特許第6253087号(P6253087)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6253087
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】使い捨てのパンツ型おむつ
(51)【国際特許分類】
   A61F 13/49 20060101AFI20171218BHJP
   A61F 13/51 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   A61F13/49 413
   A61F13/51
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-205644(P2013-205644)
(22)【出願日】2013年9月30日
(65)【公開番号】特開2015-66356(P2015-66356A)
(43)【公開日】2015年4月13日
【審査請求日】2016年2月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100066267
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 吉治
(74)【復代理人】
【識別番号】100186990
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134072
【弁理士】
【氏名又は名称】白浜 秀二
(72)【発明者】
【氏名】栗田 典之
(72)【発明者】
【氏名】向井 敬智
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/065620(WO,A1)
【文献】 特開2011−115229(JP,A)
【文献】 特開2013−031536(JP,A)
【文献】 特開2008−043674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15 − 13/84
A61L 15/16 − 15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前胴回り域を形成する前パネルと、後胴回り域を形成する後パネルと、股下域を形成し体液吸収性の芯材を含む股下パネルとを有する使い捨てのパンツ型おむつであって、
前記後パネルは、前記おむつの横方向において、両側部それぞれが前記前パネルの両側部それぞれに接合するとともに、前記おむつの上下方向において、前記前パネルよりもさらに下方へ延びていて前記横方向へ伸長状態で延びる糸状の弾性部材を含むことのない臀部カバー部を有し、
前記上下方向において、前記股下パネルは、前記芯材の質量が前記前パネルと前記臀部カバー部とによって支えられるように前端部が前記前パネルに接合し後端部が前記臀部カバー部に接合し、
前記後パネルは、前記両側部が前記前パネルに接合している主要部と前記臀部カバー部とを有し、前記弾性部材を挟んで前記おむつの内側と外側とにあって前記主要部を形成しているシート片のうちの前記内側または前記外側にある前記シート片が前記下方へ延びることによって前記臀部カバー部を形成し、
前記おむつの前記上下方向において、前記股下パネルは前記臀部カバー部に接合している前記後端部を越えて前記上方向へ延びていて、前記臀部カバー部に接合する下方接合部と前記主要部に接合する上方接合部とを有し、前記後パネル上における前記下方接合部と前記上方接合部との離間距離よりも、前記股下パネル上における前記下方接合部と前記上方接合部との離間距離の方が長くて前記股下パネルの前記下方接合部と前記上方接合部との間にはたるみが生じていることを特徴とするおむつ。
【請求項2】
前胴回り域を形成する前パネルと、後胴回り域を形成する後パネルと、股下域を形成し体液吸収性の芯材を含む股下パネルとを有する使い捨てのパンツ型おむつであって、
前記後パネルは、前記おむつの横方向において、両側部それぞれが前記前パネルの両側部それぞれに接合するとともに、前記おむつの上下方向において、前記前パネルよりもさらに下方へ延びていて前記横方向へ伸長状態で延びる糸状の弾性部材を含むことのない臀部カバー部を有し、
