特許第6253231号(P6253231)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6253231被検体観察システム及びその方法、カプセル型内視鏡システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6253231
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】被検体観察システム及びその方法、カプセル型内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20171218BHJP
   A61B 1/07 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   A61B1/00 513
   A61B1/07 736
   A61B1/00 C
【請求項の数】21
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2012-285556(P2012-285556)
(22)【出願日】2012年12月27日
(65)【公開番号】特開2014-124490(P2014-124490A)
(43)【公開日】2014年7月7日
【審査請求日】2015年12月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100095441
【弁理士】
【氏名又は名称】白根 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100119976
【弁理士】
【氏名又は名称】幸長 保次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100172580
【弁理士】
【氏名又は名称】赤穂 隆雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(74)【代理人】
【識別番号】100134290
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 将訓
(72)【発明者】
【氏名】田村 和昭
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 毅
(72)【発明者】
【氏名】駒崎 岩男
【審査官】 九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−016545(JP,A)
【文献】 特開2005−205195(JP,A)
【文献】 特開2012−152459(JP,A)
【文献】 特開2012−143397(JP,A)
【文献】 特開2012−245042(JP,A)
【文献】 特開2012−213541(JP,A)
【文献】 特開2013−175(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00−1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定波長のスペクトル成分を含む観察光を発光し、当該観察光を被検体に照射する被検体観察光源と、
前記観察光が照射された前記被検体の照射領域からの反射光を撮像し、前記反射光の撮像により取得した青色領域と緑色領域と赤色領域とに対応する複数の画像信号に基づいて波長領域の相違する少なくとも2つの観察画像を取得する画像取得手段と、
を具備し、
前記観察光は、前記青色領域と前記緑色領域と前記赤色領域とに発光スペクトルの成分を含み、
前記観察光に含まれる前記青色領域は、第1の領域と、前記被検体における特定観察対象の吸収強度が前記第1の領域よりも低く、前記第1の領域と異なる第2の領域と、を有し、
前記第2の領域の発光スペクトルの光量は、前記第1の領域の発光スペクトルの光量よりも小さく、
前記被検体観察光源は、
励起光を出射する1つの励起光源と、
前記1つの励起光源から出射された前記励起光の少なくとも一部を波長変換して波長変換光を生成し、前記波長変換光と前記励起光の一部との混合光である前記観察光を射出する波長変換手段と、のみからなり、
前記緑色領域の発光スペクトルのピーク波長は、前記緑色領域内に含まれる波長領域525nm〜555nm内の前記特定観察対象の吸収係数が最大となる吸収ピーク波長での吸収係数の値に対して2分の1以上の吸収係数を有する波長領域内に存在することを特徴とする被検体観察システム。
【請求項2】
前記波長変換手段は蛍光体であり、
前記観察光のスペクトルは、前記1つの励起光源から出射される前記励起光のスペクトル及び前記励起光が前記蛍光体によって波長変換される蛍光のスペクトルのみによって構成されている請求項1に記載の被検体観察システム。
【請求項3】
前記励起光源は、前記青色領域を含む前記励起光を出射し、
前記波長変換手段は、前記青色領域の前記励起光の一部を透過すると共に、前記励起光を波長変換して所定の色領域の蛍光を発光する蛍光体を有する、ことを特徴とする請求項1又は2記載の被検体観察システム。
【請求項4】
前記所定の色領域は、黄色領域であって、
前記透過した前記青色領域の前記励起光と前記蛍光とによって、前記観察光の発光スペクトルは略白色になることを特徴とする請求項3記載の被検体観察システム。
【請求項5】
前記画像取得手段は、前記反射光の撮像により取得した前記複数の画像信号のうち、前記青色領域と前記緑色領域と前記赤色領域とに対応する信号に基づいて前記被検体の通常光観察画像を生成する第1の画像生成部と、
前記複数の画像信号のうち、前記青色領域と前記緑色領域とに対応する各画信号に基づいて前記特定観察対象を強調する特殊光観察画像を生成する第2の画像生成部と、
を有し、
前記特殊光観察画像における前記特定観察対象のコントラストは、前記通常光観察画像における前記特定観察対象のコントラストよりも高い、ことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の被検体観察システム。
【請求項6】
前記画像取得手段は、青色画素と緑色画素と赤色画素とを有する撮像手段を備え、
前記第1の画像生成部と前記第2の画像生成部とは、前記複数の画像信号のうち、それぞれ前記撮像手段の前記青色画素と前記緑色画素と前記赤色画素により取得した1フレーム分の画像信号に基づいて前記被検体の同一部位の前記通常光観察画像と前記特殊光観察画像とを取得する、ことを特徴とする請求項5記載の被検体観察システム。
【請求項7】
前記青色領域の発光スペクトルのピーク波長は、可視光領域における前記特定観察対象の吸収係数が最大となる吸収ピーク波長の吸収係数の値に対して5分の1以上の吸収係数を有する波長領域内に存在し、
前記青色領域の発光スペクトルの最大強度は、前記緑色領域と前記赤色領域との各発光スペクトルの最大強度よりも大きい、ことを特徴とする請求項1記載の被検体観察システム。
【請求項8】
