特許第6252752号(P6252752)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6252752
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】液晶配向剤
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1337 20060101AFI20171218BHJP
   C08G 73/10 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   G02F1/1337 525
   C08G73/10
【請求項の数】13
【全頁数】33
(21)【出願番号】特願2013-262198(P2013-262198)
(22)【出願日】2013年12月19日
(65)【公開番号】特開2014-219656(P2014-219656A)
(43)【公開日】2014年11月20日
【審査請求日】2016年7月26日
(31)【優先権主張番号】特願2013-81037(P2013-81037)
(32)【優先日】2013年4月9日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004178
【氏名又は名称】JSR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080609
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 正孝
(74)【代理人】
【識別番号】100122404
【弁理士】
【氏名又は名称】勝又 秀夫
(74)【代理人】
【識別番号】100109287
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 泰三
(72)【発明者】
【氏名】樫下 幸志
(72)【発明者】
【氏名】林 英治
【審査官】 廣田 かおり
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−297380(JP,A)
【文献】 特開平09−197411(JP,A)
【文献】 特開2011−018025(JP,A)
【文献】 特開2006−171304(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0179878(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1337
C08G 73/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸、該ポリアミック酸のイミド化重合体および該ポリアミック酸のエステル化重合体よりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有する液晶配向剤であって、
前記テトラカルボン酸二無水物が下記式(t−1)および(t−2)のそれぞれで表される化合物から選択される少なくとも1種ならびにその他のテトラカルボン酸二無水物とを含むことを特徴とする、前記液晶配向剤。
【化1】
(式(t−1)および(t−2)中、Rは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子であり、
nは0〜6の整数である。)
【請求項2】
上記テトラカルボン酸二無水物における上記式(t−1)および(t−2)のそれぞれで表される異性体の合計の存在割合が10モル%以上である、請求項1に記載の液晶配向剤。
【請求項3】
上記テトラカルボン酸二無水物中のシクロペンタンテトラカルボン酸二無水物における下記式(t−1)および(t−2)のそれぞれで表される異性体の合計の存在割合が25モル%以上である、請求項1または2に記載の液晶配向剤。
【請求項4】
分子中にアルケニル基およびフルオロアルケニル基から選択される基を1個有する液晶性化合物を含有する液晶組成物から形成された液晶層を有する液晶表示素子の製造に用いられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
【請求項5】
それぞれが導電膜を有する一対の基板の前記導電膜上に請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤を塗布し、次いでこれを加熱して塗膜を形成する第1の工程と、
前記塗膜を形成した一対の基板が、少なくとも液晶性化合物と光重合性化合物とを含有する液晶組成物を介して前記塗膜が相対するように対向配置されてなる液晶セルを構成する第2の工程と、
前記一対の基板の有する導電膜間に電圧を印加した状態で前記液晶セルに光照射する第3の工程と
を含むことを特徴とする、液晶表示素子の製造方法。
【請求項6】
上記液晶組成物が、分子中にアルケニル基およびフルオロアルケニル基から選択される基を1個有する液晶性化合物をさらに含有する、請求項5に記載の液晶表示素子の製造方法。
【請求項7】
基板上に請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶配向剤を塗布し、次いでこれを加熱して塗膜を形成する第1の工程と、
前記塗膜に光照射する第2の工程と、
前記光照射した塗膜上に重合性液晶を塗布して塗膜を形成する第3の工程と、
該重合性液晶の塗膜を硬化する第4の工程と
を経由することを特徴とする、位相差フィルムの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤から形成されたことを特徴とする、液晶配向膜。
【請求項9】
請求項8に記載の液晶配向膜を具備することを特徴とする、液晶表示素子。
【請求項10】
請求項8に記載の液晶配向膜を具備することを特徴とする、位相差フィルム。
【請求項11】
基板上に、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成する工程を経由することを特徴とする、液晶配向膜の形成方法。
【請求項12】
塗膜形成後、さらに該塗膜に光照射する工程を行う、請求項11に記載の液晶配向膜の形成方法。
【請求項13】
塗膜形成後、さらに該塗膜をラビング処理する工程を行う、請求項11に記載の液晶配向膜の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶配向剤に関する。詳しくは、液晶配向性、耐光性、耐熱性および残像特性に優れる液晶表示素子を与えるとともに、印刷性にも優れる液晶配向剤に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示素子は、電極構造、使用する液晶分子の物性などによって、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、VA(Vertical Alignment)型、MVA(Multidomain Vertical Alignment)型、IPS(In−Plane Switching)型、FFS(Fringe Field Switching)型、PSA(Polymer Sustained Alignment)型などの種々のモードに分類することができる。
これら各種の液晶表示素子における液晶配向膜の材料としては、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステルなどの樹脂材料が知られており、特にポリアミック酸またはポリイミドからなる液晶配向膜は耐熱性、機械的強度、液晶との親和性などに優れているため、多くの液晶表示素子に使用されている(特許文献1)。
液晶配向剤においては、近年、光照射および熱ストレスの印加によっても電気特性の低下を来たさない性能が、従前にも増して求められるようになってきている。その事情は以下のとおりである。
液晶表示素子の製造工程において、プロセス短縮および歩留まり向上の観点から液晶滴下方式、すなわちODF(One Drop Fill)方式、が普及し始めている。ODF方式は、液晶配向膜を塗布した基板のうちの1枚の所定箇所に紫外光硬化性のシール剤を塗布した後、同基板上の所定の数箇所に液晶を滴下した後に、他方の基板を貼り合わせて液晶を基板全面に押し広げ、さらに紫外光を照射してシール剤を硬化して液晶セルを製造する方法である。このときに照射される紫外光は通常1平方センチメートルあたり数ジュール以上と強い。すなわち液晶表示素子製造工程において、液晶配向膜は液晶とともにこの強い紫外光にさられることになる。
【0003】
液晶表示素子の用途の変化に目を転じると、従来の液晶表示素子の主用途であったノートパソコン、モニター用ディスプレイなどに加えて、液晶テレビジョンの普及が著しく、また、従来のビジネス用途以外にもホームシアター用途としての液晶プロジェクターの需要が高まっているほか、モバイル型、車載用など屋外使用を意図した液晶表示素子も普及して久しい。
液晶テレビジョンは買い替えサイクルが長く、長寿命であることが求められており、従って長期間にわたってバックライト照射にさらされることになる。液晶プロジェクター用の液晶表示素子には、メタルハライドランプなどの非常に照射強度が高く、被照射体の温度上昇が不可避の光源を用いている。携帯電話などのモバイル機器用の液晶表示素子は強い紫外線を含む太陽光下においても使用することを前提としており、視認性を向上するため、バックライトの輝度を上げる必要がある。カーナビなどの車載用途では、液晶表示素子の搭載車を夏場の直射日光下に駐車した場合など、素子が長時間高温にさらされる場合がある。
このように、液晶表示素子においては、その製造工程の改良、用途の多様化などに伴って、高強度の光照射、車内環境への適応要請、長時間駆動など、従来では考えられなかった苛酷な環境にさらされることとなってきた。旧知の液晶配向膜は、かかる苛酷な環境に対する耐性が不足であった。
ところで、従来知られている液晶配向剤は、これを用いて形成される塗膜に印刷ムラやピンホールなどの印刷不良が一定の確率で生じ、液晶配向膜製造の際の製品歩留まりが不十分であることが指摘されている。当業界では、液晶配向剤について、形成される液晶配向膜の性能の確保と印刷性に対する溶解性とを両立するべく、長年にわたって研究が継続されてはいるものの、液晶配向膜製造の際の製品歩留まりには、未だに一定の限界が存在するのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−165628号公報
【特許文献2】特開2010−168551号公報
【特許文献3】特開2010−61157号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】T.J.Scheffer et.al.,J.Appl.Phys.vol48, p1783(1977))