前記上下方向において、前記股下パネルは、前記芯材の質量が前記前パネルと前記臀部カバー部とによって支えられるように前端部が前記前パネルに接合し後端部が前記臀部カバー部に接合し、
前記後パネルは、前記両側部が前記前パネルに接合している主要部と前記臀部カバー部とを有し、
前記主要部は、前記臀部カバー部を形成しているシート片と重なる部位に前記横方向へ伸長された状態の前記弾性部材を有し、
前記おむつの前記上下方向において、前記股下パネルは前記臀部カバー部に接合している前記後端部を越えて前記上方向へ延びていて、前記臀部カバー部に接合する下方接合部と前記主要部に接合する上方接合部とを有し、前記後パネル上における前記下方接合部と前記上方接合部との離間距離よりも、前記股下パネル上における前記下方接合部と前記上方接合部との離間距離の方が長くて前記股下パネルの前記下方接合部と前記上方接合部との間にはたるみが生じていることを特徴とするおむつ。
【請求項3】
前記シート片が不織布、プラスチックフィルムおよび不織布とプラスチックフィルムとの積層シートのいずれかで形成されている請求項1または2に記載のおむつ。
【請求項4】
前記後パネルは前記両側部が前記前パネルに接合している前記主要部と前記臀部カバー部とを有し、前記主要部とは別体である不織布、プラスチックフィルムおよび不織布とプラスチックフィルムとの積層シートのいずれかのシート片が前記主要部に接合することにより前記臀部カバー部を形成している請求項2に記載のおむつ。
【請求項5】
前記臀部カバー部は、前記主要部の前記両側部に届くように前記横方向へ延びている請求項1〜4のいずれかに記載のおむつ。
【請求項6】
前記臀部カバー部は、前記後パネルの前記両側部間の寸法を二等分する中心線を挟んで離間対向するように二分されている請求項1〜5のいずれかに記載のおむつ。
【請求項7】
前記臀部カバー部が弾性的な伸長性を有するシート片によって形成されている請求項1〜6のいずれかに記載のおむつ。
【請求項8】
前記股下パネルは前記横方向の両側部分に防漏堤を有し、前記防漏堤は前記前パネルから前記股下域を経て前記後パネルにまで延びていて、前記前パネルに重なる前端部と前記後パネルに重なる後端部とを有し、前記後端部は、前記おむつの前記上下方向において、前記臀部カバー部の下端縁よりも上方で前記股下パネルの内面および前記後パネルの内面のいずれかに固定されている請求項1〜7のいずれかに記載のおむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、使い捨てのパンツ型おむつに関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨てのパンツ型おむつの前胴回り域を形成している前パネルと後胴回り域を形成している後パネルと股下域を形成している股下パネルとを有するものは、周知でもあり公知でもある。また、おむつの上下方向において、後パネルが前パネルよりも下方に向かって長く延びていて、その長く延びている部分がおむつ着用者の臀部の一部分を覆う臀部カバー部として使用されているものも周知であり公知でもある。
【0003】
例えば、特表2008−508082号公報(特許文献1)に記載の使い捨てプルオン衣類の一例はプルオンおむつであって、そのおむつは環状弾性ベルトを有し、その環状弾性ベルトが前ベルト部分と後ベルト部分とを備えている。後ベルト部分におけるサイドパネルの縦方向の長さは、前ベルト部分の対応するサイドパネルの縦方向の長さよりも長くなるように作られている。前ベルト部分と後ベルト部分との間には吸収性コアを含む矩形の吸収性本体が延びていて、吸収体本体の両端部それぞれは、前ベルト部分と後ベルト部分とに取り付けられている。後ベルト部分は、吸収性本体の両側に臀部カバーを形成している。臀部カバーは、おむつの横方向へ伸長状態で延びる弾性部材を含んでいる。
【0004】
特開2008−161572号公報(特許文献2)に記載の紙おむつはパンツ型のものであって、腹側外装シートと背側外装シートとを有し、背側から股間部を通り腹側までを覆う吸収性本体の前端部が腹側外装シートの幅方向中央部内面に連結され、後端部が背側外装シートの幅方向中央部内面に接合されている。背側外装シートは本体部と、本体部の下側に延出する延出部とを有している。延出部は、吸収性本体と重なる幅方向中央部と、中央部の両側から延出している臀部カバー部とを有する。臀部カバー部には、おむつの横方向へ延びる複数条の弾性部材が伸長状態で取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2008−508082号公報