前記励起光源は、前記青色領域内に含まれる波長領域400nm〜440nmに発光ピークの波長を有する第1の発光スペクトルを発光し、
前記波長変換手段は、前記第1の発光スペクトルの一部を吸収すると共に、前記緑色領域内に含まれる波長領域525nm〜555nmを含む第2の発光スペクトルに波長変換し、かつ前記第1の発光スペクトルと前記第2の発光スペクトルとを重ね合わせて前記観察光として出射し、
前記観察光の前記青色領域内に含まれる波長領域450nm〜480nmの光量は、波長領域400nm〜440nmの光量の5分の1以下であり、
前記赤色領域内に含まれる波長領域600nm以上の光量は、波長領域525nm〜555nmの光量の3分の1以上である、
ことを特徴とする請求項2記載の被検体観察システム。
【請求項9】
前記第2の発光スペクトルは、前記緑色領域から前記赤色領域内に含まれる波長領域525nm〜600nmにおいて、連続する発光スペクトル成分を有し、
当該波長領域525nm〜600nmの最小強度は、前記第2の発光スペクトルのピーク強度の5分の1以上である、
ことを特徴とする請求項記載の被検体観察システム。
【請求項10】
前記励起光源は、レーザダイオードを含み、
前記波長変換手段は、前記レーザダイオードから出射された前記第1の発光スペクトルを吸収し、波長525nm以上にピーク波長を有する第2の発光スペクトルを発する第1の蛍光体を有し、
前記被検体観察光源は、前記第1の発光スペクトルを導光する導光部材を有し、前記レーザダイオードから出射された前記第1の発光スペクトルを前記導光部材に通して前記第1の蛍光体に照射する、ことを特徴とする請求項記載の被検体観察システム。
【請求項11】
前記観察光は、波長領域450nm〜480nmにおいて、前記第1の発光スペクトルのピーク強度の20分の1以下の強度となる波長領域が連続して5nm以上存在することを特徴とする請求項記載の被検体観察システム。
【請求項12】
前記励起光源は、波長領域400nm〜440nmにおける前記第1の蛍光体の吸収スペクトルが最大となる波長と前記波長領域400nm〜440nmにおける前記特定観察対象の吸収のピーク波長との間の波長領域に、前記第1の発光スペクトルのピーク波長が存在することを特徴とする請求項10記載の被検体観察システム。
【請求項13】
前記第1の蛍光体は、Ce賦活のガーネット系蛍光材を有しており、
前記励起光源は、波長領域415nm〜440nmに前記第1の発光スペクトルのピーク波長を有する、ことを特徴とする請求項10記載の被検体観察システム。
【請求項14】
前記波長変換手段は、前記第1の発光スペクトルと前記第2の発光スペクトルとを所定の割合で混合して前記観察光として略白色の光を出射するように、前記第1の発光スペクトルと前記第2の発光スペクトルとの成分比率が設定されている請求項10記載の被検体観察システム。
【請求項15】
前記波長変換手段は、前記第1の蛍光体に加え、前記第1の発光スペクトル又は前記第2の発光スペクトルを吸収し、前記第2の発光スペクトルのピーク波長よりも長波長側にピーク波長を有する第3の発光スペクトルを発光する第2の蛍光体を有することを特徴とする請求項10記載の被検体観察システム。
【請求項16】
前記第1の発光スペクトルと前記第2の発光スペクトルと前記第3の発光スペクトルとを所定の割合で混合して前記観察光として略白色の光を出射するように、前記第1の発光スペクトルと前記第2の発光スペクトルと前記第3の発光スペクトルとの成分比率が設定されている請求項15記載の被検体観察システム。
【請求項17】
前記画像取得手段は、青色領域と緑色領域と赤色領域との3つの領域にそれぞれ最大感度を有する青色画素と緑色画素と赤色画素とを有する撮像手段を備え、
前記第1の発光スペクトルは、前記青色領域内に存在する、
ことを特徴とする請求項記載の被検体観察システム。
【請求項18】
前記励起光源は、波長400nm〜440nmの間の前記特定観察対象の吸収ピーク波長と、前記画像取得手段の撮像手段における青色画素の受光感度のピーク波長との間の波長領域に前記第1の発光スペクトルのピーク波長を有することを特徴とする請求項記載の被検体観察システム。
【請求項19】
前記特定観察対象は、ヘモグロビンであることを特徴とする請求項1乃至18のいずれか1項に記載の被検体観察システム。
【請求項20】
被検体観察システムの被検体観察光源が、発光により所定波長のスペクトル成分を含む観察光を被検体観察光源により生成して当該観察光を被検体に照射し、
被検体観察システムの被検体観察光源が、前記観察光が照射された前記被検体の照射領域からの反射光を撮像手段により撮像し、前記撮像手段から出力される、前記反射光の撮像により取得した青色領域と緑色領域と赤色領域とに対応する複数の画像信号に基づいて波長領域の相違する少なくとも2つの観察画像を取得する、被検体観察システムの作動方法であって、
前記観察光は、前記青色領域と前記緑色領域と前記赤色領域とに発光スペクトルの成分を含み、
前記観察光に含まれる前記青色領域は、第1の領域と、前記被検体における特定観察対象の吸収強度が前記第1の領域よりも低く、前記第1の領域と異なる第2の領域と、を有し、
前記第2の領域の発光スペクトルの光量は、前記第1の領域の発光スペクトルの光量よりも小さく、
前記被検体観察光源は、
励起光を出射する1つの励起光源と、
前記1つの励起光源から出射された前記励起光の少なくとも一部を波長変換して波長変換光を生成し、前記波長変換光と前記励起光の一部との混合光である前記観察光を射出する波長変換手段と、のみからなり、
前記緑色領域の発光スペクトルのピーク波長は、前記緑色領域内に含まれる波長領域525nm〜555nm内の前記特定観察対象の吸収係数が最大となる吸収ピーク波長での吸収係数の値に対して2分の1以上の吸収係数を有する波長領域内に存在することを特徴とする被検体観察システムの作動方法。
【請求項21】
請求項1乃至19のうちいずれか1項に記載の被検体観察システムを設けたことを特徴とするカプセル型内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、白色光による通常観察や、この通常観察での波長とは異なる波長の光、例えば特定の被検体を観察するための特殊光による観察などの複数の観察を行う被検体観察システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば内視鏡等の被検体観察システムは、被検体に白色光等を照射するために発光装置を備えている。このような発光装置としては、現在、光ファイバ先端に波長変換部材を配置し、小型固体光源から出力された光を波長変換部材により波長変換することにより、光を所望の照射パターンや色へ変化させるものが開発されている。特許文献1は、励起光源と光ファイバ先端に配置する波長変換部材との組合せにより、様々な色が射出可能な発光装置及びそれを用いた内視鏡装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−205195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1は、光ファイバ先端に複数の波長変換部材を配置し、これら波長変換部材を励起光源から出力される励起光により励起して、可視光領域の広範囲にスペクトル成分を持つ白色光を内視鏡用光源として射出し、この白色光を生体内の被検体に照射することにより生体内の通常光観察を実現している。また、特許文献1は、通常光観察の光とは異なる波長の光を発光装置から射出する場合には、種類の異なる波長変換部材を励起光源で励起することにより実現している。
