特許第6252687号(P6252687)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6252687
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】樹脂多層基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/00 20060101AFI20171218BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   H05K3/00 X
   H05K3/46 G
   H05K3/46 T
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-558965(P2016-558965)
(86)(22)【出願日】2015年10月28日
(86)【国際出願番号】JP2015080395
(87)【国際公開番号】WO2016076113
(87)【国際公開日】20160519
【審査請求日】2016年12月20日
(31)【優先権主張番号】特願2014-227934(P2014-227934)
(32)【優先日】2014年11月10日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】足立 登志郎
【審査官】 齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−318538(JP,A)
【文献】 特開2007−281431(JP,A)
【文献】 特公平6−334(JP,B2)
【文献】 国際公開第2008/066133(WO,A1)
【文献】 特開平7−108683(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0254193(US,A1)
【文献】 特開平4−139785(JP,A)
【文献】 特開平10−264206(JP,A)
【文献】 特開2000−317976(JP,A)
【文献】 特開平7−80935(JP,A)
【文献】 特開2003−163458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K1/00−3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂を主材料とする複数の基材を積層したものに対して、前記熱可塑性樹脂の軟化温度以上の温度で、圧力をかけた状態で加熱プレスすることにより、一体化させて集合基板を得る工程と、
前記集合基板から個別基板を切り出す工程と、
前記個別基板を前記熱可塑性樹脂の前記軟化温度以上で再加熱する工程とを含み、
前記切り出す工程は、前記集合基板を粘着シートに貼り付けた状態で行なうものであり、
前記再加熱する工程は、前記粘着シートを前記粘着シートの面に平行な方向に引っ張った状態で行なうものである、樹脂多層基板の製造方法。
【請求項2】
前記集合基板を得る工程で加熱プレスする時間を第1の時間とすると、
前記再加熱する工程では、前記第1の時間より短い第2の時間にわたって加熱する、請求項1に記載の樹脂多層基板の製造方法。
【請求項3】
前記再加熱する工程において加熱している時間のうち少なくとも一部にわたって、前記個別基板を加圧する、請求項1または2に記載の樹脂多層基板の製造方法。
【請求項4】
前記集合基板を得る工程で加熱プレスする際にかける圧力を第1の圧力とすると、
前記個別基板を加圧する際には、前記第1の圧力より低い第2の圧力で加圧する、請求項3に記載の樹脂多層基板の製造方法。
【請求項5】
前記集合基板を得る工程で加熱プレスする際の温度を第1の温度とすると、
前記再加熱する工程では、前記第1の温度より低い第2の温度で加熱する、請求項1から4のいずれかに記載の樹脂多層基板の製造方法。
【請求項6】
前記再加熱する工程の後に、前記個別基板に部品を実装する工程を含む、請求項1からのいずれかに記載の樹脂多層基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂多層基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば特開2014−120722号公報(特許文献1)においては、発光装置を得るために、集合基板の状態で基板上に所定の部品を実装し、基板表面からこれらの部品の側面までが埋まるように反射樹脂を配置した後に、所定の切断線に沿って反射樹脂および基板を一括して切断している。こうすることにより、個別の製品への切分けが行なわれている。この切分けの工程は「個片化」とも呼ばれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−120722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような発光装置の製造方法においても、集合基板の状態から個片化する際に、材料の切り屑が発生すると思われるが、特許文献1では、切り屑の扱いは考慮されていない。個片化は、刃物を用いて行なう場合であっても、レーザ加工による場合であっても、周辺に材料の切り屑が飛散する。
