特許第6252695号(P6252695)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6252695
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】押圧検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/16 20060101AFI20171218BHJP
【FI】
   G01L1/16 G
   G01L1/16 B
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-570591(P2016-570591)
(86)(22)【出願日】2016年1月14日
(86)【国際出願番号】JP2016050896
(87)【国際公開番号】WO2016117434
(87)【国際公開日】20160728
【審査請求日】2017年7月20日
(31)【優先権主張番号】特願2015-8453(P2015-8453)
(32)【優先日】2015年1月20日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】特許業務法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 喜弘
(72)【発明者】
【氏名】木原 尚志
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 潤
(72)【発明者】
【氏名】斉藤 誠人
【審査官】 公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−015444(JP,A)
【文献】 特開平03−295431(JP,A)
【文献】 特開昭53−114495(JP,A)
【文献】 特開昭52−153653(JP,A)
【文献】 特表平02−503832(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/196360(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0260679(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/16
G01L 5/00
G01L 9/08
H03F 1/34
H03F 3/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押圧力に応じた電荷量を発生する圧電素子と、前記電荷量を電圧に変換するチャージアンプと、前記チャージアンプの出力電圧を増幅する増幅回路と、前記増幅回路の出力電圧を入力電圧とする対数増幅回路と、前記対数増幅回路の出力電圧を用いて、前記押圧力を検出する演算部と、を備える、センサモジュールと、
前記圧電素子、前記チャージアンプ、前記増幅回路、および、前記対数増幅回路の組を複数組と、
複数の前記圧電素子が離間して配置された検出用部材と、
を備え、
前記演算部は、
前記対数増幅回路の出力電圧をアナログデジタル変換し、少なくとも一対の組の前記対数増幅回路の出力電圧の差を用いて押圧位置を検出する、
押圧検出装置。
【請求項2】
前記チャージアンプは、検出方向への押圧に対して負の電圧を出力し、
前記増幅回路は、反転増幅をする、
請求項1に記載の押圧検出装置。
【請求項3】
前記チャージアンプは、検出方向の押圧に対して正の電圧を出力し、
前記増幅回路は、非反転増幅をする、
請求項1に記載の押圧検出装置。
【請求項4】
押圧力に応じた電荷量を発生する圧電素子と、前記電荷量を電圧に変換するチャージアンプと、前記チャージアンプの出力電圧を入力電圧とする対数増幅回路と、前記対数増幅回路の出力電圧を用いて、前記押圧力を検出する演算部と、を備え、前記チャージアンプは、検出方向の押圧に対して正の電圧を出力する、センサモジュールと、
前記圧電素子、前記チャージアンプ、増幅回路、および、前記対数増幅回路の組を複数組と、
複数の前記圧電素子が離間して配置された検出用部材と、
を備え、
前記演算部は、
前記対数増幅回路の出力電圧をアナログデジタル変換し、少なくとも一対の組の前記対数増幅回路の出力電圧の差を用いて押圧位置を検出する、
押圧検出装置。
【請求項5】
前記対数増幅回路は、温度補償用素子を備える、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の押圧検出装置。
【請求項6】
