特許第6253162号(P6253162)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6253162
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】骨伝導イヤホンおよびその組立方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/00 20060101AFI20171218BHJP
   H04R 1/10 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   H04R1/00 317
   H04R1/10 104Z
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-35064(P2015-35064)
(22)【出願日】2015年2月25日
(65)【公開番号】特開2016-158131(P2016-158131A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2017年1月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】515018220
【氏名又は名称】安達 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100081259
【弁理士】
【氏名又は名称】高山 道夫
(72)【発明者】
【氏名】安達 義雄
【審査官】 下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−166174(JP,A)
【文献】 特開2012−044245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00 − 1/08
H04R 1/10
H04R 25/00 − 25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性部材からなる袋状ケース(2)内の底部から上方の開口部(2a’)に向って振動子(6)、ダンパー(7)、コイル(8)、袋状ケース(2)の開口部(2a’)を塞ぐケース(4)が設けられ、かつ前記ケース(4)から前記コイル通電用のリード(3)が引き出され、通電による前記振動子(6)の振動は前記袋状ケース(2)を介し外部へ伝達されることを特徴とする骨伝導イヤホン。
【請求項2】
請求項1記載の骨伝導イヤホンにおいて、前記袋状ケース(2)、振動子(6)、コイル(8)、ケース(4)の中央部にそれぞれ連通する通気孔(5)が形成されていることを特徴とする骨伝導イヤホン。
【請求項3】
請求項1記載の骨伝導イヤホンにおいて、前記袋状ケース(2)の先端部(2e)は袋状ケース(2)の長さ方向に対し屈曲されていることを特徴とする骨伝導イヤホン。
【請求項4】
請求項1記載の骨伝導イヤホンにおいて、前記袋状ケース(2)の外周部には少なくとも一以上の弾性を有する椀状突出部(2A)が形成されていることを特徴とする骨伝導イヤホン。
【請求項5】
弾性部材からなる袋状ケース(2)内に、一方向から、振動子(6)およびダンパー(7)を詰め込み、かつコイル(8)を有し、リード(3)が導出された第1、第2のケース(9、10)からなる2分割構造のケース(4)からなる組立体を詰め込んで組立ることを特徴とする骨伝導イヤホンの組立方法。
【請求項6】
請求項5記載の骨伝導イヤホンの組立方法において、前記コイル(8)のコイル線(8d、8e)は前記ケース(4)を構成する第1のケース(9)の上面においてコンタクトピン(11)を介し前記リード(3)のリード線(3a、3b)と接続され、かつ前記コイル(8)は前記第1のケース(9)の筒部(9a’)に保持され、この第1のケース(9)に対し前記第2のケース(10)を被せ、超音波溶着により一体化することを特徴とする骨伝導イヤホンの組立方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、組立が極めて容易で、かつコストダウンを実現できる骨伝導イヤホンに関する。
【背景技術】
【0002】
イヤホンとしては、一般的に外耳道内に挿入して耳を塞ぐタイプの従来からあるイヤホンと、骨伝導タイプで同じく耳を塞ぐタイプのものと、これとは別に外耳道内に挿入しなくとも使用可能な骨伝導イヤホンとに大別される。
【0003】
前者のイヤホンとしては、例えば文献1(マグネチックイヤホンタイプ)、文献2(圧電型)のようなものがある。
【0004】