【0005】
個片化の際に周辺に飛散した切り屑は、粉状の物体として個別の製品の上面などに散乱していると思われる。切り屑がそのように散乱していると製品の外観が悪くなる。また、製品に予め設けられていた位置決めマークなどに切り屑が重なると、この位置決めマークを利用した自動位置決めが正しく行なえなくなったりする。さらに、既に製品の表面に散乱していた切り屑が、何らかの衝撃によって再浮遊して散乱し、他の不所望な位置に着地する可能性もある。製品が備える他の部品に切り屑が付着すると、当該他の部品の動作や特性に支障をきたす場合もある。
【0006】
そこで、本発明は、個片化の際に生じて散乱する切り屑に起因する不都合を低減することができる樹脂多層基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に基づく樹脂多層基板の製造方法は、熱可塑性樹脂を主材料とする複数の基材を積層したものに対して、上記熱可塑性樹脂の軟化温度以上の温度で、圧力をかけた状態で加熱プレスすることにより、一体化させて集合基板を得る工程と、上記集合基板から個別基板を切り出す工程と、上記個別基板を上記熱可塑性樹脂の上記軟化温度以上で再加熱する工程とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、散乱していた切り屑は軟化した後に再凝固するので、個別基板に一体化し、その結果、個片化の際に生じて散乱する切り屑に起因する不都合を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に基づく実施の形態1における樹脂多層基板の製造方法のフローチャートである。
図2】本発明に基づく実施の形態1における樹脂多層基板の製造方法の第1の工程の説明図である。
図3】本発明に基づく実施の形態1における樹脂多層基板の製造方法の第2の工程の説明図である。
図4】本発明に基づく実施の形態1における樹脂多層基板の製造方法の第3の工程の説明図である。
図5】本発明に基づく実施の形態1における樹脂多層基板の製造方法の第4の工程の説明図である。
図6】本発明に基づく実施の形態1における樹脂多層基板の製造方法の第5の工程の説明図である。
図7】本発明に基づく実施の形態1における樹脂多層基板の製造方法の第6の工程の説明図である。
図8】本発明に基づく実施の形態1における樹脂多層基板の製造方法の第7の工程の説明図である。
図9】本発明に基づく実施の形態1における樹脂多層基板の製造方法の第8の工程の説明図である。
図10】本発明に基づく実施の形態1における樹脂多層基板の製造方法の第9の工程の説明図である。
図11図10におけるZ部の拡大図である。
図12】熱可塑性樹脂の軟化温度以上で再加熱する工程を終えた後の、Z部の拡大図である。
図13】本発明に基づく実施の形態2における樹脂多層基板の製造方法で行なう工程の説明図である。
図14】本発明に基づく実施の形態2における樹脂多層基板の製造方法の途中段階での個別基板の上面端部近傍の拡大図である。
図15】本発明に基づく実施の形態3における樹脂多層基板の製造方法の途中段階で粘着シートを引っ張る様子の説明図である。
図16】本発明に基づく実施の形態4における樹脂多層基板の製造方法のフローチャートである。
図17】本発明に基づく実施の形態4における樹脂多層基板の製造方法により部品を実装した後の様子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態1)
図1図12を参照して、本発明に基づく実施の形態1における樹脂多層基板の製造方法について説明する。本実施の形態における樹脂多層基板の製造方法のフローチャートを図1に示す。
【0011】
本実施の形態における樹脂多層基板の製造方法は、熱可塑性樹脂を主材料とする複数の基材を積層したものに対して、前記熱可塑性樹脂の軟化温度以上の温度で、圧力をかけた状態で加熱プレスすることにより、一体化させて集合基板を得る工程S1と、前記集合基板から個別基板を切り出す工程S2と、前記個別基板を前記熱可塑性樹脂の前記軟化温度以上で再加熱する工程S3とを含む。
【0012】
以下、より詳しく説明する。まず、工程S1に先立って、「熱可塑性樹脂を主材料とする複数の基材を積層したもの」を用意する。基材とは、シート状のものに限らず、どのような形状のものであってもよいが、通常はシート状のもの、すなわち、樹脂シートが用いられる。
【0013】