【0005】
このため、特許文献1では、白色光による通常光観察と、白色光と異なる波長の光による観察との複数の観察を行う場合、発光特性が異なる2つの波長変換部材を光ファイバ先端に配置する必要がある。又、特許文献1では、励起光源から出力される励起光を波長変換部材に導く導光部材や、励起光源も場合によっては複数必要となり、発光装置等の小型化が困難である。
【0006】
そこで本発明は、観察対象である被検体の吸収特性を考慮して、特定波長帯域に発光する1つの励起光源と波長変換手段との組合せにより、通常光観察や特殊光観察等の複数の観察に使用可能な小型の観察光源を用いた被検体観察システム及びその方法、カプセル型内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の主要な局面に係る被検体観察システムは、所定波長のスペクトル成分を含む観察光を発光し、当該観察光を被検体に照射する被検体観察光源と、前記観察光が照射された前記被検体の照射領域からの反射光を撮像し、前記反射光の撮像により取得した青色領域と緑色領域と赤色領域とに対応する複数の画像信号に基づいて波長領域の相違する少なくとも2つの観察画像を取得する画像取得手段と、を具備し、前記観察光は、前記青色領域と前記緑色領域と前記赤色領域とに発光スペクトルの成分を含み、前記観察光に含まれる前記青色領域は、第1の領域と、前記被検体における特定観察対象の吸収強度が前記第1の領域よりも低く、前記第1の領域と異なる第2の領域と、を有し、前記第2の領域の発光スペクトルの光量は、前記第1の領域の発光スペクトルの光量よりも小さく、前記被検体観察光源は、励起光を出射する1つの励起光源と、前記1つの励起光源から出射された前記励起光の少なくとも一部を波長変換して波長変換光を生成し、前記波長変換光と前記励起光の一部との混合光である前記観察光を射出する波長変換手段と、のみからなり、前記緑色領域の発光スペクトルのピーク波長は、前記緑色領域内に含まれる波長領域525nm〜555nm内の前記特定観察対象の吸収係数が最大となる吸収ピーク波長での吸収係数の値に対して2分の1以上の吸収係数を有する波長領域内に存在する
【0008】
本発明の主要な局面に係る被検体観察システムの作動方法は、被検体観察システムの被検体観察光源が、発光により所定波長のスペクトル成分を含む観察光を被検体観察光源により生成して当該観察光を被検体に照射し、被検体観察システムの被検体観察光源が、前記観察光が照射された前記被検体の照射領域からの反射光を撮像手段により撮像し、前記撮像手段から出力される、前記反射光の撮像により取得した青色領域と緑色領域と赤色領域とに対応する複数の画像信号に基づいて波長領域の相違する少なくとも2つの観察画像を取得する。前記観察光は、前記青色領域と前記緑色領域と前記赤色領域とに発光スペクトルの成分を含み、前記青色領域の発光スペクトルは、前記被検体における特定観察対象の吸収強度が相対的に低い波長領域において他の領域と比較して小さく、前記被検体観察光源は、励起光を出射する1つの励起光源と、前記1つの励起光源から出射された前記励起光の少なくとも一部を波長変換して波長変換光を生成し、前記波長変換光と前記励起光の一部との混合光である前記観察光を射出する波長変換手段と、のみからなり、前記緑色領域の発光スペクトルのピーク波長は、前記緑色領域内に含まれる波長領域525nm〜555nm内の前記特定観察対象の吸収係数が最大となる吸収ピーク波長での吸収係数の値に対して2分の1以上の吸収係数を有する波長領域内に存在する。
本発明の主要な局面に係るカプセル型内視鏡システムは、上記被検体観察システムを設けている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、観察対象である被検体の吸収特性を考慮して、特定波長帯域に発光する1つの励起光源と波長変換手段との組合せにより、通常光観察と特殊光観察との両方に使用可能な小型の観察光源を用いた被検体観察システム及びその方法、カプセル型内視鏡システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る被検体観察システムの第1の実施形態を示すブロック構成図。
図2】同システムにおける被検体観察光源を示す具体的な構成図。
図3】同システムにおける波長変換部材(第1の蛍光体)の吸収/蛍光特性を示す図。
図4】同システムにおける撮像手段における一般的なCCDの感度特性を示す図。
図5】同システムにおける被検体観察光源から出射される観察光のスペクトル特性を示す図。
図6】同システムにより観察する被検体における血管内のヘモグロビンの吸収強度の指標となる吸収係数を示す図。
図7】同システムにおける波長変換ユニットの変形例を示す構成図。
図8】同波長変換ユニットの変形例における第1の蛍光体の吸収/蛍光特性を示す図。
図9】同波長変換ユニットの変形例における第2の蛍光体の吸収/蛍光特性を示す図。
図10】本発明の被検体観察システムの第2の実施形態を適用したカプセル型内視鏡を示す構成図。
図11】同システムにおける被検体観察光源を示す構造図。
図12】同システムにおける被検体観察光源からそれぞれ射出される観察光のスペクトル形状を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
本実施の形態を説明するに当たり、当該実施の形態における色領域と波長領域との関係は、以下のように定義する。青色領域は波長領域380nm〜500nmとし、緑色領域は波長領域500nm〜600nmとし、赤色領域は波長領域600nm〜720nmとする。又、本実施形態において撮像手段の青画素、緑画素、赤画素の感度が最大となるときの波長領域は、それぞれ青色領域、緑色領域、赤色領域とする。
被検体Qは、例えば人体等であり、血管Kを含む生体組織Jである。血管K内には、血液が流れ、この血液にヘモグロビンが含まれる。
【0012】
図1は被検体観察システムのブロック構成図を示す。この被検体観察システムは、人体等の被検体Qに観察光Pを照射する被検体観察光源1と、被検体Qの画像情報を取得する画像取得手段2とを有する。
被検体観察光源1は、所定波長のスペクトル成分を含む観察光Pを発光し、当該観察光Pを被検体Qに照射するもので、励起光源3と、光源制御手段4と、導光手段5と、波長変換手段6とを有する。
励起光源3は、青色領域内に含まれる波長領域400nm〜440nm(又は400nm〜415nm)に発光ピークの波長を有する第1の発光スペクトル成分である励起光Hを出射する。
光源制御手段4は、励起光源3を駆動制御する。
