特許第6252763号(P6252763)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6252763
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】パウチ
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20171218BHJP
   B65D 33/25 20060101ALI20171218BHJP
   B65D 33/01 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   B65D81/34 U
   B65D33/25 A
   B65D33/01
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-35076(P2014-35076)
(22)【出願日】2014年2月26日
(65)【公開番号】特開2015-160616(P2015-160616A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2017年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 規行
【審査官】 吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−169349(JP,A)
【文献】 特開平09−048473(JP,A)
【文献】 特開2003−040356(JP,A)
【文献】 特開2000−072157(JP,A)
【文献】 特開2009−166845(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
B65D 33/01
B65D 33/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対のシートの縁が互いにシールされ、前記一対のシートの内面に樹脂製チャックが接合されたパウチであって、
前記樹脂製チャックに、強く嵌合する部分である一般部、および、弱く嵌合する部分、または、嵌合しない部分である易開封部が形成され、
前記一対のシートに、その中間部分が互いにシールされた部分である中間シール部が形成されていることにより、前記易開封部が開いているときの蒸気の圧力により前記一般部が開くことが妨げられる
パウチ。
【請求項2】
前記易開封部は、前記樹脂製チャックの雄型および雌型の少なくとも一方が潰された部分である
請求項1に記載のパウチ。
【請求項3】
前記中間シール部が、前記樹脂製チャックを不連続な2つの樹脂製チャックに区分し、
区分された一方の樹脂製チャックが、前記易開封部を含み、
区分された他方の樹脂製チャックが、前記一般部を含み、かつ、前記易開封部を含まない
請求項1または2に記載のパウチ。
【請求項4】
前記樹脂製チャックのうちの前記易開封部が形成されている部分の長手方向の寸法が、前記樹脂製チャックのうちの前記一般部が形成されている部分の長手方向の寸法よりも短い
請求項1〜3のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項5】
前記樹脂製チャックのうちの前記易開封部が形成されている部分の長手方向の寸法が、10mm〜70mmの範囲に含まれる
請求項4に記載のパウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製チャックを含むパウチに関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製チャックを含むパウチは、その開口部分を樹脂製チャックにより開閉できる。特許文献1は、このようなパウチの一例を開示している。このパウチの調理者は、食材を加熱したいとき、樹脂製チャックを開けてパウチの内部に食材を入れ、その後に樹脂製チャックを閉じ、電子レンジ等によりパウチを加熱する。
【0003】
パウチが加熱されることにより、パウチの内部の食材が蒸気を発生する。樹脂製チャックによりパウチの開口部分が閉じられているため、発生した蒸気は、パウチの内部に溜まる。このため、食材がパウチの内部に滞留している蒸気により蒸らされる。パウチの内圧がある程度の大きさまで上昇したとき、蒸気の圧力により樹脂製チャックが開く。このため、パウチの内部の蒸気がパウチの外部に放出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−166846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記パウチによれば、樹脂製チャックが蒸気の圧力により開くときに大きな音が発生することがある。なお、この課題は、パウチに食材を入れた場合に限らず、蒸気を発生する加熱対象物をパウチの内部に入れた場合であれば同様に起こり得る。
