(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記気化混合室は、前記燃料供給ポートから供給された原燃料ガスを、前記燃料ガス供給機構に対して分散して供給するための分散ポートを備えていることを特徴とする請求項8に記載の固体酸化物型燃料電池装置。
前記分散ポートは複数設けられており、前記分散ポートと前記噴射ポートとは、前記モジュールケースの周方向において、位置をずらして設けられていることを特徴とする請求項9に記載の固体酸化物型燃料電池装置。
前記気化混合室は、前記燃料ガス供給機構と前記噴射ポートとの間に、前記燃料ガス供給機構側からの原燃料ガスと水蒸気とを集約して前記噴射ポート側へ流出させるための集約ポートを備えていることを特徴とする請求項6に記載の固体酸化物型燃料電池装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の燃料電池装置では、蒸発部で生成した水蒸気と原燃料ガスとの混合が十分ではないおそれがある。このため、水蒸気と原燃料ガスとの混合割合にムラがある混合ガスが改質部に導入されるという問題があった。
【0007】
従って、本発明は、水蒸気と原燃料ガスとを十分に混合し、且つ、改質器に対して均一に混合ガスを導入することができる固体酸化物型燃料電池装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明は、固体酸化物型燃料電池装置であって、燃料電池セルと、燃料電池セルを収容する上下方向に延びる筒状のモジュールケースと、モジュールケースの外周面に沿って上下方向に延びる環状の流路を有する燃料供給通路と、燃料供給通路に配置された改質器と、を備え、燃料供給通路は、供給された水を気化させて生成した水蒸気と供給された原燃料ガスとを混合する気化混合室を改質器よりも上流側で且つ改質器よりも下方に備え
ると共に、気化混合室の下流側で且つ改質器の上流側に燃料電池セルの上端を超えて上方に延びる減速流路を備え、燃料供給通路は、水蒸気の気化膨張圧力によって、水蒸気と原燃料ガスとの混合ガスを気化混合室から燃料供給通路内の上方向に
複数の噴射ポートにより加速噴射させ、且つ、
減速流路を通過させ改質器への入口手前で減速及び分散させて改質器へ供給するように構成されて
おり、複数の噴射ポートは、燃料電池セルの発電反応を行う部分よりも下方に位置すると共に、燃料供給通路の環状の流路において周方向に均等間隔に配置されていることを特徴としている。
【0009】
水蒸気と原燃料ガスとの混合ガスを混合ムラがないように十分に混合すると共に均一に分散して改質触媒に供給するため、本発明者は、蒸発部と改質触媒の間に混合ガスを混合するための混合室を設けた燃料電池装置の開発を進めてきた。具体的には、燃料電池セルを収容する円筒型チャンバーを有する発電室の外周面に沿って、上方向に延びる円環状の燃料ガス供給流路を形成し、この流路の上流側(下部)に蒸発部と原燃料ガスの供給パイプを配置し、下流側(上部)に円環状に改質触媒を配置し、蒸発部と改質触媒との間の円環状の経路を混合室とした。発電室は、下側よりも上側の方が温度が高くなるように温度勾配が生じるため、発電室の外側に設けられた燃料ガス供給流路の混合室には、この温度勾配によって水蒸気と原燃料ガスの混合ガスの上昇気流が生じる。また、混合室には、混合ガスが下方から上方へ円環状の混合室を流れる間に、周方向の旋回流を生成するように、複数のらせん羽根を配置した。温度勾配による上昇気流現象と、らせん羽根による旋回流とを利用することによって、上下方向に延びる混合室内において、蒸発器で生成した水蒸気と供給パイプから供給した原燃料ガスとの混合ガスの混合性を高め、改質触媒に対する分散性を制御することができる。
【0010】
しかしながら、本発明者は、温度勾配及び旋回流を利用した上記構成では、発電室の温度分布にムラがある場合には、比較的低速で混合ガスが混合室を上昇していく間に、発電室の高温部分に対応する燃料ガス供給流路の部分で混合ガスが局所的に体積膨張を生じ、粘性が高くなることによって流れ難くなるため、混合性にムラが生じるという問題を見出した。また、混合ガスを旋回流にすると、旋回流の中で水蒸気と原燃料ガスがそれぞれ層状気流となって、十分に混合できない場合があるという問題を見出した。
【0011】
まず、本発明では、筒状のモジュールケースの外周面に沿って上下方向に延びる環状の燃料供給通路において、混合ガスを改質器へ向けて上方へ加速した高速な流れとして供給するように構成している。これにより、燃料供給通路を流れる混合ガスに対するモジュールケースの温度ムラの影響を大幅に低減することができる。
しかしながら、単に混合ガスを加速流とするだけでは、混合ガスを改質器の一部にしか供給することができないため、改質器全体に対する良好な分散性を確保することができないという新たな問題が生じる。また、速度が高められた加速流は、大部分が直線的に改質器へと流れるため、良好な混合性を得ることができないという別の問題も生じる。
【0012】
そこで、さらなる課題解決のために、本発明では、燃料供給通路内の上流側に気化混合室を設け、この気化混合室において、気化膨張させた水蒸気と原燃料ガスとを予め混合することにより、混合性を高めたうえで、気化膨張による気化混合室内の圧力上昇を利用して、混合性が高められた混合ガスを加速噴射するように構成している。さらに、本発明では、混合性が高められた混合ガスの加速噴流が改質器の手前で減速し、分散した後、改質器へ供給されるように燃料供給通路を構成している。本発明では、気化膨張圧力,加速噴流の減速及び分散をさらに利用することによって、混合ガスの良好な混合性及び改質器全体への略均等な分散性を有する優れた燃料供給形態を備えた燃料電池装置を提供することができる。
【0013】
また、本発明において
、気化混合室は、混合ガスを改質器の入口へ向けて加速噴射させる噴射ポートを複数備えている。
モジュールケースの温度ムラの影響を受けずに、1本の加速噴流を拡げて混合ガスを改質器に対して十分に分散させるには限度がある。このため、本発明では、混合ガスを改質器の入口へ向けて加速噴射させる噴射ポートを複数設けることにより、複数本の加速噴流によって、モジュールケースの温度ムラの影響を受けることなく混合ガスを改質器に対して十分に分散させるように構成している。
また、本発明において、複数の噴射ポートは、均等間隔に配置されている。
このように構成された本発明によれば、噴射ポートを均等間隔で配置することにより、改質器に対してより均一に混合ガスを供給することができる。
【0014】
本発明において、好ましくは、複数の噴射ポートは、各噴射ポートから加速噴射される混合ガスの広がり幅と同じ間隔又は小さい間隔で離間配置されている。
このように構成された本発明によれば、複数の噴射ポートから加速噴射された混合ガスの加速噴流が、互いに隣接する噴射ポートから噴射された加速噴流と広がり方向において隣接するか又は一部が重なるため、途切れることなく連続した広がりを有する混合ガスを改質器に対して供給することができる。
【0016】
本発明において、好ましくは、燃料供給通路は、噴射ポートから改質器の入口までの間の、混合ガスの減速
流路が、混合ガスの加速噴流を減速させるための構造物が設けられていない単一空間である。
このように構成された本発明によれば、加速噴流は流れを阻害されることなく減速流路を通過できるので、減速流路において混合ガスに対するモジュールケースの温度ムラの影響をより小さくすることができる。
