特許第6253303号(P6253303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6253303
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】プラント点検支援システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20171218BHJP
【FI】
   G05B23/02 T
【請求項の数】8
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2013-168482(P2013-168482)
(22)【出願日】2013年8月14日
(65)【公開番号】特開2015-36908(P2015-36908A)
(43)【公開日】2015年2月23日
【審査請求日】2016年4月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】306022513
【氏名又は名称】新日鉄住金エンジニアリング株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390022873
【氏名又は名称】NSプラント設計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100183667
【弁理士】
【氏名又は名称】鄭 聖曄
(72)【発明者】
【氏名】宮田 浩紀
(72)【発明者】
【氏名】南里 和成
(72)【発明者】
【氏名】赤池 裕平
【審査官】 稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−189513(JP,A)
【文献】 特開平03−123170(JP,A)
【文献】 特開2012−003726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントにおける現場計測器群または現場操作端群からの信号に対して処理を行うホストコンピュータと、
前記ホストコンピュータにより前記処理されたデータの入力を受け、前記データを加工するサーバと、
前記プラントに対する点検を実行するための携帯端末とを備え、
前記携帯端末は、
当該携帯端末がオンライン環境にあるか否かを判断する環境判断手段と、
前記環境判断手段により当該携帯端末が前記オンライン環境にあると判断された場合に、前記プラントを点検するために必要な点検ソフトウェアおよび前記サーバにより加工された点検データを前記サーバよりインターネットを経由してダウンロードするダウンロード手段と、
前記ダウンロード手段が前記サーバよりダウンロードした前記点検ソフトウェアおよび前記点検データを表示するディスプレイと、
前記点検ソフトウェアおよび前記点検データを元に、オンライン及びオフラインに関係なく前記プラントに対する前記点検を実行するための点検実行手段と、
前記環境判断手段により当該携帯端末が前記オンライン環境にあると判断された場合に、前記点検の結果を前記サーバにアップロードするアップロード手段とを備え
前記サーバは、前記ホストコンピュータにより前記処理されたデータを入力し、当該入力データにおける文字情報についてはHTMLを用いて加工し、当該入力データにおける図形情報についてはSVGを用いて加工し、前記文字情報および前記図形情報における処理手順および動的処理についてはJavascript(登録商標)を用いて加工する加工手段を有し、
前記携帯端末は、前記サーバにより前記HTML、前記SVG、または前記Javascriptを用いて加工されたデータをインターネットを経由して受信し、当該受信データを前記ディスプレイを通じて表示処理する制御部を有し、
前記制御部は、
前記HTML内に前記SVGを表示する記述がある場合、前記サーバから前記インターネットを経由して前記SVGを受信し、前記ディスプレイのうち前記HTMLの記述に基づいた部分に受信した当該SVGを表示させる第1の処理と、
前記HTML内に前記Javascriptを使用する記述がある場合、前記サーバから前記インターネットを経由して制御データを受信する第2の処理とを実行する、プラント点検支援システム。
【請求項2】
前記携帯端末は、
前記ダウンロード手段が前記サーバよりダウンロードした前記点検ソフトウェアおよび前記点検データを格納する格納手段と、
前記サーバよりこれからダウンロードすべき点検ソフトウェアおよび点検データと、前記格納手段に既に格納された点検ソフトウェアおよび点検データとが一致するか否かを比較する比較手段とを更に備え、
前記ダウンロード手段は、前記比較手段による当該比較において、一致した点検ソフトウェアおよび点検データをダウンロードせず、一致しない点検ソフトウェアおよび点検データのうち、前記サーバにのみ存在する点検ソフトウェアおよび点検データをダウンロードする、請求項1に記載のプラント点検支援システム。
【請求項3】
前記携帯端末は、前記比較手段による当該比較において、一致しない点検ソフトウェアおよび点検データのうち、前記格納手段にのみ存在する点検ソフトウェアおよび点検データを削除する削除手段を更に備え、
前記比較手段による当該比較において、一致した点検ソフトウェアおよび点検データは、前記格納手段にそのまま保存される、請求項2に記載のプラント点検支援システム。
【請求項4】
前記削除手段は、前記比較手段による当該比較において、一致しない点検ソフトウェアおよび点検データのうち、前記格納手段にのみ存在し且つダウンロード回数が所定の閾値未満の点検ソフトウェアおよび点検データは削除するとともに、前記格納手段にのみ存在し且つダウンロード回数が所定の閾値以上の点検ソフトウェアおよび点検データは削除しない、請求項に記載のプラント点検支援システム。
【請求項5】
前記削除手段は、前記格納手段に存在する点検ソフトウェアおよび点検データのうち、ダウンロードされてから所定の期間を過ぎた点検ソフトウェアおよび点検データは削除するとともに、ダウンロードされてから所定の期間を過ぎていない点検ソフトウェアおよび点検データは削除しない、請求項3または4に記載のプラント点検支援システム。
【請求項6】
前記ダウンロード手段は、ユーザによるシステムへのログインが行われた場合に、前記プラントを点検するために必要な点検ソフトウェアおよび前記サーバにより加工された点検データのうちダウンロード回数が所定の閾値以上の点検ソフトウェアおよび点検データを自動的にダウンロードする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプラント点検支援システム。
【請求項7】
前記ダウンロード手段は、ユーザによるシステムへのログインが行われた場合に、前記プラントを点検するために必要な点検ソフトウェアおよび前記サーバにより加工された点検データのうちダウンロード回数が所定の閾値以上の点検ソフトウェアおよび点検データを前記比較手段による当該比較を経ることなしにダウンロードする、請求項2〜5のいずれか一項に記載のプラント点検支援システム。
【請求項8】
前記ダウンロード回数は、当該プラント点検支援システムを利用して前記プラントを点検するユーザ毎のダウンロード回数である、請求項4、6またはに記載のプラント点検支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラント点検支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プラントの運転等を監視・操作するための装置が知られている(例えば特許文献1を参照)。特許文献1に開示された現場点検支援システムでは、インターネットを介して通信可能な携帯型の端末を利用した現場点検の方法が提案されている。このシステムでは、プラントの運転等を適切に監視・操作するために、携帯型の端末がインターネットに常時つながっていることを前提とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−003726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、プラント内は、構内放送(ページング)、構内電話、無線計装、プラントの複雑な構造など、無線ネットワークの安定性を阻害する要因が多数存在するため、無線ネットワークの接続安定性が悪いといえる。つまり、ネットワークが頻繁に切断されることが想定される。そのため、ネットワークへの常時接続が前提のシステムは、その利用が困難な場合がある。
【0005】
その解決策として、無線ネットワークのアクセスポイントを増やすことにより、接続を安定させることが考えられる。しかし、どれだけアクセスポイントを増やしても、他の無線機器からの影響を完全に排除することはできず、また、高コストとなる問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記に鑑みてなされたもので、ネットワークが安定していない場合でも、プラントの点検に使用可能なプラント点検支援システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のプラント点検支援システムは、プラントにおける現場計測器群または現場操作端群からの信号に対して処理を行うホストコンピュータと、前記ホストコンピュータにより前記処理されたデータの入力を受け、前記データを加工するサーバと、前記プラントに対する点検を実行するための携帯端末と、を備え、前記携帯端末は、当該携帯端末がオンライン環境にあるか否かを判断する環境判断手段と、前記環境判断手段により当該携帯端末が前記オンライン環境にあると判断された場合に、前記プラントを点検するために必要な点検ソフトウェアおよび前記サーバにより加工された点検データを前記サーバよりインターネットを経由してダウンロードするダウンロード手段と、前記ダウンロード手段が前記サーバよりダウンロードした前記点検ソフトウェアおよび前記点検データを表示するディスプレイと、前記点検ソフトウェアおよび前記点検データを元に、前記プラントに対する前記点検を実行するための点検実行手段と、前記環境判断手段により当該携帯端末が前記オンライン環境にあると判断された場合に、前記点検の結果を前記サーバにアップロードするアップロード手段と、を備える。