【0006】
本発明の目的は、樹脂製チャックが開くときに大きな音が発生しにくいパウチを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔1〕本パウチの独立した一形態によれば、対向する一対のシートの縁が互いにシールされ、前記一対のシートの内面に樹脂製チャックが接合されたパウチであって、前記樹脂製チャックに、強く嵌合する部分である一般部、および、弱く嵌合する部分、または、嵌合しない部分である易開封部が形成され、前記一対のシートに、その中間部分が互いにシールされた部分である中間シール部が形成されていることにより、前記易開封部が開いているときの蒸気の圧力により前記一般部が開くことが妨げられる。
【0008】
本パウチが食材等の加熱対象物を加熱するために用いられる場合、最初に、樹脂製チャックの一般部および易開封部の一方または両方が開けられる。加熱対象物は、樹脂製チャックのうちの開けられた部分からパウチの内部に入れられる。次に、一般部および易開封部が閉じられる。次に、パウチが電子レンジ等の加熱手段により加熱される。
【0009】
パウチが加熱されることにより、加熱対象物が蒸気を発生し、発生した蒸気がパウチの内部に滞留する。易開封部は、一般部が開かない比較的低い内圧により開く。このため、樹脂製チャックに易開封部が含まれていないパウチと比較して、パウチの内圧がより低い段階においてパウチの内部の蒸気が外部に抜けはじめる。このため、蒸気により樹脂製チャックが開くときに大きな音が発生しにくい。
【0010】
本願発明者は、基準パウチを用いて、内圧の上昇にともなう樹脂製チャックの開き方を試験により確認した。なお、基準パウチは、中間シール部が形成されていない点を除いて本パウチと実質的に同じ構造を有する。
【0011】
基準パウチを用いた試験の結果によれば、基準パウチの内圧の上昇にともない最初に易開封部が開き、その後、比較的短い時間が経過したときに、または、易開封部が開いたときと実質的に同じときに、一般部が開くことがある。このため、易開封部が開き、かつ、一般部が閉じている状態が、実質的に形成されないことがある。このように一般部が開く理由は、次のように考えられる。易開封部が開いているとき、蒸気の圧力が、一般部を易開封部側から長手方向に向けて開けるように作用する。このような力が樹脂製チャックに作用する場合、密閉した空間から樹脂製チャックに圧力が作用する場合と比較して、樹脂製チャックが開きやすい。このため、基準パウチは、上述のとおり、易開封部が開き、かつ、一般部が閉じている状態が形成されないことがある。
【0012】
そして、そのような場合には、基準パウチの内部から外部に蒸気が抜けはじめた後、蒸気が比較的速い速度を持って抜け続ける。このため、基準パウチの内部に滞留する蒸気の量が少なくなり、加熱対象物を蒸らす効果が得られにくくなる。
【0013】
一方、本パウチによれば、易開封部が開いているときの蒸気の圧力により一般部が開くことを中間シール部が妨げる。すなわち、易開封部が開いているときに、蒸気の圧力が一般部を易開封部側から長手方向に向けて開けるように作用することを、中間シール部が妨げる。
【0014】
このため、易開封部が開き、かつ、一般部が閉じている状態が維持される。このため、本パウチの内部から外部に蒸気が抜けはじめた後、蒸気が比較的遅い速度を持って抜ける状態が維持される。このため、本パウチの内部に適度な量の蒸気が滞留し、加熱対象物を蒸らす効果が得られやすくなる。
【0015】
〔2〕前記パウチに従属する一形態によれば、前記易開封部は、前記樹脂製チャックの雄型および雌型の少なくとも一方が潰された部分である。
樹脂製チャックの雄型および雌型の少なくとも一方が潰れた部分は、嵌合強度が弱い、または、雄型および雌型が実質的に嵌合しない。このような部分は、樹脂製チャックとは別の材料を用いなくとも形成できる。このため、本パウチによれば、その製造のために使用する材料が少なくなる。
【0016】
〔3〕前記パウチに従属する一形態によれば、前記中間シール部が、前記樹脂製チャックを不連続な2つの樹脂製チャックに区分し、区分された一方の樹脂製チャックが、前記易開封部を含み、区分された他方の樹脂製チャックが、前記一般部を含み、かつ、前記易開封部を含まない。