まず、図2に示すような導体箔付き樹脂シート12を用意する。導体箔付き樹脂シート12は、樹脂層2の片面に導体箔17が付着した構造のシートである。樹脂層2は、たとえば熱可塑性樹脂である。本実施の形態では、樹脂層2は、たとえば熱可塑性タイプのPI(ポリイミド)を主材料とする。樹脂層2の材料としては、熱可塑性タイプのPIの他に、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PEI(ポリエーテルイミド)、PPS(ポニフェニレンスルファイド)、LCP(液晶ポリマー)などであってもよい。導体箔17は、たとえばCuからなる金属箔である。本実施の形態では、導体箔17としては、厚み18μmの金属箔を用いることとする。なお、導体箔17の材料はCu以外にAg、Al、SUS、Ni、Auであってもよく、これらの金属のうちから選択された2以上の異なる金属の合金であってもよい。本実施の形態では、導体箔17は厚み18μmとしたが、導体箔17の厚みは、たとえば3μm以上40μm以下程度のものが用いられる。すなわち、導体箔17は、回路形成が可能な厚みであればよい。
【0014】
導体箔付き樹脂シート12を用意する際には、複数枚の導体箔付き樹脂シート12を用意してもよく、1枚の導体箔付き樹脂シート12の中に、のちに複数の樹脂シートとして個別に切り出されるべき領域が設定されたものを用意してもよい。
【0015】
次に、フォトリソグラフィなどの方法により、導体箔17のパターニングを行なう。図3に示すように、導体箔17のうち残った部分が導体パターン7となる。
【0016】
次に、図4に示すように、導体箔付き樹脂シート12の導体パターン7が付着する面とは反対側の樹脂層2の表面にレーザ光13を照射することによって樹脂層2を貫通するようにビア孔11を形成する。レーザ光13はたとえば炭酸ガスレーザ光であってよい。ビア孔11は、樹脂層2を貫通しているが導体パターン7は貫通していない。その後、必要に応じてビア孔11のスミア(図示せず)を除去する。ビア孔11を形成するためのレーザ光13としては、樹脂層2は貫通するが導体箔は貫通しないレーザ光を用いることが好ましい。また、ビア孔11を形成するためにレーザ光照射以外の方法を採用してもよい。
【0017】
図5に示すように、ビア孔11にスクリーン印刷などにより導体ペーストを充填することによって、層間接続導体6が形成される。
【0018】
ここでは、先にパターニングにより導体パターン7を形成してからビア孔11を形成し、層間接続導体6を形成したが、この順序は逆であってもよい。すなわち、ビア孔11をあけて層間接続導体6を形成してからパターニングを行なって導体パターン7を形成してもよい。
【0019】
層間接続導体6を形成するために充填される導電性ペーストは銀を主成分とするものであってもよいが、その代わりにたとえば銅を主成分とするものであってもよい。この導電性ペーストは、のちに積層した樹脂層を熱圧着する際の温度(以下「熱圧着温度」という。)で、導体パターン7の材料である金属との間で合金層を形成するような金属粉を適量含むものであることが好ましい。この導電性ペーストは導電性を発揮するための主成分として銅すなわちCuを含むので、この導電性ペーストは主成分の他にAg,Cu,Niのうち少なくとも1種類と、Sn,Bi,Znのうち少なくとも1種類とを含むことが好ましい。こうして図5に示したように層間接続導体6が形成される。
【0020】
図6に示すように、複数の基材が集められる。ここでは、複数の基材の集合が基材群19として示されている。個々の基材は樹脂層2を含むシート状のものである。これらの基材が積層されることによって図7に示すように積層体20が得られる。工程S1としては、図8に矢印91で示すように、積層体20に対して、熱可塑性樹脂の軟化温度以上の温度で、圧力をかけた状態で加熱プレスする。熱可塑性樹脂の軟化温度は、たとえば250℃以上260℃以下のいずれかの温度である。工程S1で加熱プレスに用いる「軟化温度以上の温度」とはたとえば270℃である。工程S1で加熱プレスのためにかける圧力はたとえば8.4MPaである。この加熱プレスを行なう時間はたとえば1時間である。
【0021】
これにより、積層体20は一体化して図9に示すような集合基板22が得られる。工程S1における加熱プレスは、全ての基材を積層し終えてから一括して加熱プレスするものであってもよいが、1層または一定数の層の基材を積層するごとに加熱プレスし、その後に次の1層または一定数の層の基材を積層し、再び加熱プレスする、という手順を繰り返す方法であってもよい。あるいは、1層または一定数の層の基材を積層するごとに仮の加熱プレスを行ない、全ての層の基材を積層し終えてから本格的な加熱プレスをするという方法であってもよい。
【0022】
さらに、集合基板22の表面に露出する導体パターン7の周囲にソルダレジスト層(図示せず)を形成してもよい。集合基板22の表面に露出する導体パターン7の表面を覆うように適宜めっき膜(図示せず)を形成してもよい。
【0023】
