特許第6252770号(P6252770)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特許6252770-油圧作動装置を備えた車両 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6252770
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】油圧作動装置を備えた車両
(51)【国際特許分類】
   F02D 29/04 20060101AFI20171218BHJP
   F02D 29/00 20060101ALN20171218BHJP
【FI】
   F02D29/04 G
   !F02D29/00 B
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-64795(P2014-64795)
(22)【出願日】2014年3月26日
(65)【公開番号】特開2015-187413(P2015-187413A)
(43)【公開日】2015年10月29日
【審査請求日】2016年7月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】加藤 紀彦
(72)【発明者】
【氏名】小出 幸和
【審査官】 山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/115290(WO,A1)
【文献】 特開2009−127548(JP,A)
【文献】 特開2008−138631(JP,A)
【文献】 特開2006−161851(JP,A)
【文献】 特開2008−208967(JP,A)
【文献】 特開平09−280082(JP,A)
【文献】 特開2012−246868(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 29/00 − 29/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの動力によって作動する油圧作動装置を備えた車両において、
エンジンの温度、又は作動油の温度を検出する温度検出部と、
前記エンジンを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
エコモードにおいて前記エンジンのトルク制限を予め定めた規定トルク制限値にしたがって行うことができ、
前記温度検出部の検出温度が予め定めた解除温度以下の場合には前記エコモードにおいて前記規定トルク制限値に基づく前記トルク制限を行わずに前記エンジンを制御し、
前記解除温度は、トルク制限した際にエンジン出力が安定しにくいとされる温度に定められており、
前記制御部は、前記検出温度が予め定めた規定温度以上の場合、前記エコモードにおいて前記規定トルク制限値にしたがってトルク制限を行い、
前記規定温度は、前記解除温度よりも高い温度であり、
前記制御部は、前記検出温度が前記解除温度を超えた場合、前記解除温度から前記規定温度に達するまでの間、温度上昇に合わせてトルク制限値を徐々に変化させる温度変化制御と、時間の経過とともにトルク制限値を徐々に変化させる時間変化制御と、を行うことができ、
前記温度変化制御を行う場合のトルク制限値の変化率と前記時間変化制御を行う場合のトルク制限値の変化率のうち、変化率の小さくなる方の制御を行う油圧作動装置を備えた車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧作動装置を備えた車両に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車において、燃費向上の観点からエコモード(エコノミモード)を選択可能な自動車が提案されている。エコモードを選択するためのエコモードスイッチを押すことにより通常の要求トルクから省エネルギーの要求トルクに切り替えてトルクを制限し、エンジンを効率良く運転している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−105532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のハイブリッド自動車では、エコモードにおいてエンジンを効率良く運転しながらモータにてトルクを補うことにより車両性能(要求トルク)を維持しつつ燃費の向上を図っている。しかし、ハイブリッド自動車とは異なりモータを有していないエンジン式の車両では、エンジンのトルクをモータで補うことはできない。
【0005】
このため、例えば、油圧作動装置を備えたエンジン式のフォークリフトにおいてエコモードを採用した場合、荷役による急激な負荷増によってエンジンのトルクが不足すると、エンジンストールが発生してしまうおそれがある。特に、エンジンの始動直後など、エンジンが暖機出来ていない状態では、エンジン出力が安定しにくい上に、作動油などの温度も低く粘性が高いことから、負荷が大きくなってエンジンストールが発生しやすい。