【非特許文献2】F.Nakano,et.al.,JPN.J.Appl.Phys.vol.19,p2013(1980)
【非特許文献3】「UVキュアラブル液晶とその応用」、液晶、第3巻第1号(1999年)、pp34〜42
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記のような現状を打開しようとしてなされたものである。
本発明の目的は、液晶配向性に優れ、光照射および熱ストレスの印加によっても電気特性の劣化を来たさず、且つ長時間駆動をした場合でも残像の問題が生じることのない液晶配向膜を与えるとともに、印刷性にも優れる液晶配向剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的および利点は、
テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸、該ポリアミック酸のイミド化重合体および該ポリアミック酸のエステル化重合体よりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有する液晶配向剤であって、
前記テトラカルボン酸二無水物が下記式(t−1)および(t−2)のそれぞれで表される化合物から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする、前記液晶配向剤によって達成される。
【0008】
【化1】
【0009】
(式(t−1)および(t−2)中、Rは炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基またはハロゲン原子であり、
nは0〜6の整数である。)
【発明の効果】
【0010】
本発明の液晶配向剤は印刷性に優れるから、液晶配向膜製造時の製品歩留まりが可及的に高いものである。
本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜は、耐光性および耐熱性に優れるから、光照射および熱ストレスの印加によっても電気特性が劣化する程度が極めて少ない。本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜は、さらに、残像特性に優れ、長時間駆動した後の電気特性の劣化が極めて抑制されたものである。従って、本発明の液晶配向剤は、例えば液晶テレビジョン、液晶プロジェクター、モバイル機器、車載用機器などに好適に用いることができる。
本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜は、液晶配向性および密着性にぐれ、両者のバランスにも優れる。従って、本発明の液晶配向剤は、例えば位相差フィルムにも好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施例1などで使用した電極パターンを示す説明図である。
図2】電極パターンの別の一例を示す説明図である。
図3】電極パターンのさらに別の一例を示す説明図である。
図4】実施例7で使用した電極パターンを示す説明図である。
図5】実施例10〜13で照射した偏光紫外線の偏光面の方向を示す説明図である。
図6】実施例10〜13で製造した残像評価用液晶表示素子の基板が有する駆動電極の構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の液晶表示素子は、上記のとおり、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸、該ポリアミック酸のイミド化重合体および該ポリアミック酸のエステル化重合体よりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有するものであって、
前記テトラカルボン酸二無水物が上記式(t−1)および(t−2)のそれぞれで表される化合物から選択される少なくとも1種を含むことを特徴とする。上記重合体としては、ポリアミック酸および該ポリアミック酸のイミド化重合体よりなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
<シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物>
シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物には、幾何異性体として、下記式(T1)および(T2)のそれぞれで表される異性体(トランス体)と、下記式(C)で表される異性体(シス体)とが存在する。
【0013】
【化2】
【0014】
シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物を、従来知られている方法で合成すると、シス体となる。すなわち、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物は、工業的には、マレイン酸無水物とシクロペンタジエンとのDiels−Alder反応を経由して合成されているが、この方法によるとシス体のみが得られるのである。従って、公知技術のポリアミック酸またはそのイミド化重合体系の液晶配向剤において、原料としてシクロペンタンテトラカルボン酸二無水物が使用されている場合、それはシス体であると理解すべきである。
これに対して本発明は、トランス体のシクロペンタンテトラカルボン酸二無水物を使用することが特徴である。本発明におけるシクロペンタンテトラカルボン酸二無水物は、シクロペンタン環が炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜6のアルケニル基、炭素数1〜6のハロゲン化アルキル基およびハロゲン原子よりなる群から選択される少なくとも1個の置換基で置換されていてもよい。本明細書においては、以下、このような置換体も包含する概念として「シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物」という用語を使用する。従って本発明におけるトランス体のシクロペンタンテトラカルボン酸二無水物は、上記式(t−1)および(t−2)のそれぞれで表される化合物から選択される少なくとも1種である。このようなトランス体のシクロペンタンテトラカルボン酸二無水物を、本明細書において以下、「トランス体」または「t−CPDA」ということがある。また、本発明におけるトランス体の幾何異性体であるシス体のシクロペンタンテトラカルボン酸二無水物を、本明細書において以下、「シス体」または「c−CPDA]ということがある。
【0015】
上記式(t−1)および(t−2)におけるRとしては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基または炭素数2〜6のアルケニル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基メトキシ基、エトキシ基またはビニル基であることがより好ましい。nは0または1であることが好ましい。nが1であるとき、Rの位置はシクロペンタン環の5位であることが好ましい。nは0であることが特に好ましい。
シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物のトランス体は、例えば特許文献2(特開2010−168551号公報)に記載の方法によって得ることができる。
先ず、全シス型のシクロペンタンテトラカルボン酸を熱異性化し、生成したトランス型の異性体を回収して全トランス型のシクロペンタンテトラカルボン酸を得る。次いで、この全トランス型のシクロペンタンテトラカルボン酸が有するカルボン酸を適当な脱水剤(例えば無水酢酸)で脱水閉環することにより、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物のトランス体(t−CPDA)を得ることができる。この反応の反応条件は、当業者が通常有する知識により、あるいはこれに少しの予備実験から得られる知見を追加することにより、容易に設定することができる。上記の方法に、当業者による適宜の変更を加えた方法によって合成を行ってもよい。
本発明におけるポリアミック酸は、上記のようなt−CPDAを含むテトラカルボン酸二無水物と、ジアミンと、を反応させることにより、得ることができる。ポリアミック酸のイミド化重合体は、上記のようにして得られたポリアミック酸を脱水閉環してイミド化することにより、得ることができる。
【0016】
<他のテトラカルボン酸二無水物>
本発明におけるポリアミック酸を合成するためのテトラカルボン酸二無水物としては、上記のようなt−CPDAとともにその他のテトラカルボン酸二無水物併用される。テトラカルボン酸二無水物の全体に占めるt−CPDAの割合は、5モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましく、25モル%以上であることがさらに好ましく、50モル%以上であることがとりわけ好ましく、75モル%以上であることが特に好ましく、就中85モル%以上であることが好ましい。
本発明において、t−CPDAとともに使用されるその他のテトラカルボン酸二無水物としては、例えば芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂肪族テトラカルボン酸二無水物、脂環族テトラカルボン酸二無水物などを挙げることができる。上記脂肪族テトラカルボン酸二無水物はc−CPDAを包含する概念である。
本発明におけるその他のテトラカルボン酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物1,3−プロピレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物および脂環族テトラカルボン酸二無水物よりなる具から選択される1種以上であることが好ましく;
【0017】
ピロメリット酸二無水物、1,3−プロピレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオンおよびビシクロ[3.3.0]オクタン−2,3,8−テトラカルボン酸−2:4,6:8−二無水物よりなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましく;
ピロメリット酸二無水物、1,3−プロピレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,3,6,8−テトラカルボン酸−2:4,6:8−二無水物および1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることがさらに好ましい。