【0008】
このような本発明のプラント点検支援システムによれば、オンライン環境下で、サーバから携帯端末へ点検に必要な点検ソフトウェアおよび点検データをダウンロードし、携帯端末側ではオンライン・オフラインに関係なくプラント点検を実行し、当該点検の結果をオンライン環境下でサーバにアップロードする。以上により、携帯端末がネットワークへ常時接続されている必要がなくなり、ネットワークが安定していない場合でも、本発明のプラント点検支援システムのユーザはプラントの点検作業(結果の入力、閲覧など)を実行することが可能となる。また、ネットワークへの接続性を高めるために、アクセスポイントの数を増やすことにより高コストになることを防止できる。
【0009】
また、本発明において、前記携帯端末は、前記ダウンロード手段が前記サーバよりダウンロードした前記点検ソフトウェアおよび前記点検データを格納する格納手段と、前記サーバよりこれからダウンロードすべき点検ソフトウェアおよび点検データと、前記格納手段に既に格納された点検ソフトウェアおよび点検データとが一致するか否かを比較する比較手段と、を更に備え、前記ダウンロード手段は、前記比較手段による当該比較において、一致した点検ソフトウェアおよび点検データをダウンロードせず、一致しない点検ソフトウェアおよび点検データのうち、前記サーバにのみ存在する点検ソフトウェアおよび点検データをダウンロードしても良い。
【0010】
この発明によれば、比較手段による比較において、一致した点検ソフトウェアおよび点検データはダウンロードされず、携帯端末の格納手段にそのまま保存される。一方で、比較手段による比較において、一致しない点検ソフトウェアおよび点検データのうち、サーバにのみ存在する点検ソフトウェアおよび点検データだけがダウンロードされる。これにより、サーバと携帯端末間の情報の送受信量を減らすことができ、ダウンロードにかかる時間を短縮することができる。本発明は、プラントという無線ネットワークの接続安定性が悪い環境を前提としており、このような環境下において、サーバと携帯端末間の情報の送受信量を減らし、且つダウンロードにかかる時間を短縮することは特に大きな意味がある。
【0011】
また、本発明において、前記携帯端末は、前記比較手段による当該比較において、一致しない点検ソフトウェアおよび点検データのうち、前記格納手段にのみ存在する点検ソフトウェアおよび点検データを削除する削除手段を更に備え、前記比較手段による当該比較において、一致した点検ソフトウェアおよび点検データは、前記格納手段にそのまま保存されても良い。
【0012】
この発明によれば、比較手段による比較において、一致しない点検ソフトウェアおよび点検データのうち、格納手段にのみ存在する点検ソフトウェアおよび点検データを削除することにより、携帯端末に格納すべきデータの容量を減らすことができる。これにより、携帯端末に必要な記憶容量を最小化することができ、携帯端末のためのコストを減らすことができる。
【0013】
また、本発明において、前記ダウンロード手段は、ダウンロード回数が所定の閾値以上の点検ソフトウェアおよび点検データをダウンロードしても良い。
【0014】
この発明によれば、ダウンロード回数が所定の閾値以上の点検ソフトウェアおよび点検データがダウンロードされることによって、ユーザにより頻繁に使用される点検ソフトウェアおよび点検データを事前にダウンロードすることができる。
【0015】
また、本発明において、前記削除手段は、前記比較手段による当該比較において、一致しない点検ソフトウェアおよび点検データのうち、前記格納手段にのみ存在し且つダウンロード回数が所定の閾値未満の点検ソフトウェアおよび点検データは削除するとともに、前記格納手段にのみ存在し且つダウンロード回数が所定の閾値以上の点検ソフトウェアおよび点検データは削除しなくても良い。
【0016】
この発明によれば、比較手段による比較において、一致しない点検ソフトウェアおよび点検データのうち、格納手段にのみ存在し且つダウンロード回数が所定の閾値未満の点検ソフトウェアおよび点検データは削除するとともに、格納手段にのみ存在し且つダウンロード回数が所定の閾値以上の点検ソフトウェアおよび点検データは削除しない。これにより、ダウンロードの回数に基づき、格納手段からの削除要否を判断することができ、ダウンロードの回数が多く、今後使用される可能性が高い点検ソフトウェアおよび点検データについては削除せずに保存することができる。これにより、サーバと携帯端末間の情報の送受信量を更に減らすことができる。
【0017】
また、本発明において、前記ダウンロード回数は、当該プラント点検支援システムを利用して前記プラントを点検するユーザ毎のダウンロード回数であっても良い。
【0018】
この発明によれば、ダウンロード回数は、当該プラント点検支援システムを利用してプラントを点検するユーザ毎のダウンロード回数である。これにより、ユーザに特化したサービスを提供できる。
【0019】
また、本発明において、前記削除手段は、前記格納手段に存在する点検ソフトウェアおよび点検データのうち、ダウンロードされてから所定の期間を過ぎた点検ソフトウェアおよび点検データは削除するとともに、ダウンロードされてから所定の期間を過ぎていない点検ソフトウェアおよび点検データは削除しなくても良い。
【0020】
この発明によれば、削除手段が、格納手段に存在する点検ソフトウェアおよび点検データのうち、ダウンロードされてから所定の期間を過ぎた点検ソフトウェアおよび点検データは削除するとともに、ダウンロードされてから所定の期間を過ぎていない点検ソフトウェアおよび点検データは削除しない。これにより、点検ソフトウェアおよび点検データのダウンロード日付に基づき、格納手段からの削除要否を判断することができ、例えば使用頻度の低い点検ソフトウェアおよび点検データを削除することができる。これにより、携帯端末の記憶領域を効率的に利用できる。
【0021】
また、本発明において、前記サーバは、前記ホストコンピュータから入力を受けたデータにおける文字情報、図形情報、並びに前記文字情報および前記図形情報における処理手順および動的処理について加工し、前記携帯端末は、当該加工後のデータをHTML、SVG、およびJavascriptを用いて表示しても良い。
【0022】
この発明によれば、サーバが、ホストコンピュータからの入力データに対して加工し、その加工後のデータを携帯端末がHTML、SVG、Javascriptを用いて表示する。HTML、SVG、Javascriptは昨今の一般的な携帯端末が備えている極平凡な機能である。したがって、本発明においては、携帯端末において、あえてHTML、SVG、Javascriptの3つの極平凡な機能を用いてデータ表示を行うことにより、携帯端末がJAVA仮想マシンなどの特定の環境を具備する必要がなく、例えばWindows(登録商標)やApple(登録商標)のノートPC、iPad(登録商標)等のタブレット、iPhone(登録商標)やAndroid(登録商標)端末のスマートフォン等の一般的な携帯端末であっても、本発明のプラント点検支援システムを利用することができる。よって、本発明のプラント点検支援システムを利用するための携帯端末の利便性が高まる。なお、HTML、SVG、Javascriptのように、一般的な携帯端末が備えている極平凡な機能であれば、HTML、SVG、Javascriptの代わりに使用できる。例えば、Javascriptの代わりに、Dart(登録商標)が使用できる。
【0023】
また、本発明によれば、遠隔地からプラントの点検状況を監視することが可能となる。したがって、プラントの運転熟練者が現場にいなくても遠隔地からプラント点検状況を監視できる。このため、これまでは熟練者が現地に直接出張して指導をしていたが、遠隔地からアドバイスを与えることが可能となり、非熟練者であっても熟練者のアドバイスを受けて現場点検が可能となる。つまり、熟練者が場所に縛られずに複数の現場を支援することができる。特に海外でプラントを建設する場合はオペレータの熟練度が低いため、これまでは長期間の操業指導が必要であったが、本発明のプラント点検支援システムを使うことにより、点検等の操業指導が遠隔地から可能となり、派遣期間の短縮が可能となる。
【0024】
また、本発明においては、SVGを用いることにより、高速な画像処理を行うことができる。更に、本発明の分野であるプラント分野においては、表示画面の大部分を占めているバックグラウンドが固定され、要素が頻繁に変更されるだけの形となっている場合が多く、つまり変化する内容が限定されている場合が多く、特にこのような場合には、SVGを用いることにより、高速な画像処理を行うことができる。また、HTMLを用いることにより、図形情報に比べて変化の少ない文字情報に対して安定的に且つ利便性良く処理を行うことができる。更にJavascriptを用いることにより、文字情報および図形情報における処理手順および動的処理に対して安定的に且つ利便性良く処理を行うことができる。
【0025】
ところで、プラントという環境の特殊性に鑑みれば、同じプラント内であっても、整備や操業など業務内容によって、携帯端末を使用する環境が変わる。このため、例えば、携帯端末が高温・多湿の環境下で使用される場合には、そのような環境に対応した携帯端末を選定する必要がある。つまり、プラント環境下ではユーザの作業状況に合わせて携帯端末を選定できるようにすることが望ましい。しかし、携帯端末に直接インストールするネイティブソフトウェアは一般的に使用機器が制約されている。つまり、製作メーカが動作保証する端末を限定する場合がある。この問題に対する解決策として、動作保証端末の種類を増やすことが考えれるが、動作検証にコストがかかるといった問題がある。そこで、本発明のように、HTML、SVG、Javascriptを用いて、機器に依存せず、携帯端末のディスプレイ上でWEBアプリケーションを動作させることにより、使用状況に合わせて自由に携帯端末を選定できるようになる。また、仕様が改善された新しい携帯端末を迅速に導入することができるようになる。
