い。
【0014】
タンクユニット200は、貯湯タンク2、切替弁6、及び水ポンプ11を内蔵する。貯湯タンク2内には、水が貯留される。貯湯タンク2内では、温度の違いによる水の密度の差により、上側が高温で下側が低温になる温度成層を形成できる。貯湯タンク2の下部には、給水管18が接続される。水道等の水源から供給される水が給水管18を通って貯湯タンク2内に供給される。貯湯タンク2の上部には、給湯管19が接続される。外部へ給湯する際には、貯湯タンク2に貯えられた湯が給湯管19へ送り出される。
【0015】
貯湯タンク2は、第一水出口25及び第一水入口26を有する。貯湯タンク2の内部の水が第一水出口25から出る。水ヒーター100で加熱された湯が第一水入口26から貯湯タンク2の内部へ入る。第一水出口25は、貯湯タンク2の下部にある。第一水入口26は、貯湯タンク2の上部にある。切替弁6は、第一ポート6a、第二ポート6b、及び第三ポート6cを有する。切替弁6は、第三ポート6cを第一ポート6aに連通させて第二ポート6bを遮断する状態と、第三ポート6cを第二ポート6bに連通させて第一ポート6aを遮断する状態とに切り替え可能である。
【0016】
下部管8は、貯湯タンク2の第一水出口25と、第一共通管9の上流端との間を接続する。第一共通管9の下流端は、水ヒーター100の水−冷媒熱交換器15の水入口に接続される。第一共通管9の途中に、水ポンプ11が接続される。本実施の形態1では、水ポンプ11をタンクユニット200に内蔵しているが、本発明では、水ポンプ11を水ヒーター100側に設置しても良い。第二共通管3は、水ヒーター100の水−冷媒熱交換器15の水出口と、切替弁6の第三ポート6cとの間を接続する。上部管4は、切替弁6の第一ポート6aと、貯湯タンク2の第一水入口26との間を接続する。
【0017】
暖房端末12は、水ヒーター100及びタンクユニット200の外部に設けられる。タンクユニット200と暖房端末12との間は、第一外部管22及び第二外部管23を介して接続される。タンクユニット200は、第二水出口27及び第二水入口28を有する。タンクユニット200から暖房端末12へ供給される水は、第二水出口27からタンクユニット200外へ出る。第一内部管5は、タンクユニット200の内部で、切替弁6の第二ポート6bと、第二水出口27との間を接続する。第一外部管22の上流端は、タンクユニット200の外側から第二水出口27に接続される。第一外部管22の下流端は、暖房端末12の入口側に接続される。第二外部管23の上流端は、暖房端末12の出口側に接続される。第二外部管23の下流端は、タンクユニット200の外側から第二水入口28に接続される。第二内部管7は、タンクユニット200の内部で、第二水入口28と、第一共通管9の上流端との間を接続する。暖房端末12からタンクユニット200へ戻る水は、第二水入口28からタンクユニット200内へ入る。
【0018】
タンクユニット200は、制御部10を内蔵する。制御部10とリモートコントローラ21とは、相互通信可能に接続されている。使用者は、リモートコントローラ21から、給湯暖房システム1の運転に関する指令及び設定値の変更などを入力できる。図示を省略するが、制御部10は、ROM(リードオンリーメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及び不揮発性メモリ等を含む記憶部と、記憶部に記憶されたプログラムに基いて演算処理を実行するCPU(セントラルプロセッシングユニット)と、CPUに対して外部の信号を入出力する入出力ポートとを有する。給湯暖房システム1が備えるアクチュエータ類及びセンサ類は、制御部10に電気的に接続される。制御部10は、センサ類の検知値及びリモートコントローラ21からの信号などに基づいて、給湯暖房システム1の動作を制御する。図示を省略するが、リモートコントローラ21は、給湯暖房システム1の状態等の情報を表示する表示部、使用者が操作するスイッチ等の操作部、スピーカ、マイク等が搭載されている。
【0019】
貯湯タンク2の表面には、複数の温度センサが、鉛直方向に間隔をあけて、取り付けられている。制御部10は、これらの温度センサにより、貯湯タンク2内の鉛直方向の温度分布を検知することで、貯湯タンク2内の貯湯量、蓄熱量、残湯量等を算出できる。制御部10は、貯湯タンク2内の貯湯量、蓄熱量、または残湯量に基づいて、後述する蓄熱運転の開始及び停止のタイミングなどを制御する。
