(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態の一例に係るメトロノームプログラムについて説明する。メトロノームプログラムは、情報端末にインストールされることで、電子式メトロノーム装置を構築する。情報端末としては、iPhone(商品名)等のスマートフォン、iPad(商品名)等のタブレット型端末が使用される。
【0016】
図1は、情報端末に構築された電子式メトロノーム装置の主要なハードウエア構成を示すブロック図であり、バス1に対して、操作部2、CPU3、ROM4、RAM5、HDD6、ネットワークインターフェイス7を接続して構成されている。
操作部2はディスプレイ内にタッチパネルを備え、タッチパネル上における指の動きとしてのタップ、ドラッグ、ピンチイン/ピンチアウト、長押し等のタッチ操作及びタッチパネル内での操作位置を検出可能に構成されている。
【0017】
CPU3は、操作部1へのタッチ操作に応じたメトロノームプログラムの各種処理の実行を制御する。ROM4は、CPU3により実行又は参照される各種プログラムや各種データ等を格納する。RAM5は、CPU3がプログラムを実行する際に発生する各種データを一時的に記憶するワーキングメモリとして使用される。
HDD6には、CPU3でロードされるメトロノームプログラムが、ネットワークインターフェイス7を介して所定のURLからダウンロードされて記憶されている。
【0018】
図2は、メトロノームプログラムをインストールすることで、情報端末に構築された電子式メトロノーム装置の構成を示すブロック図である。
電子式メトロノーム装置は、情報端末のディスプレイとしてのタッチパネル装置10と、タッチパネル装置10におけるタッチ操作を検出するタッチ操作検出部11を備えている。タッチ操作検出部11では、上述したタップ、ドラッグ、ピンチイン/ピンチアウト、長押し等のタッチ操作の種類を検出するとともに、タッチパネル内でのタッチ操作の操作位置を検出する。タッチ操作の種類及び操作位置の検出は、タッチパネル上での指の移動を検知する既存の技術により行われる。
【0019】
タッチ操作検出部11は、ソングセット情報設定部45及びメトロノーム再生スイッチ部13に接続され、タッチ操作検出部11で検出されたタッチ操作は、操作内容により、ソングセット情報設定部45、メトロノーム再生スイッチ部13のそれぞれへ出力される。
ソングセット情報設定部45は、タッチパネルの背景画像として利用する壁紙を、ソングセット情報として設定する。ソングセット情報には、壁紙として利用する画像、壁紙に対応させたソングセット名、テンポ情報等のメトロノーム情報が含まれ、ソングセット情報設定部45で各情報の対応関係を設定する。
ソングセット情報設定部45で設定されたソングセット情報は、ソングセット情報記憶部46に記憶される。すなわち、テンポ、拍子等のメトロノーム設定情報及び壁紙をひとまとめにしたソングセット情報が、ソングセット名とともに複数記憶される。
【0020】
ソングセット情報設定部45によるメトロノームの背景画面としての壁紙を含むソングセット情報の設定処理について、
図3〜
図5を参照しながら説明する。タッチパネルを形成するディスプレイ画面30は、
図3に示すように、下側位置より、ダイヤル表示部30a、ビートインジケータ表示部30b、サークル表示部30cを有している。
壁紙40(
図4)は、ディスプレイ画面30とほぼ同じ大きさの画像(
図4の例では風景画像)から構成され、
図5に示すように、ディスプレイ画面30全体の背景画像として利用されるようになっている。
ディスプレイ画面30の最下部位置には、ソングセット名表示部30xが表示され、このソングセット名表示部30xへのタッチ操作によりソングセット情報が設定可能になっている。
【0021】
ソングセット名表示部30xで指を左右方向にすべらせる(ドラッグ)と、既に記憶されたソングセット情報の切り換えを行うことができる。この切り換え操作により、ソングセット情報内のテンポ、拍子等が読み出され、現在のメトロノーム設定情報をそれらの値で更新するようになっている。
ソングセット名表示部30xを指でタップすると、
図6に示すようなソングリストが表示されたソングリスト画面60がポップアップし、表示されたソングセット名を選択することで、ソングセット情報を切り換えることができる。また、各ソングセット名の右端にあるアクセサリアイコン61(iボタン)をタップすると、ソングセット名に対応するメトロノーム情報の設定画面(図示せず)を表示させて、各設定値を変更することができる。