前記対数増幅回路に与えるリファレンス電位を用いて、前記対数増幅回路の出力電圧の較正を行う較正手段を、備える、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の押圧検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押圧力等の物理量を電荷、電圧に変換して検出するセンサモジュール、および、当該センサモジュールを備える押圧検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、圧電素子等を用いて所定の物理量を検出するセンサモジュールが多く実用化されている。
【0003】
特許文献1のセンサ検出回路は、圧電素子、チャージアンプ、増幅回路を備える。圧電素子の出力端は、チャージアンプに接続される。チャージアンプは、圧電素子で検出した電荷量を電圧信号に変換して、増幅回路に出力する。増幅回路は、電圧信号を増幅して出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−172518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のセンサ検出回路では、増幅回路の増幅特性によっては、検出対象である物理量に対するダイナミックレンジが不足する可能性がある。特に、圧電素子が生じる電荷によって、操作者が対象物を押圧したことを検出する場合、圧電素子の出力電荷量は、押圧力(対象物への押込量)と押圧速度とによって決定される。したがって、押圧力の大小だけでなく押圧力の加わる速度が検出レンジに影響し、押圧力の大小のみを検出する場合よりも広いダイナミックレンジを必要とする。
【0006】
したがって、本発明の目的は、広いダイナミックレンジを実現可能なセンサモジュール、および当該センサモジュールを備えた押圧検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の押圧検出装置は、センサモジュールを備える。センサモジュールは、圧電素子、チャージアンプ、増幅回路、対数増幅回路、および、演算部を備える。圧電素子は、押圧力に応じた電荷量を発生する。チャージアンプは、電荷量を電圧に変換する。増幅回路は、チャージアンプの出力電圧を増幅する。対数増幅回路は、増幅回路の出力電圧を入力電圧とする。演算部は、対数増幅回路の出力電圧を用いて、押圧力を検出する。また、この発明の押圧検出装置は、さらに、圧電素子、チャージアンプ、増幅回路、および、対数増幅回路の組を複数組と、複数の圧電素子が離間して配置された検出用部材と、を備える。演算部は、対数増幅回路の出力電圧をアナログデジタル変換し、少なくとも一対の組の対数増幅回路の出力電圧の差を用いて押圧位置を検出する。
【0008】
この構成では、押圧力に対するダイナミックレンジが広くなる。また、この構成では、押圧位置と出力電圧の比の対数とが線形であることをそのまま利用できる。したがって、演算部で複雑な処理を行うことなく、簡素な演算で押圧位置を検出することができる。
【0009】
また、この発明の押圧検出装置では、次のいずれかの構成であることが好ましい。チャージアンプは検出方向への押圧に対して負の電圧を出力し、増幅回路は反転増幅回路である。チャージアンプは検出方向の押圧に対して正の電圧を出力し、増幅回路は非反転増幅回路である。
【0010】
これらの構成では、対数増幅回路の出力電圧の立ち上がり(立ち下がり)が、対象物が押圧される初期タイミングと同じになる。したがって、対象物が押圧されたタイミングを、確実且つ容易に検出できる。
【0011】
また、この発明の押圧検出装置は次の構成であってもよい。押圧検出装置センサモジュールを備える。センサモジュールは、圧電素子、チャージアンプ、対数増幅回路、および、演算部を備える。圧電素子は、押圧力に応じた電荷量を発生する。チャージアンプは、電荷量を電圧に変換する。対数増幅回路は、チャージアンプの出力電圧を入力電圧として対数増幅をする。演算部は、対数増幅回路の出力電圧を用いて、押圧力を検出する。チャージアンプは、検出方向の押圧に対して正の電圧を出力する。また、この発明の押圧検出装置は、さらに、圧電素子、チャージアンプ、増幅回路、および、対数増幅回路の組を複数組と、複数の圧電素子が離間して配置された検出用部材と、を備える。演算部は、対数増幅回路の出力電圧をアナログデジタル変換し、少なくとも一対の組の対数増幅回路の出力電圧の差を用いて押圧位置を検出する。
【0012】
この構成では、反転増幅回路を必要としないので、押圧検出装置をより簡素な構成で実現できる。
【0013】
また、この発明の押圧検出装置では、対数増幅回路は温度補償用素子を備えることが好ましい。
【0014】
この構成では、温度に影響されなることなく、押圧力を精確に検出することができる。
【0015】