【0026】
また、プラントの耐用年数は数十年と長いため、そこで使用される携帯端末も長期間の使用に耐えることが求められる。しかし、一般的にIT機器は耐用年数が短く、ハードウェアやソフトウェアが頻繁に更新される。ネイティブソフトウェアは、ハードウェアおよびソフトウェアに依存するため、これらが更新されると携帯端末を使用できなくなる可能性がある。この問題に対する解決策として、プラントの耐用年数に合わせて予め予備品を大量に用意しておくことが考えられるが、コストが高くかかるだけではなく、新しい技術を容易に導入することが困難となるといった問題がある。また、携帯端末の更新と同時にソフトウェアも更新していくことも考えられるが、更新毎にソフトウェアの改造が発生するため、高コストとなる問題がある。そこで、本発明のように、HTML、SVG、Javascriptを用いて、機器に依存せず、携帯端末のディスプレイ上でWEBアプリケーションを動作させることにより、携帯端末を長期間に渡って安定して使用することが可能となる。また、新規技術の導入による高機能化も容易に行える。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ネットワークが安定していない場合でも、プラントの点検に使用可能なプラント点検支援システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】PlantPAD100の構成概要図である。
図2】携帯端末1、ホストコンピュータ6、サーバ7、プロセス制御装置9のハードウェア構成図である。
図3】サーバ7の構成概要図である。
図4】携帯端末1の構成概要図である。
図5】PlantPAD100における代表的な画面のうち、プラント全体の状況を示す画面である。
図6】PlantPAD100における代表的な画面のうち、警報を表示する画面である。
図7】PlantPAD100における代表的な画面のうち、トレンドを表示する画面である。
図8】PlantPAD100における代表的な画面のうち、ITV(industrialtelevision)画像を表示する画面である。
図9】SVGによって表示色を変更表示させることを説明するための図である。
図10】SVGによって文字や数値を変更表示させることを説明するための図である。
図11】SVGによってバーグラフを変更表示させることを説明するための図である。
図12】PlantPAD100の動作を示すためのイメージ図である。
図13】本実施形態におけるデータ更新を行うことにより、どれだけ更新時間が短縮されたかを示す図である。
図14】ユーザがPlantPAD100にログインした後に、初回の点検入力画面をロードし、プラントの点検を行う際の動作を示すフローチャートである。
図15】ユーザがPlantPAD100にログインした後に、2回目以降の点検入力画面をロードし、プラントの点検を行う際の動作を示すフローチャートである。
図16】例えば「ユーザA」の点検ソフトウェア別ダウンロード回数を示す図である。
図17】例えば「ユーザA」の点検データ別ダウンロード回数を示す図である。
図18】ユーザ毎の属性および閾値を示す図である。
図19】本実施形態で提案するダウンロード方法を適用することにより、ダウンロード時間がどの程度高速化されるかに関する検証について説明するための図である。
図20】本実施形態で提案するダウンロード方法を適用することにより、ダウンロード時間がどの程度高速化されるかに関する検証について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して本発明にかかるプラント点検支援システムの好適な実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0030】
(PlantPAD100の全体構成)
まず、本発明の実施形態に係るPlantPAD100(特許請求の範囲の「プラント点検支援システム」に相当)の構成について、図1図4を参照しながら説明する。図1は、PlantPAD100の構成概要図である。図1に示すように、PlantPAD100は、携帯端末1a〜1d、ホストコンピュータ6、サーバ7、プロセス制御装置9、計測機器10(特許請求の範囲の「現場計測器群」に相当)、バルブ21、モータ22(以上、特許請求の範囲の「現場操作端群」に相当)から構成される。携帯端末1(「携帯端末1a〜1d」の総称)とサーバ7は、インターネット・構内ネットワーク2、ルータ3、無線LANアクセスポイント4、拡張ネットワーク5等を介してネットワーク接続されている。また、ホストコンピュータ6、サーバ7、およびプロセス制御装置9は、制御用ネットワーク8を介してそれぞれネットワーク接続されている。更に、計測機器10、バルブ21、およびモータ22は、プロセス制御装置9とネットワーク接続されている。インターネット・構内ネットワーク2は、例えば有線LAN、WiFi等の無線LAN、または3G電話回線等であり、拡張ネットワーク5は例えばWiFi等の無線LANであり、制御用ネットワーク8は例えばイーサネット(登録商標)である。
【0031】
図2は携帯端末1のハードウェア構成図である。図2に示すように、携帯端末1は、物理的には、CPU11、主記憶装置であるROM12及びRAM13、操作ボタンなどの入力デバイス14、LCDや有機ELディスプレイなどの出力デバイス15(特許請求の範囲の「ディスプレイ」に相当)、他の装置との間でデータの送受信を行う通信モジュール16、メモリディバイス等の補助記憶装置17を備えて構成される。後述する携帯端末1の各機能は、CPU11、ROM12、RAM13等のハードウェア上に所定のソフトウェアを読み込ませることにより、CPU11の制御の元で入力デバイス14、出力デバイス15、通信モジュール16を動作させると共に、主記憶装置12,13や補助記憶装置17におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。携帯端末1は、HTML、SVG、Javascriptの3つの極平凡な機能を用いてデータの授受、表示、更新等を行うものである。携帯端末1は、JAVA仮想マシンなどの特定の環境を具備していない。携帯端末1の例示としては、例えばWindowsやAppleのノートPC、iPad等のタブレット、iPhoneやAndroid端末のスマートフォン等の一般的な携帯端末が挙げられる。
【0032】
図2は、ホストコンピュータ6、サーバ7、プロセス制御装置9それぞれのハードウェア構成図でもある。図2に示すように、ホストコンピュータ6、サーバ7、プロセス制御装置9は、物理的には、CPU61,71,91、ROM62,72,92及びRAM63,73,93等の主記憶装置、キーボード及びマウス等の入力デバイス64,74,94、ディスプレイ等の出力デバイス65,75,95、他の装置との間でデータの送受信を行うためのネットワークカード等の通信モジュール66,76,96、ハードディスク等の補助記憶装置67,77,97などを含む通常のコンピュータシステムとして構成される。後述するホストコンピュータ6、サーバ7、プロセス制御装置9の各機能は、CPU61,71,91、ROM62,72,92、RAM63,73,93等のハードウェア上に所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPU61,71,91の制御の元で入力デバイス64,74,94、出力デバイス65,75,95、通信モジュール66,76,96を動作させると共に、主記憶装置62,72,92,63,73,93や補助記憶装置67,77,97におけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0033】
図1に戻り、ホストコンピュータ6は、プラントにおける計測機器10、バルブ21、モータ22からの信号に対して処理を行うものである。プロセス制御装置9が計測機器10、バルブ21、モータ22からの信号を制御用ネットワーク8を経由してホストコンピュータ6に送信すると、ホストコンピュータ6は当該受信信号に対してデータベース処理、演算処理、制御装置管理処理、データ解析処理等の各種処理を行う。ホストコンピュータ6は、当該処理後のデータをサーバ7に制御用ネットワーク8を経由して出力する。
【0034】
(サーバ7の構成)
図3は、サーバ7の構成概要図である。サーバ7は、ホストコンピュータ6により処理されたデータの入力を受け、当該データを加工するものである。サーバ7は、入力部701、比較部702、加工部703、および送信部704を備える。サーバ7の入力部701は、ホストコンピュータ6により処理されたデータを入力するものである。サーバ7の加工部703は、当該入力データにおける文字情報についてはHTML(ハイパー テキスト マークアップ ランゲージ、HyperText MarkupLanguage)を用いて加工し、当該入力データにおける図形情報についてはSVG(スケーラブル ベクター グラフィックス、Scalable VectorGraphics)を用いて加工し、文字情報および図形情報における処理手順および動的処理についてはJAVA(ジャバ)、PHP(ピーエイチピー)等の一般的なプログラミング言語(C言語等を含む。)を用いて加工するものである。サーバ7の送信部704は、加工部703によりHTML、SVG、JAVA、PHP等を用いて加工されたデータをインターネット・構内ネットワーク2等を経由して携帯端末1に送信するものである。