また、新規なソングセット名をソングリストに追加し、ソングセット名に対応する壁紙やテンポ値、拍子等のメトロノーム情報値を設定することもできる。
【0022】
設定画面(図示せず)では、壁紙40の取り込みや壁紙40の明度を設定するようになっている。例えば、壁紙を取り込む場合は、情報端末に既に記憶されている画像や、情報端末に付属するカメラで撮影した画像を選択することで、任意の画像を壁紙として利用することが可能となる。
また、壁紙40の明度を設定可能にすることで、後述する操作画面のコントロール群(ダイヤル31等)に対する透ける度合いを調整することができる。また、壁紙40の明度は、タッチパネルのディスプレイ画面30が通常状態である場合の通常値(第2明度)と、後述する強拍タイミングに応じてフラッシュさせる時の強拍タイミング値(第1明度。通常値より明るい明度)をそれぞれ設定するようになっている。無論、第1明度と第2明度の明るさの関係はその逆であっても構わない。
【0023】
ダイヤル表示部30aには、メトロノームのテンポを変更するための円盤状のダイヤル31が表示されている。ダイヤル31内には、テンポ値の目盛となる数字が所定値間隔で表示されている。ダイヤル31の中心の内側位置には、三角形のテンポ設定位置マーク32が表示され、テンポ設定位置マーク32が指し示すダイヤル31の目盛り位置に対応する数値がメトロノームのテンポ値として設定される。
ダイヤル31の内側には、ダイヤル中央を円運動の中心とし、テンポ設定位置マーク32を中央としてダイヤル円周上を往復運動する円形の振り子33が表示されている。振り子33は、メトロノーム発音処理中に、設定されたテンポ値に応じた周期で円運動する。
また、ダイヤル31の内側には、振り子33の周期運動の両端位置をカギ括弧で示す振り幅マーク34a,34bが表示されている。
【0024】
ダイヤル31は、ダイヤル31上で指をすべらせる(ドラッグ)ことでダイヤルを回転させ、回転角度に応じた目盛が表示されるようになっている。その結果、ダイヤル31において、テンポ設定位置マーク32が指し示すダイヤル31の目盛り位置に対応する数値が変化することで、回転角度に応じたテンポを設定することになる。
また、ダイヤル31に表示される目盛りの数字は、テンポ値が大きくなるほど大きな刻み値で目盛の数字が自動的に表示される。例えば、
図3の例では、テンポ値が小さい側で「8」、テンポ値が大きい側で「32」の刻み値となっているが、更にテンポ値が小さい数字の場合、「6」「4」「2」の刻み値で表示される。
【0025】
上述したタッチ操作検出部11では、タッチ操作の種類と操作位置が検出されるが、操作位置には、ダイヤル31上での操作であるかどうか、後述する拍子マーク35、テンポサークル36、リズムサークル37、速度標語サークル38の内側又は外側での操作であるかどうか等の情報も検出する。
【0026】
タッチ操作検出部11で検出されたタッチ操作が、ダイヤル31上でのドラッグ回転である場合、ソングセット情報設定部45内のテンポ情報設定部によりメトロノームのテンポの設定が行われる。
タッチ操作検出部11で検出されたタッチ操作が、ダイヤル31上におけるタップである場合、メトロノーム再生スイッチ部13によりメトロノームの再生スタート(発音開始)又は再生ストップ(発音停止)が行われる。
【0027】
ビートインジケータ表示部30bには、拍番号を表示した複数の円形状の拍子マーク35により拍子数(
図3の場合は4拍子)が表示されている。拍子マーク35は、拍の強弱を表示可能としている。すなわち、強拍の場合は、拍番号を囲む円を大きく表示(拍番号1に対応する拍子マーク35a)し、弱拍の場合は、拍番号を囲む円を強拍に比べて小さく表示(拍番号2,3,4に対応する拍子マーク35b)する。また、メトロノームの発音処理が行われた場合、各拍子のタイミングで発音する。強拍と弱拍では発音する音が異なり(強拍の方が高い音)、消音拍の場合は発音しない。
また、拍子の発音タイミングで、拍子マーク35の外側部分が明るくなるフラッシュ表示35cが行われる。フラッシュ表示35cは、経過時間に対応した半径内の範囲が明るくなる。すなわち、フラッシュ表示35cの半径は、拍の発音タイミングからの時間経過に応じて除々に小さくなり、次の拍の発音タイミングの直前で最も小さくなる。したがって、フラッシュ部分の面積がしだいに小さくなるため、次の拍のタイミングを分かり易くするという効果がある。
【0028】