【0017】
本パウチによれば、一方の樹脂製チャックの易開封部を含む部分を開封させた蒸気の圧力が、他方の樹脂製チャックの長手方向から一般部を開ける力として作用することが、中間シール部により妨げられる。このため、本パウチの内部に適度な量の蒸気が滞留し、加熱対象物を蒸らす旨の効果が高められる。
【0018】
〔4〕前記パウチに従属する一形態によれば、前記樹脂製チャックのうちの前記易開封部が形成されている部分の長手方向の寸法が、前記樹脂製チャックのうちの前記一般部が形成されている部分の長手方向の寸法よりも短い。
【0019】
本パウチによれば、易開封部の寸法よりも一般部の寸法が短い場合と比較して、一般部を開けたときの開口面積が大きい。このため、調理者が、本パウチの内部に加熱対象物を入れやすく、かつ、本パウチの内部から加熱対象物を取り出しやすくなる。
【0020】
また、加熱対象物が十分に加熱された直後のときには、易開封部に高温の蒸気が付着している。このため、利便性の点からすると、調理者がパウチの内部から加熱対象物を取り出すときに、その手が易開封部に触れにくいことが好ましい。本パウチによれば、上記のとおり一般部の寸法が易開封部の寸法よりも長く設定されているため、調理者が加熱対象物を本パウチの内部から取り出すとき、易開封部に調理者の手が触れにくい。このため、高い利便性が得られる。
【0021】
〔5〕前記パウチに従属する一形態によれば、前記樹脂製チャックのうちの前記易開封部が形成されている部分の長手方向の寸法が、10mm〜70mmの範囲に含まれる。
本願発明者は、易開封部の寸法と加熱対象物を蒸らす効果との関係を確認する確認試験を実施した。この確認試験は、パウチの幅および高さが互いに異なる複数の種類のパウチを用いた。各パウチは、家庭用電子レンジに入れることができる寸法を持つ。
【0022】
確認試験の結果は、易開封部の寸法が70mm以下の範囲に含まれる場合、易開封部の寸法がこの範囲に含まれない場合と比較して、加熱対象物を蒸らす効果が十分に得られることを示した。また、加熱対象物を蒸らす効果は、易開封部の寸法が短くなるにつれて高くなる。その理由は、次のように考えられる。易開封部の寸法が70mm以下の範囲に含まれる場合、パウチの内部から易開封部を介して外部に蒸気が抜けるときに、蒸気が抜ける速度が比較的遅くなる。このため、易開封部が開いているものの、パウチの内部に比較的多くの蒸気が滞留した状態が形成される。このため、加熱対象物が十分に蒸らされると考えられる。
【0023】
確認試験の結果は、易開封部の寸法が10mm以上の範囲に含まれる場合、易開封部の寸法がこの範囲に含まれない場合と比較して、パウチの内部から易開封部を介して外部に蒸気が抜けやすいことを示した。また、易開封部の寸法が長くなるにつれて易開封部を介して外部に蒸気が抜けやすくなる。その理由は、次のように考えられる。易開封部の寸法が、10mm以上の範囲に含まれる場合、単位時間あたりに加熱対象物が発生する蒸気の量よりも易開封部から抜ける蒸気の量が多くなりやすい。これにより、パウチの内圧が大きく上昇し、易開封部以外の部分が開くことが抑制されるためであると考えられる。なお、確認試験では、パウチを用いて加熱される加熱対象物として一般的に想定される複数の種類の加熱対象物が用いられた。
【発明の効果】
【0024】
本パウチによれば、樹脂製チャックが開くときに大きな音が発生しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施形態のパウチの正面図。
図2図1のD2−D2線に沿う断面図。
図3図1のD3−D3線に沿う断面図。
図4図1のD4−D4線に沿う断面図。
図5】実施形態のパウチに加熱対象物が入れられる状態を示す行程図。
図6】実施形態のパウチが電子レンジにより加熱されている状態を示す行程図。
図7】実施形態のパウチの易開封部が開いた状態を示す行程図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、スタンディングパウチであるパウチ1の正面構造を示している。パウチ1は、第1シート11、第2シート12、および、ガゼットシート13の縁が互いにヒートシールされた構造を有する。図1および図5図7に示されているドットは、ヒートシールされた部分を示している。
【0027】