【特許文献2】特開2008−161572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の使い捨てのパンツ型おむつでは、臀部カバー部に対しておむつ横方向へ延びる複数条の弾性部材を伸長状態で取り付けることによって、おむつが着用状態にあるときの臀部カバー部を横方向に収縮させ、多数のギャザーが横方向に並ぶものに仕立てている。その臀部カバー部の外観は、通常であれば横方向に並ぶギャザーの形成されることのない股下パネルの外観とは異質なものである。
【0007】
この発明が課題とするところは臀部カバー部にギャザーが形成されていることがないか、ギャザーが殆ど形成されることがなく、臀部カバー部と股下パネルとの外観を近似させることのできる使い捨てのパンツ型おむつの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、この発明が対象とするのは、前胴回り域を形成する前パネルと、後胴回り域を形成する後パネルと、股下域を形成し体液吸収性の芯材を含む股下パネルとを有する使い捨てのパンツ型おむつである。
【0009】
この使い捨てのパンツ型おむつの第1発明が特徴とするところは、以下のとおりである。前記後パネルは、前記おむつの横方向において、両側部それぞれが前記前パネルの両側部それぞれに接合するとともに、前記おむつの上下方向において、前記前パネルよりもさらに下方へ延びていて前記横方向へ伸長状態で延びる糸状の弾性部材を含むことのない臀部カバー部を有する。前記上下方向において、前記股下パネルは、前記芯材の質量が前記前パネルと前記臀部カバー部とによって支えられるように、前端部が前記前パネルに接合し後端部が前記臀部カバー部に接合し、前記後パネルは、前記両側部が前記前パネルに接合している主要部と前記臀部カバー部とを有し、前記弾性部材を挟んで前記おむつの内側と外側とにあって前記主要部を形成しているシート片のうちの前記内側または前記外側にある前記シート片が前記下方へ延びることによって前記臀部カバー部を形成し、前記おむつの前記上下方向において、前記股下パネルは前記臀部カバー部に接合している前記後端部を越えて前記上方向へ延びていて、前記臀部カバー部に接合する下方接合部と前記主要部に接合する上方接合部とを有し、前記後パネル上における前記下方接合部と前記上方接合部との離間距離よりも、前記股下パネル上における前記下方接合部と前記上方接合部との離間距離の方が長くて前記股下パネルの前記下方接合部と前記上方接合部との間にはたるみが生じている。
この使い捨てのパンツ型おむつの第2発明が特徴とするところは、以下のとおりである。前記後パネルは、前記おむつの横方向において、両側部それぞれが前記前パネルの両側部それぞれに接合するとともに、前記おむつの上下方向において、前記前パネルよりもさらに下方へ延びていて前記横方向へ伸長状態で延びる糸状の弾性部材を含むことのない臀部カバー部を有し、前記上下方向において、前記股下パネルは、前記芯材の質量が前記前パネルと前記臀部カバー部とによって支えられるように前端部が前記前パネルに接合し後端部が前記臀部カバー部に接合し、前記後パネルは、前記両側部が前記前パネルに接合している主要部と前記臀部カバー部とを有し、前記主要部は、前記臀部カバー部を形成しているシート片と重なる部位に前記横方向へ伸長された状態の前記弾性部材を有し、前記おむつの前記上下方向において、前記股下パネルは前記臀部カバー部に接合している前記後端部を越えて前記上方向へ延びていて、前記臀部カバー部に接合する下方接合部と前記主要部に接合する上方接合部とを有し、前記後パネル上における前記下方接合部と前記上方接合部との離間距離よりも、前記股下パネル上における前記下方接合部と前記上方接合部との離間距離の方が長くて前記股下パネルの前記下方接合部と前記上方接合部との間にはたるみが生じている。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係る使い捨てのパンツ型おむつの臀部カバー部は、横方向へ伸長状態で延びる弾性部材を含むことがないもので、おむつの上下方向において股下パネルの芯材の質量を前パネルとともに支えている。