(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記入射光計算部及び前記反射光計算部は、2つの画像において、凹凸形状情報、前記光源情報、前記拡散反射率情報、前記光沢情報、及び観察情報の各々のうち1つ以上の情報が異なっている前記模様の仕上がりをシミュレーションし、
前記表示部が前記2つの画像の各々を、前記表示部の表示画面に並べて表示する
請求項1に記載の面材模様仕上がりシミュレーション装置。
仕上がりをシミュレーションする前記計算情報と、前記計算情報のうち凹凸形状情報、光源情報、拡散反射率情報、光沢情報、及び観察情報のいずれかが異なる全ての計算情報に対し、ユーザの入力に対応した変更を同時に適用する変更部をさらに備える
請求項3に記載の面材模様仕上がりシミュレーション装置。
前記表示部の表示画面における、凹凸形状情報と前記拡散反射率情報と前記光沢情報との各々のデータを入力する各入力画像において、当該入力画像の操作の操作量に対応した数値を、前記凹凸形状情報と前記拡散反射率情報と前記光沢情報との各々のデータとして入力する操作部をさらに備える
請求項3又は請求項4に記載の面材模様仕上がりシミュレーション装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る面材模様仕上がりシミュレーション装置の構成の一例を示すブロック図である。
図1において、面材模様仕上がりシミュレーション装置1は、入力部11、操作部12、法線マップ生成部13、入射光計算部14、反射光計算部15、画素値計算部16、編集部17、表示部18、記憶部19及び面材データベース20を備えている。
【0017】
入力部11には、例えば、キーボード、マウス、タッチパッドなどの入力装置(入力手段)から供給される情報が入力される。入力部11においては、光源特性データ、光源位置データ、観察位置データ、面材位置データ、面材倍率データ、絵柄画像データ、光沢画像データ、凹凸形状データなどの計算情報の入力及び計算情報に対する変更の操作の入力が行われる。
ここで、光源特性データは、シミュレーション時において、計算対象の面材表面に対する光源の出射する光などの特性を示す情報である。光源位置データとは、シミュレーション時において、計算対象の面材表面に対する光源の3次元空間の座標における位置を示す情報である。観察位置データとは、面材表面を観察する3次元空間における位置である観察情報を示している。
【0018】
面材位置データは、シミュレーションの3次元空間における面材表面の位置を示す、例えば、3次元空間における面材の中心点の座標(位置)を示す情報である。面材倍率データは、シミュレーションの3次元空間における面材表面の倍率(面材表面を表示する画像解像度と表示サイズを調整する倍率)を示す情報である。絵柄画像データは、面材表面に描かれる絵柄の領域における拡散反射率情報である。光沢画像データは、面材表面の光沢情報を示している。絵柄画像データ及び光沢画像データの各々は、面材表面の画像を形成する画素の各点について付与されている。凹凸形状データは、面材表面に対して透明樹脂などで形成されるエンボス膜の凹凸の形状(凹凸形状)を示している。
本実施形態においては、面材表面に凹凸形状のエンボス膜が設けられている面材を一例として、面材模様仕上がりシミュレーション装置を説明している。しかしながら、本実施形態の面材模様仕上がりシミュレーション装置は、面材表面に凹凸形状のエンボス膜が設けられておらず、面材表面自体が凹凸を有している面材表面の模様の仕上がりのシミュレーションに対しても用いることができる。
【0019】
図2A〜
図2Dは、面材データベース20に予め書き込まれて記憶されている計算情報のテーブルの構成例を示す図である。
図2Aは、シミュレーションに用いる光源の情報を示す光源情報テーブルであり、光源を識別する光源識別情報と、この光源識別情報が示す光源の波長の特性が記憶されている面材データベース20におけるアドレスなどのインデックスである光源特性データインデックスとが、予め書き込まれて記憶されている。
【0020】
図2Bは、シミュレーションに用いる面材の表面に施す絵柄の領域の拡散反射率情報を示す絵柄情報テーブルである。絵柄情報テーブルには、絵柄を識別する絵柄識別情報と、この絵柄識別情報が示す絵柄の領域における各画素における拡散反射率情報が記憶されている面材データベース20におけるアドレスなどのインデックスである絵柄画像データインデックスとが予め書き込まれて記憶されている。
【0021】