第1シート11の側部および第2シート12の側部は、ヒートシールされていることにより、サイドシール部21を形成している。第1シート11の上部および第2シート12の上部は、ヒートシールされていることにより、上部シール部22を形成している。第1シート11の底部、第2シート12の底部、および、ガゼットシート13は、ヒートシールされていることにより、ガゼットシール部23を形成している。
【0028】
各シート11〜13は、同一の層構造を有する積層シートである。積層シートの一例は、最外層、中間層、および、最内層を含む。最外層の材料の一例は、ポリエチレンテレフタレートである。中間層の一例は、印刷層、第1接着層、延伸ナイロン層、および、第2接着層を含む。印刷層は、最外層の内側に形成されている。印刷層は、外面に絵柄および商品説明のテキスト等が印刷される。第1接着層は、印刷層の内側に形成されている。延伸ナイロン層は、第1接着層の内側に形成されている。第2接着層は、延伸ナイロン層の内側に形成されている。最内層は、第2接着層の内側に形成されている。最内層の材料の一例は、無延伸ポリプロピレンである。
【0029】
ノッチ14およびガイド線15が、第1シート11および第2シート12に形成されている。パウチ1は、ガイド線15を境界として収容部30および切取部40に区分される。収容部30は、加熱対象物100(図5参照)を収容する空間を持つ部分である。切取部40は、ガイド線15に沿って収容部30から切り取られる部分である。
【0030】
樹脂製チャック50が、第1シート11および第2シート12のうちの収容部30を構成する部分の内面と溶着している。樹脂製チャック50は、第1シート11および第2シート12に形成される開口部分を開封または閉鎖する。
【0031】
中間シール部24が、第1シート11および第2シート12の中間部分である収容部30の中間部分に形成されている。第1シート11および第2シート12の中間部分は、各サイドシール部21、上部シール部22、および、ガゼットシール部23に囲まれた部分である。第1シート11の中間部分の一部、および第2シート12の中間部分の一部は、ヒートシールされていることにより、中間シール部24を形成している。
【0032】
図2および図3を参照して、樹脂製チャック50の構造について説明する。
樹脂製チャック50は、雄型60および雌型70を含む。樹脂製チャック50は、機能的な側面から特徴付けられる一般部51(図2参照)、および、易開封部52(図3参照)を含む。
【0033】
一般部51および易開封部52は、それぞれ雄型60および雌型70の一部分である。一般部51は、一般的な構造を持つ樹脂製チャックと実質的に同じ構造を有する。易開封部52は、一般的な構造を持つ樹脂製チャックの一部分が潰された部分である。図1に示されるとおり、樹脂製チャック50は、一例として、3箇所の一般部51および1箇所の易開封部52を含む。3箇所の一般部51は、中間シール部24からサイドシール部21までにわたり連続した長い一般部51、中間シール部24と易開封部52との間に形成された短い一般部51、および、易開封部52とサイドシール部21との間に形成された短い一般部51である。
【0034】
樹脂製チャック50は、中間シール部24により不連続な2つの樹脂製チャックに区分されている。区分された一方の樹脂製チャックは、長い一般部51を含む。区分された他方の樹脂製チャックは、2箇所の短い一般部51、および、易開封部52を含む。
【0035】
雄型60の基部61は、第1シート11の内面と溶着している。雌型70の基部71は、第2シート12の内面と溶着している。雄型60の爪62および雌型70の爪72は、互いに嵌合する。図2に示されるとおり、雄型60および雌型70のうちの潰れていない部分が、一般部51を形成している。図3に示されるとおり、雄型60および雌型70のうちの潰れた部分が、易開封部52を形成している。一般部51は標準的な嵌合強度を有する。易開封部52の雄型60および雌型70は嵌合しない。
【0036】
図4を参照して、中間シール部24の構成について説明する。
中間シール部24は、易開封部52が開いているときの蒸気の圧力により長い一般部51が開くことを妨げる役割を持つ。中間シール部24の接合強度は、サイドシール部21の接合強度と実質的に同じ大きさである。なお、中間シール部24およびサイドシール部21の嵌合強度は、互いに異なる大きさに設定することもできる。
【0037】