工程S2として、集合基板22から個別基板24を切り出す工程を行なう。すなわち、集合基板22を切断する。この切断は、ダイジングブレードなどの刃物によって行なってもよく、レーザ加工などの非接触の方法によってもよい。工程S2では、集合基板22から個別基板24が1個以上切り出されるものであればよい。通常は、1つの集合基板22から多数の個別基板24が切り出される。工程S2を行なった結果を図10に示す。中央で切断されるだけでなく、端部も余白部分を切断することによって寸法が整えられている。図10では説明の便宜のために、1つの集合基板22から2つの個別基板24が切り出されているが、実際には2つに限らずより多くの個数の個別基板24が切り出されてもよい。図10に示した例では、粘着シート4の表面に集合基板22を貼り付けた状態で工程S2が行なわれているが、粘着シート4を用いること自体は必須ではない。粘着シート4に貼り付けることなく集合基板22をそのまま切断することとしてもよい。図10に示した例では、粘着シート4の表面に集合基板22を貼り付けた状態で、粘着シート4は切断しないように集合基板22を切断しているので、粘着シート4の表面に個別基板24が付着した状態のものが得られている。
【0024】
工程S2を終えた時点では、図10に示すように個別基板24の上面に切り屑5が載っている。図10におけるZ部を拡大したところを図11に示す。個別基板24は、上面24aと、工程S2で行なわれた切断によって新たに出現した側面24bとを有する。上面24aの端部には切り屑5が載っている。切り屑5は集合基板22を切断する際に散乱したものである。工程S2の切断を、刃物で行なった場合にもレーザ加工などで行なった場合にも切り屑5は発生しうる。
【0025】
工程S3として個別基板24を熱可塑性樹脂の軟化温度以上で再加熱する。その結果、切り屑5は溶融する。加熱をやめた後には、切り屑5は再び固まるが、この時点では、図12に示すように上面24aに一体化している。この例では、元々切り屑5であったものは、上面24aに突起15として残存している。
【0026】
本実施の形態では、個別基板24に切り出す工程S2の後に、熱可塑性樹脂の前記軟化温度以上で再加熱する工程S3を含んでいるので、散乱していた切り屑5は工程S3において軟化し、溶融した後に再凝固することによって、図12に示すように個別基板24に一体化する。一体化した切り屑5はもはや自由に動くことはない。工程S3によって個別基板24に一体化した切り屑5は、突起15として残存していてもよいが、形をほぼあるいは完全に失っていてもよい。図12に示した突起15はあくまで一例であり、切り屑5は、工程S3の後では突起15として残存する必要はない。
【0027】
本実施の形態によれば、個片化の際に生じて散乱する切り屑に起因する不都合を低減することができる。
【0028】
ここでは、個別基板24の上面24aに散乱している切り屑5に注目して説明したが、側面24bに付着している切り屑があったとしても、同様に工程S3によって溶融し、個別基板24に一体化するので、側面に付着する切り屑に起因する不都合も低減することができる。
【0029】
なお、集合基板を得る工程S1で加熱プレスする時間を第1の時間T1とすると、再加熱する工程S3では、第1の時間T1より短い第2の時間T2にわたって加熱することが好ましい。上述の例では、第1の時間T1は1時間であった。第2の時間T2は第1の時間T1より短い時間であるので、たとえば10分以上20分以内の任意の時間である。工程S3での再加熱を第2の時間T2に抑えることによって、個別基板が過剰に加熱されることを避けることができる。また、無駄な加熱がなくなり、工程S3に要する時間を短縮することができる。
【0030】
(実施の形態2)
図13を参照して、本発明に基づく実施の形態2における樹脂多層基板の製造方法について説明する。本実施の形態における樹脂多層基板の製造方法は、実施の形態1で説明した製造方法に比べれば、基本的な部分は同様であるが、以下の点で異なる。
【0031】
本実施の形態における樹脂多層基板の製造方法においては、再加熱する工程S3において加熱している時間のうち少なくとも一部にわたって、図13に示すように個別基板24を加圧する。図13に示した例では、粘着シート4に複数の個別基板24が固定されたままの状態で、これらを金型31,32によって挟み込み、矢印92に示すように加圧している。このように加圧することによって、個別基板24の上面端部近傍は図14に示すように平坦になる。
【0032】
本実施の形態では、再加熱する工程S3において個別基板24を加圧しているので、散乱した切り屑5は工程S3において軟化し、溶融した状態で押しつぶされて個別基板24の上面24aに一体化する。したがって、図14に示すように、上面24aには切り屑5が存在した痕跡はほぼ残らない。
【0033】
本実施の形態によれば、個片化の際に生じて散乱していた切り屑に起因する不都合を実施の形態1の場合以上に確実に低減することができる。
【0034】
なお、集合基板22を得る工程S1で加熱プレスする際にかける圧力を第1の圧力P1とすると、工程S3で個別基板24を加圧する際には、第1の圧力P1より低い第2の圧力P2で加圧することが好ましい。第1の圧力P1が8.4MPaであるとすると、第1の圧力P2はたとえば0.5MPa以上1.0MPa以下の圧力であってよい。工程S1における加圧は、複数の基材の全体を一体化することが目的であったが、工程S3における加圧は、切り屑5を個別基板24の上面24aに一体化させることが目的であるので、このように小さな圧力であっても足りる。このように低い第2の圧力P2で加圧することとすれば、個別基板が不所望に変形する度合を抑えることができる。
