特許第6252784号(P6252784)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6252784
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20171218BHJP
【FI】
   H01M2/10 E
   H01M2/10 M
   H01M2/10 A
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-175436(P2014-175436)
(22)【出願日】2014年8月29日
(65)【公開番号】特開2016-51565(P2016-51565A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2016年12月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】井上 拓
(72)【発明者】
【氏名】加藤 崇行
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
【審査官】 正 知晃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−154240(JP,A)
【文献】 特開2010−192209(JP,A)
【文献】 特開2013−089405(JP,A)
【文献】 特開2008−268332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁と、底壁の周縁から立設した側壁と、前記側壁に周縁を囲まれるとともに前記底壁と対向して設けられた天板とを有する密閉ケースと、
前記密閉ケース内に収容され、複数の電池セルを有する電池モジュールと、を備え、
前記天板は、前記密閉ケースの気密性を検査する際にポンプが繋がれるとともに前記密閉ケースの内外を連通する気密検査用ポートを有し、
前記天板には、前記密閉ケース内の前記電池モジュールと前記密閉ケース外の外部機器とを接続する配線が接続されたコネクタと、前記気密検査用ポートを封止する封止栓とが設けられている電池パック。
【請求項2】
前記天板には鉛直方向上方に向けて立設するとともに、吊り具が掛止される貫通孔を有する一対の立設壁が前記コネクタ及び前記封止栓を挟んで設けられ、
前記天板から前記貫通孔までの鉛直方向の高さより、前記天板から前記封止栓の鉛直方向の突出高の方が低い請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記封止栓は、前記密閉ケース内に露出する部分に前記密閉ケース内の水分を検出する水分検出部材を有する請求項1又は請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記水分検出部材は、前記密閉ケース内に突出する先端面に設けられている請求項3に記載の電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉ケースに電池セルを収容した電池パックに関する。
【背景技術】
【0002】
密閉ケースに電池セルを収容した電池パックにおいては、密閉ケースの内部に収容された電池セルと密閉ケース外の機器とを接続するためのコネクタを設ける必要がある。例えば、特許文献1に記載された電池パックは、密閉ケース内の電池セルと接続されたコネクタを有している。コネクタは、密閉ケースの外部に突出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−60614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、コネクタのように密閉ケースとは別体の部材は、電池パックを製造する際に密閉ケースに取り付ける必要がある。このため、これらの部材の密閉ケースへの取付性を向上させることで、電池パックの製造時の作業性を向上させることが望まれている。
【0005】
本発明の目的は、製造時の作業性を向上させることができる電池パックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する電池パックは、底壁と、底壁の周縁から立設した側壁と、前記側壁に周縁を囲まれるとともに前記底壁と対向して設けられた天板とを有する密閉ケースと、前記密閉ケース内に収容され、複数の電池セルを有する電池モジュールと、を備え、前記天板は、前記密閉ケースの気密性を検査する際にポンプが繋がれるとともに前記密閉ケースの内外を連通する気密検査用ポートを有し、前記天板には、前記密閉ケース内の前記電池モジュールと前記密閉ケース外の外部機器とを接続する配線が接続されたコネクタと、前記気密検査用ポートを封止する封止栓とが設けられている。
【0007】