【0035】
サーバ7の比較部702は、加工部703により加工される前のデータと、ホストコンピュータ6により入力されてくるデータとを比較するものである。比較部702が当該比較の結果を加工部703に出力すると、加工部703は比較部702により相違があると判断されたデータのみを更新して加工する。ここで、加工部703の更新においては、HTMLを用いて加工されたデータの更新周期を、SVGを用いて加工されたデータの更新周期より遅くして、更新が行われる。例えば、HTMLを用いて加工されたデータの更新周期を1secとし、SVGを用いて加工されたデータの更新周期を0.5secとすることができる。サーバ7の送信部704は、上記データ比較により更新されたデータのみをインターネット・構内ネットワーク2等を経由して携帯端末1に送信する。
【0036】
(携帯端末1の構成)
図4は、携帯端末1の構成概要図である。携帯端末1は、ユーザがプラントに対する点検を実行するためのものであって、環境判断部101、 第1比較部102(特許請求の範囲の「比較手段」に相当)、ダウンロード部103(特許請求の範囲の「ダウンロード手段」に相当)、格納部104(特許請求の範囲の「格納手段」に相当)、削除部105(特許請求の範囲の「削除手段」に相当)、ディスプレイ106、第2比較部107、点検実行部108(特許請求の範囲の「点検実行手段」に相当)、およびアップロード部109(特許請求の範囲の「アップロード手段」に相当)を備える。
【0037】
環境判断部101は、携帯端末1がオンライン環境にあるか否かを判断するものである。環境判断部101は、当該判断の結果をダウンロード部103に出力する。
【0038】
第1比較部102は、サーバ7よりこれからダウンロードすべき点検ソフトウェアおよび点検データと、格納部104に既に格納された点検ソフトウェアおよび点検データとが一致するか否かを比較するものである。第1比較部102は、当該比較の結果をダウンロード部103に出力する。
【0039】
ダウンロード部103は、環境判断部101により携帯端末1がオンライン環境にあると判断された場合に、プラントを点検するために必要な点検ソフトウェアおよびサーバ7により加工された点検データをサーバ7よりインターネット・構内ネットワーク2を経由してダウンロードするものである。ダウンロード部103がサーバ7によりダウンロードする点検ソフトウェアおよび点検データは、HTML、SVG、JAVA、PHP等を用いて作成および加工されたものである。ダウンロード部103は、第1比較部102による上記比較において、一致した点検ソフトウェアおよび点検データをダウンロードしない。一方で、ダウンロード部103は、一致しない点検ソフトウェアおよび点検データのうち、携帯端末1には存在せず、サーバ7にのみ存在する点検ソフトウェアおよび点検データをダウンロードする。また、ダウンロード部103は、ユーザがPlantPAD100のシステムにログインした際に、ダウンロード回数が予め設定された所定の閾値以上のものを自動的にダウンロードしても良い。
【0040】
格納部104は、ダウンロード部103がサーバ7よりダウンロードした点検ソフトウェアおよび点検データを格納するものである。
【0041】
削除部105は、第1比較部102による上記比較において、一致しない点検ソフトウェアおよび点検データのうち、サーバ7には存在せず、携帯端末1の格納部104にのみ存在する点検ソフトウェアおよび点検データを削除するものである。一方、第1比較部102による上記比較において、一致した点検ソフトウェアおよび点検データは、削除部105により削除されず、格納部104にそのまま保存される。
【0042】
また、削除部105は、第1比較部102による上記比較において、一致しない点検ソフトウェアおよび点検データのうち、サーバ7には存在せず、携帯端末1の格納部104にのみ存在し且つダウンロード回数が所定の閾値未満の点検ソフトウェアおよび点検データを削除しても良い。これとともに、削除部105は、第1比較部102による上記比較において、一致しない点検ソフトウェアおよび点検データのうち、サーバ7には存在せず、携帯端末1の格納部104にのみ存在し且つダウンロード回数が所定の閾値以上の点検ソフトウェアおよび点検データを削除しないようにしても良い。ここでいう「ダウンロード回数」は、「PlantPAD100を利用してプラントを点検するユーザ毎のダウンロード回数」であっても良い。
【0043】
更に、削除部105は、格納部104に存在する点検ソフトウェアおよび点検データのうち、ダウンロードされてから所定の期間を過ぎた点検ソフトウェアおよび点検データを削除しても良い。これとともに、削除部105は、格納部104に存在する点検ソフトウェアおよび点検データのうち、ダウンロードされてから所定の期間を過ぎていない点検ソフトウェアおよび点検データを削除しないようにしても良い。
【0044】
ディスプレイ106は、ダウンロード部103がサーバ7よりダウンロードした点検ソフトウェアおよび点検データを表示するものである。
【0045】
第2比較部107は、ディスプレイ106において現在表示中のデータと、サーバ7により送信されてくるデータとを比較するものである。第2比較部107が当該比較の結果をディスプレイ106に出力すると、ディスプレイ106は、第2比較部107により相違があると判断されたデータのみを更新して表示する。ここで、ディスプレイ106の更新においては、HTMLを用いて加工されたデータの更新周期を、SVGを用いて加工されたデータの更新周期より遅くして、更新が行われる。例えば、HTMLを用いて加工されたデータの更新周期を1secとし、SVGを用いて加工されたデータの更新周期を0.5secとすることができる。
【0046】
点検実行部108は、ディスプレイ106に表示された点検ソフトウェアおよび点検データを元に、ユーザがプラントに対する当該点検を実行するためのものである。点検実行部108を用いたユーザの点検動作は、格納部104に格納され又はディスプレイ106に表示された点検ソフトウェアおよび点検データを元に行われるため、ユーザは携帯端末1がオンライン環境にあるかオフライン環境にあるかにかかわらず、プラントに対する点検を行うことができる。点検実行部108は、当該点検の結果をアップロード部109に出力する。
【0047】
アップロード部109は、環境判断部101により携帯端末1がオンライン環境にあると判断された場合に、点検実行部108からの上記点検の結果をサーバ7にアップロードするものである。
【0048】
(サーバ7の加工部703の詳細)
以下、サーバ7の加工部703について、より詳細に説明する。サーバ7の加工部703は、文字情報についてはHTMLを用いて加工し、図形情報についてはSVGを用いて加工し、文字情報および図形情報における処理手順および動的処理についてはJAVA、PHP等の一般的なプログラミング言語を用いて加工する。ここで、サーバ7の加工部703が、なぜ、HTML、SVG、JAVA、PHP等の言語を用いて加工を行うか、その理由について説明する。図5図8は、PlantPAD100における代表的な画面を示している。図5はプラント全体の状況を示す画面であり、図6は警報を表示する画面であり、図7はトレンドを表示する画面であり、図8はITV(industrial television)画像を表示する画面であり、これらの画面は携帯端末1のディスプレイ106に表示される画面である。
【0049】
図5のプラント全体の状況を示す画面は、プラント全体を模式図的に表示するものであり、機器の稼働状況を色で表示する(例えば、赤:運転中、緑:停止中、黄色:故障中、等)。また、弁の開閉状況を色で表示する(例えば、赤:開、緑:閉、等)。更に、プロセスの状態を数値で表示する(例えば、圧力、温度、流量、濃度等)。更にまた、最新の警報情報を文字情報として表示する(図5の下段部分)。ここで、機器の稼働状況、弁の開閉状況、およびプロセスの状態は、図形表示が主体であり且つ変化が多い部分であるため、SVGで情報を加工することが好適である。なお、図5では、SVGで情報加工された部分が「S」で表示されている。ここで、「S」で表示されている部分に文字や数字も入っているようにみえるが、ここの文字や数字はあくまでも「S」で表示されている図形部分全体における一部として処理される部分であり、特許請求の範囲における「文字情報」には相当せず、「図形情報」に相当する。また、最新の警報情報は、文字表示が主体であり且つ変化が少ない部分であるため、HTMLで情報を加工することが好適である。なお、図5では、HTMLで情報加工された部分が「H」で表示されている。
【0050】
図6の警報を表示する画面は、文字表示が主体のため、HTMLで情報を加工することが好適である。図7のトレンドを表示する画面においては、グラフ図形の表示はSVGで情報を加工することが好適であり、文字情報の表示はHTMLで情報を加工することが好適である。図8のITV画像を表示する画面はカメラのストリーミングデータを表示しており、HTMLにストリーミングデータを貼り付けることが好適な表示方法である。また、図5図8の画面について、処理手順やデータ更新等の動的処理についてはJAVA、PHP等の一般的なプログラミング言語を用いて情報を加工することが好適である。
【0051】
以上のように、プラントを携帯端末1で監視する装置において、プラント監視画面の特徴に最も適合した最良の情報の加工方法は、HTML、SVG、JAVA、PHP等の言語を組み合わせて情報の加工を行うことであるといえる。したがって、サーバ7の加工部703は、HTML、SVG、JAVA、PHP等の言語を組み合わせて用いることで、情報の加工を行っている。
【0052】