【0035】
なお、集合基板を得る工程S1で加熱プレスする際の温度を第1の温度H1とすると、再加熱する工程S3では、第1の温度H1より低い第2の温度H2で加熱することが好ましい。第1の温度H1が270℃であるとすると、第2の温度H2は、たとえば熱可塑性樹脂の軟化温度に比べて3℃以上8℃以下を足した温度である。このように工程S1の加熱プレスよりも低い第2の温度H2で工程S3を行なうこととすれば、個別基板24が不所望に変形する度合を抑えることができる。
【0036】
なお、実施の形態1,2では、図10に示したように、工程S2は、集合基板22を粘着シート4に貼り付けた状態で行なっていた。切り出す工程S2は、このように集合基板22を粘着シート4に貼り付けた状態で行なうことが好ましい。このようにすることによって、切り出した後の個別基板24が不所望に変位したり散逸したり落下したりすることを防止することができるので好都合である。
【0037】
(実施の形態3)
図15を参照して、本発明に基づく実施の形態3における樹脂多層基板の製造方法について説明する。本実施の形態における樹脂多層基板の製造方法は、実施の形態1〜2で説明した製造方法に比べれば、基本的な部分は同様であるが、以下の点で異なる。
【0038】
本実施の形態では、図15に示すように、工程S2は集合基板22を粘着シート4に貼り付けた状態で行なう。本実施の形態では、再加熱する工程S3は、粘着シート4を粘着シート4の面に平行な方向に引っ張った状態で行なう。すなわち、図15に示す矢印93のように引っ張った状態で個別基板24の切り出しを行なう。
【0039】
本実施の形態では、再加熱する工程S3において、粘着シート4を粘着シート4の面に平行な方向に引っ張った状態としているので、個別基板24同士の間の間隙Gが大きくなる。したがって、個別基板24同士がくっつくことをなるべく防止することができる。特に、実施の形態2で説明したように、再加熱する工程S3において加熱と同時に加圧もする場合、個別基板24の熱可塑性樹脂は軟化した状態で加圧によりそれぞれ側方に膨らむので、互いに隣接する個別基板24同士がくっつきやすい。その点、本実施の形態で述べたように、再加熱する工程S3において、粘着シート4を引っ張ることによって、間隙Gを予め大きくしておけば個別基板24同士がくっつくことをなるべく防止することができる。
【0040】
粘着シート4を引っ張る際には、互いに対向する2方から引っ張ることとしてもよいが、4方から引っ張ることがより好ましい。
【0041】
本実施の形態では、たとえば粘着シート4の外縁部に予め固定用の孔をいくつか設けておき、粘着シート4を引っ張った状態で、これらの孔を何らかのピンに引っ掛けることによって、粘着シート4が引っ張られた状態を維持できるようにして、再加熱する工程S3を行なうこととしてもよい。
【0042】
(実施の形態4)
図16図17を参照して、本発明に基づく実施の形態4における樹脂多層基板の製造方法について説明する。本実施の形態における樹脂多層基板の製造方法は、実施の形態1〜3で説明した製造方法に比べれば、工程S1〜S3は同様であるが、以下の点で異なる。
【0043】
本実施の形態における樹脂多層基板の製造方法のフローチャートを図16に示す。工程S4を行なった結果の一例を図17に示す。本実施の形態における樹脂多層基板の製造方法は、再加熱する工程S3の後に、個別基板24に部品3を実装する工程S4を含む。ここでは、説明の便宜のため、個別基板24に含まれる導体パターン7および層間接続導体6の配置は、図10に示したものとは異なっている。このように部品3を実装するための導体パターン7が個別基板24の上面に露出しており、これらの導体パターン7を外部電極として利用して部品3の実装が行なわれる。
【0044】
本実施の形態では、個別基板24に対する部品3の実装は、再加熱する工程S3より後で行なわれるので、工程S3における熱の影響が部品3に及ぶことを回避することができる。
【0045】
なお、上記各実施の形態のうち1つ以上を組み合わせて実施してもよい。
なお、今回開示した上記実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
【符号の説明】
【0046】
2 樹脂層、3 部品、4 粘着シート、5 切り屑、6 層間接続導体、7 導体パターン、11 ビア孔、12 導体箔付き樹脂シート、13 レーザ光、15 突起、17 導体箔、19 基材群、20 積層体、22 集合基板、24 個別基板、24a 上面、24b 側面、31,32 金型、91,92,93 矢印。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図16
図17