これによれば、コネクタと封止栓とを天板に集約して設けることができる。このため、電池パックの製造時には、コネクタ及び封止栓を密閉ケースに取り付けやすく、電池パックの製造時の作業性が向上される。
【0008】
上記電池パックについて、前記天板には鉛直方向上方に向けて立設するとともに、吊り具が掛止される貫通孔を有する一対の立設壁が前記コネクタ及び前記封止栓を挟んで設けられ、前記天板から前記貫通孔までの鉛直方向の高さより、前記天板から前記封止栓の鉛直方向の突出高の方が低いことが好ましい。
【0009】
これによれば、吊り具を貫通孔に掛止するときに、封止栓によって吊り具の掛止が阻害されることが抑制される。
上記電池パックについて、前記封止栓は、前記密閉ケース内に露出する部分に前記密閉ケース内の水分を検出する水分検出部材を有することが好ましい。
【0010】
これによれば、電池セルが水分による短絡によって故障したときには、水分が気化して水分検出部材に付着することで、水分検出部材によって水分が検出される。このため、水分検出部材によって水分が検出されたときには、電池セルが水分によって故障したと特定することができる。また、密閉ケースの内外を連通する気密検査用ポートには、密閉ケース外に向けて流出しようとする気体が集まりやすいため、水分を適切に検出することができる。
【0011】
上記電池パックについて、前記水分検出部材は、前記密閉ケース内に突出する先端面に設けられていることが好ましい。これによれば、水分検出部材に水分が付着しやすい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電池パックの製造時の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】電池パックを示す斜視図。
図2】電池モジュールを示す斜視図。
図3】(a)は封止栓、通信コネクタ及び電源コネクタを示す電池パックの一部破断断面図、(b)は封止栓を拡大して示す断面図。
図4】密閉ケースの気密性を検査するときの気密検査用ポートを示す電池パックの断面図。
図5】気密性検査方法を説明するための図。
図6】変形例の気密性検査方法を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、電池パックの一実施形態について説明する。
図1に示すように、電池パック10は、密閉ケース11を有している。密閉ケース11には、複数の電池モジュール60が収容されている。また、密閉ケース11には、ジャンクションボックス64及び制御ECU69が収容されている。
【0015】
密閉ケース11は、ケース本体12を有している。ケース本体12は、底壁13を有している。底壁13からは、複数の側壁14,15,16が立設している。底壁13は、矩形板状であり、4辺のうち、3辺のそれぞれから、第1側壁14、第2側壁15及び第3側壁16が立設している。第1側壁14と第2側壁15とは対向している。第3側壁16は、第1側壁14と第2側壁15との間で延びている。また、ケース本体12は、第1側壁14、第2側壁15及び第3側壁16に支持されるとともに、底壁13と対向して設けられた天板17を有している。すなわち、各側壁14,15,16は底壁13と天板17との間で延びている。
【0016】
底壁13は、全体に亘って平坦な矩形板状である。天板17は、互いに平行に設けられた第1天部21と第2天部22とを有している。第2天部22は、底壁13との対向方向において第1天部21よりも底壁13から離間している。また、天板17は、第1天部21と第2天部22とを繋ぐ傾斜部23を有している。
【0017】
第1天部21と底壁13との間には、第1側壁14が設けられている。第1側壁14は、全体に亘って平坦な矩形板状である。第2天部22と底壁13との間には、第2側壁15が設けられている。第2側壁15は、全体に亘って平坦な矩形板状である。第2側壁15には、充電コネクタ36が設けられている。
【0018】
ケース本体12は、底壁13、天板17及び2つの側壁14,15に囲まれることで、第3側壁16と対向して区画された開口部18を有している。開口部18は、蓋体19によって閉塞されている。蓋体19は、ケース本体12に固定されることで、底壁13から立設される側壁の一つを構成して、第1側壁14、第2側壁15、第3側壁16及び蓋体19によって天板17の周縁が囲まれている。
【0019】
底壁13の端面、天板17の端面及び2つの側壁14,15の端面には、開口部18を囲むように開口部用シール材20が設けられており、この開口部用シール材20が蓋体19によって潰されることで、開口部18と蓋体19との間の気密性が確保されている。密閉ケース11は、底壁13が鉛直方向下方に位置し、天板17が鉛直方向上方に位置するように設けられる。
【0020】