また、後者のイヤホンとしては、例えば文献3(いわゆる外椀型)のようなものがある。
【0005】
従来の前者のイヤホンにおいては、使用時に、外耳道内に挿入する。したがって、外耳道が塞がれてしまうため、外耳道が圧迫され、長時間使用していると違和感を感じ疲れる、通気性がないため、発汗して不快感を感じる、外界と遮断されるので、孤立感など精神的、肉体的負担を感じる、危険時の警報音が聞こえ辛く、安全面に欠ける、といった課題がある。
【0006】
一方、後者のタイプのものとしては、外耳道に挿入することなく、頭部に当接させたり、耳の周囲に当てたりして使用する。したがって、前者のタイプのもののように、外耳道を圧迫することはない。
【0007】
しかしながら、後者のタイプのものは、弾性部材からなるヘッドバンドのハンガー部分の両端部にイヤホンが設けられ、ヘッドバンドを頭部に装着して使用する構造となっているため、部品点数が多く、組立が煩雑であり、費用も大幅にかかる。装着装置が大掛かりで重量もあるため、体力を必要とし、また、装着にあたっては頭部が圧迫されるので、重圧感があり、長時間装着すると疲れ易い。収納時に場所をとる、などといった数々の課題があった。
【0008】
かかる課題を解決したものとしては、文献4に示されるように、ヘッドバンドをなくし、外耳道挿入式のコンパクトな簡易構成のタイプとしつつ、外界と連通させて、通気性をもたせ、かつ装着時の圧迫感をなくした開孔型の骨伝導イヤホンがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭50−151134号公報
【特許文献2】特開2009−111820号公報
【特許文献3】特開2009−049844号公報
【特許文献4】特開2012−044245公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
文献4のものは、通気孔により外部と鼓膜側とを連通させ、装着時に外耳道を塞ぐことはないため、外耳道の圧迫を軽減でき、かつ発汗してもその水分を外気に逃がすことができ、また、外界と遮断されないので、孤立感、肉体的負担を軽減でき、しかも危険時の警報音も感じ取ることができ、身の危険を回避し得る、といった効果を有する。さらに老人、難聴者等にも使用でき、補聴器として使用する場合にも、マイクとスピーカとの関連はないため、ハウリングは起こらないという効果がある。また、組立時に、容易にダンパーをコイルボビンの胴部内に収納でき、組立性が良好である。さらにまた、防水型として使用できるため、豪雨や水中での使用も可能となる。また、マグネットを含むムーブメントが質量(マスコントロール)を持っているので、振動を直接骨に伝え易い利点を持つといった優れた利点を有するものの、部品点数がやや多く、よってその分、若干コスト高となるとともに、組立も煩雑であるという課題があった。
【0011】
この発明は上記のことに鑑み提案されたもので、その目的とするところは、部品点数が少なく、組立も容易で、トータル的に大幅にコストを低減し得、しかも外耳道にフィットして装着できる骨伝導イヤホン、およびその組立方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、弾性部材からなる袋状ケース2内の底部から上方の開口部2a’に向って振動子6、ダンパー7、コイル8、袋状ケース2の開口部2a’を塞ぐケース4が設けられ、かつ前記ケース4から前記コイル通電用のリード3が引き出され、通電による前記振動子6の振動は前記袋状ケース2を介し外部へ伝達されることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の骨伝導イヤホンにおいて、前記袋状ケース2、振動子6、コイル8、ケース4の中央部にそれぞれ連通する通気孔5が形成されていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1記載の骨伝導イヤホンにおいて、前記袋状ケース2の先端部2eは袋状ケース2の長さ方向に対し屈曲されていることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1記載の骨伝導イヤホンにおいて、前記袋状ケース2の外周部には少なくとも一以上の弾性を有する椀状突出部2Aが形成されていることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、骨伝導イヤホンの組立方法において、弾性部材からなる袋状ケース2内に、一方向から、振動子6およびダンパー7を詰め込み、かつコイル8を有し、リード3が導出された第1