【0017】
本発明において、好ましくは、燃料供給通路は、減速流路の下流側に、混合ガスの加速噴流の分散性を高めるための衝突壁を有し、混合ガスの加速噴流は、衝突壁への衝突後に改質器の入口に入るように構成されている。
このように構成された本発明によれば、減速流路の下流側に設けられた衝突壁に混合ガスの加速噴流が衝突することにより、混合ガスの分散性がより高められるので、分散性が高められた混合ガスにより、改質器に対してより均一に混合ガスを供給することができる。
【0018】
本発明において、好ましくは、気化混合室は、水供給ポートから前記噴射ポートへ向かう水蒸気に対して、原燃料ガスを側方から噴出して供給する燃料ガス供給機構を備えている。
このように構成された本発明によれば、水蒸気の流れに対して、原燃料ガスを側方から噴出させて合流させることにより、水蒸気と原燃料ガスの混合性をより高めたうえで、減速流路に向けて混合ガスを噴射することができる。
【0019】
本発明において、好ましくは、気化混合室に水を供給する水供給ポートが互いに離間して複数備えられている。
このように構成された本発明によれば、複数の水供給ポートを離間して気化混合室内に配置することにより、生成された水蒸気の気化混合室内での圧力分布の変化を小さくすることができるので、気化混合室から噴射される複数の加速噴流の圧力のバラツキを小さくすることが可能となる。
【0020】
本発明において、好ましくは、複数の水供給ポートは、均等間隔に配置されている。
このように構成された本発明によれば、複数の水供給ポートを気化混合室内に均等間隔に配置することにより、水蒸気の気化混合室内での圧力分布の変化をより小さくして、複数の加速噴流の圧力のバラツキをより小さくすることが可能となる。
【0021】
本発明において、好ましくは、気化混合室に原燃料ガスを供給する燃料供給ポートが互いに離間して複数備えられている。
このように構成された本発明によれば、複数の燃料供給ポートを離間して気化混合室内に配置することにより、気化混合室内での原燃料ガスの分布をより均一にすることができるので、気化混合室内での混合性をより良好にすることが可能となる。
【0022】
本発明において、好ましくは、気化混合室は、燃料供給ポートから供給された原燃料ガスを、燃料ガス供給機構に対して分散して供給するための分散ポートを備えている。
このように構成された本発明によれば、予め原燃料ガスを分散ポートを通して分散させた後、水蒸気に対して原燃料ガスを混合させることによって、より混合性を高めることができる。
【0023】
本発明において、好ましくは、分散ポートは複数設けられており、分散ポートと噴射ポートとは、モジュールケースの周方向において、位置をずらして設けられている。
このように構成された本発明によれば、原燃料ガスを分散する分散ポートと、混合ガスを噴射する噴射ポートとが、周方向において位置がずれているので、気化混合室内で分散ポートから噴射ポートまでの原燃料の移動距離を長くして、より混合性を高めることができる。
【0024】
本発明において、好ましくは、気化混合室は、燃料ガス供給機構と噴射ポートとの間に、燃料ガス供給機構側からの原燃料ガスと水蒸気とを集約して噴射ポート側へ流出させるための集約ポートを備えている。
このように構成された本発明によれば、燃料ガスと水蒸気とが集約ポートで集約されることによって混合が促進されるため、噴射ポートから噴射される前により混合性を高めることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の固体酸化物型燃料電池装置によれば、水蒸気と原燃料ガスとを十分に混合し、且つ、改質器に対して均一に混合ガスを導入することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、添付図面を参照して、本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池装置(SOFC)を説明する。
図1は、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池装置(SOFC)を示す全体構成図である。この
図1に示すように、本発明の一実施形態による固体酸化物型燃料電池装置(SOFC)1は、燃料電池モジュール2と、補機ユニット4を備えている。
【0028】
燃料電池モジュール2は、ハウジング6を備え、このハウジング6内部には、断熱材7を介して燃料電池セル収容容器8が配置されている。この燃料電池セル収容容器8内の内部には発電室10が構成され、この発電室10の中には複数の燃料電池セル16が同心円状に配置されており、これらの燃料電池セル16により、燃料ガスと酸化剤ガスである空気の発電反応が行われる。
【0029】
各燃料電池セル16の上端部には、排気集約室18が取り付けられている。各燃料電池セル16において発電反応に使用されずに残った残余の燃料(オフガス)は、上端部に取り付けられた排気集約室18に集められ、この排気集約室18の天井面に設けられた複数の噴出口から流出される。流出した燃料は、発電室10内で発電に使用されずに残った空気により燃焼され、排気ガスが生成されるようになっている。
【0030】
次に、補機ユニット4は、水道等の水供給源24からの水を貯水してフィルターにより純水とする純水タンク26と、この純水タンクから供給される水の流量を調整する水供給装置である水流量調整ユニット28(モータで駆動される「水ポンプ」等)を備えている。また、補機ユニット4は、都市ガス等の燃料供給源30から供給された炭化水素系の原燃料ガスの流量を調整する燃料供給装置である燃料ブロア38(モータで駆動される「燃料ポンプ」等)を備えている。
【0031】
なお、燃料ブロア38を通過した原燃料ガスは、燃料電池モジュール2内に配置された脱硫器36と、熱交換器34、電磁弁35を介して燃料電池セル収容容器8の内部に導入される。脱硫器36は、燃料電池セル収容容器8の周囲に環状に配置されており、原燃料ガスから硫黄を除去するようになっている。また、熱交換器34は、脱硫器36において温度上昇した高温の原燃料ガスが直接電磁弁35に流入し、電磁弁35が劣化されるのを防止するために設けられている。電磁弁35は、燃料電池セル収容容器8内への原燃料ガスの供給を停止するために設けられている。
【0032】
補機ユニット4は、空気供給源40から供給される空気の流量を調整する酸化剤ガス供給装置である空気流量調整ユニット45(モータで駆動される「空気ブロア」等)を備えている。
【0033】
さらに、補機ユニット4には、燃料電池モジュール2からの排気ガスの熱を回収するための温水製造装置50が備えられている。この温水製造装置50には、水道水が供給され、この水道水が排気ガスの熱により温水となり、図示しない外部の給湯器の貯湯タンクへ供給されるようになっている。
さらに、燃料電池モジュール2には、燃料電池モジュール2により発電された電力を外部に供給するための電力取出部(電力変換部)であるインバータ54が接続されている。
【0034】
次に、
図2及び
図3により、本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池装置(SOFC)の燃料電池モジュールに内蔵された燃料電池セル収容容器の内部構造を説明する。
図2は燃料電池セル収容容器の断面図であり、