【0006】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、エンジンストールの発生を好適に防止する油圧作動装置を備えた車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する油圧作動装置を備えた車両は、エンジンの動力によって作動する油圧作動装置を備えた車両において、エンジンの温度、又は作動油の温度を検出する温度検出部と、前記エンジンを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、エコモードにおいて前記エンジンのトルク制限を予め定めた規定トルク制限値にしたがって行うことができ、前記温度検出部の検出温度が予め定めた解除温度以下の場合には前記エコモードにおいて前記規定トルク制限値に基づく前記トルク制限を行わずに前記エンジンを制御し、前記解除温度は、エンジン出力が安定しにくいとされる温度に定められている。
【0008】
これによれば、エコモードにおいて、エンジン出力が安定しない状況では、規定トルク制限値に基づくトルク制限を解除することができる。このため、例えばエンジンの始動後、暖機が十分に行われていない状態で油圧作動装置を駆動させても、エンジンのトルクが不足するなどの事態を回避できる。したがって、エンジンストールの発生を好適に防止することができる。
【0009】
上記油圧作動装置を備えた車両において、前記制御部は、前記検出温度が予め定めた規定温度以上の場合、前記エコモードにおいて前記規定トルク制限値にしたがってトルク制限を行い、前記規定温度は、前記解除温度よりも高い温度であると良い。これによれば、検出温度が規定温度以上の場合、エコモードにおいてトルク制限を行うことができる。したがって、エコモードによって燃費性能の向上を図ることができる。
【0010】
上記油圧作動装置を備えた車両において、前記制御部は、前記検出温度が前記解除温度を超えた場合、前記解除温度から前記規定温度に達するまでの間、温度上昇に合わせてトルク制限値を徐々に変化させると良い。これによれば、トルク制限値の急激な変化によるエンジン回転数の急激な変化を抑制することができる。したがって、車両を安定して制御することができる。
【0011】
上記油圧作動装置を備えた車両において、前記制御部は、前記検出温度が前記解除温度を超えた場合、時間の経過とともにトルク制限値を徐々に変化させると良い。これによれば、トルク制限値の急激な変化によるエンジン回転数の急激な変化を抑制することができる。したがって、車両を安定して制御することができる。
【0012】
上記油圧作動装置を備えた車両において、前記制御部は、前記検出温度が前記解除温度を超えた場合、前記解除温度から前記規定温度に達するまでの間、温度上昇に合わせてトルク制限値を徐々に変化させる温度変化制御と、時間の経過とともにトルク制限値を徐々に変化させる時間変化制御と、を行うことができ、前記温度変化制御を行う場合のトルク制限値の変化率と前記時間変化制御を行う場合のトルク制限値の変化率のうち、変化率の小さくなる方の制御を行うと良い。これによれば、トルク制限値の急激な変化によるエンジン回転数の急激な変化を抑制することができる。したがって、車両を安定して制御することができる。そして、温度変化制御と時間変化制御のいずれかを選択することで、トルク制限値の急激な変化を確実に抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、エンジンストールの発生を好適に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】フォークリフトの全体構成を示す模式図。
図2】トルク制限の状態と冷却水の温度との関係を説明する説明図。
図3】トルク制限を行う場合の条件を説明する説明図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、油圧作動装置を備えた車両を具体化した一実施形態を図1図3にしたがって説明する。
図1に示すように、車両としてのフォークリフト10の車体には、荷役装置11が装備されている。荷役装置11は、左右一対のアウタマスト12とインナマスト13とからなる多段式のマスト14を備え、アウタマスト12には油圧式のティルトシリンダ15が連結されているとともにインナマスト13には油圧式のリフトシリンダ16が連結されている。マスト14は、ティルトシリンダ15に対する作動油の給排によって車体の前後方向に前傾動作又は後傾動作を行う。インナマスト13は、リフトシリンダ16に対する作動油の給排によって車体の上下方向に昇降動作を行う。また、インナマスト13には、リフトブラケット17を介してフォーク18が設けられている。フォーク18は、リフトシリンダ16の作動によってインナマスト13がアウタマスト12に沿って昇降動作を行うことにより、リフトブラケット17とともに昇降動作を行う。
【0016】
フォークリフト10の車体には、走行動作及び荷役動作の駆動源となるエンジン19と、エンジン19によって駆動される油圧ポンプ20と、油圧ポンプ20から吐出された作動油が供給される油圧機構21と、エンジン19の出力を伝達する動力伝達機構22と、が搭載されている。