【0018】
<ジアミン>
本発明におけるポリアミック酸を合成するためのジアミンとしては、プレチルト角発現性基を有するジアミンおよび光配向性基を有するジアミン、ならびにこれらの基を有さないジアミンを挙げることができる。
プレチルト角発現性基を有するジアミンとしては、プレチルト角発現性基を有する芳香族ジアミンであることが好ましく、その具体例として、例えばドデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、テトラデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ドデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、テトラデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ペンタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、ヘキサデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、オクタデカノキシ−2,5−ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、コレステリルオキシ−3,5−ジアミノベンゼン、コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、コレステリルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、3,5−ジアミノ安息香酸コレスタニル、3,5−ジアミノ安息香酸コレステリル、3,5−ジアミノ安息香酸ラノスタニル、3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン、3,6−ビス(4−アミノフェノキシ)コレスタン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ブチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェノキシ)メチル)フェニル)−4−ヘプチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−((アミノフェニル)メチル)フェニル)−4−(4−ヘプチルシクロヘキシル)シクロヘキサン、N−(2,4−ジアミノフェニル)−4−(4−ヘプチルシクロヘキシル)ベンズアミド、下記式(N)で表される化合物、下記式(A−1)で表される化合物などを挙げることができる。
【0019】
【化3】
【0020】
【化4】
【0021】
(式(A−1)中、XおよびXIIは、それぞれ、単結合、−O−、−COO−または−OOC−(ただし、「*」を付した結合手が式(A−I)の左方向を向く。)であり;
は単結合、メチレン基または炭素数2もしくは3のアルキレン基であり;
aは0または1であり、bは0〜2の整数であり、ただしaおよびbが同時に0になることはなく;
cは1〜20の整数である。)
上記式(A−1)におけるX−R−XII−で表される2価の基としてはメチレン基、炭素数2もしくは3のアルキレン基、−O−、−COO−または−O−CHCH−O−(ただし、「*」を付した結合手がジアミノフェニル基と結合する。)であることが好ましい。基−C2c+1においてcが3以上であるとき、この基は直鎖状であることが好ましい。ジアミノフェニル基における2つのアミノ基は、他の基に対して2,4−位または3,5−位にあることが好ましい。上記式(A−1)で表される化合物の具体例としては、例えば下記式(A−1−1−1)、(A−1−1−2)および(A−1−2)
【0022】
【化5】
【0023】
(上記式中、「n−」は、それぞれ、直鎖であることを表す。)
のそれぞれで表される化合物であることが好ましい。
【0024】
光配向性基を有するジアミンにおける光配向性基とは、光の照射によって異性化、二量化および分解のうちの1つ以上の変化をし、これによって液晶分子を配向させる性能を獲得する基をいう。具体的には例えば、アゾベンゼン構造、桂皮酸構造、カルコン構造、ベンゾフェノン構造、クマリン構造等を有する基を挙げることができる。
このような基を有するジアミンとしては、例えばベンゼンジイルビスアミノベンゾエートなどを挙げることができる。
【0025】
プレチルト角発現性基および光配向性基のいずれをも有さないジアミンとしては、これらの基を有さない脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、芳香族ジアミン、ジアミノオルガノシロキサンなどを挙げることができる。
これらの基を有さないジアミンのうち、脂肪族ジアミンとしては、例えば1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどを;
脂環式ジアミンとしては、例えば1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどを;
【0026】
プレチルト角発現性基および光配向性基のいずれをも有さない芳香族ジアミンとしては、例えば芳香族ジアミンとして、例えばo−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−エチレン−1,2−ジイルアニリン、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルベンジジン、1,4−ビス−(4−アミノフェニル)−ピペラジン、3,5−ジアミノ安息香酸、4−(4’−トリフルオロメトキシベンゾイロキシ)シクロヘキシル−3,5−ジアミノベンゾエート、4−(4’−トリフルオロメチルベンゾイロキシ)シクロヘキシル−3,5−ジアミノベンゾエート、2,4−ジアミノ−N,N―ジアリルアニリン、4−アミノベンジルアミン、3−アミノベンジルアミン、1−(2,4−ジアミノフェニル)ピペラジン−4−カルボン酸、4−(モルホリン−4−イル)ベンゼン−1,3−ジアミン、1,3−ビス(N−(4−アミノフェニル)ピペリジニル)プロパン、α−アミノ−ω−アミノフェニルアルキレン、ベンゼン−1,4−ジイルビス(4−アミノベンゾエート)などを;
プレチルト角発現性基および光配向性基のいずれをもジアミノオルガノシロキサンとして、例えば1,3−ビス(3−アミノプロピル)−テトラメチルジシロキサンなどを、それぞれ挙げることができる。
【0027】
本発明の液晶配向剤を、TN型、STN型、IPS型、FFS型、PSA型などの水平配向タイプの液晶表示素子のための液晶配向膜を形成するために用いる場合には、ポリアミック酸を合成するために用いられるジアミン中のプレチルト角発現性基を有するジアミンの使用割合を制限して、プレチルト角が過度に高くならないようにコントロールすることが好ましい。この場合、プレチルト角発現性基を有するジアミンは、ジアミンの全量に対して、20モル%以下の割合とすることが好ましく、10モル%以下の割合とすることがより好ましく、特に5モル%以下とすることが好ましい。一方、本発明の液晶配向剤を、VA型、MVA型などの垂直配向タイプの液晶表示素子のための液晶配向膜を形成するために用いる場合には、プレチルト角発現性基を有するジアミンを一定の割合よりも多く使用して、高いプレチルト角を得ることが好ましい。この場合、プレチルト角発現性基を有するジアミンは、ジアミンの全量に対して、0.1モル%以上の割合とすることが好ましく、0.5〜80モル%の割合とすることがより好ましく、1〜50モル%の割合とすることがさらに好ましく、特に5〜40モル%の割合をすることが好ましい。
本発明の液晶配向剤から形成された塗膜に光配向法を適用して液晶配向膜とする場合には、ポリアミック酸を合成するために用いられるジアミン中の光配向性を有する基の使用割合を、ジアミンの全量に対して、10モル%以上とすることが好ましく、30モル%以上とすることがより好ましい。
【0028】
<連鎖移動剤>
ポリアミック酸を合成する際に、上記のようなテトラカルボン酸二無水物およびジアミンとともに適当な連鎖移動剤を共存させ、分子量が調節されたポリアミック酸(およびそのイミド化重合体)を合成することとしてもよい。
ここで使用することのできる連鎖移動剤としては、例えばカルボン酸一無水物、モノアミン、モノイソシアネート化合物などを挙げることができる。
上記カルボン酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸などを;
上記モノアミンとしては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミンなどを;
上記イソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを、それぞれ挙げることができる。
【0029】
<ポリアミック酸の合成>
本発明におけるポリアミック酸は、上記のようなテトラカルボン酸二無水物およびジアミン(ならびに任意的に連鎖移動剤)を反応させることにより得ることができる。
ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの使用割合は、ジアミンのアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.2当量となる割合である。連鎖移動剤を使用する場合、その使用割合は、テトラカルボン酸二無水物およびジアミンの合計100重量部に対して20重量以下とすることが好ましい。
ポリアミック酸の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において、好ましくは−20℃〜150℃、より好ましくは0〜100℃の温度条件下において、好ましくは0.1〜24時間、より好ましくは0.5〜12時間行われる。
【0030】
上記ポリアミック酸の合成に際して使用することのできる有機溶媒としては、例えば非プロトン性極性溶媒、フェノールおよびその誘導体、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素などを挙げることができる。上記非プロトン性極性溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどを;
上記フェノール誘導体としては、例えばm−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノールなどを;
上記アルコールとしては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテルなどを;
上記ケトンとしては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどを;