図2Cは、シミュレーションに用いる面材表面の情報を示す光沢情報テーブルである。光沢情報テーブルには、光沢を識別する光沢識別情報と、この光沢識別情報が示す面材表面における各画素における光沢画像データが記憶されている面材データベース20におけるアドレスなどのインデックスである光沢画像データインデックスとが予め書き込まれて記憶されている。光沢画像データは、上述したように面材表面の画素毎に設定されており、各画素における光沢を示す鏡面反射率及び表面粗さなどを示している。
【0022】
図2Dは、シミュレーションに用いる面材の表面に形成されるエンボス膜の凹凸の形状を示す凹凸形状テーブルである。凹凸形状テーブルには、凹凸形状を識別する凹凸識別情報と、この凹凸識別情報が示す凹凸の凹凸周期、凹凸の凸部分の幅及び凹部分の幅、凸部分の頂部の形状、凹部の底部の形状、凸部分の頂部及び凹部部分の底部間の距離などの凹凸形状の情報を含むエンボス版を示す凹凸形状データが記憶されている面材データベース20におけるアドレスなどのインデックスである凹凸形状データインデックスとが予め書き込まれて記憶されている。
【0023】
図1に戻り、面材データベース20は、本実施形態において、面材模様仕上がりシミュレーション装置1に設けられているが、図示しないネットワーク上に設けられていてもよい。この場合、面材模様仕上がりシミュレーション装置1は、必要に応じて光源情報テーブル、絵柄情報テーブル、光沢情報テーブル及び凹凸形状テーブル各々を、ネットワークを介して参照する構成としてもよい。また、面材データベース20は、光学ドライブなどのメディア読み取り装置、ハードディスクなどを用いて形成される。
【0024】
図3は、シミュレーションの結果に対応して記憶部19に記憶される結果データテーブルの構成例を示す図である。
図3において、シミュレーション結果識別情報に対応して、光源特性データインデックス、光源位置データ、観察位置データ、面材位置データ、面材倍率データ、絵柄画像データインデックス、光沢画像データインデックス、凹凸形状データインデックス、法線マップデータインデックス、結果インデックスの各々が記憶部19に書き込まれて記憶されている。光源特性データインデックス、絵柄画像データインデックス、光沢画像データインデックス及び凹凸形状データインデックスの各々は、ユーザの入力部11による選択により
図2A〜
図2Dの光源情報テーブル、絵柄情報テーブル、光沢情報テーブル及び凹凸形状テーブルのそれぞれから読み込まれたデータである。
【0025】
また、光源位置データ、観察位置データ、面材位置データ及び面材倍率データの各々は、ユーザが入力部11により入力したデータが入力部11により記憶部19に書き込まれる。法線マップデータインデックスは、面材表面に設けられるエンボス膜の凹凸形状における凹凸面の画素毎の法線データを示す法線マップデータが記憶されている記憶部19におけるアドレスなどのインデックスである。この法線マップデータインデックスは、記憶部19に予め書き込まれて記憶されている。結果インデックスは、光源特性データ、光源位置データ、観察位置データ、面材位置データ、面材倍率データ、絵柄画像データ、光沢画像データ、凹凸形状データ及び法線マップデータを用いたシミュレーションにより得られた観察位置における面材表面の模様を示す結果画像が記憶されている記憶部19におけるアドレスなどのインデックスである。この結果インデックスは、記憶部19に予め書き込まれて記憶されている。
【0026】
図1に戻り、入力部11は、面材表面の模様のシミュレーションを行う際に、結果識別情報を付与するとともに、ユーザが入力する光源位置データ、観察位置データ、面材位置データ及び面材倍率データの各々を、記憶部19の結果データテーブルに書き込んで記憶させる。また、入力部11は、ユーザが表示部18の選択画面により選択した光源特性データに対応して、光源特性データインデックスを面材データベース20における光源情報テーブルから読み出し、結果識別情報に対応させて記憶部19の結果データテーブルに書き込んで記憶させる。また、入力部11は、ユーザが表示部18の選択画面により選択した絵柄画像データ、光沢画像データ及び凹凸形状データに対応して、絵柄画像データインデックス、光沢画像データインデックス、凹凸形状データインデックスのそれぞれを、面材データベース20における絵柄情報テーブル、光沢情報テーブル、凹凸形状テーブルから読み出し、結果識別情報に対応させて記憶部19の結果データテーブルに書き込んで記憶させる。
【0027】
操作部12は、入力部11から供給される光源特性データ、光源位置データ、観察位置データ、面材位置データ、面材倍率データ、絵柄画像データ、光沢画像データ、凹凸形状データのいずれか、あるいは組合せ、または全ての変更情報が入力されると、新たな結果識別情報を付与して、記憶部19の結果データテーブルに書き込んで記憶させる。また、各データの変更処理については、後述する。