このような臀部カバー部は、それに含まれる弾性部材によっておむつの横方向へ並ぶギャザーが形成されるということがなく、また、股下パネルの芯材の質量支えることによって臀部カバー部にはそれを下方向へ引っ張る力が作用する。それゆえ、臀部カバー部の外観は、横方向へ並ぶギャザーの形成されていない股下パネルと同様に外面が滑らかなものになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図面は、この発明の特定の実施の形態を示し、発明の不可欠な構成ばかりでなく、選択的および好ましい実施の形態をも含む。
図1】この発明に係る使い捨てのパンツ型おむつの斜視図。
図2図1のおむつから得られる伸展おむつの部分破断平面図。
図3図2のIII−III線断面図。
図4】実施態様の一例を示す図2と同様な図。
図5】実施態様の一例を示す図4と同様な図。
図6】実施態様の一例を示す図4と同様な伸展おむつの部分図。
図7】実施態様の一例を示す図6と同様な図。
図8】実施態様の一例を示す図6と同様な図。
図9】実施態様の一例を示す図4と同様な図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付の図面を参照して、この発明に係る使い捨てのパンツ型おむつの詳細を説明すると、以下のとおりである。
【0013】
図1は、使い捨てのパンツ型おむつの一例であるおむつ10の斜視図である。おむつ10は、環状の弾性ウエストパネル11と、股下パネル12とを有する。弾性ウエストパネル11は、前胴回り域7を形成する前パネル13と、後胴回り域8を形成する後パネル14とを含んでいて、これら両パネル13,14が互いの両側縁部13a,14aにおいて重なり合い、後記縦方向Aに並ぶ多数の接合域15において接合している。前パネル13と後パネル14とによって胴回り開口16が画成され、これらパネル13,14と股下パネル12とによって一対の脚回り開口17が画成されている。股下パネル12は、その一部分が股下域9を形成している(図2参照)。図には、おむつ10の縦方向と横方向と前後方向とが双頭矢印A,B,Cで示されている。
【0014】
図2は、図1のおむつ10において、接合域15での前パネル13と後パネル14との接合を解いて、これらパネル13,14と股下パネル12とを平面状に伸展して得られる伸展おむつ10aの部分破断平面図である。
【0015】
伸展おむつ10aにおいて、前パネル13は、互いに重なり合う内面シート21と外面シート22との間に横方向Bへ互いに平行して伸長状態で延びる複数条の弾性部材23を介在させることにより形成されている。内面シート21と外面シート22とはホットメルト接着剤(図示せず)を介して互いに接合し、弾性部材23は内外面シート21,22のうちの少なくとも一方にホットメルト接着剤(図示せず)を介して接合している。前パネル13は、上端縁26と、下端縁27と、両側縁13bとを有し、上端縁26と下端縁27とが横方向Bに寸法Lを有している。両側縁部13bは、前後方向C(図1参照)に寸法Wを有している。
【0016】
後パネル14は、互いに重なり合う内面シート31と外面シート32との間に横方向Bへ互いに平行して伸長状態で延びる複数条の弾性部材33を介在させることにより形成された主要域35と、主要域35の下方にあって内面シート31と外面シート32とを含むが伸長状態の弾性部材33を含むことのない臀部カバー部40とを有する。内面シート31と外面シート32とはホットメルト接着剤(図示せず)を介して互いに接合し、弾性部材33は、内外面シート31,32のうちの少なくとも一方にホットメルト接着剤(図示せず)を介して接合している。後パネル14は、上端縁36と、下端縁37と、両側縁14bとを有し、上端縁36と下端縁37とが横方向Bに寸法Lを有している。両側縁14bは、前後方向Cに寸法Wを有している。寸法Lは前パネル13の寸法Lに等しい。寸法Wのうちで、主要域35の寸法はWであり、臀部カバー部40の寸法はWであって、寸法Wは前パネル13における寸法Wに等しい。したがって、図1のおむつ10の後パネル14は、寸法Wを有する主要域35が前パネル13と重なり合い、寸法Wを有する臀部カバー部40が前パネル13の下端縁27よりも下方に位置している。
【0017】