【0020】
次に、
図2を参照して、給湯暖房システム1の蓄熱運転について説明する。
図2は、本実施の形態1の給湯暖房システム1の蓄熱運転時の水の循環回路を示す図である。
図2中の矢印は、水が流れる方向を示す。蓄熱運転では、切替弁6が、第三ポート6cを第一ポート6aに連通させて第二ポート6bを遮断する状態に制御され、水ポンプ11が駆動される。蓄熱運転では、貯湯タンク2の下部の低温水が、第一水出口25、下部管8、及び第一共通管9を通り、水ヒーター100の水−冷媒熱交換器15に送られる。そして、水−冷媒熱交換器15で加熱されることで高温になった水が、第二共通管3、切替弁6の第三ポート6c、第一ポート6a、上部管4、及び、第一水入口26を通り、貯湯タンク2の上部に流入する。蓄熱運転では、上記のように水が循環することで、貯湯タンク2の内部に上から下に向かって高温水が貯えられていき、貯湯タンク2の蓄熱量が増加する。
【0021】
上述した蓄熱運転時の水の循環回路を「蓄熱水回路」と称する。また、第一水出口25から、下部管8、第一共通管9、水−冷媒熱交換器15、第二共通管3、切替弁6の第三ポート6c、第一ポート6a、及び上部管4を通り、第一水入口26に至る経路を「蓄熱水経路」と称する。
【0022】
次に、
図3を参照して、給湯暖房システム1の暖房運転について説明する。
図3は、本実施の形態1の給湯暖房システム1の暖房運転時の水の循環回路を示す図である。
図3中の矢印は、水が流れる方向を示す。暖房運転では、切替弁6が、第三ポート6cを第二ポート6bに連通させて第一ポート6aを遮断する状態に制御され、水ポンプ11が駆動される。暖房運転では、水ヒーター100の水−冷媒熱交換器15で加熱された水が、第二共通管3、切替弁6の第三ポート6c、第二ポート6b、第一内部管5、第二水出口27、及び、第一外部管22を通り、暖房端末12に送られる。そして、この水は、暖房端末12で、室内空気または床などに熱を奪われることで、温度低下する。この温度低下した水は、第二外部管23、第二水入口28、第二内部管7、及び、第一共通管9を通り、水ヒーター100の水−冷媒熱交換器15に戻る。水−冷媒熱交換器15に戻った水は、再加熱され、再循環する。
【0023】
上述した暖房運転時の水の循環回路を「暖房水回路」と称する。また、第二水入口28から、第二内部管7、第一共通管9、水−冷媒熱交換器15、第二共通管3、切替弁6の第三ポート6c、第二ポート6b、及び第一内部管5を通り、第二水出口27に至る経路を「暖房水経路」と称する。切替弁6により、蓄熱水経路と暖房水経路とを切り替え可能である。
【0024】
第一共通管9、水−冷媒熱交換器15、第二共通管3、及び、第三ポート6cは、蓄熱水経路と暖房水経路とが重複する重複部分に相当する。第一共通管9及び第二共通管3は、この重複部分を形成する管に相当する。上部管4及び下部管8は、この重複部分以外の蓄熱水経路を形成する管に相当する。第一内部管5及び第二内部管7は、この重複部分以外の暖房水経路を形成する管に相当する。
【0025】
暖房端末12は、1または複数の暖房器具24を備える。水ヒーター100で加熱された水を暖房器具24に流すことで、室内の空気の温度を上昇させる。暖房器具24としては、例えば、床下に設置される床暖房パネル、室内壁面に設置されるラジエータまたはパネルヒーター、及び、ファンコンベクターのうち、少なくとも一種を用いることができる。ファンコンベクターは、室内空気循環用の送風機と、室内空気及び液体の熱を交換する熱交換器とを備え、強制対流により暖房を行う。暖房端末12が複数の暖房器具24を備える場合、それらの種類は同じでも良いし異なっていても良い。
【0026】
暖房端末12の種類によっては、暖房器具24を複数内蔵する場合がある。また、複数の暖房端末12が並列に接続されることがある。暖房端末12の据付現場ごとに、暖房端末12の内部配管の長さ、数、及びつなぎ方、暖房器具24の長さ、数、及びつなぎ方などが、様々に異なる。
図4から
図7は、暖房端末12の構成例を示す図である。
図4から
図7では、便宜上、暖房端末12の符号に大文字のアルファベットを付記することで、区別する。