【0028】
法線マップ生成部13は、記憶部19における結果データテーブルから凹凸形状データインデックスを読み出し、この凹凸形状データインデックスにより、面材データベース20に記憶されている凹凸形状データを読み出す。そして、法線マップ生成部13は、この凹凸形状データを面材表面に対してエンボス膜として展開し、画面表面の画素毎において凹凸形状の表面の法線ベクトルを求める。ここで、凹凸形状データは、面材表面の画素毎に設定された法線ベクトルからなる法線マップでもよい。また、凹凸形状データとしては、凹凸形状における底部の深さを示す深さ情報であるデプス画像、凹凸形状における頂部の高さを示す高さ情報であるハイト画像、凹凸形状の各画素の3次元空間における座標を示す点群データ、あるいはポリゴンメッシュのいずれが用いられてもよい。
【0029】
凹凸形状データがデプス画像及びハイト画像各々である場合、特許文献1に記載されているハイト画像から法線ベクトルを求める一般的な方法を用い、凹凸形状の表面の各画素における法線ベクトルを求めることになる。また、点群やポリゴンメッシュから法線ベクトルを求める場合には、例えば、一般的な方法(手段)として、点群処理ライブラリであるPCL(Point Cloud Library)を用いて行う。
【0030】
このとき、法線マップ生成部13は、凹凸形状の表面を形成する3次元空間における画素毎に求めた法線ベクトルの各々を、2次元平面である面材表面の画素のそれぞれに対して投影して、面材表面の画素毎の法線ベクトルを示す法線マップを求める。そして、法線マップ生成部13は、求めた法線マップを記憶部19に対して書き込んで記憶させ、書き込んだアドレスを法線マップデータインデックスとして、記憶部19の結果データテーブルに対して書き込んで記憶させる。
【0031】
入射光計算部14は、光源特性データ、光源位置データ、面材位置データ、面材倍率データ及び法線マップより、出射光I
iから面材表面の画素(対象点)毎に対して入射される光の放射照度E
iを以下の(1)式を用いて算出する。
【0033】
図4は、光源から出射される出射光I
iとエンボス膜の表面の各画素に入力される放射照度Eとの対応を説明する図である。面材100の表面100Sには、絵柄データが施された絵柄データ領域が絵柄に対応して存在する。また、面材100の表面100S上には、透明樹脂などで掲載されたエンボス膜101が設けられている。法線マップは、エンボス膜101の凹凸面101Sを形成する画素毎に、法線ベクトルNが算出され、この法線ベクトルNが、面材100の表面100Sの画素に投影され、法線ベクトルN’となる。
(1)式におけるθは、法線ベクトルNと画素Gに対し、光源200から入射される入射光I
iとのなす角度である。また、dは光源200と画素Gとの距離である。
【0034】
ここで、本実施形態においては、法線マップを用いて放射照度Eを計算している。このため、実際に(2)式において用いられる入射光I
iは、面材100の表面100Sの画素G’に入射される入射光I
i’となる。また、角度θは、面材100の表面100Sの画素G’における法線ベクトルN’と画素G’に入射する入射光I
i’とのなす角度θ’となる。しかしながら、エンボス膜の厚さDは、距離d及び距離d’の各々と比較して非常に小さい(D≪d,d’)ため、入射光I
iと入射光I
i’とのなす角度αは0に近くなり、角度θと角度θ’との誤差はほとんど無視できることになる。上述した説明は、1つの画素に対する放射照度Eの計算の説明であるが、他の画素についても入射光計算部14は、同様に放射照度Eの計算を行う。
また、
図4において、符号300は、面材100の表面100Sにおける模様を観察する観察位置を示している。
【0035】
図1に戻り、反射光計算部15は、入射光計算部14が算出した各画素に入力される放射照度Eと、記憶部19の結果データテーブルから光源特性データ、光源位置データ、観察位置データ、面材位置データ、面材倍率データ、絵柄画像データ、光沢画像データ及び法線マップの各々とを用いて、面材100の表面100Sにおける各画素からの観察位置300に対する反射光の放射輝度I
2を算出する。このとき、反射光計算部15は、双方向反射率分布関数(BRDF:Bidirectional Reflectance Distribution Function)のモデル式を用い、反射光の放射輝度I