第1天部21からは、密閉ケース11の外部に向けて第1立設壁24が垂直、すなわち、鉛直方向上方に立設している。第1立設壁24には、厚み方向に貫通した第1貫通孔25が設けられている。第2天部22からは、密閉ケース11の外部に向けて第2立設壁26が垂直、すなわち、鉛直方向上方に立設している。第2立設壁26には、厚み方向に貫通した第2貫通孔27が設けられている。第1貫通孔25及び第2貫通孔27は、天板17から天板17の外面の対向方向、すなわち、天板17から鉛直方向上方への高さが同一となるように設けられている。すなわち、第1貫通孔25と第2貫通孔27とは、中心軸の位置が同一位置となるように設けられている。
【0021】
なお、本実施形態のように天板17が鉛直方向への高さが異なる複数の部分(第1天部21、第2天部22及び傾斜部23)を有している場合、各部分の高低差によって天板17から鉛直方向上方への高さに差が生じる。例えば、第1天部21から第1貫通孔25までの鉛直方向上方への高さと、第2天部22から第2貫通孔27までの鉛直方向上方への高さとを比較すると、第1天部21よりも鉛直方向上方に位置する第2天部22から第2貫通孔27までの鉛直方向上方への高さの方が鉛直方向上方への高さが低くなる。本実施形態において、天板17に高低差が存在する場合、天板17における鉛直方向上方の部分に設けられている部材は、当該部分によって鉛直方向上方への高さが底上げされているとみなして、最も鉛直方向下方の部分(実施形態でいえば、第1天部21)から鉛直方向上方への高さを天板17からの鉛直方向上方への高さとする。したがって、第1貫通孔25と第2貫通孔27とは、第1天部21からの鉛直方向上方への高さが同一となっている。
【0022】
第1貫通孔25及び第2貫通孔27には、電池パック10を車両などの搭載物に搭載するときに、クレーン装置によって吊られる吊り具31が掛止される。吊り具31は、例えば、U字状の支持部32に、着脱可能な掛止部33を固定したものであり、掛止部33が第1貫通孔25及び第2貫通孔27に挿通されて、掛止される。
【0023】
図1図3(a)及び図3(b)に示すように、第1天部21には、厚み方向に貫通して、密閉ケース11の内外を連通する気密検査用ポート41が設けられている。気密検査用ポート41の内周面には、雌ねじが形成されている。気密検査用ポート41は、封止栓42によって封止されている。封止栓42は、ボルトであり、頭部43と頭部43から延びる軸部44とを有している。軸部44の外周には、雄ねじが形成されている。軸部44の先端面44aには、水分が付着することで変色する水分検出部材としての試験紙45が貼り付けられている。
【0024】
封止栓42は、気密検査用ポート41に螺合されている。封止栓42の頭部43と、天板17との間には、Oリング46が設けられている。Oリング46は、頭部43によって潰されることで気密検査用ポート41と封止栓42との間の気密性を確保している。封止栓42の軸部44の先端は、密閉ケース11内に突出して、密閉ケース11内に露出している。封止栓42の頭部43は、天板17から密閉ケース11の外部に突出している。封止栓42の頭部43の天板17から鉛直方向上方への突出高H3は、天板17から各貫通孔25,27における最も天板17に近い部分までの鉛直方向上方への高さH1,H2よりも低い。すなわち、封止栓42は、第1貫通孔25における最も天板17に近い部分と、第2貫通孔27における最も天板17に近い部分とを繋ぐ仮想線L1から突出しない範囲内で設けられている。
【0025】
傾斜部23には、厚み方向に貫通した第1連通孔51が設けられている。第1連通孔51は、傾斜部23を貫通して密閉ケース11の内外を繋いでいる。そして、傾斜部23の外面には、コネクタとしての通信コネクタ52が設けられている。通信コネクタ52は、密閉ケース11の内外に露出する接続部53を有している。通信コネクタ52は、通信コネクタ52を挿通したボルトB1にナットN1を螺合することで傾斜部23に固定されている。通信コネクタ52によって第1連通孔51は閉塞されている。傾斜部23の外面と通信コネクタ52との間には、第1連通孔51を囲むように第1孔用シール材54が設けられている。第1孔用シール材54は、通信コネクタ52によって潰されて、第1連通孔51と通信コネクタ52との間の気密性を確保している。
【0026】
第2天部22には、厚み方向に貫通した第2連通孔55が設けられている。第2連通孔55は、第2天部22を貫通して密閉ケース11の内外を繋いでいる。そして、第2天部22の外面には、コネクタとしての電源コネクタ56が設けられている。電源コネクタ56は、密閉ケース11の内外に露出する2つの接続端子57を有している。電源コネクタ56は、電源コネクタ56を挿通したボルトB2にナットN2を螺合することで第2天部22に固定されている。電源コネクタ56によって第2連通孔55は閉塞されている。第2天部22の外面と電源コネクタ56との間には、第2連通孔55を囲むように第2孔用シール材58が設けられている。第2孔用シール材58は、電源コネクタ56によって潰されて、第2連通孔55と電源コネクタ56との間の気密性を確保している。
【0027】