、第2のケース9、10からなる2分割構造のケース4からなる組立体を詰め込んで組立ることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、請求項5記載の骨伝導イヤホンの組立方法において、前記コイル8のコイル線8d、8eは前記ケース4を構成する第1のケース9の上面においてコンタクトピン11を介し前記リード3のリード線3a、3bと接続され、かつ前記コイル8は前記第1のケース9の筒部9a’に保持され、この第1のケース9に対し前記第2のケース10を被せ、超音波溶着により一体化することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の本発明によれば、主要部品点数は袋状ケース2、振動子6、ダンパー7、コイル8、ケース4と少ないため、コストダウンを実現でき、また、袋状ケース2は弾性を有し伸縮自在のため、中の振動子6は自由に動くことができ、振動子6の振動を袋状ケース2を介し効率良く外部に伝達することができる。
また、請求項2記載の本発明によれば、上記効果に加え、通気孔5を有するため、外耳道に装着した場合、外部と鼓膜側とを連通させることができ、外部情報が遮断されることはなく、かつ装着した場合、圧迫感もない。
さらに、請求項3の本発明によれば、先端部を外耳道の形状に沿って屈曲させているため、振動を効率良く伝達させることができ、通信を行うことができる。
請求項4記載の本発明によれば、外耳道の形状が個人差によって異なり、外耳道が広い場合であっても弾性材からなる突出部2Aによって外耳道との密着度を高めることができる。
請求項5、6記載の本発明によれば、部品を一方向から袋状のケース2に詰め込むので、組立が極めて容易で生産性に優れ、かつ部品点数も少ないことからトータル的にコストダウンを図り得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施例の斜視図を示す。
図2】(a)は同上の平面図、(b)は側面図、(c)は底面図を示す。
図3図2(a)中A−A線断面図。
図4図2(a)中B−B線断面図。
図5】本発明で用いられる第1、第2のケースの分解斜視図。
図6】本発明のリード線とコイル線との接続を示す説明図。
図7】組立工程を示す説明図。
図8】次位の組立工程を示す説明図。
図9】本発明の他の実施例の斜視図。
図10】(a)は同上の平面図、(b)は側面図、(c)は底面図を示す。
図11図10(a)中A−A線断面図。
図12図10(b)中B−B線断面図を示す。
【実施例1】
【0015】
図1において、1は本発明にかかる骨伝導イヤホンで、この骨伝導イヤホン1は、シリコンゴム、エラストマーなどの弾性部材からなり、ソックスの形のような細長い形状をした袋状のケース2を備え、この袋状ケース2内には骨伝導装置が収納されている。3は外部に引き出された周知のように屈曲自在なリードであり、このリード3は、袋状ケース2の上方開口部2a’内に設けられた蓋として機能するケース4のリード導出部4aから外部に引き出されている。リード3は後述するコイルの巻始め、巻終わりのコイル線8d、8eが接続されている。5はケース4の中央部に貫設された通気孔である。なお、骨伝導装置の構成については後述する。
【0016】
図2(a)は骨伝導イヤホン1の平面図で、ケース4の通気孔5は、図2(c)に示すように、袋状ケース2の先端にかけて貫設され、この骨伝導イヤホンは開孔型となっている。
【0017】
図2(b)は側面図で、図示の状態において、袋状ケース2のほぼ中央部から上方部に向って、段階的に外形が外側に向って広がる段状になっている。段状をなすのは内部に収められる各部品の形状に対応させたためである。すなわち、上部が一番径が大きな第1径部2aをなし、先端部に向って順次径が小さくなる第2径部2b、第3径部2c、第4径部2dとなっている。
【0018】
そして、第4径部2dの先端部2eは、直線状をなす第1径部2a〜第4径部2dの中央部までの直線状に延びる長手軸方向Oに対する角度αはほぼ30度の角度の範囲内でもって屈曲されている。外耳道はその形状に個差がある。外耳道の長手方向に対して2〜3mmの長さで横方向に自由度を作れば形状に対応度が上がるため、先端部を屈曲させ、効率良く振動を伝達させ、通信を行うことができるようにした。なお、屈曲させずほぼ直線状に形成しても良い。
【0019】
図2(c)は骨伝導イヤホン1の底面図で、底面から開口する通気孔5は、袋状ケース2の先端部2eを屈曲させたため、上部の通気孔5(破線で示す)に対し偏位していることが分かる。なお、先端部2eは、図2(c)に示すように、先端に向って先細になっている。これは外耳道に挿入しやすくしたためである。