股下パネル12は、前端部41と後端部42とを有し、前端部41が前パネル13の内面にホットメルト接着剤43を介して接合している。後端部42は、後パネル14のうちの臀部カバー部40の内面にホットメルト接着剤44を介して接合している。股下パネル12はまた、前後方向Cへ延びる両側縁部46と、両側縁部46それぞれに沿って延びる一対の防漏堤47とを有する。防漏堤47は、側縁部46から伸展おむつ10aの中心線Pに向かって広がる下堤部分48と下堤部分48の内縁48aにおいて折り返されている上堤部分49を含み、上堤部分49には前後方向Cへ延びる弾性部材49aが伸長状態で取り付けられている(図3を併せて参照)。前パネル13において、下堤部分48は、ホットメルト接着剤51を介して股下パネル12の後記内面シート50に接合し、上堤部分49はホットメルト接着剤52を介して下堤部分48に接合している。ホットメルト接着剤51,52とのうちの少なくともホットメルト接着剤52は、ホットメルト接着剤43の塗布範囲のうちの下縁部分43aよりも縦方向Aの上方に位置するように、図2では前後方向Cの前方に位置するように塗布されている。後パネル14において、下堤部分48はホットメルト接着剤53を介して股下パネル12の内面シート50に接合し、上堤部分49はホットメルト接着剤54を介して下堤部分48に接合している。ホットメルト接着剤53と54とのうちの少なくともホットメルト接着剤54は、ホットメルト接着剤44の塗布範囲のうちの下縁部分44aよりも縦方向Aの上方に位置するように塗布されている。
【0018】
このように股下パネル12の後端部42は、防漏堤47を含めて、後パネル14の下端縁37よりも上方で後パネル14に固定されている。したがって、股下パネル12の後端部42のうちで防漏堤47の上堤部分49が下堤部分48に接合しているのは、下端縁37よりも上方に位置している部分の下堤部分48である。なお、防漏堤47は、上堤部分49の一部を後パネル14に接合したり、下堤部分48と上堤部分49とを後パネル14に接合したりすることができる。このような接合状態にある防漏堤47は、弾性ウエストパネル11を摘んでおむつ10を身体に沿って引き上げるときに、その弾性ウエストパネル11と一体になって引き上げられ易く、おむつ10は着用し易いものになる。
【0019】
図3は、図2における股下域9において股下パネル12を横断しているIII−III線断面図である。股下パネル12は、粉砕パルプや粉砕パルプと高吸水性ポリマー粒子との混合物等で形成された吸水性材料56をティッシュペーパ等の透液性シートで形成されたラッピングシート57で被覆したものである吸収体55と、透液性の不織布等で形成されていて吸収体55の表面のうちの少なくとも内面を被覆している内面シート50と、不透液性のプラスチックフィルム等で形成されていて吸収体55の外面を被覆している不透液性の防漏シート58と、肌触りのよい不織布等で形成されていて防漏シート58の外面を被覆している外装シート59とを有する。吸収体55はホットメルト接着剤(図示せず)を介して内面シート50と防漏シート58とに接合し、防漏シート58と外装シート59とはホットメルト接着剤61を介して接合している。内面シート50と防漏シート58とは、吸収体55の周縁から延出して互いに重なり合い、ホットメルト接着剤61を介して接合している。股下パネル12の側縁部46では、不織布で形成された防漏堤47の下堤部分48が外装シート59と重なり合い、ホットメルト接着剤61を介して互いに接合している。互いに接合している下堤部分48と外装シート59との間には、脚回り弾性部材62が介在し、前後方向Cへ伸長された状態で下堤部分48と外装シート59とのうちの少なくとも一方に接合している。おむつ10が図1の状態にあるときや着用状態にあるときの防漏堤47では、上堤部分49における弾性部材49aが収縮することにより、図2,3において折り重ねられた状態にある下堤部分48と上堤部分49とが図3に仮想線で示されているように図の上方に向かって、すなわちおむつ10の内側に向かって立ち上がり、体液の横漏れを防ぐように作用する。
【0020】