中間シール部24は、一例として、次の各工程を経て形成される。工程Aにおいて、シール装置(図示略)が、第1シート11の内面に雄型60を溶着する。工程Bにおいて、シール装置が、第2シート12の内面に雌型70を溶着する。工程Cにおいて、シール装置が、第1シート11、第2シート12、および、ガゼットシート13の一部をヒートシールすることにより、サイドシール部21、上部シール部22、および、ガゼットシール部23を形成する。工程Dにおいて、シール装置が、雄型60および雌型70の一部をヒートシールし、中間シール部24を形成する。
【0038】
工程Cが終了したとき、樹脂製チャック50は、一方のサイドシール部21から他方のサイドシール部21までにわたり連続している。工程Dにおいて、シール装置により中間シール部24が形成されることにより、雄型60および雌型70の一部が互いに溶着し、樹脂製チャック50が不連続な2つの樹脂製チャックに区分される。
【0039】
なお、別の製造方法によれば、各工程の順序が上記順序から変更される。一例では、工程Aおよび工程Bが並行して実行される。別の一例では、工程Bが工程Aよりも先に実行される。別の一例では、工程Cおよび工程Dが1つの工程にまとめられる。別の一例では、工程Dが工程Cよりも先に実行される。
【0040】
図1を参照して、パウチ1の各部分の寸法について説明する。
図1に示された寸法LA、寸法LL、寸法LS、寸法LM、寸法LW、および、寸法LPは、それぞれの次の寸法を示している。寸法LAは、中間シール部24を含めた樹脂製チャック50の長手方向の寸法、すなわち、一方のサイドシール部21の内縁から他方のサイドシール部21の内縁までの寸法である。寸法LLは、樹脂製チャック50のうちの長い一般部51が形成されている部分の長手方向の寸法である。寸法LSは、樹脂製チャック50のうちの短い一般部51が形成されている部分の長手方向の寸法である。寸法LMは、樹脂製チャック50のうちの易開封部52が形成されている部分の長手方向の寸法である。寸法LWは、サイドシール部21の幅である。寸法LPは、中間シール部24の幅である。
【0041】
樹脂製チャック50の寸法LAは、任意の長さを取り得る。樹脂製チャック50の寸法LAの好ましい範囲の一例は、160mm〜190mmである。樹脂製チャック50の寸法LAは、一例として190mmに設定されている。
【0042】
易開封部52の寸法LMは、任意の長さを取り得る。易開封部52の寸法LMは、樹脂製チャック50の寸法LAの半分と同じ、または、樹脂製チャック50の寸法LAの半分よりも短いことが好ましい。易開封部52の寸法LMの好ましい範囲の一例は、10mm〜70mmである。易開封部52の寸法LMは、一例として20mmに設定されている。
【0043】
長い一般部51の寸法LLは、任意の長さを取り得る。長い一般部51の寸法LLは、樹脂製チャック50の寸法LAの半分と同じ、または、樹脂製チャック50の寸法LAの半分よりも長いことが好ましい。長い一般部51の寸法LLは、易開封部52の寸法LMよりも長いことが好ましい。長い一般部51の寸法LLの好ましい範囲の一例は、100mm〜180mmである。長い一般部51の寸法LLは、一例として155mmに設定されている。
【0044】
短い一般部51の寸法LSは、任意の長さを取り得る。短い一般部51の寸法LSは、樹脂製チャック50の寸法LAの半分よりも短いことが好ましい。短い一般部51の寸法LSは、サイドシール部21の寸法LWと同じ、または、サイドシール部21の寸法LWよりも短いことが好ましい。
【0045】
中間シール部24の寸法LPは、任意の長さを取り得る。中間シール部24の寸法LPは、長い一般部51の寸法LL、および、易開封部52の寸法LMよりも短いことが好ましい。
【0046】
図5図7を参照して、パウチ1の使用方法および作用について説明する。
調理者は、一例として、次の手順により加熱対象物100であるシューマイをパウチ1を用いて加熱する。
【0047】
図5に示されるとおり、調理者は、最初に切取部40を収容部30から切り取る。調理者は、次に長い一般部51を開け、長い一般部51からパウチ1の内部に加熱対象物100を入れる。
【0048】
図6に示されるとおり、調理者は、次に長い一般部51を閉じ、パウチ1を加熱手段の一例である電子レンジにより加熱する。
パウチ1が加熱されることにより、加熱対象物100が蒸気を発生する。図6の矢印は、加熱対象物100から発生した蒸気のイメージを示している。このとき、樹脂製チャック50が閉じられているため、加熱対象物100が発生した蒸気は、パウチ1の内部に滞留する。パウチ1が加熱されている時間が長くなるにつれて、パウチ1の内圧が次第に上昇し、パウチ1が膨張する。
【0049】