2を算出する。また、BRDFのモデル式としては、参考文献(A Reflectance Model for Computer Graphics、 Robert L. Cook、 and Kenneth E. Torrance、ACM SIGGRAPH Computer Graphics 1981、 Vol.15 No.3)に記載されているCook−Torranceモデルがある。
【0036】
画素値計算部16は、反射光計算部15が計算した各画素の反射光の放射輝度I
2から、以下の(2)式を用いることにより、各画素における画素値dを算出する。
【0038】
上記(2)式のf(αI
0)は、放射輝度I
0から画素値dを求める関数である。また、αは模様の仕上がりを表示部18の表示画面を構成する表示デバイスの特性を補正し、計算された画素値を適切に表示させるためのスケーリング係数である。このスケーリング係数を放射輝度に対して乗算しないと、表示デバイス個々の特性によって、実際に表示部18に表示される画素値が変化してしまう。
【0039】
上述した画素値計算部16の説明において、説明を簡単にするため、一つの画素に注目して説明している。しかしながら、反射光計算部15は、光源位置データ、観察位置データ、面材位置データ及び面材倍率データの各々から、面材100の表面100Sを構成する画素の全てにおいて、放射輝度I
2と画素値dとを計算する画素を求める。すなわち、凹凸形状において、他の凹凸に遮られて出射光I
iが照射されない画素を除いて、出射光I
iが入射される画素を抽出する。そして、反射光計算部15は、このように求めた出射光I
iが入射される全ての画素の放射輝度I
2を計算する。また、画素値計算部16は、反射光計算部15の算出した各画素の放射輝度I
2から、上記(2)式を用い、これらの画素の画素値dを算出する。
【0040】
また、上述した説明は、単一波長を対象とした放射輝度I
2の計算について説明した。
しかしながら、反射光計算部15は、複数の波長を計算する場合、以下の(3)式により放射輝度I
2を計算する。
【0042】
上記(3)式において、I
λは、波長λの放射輝度である。したがって、(3)式において求められる放射輝度I
2は、波長毎に求めた放射輝度I
λを積算した値になる。
また、面材表面の模様を示す結果画像をRGB(Red、Green、Blue)画像として提供する場合には以下の処理を反射光計算部15が行う。すなわち、反射光計算部15は、絵柄画像データと、RGBのチャネル毎の鏡面反射率及び表面粗さの情報を示す光沢画像データと、出射光I
iにおけるRGBのチャネル毎の放射輝度とを用い、RGBの各チャネルの反射光の放射輝度I
2を計算する。また、反射光計算部15は、出射光I
iにおけるRGBのチャネル毎の放射輝度として、光源の出射する出射光I
iの分光データを用いてもよい。
【0043】
編集部17は、画素値計算部16の計算した各画素の画素値dを、結果画像の画像データとし、記憶部19に対して書き込んで記憶させる。そして、編集部17は、結果画像の画像データを書き込んだアドレスを、結果識別情報に対応させて結果インデックスとして記憶部19における結果データテーブルに対して書き込んで記憶させる。
表示部18は、記憶部19の結果データテーブルから結果インデックスを読み出す。そして、表示部18は、この結果インデックスにより、記憶部19から結果画像の画像データを読み出して、この結果画像の画像データを表示面に対して画像表示する。
面材データベース20は、
図2A〜
図2Dですでに説明した光源情報テーブル、絵柄情報テーブル、光沢情報テーブル、凹凸形状テーブルの各々が予め書き込まれて記憶されている。
【0044】
図5は、記憶部19の絵柄情報テーブルの絵柄画像インデックスに対応して記憶されている絵柄画像データの一例を示す図である。
図5において、領域501の画素の各々には、領域502の画素と異なる拡散反射率が設定されている。
【0045】
図6は、記憶部19の光沢情報テーブルの光沢画像インデックスに対応して記憶されている光学光沢画像データの一例を示す図である。
図6において、領域503の画素の各々は、領域504の画素と異なる鏡面反射率及び粗さが設定されている。RGB画像を生成する場合には、R、G、Bの各々に光沢画像データが設けられる。
【0046】
図7は、記憶部19の凹凸形状テーブルの凹凸形状データインデックスに対応して記憶されている凹凸形状データの一例を示す図である。
図7において、例えば、凸部505と、凹部506とが所定の周期で配列されている。すでに説明したように、各画素に対してデプス情報、ハイト情報、あるいは3次元空間における座標値が設定されている。
【0047】
図8は、
図5の絵柄画像データ、
図6の光沢画像データ及び