【0017】
油圧機構21は、コントロール弁を有し、コントロール弁によってティルトシリンダ15やリフトシリンダ16への作動油の給排を制御する。油圧機構21のコントロール弁には、運転者の操作によってティルトシリンダ15やリフトシリンダ16の動作を指示する荷役操作部材23が機械的に連結されている。コントロール弁は、荷役操作部材23の操作によって開閉状態が切り替わる。油タンク24の作動油は、油圧ポンプ20によって汲み上げられ、油圧機構21を介してティルトシリンダ15やリフトシリンダ16に供給される。また、ティルトシリンダ15やリフトシリンダ16から排出された作動油は、油圧機構21を介して油タンク24に戻される。フォークリフト10は、エンジン19の動力によって作動する油圧作動装置としてのティルトシリンダ15やリフトシリンダ16を備える車両(産業車両)である。
【0018】
動力伝達機構22は、トルクコンバータや変速機などの動力を伝達するための機構を有している。エンジン19には、動力伝達機構22とディファレンシャルギア25を介して車軸26が連結されている。車軸26には、駆動輪27が連結されている。エンジン19の出力は、動力伝達機構22と、ディファレンシャルギア25と、車軸26と、を介して駆動輪27に伝達される。
【0019】
また、フォークリフト10の車体には、車両制御装置30と、エンジン制御装置31と、が搭載されている。エンジン制御装置31は、車両制御装置30に電気的に接続されている。車両制御装置30には、荷役操作部材23の操作状態を検出する検出センサ32と、運転者の操作によってフォークリフト10の加速を指示するアクセル操作部材33の操作量に応じたアクセル開度を検出するアクセルセンサ34と、が電気的に接続されている。また、フォークリフト10の運転席には、エコモードを指示するエコモードスイッチ35が設けられている。エコモードスイッチ35は、車両制御装置30に接続されている。車両制御装置30は、エコモードスイッチ35の操作状態を検知する。この実施形態においてエコモードスイッチ35は、運転者の操作によって操作状態を切り替えることができる。
【0020】
エンジン制御装置31には、エンジン回転数を検出する回転数センサ36と、エンジン19の温度として冷却水の温度を検出する温度検出部としての温度センサ37と、が接続されている。エンジン制御装置31は、回転数センサ36が検出したエンジン回転数を車両制御装置30に出力するとともに、温度センサ37が検出した検出温度を車両制御装置30に出力する。
【0021】
車両制御装置30は、アクセル操作部材33の踏み込み量(アクセル開度)に応じたエンジン回転数でエンジン19を制御するための回転数指令をエンジン制御装置31に出力する。また、車両制御装置30は、エコモードスイッチ35がオン操作されている場合、トルク制限指令をエンジン制御装置31に出力する。エンジン制御装置31は、回転数指令をもとにエンジン19のエンジン回転数を制御する。このとき、エンジン制御装置31は、エコモードにおいてエンジン19のトルク制限をかける。この実施形態では、車両制御装置30とエンジン制御装置31により、エンジン19を制御する制御部を構成する。なお、油圧ポンプ20をエンジン19によって駆動するフォークリフト10では、アクセル操作部材33を踏み込みとともに荷役操作部材23を操作することにより、ティルトシリンダ15やリフトシリンダ16を動作させることができる。
【0022】
次に、フォークリフト10の作用を説明する。
車両制御装置30は、エコモードスイッチ35の操作状態にてエンジン制御装置31に対するトルク制限値を切り替える。車両制御装置30は、エコモードスイッチ35がオフの操作状態のときを通常モードとし、エコモードスイッチ35がオンの操作状態のときをエコモードとする。通常モードではアクセル開度に応じたR1%(例えば100%)のトルクを出力するのに対し、エコモードではトルク制限がかけられ、エンジン19のトルクを通常モードのときよりも低いR2%(例えば通常モードの80%)に抑えることによりエンジン19の燃料消費量を抑えている。トルク制限値は、車両の積載可能重量や搭載されるエンジン19の仕様や作業の内容などを考慮して最適な制限値を予め定めている。本実施形態では、通常モードにおけるトルク制限値が規定トルク制限値となる。
【0023】
車両制御装置30は、温度センサ37の検出温度をエンジン制御装置31から入力する。そして、車両制御装置30は、エコモードスイッチ35がオンの操作状態のとき、温度センサ37の検出温度によってトルク制限を行う場合と、トルク制限を行わない場合とがある。具体的に言えば、車両制御装置30は、温度センサ37の検出温度が温度T1を超えている場合、エコモードにおいてトルク制限を行う。一方、車両制御装置30は、温度センサ37の検出温度が温度T1以下の場合、エコモードではあるが、トルク制限を行わない。
【0024】