通信コネクタ52及び電源コネクタ56は、封止栓42と同様に、天板17から鉛直方向上方への突出高H4,H5が、天板17から各貫通孔25,27における最も天板17に近い部分までの鉛直方向上方への高さH1,H2よりも低い。具体的にいえば、天板17から通信コネクタ52の最も鉛直方向上方の部分までの鉛直方向上方への突出高H4は、天板17から各貫通孔25,27までの鉛直方向上方への高さH1,H2よりも低い。同様に、天板17から電源コネクタ56の最も鉛直方向上方の部分までの鉛直方向上方への突出高H5は、天板17から各貫通孔25,27までの鉛直方向上方への高さH1,H2よりも低い。すなわち、通信コネクタ52及び電源コネクタ56は、仮想線L1から突出しない範囲内で設けられている。
【0028】
封止栓42、通信コネクタ52及び電源コネクタ56は、第1立設壁24と第2立設壁26との間に設けられている。換言すれば、一対の立設壁24,26は、封止栓42、通信コネクタ52及び電源コネクタ56を挟んで設けられている。
【0029】
図1及び図2に示すように、密閉ケース11に収容された電池モジュール60は、複数の電池セル61を有している。複数の電池セル61は、互いに電気的に接続されている。電池モジュール60は、第3側壁16に密着して固定されている。複数の電池セル61のうち、一つの電池セル61には、プラスハーネス62が接続されている。また、複数の電池セル61のうち、一つの電池セル61には、マイナスハーネス63が接続されている。各電池モジュール60のプラスハーネス62及びマイナスハーネス63は、ジャンクションボックス64に向けて延びている。ジャンクションボックス64からは、電源コネクタ56に向けて第1ハーネス65が延びている。第1ハーネス65は、電源コネクタ56の接続端子57に接続されている。また、ジャンクションボックス64からは、充電コネクタ36に向けて第2ハーネス66が延びている。第1ハーネス65によって電源コネクタ56と電池セル61とが接続されている。第2ハーネス66によって充電コネクタ36と電池セル61とが接続されている。電源コネクタ56には、電池セル61を電力源として駆動する負荷が接続される。すなわち、電源コネクタ56には、電池セル61と外部機器である負荷とを、プラスハーネス62、マイナスハーネス63及びジャンクションボックス64を介して接続する配線としての第1ハーネス65が接続されている。また、充電コネクタ36には、電池セル61の充電時に、充電プラグが接続される。
【0030】
電池モジュール60は、監視ECU68を有している。監視ECU68は、電池セル61に設けられた図示しない温度センサや、電流センサによって検出される電池セル61の状態を監視している。各電池モジュール60の監視ECU68からは、制御ECU69に向けて第1通信線70が延びている。第1通信線70によって監視ECU68と制御ECU69は接続されている。制御ECU69は、各電池モジュール60のリレーなどを制御することで、電池セル61の放電と放電の遮断とを制御している。制御ECU69からは、通信コネクタ52に向けて第2通信線71が延びている。第2通信線71は、通信コネクタ52の接続部53に接続されている。通信コネクタ52には、制御装置が接続される。すなわち、通信コネクタ52には、監視ECU68と外部機器である制御装置とを、第1通信線70及び制御ECU69を介して接続する配線としての第2通信線71が接続されている。
【0031】
図4に示すように、密閉ケース11の気密性を検査するときには、気密検査用ポート41に、ホース81を介して真空ポンプ82(図では「ポンプ」と図示)が繋がれる。気密検査用ポート41から真空ポンプ82までの経路上には、圧力計83が設けられる。密閉ケース11内とホース81は連通しているため、密閉ケース11内の圧力とホース81内の圧力は同一である。したがって、圧力計83は、密閉ケース11内の圧力を計測している。そして、密閉ケース11の気密性を検査するときには、真空ポンプ82を駆動することで、密閉ケース11から気体を排出する。
【0032】
図5に示すように、真空ポンプ82は、密閉ケース11の気密性が確保されているとき、すなわち、密閉ケース11が良品のときに密閉ケース11内の圧力が予め定められた設定圧力に維持されるように密閉ケース11内から気体を排出する。密閉ケース11が良品であれば、圧力計83によって計測される密閉ケース11内の圧力は、設定圧力に誤差を加減した許容範囲内に収まる。一方で、密閉ケース11の気密性が確保されていない場合、すなわち、密閉ケース11が不良品のときには、密閉ケース11には、外部から気体が流入するため、密閉ケース11内の圧力が上昇し、圧力計83によって計測される密閉ケース11内の圧力は、設定圧力に誤差を加減した許容範囲よりも大きくなる。したがって、圧力計83によって計測される圧力が許容範囲内に収っているときには密閉ケース11の気密性が確保されていると判断することができる。一方、圧力計83によって計測される圧力が、許容範囲よりも大きいときには、密閉ケース11の気密性が確保されていないと判断することができる。