図3は燃料電池セル収容容器の主な部材を分解して示した断面図である。
図2に示すように、燃料電池セル収容容器8内の空間には、複数の燃料電池セル16が同心円状に配列され、その周囲を取り囲むように燃料流路である燃料ガス供給流路20、排ガス排出流路21、酸化剤ガス供給流路22が順に同心円状に形成されている。ここで、排ガス排出流路21及び酸化剤ガス供給流路22は、酸化剤ガスを供給/排出する酸化剤ガス流路として機能する。
【0035】
まず、
図2に示すように、燃料電池セル収容容器8は、概ね円筒状の密閉容器であり、その側面には、発電用の空気を供給する酸化剤ガス流入口である酸化剤ガス導入パイプ56、及び排気ガスを排出する排ガス排出パイプ58が接続されている。さらに、燃料電池セル収容容器8の上端面からは、排気集約室18から流出した残余燃料に点火するための点火ヒーター62が突出している。
【0036】
図2及び
図3に示すように、燃料電池セル収容容器8の内部には、燃料電池セル16の周囲を取り囲むように、内側から順に、発電室構成部材である内側円筒部材64、外側円筒部材66、内側円筒容器68、外側円筒容器70が配置されている。上述した燃料ガス供給流路20、排ガス排出流路21、及び酸化剤ガス供給流路22は、これらの円筒部材及び円筒容器の間に夫々構成される流路であり、隣り合う流路の間で熱交換が行われる。即ち、排ガス排出流路21は燃料ガス供給流路20を取り囲むように配置され、酸化剤ガス供給流路22は排ガス排出流路21を取り囲むように配置されている。また、燃料電池セル収容容器8の下端側の開放空間は、燃料を各燃料電池セル16に分散させる燃料ガス分散室76の底面を構成する概ね円形の分散室底部材72により塞がれている。
【0037】
内側円筒部材64は、概ね円筒状の中空体であり、その上端及び下端は開放されている。また、内側円筒部材64の内壁面には、分散室形成板である円形の第1固定部材63が気密的に溶接されている。この第1固定部材63の下面と、内側円筒部材64の内壁面と、分散室底部材72の上面により、燃料ガス分散室76が画定される。また、第1固定部材63には、各々燃料電池セル16を挿通させる複数の挿通穴63aが形成されており、各燃料電池セル16は、各挿通穴63aに挿通された状態で、セラミック接着剤により第1固定部材63に接着されている。このように、本実施形態の固体酸化物型燃料電池装置1においては、燃料電池モジュール2を構成する部材間相互の接合部には、セラミック接着剤が充填され、硬化されることにより、各部材が相互に気密的に接合されている。
【0038】
外側円筒部材66は、内側円筒部材64の周囲に配置される円筒状の管であり、内側円筒部材64との間に円環状の流路が形成されるように、内側円筒部材64と概ね相似形に形成されている。さらに、内側円筒部材64と外側円筒部材66の間には中間円筒部材65が配置されている。中間円筒部材65は、内側円筒部材64と外側円筒部材66の間に配置された円筒状の管であり、内側円筒部材64の外周面と中間円筒部材65の内周面の間には改質部94が構成されている。また、中間円筒部材65の外周面と、外側円筒部材66の内周面の間の円環状の空間は、燃料ガス供給流路20として機能する。このため、改質部94及び燃料ガス供給流路20は、燃料電池セル16における発熱及び排気集約室18上端における残余燃料の燃焼により熱を受ける。また、内側円筒部材64の上端部と外側円筒部材66の上端部は溶接により気密的に接合されており、燃料ガス供給流路20の上端は閉鎖されている。さらに、中間円筒部材65の下端と、内側円筒部材64の外周面は、溶接により気密的に接合されている。
【0039】
内側円筒容器68は、外側円筒部材66の周囲に配置される円形断面のカップ状の部材であり、外側円筒部材66との間にほぼ一定幅の円環状の流路が形成されるように、側面が外側円筒部材66と概ね相似形に形成されている。この内側円筒容器68は、内側円筒部材64の上端の開放部を覆うように配置される。外側円筒部材66の外周面と、内側円筒容器68の内周面の間の円環状の空間は、排ガス排出流路21(
図2)として機能する。この排ガス排出流路21は、内側円筒部材64の上端部に設けられた複数の小穴64aを介して内側円筒部材64の内側の空間と連通している。また、内側円筒容器68の下部側面には、排ガス流出口である排ガス排出パイプ58が接続されており、排ガス排出流路21が排ガス排出パイプ58に連通される。
【0040】
排ガス排出流路21の下部には、燃焼触媒60及びこれを加熱するためのシースヒーター61が配置されている。
燃焼触媒60は、排ガス排出パイプ58よりも上方に、外側円筒部材66の外周面と内側円筒容器68の内周面の間の円環状の空間に充填された触媒である。排ガス排出流路21を下降した排気ガスは、燃焼触媒60を通過することにより一酸化炭素が除去され、排ガス排出パイプ58から排出される。
シースヒーター61は、燃焼触媒60の下方の、外側円筒部材66の外周面を取り囲むように取り付けられた電気ヒーターである。固体酸化物型燃料電池装置1の起動時において、シースヒーター61に通電することにより、燃焼触媒60が活性温度まで加熱される。
【0041】
外側円筒容器70は、内側円筒容器68の周囲に配置される円形断面のカップ状の部材であり、内側円筒容器68との間にほぼ一定幅の円環状の流路が形成されるように、側面が内側円筒容器68と概ね相似形に形成されている。内側円筒容器68の外周面と、外側円筒容器70の内周面の間の円環状の空間は、酸化剤ガス供給流路22として機能する。また、外側円筒容器70の下部側面には、酸化剤ガス導入パイプ56が接続されており、酸化剤ガス供給流路22が酸化剤ガス導入パイプ56に連通される。
【0042】
分散室底部材72は、概ね円形の皿状の部材であり、内側円筒部材64の内壁面にセラミック接着剤により気密的に固定される。これにより、第1固定部材63と分散室底部材72の間に、燃料ガス分散室76が構成される。また、分散室底部材72の中央には、バスバー80(
図2)を挿通させるための挿通管72aが設けられている。各燃料電池セル16に電気的に接続されたバスバー80は、この挿通管72aを通して燃料電池セル収容容器8の外部に引き出される。また、挿通管72aには、セラミック接着剤が充填され、燃料ガス分散室76の気密性が確保されている。さらに、挿通管72aの周囲には、断熱材72b(
図2)が配置されている。
【0043】
内側円筒容器68の天井面から垂下するように、発電用の空気を噴射するための、円形断面の酸化剤ガス噴射用パイプ74が取り付けられている。この酸化剤ガス噴射用パイプ74は、内側円筒容器68の中心軸線上を鉛直方向に延び、その周囲の同心円上に各燃料電池セル16が配置される。酸化剤ガス噴射用パイプ74の上端が内側円筒容器68の天井面に取り付けられることにより、内側円筒容器68と外側円筒容器70の間に形成されている酸化剤ガス供給流路22と酸化剤ガス噴射用パイプ74が連通される。酸化剤ガス供給流路22を介して供給された空気は、酸化剤ガス噴射用パイプ74の先端から下方に噴射され、第1固定部材63の上面に当たって、発電室10内全体に広がる。
【0044】
燃料ガス分散室76は、第1固定部材63と分散室底部材72の間に構成される円筒形の気密性のあるチャンバーであり、その上面に各燃料電池セル16が林立されている。第1固定部材63の上面に取り付けられた各燃料電池セル16は、その内側の燃料極が、燃料ガス分散室76の内部と連通されている。各燃料電池セル16の下端部は、第1固定部材63の挿通穴63aを貫通して燃料ガス分散室76の内部に突出し、各燃料電池セル16は第1固定部材63に、接着により固定されている。