このように形成されているおむつ10が図1の状態や着用された状態にあるときには、前パネル13と後パネル14における主要域35とには、横方向Bへ延びる糸状の弾性部材23,33の収縮によって横方向Bへ並ぶギャザー66,67が生じる。しかし、後パネル14における臀部カバー部40は、伸長状態にある糸状の弾性部材を含まないことによってギャザーを生じることがない。但し、臀部カバー部40には、主要域35に生じたギャザーの影響で僅かな数のギャザーを生じることがある。また、臀部カバー部40には股下パネル12の後端部42が接合し、股下パネル12の質量は、前パネル13と臀部カバー部40とによって支えられている状態にあるから、臀部カバー部40には、それを縦方向Aの下方に向かって引っ張る力が作用している。このような状態にある臀部カバー部40の外観は、横方向Bへ並ぶギャザーが全く形成されていないか、殆ど形成されていない股下パネル12における股下域9の外観に近似しているから、互いに部分的に重なり合う臀部カバー部40と股下域9とは、後パネル14の下端部分を横方向Bの全体にわたって滑らかな外観にすることができる。
【0021】
おむつ10において、前パネル13と後パネル14とにおける内面シート21と外面シート22とには、1−7dtexの繊度を有する熱可塑性合成繊維で形成され、7−20g/mの単位面積当たりの質量を有する不織布、例えばスパンボンド不織布やスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布等を使用することができる。前パネル13と後パネル14とにおいて、内面シート21は同じ不織布で形成されていてもよいし、異なる不織布で形成されていてもよい。外面シート22も同じ不織布で形成されていてもよいし、異なる不織布で形成されていてもよい。内面シート21および/または外面シート22は、ウレタン弾性糸等の弾性糸を含み、弾性的に伸長可能なシートであってもよい。弾性部材23,33には、例えば500−700dtexのライクラ(登録商標)を2−3倍に伸長して使用することができる。
【0022】
股下パネル12において、内面シート50には、1−5dtexの繊度と、7−35g/mの単位面積当たりの質量とを有する熱可塑性合成繊維の不織布、例えばスパンボンド不織布やエアスルー不織布を、必要ならば親水化処理を施して使用することができる。外装シート59には、1−7dtexの繊度と10−30g/mの単位面積当たりの質量とを有する不織布、例えばスパンボンド不織布やスパンボンド−メルトブローン−スパンボンド不織布を使用することができる。防漏シート58には、例えば0.01−0.03mmの厚さを有するプラスチックフィルム、より好ましくは通気不透液性のプラスチックフィルムを使用することができる。弾性部材49a,62には、500−700dtexのライクラ(登録商標)を2−3倍に伸長して使用することができる。
【0023】
図1のおむつ10において、臀部カバー部40は、内面シート21と外面シート22とによって形成されているものであったが(図2参照)、臀部カバー部40は、内面シート21と外面シート22とのうちのいずれか一方のみで形成されていてもよいものである。また、内面シート21と外面シート22とが単位面積当たりの質量の異なるものである場合には、単位面積当たりの質量の大きい方のシートを主要域35から下方へ延出させて臀部カバー部40を形成することが好ましい。内面シート21および/または外面シート22は、2枚の不織布を重ね合わせた積層シートや不織布とプラスチックフィルムとを重ね合わせた積層シートで作ることのできるものであるが、臀部カバー部40もまた、そのような積層シートで作ることができる。
【0024】
図4は、図1のおむつ10とは異なる態様のものを得るための伸展おむつ10aの模式図である。ただし、図4において、股下パネル12における防漏堤47の図示は省略されている。この伸展おむつ10aでは、後パネル14における主要域35と臀部カバー部40とが別体の第1,第2部材71,72で形成されていて、第1,第2部材71,72が互いに重なり合う部位73において接着または溶着によって接合している。主要域35を形成している第1部材71は、図2の主要域35を形成している材料と同じ材料を使用したもので、第1部材71の構造は図2の主要域35の構造と同じである。臀部カバー部40は、図2の臀部カバー部40を形成している内面シート21や外面シート22と同じもので作ることができる他に、図2の内面シート21および外面シート22とは異なる厚さや単位面積当たりの質量を有する不織布で作ることもできる。また、図2の内面シート21や外面シート22において使用している熱可塑性合成樹脂とは種類の異なる熱可塑性合成樹脂を使用した不織布で作ることもできる。例えば、臀部カバー部40は、ウレタン弾性糸を含む弾性シートによって作ることもできる。臀部カバー部40が弾性シートで作られている場合のおむつ10では、包装された状態にあっても、着用された状態にあっても、臀部カバー部40には折り癖がつきにくく、おむつ10の外観を良好に保つことができる。図の臀部カバー部40は、図示の仮想線74に沿ってその一部分76を切り落とし、臀部カバー部40の形状を変えることができる。