また、この発明の押圧検出装置は、対数増幅回路に与える基準電位を用いて、前記対数増幅回路の出力電圧の較正を行う較正手段を、備えることが好ましい。
【0016】
この構成では、対数増幅回路で行う増幅処理に利用する基準電位を用いるので、対数増幅回路の較正を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、電荷によって検出される所望の物理量を広いダイナミックレンジで検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1の実施形態に係るセンサモジュールの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る押圧検出装置における圧電素子の配置を示す平面図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係るセンサモジュールのチャージアンプの回路図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係るセンサモジュールの増幅回路の回路図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係るセンサモジュールの対数増幅回路の回路図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係るセンサモジュールの各部の波形を示す図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る押圧検出装置における押圧位置と出力電圧比との関係を示すグラフである。
図8】本発明の第2の実施形態に係るセンサモジュールのチャージアンプの回路図である。
図9】本発明の第3の実施形態に係るセンサモジュールの一部を示すブロック図である。
図10】本発明の実施形態に係るセンサモジュールの他の態様からなる増幅回路の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第1の実施形態に係るセンサモジュールおよび押圧検出装置について、図を参照して説明する。なお、本実施形態では、押圧力を電圧に変換して検出するセンサモジュールを例に説明するが、他の物理量を電圧に変換して検出するセンサモジュールに適用できる。特に物理量の変化によって電荷量が変化し、当該電荷量の変化を電圧に変換して検出するセンサモジュールへの適用が特に有効である。
【0022】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るセンサモジュールの構成を示すブロック図である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る押圧検出装置における圧電素子の配置を示す平面図である。
【0023】
センサモジュール1は、圧電素子101,102,103,104、および、検出回路10を備える。検出回路10は、チャージアンプ21,22,23,24、増幅回路31,32,33,34、対数増幅回路41,42,43,44、および、演算部50を備える。
【0024】
圧電素子101−104は、押圧力に応じた電荷量を発生する。検出回路10は、圧電素子101−104で発生した電荷量を電圧に変換して、当該電圧から押圧力および押圧位置を検出する。
【0025】
圧電素子101−104は、例えば、圧電性フィルムと、圧電性フィルムに形成された検出用導体とを備える。圧電性フィルムは、互いに対向する第1主面と第2主面を備える矩形状の平膜からなる。検出用導体は、圧電性フィルムの第1主面と第2主面に配置されている。
【0026】
圧電性フィルムは、一軸延伸されたL型ポリ乳酸(PLLA)によって形成されている。PLLAは、キラル高分子であり、主鎖が螺旋構造を有する。PLLAは、一軸延伸等により分子が配向されると、圧電性を生じる。一軸延伸されたPLLAの圧電定数は、高分子中で非常に高い部類に属する。なお延伸倍率は3〜8倍程度が好適である。延伸後に熱処理を施すことにより、ポリ乳酸の延びきり鎖結晶の結晶化が促進され圧電定数が向上する。尚、二軸延伸した場合はそれぞれの軸の延伸倍率を異ならせることによって一軸延伸と同様の効果を得ることができる。
【0027】
また、PLLAは、延伸等による分子の配向処理で圧電性を生じ、PVDF等の他のポリマーや圧電セラミックスのように、ポーリング処理を行う必要がない。すなわち、強誘電体に属さないPLLAの圧電性は、PVDFやPZT等の強誘電体のようにイオンの分極によって発現するものではなく、分子の特徴的な構造である螺旋構造に由来するものである。このため、PLLAには、他の強誘電性の圧電体で生じる焦電性が生じない。さらに、PVDF等は経時的に圧電定数の変動が見られ、場合によっては圧電定数が著しく低下する場合があるが、PLLAの圧電定数は経時的に極めて安定している。