ここで、サーバ7の加工部703が用いているSVGが、プラント点検支援システムに最も適しているグラフィックフォーマットであることについて説明する。例えば図5のように描画されたグラフィックに対して、PlantPAD100では、実際のプロセスの状態に応じて、動的に表示を更新させる必要がある。この場合に、SVGを用いると効率的に更新させることができるので、SVGがPlantPAD100のグラフィック表示に最も適しているといえる。以下、例を参照しながら、より具体的な更新方法を説明する。
【0053】
図9は、SVGによって表示色を変更表示させることを説明するための図である。図9(A)は回転機の表示シンボルを示しており、「赤」から「緑」に表示色が変更されたことを示す。なお、「赤」は「運転中」を意味し、「緑」は停止中を意味する。図9(B)は、このように表示色の変更を行うためのSVGコードを示している。図9(B)に示すSVGコード中に4箇所囲ってマークした部分の「#ff0000」を「#00ff00」に書き換えることのみで、「赤」から「緑」に更新することができる。このように、SVGを用いると効率的に情報を更新させることができるので、SVGがプラント点検支援システムのグラフィック表示に最も適しているといえる。
【0054】
図10は、SVGによって文字や数値を変更表示させることを説明するための図である。図10は、図5の「A」で表示された部分に「52.2」と表示するためのSVGコードを示している。図10に示すSVGコード中に1箇所囲ってマークした部分の「**.*」を「52.2」に書き換えることのみで、図5の「A」部分に「52.2」と表示することができる。このように、SVGを用いると効率的に情報を更新させることができるので、SVGがプラント点検支援システムのグラフィック表示に最も適しているといえる。なお、図5図10はあくまでも例示のためのものであって、図10のSVGコードが図5の画面に相当するものではない。また、この例では、文字や数値部分をSVGにより加工しているが、これは「52.2」等の文字や数値部分を図形の一部として処理しているからであり、特許請求の範囲における「文字情報についてはHTML(ハイパー テキスト マークアップ ランゲージ、HyperTextMarkup Language)を用いて加工」との記載と矛盾するものではない。
【0055】
図11は、SVGによってバーグラフを変更表示させることを説明するための図である。図11(A)は圧力や温度などのプロセスデータをバーグラフ表示させるシンボルを示す。図11(B)は、例えば「44.744667」という値に相当するようなバーグラフを表示するためのSVGコードを示している。図11(B)に示すSVGコード中に1箇所囲ってマークした部分の「44.744667」を実際のプロセスデータから計算された値に書き換えることのみで、グラフィック上のバーグラフ表示を更新することができる。このように、SVGを用いると効率的に情報を更新させることができるので、SVGがプラント点検支援システムのグラフィック表示に最も適しているといえる。
【0056】
(PlantPAD100の動作)
続いて、PlantPAD100にて行われる動作について、図12図15を参照しながら説明する。
【0057】
(PlantPAD100の動作その1:全体動作)
まず、PlantPAD100における全体動作について説明する。図12は、PlantPAD100における全体動作を示すためのイメージ図である。最初に、携帯端末1でディスプレイ106を開き、サーバ7上にあるWebServerに対し、表示させたいページを要求する(ステップS101)。次に、サーバ7上のWebServerは要求されたページを、静的なHTML又は動的に生成されるHTMLとして、携帯端末1のディスプレイ106へ送信する(ステップS102)。
【0058】
次に、携帯端末1のディスプレイ106は、ステップS102で送信されたHTMLを受信し、その内容に基づき、ディスプレイ106上への表示処理を実行する。表示処理の実行中にHTML内にSVGを表示する記述があった場合は、WebServerに対してSVGの送信要求をする(ステップS103)。また、HTML内にJavascriptライブラリを使用する記述があった場合は、WebServerに対してJavascriptライブラリの送信要求をする(ステップS104)。
【0059】
次に、サーバ7上のWebServerは要求されたSVGを携帯端末1のディスプレイ106へ送信する(ステップS105)。また、サーバ7上のWebServerは要求されたJavascriptライブラリを携帯端末1のJavascriptライブラリへ送信する(ステップS106)。次に、携帯端末1のディスプレイ106は、ステップS105で送信されたSVGを受信し、HTMLの記述に基づいた部分に表示する。また、携帯端末1のディスプレイ106は、ステップS106で送信されたJavascriptライブラリを受信し、実行できるように準備する。
【0060】
次に、携帯端末1のディスプレイ106は、ステップS102で受信したHTMLに記述されているJavascriptの命令に基づき、ステップS106で受信したJavascriptライブラリに記述された命令を実行し、サーバ7上にあるJAVAServletに対し、プロセス値などの制御データを要求する(ステップS107)。次に、サーバ7上のWebServerは要求されたプロセス値などの制御データを、サーバ7に別途接続されているプロセス制御装置9に対し要求し受信する(ステップS108)。なお、ステップS108は、例えば、携帯端末1からの要求がJAVAServletの実行プロセスに引き渡され、JAVAServletがプロセス制御装置9からデータを受け取り、WebServerを経由して、携帯端末1へ制御データが送信されるように構成しても良い。また、サーバ7上のWebServerやJAVAServletは制御データをプロセス制御装置9に対して直接要求しても良く、ホストコンピュータ6を経由して要求しても良い。次に、サーバ7上のWebServerは、受信した制御データを携帯端末1のJavascriptライブラリへ送信する(ステップS109)。
【0061】
次に、携帯端末1のディスプレイ106で実行されているJavascriptの命令は、ステップS109で送信された制御データを受信し、現在携帯端末1上に表示されているデータと受信データを比較し、データに相違がある場合は、受信した制御データを最新の制御データとして該当する箇所の表示を更新する(ステップS110、ステップS111)。なお、「現在携帯端末1上に表示されているデータ」とは、SVG中のデータ、又は携帯端末1内のメモリ上に保管されているデータをいう。
【0062】
次に、携帯端末1のディスプレイ106では、Javascriptの命令により、一定間隔ごとにステップS106〜ステップS111を繰り返し実行する。
【0063】
以上の説明において、ステップS110およびステップS111は、携帯端末1側でデータの比較を行っている。一方で、携帯端末1側でデータの比較を行わずに、サーバ7側でデータの比較を行っても良い(ステップS112、ステップS113)。この場合は、サーバ7の比較部702が、加工部703により加工される前のデータと、ホストコンピュータ6またはプロセス制御装置9により入力されてくるデータとを比較する。比較部702が当該比較の結果を加工部703に出力すると、加工部703は比較部702により相違があると判断されたデータのみを更新して加工する。そして、サーバ7の送信部704は、相違ありと判断され、加工された制御データのみを携帯端末1に送信する。
【0064】
なお、データ更新のスピードにおいては、HTMLを用いて加工されたデータの更新周期を、SVGを用いて加工されたデータの更新周期より遅くして、更新が行われる。例えば、HTMLを用いて加工されたデータの更新周期を1secとし、SVGを用いて加工されたデータの更新周期を0.5secとすることができる。
【0065】
ステップS110およびステップS111、またはステップS112およびステップS113では、データの比較を行い、相違ありと判断された場合に限ってデータの更新を行う。図13は、このような方法によりデータ更新を行うことにより、どれだけ更新時間が短縮されたかを示す図である。図13に示すテーブルの左側はステップS110およびステップS111、またはステップS112およびステップS113のようにデータ比較を行ってからデータ更新を行う場合の更新時間を示している。一方で、図13に示すテーブルの右側はデータ比較を行わずに、全てのデータに対してデータ更新を行う場合の更新時間を示している。なお、更新時間の差の測定は、データ比較のあり・なしで同時測定はできないので、異なる時間帯で測定し、評価を行った。また、図13に示す結果は、本出願人の一プラントでの実際の測定結果を示しており、プラントによって、また時間帯によって、異なる結果が出る可能性があると考えられる。また、図13の更新時間の測定は、データ比較のあり・なしでそれぞれ「10サンプル×2回」を行った。なお、図13に示すテーブルの右側において、更新項目数が全項目数より多くなっているのは、取得したデータを2箇所以上で使用しているものがあるからである。
【0066】
図13に示されるように、表示更新時間の最小値(MIN)では、比較ありの場合で3msec、比較なしの場合で41msecとなり、約14倍の差で比較ありの場合が早いことが分かった。また、平均値(AVE)でも同様の比較により、比較ありの場合で15msec、比較なしの場合で63msecとなり、約4倍の差で比較ありの場合が早いことが分かった。また、更新項目数の最小値(MIN)では、比較ありの場合で58個、比較なしの場合で324個となり、約5〜6倍の差で比較ありの場合の更新データ数が少ないことが分かった。また、平均値(AVE)でも同様の比較により、比較ありの場合で87個、比較なしの場合で324個となり、約3〜4倍の差で比較ありの場合の更新データ数が少ないことが分かった。以上のように、本実施形態のステップS110およびステップS111、またはステップS112およびステップS113により、データの更新時間が飛躍的に短縮され、且つ更新データの数が飛躍的に少なくなることが分かる。