導光手段5は、励起光源3から出射される励起光Hを波長変換手段6に導光する。
波長変換手段6は、励起光Hの一部を吸収して当該励起光Hよりも長波長側の波長領域の波長変換光に変換し、励起光Hと波長変換光との混合光である観察光Pを射出する。
【0013】
図2は被検体観察光源1の具体的な構成図を示す。励起光源3は、例えば第1のスペクトル成分である励起光Hを出射する半導体レーザ、具体的にレーザダイオード(LD)である。この励起光源3は、上記の通り青色領域内に含まれる波長領域400nm〜440nm(又は400nm〜415nm)に発光ピークの波長を有する第1の発光スペクトルを発光する。具体的に半導体レーザ3は、発光ピークが波長420nm(λ1)で、半値幅が波長数nm以下の青色領域の励起光H、すなわち第1のスペクトル成分である青色のレーザ光を射出する。
【0014】
光源制御手段4は、半導体レーザ3を駆動制御して当該半導体レーザ3から励起光Hを出射させるもので、半導体レーザ3の駆動電流や駆動方式、例えばパルス駆動、連続駆動(CW)などを制御する。
導光手段5は、励起光源3から出射される励起光Hを波長変換手段6に導光する。例えば光ファイバである。この光ファイバ5は、例えばコア径50μm、開口数FNA=0.2を有するマルチモード光ファイバである。なお、半導体レーザ3と光ファイバ5との間には、半導体レーザ3から出射される励起光Hを収束させて光ファイバ5に結合するための結合レンズ(不図示)が設けられている。
【0015】
波長変換手段6は、励起光源3から出射された青色領域の励起光Hの一部を透過すると共に、青色領域の励起光Hの一部を吸収し、当該励起光Hよりも長波長側の波長領域の光、ここでは黄色領域の光に波長変換して、励起光Hと波長変換光との混合光である観察光Pを射出するもので、光ファイバ5の射出端側に配置されている。この波長変換手段6は、波長変換部材としての第1の蛍光体7と、光透過部材8と、ホルダ9とを一体的に形成した波長変換ユニット10から成る。
【0016】
この観察光Pは、青色領域と緑色領域と赤色領域とに発光スペクトルの成分を含む。このうち青色領域の発光スペクトルは、ヘモグロビン等の特定観察対象の吸収強度が相対的に吸収されにくい波長領域において小さい。
青色領域の発光スペクトルのピーク波長は、可視光領域におけるヘモグロビン等の特定観察対象の吸収係数が最大となる吸収ピーク波長の吸収係数の値に対して5分の1以上の吸収係数を有する波長領域内に存在する。
青色領域の発光スペクトルの最大強度は、緑色領域と赤色領域との各発光スペクトルの最大強度よりも大きい。
緑色領域の発光スペクトルのピーク波長は、緑色領域内に含まれる波長領域525nm〜555nm内のヘモグロビン等の特定観察対象の吸収係数が最大となる吸収ピーク波長での吸収係数の値に対して2分の1以上の吸収係数を有する波長領域内に存在する。
【0017】
具体的に波長変換手段6は、半導体レーザ3から出射される青色のレーザ光(第1の発光スペクトル)の一部を吸収すると共に、緑色領域内に含まれる波長領域525nm〜555nmを含むブロードな黄色領域の蛍光(第2の発光スペクトル)に波長変換し、かつ第1の発光スペクトルと第2の発光スペクトルとを重ね合わせて観察光Pとして出射する。すなわち、この波長変換手段6は、第1の発光スペクトルと第2の発光スペクトルとを所定の割合で混合して観察光Pとして略白色の光を出射するように、第1の発光スペクトルと第2の発光スペクトルとの成分比率が設定されている。
【0018】
第1の蛍光体7は、Eu(ユーロピウム)賦活のシリケート系蛍光材(以下、シリケート蛍光材と称する)を含む。このシリケート蛍光材は、半導体レーザ3の発する波長420nmの青色のレーザ光を吸収して黄色の蛍光(以下、黄色蛍光と称する)を発する。具体的にシリケート蛍光材は、例えば励起光源3であるレーザダイオードから出射された励起光H(第1のスペクトル成分である青色のレーザ光)の第1の発光スペクトルを吸収し、波長525nm以上にピーク波長を有する第2の発光スペクトル(黄色蛍光)を発する。
【0019】
この第1の蛍光体7は、一般的に以下の光学的な性質を持つ。図3は第1の蛍光体7の吸収/蛍光スペクトル特性を示す。吸収強度がピーク値の半分以上である領域を吸収スペクトルの吸収領域として定義すると、波長380nm〜780nmの可視光領域における第1の蛍光体7の吸収領域は、およそ波長380nm〜480nmである。
蛍光スペクトルは、蛍光ピークが波長565nm(λ2)に存在し、その半値幅は波長95nmのブロードな蛍光スペクトル(第2の発光スペクトル)を有する。この蛍光スペクトルの波形は、蛍光ピーク波長に対して長波長側が短波長側と比べて緩やかな傾斜な特性を有する。蛍光半値幅の短波長端は、波長521nm(λ2−44nm)であり、蛍光半値幅の長波長端は、波長616nm(λ2+51nm)である。
【0020】
この第1の蛍光体7から出射する黄色領域の蛍光(第2の発光スペクトル)は、緑色領域から赤色領域内に含まれる波長領域525nm〜600nmにおいて、連続する発光スペクトル成分を有し、かつ当該波長領域525nm〜600nmの最小強度は、第2の発光スペクトルのピーク強度の5分の1以上である。
【0021】
この第1の蛍光体7の製造方法は、粉末形状のシリケート蛍光材を、シリコーン樹脂やガラスなどの封止材に分散させて、封止材を固化することにより形成される。この蛍光体7の厚さや、封止材に混合されるシリケート蛍光材の濃度条件は、シリケート蛍光材の励起光吸収率や波長変換効率の特性等を考慮して、青色のレーザ光の一部を所望の蛍光、例えば、黄色の蛍光に変換するための所定の条件に設定される。
【0022】
光透過部材8は、透過率が高いガラスやシリコーン樹脂で形成され、光ファイバ5の射出端から射出される励起光Hと、第1の蛍光体7から放射される波長変換光(黄色蛍光)とを透過する性質を有する。
ホルダ9は、光透過部材8と第1の蛍光体7とを保持し、励起光Hが入射する入射部と、励起光Hの一部及び黄色蛍光を射出する射出部とを有する。ホルダ9の内部は、テーパー形状に形成されている。このテーパー形状の内周面には、励起光H及び黄色蛍光を正反射又は拡散反射する反射部材が形成されている。なお、第1の蛍光体7は、ホルダ9の入射部から入射する励起光Hの光路軸上に配置されている。
【0023】
一方、画像取得手段2は、観察光Pが照射された被検体Qの照射領域Sからの反射光Fを撮像し、青色領域と緑色領域と赤色領域とに対応する複数の画像信号に基づいて波長領域の相違する被検体の少なくとも2つの観察画像、例えば通常光観察画像と特殊光観察画像とを取得するもので、撮像手段11と、画像処理手段12と、画像出力手段13とを有する。このうち画像処理手段12は、第1画像生成部12−1と、第2画像生成部12−2とを有する。
撮像手段11は、被検体観察光源1によって照射された被検体Qの領域(照射領域)Sからの反射光Fの像の撮像を行うもので、例えば固体撮像素子(CCD)を有する。このCCDは、青色画素(B画素)と緑色画素(G画素)と赤色画素(R画素)とを備え、これらBGR画素から出力される画素信号を画像処理手段12に伝達する。