エンジン19の温度は、エンジン19がオフの状態になると、時間の経過とともに低下する。そして、エンジン19は、始動(オン)させたときの温度が低く、暖機が十分に行われていない状態においては安定した出力を得られない。このため、エンジン19で油圧ポンプ20を駆動させるフォークリフト10では、エンジン19の温度が低い状態で荷役動作を行わせると、油圧ポンプ20の負荷増によってエンジン19のトルクが不足し、エンジンストールが発生する。
【0025】
そこで、この実施形態の車両制御装置30は、エンジン19から安定した出力を得られない状態においてはエコモードであっても、トルク制限を行わない。そして、エコモードにおいてトルク制限を行うか否かを、エンジン19から安定した出力を得られるか否かに基づいて判断している。本実施形態では、エンジン19の状態を、エンジン19の冷却水の温度から判断している。冷却水の温度は、エンジン19がオフの状態になると、エンジン19の温度が時間の経過とともに低下することに伴って同様に温度が低下する。一方、冷却水の温度は、エンジン19の温度が上昇することに伴ってエンジン19と熱交換を行うことによって上昇する。このため、この実施形態では、エンジン19の温度に近い推移を示すと考えられる冷却水の温度からエンジン19の状態を判断している。
【0026】
図2に示すように、車両制御装置30は、エコモードにおいて冷却水の温度が温度T1以下の場合、トルク制限値R1に基づくトルク制限指令を出力し、トルク制限を行う状態を解除する。この実施形態において温度T1は、エンジン出力が安定しにくいとされる解除温度に相当し、シミュレーションなどによって予め定められているとともに車両制御装置30に記憶されている。また、車両制御装置30は、アクセル操作部材33が操作された場合、アクセル開度に応じた回転数指令を出力する。これにより、エンジン制御装置31は、トルク制限指令と回転数指令に応じたエンジン回転数でエンジン19を制御する。この結果、エンジン19は、トルク制限がかからずに、アクセル開度に応じたエンジン回転数に基づきトルクを出力する。この状態は、エンジン19が通常モードで制御される場合と同じである。エンジン出力が安定しにくい状態では、エコモードであってもトルク制限を行わないことから、荷役動作のためにアクセル操作部材33が操作されてもエンジン19のトルク不足が解消される。
【0027】
また、車両制御装置30は、エンジン制御装置31を通じて常時、温度センサ37の検出温度を入力する。そして、車両制御装置30は、エコモードにおいて検出温度が温度T1を超えると、トルク制限を行っていない状態を解除し、トルク制限を行う。
【0028】
このとき、車両制御装置30は、規定トルク制限値R2%に基づくトルク制限を直ちに行わず、トルク制限値を時間の経過とともに徐々に変化させ、最終的に規定トルク制限値R2に基づくトルク制限指令を出力する。この実施形態の車両制御装置30は、エコモードにおいて規定トルク制限値R2に基づくトルク制限が行われるように、トルク制限値を規定トルク制限値R2に戻す際、2つの制御のうち、いずれかを選択する。
【0029】
第1の制御は、温度センサ37の検出温度が温度T2に到達するまでの間、温度上昇に合わせてトルク制限値を徐々に変化させる、温度に依存した温度変化制御である。温度T2は、エンジン出力が安定して得られるとされる規定温度に相当し、シミュレーションなどによって予め定められているとともに車両制御装置30に記憶されている。
【0030】
第2の制御は、時間の経過とともにトルク制限値を徐々に変化させる、時間に依存した時間変化制御である。トルク制限値を規定トルク制限値R2に戻すまでの時間は、シミュレーションなどによって予め定められているとともに車両制御装置30に記憶されている。
【0031】
図3に示すように、車両制御装置30は、第1の制御を行った時のトルク制限値の時間当たりの変化率ΔXと第2の制御を行った時のトルク制限値の時間当たりの変化率ΔYとを比較し、変化率が小さくなる方の制御を選択する。具体的に言えば、変化率ΔXが、変化率ΔY以下の場合、車両制御装置30は、第1の制御により、温度上昇に合わせてトルク制限値を変化させ、温度T2へ到達した時のトルク制限値を規定トルク制限値R2とする。一方、変化率ΔYが、変化率ΔXよりも小さい場合、車両制御装置30は、第2の制御により、時間の経過に合わせてトルク制限値を変化させ、所定の時間へ到達した時のトルク制限値を規定トルク制限値R2とする。このようにトルク制限値を徐々に変化させることで、トルク制限値の急激な変化が抑制される。
【0032】
トルク制限値が規定トルク制限値R2に達した後の車両制御装置30は、エコモードが維持されている間、規定トルク制限値R2に基づくトルク制限指令を出力し、エンジン19のトルク制限を行う。
【0033】
なお、車両制御装置30は、エコモードにおいて冷却水の温度が温度T1を超えている場合、前述のようなトルク制限を解除する制御を行わず、規定トルク制限値R2に基づくトルク制限指令を出力し、エンジン19のトルク制限を行う。また、車両制御装置30は、通常モードの場合、冷却水の温度に関係なく、トルク制限値R1に基づくトルク制限指令を出力し、トルク制限を行わない。