【0020】
図3は骨伝導イヤホン1の内部構造を示す断面図を示す。袋状ケース2の傾斜した先端部2eの内側の部分は通気孔5を除きハッチングで示すように弾性部材が充填され肉厚部2e’となっている。そして、この肉厚部2e’の上面、換言すると袋状ケース2内の底部にはマグネットからなる振動子6が設けられている。
【0021】
振動子6の上部には、好ましくはリング状のダンパー7が配設されている。このダンパー7は袋状ケース2と同様にシリコンゴムのような弾性部材からなっている。
【0022】
8はダンパー7を介し振動子6上に設けられたコイルで、第2、第3径部2b、2c内にかけて設けられている。このコイル8は、両端にフランジ8bが形成されたボビンの胴部8cに巻線8aが巻回されて構成されている。8dは巻線8aの巻始め、または巻終わりのコイル線であり、このコイル線8dはリード3内のリード線3a、3bと接続される(後述する図6参照)。これについては、追って、再び説明する。なお、袋状ケース2の上方開口部2a’はケース4によって塞がれる。このケース4は第1、第2のケース9、10の2分割構造をなし、コイル8の上部にコイル径よりやや大径の第1のケース9が設けられる。第1のケース9はコイル8の上部のフランジ8bに当接し、フランジ8bの外側に位置し、かつコイル8の外周部に当接する筒部9a’を有し、筒部9a’によってコイル8を保持している。
【0023】
この第1のケース9の上に、第1のケース9と同径の第2のケース10が設けられる。これら第1、第2のケース9、10は袋状ケース2の上方の第1径部2a内に設けられている。
【0024】
第1のケース9の上面には、詳しくは図4に示すように、外周部にリング状の凹部9aが形成されている。第2のケース10には第1のケース9の凹部9aと嵌合する凸部10aが形成され、かつ第2のケース10に形成されたリード導出部4aからコイル線8d等と接続されたリード3が引出される(図1図3参照)。なお、第1、第2のケース9、10は各凹部と凸部とを嵌合させて両者をつき合わせ、超音波溶着により一体化される。これによりコイル線とリード線が接続される。なお、図4中、11は図3に示したコイル線8dとリード3とを電気的に接続するコンタクトピンである。
【0025】
図5は、リード3の先端部がセットされる第1のケース9、この第1のケース9の所定位置に収納される短丸ピン状のコンタクトピン11、第1のケース9上に被せられる第2のケース10の分解斜視図を示す。
【0026】
図5に示すように、第1のケース上面の外周部に形成された凹部9aの内側の一部にコイル線引出孔aが形成され、その反対側の直線状の位置にリード先端収納部9bが形成されている。そして、それらの両側位置に細長い矩形状の凹部からなるコンタクトピン収納部9cが形成されている。そこに導電性材料からなるコンタクトピン11が収納されている。
【0027】
また、図5において、3a’、3b’はリード3に収められている2本のリード線3a、3bのコンタクトピン11と接続される部分である。絶縁被覆されたリード線3a、3bは案内溝を介しそれぞれ両サイドのコンタクトピン収納部9cに導かれ、かつ第1のケース9の外周にフランジ状に立設された外周壁9dの矩形状の切欠き9eから外部に引出される。
【0028】
また、図6に示すように、コイル線引出孔aから上面側又は下面側に引出されたコイル線8d、8eも案内溝を介しコンタクトピン収納部9cを通り、切欠き9eから外部に引出される。この状態で導電性のコンタクトピン11をリード線3a、3bおよびコイル線8d、8e上にセットする。
【0029】
再び図5に戻り、この状態で、切欠き9eから導出されたリード線3a、3bおよびコイル線8d、8eを例えば指で外側に引っ張りながら第2のケース10を第1のケース9に被せる。この場合、第2のケース10の外周部には切欠き9eと係合する位置決め用の係合片10cが形成されているため、第1のケース9に対し所定位置でもって第2のケース10を被せることができる。
【0030】
しかる後、第1、第2のケース9、10は超音波溶着する過程において一体化できる。また、リード線3a、3bの、リード線3a’、3b’部分とコイル線8d、8eとをコンタクトピン11を介し接続することができる。また、切欠き9aから露出した余分な線は切断する。
【0031】
一体化された第1、第2のケース9、10からなるケース4は、図3図4に示したように、弾性を有する袋状ケース2の上部の第1径部2aを、弾性に抗して外側に押し広げて内部に挿入して配置される。挿入後、押し広げた力を解除すると袋状ケース2の第1径部2aはその復元力により収縮し、ケース2を締付ける。