図7の凹凸形状データの各々により求めた模様の仕上がりを示す結果画像の画像データを示している。絵柄画像データ、光沢画像データ及び凹凸形状データの情報を反映していることが判る。
【0048】
図9は、本実施形態の面材模様仕上がりシミュレーション装置における結果画像の画像データ生成の処理の動作例を示すフローチャートである。
ステップS1:
ユーザは、例えば、表示部18に表示されている光源特性データ、絵柄画像データ、光沢画像データ、凹凸形状データの種類を、入力部11により選択する。
また、ユーザは、例えば、観察位置データ、光源位置データ、面材位置データ、面材倍率データを、表示部18に表示されている入力欄に入力装置から入力する。
【0049】
上述したユーザの処理により、入力部11は、入力された光源特性データ、絵柄画像データ、光沢画像データ及び凹凸形状データの各々の光源特性データ、絵柄画像データインデックス、光沢画像データインデックス及び凹凸形状データインデックスのそれぞれを面材データベース20における光源情報テーブル、絵柄情報テーブル、光沢情報テーブル、凹凸形状テーブルから読み出す。そして、入力部11は、読み出した光源特性データ、絵柄画像データインデックス、光沢画像データインデックス及び凹凸形状データインデックスのそれぞれを、記憶部19の観察結果テーブルに対して書き込んで記憶させる。また、入力部11は、表示部18の入力欄に入力された観察位置データ、光源位置データ、面材位置データ及び面材倍率データの各々を、記憶部19の観察結果テーブルに対して書き込んで記憶させる。
【0050】
ステップS2:
法線マップ生成部13は、記憶部19における結果データテーブルから凹凸形状データインデックスを読み出し、この凹凸形状データインデックスにより、面材データベース20に記憶されている凹凸形状データを読み出す。
そして、法線マップ生成部13は、この凹凸形状データを面材表面に対してエンボス膜として展開し、画面表面の画素毎において凹凸形状の表面の法線ベクトルを求める。法線マップ生成部13は、求めた画素毎の法線ベクトル、すなわち画素の座標毎に法線ベクトルが対応付けられた法線マップを記憶部19に対して書き込んで記憶させる。また、法線マップ生成部13は、記憶部19における法線マップを書き込んだアドレスを法線マップデータインデックスとして、記憶部19の結果データテーブルに対して書き込んで記憶させる。
【0051】
ステップS3:
入射光計算部14は、記憶部19の結果データテーブルから、法線マップデータインデックスを読み出す。これにより、入射光計算部14は、法線マップデータインデックスにより、記憶部19から法線マップを読み出す。また、入射光計算部14は、記憶部19の結果データテーブルから、光源特性データ、光源位置データ、面材位置データ及び面材倍率データを読み出す。また、入射光計算部14は、記憶部19から(1)式を読み出す。
入射光計算部14は、光源特性データ、光源位置データ、面材位置データ、面材倍率データ及び法線マップより、出射光I
iから面材表面の画素(対象点)毎に対して入射される光の放射照度Eを読み出した(1)式を用いて算出する。そして、入射光計算部14は、画素毎に求めた入射される光の放射照度Eを記憶部19に書き込んで記憶させる。
【0052】
ステップS4:
反射光計算部15は、記憶部19の結果データテーブルから、法線マップデータインデックスを読み出す。これにより、入射光計算部14は、法線マップデータインデックスにより、記憶部19から法線マップを読み出す。また、反射光計算部15は、入射光計算部14が算出した各画素に入力される放射照度Eを、記憶部19から読み出す。反射光計算部15は、記憶部19の結果データテーブルから光源特性データ、光源位置データ、観察位置データ、面材位置データ、面材倍率データ、絵柄画像データインデックス及び光沢画像データインデックスを読み出す。反射光計算部15は、絵柄画像データインデックス及び光沢画像データインデックスの各々により、面材データベース20から絵柄画像データ、光沢画像データのそれぞれを読み出す。
そして、反射光計算部15は、光源特性データ、光源位置データ、観察位置データ、面材位置データ、面材倍率データ、絵柄画像データ及び光沢画像データ及び法線マップの各々を用いて、双方向反射率分布関数のモデル式により、面材100の表面100Sにおける各画素からの観察位置300における反射光の放射輝度I
2を算出する。
【0053】
ステップS5:
画素値計算部16は、上記(2)式と、各画素における反射光の放射輝度I
2との各々を、記憶部19から読み出す。
そして、反射光計算部15が計算した観察位置における各画素の反射光の放射輝度I