上記エステルとしては、例えば乳酸エチル、乳酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、シュウ酸ジエチル、マロン酸ジエチルなどを;
上記エーテルとしては、例えばジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラヒドロフランなどを;
上記ハロゲン化炭化水素としては、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,4−ジクロロブタン、トリクロロエタン、クロルベンゼン、o−ジクロルベンゼンなどを;
上記炭化水素としては、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテルなどを、それぞれ挙げることができる。
【0031】
これらの有機溶媒のうち、非プロトン性極性溶媒ならびにフェノールおよびその誘導体よりなる群(第一群の有機溶媒)から選択される1種以上を使用するか、あるいは前記第一群の有機溶媒から選択される1種以上と、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、ハロゲン化炭化水素および炭化水素よりなる群(第二群の有機溶媒)から選択される1種以上と、の混合物を使用することが好ましい。後者の場合、第二群の有機溶媒の使用割合は、第一群の有機溶媒および第二群の有機溶媒の合計に対して、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは40重量%以下であり、さらに30重量%以下であることが好ましい。
有機溶媒の使用量(a)は、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン(ならびに存在する場合には連鎖移動剤)の合計量(b)が重合反応溶液の全体量(a+b)に占める割合(b/(a+b))が、0.1〜50重量%となる量とすることが好ましい。
【0032】
<ポリアミック酸のイミド化重合体の合成>
本発明におけるポリアミック酸のイミド化重合体は、上記のようにして得られたポリアミック酸を脱水閉環してイミド化することにより、得ることができる。このイミド化重合体のイミド化率は、好ましくは30%以上であり、より好ましくは50%以上である。このイミド化率は100%であってもよい。
ポリアミック酸の脱水閉環は、好ましくは(i)ポリアミック酸を加熱する方法により、または(ii)ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。
上記(i)のポリアミック酸を加熱する方法における反応温度は好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは60〜170℃である。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるイミド化重合体の分子量が低下することがある。反応時間は好ましくは1.0〜24時間であり、より好ましくは1.0〜12時間である。
一方、上記(ii)のポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、所望するイミド化率によるが、ポリアミック酸のアミック酸構造の1モルに対して0.01〜20モルとすることが好ましい。また、脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとすることが好ましい。イミド化率は上記の脱水剤、脱水閉環剤の使用量が多いほど高くすることができる。脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は好ましくは0〜180℃であり、より好ましくは10〜150℃である。反応時間は好ましくは1.0〜120時間であり、より好ましくは2.0〜30時間である。
【0033】
<その他の成分>
本発明の液晶配向剤は、上記のような重合体を必須の成分として含有し、好ましくはこれらが後述の溶媒に溶解された溶液組成物として構成されるが、必要に応じてその他の成分をさらに含有していてもよい。
そのようなその他の成分としては、例えば分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ化合物」という。)、官能性シラン化合物などを挙げることができる。
【0034】
[エポキシ化合物]
上記エポキシ化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−シクロヘキシルアミンなどを好ましいものとして挙げることができる。
これらエポキシ化合物の配合割合は、上記のような重合体100重量部に対して、好ましくは40重量部以下、より好ましくは0.1〜30重量部である。
【0035】
[官能性シラン化合物]
上記官能性シラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノナン酸メチル、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノナン酸メチル、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシランなどを挙げることができる。
これら官能性シラン化合物の配合割合は、上記のような重合体100重量部に対して、好ましくは2重量部以下であり、より好ましくは0.02〜0.2重量部である。
【0036】
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、上記のような重合体および必要に応じて任意的に配合されるその他の添加剤が、好ましくは溶媒中に溶解含有されて構成される。
本発明の液晶配向剤に使用できる溶媒としては、有機溶媒を使用することが好ましく、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネートなどを挙げることができる。これらは単独で使用することができ、または2種以上を混合して使用することができる。
【0037】
本発明の液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤の溶媒以外の成分の合計重量が液晶配向剤の全重量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して適宜に選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、本発明の液晶配向剤は、後述するように基板表面に塗布され、好ましくは加熱されることにより液晶配向膜となる塗膜が形成されるが、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得ることができず、一方固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得ることができず、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる。
特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によって異なる。例えばスピンナー法による場合には固形分濃度1.5〜4.5重量%の範囲が特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、このことによって溶液粘度を12〜50mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とし、このことによって溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。
【0038】
本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは10〜45℃であり、より好ましくは20〜30℃である。
【0039】
<液晶配向膜の形成方法>
本発明の液晶配向剤を用いて液晶配向膜を形成することができる。
本発明の液晶配向剤を用いて形成された液晶配向膜は、後述のように例えば液晶表示素子、位相差フィルムなどに適用することができる。
液晶配向膜の形成は、例えば(1)基板上に塗膜を形成する工程(塗膜形成工程)および(2)液晶配向性付与工程を、この順で行う方法によることができる。(2)液晶配向性付与工程は任意である。本発明の液晶配向剤を、VA型、MVA型、PSA型などの液晶表示素子に適用する場合には、(2)液晶配向性付与工程を行わなくてもよい。
以下、液晶配向膜を形成するための工程のそれぞれについて説明する。
【0040】
(1)塗膜形成工程
i)液晶表示素子に適用される基板
液晶配向膜を形成するための基板を構成する材料は、液晶配向膜の適用対象によって異なる。また、液晶配向膜を液晶表示素子に適用する場合、該液晶配向膜を形成するための工程および液晶配向膜を形成する基板上の電極構成は、それぞれ、これらを適用する液晶表示素子の表示モードによって異なる。
本発明の液晶配向剤を液晶表示素子に適用する場合、基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートなどのプラスチックなど
からなる透明基板などを用いることができる。
本発明の液晶配向剤を、TN型、STN型、VA型、MVA型、PSA型などの縦電界方式の液晶表示素子に適用する場合、パターニングされた透明導電膜が設けられている基板2枚を一対として、その各透明性導電膜形成面上に、本発明の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成する。一方、本発明の液晶配向剤を、IPS型、FFS型などの横電界方式の液晶表示素子に適用する場合には、片面に透明導電膜または金属膜が櫛歯状にパターニングされた電極の一対を有する基板と、電極が設けられていない対向基板とを一対とし、櫛歯状電極の形成面と、対向基板の片面とに、それぞれ本発明の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成する。上記透明導電膜としては、例えばIn−SnOからなるITO膜、SnOからなるNESA(登録商標)膜などを用いることができる。上記金属膜としては、例えばクロムなどの金属からなる膜を使用することができる。透明導電膜および金属膜のパターニングには、例えばパターンなしの透明導電膜を形成した後にフォト・エッチング法、スパッタ法などによりパターンを形成する方法、透明導電膜を形成する際に所望のパターンを有するマスクを用いる方法などによることができる。
【0041】
ii)位相差フィルムに適用される基板