【0067】
(初回点検時の動作)
引き続き、ユーザがPlantPAD100にログインした後に、初回の点検入力画面をロードし、プラントの点検を行う際の動作について説明する。図14は、この時の動作を示すフローチャートである。
【0068】
最初に、ユーザによりログインボタンが押下される(ステップS201)。次に、ユーザIDとパスワードは正しいかが確認される(ステップS202)。ステップS202にて、ユーザIDとパスワードに誤りがある場合には(ステップS202:NO)、例えば「ユーザIDもしくはパスワードが一致しません。正しいユーザID/パスワードを入力してください。」などのメッセージが表示される(ステップS203)。
【0069】
次に、ユーザの権限が確認される(ステップS204)。ステップS204にて、ログインしたユーザが権限外の操作をしようとした場合には(ステップS204:NO)、例えば「権限が無いため表示できません。システムの管理者に問い合わせて下さい。」などのメッセージが表示される(ステップS203)。なお、「ログインしたユーザが権限外の操作をしようとした場合」とは、例えば、「設定画面を表示する権限が無いのに、設定画面を表示しようとしたような場合」である。
【0070】
次に、ユーザにより点検開始ボタンが押下される(ステップS205)。次に、点検対象が選択済みか否か判断される(ステップS206)。ステップS206にて、点検対象が選択されていない場合には(ステップS206:NO)、例えば「点検対象を選択してください。」などのメッセージが表示される(ステップS207)。
【0071】
次に、点検を開始しようとするユーザの分野と、選択された点検対象の分野 が同じか否か判断される(ステップS208)。なお、ユーザの分野を示す情報は例えばサーバ7の格納手段(図示せず)等に予め格納されている。その詳細については例えば図18を参照しながら後述する。ステップS208にて、点検を開始しようとするユーザの分野と、選択された点検対象の分野が同じでない場合には(ステップS208:NO)、例えば「あなたに設定されている分野と異なる分野の点検項目が選択されています。同じ分野の点検項目のみを選択してください。」などのメッセージが表示される(ステップS207)。なお、「点検を開始しようとするユーザの分野と、選択された点検対象の分野が同じでない場合」とは、例えば、「点検者は操業分野の属性なのに、管理分野の点検項目を選択したような場合」である。
【0072】
次に、環境判断部101が、携帯端末1がオンライン環境にあるか否かを判断する(ステップS209)。ステップS209にて、携帯端末1がオンライン環境にないと判断された場合には(ステップS209:NO)、携帯端末1がオンライン環境下になるまで待ち、処理の流れはステップS209に戻る(ステップS210)。一方で、ステップS209にて、携帯端末1がオンライン環境にあると判断された場合には(ステップS209:YES)、ステップS206で確認された選択済みの点検対象が取得される(ステップS211)。次に、ステップS211で取得した点検対象に相当するダウンロード対象リストが取得される(ステップS212)。
【0073】
次に、ダウンロード部103が、ステップS212のダウンロード対象リストを元に、プラントを点検するために必要な点検ソフトウェアおよびサーバ7により加工された点検データをサーバ7よりインターネット・構内ネットワーク2を経由してダウンロードし、当該ダウンロードされたものは格納部104に格納される(ステップS213)。
【0074】
次に、点検実行部108が、格納部104に格納された点検ソフトウェアおよび点検データを元に、点検画面をディスプレイ106に表示させ(ステップS214)、点検が実行される(ステップS215)。
【0075】
次に、環境判断部101が、携帯端末1がオンライン環境にあるか否かを判断する(ステップS216)。ステップS216にて、携帯端末1がオンライン環境にないと判断された場合には(ステップS216:NO)、携帯端末1がオンライン環境下になるまで待ち、処理の流れはステップS216に戻る(ステップS217)。一方で、ステップS216にて、携帯端末1がオンライン環境にあると判断された場合には(ステップS216:YES)、アップロード部109が、点検実行部108からの点検の結果をサーバ7にアップロードする(ステップS218)。
【0076】
(2回目以降の点検時の動作)
引き続き、ユーザがPlantPAD100にログインした後に、2回目以降の点検入力画面をロードし、プラントの点検を行う際の動作について説明する。図15は、この時の動作を示すフローチャートである。
【0077】
最初に、上記説明したステップS201からステップS208までが実行される。ステップS201からステップS208までは上記と同じ動作であるため、ここでは詳細な説明を省略する。また、以下に説明する2回目以降の点検時の動作において初回点検時と同じ動作については、同じ符号を付する。
【0078】
次に、環境判断部101が、携帯端末1がオンライン環境にあるか否かを判断する(ステップS209)。ステップS209にて、携帯端末1がオンライン環境にないと判断された場合には(ステップS209:NO)、携帯端末1がオンライン環境下になるまで待ち、処理の流れはステップS209に戻る(ステップS210)。一方で、ステップS209にて、携帯端末1がオンライン環境にあると判断された場合には(ステップS209:YES)、ステップS206で確認された選択済みの点検対象が取得される(ステップS211)。次に、ステップS211で取得した点検対象に相当するダウンロード対象リストが取得される(ステップS212)。
【0079】
次に、ステップS212で取得したダウンロード対象リストの読込が開始され(ステップS301)、リスト上のダウンロード対象毎に、以下に説明するステップS302からステップS305までの処理が順に行われる。
【0080】
すなわち、最初に、第1比較部102が、サーバ7よりこれからダウンロードすべき点検ソフトウェアおよび点検データと、格納部104に既に格納された点検ソフトウェアおよび点検データとが一致するか否かを比較し、読み込んだダウンロード対象がローカル、つまり携帯端末1の格納部104内に存在するか否かを判断する(ステップS302)。ステップS302の判断において、読み込んだダウンロード対象が携帯端末1の格納部104内に存在しない場合には(ステップS302:NO)、ダウンロード部103が当該ダウンロード対象をサーバ7よりインターネット・構内ネットワーク2を経由してダウンロードし、当該ダウンロードされたものは格納部104に格納される(ステップS304)。
【0081】
一方で、ステップS302の判断において、読み込んだダウンロード対象が携帯端末1の格納部104内に存在する場合には(ステップS302:YES)、当該ダウンロード対象(格納部104内に存在するもの)がダウンロードされてから所定期間を過ぎているか否かが判断される(ステップS303)。ステップS303の判断において、当該ダウンロード対象(格納部104内に存在するもの)がダウンロードされてから所定期間を過ぎている場合には(ステップS303:YES)、ダウンロード部103が当該ダウンロード対象(ステップS301で読み込んだもの)を改めてサーバ7よりインターネット・構内ネットワーク2を経由してダウンロードし、当該ダウンロードされたものは格納部104に格納される(ステップS304)。
【0082】
一方で、ステップS303の判断において、当該ダウンロード対象がダウンロードされてから所定期間を過ぎていない場合には(ステップS303:NO)、ダウンロード部103は当該ダウンロード対象をダウンロードせず、当該ダウンロード対象のデータ利用日を、現時点で利用されたものとして更新する(ステップS305)。一方で、ステップS304でダウンロードされたものに対しても、現時点で利用されたものとして、データ利用日が更新される(ステップS305)。
【0083】
以上で説明したように、ダウンロード部103は、第1比較部102による上記比較において、一致した点検ソフトウェアおよび点検データ(ローカルに既に存在するダウンロード対象)をダウンロードしない。一方で、ダウンロード部103は、一致しない点検ソフトウェアおよび点検データのうち、携帯端末1には存在せず、サーバ7にのみ存在する点検ソフトウェアおよび点検データをダウンロードする。また、携帯端末1内にあるファイルがサーバ7内にあるファイルより古く、点検に必要な資料として信頼性が落ちるものについては、たとえ携帯端末1の格納部104に既に存在しているとしても、改めてダウンロードを行う。
【0084】
また、以上の説明以外に、ダウンロード部103は、ユーザがPlantPAD100のシステムにログインした際に、今までのダウンロード回数が予め設定された所定の閾値以上のものを自動的にダウンロードしても良い。これについては、図18を参照しながら、後述する。
【0085】
次に、ステップS301にて読み込まれた次のダウンロード対象に対して、ステップS302からステップS305までの処理が行われ、全てのダウンロード対象に対してステップS302からステップS305までの処理が終了したら、ダウンロード対象リストの読込が終了される(ステップS306)。
【0086】
次に、不要なデータが削除される(ステップS307)。すなわち、削除部105が、第1比較部102による上記比較において、一致しない点検ソフトウェアおよび点検データのうち、サーバ7には存在せず、携帯端末1の格納部104にのみ存在する点検ソフトウェアおよび点検データを削除する。一方、第1比較部102による上記比較において、一致した点検ソフトウェアおよび点検データは、削除部105により削除されず、格納部104にそのまま保存される。なお、データ削除のタイミングはこれに限定されず、例えば、データ利用日が更新されずに一定期間を過ぎたタイミングで削除されても良い。