図4に示す暖房端末12Aは、単一の暖房器具24を備える。
図5から
図7の暖房端末12は、複数の暖房器具24を備える。
図5から
図7では、便宜上、暖房器具24の符号に小文字のアルファベットを付記することで、区別する。
【0027】
図5に示す暖房端末12Bは、5個の暖房器具24a,24b,24c,24d,24eを備える。暖房器具24c及び24dは、直列に接続される。暖房器具24c及び24dに対して、暖房器具24a,24b,24eがそれぞれ並列に接続される。
【0028】
図6に示す暖房端末12Cは、5個の暖房器具24a,24b,24c,24d,24eを備え、これらのつなぎ方は
図5の暖房端末12Bと同様である。しかし、
図6に示す暖房端末12Cは、
図5の暖房端末12Bに比べて、暖房器具24eに接続される内部配管の長さが長くなっている。
【0029】
図7に示す構成例では、2個の暖房端末12D及び12Eが第一外部管22及び第二外部管23に対して並列に接続される。暖房端末12Dは、4個の暖房器具24a,24b,24c,24dを備える。直列に接続された暖房器具24a及び24bが、直列に接続された暖房器具24c及び24dに対して、並列に接続される。暖房端末12Eは、5個の暖房器具24e,24f,24g,24h,24iを備える。暖房器具24g及び24hは、直列に接続される。暖房器具24g及び24hに対して、暖房器具24e,24f,24iがそれぞれ並列に接続される。
【0030】
図5から
図7に示すような暖房端末12が接続された場合、暖房水回路の圧力損失は、蓄熱水回路の圧力損失に比べて、はるかに高くなる場合がある。なお、圧力損失とは、流体が流れる際の単位時間単位流量あたりのエネルギー損失に相当する。配管などの内部流れに対しては、圧力損失は、入口の全圧と出口の全圧との差として定義される。
【0031】
本実施の形態1の給湯暖房システム1は、蓄熱水回路と、暖房水回路とが、一つの水ポンプ11を共用する。すなわち、暖房水回路に専用の水ポンプが不要である。よって、水ポンプの数を減らすことができ、コストを低減できる。水ポンプ11の性能(揚程)は、圧力損失の高い暖房水回路での必要流量を満足できるような性能(揚程)になっている。この水ポンプ11を用いて、圧力損失の低い蓄熱水回路に水を循環させると、適切な流量を超える流量の水が循環してしまう可能性がある。蓄熱運転のときの水の循環流量が適切な流量を超えてしまうと、水ヒーター100から出る湯の温度が低下し、貯湯タンク2に流入する湯の温度を十分に高くできない。
【0032】
本実施の形態1の給湯暖房システム1では、第一水出口25から第一水入口26までの蓄熱水経路の圧力損失を、第二水入口28から第二水出口27までの暖房水経路の圧力損失に比べて、高くしている。
図8は、本実施の形態1の給湯暖房システム1が備える上部管4の縦断面図である。
図8に示すように、上部管4の内部には、狭窄部30が設けられている。狭窄部30の流路断面積は、第一共通管9及び第二共通管3の流路断面積より小さい。狭窄部30の流路断面積は、第一内部管5及び第二内部管7の流路断面積より小さい。狭窄部30は、上部管4の内径に実質的に等しい外径を有する筒状部材である。狭窄部30は、上部管4の内部で固定されている。
【0033】
蓄熱水経路と暖房水経路との重複部分以外の蓄熱水経路を形成する上部管4に狭窄部30を設けることにより、簡単な構成で、蓄熱水経路の圧力損失を暖房水経路の圧力損失に比べて高くできる。蓄熱運転のときには狭窄部30を水が通ることで高い圧力損失が発生する。暖房運転のときには狭窄部30を水が通らないので、狭窄部30による高い圧力損失は発生しない。蓄熱運転のときには、狭窄部30による高い圧力損失が発生することで、蓄熱水回路の循環流量を抑制できる。このため、蓄熱運転のときの水の循環流量を適切な流量に抑えることができ、水ヒーター100から出る湯の温度を十分に高くできる。その結果、貯湯タンク2に貯える湯の温度を十分に高くできる。暖房運転のときには、狭窄部30による高い圧力損失が発生しないことで、暖房水回路での必要流量を十分に確保できる。
【0034】
本実施の形態1では、上部管4に狭窄部30を設けているが、このような構成に限らず、蓄熱水経路と暖房水経路との重複部分以外の蓄熱水経路を形成する下部管8に狭窄部30を設けても良い。その場合であっても、上記の効果が得られる。