また、ディスプレイ画面30の背景となる壁紙40は、強拍タイミングでの明度を高くし、拍の発音タイミングからの時間経過に応じて除々に暗くなり、次の拍の発音タイミングの直前で最も明度が小さくなるよう設定される。すなわち、拍のタイミングでの壁紙40の明度を第1明度(強拍タイミング値)に、拍のタイミング直前での壁紙40の明度を第2明度(通常値)に設定し、拍の発音タイミングからの時間経過に応じて、第1明度から第2明度へ除々に明度が変化するようしている。
したがって、拍タイミングで、ディスプレイ画面30の全体がフラッシュされて明るくなることにより、強拍のタイミングを分かり易くしている。また、常に壁紙の明度を高くしてしまうと、肝心なメトロノーム設定値の視認性の面で支障が出てくるため、強拍のときだけ明度を高くすることが望ましい。
【0029】
複数の拍子マークについて、左右方向のドラッグにより、拍子数の増減が行われる。右側へのドラッグが拍子数を増加させ、左側へのドラッグが拍子数を減少させる。
また、拍子マーク35についての上方向へのドラッグにより、消音の拍を弱拍に、弱拍の拍を強拍に変化させ、下方向へのドラッグにより、強拍の拍を弱拍に、弱拍の拍を消音に変化させる処理が行われる。
【0030】
また、ビートインジケータ表示部30b内で、タップによるタッチ操作で拍子を設定してもよい。例えば、1拍目を2本指でタップし、他の拍を1本指でタップし、これらのタップを周期的に行うことで、拍子とテンポを同時に設定することが可能となる。
例えば、
図3に表示される拍子を設定する場合、1拍目を2本指で、2拍〜4拍を1本指で周期的にタップすればよい。
【0031】
サークル表示部30cには、テンポ値を数字で表示するテンポサークル36、リズムを表示するリズムサークル37、速度標語を表示する速度標語サークル38がそれぞれ表示される。各サークルの大きさ及び位置は、編集モードにおいて自由に設定可能とするとともに、互いに重ならない位置に表示されている。
【0032】
テンポサークル36には、テンポ設定位置マーク32が指し示すダイヤル31の目盛り位置に対応する数値が円内にテンポ値として表示される。したがって、ダイヤル31上のドラッグでダイヤルを回転させて(回転角度に応じた)目盛り位置が変化する時には、テンポ設定位置マーク32が指し示す数値も同時に変化し、テンポサークル36内のテンポ値もそれに応じて変化する。
【0033】
また、テンポサークル36に表示される数字は、テンポサークル36へのタッチ操作により変更可能になっている。例えば、右ドラッグにより「表示されているテンポ値+1の数字」に、左ドラッグにより「表示されているテンポ値−1の数字」に、上ドラッグにより「表示されているテンポ値×2の数字(倍速)」に、下ドラッグにより「表示されているテンポ値÷2の数字(半分速)」にそれぞれ変更される。
上下ドラッグにより倍速、1/2倍速のテンポ切換を可能とすることで、原曲のテンポの1/2倍〜2倍にして楽器の練習(例えば、ドラムの練習)をしたい時、瞬時且つ容易にテンポの設定を切り換えることができる。
【0034】
また、テンポサークル36の円内を長押しすることで、ディスプレイ画面30のサークル表示部30cの下方にテンキー入力画面(図示せず)を表示させ、テンキーにより数字を入力することで、テンポサークル36のテンポ値を直接変更することができる。
更には、テンポサークル36の円内を周期的にタップすることで、周期に応じたテンポ(タップテンポ)が設定可能になっている。また、テンポサークル36内を1本の指で周期的にタップすることでテンポを設定しながら、同時にビートインジケータ表示部30b内で1拍目だけを別の指でタップすることで、拍子とテンポを同時に設定してもよい。
【0035】
リズムサークル37は、円内に4分、8分、16分、3連等のリズムを表示する。リズムサークル37に表示されるリズムは、リズムサークル37へのタッチ操作により変更可能になっている。例えば、左右ドラッグにより、4分音符、8分音符、16分音符、3連符等の順に表示させてリズムの切り換えを行う。
【0036】
速度標語サークル38は、円内に速度標語を表示し、速度標語サークル38への左右ドラッグ(タッチ操作)により、Largamente/Grave/Kargo/Lento/Adagio/Larghetto/Agadietto/Andante/Andantino/Maestoso/Moderato/Allegetto/Animato/Allegro/Vivace/Presto/Vivacissimo/Presto/Vivacissimo/Prestissimo等の順に表示させて速度標語の切り換えを行う。