【0024】
図4は一般的なCCDの感度特性を示す。具体的にCCDは、青色領域内の波長460nm(λb)に感度ピークを有するB画素と、緑色領域内の波長540nm(λg)に感度ピークを有するG画素と、赤色領域内の波長630nm(λr)に感度ピークを有するR画素を備える。なお、第1のスペクトル成分である励起光H(青色のレーザ光)は、青色領域内に存在する。
【0025】
B画素の感度領域は、長波長側で波長540nmまで存在し、R画素の感度領域は短波長側で波長540nmまで存在する。したがって、B画素とG画素、G画素とR画素では、隣接する波長領域で感度が重なる波長領域を有する。
ここで、波長λに対するB画素の受光感度特性をb(λ)、G画素の受光感度特性をg(λ)、R画素の受光感度特性をr(λ)と定義する。
【0026】
画像処理手段12は、撮像手段11のCCDから出力されたB画素、G画素、R画素の各画素信号を入力し、これら画素信号から第1画像生成部12−1によって被検体Qの第1画像としての通常光観察画像を生成し、第2画像生成部12−2によって第2画像として特殊光観察画像を生成する。
【0027】
具体的に、第1画像生成部12−1は、撮像手段11により反射光Fを撮像したときに取得される青色領域と緑色領域と赤色領域とに対応する各画素信号に基づいて被検体Qの通常光観察画像を生成する、すなわち撮像手段11のCCDから出力されたB画素、G画素、R画素の各画素信号のレベルに基づいて通常光観察画像を生成する。
第2画像生成部12−2は、CCDから出力されたB画素、G画素、R画素の各画素信号のうちB画素、G画素の各画素信号のレベルに基づいて被検体Qにおける特定観察対象、例えば血管K中に流れるヘモグロビンを強調する特殊光観察画像を生成する。
【0028】
これら第1画像生成部12−1と第2画像生成部12−2とは、1つのフレーム期間内に並行して画像生成を行い、通常光観察画像と特殊光観察画像との2画像を生成する機能も有する。具体的に第1画像生成部12−1と第2画像生成部12−2とは、それぞれ撮像手段11のB画素、G画素、R画素により取得した1フレーム分の各画像信号に基づいて被検体Qの同一部位の通常光観察画像と特殊光観察画像とを取得する。
【0029】
又、画像処理手段12は、通常光観察画像と特殊光観察画像との生成時の色情報を決定するホワイトバランス係数を有する。このホワイトバランス係数は、例えば観察光Pの波長λに対する発光強度特性であるP(λ)と、撮像手段11のCCDの受光感度特性であるb(λ)、g(λ)、r(λ)とを掛け合わせた感度特性に対して、反射特性が可視光領域でほぼ平坦な白色板を用いて設定される。
観察光PのP(λ)と撮像手段11のCCDのb(λ)、g(λ)、r(λ)とをそれぞれ掛け合わせた青色、緑色、赤色の各色成分B、G、Rは、以下のように算出される。
【0030】
【数1】
例えば、白色板の反射特性(吸収特性)が可視光領域で一定であった場合は、B/GがGに対するBのホワイトバランス係数Wbであり、R/GがGに対するRのホワイトバランス係数Wrとなる。
色成分B、Rの各ホワイトバランス係数Wb、Wrとが1.0の場合、観察光Pのスペクトル特性とCCDの各画素の感度特性とを掛け合せたときに、B、G、Rの各成分のバランスが良いことを示している。
ホワイトバランス係数WbとWrとの係数による補正により、観察光Pのスペクトルが白色光とは異なっても、通常光観察画像と特殊光観察画像との画像生成は可能である。
ホワイトバランス係数WbとWbとが極端に小さい又は大きい数値では、色バランス設定時に特定画素のノイズが増幅されて生成画像のノイズが大きくなるので、ホワイトバランス係数WbとWrとは、1/3〜3の範囲が好ましい。
【0031】
従って、観察光Pに占める色成分比率に関して、赤色領域に含まれるR画素が最大感度を有する波長600nm以上の赤色光量は、緑画素が最大感度を有する波長領域、例えば波長525nm〜555nmの緑色光量と比較して、1/3以上あることが好ましい。
画像出力手段13は、画像処理手段12で生成された通常光観察画像と特殊光観察画像とを出力するもので、例えば図示しないCRTディスプレイや液晶ディスプレイなどに出力する。また、メモリーカードやハードディスクなどに、画像を保存する手段を有するものでも良い。
【0032】
次に、上記の如く構成されたシステムの動作について説明する。
被検体観察光源1から観察光Pを射出するときの動作は、次の通りである。
被検体観察システムにより被検体Qを観察するために、光源制御手段4は、外部からの入力設定情報に基づいて励起光源3としての半導体レーザをオンにする。この半導体レーザ3がオンになると、当該半導体レーザ3は、波長420nmの青色のレーザ光を出射する。
この半導体レーザ3から出射された青色のレーザ光は、光ファイバ5に入射して当該光ファイバ5に導光され、当該光ファイバ5の射出端側にある波長変換ユニット10に入射する。
【0033】
波長420nmの青色のレーザ光は、第1の蛍光体7に含まれるシリケート蛍光材の吸収領域の波長を有するので、波長変換ユニット10に入射した青色レーザ光の一部は、第1の蛍光体7によって波長565nm付近にピークを有するブロードなスペクトルの黄色蛍光に波長変換される。
波長変換ユニット10に入射し、第1の蛍光体7で吸収されなかった波長420nmの青色レーザ光と、第1の蛍光体7で波長変換された波長565nm付近にピークを持つ黄色蛍光との混合光は、図2に示すように波長変換ユニット10の射出端から観察光Pとして射出される。
【0034】
図5は観察光Pのスペクトル特性P(λ)を示す。なお、各波長の領域(各色の領域)においてスペクトル成分が有するとは、各色領域の最大強度に対して1/20より大きい強度が存在する領域と定義し、最大強度に対して1/20以下となる強度はスペクトル成分を有さないとする。
【0035】
観察光(混合光)Pは、主に、波長420nmにピークを持つ狭帯域の青色レーザ光(第1のスペクトル成分)と、波長565nm付近にピークを有する黄色蛍光(第2のスペクトル成分)とにより成り、かつ白色光付近となるような青色レーザ光と黄色蛍光との成分比率が設定されている。
【0036】
観察光Pにおける青色レーザ光と黄色蛍光との間の波長450nm〜480nmの最大強度は、青色レーザ光のピーク波長(λ1)の強度に対して1/20以下となっている。同観察光Pにおける波長450nm〜480nmの光量は、波長400nm〜440nmの光量の1/20以下となっている。
【0037】
観察光Pの青色領域と緑色領域と赤色領域との光量比率は、例えばおよそ5(青色):3(緑色):2(赤色)となっている。青色レーザ光のピーク波長λ1と蛍光ピークの波長λ2との波長差分は、およそ150nmであり、青色レーザ光の半値幅端と黄色蛍光の半値幅端の波長差分は、およそ80nmである。
波長変換ユニット10から射出される観察光Pは、所定の配光角を有しており、その配光角と波長変換ユニット10の射出端と被検体Qとの距離により、図1に示すような被検体Pを照射する照射領域Sが形成される。
【0038】