【0035】
本実施の形態1では、上部管4に狭窄部30を設けており、下部管8に狭窄部30を設けていない。これにより、以下のような効果がある。給湯暖房システム1の修理を行う場合、あるいは、給湯暖房システム1の使用を休止する場合などに、貯湯タンク2の内部の水を抜いて空にすることがある。そのような排水を行うための排水栓(図示省略)を、第一共通管9または第二内部管7に接続する構成が考えられる。そのような構成において、排水栓を開くと、貯湯タンク2の内部の水が下部管8を通って排水栓から排出される。下部管8に狭窄部30を設けた場合、貯湯タンク2の内部の水を抜くのにかかる時間が長くなる。これに対し、本実施の形態1では、上部管4に狭窄部30を設けており、下部管8に狭窄部30を設けていないことで、貯湯タンク2の内部の水を抜くのにかかる時間が長くなることがない。
【0036】
水ポンプ11は、回転速度が可変のものでも良い。その場合、水ポンプ11として、例えば、制御部10からの速度指令電圧により回転速度を変えられるパルス幅変調制御(PWM制御)型の直流モータを備えたものを好ましく用いることができる。蓄熱水経路の圧力損失が暖房水経路の圧力損失以下である場合、水ポンプ11の回転速度を最低速度に制御しても、蓄熱運転のときの水の循環流量が適切な流量を超えてしまうことがある。これに対し、本実施の形態1では、蓄熱水経路の圧力損失を暖房水経路の圧力損失に比べて高くしたことで、蓄熱運転のときの水の循環流量を適切な流量に確実に抑えることができる。
【0037】
給湯暖房システム1では、蓄熱水経路の圧力損失の値をP1とし、暖房水経路の圧力損失の値をP2としたとき、P1/P2の値は、2.0以上が好ましく、2.4以上がより好ましい。また、P1/P2の値は、6.0以下が好ましく、4.3以下がより好ましい。P1/P2の値をこのような範囲内の値にすることで、蓄熱運転のときの水の循環流量を適切な流量に確実に抑えつつ、水ポンプ11の消費電力の増加を抑制できる。
【0038】
給湯暖房システム1に使用する水ポンプ11を選定する際には、前述したような様々な構成の暖房端末12が使用される場合の暖房水回路の圧力損失が実測または試算され、かつ、第一共通管9及び第二共通管3の長さに応じて変化する蓄熱水回路の圧力損失が実測または試算される。その実測または試算において暖房水回路の圧力損失が最大になると想定される構成においても、暖房水回路の水の循環流量を所期の値(例えば毎分10リットル)にできるような最高揚程を有する水ポンプ11が選定される。また、上記の実測または試算において蓄熱水回路の圧力損失が最小なると想定される構成においても、蓄熱水回路の水の循環流量を所期の値(例えば毎分1リットル)にできるような最低揚程を有する水ポンプ11が選定される。一般に、水ポンプ11の揚程幅(最高揚程と最低揚程との差)を拡大するにつれ、水ポンプ11のサイズが大きくなり、水ポンプ11に必要な設置スペースが拡大するという問題がある。P1/P2の値を上述のような範囲内の値にすることで、蓄熱運転のときの水の循環流量を適切な流量に確実に抑えつつ、水ポンプ11のサイズが過大になることを確実に抑制できる。
【0039】
実施の形態2.
次に、
図9を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
図9は、本実施の形態2の給湯暖房システム1が備える上部管4の縦断面図である。
【0040】
図9に示す上部管4の流路断面積は、第一共通管9及び第二共通管3の流路断面積より小さく、また、第一内部管5及び第二内部管7の流路断面積より小さい。本実施の形態2の上部管4は、第一共通管9及び第二共通管3より細く、また、第一内部管5及び第二内部管7より細い。本実施の形態1では、このような細い上部管4を用いることで、上部管4自体が狭窄部を形成する。このため、実施の形態1の狭窄部30のような別部材が不要となり、コストを低減できる。本実施の形態2の給湯暖房システム1は、実施の形態1と同様の効果を奏する。上部管4自体が狭窄部を形成することで、簡単な構成で、蓄熱水経路の圧力損失を暖房水経路の圧力損失に比べて高くできる。
【0041】
実施の形態3.