一方、本発明の液晶配向剤を位相差フィルムに適用する場合、基板としては、例えばトリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートなどの合成樹脂からなる透明基板を好適に例示することができ、これら透明基板の片面に本発明の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成する。
上記のうち、TACは、液晶表示素子における偏光フィルムの保護層として一般的に使用されている。位相差フィルムは、多くの場合、偏光フィルムと組み合わせて使用される。このとき、その所期する光学特性を発揮できるように、偏光フィルムの偏光軸に対する角度を特定の方向に精密に制御して位相差フィルムを貼り合わせる必要がある。従って、ここで、所定角度の方向に液晶配向能を有する液晶配向膜をTACフィルム上に形成すれば、位相差フィルムを偏光フィルム上にその角度を制御しつつ行う貼り合わせる工程を省略することができ、液晶表示素子の生産性の向上に寄与することができる。基板としてTACフィルムを使用することにより、上記の利点を享受することができるほか、液晶表示素子の小型化・軽量化にも寄与し、さらにフレキシブルディスプレイへの適用も可能となる。
位相差フィルムに適用される基板は、電極を有している必要はない。
【0042】
iii)基板上への液晶配向剤の塗布
上記のような基板上に、本発明の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成する。塗布に際して、基板および電極と、塗膜との接着性をさらに良好なものにするために、基板および電極上に、予め官能性シラン化合物、チタネート化合物などを塗布した後に加熱する前処理を施しておいてもよい。
基板上への液晶配向剤の塗布は、好ましくはオフセット印刷法、スピンコート法、ロールコーター法、インクジェット印刷法などの適宜の塗布方法により行うことができる。塗布後、塗布面を予備加熱(プレベーク)し、次いで焼成(ポストベーク)することにより塗膜を形成することができる。プレベークの条件は、例えば40〜120℃の加熱温度において0.1〜5分の加熱時間であり、ポストベークの条件は、例えば120〜300℃、好ましくは150〜250℃の加熱温度において、例えば5〜200分、好ましくは10〜100分の加熱時間である。
ポストベーク後の塗膜の膜厚は、本発明の液晶配向剤を液晶表示素子に適用する場合および位相差フィルムに適用する場合の双方とも、0.001〜1μmとすることが好ましく、0.005〜0.5μmとすることがより好ましい
本発明の液晶配向剤を、VA型、MVA型、PSA型などの液晶表示素子に適用する場合には、上記のようにして形成された塗膜をそのまま液晶配向膜として使用することができる。ただしこの場合であっても、任意的に次の(2)液晶配向性付与工程を行ってもよい。
【0043】
(2)液晶配向性付与工程
本発明の液晶配向剤を、TN型、STN型、IPS型、FFS型などの液晶表示素子または位相差フィルムに適用する場合には、上記(1)塗膜形成工程の後に(2)液晶配向性付与工程が行われる。
この液晶配向性付与工程は、ラビング処理または光照射処理によって行うことができる。
ラビング処理は、基板上に形成された塗膜の面を、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦ることにより行うことができる。
光照射処理において照射する光としては、例えば150〜800nmの波長の光を含む紫外線、可視光線などを用いることができる。200〜400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、Hg−Xeランプ、エキシマーレーザーなどを使用することができる。上記の好ましい波長領域の紫外線は、上記光源を、例えばフィルター、回折格子などと併用する手段などにより得ることができる。
光照射の際に使用する光が偏光(直線偏光または部分偏光)している場合には、塗膜面に対して垂直方向から照射してもプレチルト角付与のために斜め方向から照射してもよい。一方、非偏光の光を照射する場合には、照射は塗膜面に対して斜め方向から行うことが好ましい。
光の照射量ないし露光量としては、好ましくは50〜40,000J/mであり、より好ましくは100〜20,000J/mである。
【0044】
<液晶表示素子>
上記のようにして形成された液晶配向膜を有する基板を用いて、以下のようにして液晶表示素子を製造することができる。
上記のようにして液晶配向膜が形成された一対の基板を準備し、この一対の基板間に液晶が狭持された構成の液晶セルを製造する。液晶セルを製造するには、例えば以下の2つの方法を挙げることができる。
第1の方法として、各液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して一対の基板を対向配置し、該一対の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面および適当なシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより、液晶セルを製造する方法を挙げることができる。
第2の方法として、液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に例えば紫外光硬化性のシール材を塗布し、さらに液晶配向膜面上の所定の数カ所に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせるとともに液晶を基板全面に押し広げ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより、液晶セルを製造する方法(ODF(One Drop Fill)法)を挙げることができる。
上記いずれの方法による場合でも、次いで、液晶セルを、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが好ましい。
【0045】
そして、液晶セルの外側表面に偏光板を所定の方向で貼り合わせることにより、本発明の液晶表示素子を得ることができる。
上記液晶としては、例えばネマティック型液晶、スメクティック型液晶などを用いることができる。
水平配向タイプの液晶表示素子を製造する場合、正の誘電異方性を有するネマティック型液晶が好ましく、例えばビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、フッ化ベンゼン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などが用いられる。これらの液晶に、コレステリック液晶、カイラル剤、強誘電性液晶などを添加して使用してもよい。
一方、垂直配向タイプの液晶表示素子を製造する場合には、負の誘電異方性を有するネマティック型液晶が好ましく、例えばジシアノベンゼン系液晶、ピリダジン系液晶、シッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶などを用いることができる。
【0046】
PSA型の液晶表示素子を製造する場合、液晶としては、好ましくは負の誘電異方性を有するネマティック型液晶および光重合性化合物を含有する液晶組成物から形成された液晶層が用いられる。この液晶組成物は、分子中にアルケニル基およびフルオロアルケニル基から選択される基を1個以上有する液晶性化合物(以下、「化合物(L1)」という。)をさらに含有していてもよい。PSA型の液晶表示素子を製造する際に化合物(L1)を含有する液晶組成物を使用することにより、液晶応答速度をより速くすることができ、好ましい。
上記光重合性化合物としては、例えば分子中にラジカル重合可能なC=C二重結合を有する基を2個以上有する液晶性化合物などを挙げることができる。このラジカル重合可能なC=C二重結合を有する基としては、例え(メタ)アクリロイル基、ビニル基などを挙げることができ、これらのうち(メタ)アクリロイル基が好ましい。光重合性化合物の有する液晶構造としては、例えば、シクロヘキサン環およびベンゼン環から選択される1種以上の環を合計で2個以上連結された構造であることが好ましい。この連結は、環が直接結合している場合であってもよいし、例えば酸素原子、エステル結合、酸アミド結合、メチレン基等の適宜の結合基を介して結合している場合であってもよい。このような光重合性化合物の具体例としては、例えば下記式(L2−1)で表される化合物などを挙げることができるほか、特許文献3(特開2010−61157号公報)に記載の化合物を使用することができる。
【0047】
【化6】
【0048】
この液晶組成物における上記光重合性化合物の含有割合は、好ましくは0.1〜0.5重量%である。
上記化合物(L1)としては、例えば下記式(L1−1)〜(L1−9)のそれぞれで表される化合物などを挙げることができる。
【0049】
【化7】
【0050】
化合物(L1)の含有割合は、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは0.1〜30重量%である。
PSA型液晶表示素子における液晶層の厚さは、1〜5μmとすることが好ましい。
PSA型液晶表示素子の製造においては、一対の基板間に上記のような液晶組成物を挟持して液晶セルとした後、前記一対の基板の有する導電膜間に電圧を印加した状態で前記液晶セルに光照射が行われる。
ここで印加される電圧は、例えば5〜50Vの直流または交流であることができる。
ここで照射される光としては、波長150〜800nmの光を含む紫外線または可視光が好ましく、特に波長300〜400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマレーザーなどを使用することができる。上記の好ましい波長領域の光は、上記光源を例えばフィルター回折格子などと併用する手段などにより得ることができる。光の照射量としては、好ましくは1,000〜300,000J/mであり、より好ましくは1,000〜200,000J/mである。
上記いずれのタイプの液晶表示素子においても、液晶セルの外側に使用される偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と呼ばれる偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板、またはH膜そのものからなる偏光板などを挙げることができる。
【0051】
<位相差フィルム>
上記のようにして形成された液晶配向膜を有する基板を用いて、以下のようにして位相差フィルムを製造することができる。
上記のようにして液晶配向膜が形成された基板を準備し、該基板の液晶配向膜面上に重合性液晶を塗布して塗膜を形成し、次いで該重合性液晶の塗膜を硬化することにより、位相差フィルムを形成することができる。