次に、観察光Pが被検体Qに照射されたときの動作について説明する。
被検体Qには、図1に示すように血管Kと生体組織J(例えば粘膜など)との少なくとも吸収特性が異なる2種の組織が存在する。
図6は被検体Qにおける血管K内のヘモグロビンの吸収強度の指標となる吸収係数を示す。波長380nm〜780nmの可視光領域において、ヘモグロビンは、波長415nm付近(λh1)と波長540nm付近(λh2)と波長580nm付近(λh3)の異なる各波長に吸収強度ピークを持ち、かつ波長415nm(λh1)付近の吸収強度が最も大きい性質を持つ。
【0039】
一般に内視鏡のNBI観察は、波長415nm付近(λh1)と波長540nm付近(λh2)との各波長領域を含む2つの波長の光、およそ波長400nm〜440nmの光と、およそ波長領域525nm〜555nmの光とを観察光として使用する。
さらに、NBI観察では、当該2つの波長の光が生体組織Jの表面から内部へ侵入する光の深さ及び散乱特性が異なる性質を持つことを利用して血管K等をコントラスト良く観察することで、例えば癌等の発見を容易にする技術(特殊光観察)がある。
【0040】
本実施形態における観察光Pは、波長420nmの青色レーザ光と、波長565nm付近にピークを持つ黄色蛍光とにより白色光となる成分を有している。
波長420nmの青色レーザ光は、生体組織Jの比較的表層部で吸収散乱されるので、生体組織Jの表面近傍の血管Kの観察に有効である。
【0041】
一方、黄色蛍光は、ブロードなスペクトルで、波長540nm付近(λh2)の光を含んでおり、当該波長540nm付近の光は、生体組織Jに照射するときにある程度散乱されつつも、波長420nmの光よりも皮下深くまで進行し、皮下にある血管K等に吸収散乱されるので、皮下組織の血管Kの観察に有効である。好ましくは、蛍光成分のピーク波長λ2は、緑色領域のヘモグロビンの吸収ピーク波長540nm(λh2)の吸収係数に対して、1/2以上である吸収係数の波長帯域内に存在することが、皮下組織の血管Kの観察に吸収される割合増加と、緑色画素の感度が増加する方向となるため、コントラストが高い画像を得ることができる。
【0042】
これに対してヘモグロビンの吸収特性は、図6に示すように波長415nm付近(λh1)から長波長側になるにつれて、吸収強度が急激に低下する傾向を示す。例えば、波長450nmの吸収係数を波長415nm付近(λh1)と比較した場合に、波長差35nmでおよそ1/5まで低下する。
これに対して被検体Q内の生体組織Jは、肌色から赤色を示すものが多く、例えば生体組織Jの吸収特性の一例として、青色領域から赤色領域にかけて吸収係数が緩やかに低下し、青色領域の波長415nm付近(λh1)ではヘモグロビンの吸収係数よりも小さく、波長450nm付近ではヘモグロビンの吸収係数より大きい組織も存在する。
【0043】
血管Kをコントラスト高く観察するためには、ヘモグロビンの吸収係数が生体組織Jよりも大きい波長415nm付近(λh1)の光量を、ヘモグロビンの吸収係数が生体組織Jよりも小さい波長460nm付近の光量よりも多くし、これにより、ヘモグロビンが生体組織Jに対して吸収される観察光Pに含まれている青色領域の光量の割合を増加させることが必要である。
【0044】
画像取得に使用する撮像手段11のCCDのB画素は、波長450nm付近の感度が波長415nm(λh1)付近よりもおよそ2倍程度高い。又、波長領域450nm〜480nmでは、生体組織Jの表面近傍の血管(ヘモグロビン)に対して波長415nm(λh1)よりも吸収されにくい。
従って、波長450nmから長波長側の青色領域である波長領域450nm〜480nmの光量が波長415nm(λh1)付近である波長領域400nm〜440nmの光量の1/2程度の比率であれば、波長領域450nm〜480nmの光量は、コントラストを高める際に画像ノイズとして影響を与えてしまう。
【0045】
従って、画像ノイズの低減のためには、波長領域450nm〜480nmの光量は、波長領域400nm〜440nmの光量の1/5以下に抑えることが有効である。さらに、当該光量を1/10以下とすることで画像ノイズ低減に加えて、コントラスト高い画像を得ることができる。
また、通常光観察用としての観察光Pは、白色光であることが望ましく、特に生体組織J内に多い肌色から赤色を観察するために、緑色から赤色の波長領域にかけて、連続した平坦なスペクトル成分が有効と考えられる。
【0046】
次に、観察光Pの反射光Fを受光して通常光画像と特殊光画像とを生成する動作について説明する。
観察光Pは、照射領域S内にある血管Kや生体組織Jの吸収特性によって一部が吸収され、残りの一部が散乱、反射されて、R画素とG画素とB画素とを有する撮像手段11のCCDで受光される。
B画素の受光感度特性は、波長領域380nm〜540nmに存在するので、B画素が受光する観察光Pの反射光Fは、青色レーザ光と黄色蛍光との短波長領域になる。但し、B画素の波長520nm付近の感度が低いので、主にB画素で受光される成分は青色レーザ光となる。
【0047】
G画素の受光感度特性は、波長領域460nm〜640nmに存在する。G画素で青色領域のスペクトル成分が受光されないことが、G画素の画像ノイズの低減に有効である。G画素で青色領域のスペクトル成分が受光されないようにするためには、観察光Pに含まれる波長領域450nm〜480nmの青色成分を少なくするか、又は青色成分と緑色成分とを波長分離(波長450nm〜480nmの成分は、波長400〜440nmのピーク強度の1/20以下となる領域が5nm以上存在する)することが好ましい。すなわち、観察光はP、波長領域450nm〜480nmにおいて、例えば、第1の発光スペクトルのピーク強度の20分の1以下の強度となる波長領域が連続して5nm以上存在するように設定される。
【0048】
観察光Pの反射光Fは、波長580nm以上の赤色領域成分も含む。R画素は、波長領域540nm〜720nmの感度領域の中で、その赤色の蛍光成分を主に受光する。
撮像手段11は、CCDで受光されたRGBの各画素の受光信号は、それぞれ画像処理手段12に伝送する。
【0049】
この画像処理手段12の第1画像生成部12−1は、撮像手段11のCCDから出力されたB画素、G画素、R画素の各画素信号のレベルに基づいて通常光観察画像を生成する。すなわち、第1画像生成部12−1は、B画素、G画素、R画素の各画素の受光信号と、所定の画像処理(ホワイトバランス、ノイズ低減、構造強調、ガンマ補正など)とに基づき、観察光照射時の通常光観察画像を生成する。通常光観察画像は、観察光Pに含まれる全スペクトル成分を用いて生成される。
【0050】
さらに、画像処理手段12の第2画像生成部12−2は、撮像手段11のCCDから出力されたB画素、G画素の各画素信号のレベルに基づいて特殊光観察画像を生成する。すなわち、第2画像生成部12−2は、B画素の受光信号をB画素とG画素との受光信号として割り当て、G画素の受光信号をR画素の受光信号として割り当てる信号処理と、所定の画像処理とに基づいて観察光照射時の特殊光観察画像を生成する。特殊光観察画像は、観察光に含まれる成分の中で、青色領域と緑色領域のみを用いて生成される。