【0045】
図2に示すように、内側円筒部材64には、第1固定部材63よりも下方に複数の小穴64bが設けられている。内側円筒部材64の外周と中間円筒部材65の内周の間の空間は、複数の小穴64bを介して燃料ガス分散室76内に連通されている。供給された燃料は、外側円筒部材66の内周と中間円筒部材65の外周の間の空間を一旦上昇した後、内側円筒部材64の外周と中間円筒部材65の内周の間の空間を下降し、複数の小穴64bを通って燃料ガス分散室76内に流入する。燃料ガス分散室76に流入した燃料は、燃料ガス分散室76の天井面(第1固定部材63)に取り付けられた各燃料電池セル16の燃料極に分配される。
【0046】
さらに、燃料ガス分散室76内に突出している各燃料電池セル16の下端部は、燃料ガス分散室76内でバスバー80に電気的に接続され、挿通管72aを通して電力が外部に引き出される。バスバー80は、各燃料電池セル16により生成された電力を、燃料電池セル収容容器8の外部へ取り出すための細長い金属導体であり、碍子78を介して分散室底部材72の挿通管72aに固定されている。バスバー80は、燃料ガス分散室76の内部において、各燃料電池セル16に取り付けられた集電体82と電気的に接続されている。また、バスバー80は、燃料電池セル収容容器8の外部において、インバータ54(
図1)に接続される。なお、集電体82は、排気集約室18内に突出している各燃料電池セル16の上端部にも取り付けられている(
図4)。これら上端部及び下端部の集電体82により、複数の燃料電池セル16が電気的に並列に接続されると共に、並列に接続された複数組の燃料電池セル16が電気的に直列に接続され、この直列接続の両端が夫々バスバー80に接続される。
【0047】
次に、
図4及び
図5を参照して、排気集約室の構成を説明する。
図4は排気集約室の部分を拡大して示す断面図であり、
図5は、
図2におけるV−V断面である。
図4に示すように、排気集約室18は、各燃料電池セル16の上端部に取り付けられたドーナツ型断面のチャンバーであり、この排気集約室18の中央には、酸化剤ガス噴射用パイプ74が貫通して延びている。
【0048】
図5に示すように、内側円筒部材64の内壁面には、排気集約室18支持用の3つのステー64cが等間隔に取り付けられている。
図4に示すように、各ステー64cは金属製の薄板を折り曲げた小片であり、排気集約室18を各ステー64cの上に載置することにより、排気集約室18は内側円筒部材64と同心円上に位置決めされる。これにより、排気集約室18の外周面と内側円筒部材64の内周面の間の隙間、及び排気集約室18の内周面と酸化剤ガス噴射用パイプ74の外周面との間の隙間は、全周で均一になる(
図5)。
【0049】
排気集約室18は、集約室上部材18a及び集約室下部材18bが気密的に接合されることにより構成されている。
集約室下部材18bは、上方が開放された円形皿状の部材であり、その中央には、酸化剤ガス噴射用パイプ74を貫通させるための円筒部が設けられている。
集約室上部材18aは、下方が開放された円形皿状の部材であり、その中央には、酸化剤ガス噴射用パイプ74を貫通させるための開口部が設けられている。集約室上部材18aは、集約室下部材18bの上方に開口したドーナツ型断面の領域に嵌め込まれる形状に構成されている。
【0050】
集約室下部材18bの周囲の壁の内周面と集約室上部材18aの外周面の間の隙間にはセラミック接着剤が充填され、硬化されており、この接合部の気密性が確保されている。また、この接合部に充填されたセラミック接着剤により形成されたセラミック接着剤層の上には、大径シールリング19aが配置され、セラミック接着剤層を覆っている。大径シールリング19aは円環状の薄板であり、セラミック接着剤の充填後、充填されたセラミック接着剤を覆うように配置され、接着剤の硬化により排気集約室18に固定される。
【0051】
一方、集約室下部材18b中央の円筒部の外周面と、集約室上部材18a中央の開口部の縁の間にもセラミック接着剤が充填され、硬化されており、この接合部の気密性が確保されている。また、この接合部に充填されたセラミック接着剤により形成されたセラミック接着剤層の上には、小径シールリング19bが配置され、セラミック接着剤層を覆っている。小径シールリング19bは円環状の薄板であり、セラミック接着剤の充填後、充填されたセラミック接着剤を覆うように配置され、接着剤の硬化により排気集約室18に固定される。
【0052】
集約室下部材18bの底面には複数の円形の挿通穴18cが設けられている。各挿通穴18cには燃料電池セル16の上端部が夫々挿通され、各燃料電池セル16は各挿通穴18cを貫通して延びている。各燃料電池セル16が貫通している集約室下部材18bの底面上にはセラミック接着剤が流し込まれ、これが硬化されることにより、各燃料電池セル16の外周と各挿通穴18cの間の隙間が気密的に充填されると共に、各燃料電池セル16が集約室下部材18bに固定されている。
【0053】
さらに、集約室下部材18bの底面上に流し込まれたセラミック接着剤の上には、円形薄板状のカバー部材19cが配置され、セラミック接着剤の硬化により集約室下部材18bに固定されている。カバー部材19cには、集約室下部材18bの各挿通穴18cと同様の位置に複数の挿通穴が設けられており、各燃料電池セル16の上端部はセラミック接着剤の層及びカバー部材19cを貫通して延びている。
【0054】
一方、排気集約室18の天井面には、集約された燃料ガスを噴出させるための複数の噴出口18dが設けられている(
図5)。各噴出口18dは、集約室上部材18aに、円周上に配置されている。発電に使用されずに残った燃料は、各燃料電池セル16の上端から排気集約室18内に流出し、排気集約室18内で集約された燃料は各噴出口18dから流出し、そこで燃焼される。
【0055】
次に、
図2を参照して、燃料供給源30から供給される原燃料ガスを改質するための構成について説明する。
まず、内側円筒部材64と外側円筒部材66の間の空間で構成されている燃料ガス供給流路20の下部には、水蒸気改質用の水を蒸発させるための蒸発部86が設けられている。蒸発部86は、外側円筒部材66の下部内周に取り付けられたリング状の傾斜板86a及び水供給パイプ88から構成されている。また、蒸発部86は、発電用の空気を導入するための酸化剤ガス導入パイプ56よりも下方で、排気ガスを排出する排ガス排出パイプ58よりも上方に配置されている。傾斜板86aは、リング状に形成された金属の薄板であり、その外周縁が外側円筒部材66の内壁面に取り付けられる。一方、傾斜板86aの内周縁は外周縁よりも上方に位置し、傾斜板86aの内周縁と、内側円筒部材64の外壁面との間には隙間が設けられている。
【0056】
水供給パイプ88は内側円筒部材64の下端から燃料ガス供給流路20内に鉛直方向に延びるパイプであり、水流量調整ユニット28から供給された水蒸気改質用の水が、水供給パイプ88を介して蒸発部86に供給される。水供給パイプ88の上端は、傾斜板86aを貫通して傾斜板86aの上面側まで延び、傾斜板86aの上面側に供給された水は、傾斜板86aの上面と外側円筒部材66の内壁面の間に留まる。傾斜板86aの上面側に供給された水は、そこで蒸発され水蒸気が生成される。