ここで使用される重合性液晶は、加熱および光照射のうちの少なくとも1種の処理によって重合する液晶化合物または液晶組成物である。
このような重合性液晶としては、例えば非特許文献3(「UVキュアラブル液晶とその応用」、液晶、第3巻第1号(1999年)、pp34〜42)に記載されているネマティック液晶化合物を挙げることができる。コレステリック液晶;ディスコティック液晶;カイラル剤を添加されたツイストネマティック配向型液晶などであってもよい。重合性液晶は、複数の液晶化合物の混合物であってもよい。重合性液晶は、さらに、公知の重合開始剤、適当な溶媒などを含有する組成物であってもよい。
形成された液晶配向膜上に上記のような重合性液晶を塗布するには、例えばバーコーター法、ロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法などの適宜の塗布方法を採用することができる。
【0052】
上記のような塗布によって形成された重合性液晶の塗膜に対して、次いで、加熱および光照射から選択される1種以上の処理を施すことにより、該塗膜を硬化して液晶層を形成する。これらの処理を重畳的に行うことが、良好な配向が得られることから好ましい。
塗膜の加熱温度は、使用する重合性液晶の種類によって適宜に選択されるべきである。例えばメルク社製のRMS03−013Cを使用する場合、40〜80℃の範囲の温度で加熱することが好ましい。加熱時間は、好ましくは0.5〜5分である。
照射光としては、200〜500nmの範囲の波長を有する非偏光の紫外線を好ましく使用することができる。光の照射量としては、50〜10,000mJ/cmとすることが好ましく、100〜5,000mJ/cmとすることがより好ましい。
【0053】
形成される液晶層の厚さとしては、所望の光学特性によって適宜に設定される。例えば波長540nmの可視光における1/2波長板を製造する場合は、形成した位相差フィルムの位相差が240〜300nmとなるような厚さが選択され、1/4波長板であれば、位相差が120〜150nmとなるような厚さが選択される。目的の位相差が得られる液晶層の厚さは、使用する重合性液晶の光学特性によって異なる。例えばメルク製のRMS03−013Cを使用する場合、1/4波長板を製造するための厚さは、0.6〜1.5μmの範囲である。
【実施例】
【0054】
以下の合成例において使用したt−CPDAは、特許文献2(特開2010−168551号公報)に記載の方法に従って合成した、異性体純度100%品のトランス体であり;
c−CPDAは、下記式で表される幾何構造を有する1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸(市販品)を無水化することにより合成したシス体である。
【0055】
【化8】
【0056】
以下の合成例における各重合体溶液の溶液粘度およびイミド化重合体のイミド化率は、それぞれ、以下の方法によって測定した。
[重合体溶液の溶液粘度]
重合体溶液の溶液粘度(mPa・s)は、各合成例に記載の重合体溶液について、E型回転粘度計を用いて25℃で測定した。
[イミド化重合体のイミド化率]
各合成例において得られたイミド化重合体の溶液を少量分取して純水に投入し、得られた沈殿を室温で十分に減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温で測定したH−NMRのスペクトルから、下記数式(EX−1)によりイミド化率を求めた。
イミド化率(%)=(1−A/A×α)×100 (EX−1)
(数式(EX−1)中、Aは化学シフト10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積であり、
はその他のプロトン由来のピーク面積であり、
αはイミド化重合体の前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合である。)
【0057】
<重合体の合成>
合成例PA−1〜PA−8ならびに比較合成例pa−1およびpa−2
反応容器中に、テトラカルボン酸二無水物およびジアミンを、第1表に記載の混合割合(モル部)で合計重量が30gとなるように仕込み、さらにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)200gを加えて溶解し、60℃において6時間反応を行った。次いで、得られた反応混合物を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈澱させた。回収した沈殿物をメタノールで洗浄した後、減圧下40℃において15時間乾燥することにより、重合体(PA−1)〜(PA−8)ならびに(pa−1)および(pa−2)(いずれもポリアミック酸)をそれぞれ得た。
得られた重合体を少量ずつ分取し、NMPに溶解して濃度10重量%の溶液として、それぞれ溶液粘度を測定した。測定結果は第1表に示した。
【0058】
合成例PI−1〜PI−3
テトラカルボン酸二無水物およびジアミンとして、第1表に記載した種類および混合割合(モル部)で合計重量が30gとなるように使用したほかは上記合成例PA−1と同様にして重合体(ポリアミック酸)をそれぞれ得た。
これらの重合体をNMPに溶解して濃度10重量%の溶液とし、ここに第1表に記載した量のピリジンおよび無水酢酸を添加し、100℃において8時間脱水閉環反応(イミド化反応)を行った。反応終了後の反応混合物を大過剰のメタノール中に注ぎ、反応生成物を沈澱させた。回収した沈殿物をメタノールで洗浄した後、減圧下40℃において15時間乾燥することにより、重合体(PI−1)〜(PI−3)(いずれもイミド化重合体、イミド化率は第1表に示した)をそれぞれ得た。
得られた重合体のそれぞれを少量分取し、NMPに溶解して濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度を、第1表に合わせて示した。
【0059】
【表1】
【0060】
【表4】
【0061】
第1表におけるテトラカルボン酸二無水物およびジアミンの略称は、それぞれ以下の意味である。
[テトラカルボン酸二無水物]
t−CPDA:上記式(t−1)および(t−2)のそれぞれで表される化合物から選択される少なくとも1種(トランス体)
c−CPDA:上記式(c)で表される化合物(シス体)
AN−1:ピロメリット酸二無水物
AN−2:1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸二無水物
AN−3:2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物
AN−4:ビシクロ[3.3.0]オクタン−2,3,6,8−テトラカルボン酸−2:4,6:8−二無水物
AN−5:1,3−プロピレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)
AN−6:4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物
【0062】
[ジアミン]
DA−1:p−フェニレンジアミン
DA−2:4,4’−エチレン−1,2−ジイルアニリン
DA−3:4,4’−[4,4’−プロパン−1,3−ジイルビス(ピペリジン−1,4−ジイル)]ジアニリン
DA−4:3,5−ジアミノ安息香酸
DA−5:3−コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン
DA−6:N−(2,4−ジアミノフェニル)−4−(4−ヘプチルシクロヘキシル)ベンズアミド
DA−7:3,6−ビス(4−アミノベンゾイルオキシ)コレスタン
DA−8:ベンゼン−1,4−ジイルビス(4−アミノベンゾエート)
第1表におけるピリジンおよび無水酢酸の添加量は、それぞれ、テトラカルボン酸二無水物の合計使用量100モル部に対するモル部である。
【0063】
<液晶組成物の調製>
ネマチック液晶(メルク社製、品名「MLC−6608」)10g、上記式(L1−1)で表される化合物0.5gおよび上記式(L2−1)で表される化合物0.03gを混合することにより、液晶組成物LC1を得た。
【0064】
実施例1
(1)液晶配向剤の調製
上記合成例PA−1で得た重合体(PA−1)を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)およびブチルセロソルブ(BC)からなる混合溶媒(溶媒組成 NMP:BC=50:50(重量比))に溶解し、重合体濃度6.0重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターでろ過することにより、液晶配向剤を得た。
(2)印刷性の評価
上記で調製した液晶配向剤の印刷性を評価した。
先ず、上記の液晶配向剤につき、オフセット型の液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いて、ITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、200℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)することにより、触針式膜厚計(ケーエルエー・テンコール(株)製)で測定した平均膜厚が600Åである塗膜を形成した。
この塗膜を倍率20倍の光学顕微鏡で観察して、印刷ムラおよびピンホールの有無を調べた。評価は、印刷ムラおよびピンホールの双方ともが観察されなかった場合を印刷性「良好」、印刷ムラおよびピンホールの少なくとも一方が観察された場合を印刷性「不良」として行った。その結果、上記で調製した液晶配向剤を用いて形成した塗膜には印刷ムラおよびピンホールとも観察されず、印刷性は「良好」であった。
【0065】
(3)PSA型液晶表示素子の製造
基板としては、図1に示したようなスリット状にパターニングされ、複数の領域に区画されたITO電極を有するガラス基板を用いた。Aは一対の基板のうちの1枚の基板上に形成された電極のパターンを示し、Bはもう1枚の基板上に形成された電極のパターンを示す。図1左側の拡大図から明らかなように、両電極のスリット部が互い違いに配置されるように電極を構成した。
上記で調製した液晶配向剤を、基板の電極面上に、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いて塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、150℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚600Åの塗膜を形成した。この塗膜につき、超純水中で1分間超音波洗浄を行った後、100℃クリーンオーブン中で10分間乾燥することにより、液晶配向膜を有する基板を得た。これらの操作を繰り返し、電極面上に液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)得た。なお、ここで使用した電極のパターンは、PSAモードにおける電極パターンと同種のパターンである。