【0051】
画像出力手段13は、画像処理手段12で生成された通常光観察画像と特殊光観察画像とを例えばCRTディスプレイや液晶ディスプレイなどに出力する。
以上の動作により、被検体Qに1つの観察光Pを照射して、通常光観察と、血管のコントラストを高く強調表示した特殊光観察との2画像を取得することが可能となる。
【0052】
このように上記第1の実施の形態によれば、被検体Qに観察光Pを照射する被検体観察光源1と、この被検体観察光源1によって照射された照射領域Sの画像を取得する画像取得手段11とを備え、当該画像取得手段11は、それぞれ異なる複数の観察画像、例えば通常光観察画像と特殊光観察画像とを取得するので、観察対象である被検体Qの吸収特性を考慮して、特定波長帯域に発光する1つの励起光源3と波長変換6との組合せにより、通常光観察と特殊光観察との両方に使用可能な小型の観察光源を用いた被検体観察システムを実現できる。
【0053】
観察光Pのスペクトル成分の中に、ヘモグロビンの吸収ピーク付近の波長420nmの青色レーザ光と、緑色領域のヘモグロビンの吸収ピーク540nmを含むので、通常光観察と共に、観察光に含まれる成分の中で、青色領域と緑色領域のみを用いての特殊光観察が実現できる。特に、観察光Pに含まれる青色光は、狭帯域の青色レーザ光であり、青色光と緑色光とは分離されているので、生体組織Jの表面の血管Kをコントラスト高く表現した画像を得ることができる。すなわち、第2画像生成部12−2は、B画素の受光信号をB画素とG画素との受光信号として割り当て、G画素の受光信号をR画素の受光信号として割り当てる信号処理と、所定の画像処理とに基づいて観察光照射時の特殊光観察画像を生成できる。
【0054】
観察光Pのスペクトル成分の中には、赤色光も含んだ白色光を実現しているので、所定の画像取得手段と組み合わせた通常光観察が実現できる。
観察光Pのスペクトルは、1つの励起光源3と1つの波長変換部材としての蛍光体7のみを用いて構成しており、励起光源3や波長変換ユニット10を配置する領域に制限のある場合、例えば経鼻内視鏡などに特に有効である。
【0055】
なお、上記第1の実施の形態は、次のように変形してもよい。
励起光源3は、波長領域400nm〜440nmにおける第1の蛍光体7の吸収スペクトルが最大となる波長と、同波長領域400nm〜440nmにおける特定観察対象(ヘモグロビン)の吸収のピーク波長との間の波長領域に、励起光Hの第1の発光スペクトルのピーク波長が存在するようにしてもよい。すなわち、半導体レーザ3から射出する青色レーザ光(励起光Hの第1の発光スペクトル)は、ヘモグロビンの吸収係数が大きい波長400nm〜440nmの間にピーク波長を有するものを使用してもよい。
【0056】
撮像手段11のCCDの青色領域の感度ピークが440nmよりも長波長側にある場合、青色レーザ光のピーク波長は、ヘモグロビンの吸収ピークの415nmと440nmとの間に存在するのがよい。このことは、血管Kのコントラストが高く、明るい画像を得られ易いため好ましい。
【0057】
第1の蛍光体7に含まれる蛍光材は、シリケート蛍光材(Eu賦活の酸化物蛍光材)に限らず、波長400nm〜440nmの光を吸収し、黄色のブロードな蛍光を発光する蛍光材でもよい。これにより、Eu賦活の酸窒化物蛍光材や、Eu賦活の硫化物蛍光材なども使用することができる。
また、第1の蛍光体7に含まれる蛍光材として、すなわちCe(セリウム)賦活のガーネット結晶構造を有する酸化物蛍光材(YAG、TAG)を用いても良い。このCe賦活のガーネット系蛍光材は、波長430nm〜470nmの光を吸収して黄色蛍光を発光可能な材料であるので、例えば波長430nm〜440nmにピークを有する青色レーザ光と組み合わせて使用することができる。又、この第1の蛍光体7を励起する励起光源3として、波長領域415nm〜440nmに第1の発光スペクトルのピーク波長を有するレーザ光を出射するものを用いてもよい。
【0058】
観察光Pに占める青色領域の波長450nm〜480nmの光量は、波長400nm〜440nmの光量と比べて1/5以下までであれば、G画素で受光する青色光成分が少なく、特殊光画像のノイズ成分としての影響が少ない。望ましくは、1/10以下である。
【0059】
以下、変形例について説明する。
図7は波長変換ユニット10の構成図を示す。この波長変換ユニット10は、2つの波長の蛍光を発光する。この波長変換ユニット10は、第1の蛍光体7−1に第2の蛍光体7−2を加え、これら第1の蛍光体7−1と第2の蛍光体7−2とを積層してなる。この第2の蛍光体7−2は、第1の発光スペクトル又は第2の発光スペクトルを吸収し、第2の発光スペクトルのピーク波長よりも長波長側にピーク波長を有する第3の発光スペクトルを発光する。
これら第1の発光スペクトルと第2の発光スペクトルと第3の発光スペクトルとは、所定の割合で混合して観察光Pとして略白色の光を出射するように、第1の発光スペクトルと第2の発光スペクトルと第3の発光スペクトルとの成分比率が設定されている。
【0060】
具体的に、第1の蛍光体7−1は、波長420nmの光を吸収して緑色領域の蛍光を発光するもので、Eu賦活の酸窒化物蛍光材を有している。図8は第1の蛍光体7−1の吸収/蛍光特性を示す。
第2の蛍光体7−2は、赤色領域の蛍光を発光するもので、Eu賦活の窒化物蛍光材を有している。図9は第2の蛍光体7−2の吸収/蛍光特性を示す。なお、第2の蛍光体7-2は、波長420nmを吸収せずに、緑色蛍光を吸収して発光する蛍光体材料でも良い。
波長変換ユニット10は、波長420nmの青色レーザ光と、緑色蛍光と、赤色蛍光とが所定の割合で混合された白色光の観察光Pを射出する。
【0061】
このような波長変換ユニット10であれば、観察光Pが緑色領域から赤色領域にかけて平坦なスペクトルを有する白色光となり、通常光観察時の演色性が向上する。上記第1の実施形態と比較して、赤色領域のスペクトル成分が長波長側まで存在するので、被検体Q内の生体組織Jに多く存在する赤色組織の見え方が再現性高く実現できる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。
図10は本発明の被検体観察システムを適用したカプセル型内視鏡20の構成図を示す。この被検体観察システムは、複数の被検体観察光源、例えば6つの被検体観察光源1−1、1−2等をカプセル型内視鏡20に搭載している。なお、図10では図示する関係上から2つの被検体観察光源1−1、1−2を示す。
この被検体観察システムは、被検体Q内に導入され、当該被検体Q内の画像情報を取得する撮像手段11を備え、上記図1に示す構成と同様に、撮像手段11により取得された画像情報を被検体Q外に送信するカプセル型内視鏡20と、被検体Q外に配置され、カプセル型内視鏡20からの画像情報を受信して被検体Q内のそれぞれ異なる複数の画像、例えば通常光観察画像と特殊光観察画像とを生成する画像処理手段12と、この画像処理手段12により生成された通常光観察画像と特殊光観察画像とを表示する画像出力手段13とにより構成される。