【0034】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)エコモードにおいて、エンジン出力が安定してえられない状況では、エンジン19のトルク制限を解除することができる。このため、例えばエンジン19の始動後、暖機が十分に行われていない状態で油圧作動装置(ティルトシリンダ15やリフトシリンダ16)を駆動させても、エンジン19のトルクが不足するなどの事態を回避できる。したがって、エンジンストールの発生を好適に防止することができる。
【0035】
(2)温度センサ37の検出温度が温度T2以上の場合、エコモードにおいて規定トルク制限値R2に基づくトルク制限を行うことができる。したがって、エコモードによって燃費性能の向上を図ることができる。
【0036】
(3)また、エコモードにおいて温度T1以下の場合、トルク制限を行わないことで、暖機に必要な時間を短縮させることができる。暖機に必要な時間を短縮させることが、燃費性能の向上に繋がる。
【0037】
(4)温度センサ37の検出温度が温度T1を超えた場合、トルク制限値を徐々に変化させる。このため、トルク制限値の急激な変化によるエンジン回転数の急激な変化を抑制することができる。したがって、フォークリフト10を安定して制御することができる。
【0038】
(5)そして、温度変化制御(第1の制御)と時間変化制御(第2の制御)のいずれかを選択することで、トルク制限値の急激な変化を確実に抑制することができる。
(7)エンジン19の冷却水の温度をもとにトルク制限をかけるか否かを判断することで、既存の構成(温度センサ37)を用いてエンジン19を制御することができる。その結果、コストを増加させることなく、燃費性能の向上とともに、エンジンストールの発生を防止することができる。
【0039】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
○ エコモードにおいて温度T1を超え、トルク制限を行う場合、第1の制御(温度変化制御)のみによって規定トルク制限値R2に基づくトルク制限指令に戻すようにしても良い。これによれば、トルク制限値の急激な変化によるエンジン回転数の急激な変化を抑制することができる。したがって、フォークリフト10を安定して制御することができる。
【0040】
○ エコモードにおいて温度T1を超え、トルク制限を行う場合、第2の制御(時間変化制御)のみによって規定トルク制限値R2に基づくトルク制限指令に戻すようにしても良い。これによれば、トルク制限値の急激な変化によるエンジン回転数の急激な変化を抑制することができる。したがって、フォークリフト10を安定して制御することができる。
【0041】
○ エコモードにおいて温度T1を超え、トルク制限を行う場合、温度T1を超えた時点で規定トルク制限値R2に基づくトルク制限指令に戻すようにしても良い。
○ エコモードにおいて、油圧作動装置の作動油の温度をもとに、トルク制限を解除するか否かを判断しても良い。また、動力伝達機構22をトルクコンバータで構成する場合、エコモードにおいて、トルクコンバータの作動油の温度をもとに、トルク制限を解除するか否かを判断しても良い。また、エンジン19の温度として、冷却水の温度に代えて、エンジン潤滑油(エンジンオイル)の温度を検出しても良い。そして、エコモードにおいて、エンジン潤滑油の温度をもとに、トルク制限を解除するか否かを判断しても良い。実施形態のエンジン19の温度及びトルクコンバータの作動油の温度は駆動系の温度であり、油圧作動装置の作動油は荷役系の温度である。
【0042】
○ 実施形態では、運転席にエコモードスイッチ35を設け、運転者が任意に設定できるように構成しているが、フォークリフト10の管理者(又は製造者)がフォークリフト10の仕様に応じて任意に設定できるようにしても良い。つまり、エコモードの設定は、特定の人が設定できるようにしても良い。この場合でも、実施形態の構成を採用することで、所定条件下(冷却水の温度)においてエコモードを解除することができる。
【0043】
○ 通常モードにおけるトルク制限値R1は、エコモードにおける規定トルク制限値R2よりも大きい値であれば良い。このため、トルク制限値R1は、エンジン出力を100%に制御する値でも良いし、100%未満に制御する値でも良い。
【0044】
○ 実施形態は、油圧作動装置としてアタッチメントを動作させる油圧シリンダをさらに備えたフォークリフト10に具体化しても良い。
○ 実施形態は、油圧作動装置としてパワーステアリング機構を動作させる油圧シリンダをさらに備えたフォークリフト10に具体化しても良い。
【0045】
○ 油圧機構21のコントロール弁を電磁弁とし、その開閉状態を車両制御装置30が制御しても良い。
○ 動力伝達機構22はトルクコンバータを用いても良いし、マニュアル式トランスミッションを用いても良い。
【0046】
○ 油圧作動装置を備えた車両は、フォークリフト10に限らず、ショベルローダなどの油圧作動装置を備えた車両に具体化しても良い。
【符号の説明】
【0047】
10…フォークリフト、15…ティルトシリンダ、16…リフトシリンダ、19…エンジン、30…車両制御装置、31…エンジン制御装置、37…温度センサ、R1…トルク制限値、R2…規定トルク制限値、T1,T2…温度、ΔX,ΔY…変化率。
図1
図2
図3