図7に示されるとおり、パウチ1の内圧が所定の圧力範囲に到達したとき、易開封部52が蒸気の圧力により開く。易開封部52は、一般部51が開かない比較的低い内圧により開く。易開封部52が開くことにより、パウチ1の内部の蒸気が易開封部52からパウチ1の外部に抜ける。
【0050】
調理者は、加熱対象物100を加熱した時間が規定の時間に達したとき、パウチ1を電子レンジから取り出し、長い一般部51を開ける。調理者は、次にパウチ1の内部の加熱対象物100を、開放した長い一般部51からパウチ1の外部に取り出し、取り出した加熱対象物100を食べる。
【0051】
パウチ1によれば、以下の効果が得られる。
(1)樹脂製チャック50が易開封部52を含む。易開封部52は、一般部51が開かない比較的低い内圧により開く。このため、樹脂製チャック50に易開封部52が含まれていないパウチと比較して、パウチ1の内圧がより低い段階においてパウチ1の内部の蒸気が外部に抜けはじめる。このため、蒸気により樹脂製チャック50が開くときに大きな音が発生しにくい。
【0052】
(2)本願発明者は、基準パウチを用いて、内圧の上昇にともなう樹脂製チャックの開き方を試験により確認した。なお、基準パウチは、中間シール部24が形成されていない点を除いてパウチ1と実質的に同じ構造を有する。以下の説明は、説明の便宜上、基準パウチの構成要素に対してパウチ1の構成要素と同じ符号を付している。
【0053】
基準パウチを用いた試験の結果によれば、基準パウチの内圧の上昇にともない最初に易開封部52が開き、その後、比較的短い時間が経過したとき、または、易開封部52が開いたときと実質的に同じとき、一般部51が開くことがある。このため、易開封部52が開き、かつ、一般部51が閉じている状態が、実質的に形成されないことがある。このように一般部51が開く理由は、次のように考えられる。易開封部52が開いているとき、蒸気の圧力が、一般部51を易開封部52側から長手方向に向けて開けるように作用する。このような力が樹脂製チャック50に作用する場合、密閉した空間から樹脂製チャック50に圧力が作用する場合と比較して、樹脂製チャック50が開きやすい。このため、基準パウチは、上述のとおり、易開封部52が開き、かつ、一般部51が閉じている状態が形成されないことがある。
【0054】
この場合、基準パウチの内部から外部に蒸気が抜けはじめた後、蒸気が比較的速い速度を持って抜け続ける。このため、基準パウチの内部に滞留する蒸気の量が少なくなり、加熱対象物100を蒸らす効果が得られにくくなる。
【0055】
一方、パウチ1によれば、易開封部52が開いているときの蒸気の圧力により、長い一般部51が開くことを中間シール部24が妨げる。すなわち、易開封部52が開いているときに、蒸気の圧力が長い一般部51を易開封部52側から長手方向に向けて開けるように作用することを、中間シール部24が妨げる。
【0056】
このため、易開封部52が開き、かつ、長い一般部51が閉じている状態が維持される。このため、パウチ1の内部から外部に蒸気が抜けはじめた後、蒸気が比較的遅い速度を持って抜ける状態が維持される。このため、パウチ1の内部に適度な量の蒸気が滞留し、加熱対象物100を蒸らす効果が得られやすくなる。
【0057】
(3)中間シール部24が、樹脂製チャック50を2つの部分、すなわち、長い一般部51を含む部分、および、易開封部52を含む部分に区分している。このような樹脂製チャック50の構造は、実質的に独立した2つの樹脂製チャックが存在している構造に相当する。このため、易開封部52を含む部分を開封させた蒸気の圧力が、樹脂製チャック50の長手方向から長い一般部51を開ける力として作用することがない。このため、上記(2)の効果がより高められる。
【0058】
(4)樹脂製チャック50の雄型60および雌型70の少なくとも一方が潰れた部分である易開封部52は、嵌合強度が弱い、または、雄型60および雌型70が実質的に嵌合しない。このような部分は、樹脂製チャック50とは別の材料を用いなくとも形成できる。このため、パウチ1によれば、その製造のために使用する材料が少なくなる。
【0059】
(5)長い一般部51の寸法LLが、易開封部52の寸法LMよりも長い。このため、易開封部52の寸法LMよりも一般部51の寸法LLが短い場合と比較して、長い一般部51を開けたときの開口面積が大きい。これにより、調理者が、パウチ1の内部に加熱対象物100を入れやすく、かつ、パウチ1の内部から加熱対象物100を取り出しやすくなる。
【0060】