【0087】
また、削除部105は、第1比較部102による上記比較において、一致しない点検ソフトウェアおよび点検データのうち、サーバ7には存在せず、携帯端末1の格納部104にのみ存在し且つ当該ユーザにおけるダウンロード回数が所定の閾値未満の点検ソフトウェアおよび点検データを削除しても良い。これとともに、削除部105は、第1比較部102による上記比較において、一致しない点検ソフトウェアおよび点検データのうち、サーバ7には存在せず、携帯端末1の格納部104にのみ存在し且つ当該ユーザにおけるダウンロード回数が所定の閾値以上の点検ソフトウェアおよび点検データを削除しないようにしても良い。なお、「所定の閾値」については図16図18を参照しながら後述する。
【0088】
更に、削除部105は、格納部104に存在する点検ソフトウェアおよび点検データのうち、ダウンロードされてから所定の期間(期間は任意)を過ぎた点検ソフトウェアおよび点検データを削除しても良い。これとともに、削除部105は、格納部104に存在する点検ソフトウェアおよび点検データのうち、ダウンロードされてから所定の期間を過ぎていない点検ソフトウェアおよび点検データを削除しないようにしても良い。
【0089】
次に、点検実行部108が、格納部104に格納された点検ソフトウェアおよび点検データを元に、点検画面をディスプレイ106に表示させ(ステップS214)、点検が実行される(ステップS215)。
【0090】
次に、環境判断部101が、携帯端末1がオンライン環境にあるか否かを判断する(ステップS216)。ステップS216にて、携帯端末1がオンライン環境にないと判断された場合には(ステップS216:NO)、携帯端末1がオンライン環境下になるまで待ち、処理の流れはステップS216に戻る(ステップS217)。一方で、ステップS216にて、携帯端末1がオンライン環境にあると判断された場合には(ステップS216:YES)、アップロード部109が、点検実行部108からの点検の結果をサーバ7にアップロードする(ステップS218)。
【0091】
(ユーザ毎の属性情報について)
ここで、ユーザ毎の属性情報について説明する。サーバ7には格納手段が備えられ(図示せず)、その格納手段には、図16図18に例示するようなユーザ毎の属性情報等が格納されている。図16は、例えば「ユーザA」の点検ソフトウェア別ダウンロード回数を示す。図17は、例えば「ユーザA」の点検データ別ダウンロード回数を示す。図16(A)および図17(A)は、「ユーザA」がまだPlantPAD100を一度も使用しておらず、初回のログインの前の状態を示すので、「総積算」および「期間積算」の値が全て「0」となっている。しかし、例えば、図14のステップS213、図15のステップS304が実行される度に、「総積算」および「期間積算」の値は「1」ずつカウントアップされる。図16(B)および図17(B)は、それぞれ、何れかのタイミングにおける「ユーザA」の点検ソフトウェア別ダウンロード回数および点検データ別ダウンロード回数を示す。「総積算」および「期間積算」の値がカウントアップされていることが分かる。
【0092】
図18(A)はユーザ毎の業務種類に関する属性を示し、図18(B)は属性別の閾値の初期値を示す。図18(A)および図18(B)によると、「ユーザA」の属性は「操業」であるため、「ユーザA」の点検ソフトウェアに対する閾値の初期値は「10」、点検データに対する閾値の初期値は「15」として、当初定められている。これが、ユーザのPlantPAD100の使用実績によって、例えば図18(D)のように更新されていく。すなわち、ユーザがシステムにログインし、点検ソフトウェアや点検データをダウンロードして使用すると、上述したように、図16(A)および図17(A)に示した各表の対応した点検ソフトウェアや点検データの積算値が1ずつ増加する。これを例えば1ヶ月間程度(期間は任意)継続し、利用頻度のデータを蓄積すると、例えば図16(B)および図17(B)のようになる。そして、1ヶ月後にユーザ毎の利用頻度表を利用頻度の降順に並べ、期間積算値の上位から任意の順位のもの(例えば3番目など)の期間積算値を抽出する。全てのユーザに対して同じ処理を行う。その抽出の結果を図18(C)に例示する。そして、図18(C)のように抽出した期間積算値に対して、属性毎に平均をとり、その値を属性別の更新後の閾値として設定する。その一例を図18(D)に示す。図18(D)はユーザの使用により、属性別の閾値が更新されたことを示す。なお、期間積算については、設定された期間が経過するとリセットされる。また、上記処理は期間積算値のリセットと同じタイミングで毎回実施される。
【0093】
図18(D)に示したような属性別の閾値は、図15に示したステップS307で使用される。すなわち、ステップS307において、ユーザが「ユーザA」の場合、削除部105は、第1比較部102による上記比較において、一致しない点検ソフトウェアおよび点検データのうち、サーバ7には存在せず、携帯端末1の格納部104にのみ存在し且つ当該ユーザにおけるダウンロード回数が所定の閾値未満(例えば図18(D)のように「ユーザA」の属性の「操業」に対して「点検ソフトウェア」なら「18回」、「点検データ」なら「36回」未満)の点検ソフトウェアおよび点検データを削除する。これとともに、削除部105は、第1比較部102による上記比較において、一致しない点検ソフトウェアおよび点検データのうち、サーバ7には存在せず、携帯端末1の格納部104にのみ存在し且つ当該ユーザにおけるダウンロード回数が所定の閾値以上( 例えば図18(D)のように「ユーザA」の属性の「操業」に対して「点検ソフトウェア」なら「18回」、「点検データ」なら「36回」以上)の点検ソフトウェアおよび点検データを削除しない。
【0094】
また、図18(D)に示したような属性別の閾値は図15に示したステップS301〜ステップS306でも使用される。すなわち、ステップS301〜ステップS306では、ステップS302およびステップS303の判断結果に従い、ダウンロード対象を実際ダウンロードするか否かを判断しているが、これにかかわらず、ダウンロード部103が、ユーザがPlantPAD100のシステムにログインした際に、ダウンロード回数が予め設定された所定の閾値以上の点検ソフトウェアおよび点検データを自動的にダウンロードしても良い。つまり、「ユーザA」の点検ソフトウェア別ダウンロード回数が図16(B)であり、「ユーザA」の点検データ別ダウンロード回数が図17(B)である場合に、ダウンロード部103は、「ユーザA」がPlantPAD100のシステムにログインした際に、図18(D)に示す「点検ソフトウェア」なら「18回」、「点検データ」なら「36回」以上の点検ソフトウェアおよび点検データをステップS301〜ステップS306の手順と関係なくダウンロードする。つまり、IDが「1」の「作業標準入力画面」と、IDが「2」の「入力機能(有 OR 無)」が点検ソフトウェアとしてダウンロードされ、IDが「11」の「点検項目A」と、IDが「12」の「ドキュメントA」が点検データとしてダウンロードされる。
【0095】
(検証)
ダウンロード部103は、上述したように、第1比較部102による上記比較において、一致した点検ソフトウェアおよび点検データをダウンロードしない一方で、一致しない点検ソフトウェアおよび点検データのうち、携帯端末1には存在せず、サーバ7にのみ存在する点検ソフトウェアおよび点検データをダウンロードする。以下では、このようなダウンロード部103のダウンロード方法により、ダウンロードに要する時間がどれだけ短縮できるかについて、検証を通じて説明する。
【0096】
今回の検証は、10個の点検データを携帯端末1へダウンロードして点検を行う際に、本実施形態で提案するダウンロード方法を適用することにより、ダウンロード時間がどの程度高速化されるかに関する検証である。図19および図20は、この検証について説明するための図である。
【0097】
図19は、PlantPAD100において、ダウンロードする点検データの項目数を1から10に変化しながら、点検データのダウンロードにかかった時間を測定および計算した結果を示す。図19において、下線を引いていない数値は実測値であり、下線を引いた数値は計算値である。図19に示されるように、点検データの項目数が1で、ダウンロードするデータの容量が10MBの場合にはダウンロード完了まで26.3秒かかり、点検データの項目数が5で、ダウンロードするデータの容量が50MBの場合にはダウンロード完了まで54.7秒かかり、点検データの項目数が10で、ダウンロードするデータの容量が100MBの場合にはダウンロード完了まで88.1秒かかっている。
【0098】
ダウンロードすべき点検データの項目数が1ということは、言い換えれば、第1比較部102による上記比較における一致率が90%ということである。同様に、ダウンロードすべき点検データの項目数が5ということは、言い換えれば、第1比較部102による上記比較における一致率が50%ということである。また、ダウンロードすべき点検データの項目数が10ということは、言い換えれば、第1比較部102による上記比較における一致率が0%ということであり、本実施形態で提案する手法を適用しない場合と同じである。図20(A)は、一致率を基準にして、点検項目の一致数およびダウンロード数(DL数)を示し、それに伴い、ダウンロードしなくて済むデータの容量(非DL容量)と、ダウンロードすべきデータの容量(DL容量)を示す。なお、図20においては、説明の便宜上、点検項目それぞれの容量が全て10MBの場合を例示している。また、それぞれのケースにかかるダウンロード時間(DL時間)を示している。また、図20(B)は、一致率とダウンロード時間との関係を示すグラフである。一致率が高くなるほど、ダウンロード時間は短くなる。
【0099】