【0057】
また、蒸発部86の下方には、原燃料ガスを燃料ガス供給流路20内に導入するための燃料ガス導入部が設けられている。燃料ブロア38から送られた原燃料ガスは、燃料ガス供給パイプ90を介して燃料ガス供給流路20に導入される。燃料ガス供給パイプ90は内側円筒部材64の下端から燃料ガス供給流路20内に鉛直方向に延びるパイプである。また、燃料ガス供給パイプ90の上端は、傾斜板86aよりも下方に位置している。燃料ブロア38から送られた原燃料ガスは、傾斜板86aの下側に導入され、傾斜板86aの傾斜により流路を絞られながら傾斜板86aの上側へ上昇する。傾斜板86aの上側へ上昇した原燃料ガスは、蒸発部86で生成された水蒸気と共に上昇する。
【0058】
燃料ガス供給流路20内の蒸発部86上方には、燃料ガス供給流路隔壁92が設けられている。燃料ガス供給流路隔壁92は、外側円筒部材66の内周と中間円筒部材65の外周の間の円環状の空間を上下に隔てるように設けられた円環状の金属板である。この燃料ガス供給流路隔壁92の円周上には等間隔に複数の噴射口92aが設けられており、これらの噴射口92aにより燃料ガス供給流路隔壁92の上側の空間と下側の空間が連通されている。燃料ガス供給パイプ90から導入された原燃料ガス及び蒸発部86で生成された水蒸気は、一旦、燃料ガス供給流路隔壁92の下側の空間に滞留した後、各噴射口92aを通って燃料ガス供給流路隔壁92の上側の空間に噴射される。各噴射口92aから燃料ガス供給流路隔壁92の上側の広い空間に噴射されると、原燃料ガス及び水蒸気は急激に減速され、ここで十分に混合される。
【0059】
さらに、中間円筒部材65の内周と内側円筒部材64の外周の間の、円環状の空間の上部には、改質部94が設けられている。改質部94は、各燃料電池セル16の上部と、その上方の排気集約室18の周囲を取り囲むように配置されている。改質部94は、内側円筒部材64の外壁面に取り付けられた触媒保持板(図示せず)と、これにより保持された改質触媒96によって構成されている。
【0060】
このように、改質部94内に充填された改質触媒96に、燃料ガス供給流路隔壁92の上側の空間で混合された原燃料ガス及び水蒸気が接触すると、改質部94内においては、式(1)に示す水蒸気改質反応SRが進行する。
C
mH
n+xH
2O → aCO
2+bCO+cH
2 (1)
【0061】
改質部94において改質された燃料ガスは、中間円筒部材65の内周と内側円筒部材64の外周の間の空間を下方に流れ、燃料ガス分散室76に流入して、各燃料電池セル16に供給される。水蒸気改質反応SRは吸熱反応であるが、反応に要する熱は、排気集約室18から流出するオフガスの燃焼熱、及び各燃料電池セル16において発生する発熱により供給される。
【0062】
次に、
図6を参照して、燃料電池セル16について説明する。
本発明の実施形態による固体酸化物型燃料電池装置1においては、燃料電池セル16として、固体酸化物を用いた円筒横縞型セルが採用されている。各燃料電池セル16上には、複数の単セル16aが横縞状に形成されており、これらが電気的に直列に接続されることにより1本の燃料電池セル16が構成されている。各燃料電池セル16は、その一端がアノード(陽極)、他端がカソード(陰極)となるように構成され、複数の燃料電池セル16のうちの半数は上端がアノード、下端がカソードとなるように配置され、残りの半数は上端がカソード、下端がアノードとなるように配置されている。
【0063】
図6(a)は、下端がカソードにされている燃料電池セル16の下端部を拡大して示す断面図であり、
図6(b)は、下端がアノードにされている燃料電池セル16の下端部を拡大して示す断面図である。
【0064】
図6に示すように、燃料電池セル16は、細長い円筒状の多孔質支持体97と、この多孔質支持体97の外側に横縞状に形成された複数の層から形成されている。多孔質支持体97の周囲には、内側から順に、燃料極層98、反応抑制層99、固体電解質層100、空気極層101が夫々横縞状に形成されている。このため、燃料ガス分散室76を介して供給された燃料ガスは、各燃料電池セル16の多孔質支持体97の内部を流れ、酸化剤ガス噴射用パイプ74から噴射された空気は、空気極層101の外側を流れる。燃料電池セル16上に形成された各単セル16aは、一組の燃料極層98、反応抑制層99、固体電解質層100、及び空気極層101から構成されている。1つの単セル16aの燃料極層98は、インターコネクタ層102を介して、隣接する単セル16aの空気極層101に電気的に接続されている。これにより、1本の燃料電池セル16上に形成された複数の単セル16aが、電気的に直列に接続される。
【0065】
図6(a)に示すように、燃料電池セル16のカソード側端部には、多孔質支持体97の外周に電極層103aが形成され、この電極層103aの外側にリード膜層104aが形成されている。カソード側端部においては、端部に位置する単セル16aの空気極層101と電極層103aが、インターコネクタ層102により電気的に接続されている。これらの電極層103a及びリード膜層104aは、燃料電池セル16端部において第1固定部材63を貫通し、第1固定部材63よりも下方に突出するように形成されている。電極層103aは、リード膜層104aよりも下方まで形成されており、外部に露出された電極層103aに集電体82が電気的に接続されている。これにより、端部に位置する単セル16aの空気極層101がインターコネクタ層102、電極層103aを介して集電体82に接続され、図中の矢印のように電流が流れる。また、第1固定部材63の挿通穴63aの縁とリード膜層104aの間の隙間には、セラミック接着剤が充填されており、燃料電池セル16は、リード膜層104aの外周で第1固定部材63に固定される。
【0066】
図6(b)に示すように、燃料電池セル16のアノード側端部においては、端部に位置する単セル16aの燃料極層98が延長されており、燃料極層98の延長部が電極層103bとして機能する。電極層103bの外側にはリード膜層104bが形成されている。これらの電極層103b及びリード膜層104bは、燃料電池セル16端部において第1固定部材63を貫通し、第1固定部材63よりも下方に突出するように形成されている。電極層103bは、リード膜層104bよりも下方まで形成されており、外部に露出された電極層103bに集電体82が電気的に接続されている。これにより、端部に位置する単セル16aの燃料極層98が、一体的に形成された電極層103bを介して集電体82に接続され、図中の矢印のように電流が流れる。また、第1固定部材63の挿通穴63aの縁とリード膜層104bの間の隙間には、セラミック接着剤が充填されており、燃料電池セル16は、リード膜層104bの外周で第1固定部材63に固定される。
【0067】
図6(a)(b)においては、各燃料電池セル16の下端部の構成を説明したが、各燃料電池セル16の上端部における構成も同様である。なお、上端部においては、各燃料電池セル16は、排気集約室18の集約室下部材18bに固定されているが、固定部分の構成は下端部における第1固定部材63に対する固定と同様である。
【0068】
次に、多孔質支持体97及び各層の構成を説明する。
多孔質支持体97は、本実施形態においては、フォルステライト粉末、及びバインダーの混合物を押し出し成形し、焼結することにより形成されている。