【0028】
また、PLLAは比誘電率が約2.5と非常に低いため、dを圧電定数とし、εを誘電率とすると、圧電出力定数(=圧電g定数、g=d/ε)が大きな値となる。
【0029】
ここで、誘電率ε33=13×ε,圧電定数d31=25pC/NのPVDFの圧電g定数は、上述の式から、g31=0.2172Vm/Nとなる。一方、圧電定数d14=10pC/NであるPLLAの圧電g定数をg31に換算して求めると、d14=2×d31であるので、d31=5pC/Nとなり、圧電g定数は、g31=0.2258Vm/Nとなる。したがって、圧電定数d14=10pC/NのPLLAで、PVDFと同様の押し込み量の検出感度を十分に得ることができる。そして、本願発明の発明者らは、d14=15〜20pC/NのPLLAを実験的に得ており、当該PLLAを用いることで、さらに非常に高感度に押圧力を検出することが可能になる。
【0030】
検出用導体は、ITO、ZnO、ポリチオフェンを主成分とする有機電極、ポリアニリンを主成分とする有機電極、銀ナノワイヤ電極のいずれかを用いるのが好適である。これらの材料を用いることで、透光性の高い電極を形成できる。尚、透明性が必要とされない場合には銀ペーストにより形成された電極や、蒸着やスパッタ、あるいはメッキなどにより形成された金属系の電極を用いることもできる。
【0031】
図2に示すように、圧電素子101−104は、圧電素子101−104は、検出用部材110に貼り付けられている。より具体的には、検出用部材110は、所定の剛性を有する平板である。検出用部材110の表面が押圧検出面である。圧電素子101−104は、長尺形状である。圧電素子101−104の圧電フィルムをPLLAで形成する場合、一軸延伸方向は、長尺方向に対して略45°であることが好ましい。
【0032】
圧電素子101−104は、検出用部材110を平面視した外周に沿って配置されている。圧電素子101は、検出用部材110を平面視した一辺に沿って、この一辺の近傍に配置されている。圧電素子102は、検出用部材110における圧電素子101が配置された辺と平行で対向する辺に沿って、この辺の近傍に配置されている。圧電素子101,102の長尺方向は、これらの圧電素子101,102の配列方向(図2におけるY軸方向)に対して直交している。
【0033】
圧電素子103は、検出用部材110を平面視して、圧電素子101,102が配置される辺に直交する一辺に沿って、この一辺の近傍に配置されている。圧電素子104は、検出用部材110における圧電素子103が配置された辺と平行で対向する辺に沿って、この辺の近傍に配置されている。圧電素子103,104の長尺方向は、これらの圧電素子103,104の配列方向(X軸方向)に対して直交している。
【0034】
検出用部材110の表面(押圧検出面)が押圧されると、圧電素子101−104の圧電性フィルムに電荷が発生する。この電荷量は、押圧力、押圧速度、および押圧位置に依存する。この電荷は、それぞれの圧電素子101−104の検出用導体を介して検出回路10のチャージアンプ21−24でそれぞれ電圧に変換される。
【0035】
図3は、本発明の第1の実施形態に係るセンサモジュールのチャージアンプの回路図である。チャージアンプ21−24は同じ回路構成である。したがって、チャージアンプ21を例に説明する。
【0036】
チャージアンプ21は、オペアンプU21、抵抗R21、コンデンサC21を備える。オペアンプU21の反転入力端子は圧電素子101の一方の検出用導体に接続されている。なお、圧電素子101の他方の検出用導体は、グランド電位等、一定の電位に接続されている。
【0037】
オペアンプU21の非反転入力端子は、基準電位VSTDに接続されている。なお、以下の(式1)から(式6)の中の電圧値は、すべて基準電位VSTDに対する相対電圧を表している。オペアンプU21の出力端子は、抵抗R21およびコンデンサC21の並列回路を介して、オペアンプU21の反転入力端子に接続されている(フィードバック接続されている)。この際、圧電素子101からオペアンプU21を視たインピーダンスは、抵抗R21およびコンデンサC21によって構成されるフィードバック回路のインピーダンスと比較して十分に小さい。
【0038】
このような構成によって、チャージアンプ21は、圧電素子101で発生する電荷量QC21を電圧Vout21に変換する。チャージアンプ21の出力電圧Vout21は、次の式で得られる。次式におけるCは、コンデンサC21のキャパシタンスであり、次式におけるRは抵抗R21の純抵抗である。また、Qは、圧電素子101で発生した電荷量QC21を示す。また、電荷量Qの変化の周波数をfとする。