(6)加熱対象物100が十分に加熱された直後のときには、易開封部52に高温の蒸気が付着している。このため、利便性の点からすると、調理者がパウチ1の内部から加熱対象物100を取り出すときに、その手が易開封部52に触れにくいことが好ましい。パウチ1によれば、上記のとおり長い一般部51の寸法LLが易開封部52の寸法LMよりも長く設定されているため、調理者が加熱対象物100をパウチ1の内部から取り出すとき、易開封部52に付着している蒸気に調理者の手が触れにくい。このため、高い利便性が得られる。
【0061】
(7)本願発明者は、易開封部52の寸法LMと加熱対象物100を蒸らす効果との関係を確認する確認試験を実施した。この確認試験は、パウチ1の幅および高さが異なる複数の種類のパウチを用いた。各パウチは、家庭用電子レンジに入れることができる寸法を持つ。
【0062】
確認試験の結果は、寸法LMが70mm以下の範囲に含まれる場合、寸法LMがこの範囲に含まれない場合と比較して、加熱対象物100を蒸らす効果が十分に得られることを示した。また、加熱対象物100を蒸らす効果は、寸法LMが短くなるにつれて高くなる。その理由は、次のように考えられる。寸法LMが70mm以下の範囲に含まれる場合、パウチ1の内部から易開封部52を介して外部に蒸気が抜けるときに、蒸気が抜ける速度が比較的遅くなる。このため、樹脂製チャック50の一部が開いているものの、パウチ1の内部に比較的多くの蒸気が滞留した状態が形成される。このため、加熱対象物100が十分に蒸らされると考えられる。
【0063】
確認試験の結果は、寸法LMが10mm以上の範囲に含まれる場合、寸法LMがこの範囲に含まれない場合と比較して、易開封部52を介して外部に蒸気が抜けやすいことを示した。また、寸法LMが長くなるにつれて易開封部52を介して外部に蒸気が抜けやすくなる。その理由は、次のように考えられる。寸法LMが、10mm以上の範囲に含まれる場合、単位時間あたりに加熱対象物100が発生する蒸気の量よりも易開封部52から抜ける蒸気の量が多くなりやすい。これにより、パウチ1の内圧が大きく上昇し、易開封部52以外の部分が開くことが抑制されるためであると考えられる。なお、確認試験では、パウチを用いて加熱される加熱対象物として一般的に想定される複数の種類の加熱対象物が用いられた。
【0064】
なお、本パウチが取り得る具体的な形態は、上記実施形態に例示された形態に限定されない。本パウチは、本発明の目的が達成される範囲において、上記実施形態とは異なる各種の形態を取り得る。以下に示される上記実施形態の変形例は、本パウチが取り得る各種の形態の一例である。
【0065】
・変形例のパウチ1によれば、パウチ1において中間シール部24が形成される部位が、実施形態のパウチ1と異なる。一例として、中間シール部24が、第1シート11および第2シート12のうちの樹脂製チャック50よりも上側の部分、および、下側の部分の少なくとも一方に形成される。
【0066】
・変形例のパウチ1によれば、樹脂製チャック50において易開封部52が形成される範囲が、実施形態のパウチ1と異なる。一例によれば、易開封部52が、一方のサイドシール部21と中間シール部24との間の全体、または、一方のサイドシール部21と実施形態において中間シール部24の隣に存在する短い一般部51との間に形成される。
【0067】
・変形例のパウチ1によれば、易開封部52の構造が、実施形態のパウチ1と異なる。変形例の易開封部52は、一例として、以下の(a)または(b)の構造を取り得る。
(a)易開封部52の雄型60および雌型70が、互いに嵌合し得る程度に潰れている。この易開封部52の嵌合強度は、一般部51の嵌合強度よりも弱い。
【0068】
(b)易開封部52の雄型60および雌型70の一方のみが潰れている。この易開封部52の雄型60および雌型70は嵌合しない。または、雄型60および雌型70が互いに嵌合し、かつ、嵌合強度が一般部51の嵌合強度よりも弱い。
【0069】
・変形例のパウチ1によれば、加熱対象物100が実施形態のパウチ1と異なる。一例として、パウチ1が、加熱対象物100である照り焼きの魚、鳥のみぞれ煮、または、米を加熱するために用いられる。さらに、別の使用形態によれば、パウチ1が、加熱対象物100である哺乳瓶および水を加熱するために用いられる。この場合、水の蒸気が哺乳瓶を加熱殺菌する。
【符号の説明】
【0070】
1…パウチ
11…第1シート
12…第2シート
24…中間シール部
50…樹脂製チャック
51…一般部
52…易開封部
60…雄型
70…雌型
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7