2から、(2)式を用いることにより、観察位置からの見えである各画素の画素値を算出する。編集部17は、画素値計算部16の計算した各画素における画素値dを、結果画像の画像データとし、記憶部19に対して書き込んで記憶させる。そして、編集部17は、結果画像の画像データを書き込んだアドレスを、結果識別情報に対応させて結果インデックスとして記憶部19における結果データテーブルに対して書き込んで記憶させる。
【0054】
ステップS6:
表示部18は、記憶部19の結果データテーブルから結果インデックスを読み出し、この結果インデックスにより、記憶部19から結果画像の画像データを読み出し、結果画像の画像データを表示面に対して画像表示する。
【0055】
ステップS7:
ユーザは、表示部18の表示面に画像表示された結果画像を観察し、希望の見えに対応した仕上がりに模様が形成されているか否かの判定を行う。このとき、ユーザは、希望通りの仕上がりに模様が形成されていると感じた場合、面材模様仕上がりシミュレーション装置1に対して、凹凸形状が形成される面材の設計の処理を終了させる制御を入力装置を用いて行う。一方、ユーザは、希望通りの仕上がりに模様が形成されていないと感じた場合、表示部18の編集欄に対して、光源特性データ、光源位置データ、観察位置データ、面材位置データ、面材倍率データ、絵柄画像データ、光沢画像データ及び凹凸形状データのいずれかあるいは組合せ、または全ての変更しようとするデータを入力する。
このとき、操作部12は、記憶部19の結果データテーブルにおいて、新たな結果識別情報を付与して、変更されたデータを書き換え、変更されないデータをそのままとして、変更されたデータ群により新たに結果画像を求めるレコードを生成する。
【0056】
ステップS8:
操作部12は、ユーザが変更しようとするデータの中に、凹凸形状データが含まれるか否かの判定を行う。
操作部12は、ユーザが変更しようとするデータの中に、凹凸形状データが含まれる場合、処理をステップS2へ進める。一方、操作部12は、ユーザが変更しようとするデータの中に、凹凸形状データが含まれない場合、処理をステップS3へ進める。
【0057】
上述したように、本実施形態においては、凹凸形状データ、絵柄画像データ及び光沢画像データなど、凹凸形状と、面材表面に施される絵柄とによる模様の見えを左右するパラメータを用いてシミュレーションする。このため、実際の試作品に近い精度により結果を確認することができるため、試作品を作成する必要が無く、面材の模様の仕上がりを高速かつ容易に確認することができる。
【0058】
図10は、面材倍率データにおける面材倍率データを異ならせた際の面材の模様の画像表示を説明する図である。観察位置データにおける観察位置を面材の表面から遠くすることによっても同様の結果を得ることができる。
図10において、表示部18の表示画像801における画像802は面材倍率が実寸としての倍率「1」における模様の見えを示す結果画像であり、一方、画像803は面材倍率が実寸に対して倍率「0.5」とした場合の模様の見えを示す結果画像である。表示部18は、結果データテーブルにおけるユーザが選択した結果画像の画像データを、
図10に示すように、並列に並べて表示する。これにより、ユーザは、同一面材の表面における模様の仕上がりを、遠近同時に観察することが可能となり、エンボス膜の凹凸形状及び絵柄などの最適化の判定を行うことができる。
また、表示部18は、面材の実際のサイズより表示する結果画像のサイズが小さい場合、面材の結果画像を必要な大きさに切り抜いて表示面に表示する。一方、表示部18は、面材の実際のサイズより表示する結果画像のサイズが大きい場合、面材の結果画像を複製(コピー)して、必要な大きさにつなぎ合わせることにより合成して表示面に表示する。
【0059】
図11は、光沢画像データ及び絵柄画像データが同一であり、凹凸形状データを異ならせた際の面材の模様の画像表示を説明する図である。
図11において、表示部18の表示画像901における画像902及び画像903の各々は絵柄画像データ及び光沢画像データが同一であり、凹凸形状データが異なっている。表示部18は、結果データテーブルにおけるユーザが選択した結果画像の画像データを、
図11に示すように、並列に並べて表示する。これにより、ユーザは、同一面材の表面における模様の仕上がりを、凹凸形状データが異なる画像を同時に観察することが可能となり、エンボス膜の凹凸形状データの最適化の判定を行うことができる。
図11のように、同一の絵柄画像データ及び光沢画像データに対して、複数の異なる凹凸形状データを組み合わせたときの模様の仕上がりの結果画像を並列に表示させることにより、絵柄画像データ及び光沢画像データに対して、所望の模様の仕上がりに近い凹凸形状データを選択することが可能となる。また、異なる凹凸形状データに対して1組の絵柄画像データと光沢画像データとを同時に最適化することが可能となる。