次に、
図10を参照して、本発明の実施の形態3について説明するが、上述した実施の形態との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
図10は、本実施の形態3の給湯暖房システム1が備える切替弁6の断面図である。
【0042】
図10に示すように、切替弁6は、可動要素32と、可動要素32を収納する収納要素とを有する。可動要素32は、例えば、略球形のボール弁体である。可動要素32は、L字型の貫通流路34を有する。貫通流路34の両端は、可動要素32の表面に開口する。可動要素32は、
図10の紙面に垂直な回転軸を中心として回転可能である。可動要素32をステッピングモータ(図示省略)で回転させるように構成した場合、可動要素32の回転角度を容易に制御できる。
【0043】
切替弁6の収納要素は、第一ポート6a、第二ポート6b、第三ポート6c、Oリング31、及びシール部材33を有する。Oリング31及びシール部材33は、第一ポート6a、第二ポート6b、及び第三ポート6cのそれぞれに対して設けられている。シール部材33は、可動要素32の表面に接触することで、シール部材33と可動要素32との隙間からの液漏れを防止する。Oリング31は、第一ポート6a、第二ポート6b、及び第三ポート6cと、それぞれのシール部材33との隙間からの液漏れを防止する。
図10は、制御部10が切替弁6を蓄熱水経路に切り替えた状態を示す。この状態では、第一ポート6aと第三ポート6cとが貫通流路34を介して連通する。この状態では、第二ポート6bに設けられたシール部材33に可動要素32の表面が接触することで、第二ポート6bが遮断される。
【0044】
切替弁6の第一ポート6aの内部には、狭窄部30が設けられている。狭窄部30の流路断面積は、第二ポート6bの流路断面積より小さい。狭窄部30は、第一ポート6aの内径に実質的に等しい外径を有する筒状部材である。狭窄部30は、第一ポート6aの内部で固定されている。狭窄部30を設けることで、第一ポート6aの圧力損失が、第二ポート6bの圧力損失に比べて、高くされている。このように、蓄熱水経路に繋がる第一ポート6aの圧力損失を、暖房水経路に繋がる第二ポート6bの圧力損失に比べて高くすることで、簡単な構成で、蓄熱水経路の圧力損失を暖房水経路の圧力損失に比べて高くできる。本実施の形態3の給湯暖房システム1は、実施の形態1と同様の効果を奏する。狭窄部30は、第一ポート6aに一体的に形成しても良い。
【0045】
実施の形態4.
次に、
図11を参照して、本発明の実施の形態4について説明するが、上述した実施の形態との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
図11は、本実施の形態4の給湯暖房システム1が備える切替弁6の断面図である。
図11は、制御部10が切替弁6を蓄熱水経路に切り替えた状態を示す。
【0046】
切替弁6は、可動要素32と、可動要素32を収納する収納要素とを有する。可動要素32は、例えば、略球形のボール弁体である。可動要素32は、L字型の貫通流路34を有する。貫通流路34の両端は、可動要素32の表面に開口する。可動要素32は、
図11の紙面に垂直な回転軸を中心として回転可能である。切替弁6の収納要素は、第一ポート6a、第二ポート6b、第三ポート6c、Oリング31、及びシール部材33を有する。Oリング31及びシール部材33は、第一ポート6a、第二ポート6b、及び第三ポート6cのそれぞれに対して設けられている。シール部材33は、可動要素32の表面に接触することで、シール部材33と可動要素32との隙間からの液漏れを防止する。Oリング31は、第一ポート6a、第二ポート6b、及び第三ポート6cと、それぞれのシール部材33との隙間からの液漏れを防止する。
【0047】
切替弁6が蓄熱水経路に切り替えられたとき、
図11に示すように、可動要素32の貫通流路34の両端の開口の一部分が、収納要素のシール部材33で塞がれる。貫通流路34の一端の開口の一部分は、第一ポート6aに設けられたシール部材33で塞がれる。貫通流路34の他端の開口の一部分は、第三ポート6cに設けられたシール部材33で塞がれる。
【0048】
本実施の形態4では、切替弁6が蓄熱水経路に切り替えられたときに、可動要素32の貫通流路34の両端の開口の一部分がシール部材33で塞がれることで、水の流路が絞られ、高い圧力損失が発生する。そのため、蓄熱水経路の圧力損失を暖房水経路の圧力損失に比べて高くできる。本実施の形態4の給湯暖房システム1は、実施の形態1と同様の効果を奏する。本実施の形態4によれば、可動要素32の回転角度を制御することで、実施の形態1と同様の効果が得られるので、新たな部品を追加する必要がなく、コストを低減できる。
【0049】
図示を省略するが、制御部10が切替弁6を暖房水経路に切り替えたときには、可動要素32の貫通流路34の両端の開口がシール部材33で塞がれないように、可動要素32の回転位置が制御される。すなわち、切替弁6が暖房水経路に切り替えられたとき、貫通流路34の一端の開口の全体が、第二ポート6bに設けられたシール部材33の中央の孔に重なり、貫通流路34の他端の開口の全体が、第三ポート6cに設けられたシール部材33の中央の孔に重なる。切替弁6が暖房水経路に切り替えられたときには、高い圧力損失は発生しない。
【0050】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明では、上述した複数の実施の形態を任意に組み合わせて実施しても良い。