【0039】
Vout21=−Q/C [f≫1/(2πCR)] −(式1)
Vout21=−R(dQ/dt) [f≪1/(2πCR)] −(式2)
一般に、操作者が検出用部材110を押して、圧電素子101から発生する電荷の周波数は、一桁から二桁程度の低周波数である。したがって、本実施形態に係るセンサモジュール1の利用状況では、チャージアンプ21の出力電圧Vout21は(式2)に基づいて決定される。すなわち、チャージアンプ21の出力電圧Vout21は、電荷量の時間微分に比例する。また、押圧力と電荷量とは線形の関係である。
【0040】
したがって、押圧力を検出する場合、出力電圧の時間変化を継続的に取得する必要がある。また、(式2)に示すように、チャージアンプ21の出力電圧Vout21は、電荷量の変化速度に比例するため、出力電圧Vout21は、操作者の押圧動作に依存し、その検出には広いダイナミックレンジが必要である。
【0041】
なお、コンデンサC21のキャパシタンス、抵抗R21の純抵抗を大きくすれば、(式1)に基づいて押圧力を検出できるが、回路動作が緩慢になり、起動後の安定化まで時間が掛かってしまう。したがって、(式2)によって出力電圧Vout21が得られる領域でチャージアンプ21を利用する方が、センサモジュール1としての検出感度や出力の安定性の観点から好ましい。
【0042】
チャージアンプ21の出力電圧Vout21は増幅回路31に入力される。チャージアンプ22の出力電圧Vout22は増幅回路32に入力される。チャージアンプ23の出力電圧Vout23は増幅回路33に入力される。チャージアンプ24の出力電圧Vout24は増幅回路34に入力される。
【0043】
増幅回路31,32,33,34は、反転増幅回路である。図4は、本発明の第1の実施形態に係るセンサモジュールの増幅回路の回路図である。増幅回路31−34は同じ回路構成である。したがって、増幅回路31を例に説明する。
【0044】
増幅回路31は、オペアンプU31、抵抗R311,R312を備える。オペアンプU31の反転入力端子には、抵抗R311が接続されている。抵抗R311は、チャージアンプ21の出力端子に接続されている。オペアンプU31の非反転入力端子は、基準電位VSTDに接続されている。オペアンプU31の出力端子は、抵抗R312を介してオペアンプU31の反転入力端子に接続されている。抵抗R311の純抵抗と抵抗R312の純抵抗の比(R312/R311)によって、増幅率が設定される。
【0045】
増幅回路31は、入力電圧Vin31(チャージアンプ21の出力電圧Vout21)を増幅して、出力電圧Vout31を出力する。出力電圧Vout31の極性は、入力電圧Vin31の極性に対して反転している。
【0046】
すなわち、増幅回路31の出力電圧Vout31は、入力電圧Vin31として、
Vout31=−(R312/R311)Vin31 −(式3)
となる。
【0047】
増幅回路31の出力電圧Vout31は対数増幅回路41に入力される。増幅回路32の出力電圧Vout32は対数増幅回路42に入力される。増幅回路33の出力電圧Vout33は対数増幅回路43に入力される。増幅回路34の出力電圧Vout34は対数増幅回路44に入力される。
【0048】
図5は、本発明の第1の実施形態に係るセンサモジュールの対数増幅回路の回路図である。対数増幅回路41−44は同じ回路構成である。したがって、対数増幅回路41を例に説明する。
【0049】
対数増幅回路41は、オペアンプU41,U42、トランジスタQ41,Q42、抵抗R411,R412,R412,R414,R415、および、コンデンサC41,C42を備える。
【0050】
オペアンプU41の反転入力端子は、抵抗R411に接続されている。抵抗R411は、増幅回路31の出力端子に接続されている。したがって、増幅回路31の出力電圧Vout31は、対数増幅回路41の入力電圧Vin41である。
【0051】
オペアンプU41の非反転入力端子は、基準電位VSTDに接続されている。オペアンプU41の出力端子は、抵抗R415を介してトランジスタQ42のベースに接続されている。オペアンプU41の出力端子は、コンデンサC41を介して、オペアンプU41の反転入力端子に接続されている。
【0052】
オペアンプU42の反転入力端子は、抵抗R412に接続されている。抵抗R412は、リファレンス電位VREFに接続されている。オペアンプU42の非反転入力端子は、基準電位VSTDに接続されている。なお、リファレンス電位VREFを駆動電圧VDDとすることによって、リファレンス電位VREF用に新たな電圧発生用回路を追加しなくても、簡便にリファレンス電位VREFを得ることができる。
【0053】