燃料極層98は、本実施形態においては、NiO粉末及び10YSZ(10mol%Y
2O
3−90mol%ZrO
2)粉末の混合物により構成された導電性の薄膜である。
【0069】
反応抑制層99は、本実施形態においては、セリウム系複合酸化物(LDC40。すなわち、40mol%のLa
2O
3−60mol%のCeO
2)等により構成された薄膜であり、これにより、燃料極層98と固体電解質層100の間の化学反応を抑制している。
固体電解質層100は、本実施形態においては、La
0.9Sr
0.1Ga
0.8Mg
0.2O
3の組成のLSGM粉末により構成された薄膜である。この固体電解質層100を介して酸化物イオンと水素又は一酸化炭素が反応することにより電気エネルギーが生成される。
【0070】
空気極層101は、本実施形態においては、La
0.6Sr
0.4Co
0.8Fe
0.2O
3の組成の粉末により構成された導電性の薄膜である。
インターコネクタ層102は、本実施形態においては、SLT(ランタンドープストロンチウムチタネート)により構成された導電性の薄膜である。燃料電池セル16上の隣接する単セル16aはインターコネクタ層102を介して接続される。
電極層103a、103bは、本実施形態においては、燃料極層98と同一の材料で形成されている。
リード膜層104a、104bは、本実施形態においては、固体電解質層100と同一の材料で形成されている。
【0071】
次に、
図1及び
図2を参照して、固体酸化物型燃料電池装置1の作用を説明する。
まず、固体酸化物型燃料電池装置1の起動工程において、燃料ブロア38が起動され、燃料の供給が開始されると共に、シースヒーター61への通電が開始される。シースヒーター61への通電が開始されることにより、その上方に配置された燃焼触媒60が加熱されると共に、内側に配置された蒸発部86も加熱される。燃料ブロア38により供給された燃料は、脱硫器36、熱交換器34、電磁弁35を介して、燃料ガス供給パイプ90から燃料電池セル収容容器8の内部に流入する。流入した燃料は、燃料ガス供給流路20内を上端まで上昇した後、改質部94内を下降し、内側円筒部材64の下部に設けられた小穴64bを通って燃料ガス分散室76に流入する。なお、固体酸化物型燃料電池装置1の起動直後においては、改質部94内の改質触媒96の温度が十分に上昇していないため、燃料の改質は行われない。
【0072】
燃料ガス分散室76に流入した燃料ガスは、燃料ガス分散室76の第1固定部材63に取り付けられた各燃料電池セル16の内側(燃料極側)を通って排気集約室18に流入する。なお、固体酸化物型燃料電池装置1の起動直後においては、各燃料電池セル16の温度が十分に上昇しておらず、また、インバータ54への電力の取り出しも行われていないため、発電反応は発生しない。
【0073】
排気集約室18に流入した燃料は、排気集約室18の噴出口18dから噴出される。噴出口18dから噴出された燃料は、点火ヒーター62により点火され、そこで燃焼される。この燃焼により、排気集約室18の周囲に配置された改質部94が加熱される。また、燃焼により生成された排気ガスは、内側円筒部材64の上部に設けられた小穴64aを通って排ガス排出流路21に流入する。高温の排気ガスは、排ガス排出流路21内を下降し、その内側に設けられた燃料ガス供給流路20を流れる燃料、外側に設けられた酸化剤ガス供給流路22内を流れる発電用の空気を加熱する。さらに、排気ガスは、排ガス排出流路21内に配置された燃焼触媒60を通ることにより一酸化炭素が除去され、排ガス排出パイプ58を通って燃料電池セル収容容器8から排出される。
【0074】
排気ガス及びシースヒーター61により蒸発部86が加熱されると、蒸発部86に供給された水蒸気改質用の水が蒸発され、水蒸気が生成される。水蒸気改質用の水は、水流量調整ユニット28により、水供給パイプ88を介して燃料電池セル収容容器8内の蒸発部86に供給される。蒸発部86で生成された水蒸気と、燃料ガス供給パイプ90を介して供給された燃料は、一旦、燃料ガス供給流路20内の燃料ガス供給流路隔壁92の下側の空間に滞留し、燃料ガス供給流路隔壁92に設けられた複数の噴射口92aから噴射される。噴射口92aから勢いよく噴射された燃料及び水蒸気は、燃料ガス供給流路隔壁92の上側の空間内で減速されることにより、十分に混合される。
【0075】
混合された燃料及び水蒸気は、燃料ガス供給流路20内を上昇し、改質部94に流入する。改質部94の改質触媒96が改質可能な温度まで上昇している状態においては、燃料及び水蒸気の混合ガスが改質部94を通過する際、水蒸気改質反応が発生し、混合ガスが水素を多く含む燃料に改質される。改質された燃料は、小穴64bを通って燃料ガス分散室76に流入する。小穴64bは燃料ガス分散室76の周囲に多数設けられ、燃料ガス分散室76として十分な容積が確保されているため、改質された燃料は、燃料ガス分散室76内に突出している各燃料電池セル16に均等に流入する。
【0076】
一方、空気流量調整ユニット45により供給された酸化剤ガスである空気は、酸化剤ガス導入パイプ56を介して酸化剤ガス供給流路22に流入する。酸化剤ガス供給流路22に流入した空気は、内側を流れる排気ガスにより加熱されながら酸化剤ガス供給流路22内を上昇する。酸化剤ガス供給流路22内を上昇した空気は、燃料電池セル収容容器8内の上端部で中央に集められ、酸化剤ガス供給流路22に連通された酸化剤ガス噴射用パイプ74に流入する。酸化剤ガス噴射用パイプ74に流入した空気は下端から発電室10内に噴射され、噴射された空気は第1固定部材63の上面に当たって発電室10内全体に広がる。発電室10内に流入した空気は、排気集約室18の外周壁と内側円筒部材64の内周壁の間の隙間、及び排気集約室18の内周壁と酸化剤ガス噴射用パイプ74の外周面の間の隙間を通って上昇する。
【0077】
この際、各燃料電池セル16の外側(空気極側)を通って流れる空気の一部は発電反応に利用される。また、排気集約室18の上方に上昇した空気の一部は、排気集約室18の噴出口18dから噴出する燃料の燃焼に利用される。燃焼により生成された排気ガス、及び発電、燃焼に利用されずに残った空気は、小穴64aを通って排ガス排出流路21に流入する。排ガス排出流路21に流入した排気ガス及び空気は、燃焼触媒60により一酸化炭素が除去された後、排出される。
【0078】
このように、各燃料電池セル16が発電可能な温度である650℃程度まで上昇し、各燃料電池セル16の内側(燃料極側)に改質された燃料が流れ、外側(空気極側)に空気が流れると、化学反応により起電力が発生する。この状態において、燃料電池セル収容容器8から引き出されているバスバー80にインバータ54が接続されると、各燃料電池セル16から電力が取り出され、発電が行われる。
【0079】
また、本実施形態の固体酸化物型燃料電池装置1においては、発電用の空気は、発電室10の中央に配置された酸化剤ガス噴射用パイプ74から噴射され、発電室10内を排気集約室18と内側円筒部材64の間の均等な隙間及び排気集約室18と酸化剤ガス噴射用パイプ74の間の均等な隙間を通って上昇する。このため、発電室10内の空気の流れは、ほぼ完全に軸対称の流れとなり、各燃料電池セル16の周囲には、ムラなく空気が流れる。これにより、各燃料電池セル16間の温度差が抑制され、各燃料電池セル16で均等な起電力を発生することができる。