【0060】
図12は、光沢画像データ及び凹凸形状データが同一であり、絵柄画像データを異ならせた際の面材の模様の画像表示を説明する図である。
図12において、表示部18の表示画像1001における画像1002及び画像1003の各々は凹凸形状データ及び光沢画像データが同一であり、絵柄画像データが異なっている。表示部18は、結果データテーブルにおけるユーザが選択した結果画像の画像データを、
図12に示すように、並列に並べて表示する。これにより、ユーザは、同一面材の表面における模様の仕上がりを、絵柄画像データが異なる画像を同時に観察することが可能となり、面材表面に施される絵柄画像データの最適化の判定を行うことができる。
図12のように、同一の絵柄画像データ及び光沢画像データに対して、異なる絵柄画像データを組み合わせたときの模様の仕上がりの結果画像を並列に表示させることにより、凹凸形状データ及び光沢画像データに対して、所望の模様の仕上がりに近い絵柄画像データを選択することが可能となる。また、異なる絵柄画像データに対して、1組の凹凸形状データと光沢画像データとを同時に最適化することが可能となる。
【0061】
図13は、絵柄画像データ及び凹凸形状データが同一であり、光沢画像データを異ならせた際の面材の模様の画像表示を説明する図である。
図13において、表示部18の表示画像1101における画像1102及び画像1103の各々は凹凸形状データ及び絵柄画像データが同一であり、光沢画像データが異なっている。表示部18は、結果データテーブルにおけるユーザが選択した結果画像の画像データを、
図13に示すように、並列に並べて表示する。これにより、ユーザは、同一面材の表面における模様の仕上がりを、光沢画像データが異なる画像を同時に観察することが可能となり、面材表面の光沢画像データの最適化の判定を行うことができる。
図13のように、同一の絵柄画像データ及び凹凸形状データに対して、異なる光沢画像データを組み合わせたときの模様の仕上がりの結果画像を並列に表示させることにより、凹凸形状データ及び絵柄画像データに対して、所望の模様の仕上がりに近い光沢画像データを選択することが可能となる。また、異なる光沢画像データに対して、1組の絵柄画像データと凹凸形状データとを同時に最適化することが可能となる。
【0062】
図1に戻り、操作部12は、すでに説明した
図9のフローチャートのステップS8において、画素値の変更、
図10に示した結果画像の拡大及び縮小(画像解像度と表示サイズの変更)、凹凸形状データ、絵柄画像データ及び光沢画像データの拡大及び縮小、回転、あるいは平行移動などの操作がユーザから、入力装置により指示された場合、すでに説明したように、模様の仕上がりのシミュレーションを再度行う。
このとき、表示部18の表示画面には、凹凸形状データ、絵柄画像データ及び光沢画像データを変更するための操作装置(操作手段)として、タッチパッドなどによるタップやスワイプ、ピンチなどの操作によって行う。この操作装置における変更されたデータが操作部12によって取り込まれ、記憶部19の結果データテーブルに反映される。
【0063】
図14は、絵柄画像データ、光沢画像データ及び凹凸形状データのポインティングデバイスを用いた変更について説明する図である。ここで、ポインティングデバイスとしては、マウスやタッチパッドなどが用いられる。
図14においては、例えば、ユーザが1201の矢印の画像に沿った右方向(図のx軸の+方向)にマウスを移動させることにより、x軸方向における絵柄画像データ(あるいは光沢画像データまたは凹凸形状データ)を縮小する。一方、ユーザが1202の矢印の画像に沿った左方向(図のx軸の−方向)にマウスを移動させることにより、x軸方向における絵柄画像データ(あるいは光沢画像データまたは凹凸形状データ)を拡大する。
【0064】
また、ユーザが1203の矢印の画像に沿った上方向(図のy軸の+方向)にマウスを移動させることにより、y軸方向における絵柄画像データ(あるいは光沢画像データまたは凹凸形状データ)を縮小する。一方、ユーザが1204の矢印の画像に沿った下方向(図のy軸の−方向)にマウスを移動させることにより、y軸方向における絵柄画像データ(あるいは光沢画像データまたは凹凸形状データ)を拡大する。ここで、絵柄画像データ、光沢画像データ及び凹凸形状データのいずれに対して拡大あるいは縮小の処理を行うかについては、ユーザが