オペアンプU42の出力端子は、コンデンサC42を介して、オペアンプU42の入力端子に接続されている。オペアンプU42は、抵抗R413を介して、トランジスタQ41のエミッタとトランジスタQ42のエミッタとの接続点に接続されている。
【0054】
トランジスタQ41のコレクタは、オペアンプU41の反転入力端子に接続されている。トランジスタQ42のコレクタは、オペアンプU42の反転入力端子に接続されている。
【0055】
トランジスタQ41のベースは、基準電位に接続されている。トランジスタQ42のベースは、抵抗R414を介して基準電位に接続されている。
【0056】
オペアンプU41の出力端子の電圧は、対数増幅回路41の出力電圧Vout41である。
【0057】
対数増幅回路41の出力電圧Vout41は、入力電圧Vin41として、
Vout41=−(nkT(R415+R414)/(q・R414))・log10(R412・Vin41/R411・VREF) −(式4)
となる。なお、nはエミッション係数、kはボルツマン定数、qは電子の電荷量である。
【0058】
このような構成からなるセンサモジュール10では、検出用部材110が押圧されると、センサモジュール10の各部で図6に示す電荷量の波形、電圧波形が得られる。図6は、本発明の第1の実施形態に係るセンサモジュールの各部の波形を示す図である。
【0059】
押圧力が生じると、チャージアンプ21に入力される電荷量が正の値となる。電荷量の変化は、押圧力の変化と同じである。例えば、押圧力が生じて増加すると、電荷量も増加する。押圧力が一定であれば、電荷量も変化せず一定である。押圧力が低下すると、電荷量が低下する。
【0060】
電荷量が増加すると、増加量および増加速度に応じて、チャージアンプ21の出力電圧Vout2が基準電位VSTDから低下する。チャージアンプ21の出力電圧Vout2の低下量は、電荷量に依存し、ひいては、押圧力に依存する。チャージアンプ21の出力電圧Vout2は、押圧力が一定になるのにしたがって、基準電位VSTDに戻る。
【0061】
一方。電荷量が低下すると、低下量および低下速度に応じて、チャージアンプ21の出力電圧Vout2が基準電位VSTDから上昇する。チャージアンプ21の出力電圧Vout2は、検出用部材110への押圧力が開放されるのにしたがって、基準電位VSTDに戻る。
【0062】
増幅回路31は、チャージアンプ21の出力電圧Vout2を増幅して、極性を反転させる。したがって、電荷量が増加する期間では、増幅回路31の出力電圧Vout3は、基準電位VSTDから上昇する。増幅回路31の出力電圧Vout3の増加量の絶対値は、チャージアンプ21の出力電圧Vout2の低下量の絶対値よりも大きい。電荷量が低下する期間では、増幅回路31の出力電圧Vout3は、基準電位VSTDから低下する。増幅回路31の出力電圧Vout3の低下量の絶対値は、チャージアンプ21の出力電圧Vout2の増加量の絶対値よりも大きい。
【0063】
対数増幅回路41の出力電圧Vout4は、検出用部材110に押圧力が加わっていない状態では、駆動電圧VDDと略同じである。駆動電圧VDDは、対数増幅回路41を構成するオペアンプU41,U42に印加する駆動用の電圧である。
【0064】
対数増幅回路41の出力電圧Vout4は、増幅回路31の出力電圧Vout3の増加にしたがって、駆動電圧VDDから基準電圧VSTD近くまで低下する。対数増幅回路41の出力電圧Vout4は、押圧力の変化がなくなると駆動電圧VDDに向かって上昇し、押圧力が低下すると駆動電圧VDDとなる。
【0065】
演算部50は、対数増幅回路41、42,43,44の出力電圧をデジタルサンプリングして、各圧電素子101−104に対する検出値として取得する。演算部50は、検出値の大きさに基づいて押圧力を算出する。
【0066】
このような構成とすることによって、検出用部材110への操作者の押圧の有無と押圧力とを検出することができる。そして、各圧電素子101−104の出力電圧に対して対数増幅が行われているので、押圧力の検出に対するダイナミックレンジを広くすることができる。
【0067】
また、本実施形態の構成を用いることによって、押圧力が加わっていない状態から押圧力が加わるタイミングを検出することができる。これにより、押圧操作に応じて殆どタイムラグ無しで押圧があったことを検出することができる。
【0068】
なお、本実施形態では、増幅回路(反転増幅回路)を1段備える態様を示したが、複数段備える態様としてもよい。この場合、複数段の各段には、反転増幅回路も非反転増幅回路のいずれも含まれていてよいが、必ず反転転増幅回路は奇数段含まれているようにする。一方、非反転増幅回路の段数は制限がなく、非反転増幅回路は含まれていなくてもよい。以上により、複数段からなる増幅回路全体としては、反転増幅するようにする。