図20を通じて分かるように、PlantPAD100を用いた点検において、仮に一致率が30%であるとしたら、ダウンロードにかかる時間は、本実施形態を適用しない場合の88.1秒(一致率0%と同じ)から70.7秒に短縮される。また、仮に一致率が50%であるとしたら、ダウンロードにかかる時間は88.1秒から54.7秒に大幅に短縮される。更に、仮に一致率が70%であるとしたら、ダウンロードにかかる時間は88.1秒から44.5秒に更に大幅に短縮される。
【0100】
(本実施形態の作用および効果)
続いて、本実施形態にかかるPlantPAD100の作用及び効果について説明する。以上で説明した本実施形態のPlantPAD100によれば、オンライン環境下で、サーバ7から携帯端末1へ点検に必要な点検ソフトウェアおよび点検データをダウンロードし、携帯端末1側ではオンライン・オフラインに関係なくプラント点検を実行し、当該点検の結果をオンライン環境下でサーバ7にアップロードする。以上により、携帯端末1がネットワークへ常時接続されている必要がなくなり、ネットワークが安定していない場合でも、本実施形態のPlantPAD100のユーザはプラントの点検作業(結果の入力、閲覧など)を実行することが可能となる。また、ネットワークへの接続性を高めるために、アクセスポイントの数を増やすことにより高コストになることを防止できる。
【0101】
また、この実施形態によれば、第1比較部102による比較において、一致した点検ソフトウェアおよび点検データはダウンロードされず、携帯端末1の格納部104にそのまま保存される。一方で、第1比較部102による比較において、一致しない点検ソフトウェアおよび点検データのうち、サーバ7にのみ存在する点検ソフトウェアおよび点検データだけがダウンロードされる。これにより、サーバ7と携帯端末1間の情報の送受信量を減らすことができ、ダウンロードにかかる時間を短縮することができる。本実施形態は、プラントという無線ネットワークの接続安定性が悪い環境を前提としており、このような環境下において、サーバ7と携帯端末1間の情報の送受信量を減らし、且つダウンロードにかかる時間を短縮することは特に大きな意味がある。
【0102】
また、この実施形態によれば、第1比較部102による比較において、一致しない点検ソフトウェアおよび点検データのうち、格納部104にのみ存在する点検ソフトウェアおよび点検データを削除することにより、携帯端末1に格納すべきデータの容量を減らすことができる。これにより、携帯端末1に必要な記憶容量を最小化することができ、携帯端末1のためのコストを減らすことができる。
【0103】
また、この実施形態によれば、ダウンロード回数が所定の閾値以上の点検ソフトウェアおよび点検データがダウンロードされることによって、ユーザにより頻繁に使用される点検ソフトウェアおよび点検データを事前にダウンロードすることができる。
【0104】
また、この実施形態によれば、第1比較部102による比較において、一致しない点検ソフトウェアおよび点検データのうち、格納部104にのみ存在し且つダウンロード回数が所定の閾値未満の点検ソフトウェアおよび点検データは削除するとともに、格納部104にのみ存在し且つダウンロード回数が所定の閾値以上の点検ソフトウェアおよび点検データは削除しない。これにより、ダウンロードの回数に基づき、格納部104からの削除要否を判断することができ、ダウンロードの回数が多く、今後使用される可能性が高い点検ソフトウェアおよび点検データについては削除せずに保存することができる。これにより、サーバ7と携帯端末1間の情報の送受信量を更に減らすことができる。
【0105】
また、この実施形態によれば、ダウンロード回数は、当該PlantPAD100を利用してプラントを点検するユーザ毎のダウンロード回数である。これにより、ユーザに特化したサービスを提供できる。
【0106】
また、この実施形態によれば、削除部105が、格納部104に存在する点検ソフトウェアおよび点検データのうち、ダウンロードされてから所定の期間を過ぎた点検ソフトウェアおよび点検データは削除するとともに、ダウンロードされてから所定の期間を過ぎていない点検ソフトウェアおよび点検データは削除しない。これにより、点検ソフトウェアおよび点検データのダウンロード日付に基づき、格納部104からの削除要否を判断することができ、例えば使用頻度の低い点検ソフトウェアおよび点検データを削除することができる。これにより、携帯端末1の記憶領域を効率的に利用できる。
【0107】
また、この実施形態によれば、サーバ7が、ホストコンピュータ6からの入力データに対して加工し、その加工後のデータを携帯端末1がHTML、SVG、Javascriptを用いて表示する。HTML、SVG、Javascriptは昨今の一般的な携帯端末1が備えている極平凡な機能である。したがって、本実施形態においては、携帯端末1において、あえてHTML、SVG、Javascriptの3つの極平凡な機能を用いてデータの授受、表示、更新等を行うことにより、携帯端末1がJAVA仮想マシンなどの特定の環境を具備する必要がなく、例えばWindows(登録商標)やApple(登録商標)のノートPC、iPad(登録商標)等のタブレット、iPhone(登録商標)やAndroid(登録商標)端末のスマートフォン等の一般的な携帯端末1であっても、本実施形態のPlantPAD100を利用することができる。よって、本実施形態のPlantPAD100を利用するための携帯端末1の利便性が高まる。なお、HTML、SVG、Javascriptのように、一般的な携帯端末が備えている極平凡な機能であれば、HTML、SVG、Javascriptの代わりに使用できる。例えば、Javascriptの代わりに、Dart(登録商標)が使用できる。
【0108】
また、本実施形態によれば、遠隔地からプラントの点検状況を監視することが可能となる。したがって、プラントの運転熟練者が現場にいなくても遠隔地からプラント点検状況を監視できる。このため、これまでは熟練者が現地に出張して指導をしていたが、遠隔地からアドバイスを与えることが可能となり、非熟練者であっても熟練者のアドバイスを受けて現場点検が可能となる。つまり、熟練者が場所に縛られずに複数の現場を支援することができる。特に海外でプラントを建設する場合はオペレータの熟練度が低いため、これまでは長期間の操業指導が必要であったが、本実施形態のPlantPAD100を使うことにより、点検等の操業指導が遠隔地から可能となり、派遣期間の短縮が可能となる。
【0109】
また、本実施形態においては、SVGを用いることにより、高速な画像処理を行うことができる。更に、本実施形態の分野であるプラント分野においては、表示画面の大部分を占めているバックグラウンドが固定され、要素が頻繁に変更されるだけの形となっている場合が多く、つまり変化する内容が限定されている場合が多く、特にこのような場合には、SVGを用いることにより、高速な画像処理を行うことができる。また、HTMLを用いることにより、図形情報に比べて変化の少ない文字情報に対して安定的に且つ利便性良く処理を行うことができる。更にJavascriptを用いることにより、文字情報および図形情報における処理手順および動的処理に対して安定的に且つ利便性良く処理を行うことができる。
【0110】
ところで、プラントという環境の特殊性に鑑みれば、同じプラント内であっても、整備や操業など業務内容によって、携帯端末1を使用する環境が変わる。このため、例えば、携帯端末1が高温・多湿の環境下で使用される場合には、そのような環境に対応した携帯端末1を選定する必要がある。つまり、プラント環境下ではユーザの作業状況に合わせて携帯端末1を選定できるようにすることが望ましい。しかし、携帯端末1に直接インストールするネイティブソフトウェアは一般的に使用機器が制約されている。つまり、製作メーカが動作保証する端末を限定する場合がある。この問題に対する解決策として、動作保証端末の種類を増やすことが考えれるが、動作検証にコストがかかるといった問題がある。そこで、本実施形態のように、HTML、SVG、Javascriptを用いて、機器に依存せず、携帯端末1のディスプレイ106上でWEBアプリケーションを動作させることにより、使用状況に合わせて自由に携帯端末1を選定できるようになる。また、仕様が改善された新しい携帯端末1を迅速に導入することができるようになる。
【0111】
また、プラントの耐用年数は数十年と長いため、そこで使用される携帯端末1も長期間の使用に耐えることが求められる。しかし、一般的にIT機器は耐用年数が短く、ハードウェアやソフトウェアが頻繁に更新される。ネイティブソフトウェアは、ハードウェアおよびソフトウェアに依存するため、これらが更新されると使用できなくなる可能性がある。この問題に対する解決策として、プラントの耐用年数に合わせて予め予備品を準備することが考えられるが、コストが高くかかるだけではなく、新しい技術を容易に導入することが困難となるといった問題がある。また、携帯端末1の更新と同時にソフトウェアも更新していくことも考えられるが、更新毎にソフトウェアの改造が発生するため、高コストとなる問題がある。そこで、本実施形態のように、HTML、SVG、Javascriptを用いて、機器に依存せず、携帯端末1のディスプレイ106上でWEBアプリケーションを動作させることにより、携帯端末1を長期間に渡って安定して使用することが可能となる。また、新規技術の導入による高機能化も容易に行える。
【符号の説明】
【0112】
1(1a〜1d)…携帯端末、101…環境判断部、102…第1比較部、103…ダウンロード部、104…格納部、105…削除部、106…ディスプレイ、107…第2比較部、108…点検実行部、109…アップロード部、6…ホストコンピュータ、7…サーバ、701…入力部、702…比較部、703…加工部、704…送信部、9…プロセス制御装置、10…計測機器、21…バルブ、22…モータ、100…PlantPAD。
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