【0080】
次に、
図7及び
図8を参照して、固体酸化物型燃料電池装置1の燃料ガス供給流路20の構成及び作用について詳細に説明する。
図7は固体酸化物型燃料電池装置1の燃料ガス供給流路20を示す断面図、
図8は燃料ガス供給流路20を説明する斜視図である。
【0081】
燃料電池セル16を収容するモジュールケースとしての筒状の内側円筒部材64と、その外側に同心円状に配置された外側円筒部材66とに挟まれて、略円環状の燃料ガス供給流路20が上下方向に延びるように形成されている。さらに、内側円筒部材64と外側円筒部材66の間に、これら流路形成部材と同心円状に中間円筒部材65が配置されることにより、燃料ガス供給流路20は、径方向外側と径方向内側にそれぞれ流路が形成されている。径方向外側の流路では流路方向は上向きであり、径方向内側の流路では流路方向は下向きである。
【0082】
図7に示されているように、燃料ガス供給流路20は、上流側から気化混合室20a,減速流路20b,改質触媒保持部20c,改質後流路20dを有する。
気化混合室20aは、内側円筒部材64,中間円筒部材65,外側円筒部材66,中間円筒部材65の円環状の底部材65a,外側円筒部材66の円環状の下部材66b,及び円環状の金属板である燃料ガス供給流路隔壁92で囲まれた略円環状の圧力室である。気化混合室20aと減速流路20bは燃料ガス供給流路隔壁92で仕切られている。燃料ガス供給流路隔壁92には、噴射ポートである複数(本例では12個)の噴射口92aが、燃料ガス供給流路隔壁92の周方向に等間隔に形成されている。
【0083】
気化混合室20aは、円環状の金属板である隔壁91によって、下側の第1圧力室20aaと、上側の第2圧力室20abとに仕切られている。隔壁91には、分散ポートである複数(本例では12個)の噴射口91aが、隔壁91の周方向に等間隔に形成されている。燃料ガス供給パイプ90を介して外部から燃料ガス供給室である第1圧力室20aa内に供給された原燃料ガスは、第1圧力室20aa内で周方向に拡がり、噴出口91aを通って第2圧力室20ab内に噴射される。この噴射により、原燃料ガスは、第2圧力室20ab内で周方向に略均等に分散され、後に水蒸気と混合し易くなる。
なお、複数の燃料ガス供給パイプ90を環状の第1圧力室20aaに対して周方向に均等な間隔で配置することが好ましい。このように構成することにより、第1圧力室20aa内での原燃料ガスの分布を周方向により均一にすることができ、噴射口91aを通して第2圧力室20abに周方向に略均一に原燃料ガスを供給することが可能となる。
【0084】
第2圧力室20ab内では、外側円筒部材66の内周面から径方向内側へ向けて斜め上方へ延びる傾斜板86aによって、内側円筒部材64と外側円筒部材66との間の流路が狭められている。さらに狭められた流路の上方に内側円筒部材64の外周面から中間円筒部材65の底部材65aが張り出して流路の上方を遮っている。したがって、噴射口91aを通って気化混合室20b内へ噴射された原燃料ガスは、傾斜版86aと内側円筒部材64の間の狭められた流路に向けて誘導される。傾斜版86aと内側円筒部材64の間の流路を通過して上方へ向かう原燃料ガスは、底部材65aによって、径方向外側へ向かうように流れの向きが変更され、側方へ向けて噴出される。
【0085】
一方、蒸発部86は、水供給パイプ88から供給された水を気化して水蒸気を生成し、上方へ供給する。その際、第2圧力室20abは、水の気化膨張により圧力が高められる。第2圧力室20abは、下側,上側にそれぞれ隔壁91,燃料ガス供給流路隔壁92が配置されているので、水の気化膨張圧によって上昇した室内の圧力を高圧に保持することができる。
【0086】
底部材65aによって流れの方向を水平方向に変更された原燃料ガスは、蒸発器86の上方で、上方へ向かう水蒸気の流れに対して側方から噴出され、水蒸気に対して混合される。これにより、原燃料ガスと水蒸気の混合性が高められる。傾斜板86a及び底部材65aは、噴射口92aに向かう水蒸気の流れに対して、原燃料ガスを側方から噴出させるための燃料ガス供給機構として機能する。その後、混合性が高められた原燃料ガスと水蒸気の混合ガスは、上方へ向かって流れ、噴射口92aを通って流速を高められて減速流路20b内に噴射される。
なお、複数の水供給パイプ88を環状の蒸発部86に対して周方向に均等な間隔で配置することが好ましい。このように構成することにより、第2圧力室20ab内での水蒸気の圧力分布を周方向により均一にすることができ、噴射口92aからの加速噴流の圧力のバラつきを小さくすることが可能となる。
【0087】
減速流路20bは、中間円筒部材65と外側円筒部材66に挟まれ、燃料ガス供給流路隔壁92から上方へ延びる円環状の空間であり、最上部に外側円筒部材66の円環状の上部材66cが設けられ、流路が上方から下方へと折り返されている。
図8に示すように、噴射口92aから上方へ向けて噴射された混合ガスの加速噴流は、減速流路20b内で周方向に広がるように略扇形の噴射パターンAを形成する。混合ガスの加速噴流は、噴射口92aで最も流速が大きく、上方へ移動する距離が長くなるに伴って重力や周囲流体から受ける抗力等の影響により流速が小さくなると共に、噴射パターンAに従って周方向に広がる。
【0088】
そして、周方向に広がった噴射流は、減速流路20bの最上部にある衝突壁としての上部材66cに対して減速しながら衝突する。上部材66cと衝突した噴射流は、流れの向きが変更されると共に周方向に分散され、分散性が高められた状態で改質触媒保持部20cに配置された改質部94の入口94aに誘導される。
【0089】
本実施形態のように、発電室10を形成する内側円筒部材64の外周面に沿って燃料ガス供給流路20を形成すると、発電室10内の温度分布にムラがあると、減速流路20bのうち、発電室10の局所的高温領域に対応する部分に混合ガスが流れやすくなり、燃料ガス供給流路20を通過中に混合ガスにムラが生じるおそれがある。しかしながら、本実施形態では、混合ガスは、噴射口92aから速度を高められた状態で改質部94に向けて噴射されるので、内側円筒部材64を挟んで隣接している発電室10内の温度分布のムラによる影響をほとんど受けることなく、減速流路20bを通過することができる。
【0090】
本実施形態では、隣接する噴射パターンAが上部材66cの位置において一部が重なるか、周方向に隙間を空けないように隣接する。すなわち、上部材66cが全周にわたって少なくとも1つの噴射口92aからの噴射流によって混合ガスを受けるように、減速流路20bの上下方向の流路長さ、噴射口92aの配置間隔,噴射口92aでの加速噴流の広がり角度,噴射口92aでの噴射圧等が設定されている。
図8では、噴射パターンAの上部材66cの位置での周方向の拡がり幅が、噴射口92aの配置間隔と同じか、それよりも大きく設定されている。このような噴射パターンAを有することにより、混合ガスは、改質触媒96に対して周方向に略均等に分散して供給される。
【0091】
本実施形態では、噴射口92aの個数と噴射口91aの個数は同数であるが、噴射口92a及び噴射口91aは互いに周方向の位置をずらして配置されている(
図8参照)。すなわち、隣接する噴射口92aの周方向の中央に位置するように噴射口91aが設けられている。このように構成することにより、噴射口91aを通過した原燃料ガスが噴射口92aに到達するまでの距離が長くなるので、原燃料ガスと水蒸気との混合性をより高めることができる。なお、噴射口92aの個数と噴射口91aの個数は同数でなくてもよく、また、位置が周方向にずれていなくてもよい。