【0069】
また、本実施形態の対数増幅回路41における抵抗R415をサーミスタとすることによって、温度補償を行うことができる。これにより、対数増幅回路41の出力電圧Vout41の温度依存性を抑圧することができる。したがって、配置環境に影響されることなく、押圧の有無および押圧力を検出することができる。
【0070】
さらに、本実施形態の構成を用いることによって、押圧位置を検出することができる。
【0071】
図7は、本発明の第1の実施形態に係る押圧検出装置における押圧位置と出力電圧比との関係を示すグラフである。図7において、縦軸は、圧電素子101の出力電荷量に応じた電圧V101と、圧電素子102の出力電荷量に応じた電圧V102との比の常用対数(底を10とする対数)を示す。横軸は、検出用部材110のY軸方向の中心からの距離を示す。Y軸の値が正になるのは、図2におけるY軸方向の中心から圧電素子101側である。Y軸の値が負となるのは、図2におけるY軸方向の中心から圧電素子102側である。
【0072】
図7に示すように、Y軸方向に沿った所定の領域では、Y軸方向に沿った位置と、電圧V101と電圧V102との比の常用対数とは線形である。
【0073】
ここで、演算部50では、対数増幅回路41の出力電圧Vout41と、対数増幅回路42の出力電圧Vout42が入力される。出力電圧Vout41は、電圧V101の常用対数に比例し、出力電圧Vout42は、電圧V102の常用対数に比例する。したがって、演算部50は、出力電圧Vout41と出力電圧Vout42との差(Vout41−Vout42)を算出することで、電圧V101と電圧V102との比の常用対数と線形の関係にある値を得ることができる。電圧V101と電圧V102との比の常用対数とY軸の位置は線形であるので、演算部50は、出力電圧Vout41と出力電圧Vout42との差(Vout41−Vout42)を算出することで、検出用部材110におけるY軸の位置を検出することができる。
【0074】
なお、演算部50は、対数増幅回路43の出力電圧Vout43と対数増幅回路44の出力電圧Vout44との差(Vout43−Vout44)を算出することによって、Y軸方向の位置と同様に、X軸方向の位置を算出することができる。
【0075】
このように、本実施形態の構成を用いることによって、押圧位置を検出することができる。この際、演算部50は、対数増幅回路41−44の出力電圧の差分演算を行えばよい。したがって、簡素な演算によって押圧位置を検出することができる。
【0076】
次に、本発明の第2の実施形態に係るセンサモジュールおよび押圧検出装置について、図を参照して説明する。図8は、本発明の第2の実施形態に係るセンサモジュールのチャージアンプの回路図である。
【0077】
チャージアンプ21Aは、非反転入力端子が圧電素子101に接続されている。非反転入力端子は、コンデンサC21Aと抵抗R21Aの並列回路を介して、基準電位VSTDに接続されている。出力端子は、反転入力端子に接続されている。
【0078】
このチャージアンプでは、
Vout21=Q/C [f] −(式5)
Vout21=R(dQ/dt) [f≪1/(2πCR)] −(式6)
となり、(式5)と(式6)は、それぞれ(式1)と(式2)に対して右辺の符号が逆となる。したがって、この構成によって、チャージアンプ21Aは、圧電素子101に対する押圧によって正の出力電圧Vout21Aを出力する。
【0079】
この場合、チャージアンプと対数増幅回路との間の増幅回路は、非反転増幅回路を用いる。この際、増幅回路は複数段備える態様としてもよい。この複数段の各段において、反転増幅回路と非反転増幅回路のいずれを用いてもよいが、この複数段に含まれている反転増幅回路は偶数段であるか、含まないかのいずれかとする。一方、非反転増幅回路の段数は制限がなく、非反転増幅回路は含まれていなくてもよい。以上により、複数段からなる増幅回路全体としては、非反転増幅するようにする。
【0080】
このような構成であっても、第1の実施形態と同様に、ダイナミックレンジが広いセンサモジュールを実現できる。また、押圧の有無、押圧力、および押圧位置を精確に検出できる押圧検出装置を実現できる。
【0081】
次に、本発明の第3の実施形態に係るセンサモジュールおよび押圧検出装置について、図を参照して説明する。図9は、本発明の第3の実施形態に係るセンサモジュールの一部を示すブロック図である。
【0082】
本実施形形態に係るセンサモジュールは、1つの圧電素子に対する増幅回路と対数増幅回路との間にスイッチ回路を備えた点で、第1の実施形態に係るセンサモジュールと異なる。他の圧電素子に対する回路は同じである。
【0083】