【0033】
なお、密閉ケース11において、気密不良が生じる箇所は、開口部18と蓋体19との間、第1連通孔51と通信コネクタ52との間、第2連通孔55と電源コネクタ56との間、及び気密検査用ポート41と封止栓42との間である。ケース本体12内に電池モジュール60を収容するための開口部18の開口面積に対して、密閉ケース11内の電池モジュール60と密閉ケース11外の外部機器とを接続するための配線を通すために設けられた各連通孔51,55の開口面積は小さい。このため、開口部18と蓋体19との間、及び各連通孔51,55と各コネクタ52,56との間の両方に気密不良が生じている場合、開口部18から密閉ケース11内に流入する気体の量に対して、各連通孔51,55から密閉ケース11内に流入する気体の量が僅かである。すなわち、開口部18と蓋体19との間にのみ気密不良が生じている場合と、開口部18と蓋体19との間に加えて、各連通孔51,55と各コネクタ52,56との間に気密不良が生じている場合とで密閉ケース11内の圧力変化の差が少ない。また、気密検査用ポート41は、気密性検査を行うときには、封止栓42によって封止することができない。したがって、上記した気密性検査によって、開口部18と蓋体19との間の気密性を検査した後で、各連通孔51,55と各コネクタ52,56との間の気密性検査、及び気密検査用ポート41と封止栓42との間の気密性検査を行う。
【0034】
次に、本実施形態の電池パック10の作用について説明する。
電池パック10を製造するときには、通信コネクタ52及び電源コネクタ56をケース本体12に取り付ける。そして、ケース本体12に電池モジュール60を収容した後に蓋体19によって開口部18を閉塞する。蓋体19によって開口部18を閉塞した後には、開口部18と蓋体19との間の気密性検査を行う。気密性を検査した結果、開口部18と蓋体19との間の気密性が確保されている場合には、気密検査用ポート41を封止栓42によって封止する。
【0035】
上記したように、通信コネクタ52、電源コネクタ56及び封止栓42は、ケース本体12とは別体の部品のため、電池パック10の製造時には、ケース本体12に取り付ける必要がある。本実施形態では、天板17に、通信コネクタ52、電源コネクタ56及び封止栓42を集約しているため、各部材の取付性が向上されている。具体的にいえば、通信コネクタ52、電源コネクタ56及び封止栓42を取り付けるときに、ケース本体12の向きを変更したり、作業者が移動したりすることなく、天板17に、各部材を取り付けることができる。
【0036】
また、第3側壁16には、電池モジュール60が固定されている。電池モジュール60の電池セル61は、充放電に伴い発熱する。電池モジュール60を第3側壁16に固定することで、電池セル61が発した熱を第3側壁16に伝導させて、電池セル61の放熱を行うようにしている。仮に、第3側壁16に通信コネクタ52、電源コネクタ56及び封止栓42を集約した場合、各部材によって第3側壁16への熱の伝導が阻害されることに加えて、電池モジュール60を第3側壁16に固定することが困難になる。このため、電池モジュール60が固定されない天板17に通信コネクタ52、電源コネクタ56及び封止栓42を集約することで、電池セル61の放熱を阻害することなく、各部材を集約することができる。
【0037】
また、吊り具31を各貫通孔25,27に掛止するときには、掛止部33を各貫通孔25,27に挿通する。このとき、天板17から各貫通孔25,27までの鉛直方向上方への高さH1,H2よりも封止栓42が突出していると、掛止部33が封止栓42に当接して、掛止部33の各貫通孔25,27への挿通を阻害するおそれがある。このため、封止栓42の天板17から鉛直方向上方への突出高H3を天板17から各貫通孔25,27までの鉛直方向上方への高さH1,H2よりも低くすることで、掛止部33を各貫通孔25,27に挿通するときに封止栓42によって掛止部33の挿通が阻害されることを抑制している。
【0038】
また、電池パック10のメンテナンス時や、電池パック10に異常が生じたときには、蓋体19をケース本体12から取り外して、密閉ケース11の内部を確認する。電池パック10に異常が生じているとき、例えば、電池セル61が故障しているときには、故障の原因を特定する必要がある。このとき、封止栓42に設けられた試験紙45を確認して、試験紙45が変色していれば、密閉ケース11内に水分が侵入し、この水分が気化して試験紙45に付着したと判断することができるため、電池セル61が水分によって短絡することで故障したと特定することができる。
【0039】
したがって、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)天板17には、通信コネクタ52、電源コネクタ56及び封止栓42が集約されている。このため、各部材の取付性が向上され、電池パック10製造時の作業性が向上される。