【0092】
衝突壁である上部材66cは、中間円筒部材65と内側円筒部材64の間に設けられた改質触媒保持部20cへの入口94aの手前に配置されているため、上部材66cに衝突した混合ガスは、周方向に分散して、より混合した状態で、改質部94の入口94aに導入される。混合ガスは、改質触媒96により水蒸気改質された後、改質後流路20dを通って、燃料ガス供給流路20の最下流に設けられた小穴64dを通過して燃料ガス分散室76に流入する。
【0093】
まず、本実施形態においては、筒状の内側円筒部材64の外周面に沿って上下方向に延びる環状の燃料ガス供給流路20において、混合ガスを気化混合室20aから改質部94へ向けて上方へ加速した高速な流れとして供給するように構成している。これにより、燃料ガス供給流路20を流れる混合ガスに対する内側円筒部材64の温度ムラの影響を大幅に低減することができる。
次に、本実施形態では、気化混合室20aにおいて、気化膨張させた水蒸気と原燃料ガスとを予め混合し、混合性を高めたうえで、混合ガスを加速噴射するように構成している。さらに、本実施形態では、混合ガスの加速噴流が改質部94の手前で減速し、分散するように構成している。本実施形態では、気化膨張圧力,加速噴流の減速及び分散をさらに利用することによって、混合ガスの良好な混合性及び改質部94全体への略均等な分散性を有する優れた燃料供給形態を備えた燃料電池装置1を提供することができる。
【0094】
内側円筒部材64の温度ムラの影響を受けずに、1本の加速噴流を拡げて混合ガスを改質部94に対して十分に分散させるには限度がある。このため、本実施形態では、混合ガスを改質部94の入口94aへ向けて加速噴射させる噴射口92aを複数設けることにより、複数本の加速噴流によって、内側円筒部材64の温度ムラの影響を受けることなく混合ガスを改質部94に対して十分に分散させるように構成している。
【0095】
また、本実施形態では、複数の噴射口92aから加速噴射された混合ガスの加速噴流が、互いに隣接する噴射口92aから噴射された加速噴流と広がり方向において隣接するか又は一部が重なるため、途切れることなく連続した広がり方向の範囲で混合ガスを改質部94に対して供給することができる。
【0096】
また、本実施形態では、噴射口92aを均等間隔で配置することにより、改質部94に対してより均一に混合ガスを供給することができる。
また、本実施形態では、加速噴流は流れを阻害されることなく減速流路20bを通過できるので、減速流路20bにおいて混合ガスに対する内側円筒部材64の温度ムラの影響をより小さくすることができる。
【0097】
また、本実施形態では、減速流路20bの下流側に設けられた衝突壁である上部材66cに混合ガスの加速噴流が衝突することにより、混合ガスの分散性がより高められるので、分散性が高められた混合ガスにより、改質部94に対してより均一に混合ガスを供給することができる。
また、本実施形態では、複数の水供給パイプ88を離間して気化混合室20a内に配置することにより、生成された水蒸気の気化混合室20a内での圧力分布の変化を小さくすることができるので、気化混合室20aから噴射される複数の加速噴流の圧力のバラツキを小さくすることが可能となる。
また、本実施形態では、複数の水供給パイプ88を気化混合室20a内に均等間隔に配置することにより、水蒸気の気化混合室20a内での圧力分布の変化をより小さくして、複数の加速噴流の圧力のバラツキをより小さくすることが可能となる。
【0098】
また、本実施形態では、複数の燃料ガス供給パイプ90を離間して気化混合室20a内に配置することにより、気化混合室20a内での原燃料ガスの分布をより均一にすることができるので、気化混合室20a内での混合性をより良好にすることが可能となる。
また、本実施形態では、水蒸気の流れに対して、原燃料ガスを側方から噴出させて合流させることにより、水蒸気と原燃料ガスの混合性をより高めたうえで、減速流路20bに向けて混合ガスを噴射することができる。
【0099】
また、本実施形態では、予め原燃料ガスを分散ポートである噴射口91aを通して分散させた後、水蒸気に対して原燃料ガスを混合させることによって、より混合性を高めることができる。
また、本実施形態では、原燃料ガスを分散する噴射口91aと、混合ガスを噴射する噴射口92aとが、周方向において位置がずれているので、気化混合室20a内で噴射口91aから噴射口92aまでの原燃料の移動距離を長くして、より混合性を高めることができる。
【0100】
次に、
図9を参照して変形例を説明する。本変形例は、気化混合室20aがさらに集約ポートを備えた構成である。すなわち、本変形例では、燃料ガス供給機構と噴射ポートとの間に燃料ガスと水蒸気とを集約する集約ポートを備えている。なお、他の構成は、前述した実施形態と同じであるため、重複する説明は省略する。
【0101】
本変形例では、燃料ガス供給機構と噴射口92a(噴射ポート)との間に、1つの噴射口93a(集約ポート)を有する環状の隔壁93が配置されている。噴射口93aは、水供給パイプ88(水供給ポート)や燃料ガス供給パイプ90(燃料供給ポート)とは周方向で離れた位置に配置することが好ましい。例えば、水供給パイプ88が1つのみ配置されている場合は、噴射口93aは水供給パイプ88に対して180度反対の位置に配置され、水供給パイプ88が2つ配置されている場合は、噴射口93aは2つの水供給パイプ88に対して周方向の中間位置に配置される。また、水供給パイプ88と燃料ガス供給パイプ90が周方向で同じ角度位置に配置される場合は、噴射口93aはこれらに対して180度反対の位置に配置される。これにより、水供給パイプ88の出口及び燃料ガス供給パイプ90の出口から噴射口93aまでの距離を長く設定することができるので、燃料ガス供給機構において水蒸気の流れに対して側方から原燃料ガスを噴出させて水蒸気及び原燃料ガスを合流させた後に、さらに混合ガスの混合性を高めることができる。
【0102】
混合ガスは、燃料ガス供給機構側から1つの噴射口93aに至るまでの間に徐々に集約され、最終的に噴射口93aで集約され、噴射口92a側へ流出されることにより混合性が高められる。その後、混合ガスは、噴射口92aから減速流路20bに噴射される前に、噴射口93aから噴射口92aまでの間においても、1つの噴射口93aから複数の噴射口92aに向けて分散しながら移動し、混合がさらに促進される。このため、噴射口92aから噴射される前により混合性を高めることができる。
【0103】
噴射口93aから流出された混合ガスを、燃料ガス供給流路隔壁92の周方向全域に渡って均等間隔に配置された複数の噴射口92aに向けて分散させることによって混合ガスの混合性を高めるため、噴射口93aは、隔壁93の一部の領域に設ければよい。これにより、隔壁93の一部の領域から燃料ガス供給流路隔壁92の周方向全域に渡って混合ガスが分散し、混合ガスの混合が促進される。したがって、一部の領域内であれば噴射口93aの数は1つに限らず、複数設けられていてもよい。
また、噴射口93aを設ける隔壁93の一部の領域は、混合性を向上させるために、水供給ポートや燃料ガス供給ポートからの距離が遠くなる位置、すなわち水供給ポートや燃料ガス供給ポートとは周方向の反対の位置に設定することが好ましい。