増幅回路31の出力端子と対数増幅回路41の入力端子との間には、スイッチ回路60が接続されている。スイッチ回路60は、対数増幅回路41の入力端子を、増幅回路31の出力端子または対数増幅回路41に与えるリファレンス電位VREFに選択的に接続している。演算部50は、押圧力を検出する場合、対数増幅回路41の入力端子を増幅回路31の出力端子に接続する。さらに、対数増幅回路41の抵抗R411と抵抗R412には同じ抵抗値の抵抗器を使用する。演算部50は、較正を行う場合、スイッチ回路60を制御して、対数増幅回路41の入力端子をリファレンス電位VREFに接続する。このように接続された場合(式4)のVin41=VREFとなる。Vin41=VREFとR411=R412を(式4)に代入するとVout41=0となる。前述の通り、(式4)中の電圧値はすべて基準電位VSTDに対する相対値であるので、Vout41=0はVout41の電圧と基準電位VSTDが等しいことを意味する。Vout41が基準電位VSTDに等しくなることにより演算部で基準電位VSTDの較正が可能となる。
【0084】
このような較正を行うことによって、グランド電位でない基準電位VSTDのばらつきを較正することができる。したがって、押圧力および押圧位置を高精度に検出することができる。なお、グランド電位を基準電位とすることでばらつきは解消されるが、負電圧を発生しなければならず、回路が煩雑化してしまう。したがって、本実施形態の構成を用いることによって、回路を簡素化しながら、押圧力および押圧位置を高精度に検出することができる。
【0085】
なお、この較正を行うために、増幅回路の1つをレール・ツー・レール(Rail to Rail)オペアンプにしてもよい。レール・ツー・レール(Rail to Rail)オペアンプを用いて、当該オペアンプの最大出力電圧を発生させることによって、対数増幅回路に駆動電圧VDDを入力させることができる。この場合、対数増幅回路41のリファレンス電位VREFを駆動電位VDDとしておけば、前記と同様に、基準電位VSTDのばらつきを較正することができる。なお、最大出力電圧の発生方法としては、例えば、圧電素子に対して大きな押圧力を加えて、この時の出力電圧を記憶しておけばよい。
【0086】
なお、上述の各実施形態では、増幅回路31をオペアンプによって構成する態様を示したが、トランジスタと抵抗との組み合わせによって増幅回路を構成してもよい。図10は、本発明の実施形態に係るセンサモジュールの他の態様からなる増幅回路の回路図である。
【0087】
図10に示すように、増幅回路31Aは、npn型のトランジスタQ31A、抵抗R311A,R312A,R313A,R314A、および、コンデンサC311A,C312Aを備える。トランジスタQ31Aのベースには、コンデンサC11Aを介して、入力電圧Vin31Aが印加される。トランジスタQ31Aのベースは、抵抗R311Aを介して駆動電位VDDに接続されており、抵抗R312Aを介して基準電位VSTDに接続されている。トランジスタQ31Aのエミッタは、抵抗R314Aを介して基準電位VSTDに接続されている。トランジスタQ31Aのコレクタは、抵抗R313Aを介して駆動電圧電位VDDに接続されている。トランジスタQ31Aのコレクタは、キャパシタ312Aを介して後段に接続される。すなわち、トランジスタQ31Aのコレクタ電位が出力電圧Vout31Aとなる。
【0088】
このような構成とすることによって、出力電圧Vout31Aは、次式で表すことができる。なお、次式において、Gは正の実数である。
【0089】
Vout31A=−G・Vin31A −(式7)
このように、図10の回路構成を用いても反転増幅回路を形成することができる。
【0090】
また、上述の各構成において、チャージアンプからの出力電圧が押圧検出に対して十分な高さを有している場合、増幅回路の増幅率は1以下(等倍や減衰)でもよく、チャージアンプからの出力電圧が検出方向の押圧に対して正の電圧を出力する場合には、増幅回路を省略してもよい。
【符号の説明】
【0091】
1:センサモジュール
10:検出回路
21,22,23,24:チャージアンプ
31,32,33,34,31A:増幅回路
41,42,43,44:対数増幅回路
50:演算部
60:スイッチ回路
101,102,103,104:圧電素子
110:検出用部材
C21,C21A,C41,C42,C312A,C312B:コンデンサ
R21,R21A,R311,R312,R311A,R312A,R313A,R314A,R411,R412,R413,R414:抵抗
R415:抵抗(サーミスタ)
Q21,Q22,Q31A:トランジスタ
U21,U31,U41,U42:オペアンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10