【0040】
(2)また、電池モジュール60が固定されていない天板17に通信コネクタ52、電源コネクタ56及び封止栓42を集約しているため、電池セル61が発した熱のケース本体12への伝導を阻害しにくい。
【0041】
(3)天板17から各貫通孔25,27までの鉛直方向上方への高さH1,H2より、天板17から封止栓42の突出高H3のほうが低い。このため、吊り具31を各貫通孔25,27に掛止するときに、封止栓42によって吊り具31の掛止が阻害されることが抑制される。
【0042】
(4)封止栓42には、水分によって変色する試験紙45が貼り付けられている。このため、電池セル61が、水分によって故障したときには、封止栓42の試験紙45を確認することで、故障原因の特定を行うことができる。また、密閉ケース11の内外を連通する気密検査用ポート41には、密閉ケース11外に向けて流出しようとする気体が集まりやすいため、水分を適切に検出することができる。
【0043】
(5)試験紙45は、密閉ケース11内に突出する封止栓42の先端面44aに設けられている。このため、水分が気化したときに試験紙45に水分が付着しやすく、密閉ケース11内の水分を検出しやすい。
【0044】
なお、実施形態は以下のように変更してもよい。
図6に示すように、気密性検査方法として、真空ポンプ82によって密閉ケース11内を設定圧力にした後に、真空ポンプ82を停止して、その後の圧力の上昇具合によって密閉ケース11の気密性を検査してもよい。密閉ケース11が良品の場合、密閉ケース11内の圧力は緩やかに上昇するのに対して、密閉ケース11が不良品の場合、密閉ケース11内の圧力は密閉ケース11が良品の場合よりも急激に上昇する。このため、設定圧力よりも高い圧力を規定圧力として、真空ポンプ82を停止してから密閉ケース11内の圧力がこの規定圧力に達するまでの時間から気密性を検査することができる。具体的にいえば、時刻t1で真空ポンプ82を停止したときに、密閉ケース11内の圧力が規定圧力に達するまでの時間が、閾値より長ければ密閉ケース11の気密性が確保されていると判断する。例えば、時刻t1から時刻t2までの時間を閾値として定めておくと、密閉ケース11が不良品のときには、時刻t2に達する以前に密閉ケース11内の圧力が規定圧力に達する。一方、密閉ケース11が良品のときには、時刻t2を超えてから密閉ケース11内の圧力が規定圧力に達する。なお、閾値としては、密閉ケース11が良品の場合に、真空ポンプ82を停止したときに、密閉ケース11内の圧力が設定圧力から規定圧力に達するまでの時間よりも若干短い時間に設定される。
【0045】
○ポンプは、密閉ケース11内に気体を供給するポンプであってもよい。この場合、密閉ケース11が良品の場合に、密閉ケース11内の圧力が設定圧力に維持されるように気体を供給する。密閉ケース11が不良品の場合には、密閉ケース11から気体が漏れ出すため、圧力計83によって計測される密閉ケース11内の圧力が、設定圧力に誤差を加減した許容範囲よりも低くなる。また、密閉ケース11内の圧力を設定圧力にした後にポンプを停止すると、密閉ケース11が不良品の場合には、密閉ケース11が良品の場合に比べて、急激に密閉ケース11内の圧力が低下する。
【0046】
○天板17には、各立設壁24,26が設けられていなくてもよい。この場合、吊り具31が掛止される貫通孔を有する立設壁を天板17とは異なる位置に設けることが好ましい。
【0047】
○封止栓42は、天板17から各貫通孔25,27までの鉛直方向上方への高さH1,H2よりも天板17から突出していてもよい。この場合、封止栓42を各立設壁24,26から極力離間して設けるなど、封止栓42が吊り具31の掛止を阻害しないようにすることが好ましい。
【0048】
○封止栓42には、試験紙45が設けられていなくてもよい。この場合、密閉ケース11内に水分が侵入したことを検出するために、別の部分に試験紙45を設けてもよい。
○試験紙45は、封止栓42における密閉ケース11内に露出している部分であれば、軸部44の周面などに設けられていてもよい。
【0049】
○天板17は、全体に亘って平坦であってもよい。
○通信コネクタ52、電源コネクタ56及び封止栓42は、第1立設壁24及び第2立設壁26の間以外に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…電池パック、11…密閉ケース、14,15,16…側壁、17…天板、19…蓋体、24,26…立設壁、25,27…貫通孔、31…吊り具、41…気密検査用ポート、42…封止栓、45…試験紙、52…通信コネクタ、56…電源コネクタ、60…電池モジュール、61…電池セル、65…第1ハーネス、68…監視ECU、71…第2通信線、82…真空ポンプ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6