次いで、上記一対の基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外縁に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、一対の基板を液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、上記で調製した液晶組成物LC1を注入して充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止することにより、PSA型液晶表示素子を製造した。
上記の操作を繰り返し、PSA型液晶表示素子を合計4つ製造した。そのうちの1つは、そのまま後述の液晶配向性の評価および電圧保持率の評価に供した。残りの3つについては、電極間に10Vの電圧を印加した状態で、100,000J/mの紫外線をそれぞれ照射した後、電圧保持率の評価、耐熱性の評価および残像特性の評価にそれぞれ供した。
【0066】
(4)液晶配向性の評価
上記で製造した液晶表示素子(電圧印加下の紫外線照射をしていないもの)につき、5Vの電圧をON・OFF(印加・解除)したときの明暗の変化における異常ドメインの有無を、倍率50倍の光学顕微鏡により観察した。異常ドメインが観察されなかった場合を液晶配向性「良好」、異常ドメインが観察された場合を液晶配向性「不良」として評価したところ、この液晶表示素子の液晶配向性は「良好」であった。
(5)電圧保持率の評価
上記で製造した、紫外線未照射の液晶表示素子および電圧印加下において紫外線照射量した液晶表示素子のそれぞれについて、23℃において5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。
その結果、紫外線未照射の液晶表示素子の電圧保持率は、98.8%であり、電圧印加下において紫外線照射量した液晶表示素子の電圧保持率は、98.1%であった。
ここで、電圧保持率の測定装置としては、(株)東陽テクニカ製、型名「VHR−1」を使用した。
【0067】
(6)耐熱性の評価
上記で測定した、電圧印加下において紫外線照射量した液晶表示素子の電圧保持率の値を初期VHRBFとした。次いで、このVHRBF測定後の液晶表示素子を100℃のオーブン中に1,000時間静置した。その後、この液晶表示素子を室温下に静置して室温まで放冷した後、上記(5)と同じ条件で再度電圧保持率(熱ストレス印加後電圧保持率 VHRAF)を測定した。
ここで、下記数式(EX−2)により、熱ストレス印加前後の電圧保持率の変化率(△VHR(%))を求めた。
△VHR(%)=((VHRBF−VHRAF)÷VHRBF)×100 (EX−2)
評価は、変化率△VHRが4%未満であった場合を耐熱性「優良」、4%以上5%未満であった場合を「良好」、5%以上であった場合を耐熱性「不良」として行った。その結果、この液晶表示素子の△VHRは2.3%であり、耐熱性は「優良」であった。
【0068】
(7)残像特性の評価(プレチルト角安定性の評価)
上記で製造した、電圧印加下において紫外線照射量した液晶表示素子につき、非特許文献1(T.J.Scheffer et.al.,J.Appl.Phys.vol48, p1783(1977))および非特許文献2(F.Nakano,et.al.,JPN.J.Appl.Phys.vol.19,p2013(1980))に記載の方法に準拠し、He−Neレーザー光を用いる回転結晶法により、プレチルト角を測定した。
測定は、液晶表示素子に電圧印加する前のプレチルト角(初期プレチルト角θini)および室温において直流9Vの電圧を電極間に13時間印加した後のプレチルト角(駆動後プレチルト角θac)について行った。
そして下記数式(EX−3)により、プレチルト角変化率β[%]を算出した。このプレチルト角変化率βが4%未満であった場合を「優良」、4%以上5%未満であった場合を「良好」、5%以上であった場合を「不良」と評価したところ、この液晶表示素子のプレチルト角変化率βは、2.8%であり、「優良」と判断された。
プレチルト角変化率β[%]={(θac−θini)/θini}×100 (EX−3)
【0069】
実施例2〜6および比較例1
液晶配向剤の調製に使用した重合体の種類および量を、それぞれ第2表に記載したとおりとした以外は、上記実施例1と同様にして液晶配向剤をそれぞれ調製し、液晶表示素子を製造して評価した。
評価結果は第2表に示した。
【0070】
【表2】
【0071】
さらに、ガラス基板上のITO電極のパターンを図2および図3のようなフィッシュボーン状の電極パターンにそれぞれ変更したほかは、上記実施例1〜6における液晶配向剤のそれぞれを用いて、上記実施例1と同様にして液晶表示素子を製造して評価を行った。この場合にも、実施例1〜6とそれぞれ同様の効果を示すことが確認された。
【0072】
実施例7
(1)液晶配向剤の調製
上記合成例PA−6で得た重合体(PA−6)を、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ−ブチロラクトン(GBL)およびブチルセロソルブ(BC)からなる混合溶媒(溶媒組成 NMP:GBL:BC=40:40:20(重量比))に溶解し、重合体濃度3.0重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターでろ過することにより、液晶配向剤を得た。
【0073】
(2)FFS型液晶表示素子の製造1
図4に示すような、FFS型液晶表示素子を製造した。
先ず、パターンを有さないボトム電極、絶縁層としての窒化ケイ素膜および櫛歯状にパターニングされたトップ電極がこの順で形成された電極対を片面に有するガラス基板と、電極が設けられていない対向ガラス基板とを一対とし、ガラス基板の電極を有する面と対向ガラス基板の一面とに、それぞれ上記液晶配向剤を、スピンナーを用いて塗布して塗膜を形成した。次いで、この塗膜を80℃のホットプレートで1分間プレベークを行った後、庫内を窒素置換したオーブン中で230℃にて15分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚1,000Åの塗膜を形成した。
ここで使用したトップ電極の平面模式図を図4に示した。なお、図4(a)は、トップ電極の上面図であり、図4(b)は、図4(a)の破線で囲った部分C1の拡大図である。本実施例では、透明電極の線幅d1が4μm、電極間の距離d2が6μmのトップ電極を有する基板を使用した。
次いで、ガラス基板上に形成した各塗膜の表面に対する液晶配向性付与工程として、図4(b)中の矢印の方向にコットンにてラビング処理を実施した。これらの基板を、互いの基板のラビング方向が逆並行となるように、直径3.5μmのスペーサーを介して貼り合せ、液晶未注入の空セルを製造した。このセルに液晶MLC−6221(メルク社製)を注入した。さらに、基板の外側両面に偏光板を貼り合せることにより、FFS型液晶表示素子を製造した。このとき、2枚の偏光板の偏光方向が互いに直交し、且つ電極を有する基板上に形成された液晶配向膜のラビング方向が該基板に貼り合わされる偏光板の偏光方向と一致するように方向を調整して貼り合わせ。この一連の操作を繰り返し、合計3個のFFS型液晶表示素子を製造し、それぞれ、下記の液晶配向性の評価、耐熱性の評価およびプレチルト角の評価に供した。ただし、いずれの場合も電圧印加下の紫外線照射は行わなかった。
【0074】
(3)液晶配向性の評価
上記で製造したFFS型液晶表示素子のうちの1つについて、上記実施例1における「(4)液晶配向性の評価」と同様にして液晶配向性を評価したところ、この液晶表示素子の液晶配向性は「良好」であった。
(4)耐熱性の評価
上記で製造したFFS型液晶表示素子のうちの別の1つについて、上記実施例1における「(6)耐熱性の評価」と同様にして耐熱性を評価した。その結果、ΔVHRは3.1%であり、液晶表示素子の耐熱性は「優良」であった。
(5)プレチルト角の評価(視野角の評価)
上記で製造したFFS型液晶表示素子のうちのさらに別の1つについて、中央精機(株)製のアンカリング強度測定装置「OMS−J3」を用いてプレチルト角を測定した。このプレチルト角が低いほど、視野角が広いと評価することができる。具体的には、この値が2.0°未満である場合、視野角「良好」、2.0°以上である場合、視野角「不良」と判断することができる。
上記で製造した液晶表示素子のチルト角は1.2°であり、視野角「良好」と判断された。
【0075】
比較例2
上記実施例1の「(1)液晶配向剤の調製」において、重合体(PA−1)の代わりに上記合成例pa−2で得た重合体(pa−2)を用いた以外は、実施例1と同様にして液晶配向剤を調製した。この液晶配向剤を用いて、実施例7と同様にしてFFS型液晶表示素子を製造し、各種の評価を行った。
その結果、液晶配向性は「良好」であったが、ΔVHRが7.3%であり耐熱性は「不良」、チルト角は3.5°であり「不良」と判断された。
【0076】
実施例8
(1)液晶配向剤の調製
上記実施例1の「(1)液晶配向剤の調製」において、重合体(PA−1)の代わりに上記合成例PA−7で得た重合体(PA−7)を用いた以外は、実施例1と同様にして液晶配向剤を調製した。
(2)TN型液晶表示素子の製造
上記で調製した液晶配向剤を、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製)を用いてITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に塗布し、80℃のホットプレート上で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、200℃のホットプレート上で10分間加熱(ポストベーク)して、平均膜厚600Åの塗膜を形成した。この塗膜に対し、レーヨン布を巻き付けたロールを有するラビングマシーンにより、ロール回転数500rpm、ステージ移動速度3cm/秒、毛足押しこみ長さ0.4mmでラビング処理を行い、液晶配向能を付与した。その後、超純水中で1分間超音波洗浄を行ない、次いで100℃クリーンオーブン中で10分間乾燥することにより、液晶配向膜を有する基板を得た。
この操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基板を一対(2枚)得た。