【0037】
また、上述したダイヤル31外の長押しによる編集モードでは、サークル表示部30cにおけるテンポサークル36、リズムサークル37、速度標語サークル38の位置の移動、表示の拡大縮小も行うことができる。各サークル位置の移動やサークル表示の拡大縮小を行う場合、各サークルをドラッグしながらの移動によりサークル位置を移動させ、また、2本指のタッチ距離の変化(ピンチイン/ピンチアウト)によりサークル表示を拡大縮小させることができる。また、このような移動処理又は拡大縮小処理を行った場合、全てのサークルが他のサークルと重なることなくサークル表示部30c内に収まるように、自動的に各サークルについてのレイアウト処理が行われる。
【0038】
サウンド生成部17では、ソングセット情報記憶部46に記憶されたテンポの設定に関する情報からメトロノーム再生時のサウンド情報を生成する。サウンド生成部17で生成されたサウンド情報は、サウンド再生部24を介してサウンド出力装置25で発音される。
【0039】
また、サウンド生成部17で生成されたサウンド情報(テンポ設定情報及びダイヤル画像情報が含まれている)を基に、壁紙画像生成部47においてディスプレイ画面30の壁紙40について、強拍タイミング時にフラッシュ表示して明度が変化する画像が作成され、表示装置19を介してタッチパネルに表示される。
ダイヤル表示部30a、ビートインジケータ表示部30b、サークル表示部30cに表示されるメトロノームの設定のための操作画面(ダイヤル31、各種サークル等のコントロール群)を半透明に表示することで、壁紙40を見易くすることができる。
【0040】
次に、上述した電子式メトロノーム装置における発音処理の手順について、ソングセット情報設定を主に、
図7のフローチャート図を参照して説明する。
先ず、メトロノーム装置のタッチパネルにおけるタッチ操作を検出する(ステップ51)。
次に、検出したタッチ操作がソングセットのドラッグであるかどうかを検出する(ステップ72)。
ソングセットのドラッグである場合、ソングセットの切り換えを行い(ステップ66)、タッチパネルでのソングセット描画を行う(ステップ78)。
ステップ72においてソングセットのドラッグでない場合、タッチ操作がソングセットのタップであるかどうかを検出する(ステップ73)。
【0041】
ステップ73においてタッチ操作がソングセットのタップである場合、新規情報の追加であるかどうかを判断する(ステップ74)。
新規情報の追加であれば、ソングセット情報が入力され(ステップ75)、ソングリストへの追加が行われ(ステップ76)、ソングリスト表示又はソングセット選択(ステップ77)により、ソングセット描画が行われる(ステップ78)。
新規情報の追加でない場合は、ソングリスト表示又はソングセット選択(ステップ77)により、ソングセット描画が行われる(ステップ78)。
ソングセット描画(ステップ78)に関する処理については後述する。
【0042】
ステップ73においてタッチ操作がソングセットのタップでない場合、タッチ操作がダイヤル31上でのタップであるかどうかを検出する(ステップ68)。
タッチ操作がダイヤル31上でのタップである場合、メトロノームの発音処理中(再生中)であるかを判断する(ステップ69)。
再生中である場合、再生停止を行い(ステップ70)、再生中でなければ、再生開始を行う(ステップ71)。
タッチ操作がダイヤル31上でのタップでない場合、タッチパネルでのソングセット描画を行う(ステップ78)。
【0043】
ソングセット描画を行う処理では、メトロノームの発音処理中(再生中)であるかを判断し(ステップ81)、再生中でない場合は、ステップ51へ戻る。
再生中である場合、メトロノームのサウンド再生を行い(ステップ82)、壁紙の明度を変化させる(強拍タイミングで最大明度とし、除々に明度を低くする)処理による壁紙描画が行われる(ステップ79)。
アプリケーションが終了であるかどうかを判断し(ステップ84)、アプリ終了でない場合は、ステップ51へ戻る。
【0044】
上述した電子式メトロノーム装置によれば、拍のタイミングを壁紙の明度を明るく(フラッシュ表示)することで、タッチパネル全体で報知できるため、メトロノーム設定操作や設定値表示の視認性を損なうことなく、強拍タイミングを解り易くすることができる。
任意の壁紙をタッチパネルの背景画像として設定できるので、ユーザの好みや楽曲にふさわしい壁紙を利用できる。