【0025】
図5もまた、伸展おむつ10aの一例を示す図4と同様な図である。この伸展おむつ10aでは、第1部材71と第2部材72とが重なり合う部位73において、主要域35が弾性部材33を含んでいる。
【0026】
図6もまた、伸展おむつ10aの一例を示す模式図であるが、伸展おむつ10aはその一部分のみが示されている。図2,4の伸展おむつ10aにおいて、後パネル14における主要域35と臀部カバー部40とは、横方向Bの寸法が同じものであったが、図6の伸展おむつ10aでは、主要域35の横方向の寸法Lに比べて、臀部カバー部40の横方向の寸法Lが小さくなっている。臀部カバー部40は、カバーすべき臀部の大きさを考慮して、寸法Lを適宜の大きさにすることができる。
【0027】
図7もまた、伸展おむつ10aの一例を示す図7と同様な図である。この伸展おむつ10aは、臀部カバー部40が中心線Pを挟んで離間対向するように横方向において二分されていて、右臀部カバー部40と左臀部カバー部40とを有する。ここでいう右と左とは、おむつ10が着用されたときの着用者(図示せず)にとっての右と左とを意味している。股下パネル12は、右臀部カバー部40と左臀部カバー部40とにまたがるように形成されていて、右臀部カバー部40と左臀部カバー部40とに対してホットメルト接着剤44を介して接合する下方接合域77を有する。股下パネル12はまた、臀部カバー部40,40よりも上方へ延びる延長部79を有し、延長部79はその上端部分に形成された上方接合域81においてホットメルト接着剤44を介して主要域35に接合している。後パネル13上における下方接合域77と上方接合域81との離間距離Mに対して股下パネル12上における下方接合域77と上方接合域81との離間距離Mは大きく、股下パネル12の延長部79にはたるみが生じている。それゆえ、股下パネル12における吸収体55(図3参照)の質量は、図1のおむつ10と同様に前パネル13と臀部カバー部40とによって支えられる。延長部79にそのようなたるみを作るには、股下パネル12として、延長部79にZ字型の折り重ね部位を有し、その折り重ね部位が縦方向Aへ伸展可能であるものを使用すればよい。
【0028】
図8は、実施態様の一例を示す図7と同様な図であって、股下パネル12は下方接合域77と上方接合域81とを有するが、臀部カバー部40は、図4のそれと同様に作られていて、横方向Bの寸法Lが主要域35における寸法Lに同じである。図8の伸展おむつ10aから得られるおむつ10においても、吸収体(図3参照)の質量は臀部カバー部40と前パネル13とによって支えられる。
【0029】
図9もまた実施態様の一例を示す図4と同様な図である。ただし、図9における伸展おむつ10aでは、股下パネル12の外面の所要部位にメカニカルファスナのフック部材82が取り付けられる一方、前パネル13と臀部カバー部40の所要部位には、フック部材の相手方となるループ部材83が取り付けられている。股下パネル12は、これらの部材82,83を使用することによって、前パネル13と臀部カバー部40とに着脱することができる。
【0030】
以上に記載したこの発明に関する開示は、少なくとも下記事項に整理することができる。
【0031】