図14で説明した処理を行う前に、予め表示部18の表示画面において選択する。上述した絵柄画像データ(あるいは光沢画像データまたは凹凸形状データ)に対する拡大及び縮小における画像の座標の計算は、以下の(3)式及び(4)式によって操作部12が行う。
【0067】
ここで、操作部12は、(4)式及び(5)式を用いて、画像の倍率から面材の四隅と対応する画像の座標を計算し、テクスチャマッピングを行うことにより、倍率に対応した画像の拡大及び縮小を行う。ここで、(4)式はx軸方向における拡大あるいは縮小、(5)式はy軸方向における拡大あるいは縮小に用いられる。(4)式及び(5)式の各々において、mは倍率(面材倍率)であり、(4)式において、wは画像の幅であり、(5)式において、hは画像の高さである。また、(4)式において、xは拡大あるいは縮小前の面材の四隅のx座標値に対応し、x
dは拡大あるいは縮小後のx座標値に対応している。同様に、(5)式において、yは拡大あるいは縮小前の面材の四隅のy座標値に対応し、y
dは拡大あるいは縮小後のy座標値に対応している。上述した(3)式及び(4)式により、絵柄画像データ、光沢画像データ及び凹凸形状データの各々の画像のピッチの変更を行うことで、ユーザは変更する倍率の数値を直感的に選択することができる。なお、絵柄画像データ、光沢画像データ及び凹凸形状データの各々の変更においては、画像の一部あるいは全てを面材データベース20に記憶されている他の絵柄画像データ、光沢画像データ及び凹凸形状データのそれぞれに置き換えてもよい。
【0068】
また、ユーザが1205の矢印の画像に沿った上方向(図のy軸の+方向)にマウスを移動させることにより、凹凸形状データにおける凸部分の頂部と凹部分の底部との距離(すなわちx軸及びy軸からなる2次元表面に垂直方向)を拡大する。一方、ユーザが1206の矢印の画像に沿った下方向(図のy軸の−方向)にマウスを移動させることにより、凹凸形状データにおける凸部分の頂部と凹部分の底部との距離を縮小する。上述したように、x軸及びy軸からなる2次元表面に垂直方向に対する凹凸形状の拡大及び縮小は、面材の各画素における法線ベクトルNを表す法線マップの画素値(3次元におけるz方向の画素値)を変更することにより行う。
【0069】
上述したx軸及びy軸からなる2次元表面に垂直方向に対する凹凸形状の拡大あるいは縮小した後の法線ベクトルN
dは、操作部12が法線マップからハイト画像を作成し、ハイト画像における高さを倍率を用いて変更した後に、ハイト画像から法線マップを作成し、記憶部19の結果データテーブルに書き込んで記憶させることにより反映させる。
例えば、文献(The Variational Approach to Shape from Shading、 Berthold K. P.Horn 、 and Michael J. Brooks、Computer Vision, Graphics, and Image Processing 1986、 Vol.33 No.2)に記載されている方法により、法線マップからハイト画像を作成することができる。
【0070】
図15A及び
図15Bは、絵柄画像データ、光沢画像データ及び凹凸形状データの各々の変更をすべての面材に対して反映させる場合を説明する図である。
図15A及び
図15Bにおいて、
図15Aは、
図8に対して凹凸形状データにおける凹凸形状のピッチを拡大している。また、
図15Bは、
図8に対して凹凸形状データを90°回転させている。この変更を、すでに模様の仕上がりをシミュレーションした全ての面材の結果画像に反映させるか、あるいは1つ以上の面材の結果画像に反映させるかは、表示部18が表示画面に表示させるチェックボックスにより切り替える。これにより、操作部12が結果データテーブルにシミュレーションが必要なレコードをすでに説明したように新たに作成する。そして、結果データテーブルのレコードに対応して新たにシミュレーションがすでに説明したように行われる。このように、凹凸形状の修正を対話的に繰り返すことにより、面材における所望の模様の仕上がりを簡易的にかつ迅速に提示することができる。
【0071】
なお、本発明の一実施形態における
図1の面材模様仕上がりシミュレーション装置1の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体(可読媒体)に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより凹凸形状が形成される面材の模様のシミュレーションの処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0072】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。