次に、上記一対の基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外縁に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布し、一対の基板を液晶配向膜面が相対するように対向させて圧着した後、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より一対の基板間に、ネマチック型液晶(メルク社製、MLC−6221)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止することにより、TN型液晶表示素子を製造し、液晶配向性の評価および耐熱性の評価に供した。いずれの場合も電圧印加下の紫外線照射は行わなかった。
【0077】
(3)液晶配向性の評価
上記で製造したTN型液晶表示素子について、上記実施例1における「(4)液晶配向性の評価」と同様にして液晶配向性を評価したところ、この液晶表示素子の液晶配向性は「良好」であった。
(4)耐熱性の評価
上記で製造したTN型液晶表示素子について、上記実施例1における「(6)耐熱性の評価」と同様にして耐熱性を評価した。その結果、ΔVHRは3.2%であり、この液晶表示素子の耐熱性は「優良」であった。
【0078】
実施例9
(1)VA型液晶表示素子の製造
厚さ1mmのガラス基板の片面に設けられたITO膜からなる透明導電膜上に、上記実施例1における「(1)液晶配向剤の調製」で得た液晶配向剤をスピンナーにより塗布し、ホットプレート上80℃で1分間のプレベークを行い、次いでホットプレート上210℃で30分間ポストベークすることにより、膜厚80nmの塗膜(液晶配向膜)を形成した。この操作を繰り返し、液晶配向膜を有する基板を2枚(一対)得た。
次に、上記一対の基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外縁に、直径3.5umの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布し、一対の基板を各液晶配向膜が相対するように対向させて圧着した後、接着剤を硬化した。次いで、液晶注入口より基板間に、ネガ型液晶(メルク社製、MLC−6608)を充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止することにより、VA型液晶表示素子を製造し、液晶配向性の評価および耐熱性の評価に供した。いずれの場合も電圧印加下の紫外線照射は行わなかった。
(2)液晶配向性の評価
上記で製造したVA型液晶表示素子について、上記実施例1における「(4)液晶配向性の評価」と同様にして液晶配向性を評価したところ、この液晶表示素子の液晶配向性は「良好」であった。
(3)耐熱性の評価
上記で製造したVA液晶表示素子について、上記実施例1における「(6)耐熱性の評価」と同様にして耐熱性を評価した。その結果、ΔVHRは3.2%であり、この液晶表示素子の耐熱性は「優良」であった。
【0079】
実施例10
(1)液晶配向剤の調製
上記実施例7の「(1)液晶配向剤の調製」において、重合体(PA−6)の代わりに上記合成例PA−8で得た重合体(PA−8)を用いた以外は、実施例7と同様にして液晶配向剤を調製した。
(2)FFS型液晶表示素子の製造2
上記実施例7の「(2)FFS型液晶表示素子の製造1」において、液晶配向剤として上記で調製したものを用い、液晶配向性付与工程としてラビング処理の代わりに下記の条件による光照射処理を行ったほかは実施例7と同様にして、FFS型液晶表示素子を光配向法によって製造した。
液晶配向性付与工程としての光照射処理は、形成した塗膜(ポストベーク後のもの)それぞれの表面に、Hg−Xeランプおよびグランテーラープリズムを用いて、313nmの輝線を含む偏光紫外線300J/mを照射して行った。このとき、偏光紫外線の照射方向は基板法線方向からとし、該偏光紫外線の偏光面を基板に投影した線分の方向が図5に示した両頭矢印の方向となるように偏光面方向を設定したうえで光照射処理を行った。
一連の操作を繰り返し、合計2個のFFS型液晶表示素子を製造し、それぞれ、下記の液晶配向性の評価および耐熱性の評価の評価に供した。
また、基板の外側両面への偏光板の貼り合わせを行わなかったほかは上記と同様の操作により、FFS型液晶セルを製造し、駆動ストレス印加後のコントラストの評価に供した。
さらに、基板として、櫛歯状にパターニングされたトップ電極を電極AないしDからなる4系統の駆動電極としたほかは実施例7におけるのと同様の基板を用いて、上記と同様の操作により、残像特性評価用の液晶表示素子を製造した。図6に、この液晶表示素子の駆動電極の構成を示した。この場合、ボトム電極は、4系統の駆動電極のすべてに作用する共通電極として働き、4系統の駆動電極の領域のそれぞれが画素領域となる。
【0080】
(3)液晶配向性の評価
上記で製造した液晶表示素子につき、上記実施例1における「(4)液晶配向性の評価」と同様にして液晶配向性を評価したところ、この液晶表示素子の液晶配向性は「良好」であった。
(4)耐熱性の評価
上記で製造した液晶表示素子のうちの別の1つについて、上記実施例1における「(6)耐熱性の評価」と同様にして耐熱性を評価した。その結果、ΔVHRは2.0%であり、液晶表示素子の耐熱性は「優良」であった。
【0081】
(5)残像特性の評価
上記で製造した残像特性評価用液晶表示素子を、25℃、1気圧の環境下においた。ボトム電極を4系統の駆動電極すべての共通電極として、該ボトム電極の電位を0V電位(グランド電位)に設定した。電極BおよびDを共通電極と短絡して0V印加状態としつつ、電極AおよびCに交流電圧3.5Vおよび直流電圧1Vからなる合成電圧を2時間印加した。2時間経過後、直ちに電極AないしDのすべてに交流1.5Vを印加した。
そして、全駆動電極に交流1.5Vを印加し始めた時点から、駆動ストレス印加領域(電極AおよびCの画素領域)と駆動ストレス非印加領域(電極BおよびDの画素領域)との輝度差が目視で確認できなるまでの時間を測定し、これを残像消去時間とした。
この残像消去時間が
20秒未満であった場合を残像特性「優良」、
20秒以上60秒未満であった場合を残像特性「良好」、
60秒以上150秒未満であった場合を残像特性「可」、
150秒以上であった場合を残像特性「不良」
として評価したところ、本実施例の液晶表示素子の残像消去時間は、本実施例の液晶表示素子の残像評価時間は、5秒であり残像特性「優良」と評価された。この時間が短いほど、残像が生じ難いこととなる。
【0082】
(6)駆動ストレス印加後のコントラストの評価
上記で製造した液晶セル(偏光板の貼り合せをしていないもの)を交流電圧10Vで30時間駆動した後に、光源と光量検出器との間に偏光子と検光子とを配置した装置を使用して、下記数式(EX−4)で表される最小相対透過率(%)を測定した。
最小相対透過率(%)=(β−B0)/(B100−B0)×100 (EX−4)
(数式(EX−4)中、B0はブランク状態におけるクロスニコル下の光の透過量である。B100はブランク状態におけるパラニコル下の光の透過量である。そして
βは、偏光子と検光子の間に液晶セルを挟み、該液晶セルを基板面に垂直な軸周りに回転させて、光透過量が最小となる角度において測定した光透過量である。)
暗状態の黒レベルは液晶表示素子の最小相対透過率で表され、暗状態での黒レベルが小さいほどコントラストが優れる。コントラストは、最小相対透過率が0.5%未満のものを「良好」とし、0.5%以上1.0%未満のものを「可」とし、1.0%以上のものを「不良」として評価した。その結果、この液晶表示素子のコントラスト評価は「良好」と判断された。
【0083】
実施例11〜13
液晶配向剤の調製に使用した重合体の種類および量を、それぞれ第3表に記載した通りとした以外は、上記実施例10と同様にして液晶配向剤をそれぞれ調製し、液晶表示素子を製造して評価した。
評価結果は第3表に示した。
【0084】
【表3】
【0085】
実施例14
本実施例では、上記実施例10と同様にして調製した液晶配向剤を用いて位相差フィルムを製造し、その性能を評価した。
(1)位相差フィルムの製造
基板としてのTACフィルムの一面に、実施例10と同様にして調製した液晶配向剤を、バーコーターを用いて塗布し、オーブン内にて120℃で2分間ベークして膜厚100nmの塗膜を形成した。この塗膜表面にHg−Xeランプおよびグランテーラープリズムを用いて313nmの輝線を含む偏光紫外線10mJ/cmを、基板法線から垂直に照射して液晶配向膜を形成した。
次いで、重合性液晶(RMS03−013C、メルク社製)を孔径0.2μmのフィルターでろ過した後、バーコーターを用いて液晶配向膜上に塗布し、液晶配向膜上に重合性液晶の塗膜を形成した。この塗膜につき、温度50℃に調整したオーブン内で1分間ベークした後、Hg−Xeランプを用いて365nmの輝線を含む非偏光の紫外線1,000mJ/cmを、塗膜法線方向から照射し、重合性液晶を硬化して液晶層を形成することにより、位相差フィルムを製造した。
(2)液晶配向性の評価
上記(1)で製造した位相差フィルムにつき、クロスニコル下での目視および偏光顕微鏡(倍率2.5倍)によって異常ドメインの有無を観察することにより液晶配向性を評価した。評価は、
目視にて配向性が良好かつ偏光顕微鏡にて異常ドメインが観察されなかった場合を液晶配向性「良好」、
目視では異常ドメインが観察されなかったが偏光顕微鏡にて異常ドメインが観察された場合を液晶配向性「可」、
目視および偏光顕微鏡の双方で異常ドメインが観察された場合を液晶配向性「不良」として行った。その結果、この位相差フィルムは液晶配向性「良好」と評価された。
【0086】
(3)密着性
上記(1)で製造した位相差フィルムを用いて、液晶配向膜の基板との密着性について評価した。先ず、ガイドの付いた等間隔スペーサーを用い、カッターナイフにより位相差フィルムの液晶層側の面から切り込みを入れ、10個×10個の格子パターンを形成した。各切込みの深さは、液晶層表面から基板厚さの中ほどまで達するようにした。次いで、上記格子パターンの全面を覆うようにセロハンテープを密着させた後、該セロハンテープを引き剥がした。引き剥がし後の格子パターンの切込み部をクロスニコル下における目視によって観察して密着性を評価した。評価は、
切込み線に沿った部分および格子パターンの交差部分に剥離が確認されなかった場合を密着性「良好」、
上記部分に剥離が観察された格子目の個数が、格子パターン全体の個数に対して15%未満であった場合を密着性「可」、
上記部分に剥離が観察された格子目の個数が、格子パターン全体の個数に対して15%以上であった場合を密着性「不良」として行った。その結果、この位相差フィルムは密着性「良好」であった。
【符号の説明】
【0087】
1 ITO電極
2 スリット部
3 遮光膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6