【0032】
また、袋状ケース2の開口内周部には第2のケース10の上面外周部に形成された凹部10bに嵌まる係止部2a’’が形成され、ケース4が袋状ケース2から抜け出さないように構成されている。
【0033】
このようにして、袋状ケース2内の振動子6、コイル8、ケース4等は袋状ケース2の内部において袋状ケース2の内周面と密着し、その締付力によってしっかりと一体化される。
【0034】
図7および図8は組立工程を示す。まず、図7に示すように、袋状ケース2の底部に、一方向から振動子6、ダンパー7を詰め込むように挿入する。
【0035】
次に、図8に示すように、コイル8のコイル線8d、8eとリード線3a、3bを上記したようにコンタクトピン11を介し接触し、コイル8を筒部9a’に保持させ、第1、第2のケース9、10等を一体化した組立体を袋状ケース2内に収納させれば極めて容易に骨伝導イヤホンを組立てることができる。この場合、前述のように、コイル8は袋状ケース2の内周面に密着される。このようにするにはコイル8の外径より袋状ケース2の第2径部2bの内径を若干小に形成しておけば良い。袋状ケース2は弾性を有し、伸縮自在であるため、密着させることができる。
【0036】
使用に際しては、外耳道に骨伝導イヤホン1を挿入する。この場合、袋状ケース2は弾性部材からなるため、外耳道への感触は良く、フィットする。また、先端部2eは屈曲されているため、外耳道に沿って挿入させることができる。この状態において、リード3を介し交流の音声電流がコイル8に流れると、アンペアの右ネジの法則により、その電流の向きにしたがって、磁束が交互に変化する。アンペアの右ネジの法則とは、電流とその周りにできる磁場との関係を表す法則で、電流を流すと、電流の方向を右ネジの進む方向として、右ネジの回る向きに磁場が生じる。
【0037】
また、フレミングの左手の法則により発生した力Fが振動子6に作用する。ダンパー7は弾性材からなるため、しかも振動子6は弾性を有する袋状ケース2内で自由に動くことができて振動し、その振動は弾性部材からなる袋状ケース2を介し外耳道に効率良く伝達され、その振動が外耳道の奥にある耳小骨から蝸牛以降の聴覚神経に速やかに伝達され脳に音として認識される。これによって音を聴くことができる。
【0038】
また、骨伝導イヤホン1には鼓膜に向って通気孔5が設けられ開孔型となっているため圧迫感はなく、また、外部の気道音は空気の振動として外耳道へ入り鼓膜が振動し、蝸牛と呼ばれる聴覚器官に伝わり、その音を認識し得る。
【0039】
なお、通気孔5内に内部への水の浸入を防ぐ防水性の蓋状の栓(図示せず)を着脱自在とし、通気孔5に栓を設ければこの骨伝導イヤホン1を耳栓としても使用でき、水中でも快適に使用し得る。
【実施例2】
【0040】
図9図12は本発明の第2実施例を示す。
【0041】
この実施例では袋状ケース2の外周部に、少なくとも一以上の椀状の突出部2Aが間隔をあけて形成されたことに特徴を有している。この突出部2Aは振動伝達の効率を上げるための手段の一つである。
【0042】
この突出部2Aはその凸状の湾曲面が袋状ケース先端部に向って設けられ、かつ袋状ケース2と同じ弾性を有する材質からなり、変形可能である。
【0043】
外耳道の大きさは個人差がある。そこで、この実施例のように袋状ケース2に変形自在な突出部2Aを形成すれば、外耳道の形状に応じて確実にフィットさせて装着することができ、振動子の振動を突出部2Aを介し外耳道に伝達させることができる。
【0044】
なお、図示の実施例では突出部2Aが3つ形成されているが、適宜増減しても良いことは勿論である。
【0045】
また、袋状ケース2の先端部2eを前記実施例のように傾斜させても良い。
【0046】
他の構成は前述の実施例と同様である。
【符号の説明】
【0047】
1 骨伝導イヤホン
2 袋状ケース
2a’ 袋状ケース開口部
2a’’ 係止部
2a 第1径部
2b 第2径部
2c 第3径部
2d 第4径部
2e 先端部
2e’ 肉厚部
3 リード
3a、3b リード線
4 ケース
4a リード導出部
5 通気孔
6 振動子
7 ダンパー
8 コイル
8a 巻線
8b フランジ
8c 胴部
8d、8e コイル線
9 第1のケース
9a’ 筒部
9a 凹部
9b リード先端収納部
9c コンタクトピン収納部
9d 外周壁
9e 切欠き
10 第2のケース
10a 凸部
10c 係合片
11 コンタクトピン
a コイル線引出孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12