第1発明は、前胴回り域を形成する前パネルと、後胴回り域を形成する後パネルと、股下域を形成し体液吸収性の芯材を含む股下パネルとを有する使い捨てのパンツ型おむつであって、前記後パネルは、前記おむつの横方向において、両側部それぞれが前記前パネルの両側部それぞれに接合するとともに、前記おむつの上下方向において、前記前パネルよりもさらに下方へ延びていて前記横方向へ伸長状態で延びる糸状の弾性部材を含むことのない臀部カバー部を有し、前記上下方向において、前記股下パネルは、前記芯材の質量が前記前パネルと前記臀部カバー部とによって支えられるように前端部が前記前パネルに接合し後端部が前記臀部カバー部に接合し、前記後パネルは、前記両側部が前記前パネルに接合している主要部と前記臀部カバー部とを有し、前記弾性部材を挟んで前記おむつの内側と外側とにあって前記主要部を形成しているシート片のうちの前記内側または前記外側にある前記シート片が前記下方へ延びることによって前記臀部カバー部を形成し、前記おむつの前記上下方向において、前記股下パネルは前記臀部カバー部に接合している前記後端部を越えて前記上方向へ延びていて、前記臀部カバー部に接合する下方接合部と前記主要部に接合する上方接合部とを有し、前記後パネル上における前記下方接合部と前記上方接合部との離間距離よりも、前記股下パネル上における前記下方接合部と前記上方接合部との離間距離の方が長くて前記股下パネルの前記下方接合部と前記上方接合部との間にはたるみが生じている。
第2発明は、前胴回り域を形成する前パネルと、後胴回り域を形成する後パネルと、股下域を形成し体液吸収性の芯材を含む股下パネルとを有する使い捨てのパンツ型おむつであって、前記後パネルは、前記おむつの横方向において、両側部それぞれが前記前パネルの両側部それぞれに接合するとともに、前記おむつの上下方向において、前記前パネルよりもさらに下方へ延びていて前記横方向へ伸長状態で延びる糸状の弾性部材を含むことのない臀部カバー部を有し、前記上下方向において、前記股下パネルは、前記芯材の質量が前記前パネルと前記臀部カバー部とによって支えられるように前端部が前記前パネルに接合し後端部が前記臀部カバー部に接合し、前記後パネルは、前記両側部が前記前パネルに接合している主要部と前記臀部カバー部とを有し、前記主要部は、前記臀部カバー部を形成しているシート片と重なる部位に前記横方向へ伸長された状態の前記弾性部材を有し、前記おむつの前記上下方向において、前記股下パネルは前記臀部カバー部に接合している前記後端部を越えて前記上方向へ延びていて、前記臀部カバー部に接合する下方接合部と前記主要部に接合する上方接合部とを有し、前記後パネル上における前記下方接合部と前記上方接合部との離間距離よりも、前記股下パネル上における前記下方接合部と前記上方接合部との離間距離の方が長くて前記股下パネルの前記下方接合部と前記上方接合部との間にはたるみが生じている。
【0032】
上記の段落に開示したこの発明は、少なくとも下記の実施の形態を含むことができる。該実施の形態は、分離して又は互いに組み合わせて採択することができる。
)前記シート片が不織布、プラスチックフィルムおよび不織布とプラスチックフィルムとの積層シートのいずれかで形成されている。
)前記後パネルは前記両側部が前記前パネルに接合している前記主要部と前記臀部カバー部とを有し、前記主要部とは別体である不織布、プラスチックフィルムおよび不織布とプラスチックフィルムとの積層シートのいずれかのシート片が前記主要部に接合することにより前記臀部カバー部を形成している。
)前記臀部カバー部は、前記主要部の前記両側部に届くように前記横方向へ延びている。
)前記臀部カバー部は、前記後パネルの前記両側部間の寸法を二等分する中心線を挟んで離間対向するように二分されている。
)前記臀部カバー部が弾性的な伸長性を有するシート片によって形成されている。
)前記股下パネルは前記横方向の両側部分に防漏堤を有し、前記防漏堤は前記前パネルから前記股下域を経て前記後パネルにまで延びていて、前記前パネルに重なる前端部と前記後パネルに重なる後端部とを有し、前記後端部は、前記おむつの上下方向において、前記臀部カバー部の下端縁よりも上方で前記股下パネルの内面および前記後パネルの内面のいずれかに固定されている。
【符号の説明】
【0033】
7 前胴回り域
8 後胴回り域
9 股下域
10 パンツ型おむつ
12 股下パネル
13 前パネル
13a 側部
14 後パネル
14a 側部
33 弾性部材
35 主要部
37 下端縁
40 臀部カバー部
40,40 臀部カバー部
41 前端部
42 後端部
47 防漏堤
50 内面シート
55 芯材
77 下方接合域
81 上方接合域
A 縦方向
B 横方向
C 前後方向
,M 離間距離
P 中心線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9