【0062】
このカプセル型内視鏡20は、被検体Q内に照射する観察光Pを射出する2つの被検体観察光源1−1、1−2と、被検体Q内に照射された観察光Pの反射光Fを受光する撮像素子(撮像手段)11とを備える。
このカプセル型内視鏡20は、光透過性の部材により形成された半球状の筺体21を備える。この筺体21内には、中心部が空洞で、リング状に形成された基板22が設けられている。この基板22上には、上記の通り複数の被検体観察光源1−1、1−2等として例えば6個の被検体観察光源が設けられている。又、基板22上には、撮像素子11に被検体Qからの反射光Fを集光するレンズ23が設けられている。撮像素子11とレンズ23とは、同一光軸上に設けられている。
【0063】
図11は被検体観察光源1−1、1−2等の構造図を示す。これら被検体観察光源1−1、1−2は、それぞれ基板22と、この基板22上に搭載された励起光源としての青色LED31と、この青色LED31を覆うように設けられた蛍光体32とを有する。基板22の両端部には、それぞれ電極33−1、33−2が設けられている。これら電極33−1、33−2は、図示しない電池に接続されると共に、それぞれ各ワイヤ34−1、34−2を介して青色LED31に電気的に接続されている。従って、青色LED31は、図示しない電池からの電力供給を受けて発光動作する。
【0064】
又、基板22上には、第1の樹脂35が青色LED31を覆うように設けられている。この第1の樹脂35は、光透過性の樹脂から成る。この第1の樹脂35と青色LED31との間の空間には、第2の樹脂36が充填されている。この第2の樹脂36は、光透過性の樹脂から成る。
【0065】
青色LED31は、波長420nmにピークを持ち、半値幅約20nmの青色LED光(励起光H)を出射する。
蛍光体32は、例えばシリケート粉末蛍光材であって、第1の樹脂35中に封止されている。なお、蛍光体32としては、LED素子上の第2の樹脂36中に封止されていても良い。
図12は各被検体観察光源1−1、1−2等からそれぞれ射出される観察光Pのスペクトル形状を示す。これら被検体観察光源1−1、1−2から出射される観察光Pは、波長420nmにピークを有し、青色LED光と黄色蛍光との比率により白色光として出射される。波長領域450nm〜480nmの光量は、波長領域440nm〜440nmと比べて10分の1以下である。
【0066】
次に、上記の如く構成されたシステムの動作について説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様な動作についてはその概略を説明する。
青色LED31は、電池からの電力供給を受けて発光動作すると、波長420nmにピークを持ち、半値幅約20nmの青色LED光(励起光H)を出射する。この青色LED光は、第2の樹脂36を透過して第1の樹脂35中に封止されている蛍光体32に照射される。
【0067】
この蛍光体32は、青色LED31から出射される青色LED光の一部を吸収すると共に、緑色領域内に含まれる黄色領域の蛍光に波長変換し、かつ青色LED光と黄色領域の蛍光とを重ね合わせて白色光の観察光Pとして出射する。この観察光Pは、上記の通り波長420nmにピークを有し、青色LED光と黄色蛍光との比率により白色光として出射される。波長領域450nm〜480nmの光量は、波長領域440nm〜440nmと比べて10分の1以下である。
【0068】
観察光Pは、照射領域S内にある血管Kや生体組織Jの吸収特性によって一部が吸収され、残りの一部が散乱、反射されて、R画素とG画素とB画素とを有する撮像手段11のCCDで受光される。
この撮像手段11は、CCDで受光されたRGBの各画素の受光信号は、それぞれ画像処理手段12に伝送する。
【0069】
この画像処理手段12の第1画像生成部12−1は、撮像手段11のCCDから出力されたB画素、G画素、R画素の各画素信号のレベルに基づいて通常光観察画像を生成する。すなわち、第1画像生成部12−1は、B画素、G画素、R画素の各画素の受光信号と、所定の画像処理(ホワイトバランス、ノイズ低減、構造強調、ガンマ補正など)とに基づき、観察光照射時の通常光観察画像を生成する。通常光観察画像は、観察光Pに含まれる全スペクトル成分を用いて生成される。
【0070】
第2画像生成部12−2は、撮像手段11のCCDから出力されたB画素、G画素の各画素信号のレベルに基づいて特殊光観察画像を生成する。すなわち、第2画像生成部12−2は、B画素の受光信号をB画素とG画素との受光信号として割り当て、G画素の受光信号をR画素の受光信号として割り当てる信号処理と、所定の画像処理とに基づいて観察光照射時の特殊光観察画像を生成する。特殊光観察画像は、観察光に含まれる成分の中で、青色領域と緑色領域のみを用いて生成される。
【0071】
画像出力手段13は、画像処理手段12で生成された通常光観察画像と特殊光観察画像とを例えばCRTディスプレイや液晶ディスプレイなどに出力する。
このように上記第2の実施の形態によれば、カプセル型内視鏡20において、青色LED31を搭載する被検体観察光源1−1、1−2等から観察光Pを出射し、被検体Qの照射領域Sからの散乱光、反射光を撮像手段11で受光してその受光信号を出力し、第1画像生成部12−1によりBGR画素の各画素信号のレベルに基づいて通常光観察画像を生成し、第2画像生成部12−2によりBG画素の各画素信号のレベルに基づいて特殊光観察画像を生成するので、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することができると共に、波長420nmの青色LEDと黄色蛍光とを組合せた1種類の観察光源で、通常光観察と特殊光観察との両方を使用可能であり、複数の観察用途に複数色のLEDを配置する必要がなく小型化ができる。
又、励起光源3にLEDを使用するので、消費電流が数mAの低いLED駆動電流で観察光Pを出射することが可能である。
【0072】
従って、本実施の形態は、カプセル型内視鏡20のような電池で駆動して観察光Pを出射する小型の構造を有する装置に適用するのに有効である。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1:被検体観察光源、2:画像取得手段、Q:被検体、P:観察光、3:励起光源(半導体レーザ)、4:光源制御手段、5:導光手段(光ファイバ)、6:波長変換手段、H:励起光、7:第1の蛍光体、7−1:第1の蛍光体、7−2:第2の蛍光体、8:光透過部材、9:ホルダ、10:波長変換ユニット、11:撮像手段、12:画像処理手段、12−1:第1画像生成部、12−2:第2画像生成部、13:画像出力手段、20:カプセル型内視鏡、1−1,1−2:被検体観察光源、21:筺体、22:基板、23:レンズ、31:青色LED、32:蛍光体、33−1,33−2:電極、34−1,34−2:ワイヤ、35:第1の樹脂、36:第2の樹脂。
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