特許第6253310号(P6253310)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6253310端キャップ、終端接続構造及び終端接続構造用キット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6253310
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】端キャップ、終端接続構造及び終端接続構造用キット
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/44 20060101AFI20171218BHJP
   H02G 15/08 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   G02B6/44 386
   H02G15/08
【請求項の数】14
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-175173(P2013-175173)
(22)【出願日】2013年8月27日
(65)【公開番号】特開2014-52628(P2014-52628A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2016年7月15日
(31)【優先権主張番号】12183227.3
(32)【優先日】2012年9月5日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503168201
【氏名又は名称】ティーイー コネクティビティ ネーデルランド ビーヴイ
【氏名又は名称原語表記】TE Connectivity Nederland BV
(74)【代理人】
【識別番号】000227995
【氏名又は名称】タイコエレクトロニクスジャパン合同会社
(72)【発明者】
【氏名】エレンバース ヤッコ
【審査官】 野口 晃一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−122540(JP,A)
【文献】 特開2002−139635(JP,A)
【文献】 特開2005−084138(JP,A)
【文献】 特開昭59−151105(JP,A)
【文献】 米国特許第04447120(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00
6/02
6/24− 6/255
6/36− 6/40
6/44− 6/54
H02G 15/00−15/196
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1本の伝送線(301)を有するケーブル(300)を終端接続するための端キャップ(100)であって、
前記端キャップの後面(104)から前面(105)まで前記少なくとも1本の伝送線を案内するための少なくとも1個のリードスルー開口(101)を具備する端キャップにおいて、
前記後面から前記前面まで延び、前記ケーブルの中央の補強部材(302)を収容するよう構成された通路(102)を具備し、
カラー(116)が、前記前面の周囲を囲むと共に前記前面から突出することを特徴とする端キャップ。
【請求項2】
前記前面に向かって、前記リードスルー開口は、該リードスルー開口が半径方向に前記通路から離れる方向に沿って少なくとも部分的に延びるように、湾曲部(111)を具備することを特徴とする請求項1記載の端キャップ。
【請求項3】
前記通路は、前記補強部材を前記通路内に挿入するために、挿入方向(I)に沿って前記リードスルー開口の後ろで終端することを特徴とする請求項1又は2記載の端キャップ。
【請求項4】
前記端キャップの前記前面において、前記通路は、前記補強部材に圧着されたフェルール(150)を少なくとも部分的に収容するよう構成された凹部(106)内に導くことを特徴とする請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の端キャップ。
【請求項5】
前記凹部は前記前面からはみ出すことを特徴とする請求項4記載の端キャップ。
【請求項6】
前記凹部は、半径方向に該凹部から離れる方向に延びる少なくとも1個の連結部(115a,115b,115c)により支持されることを特徴とする請求項4又は5記載の端キャップ。
【請求項7】
前記後面は、前記ケーブルの端部(303)を取り囲むよう構成されたリセプタクル(103)を具備することを特徴とする請求項1ないし6のうちいずれか1項記載の端キャップ。
【請求項8】
前記端キャップの縦方向(L100)に沿った突起内に、前記通路及び前記リセプタクルは、互いに対して同心円状に配置されることを特徴とする請求項7記載の端キャップ。
【請求項9】
前記リセプタクルは、前記ケーブルの外周(304)を取り囲むよう構成されたブッシュ(130)を具備することを特徴とする請求項7又は8記載の端キャップ。
【請求項10】
前記ブッシュは、前記端キャップと一体に形成されることを特徴とする請求項9記載の端キャップ。
【請求項11】
前記カラーは、前記少なくとも1個のリードスルー開口の近傍に少なくとも1個の間隙(117)を具備することを特徴とする請求項1記載の端キャップ。
【請求項12】
少なくとも1本の伝送線を有するケーブルを終端接続するための終端接続構造であって、
請求項1ないし11のうちいずれか1項に係る少なくとも1個の前記端キャップを具備し、
前記少なくとも1本の伝送線は、前記少なくとも1個のリードスルー開口を貫通し、
前記ケーブルの前記補強部材は、前記通路を貫通することを特徴とする終端接続構造。
【請求項13】
前記前面を越えて延びる前記補強部材の外部(302a)に、フェルールが圧着されていることを特徴とする請求項12記載の終端接続構造。
【請求項14】
ケーブルを終端接続するための終端接続構造用キットであって、
請求項1ないし11のうちいずれか1項に係る少なくとも1個の前記端キャップを具備することを特徴とする終端接続構造用キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1本の伝送線に含まれる伝送ケーブルを終端接続するための端キャップに関する。この端キャップは、その後側から前側に少なくとも1本の線を案内するための少なくとも1個のリードスルー開口を具備する。
【0002】
さらに、本発明は、少なくとも1本の伝送線に含まれる伝送ケーブルを終端接続するための終端接続構造に関する。
【0003】
また、本発明は、光ファイバケーブルを終端接続するための終端接続構造用キットに関する。
【背景技術】
【0004】
上述した端キャップ、終端接続構造及びキットは、従来から公知の技術である。端キャップは、例えばエンクロージャ内にケーブルの端部を取り付けること、並びに少なくとも1本の線を取り扱い及び例えば光ファイバコネクタを具備するように少なくとも1本の線の案内を容易にする終端接続部材を具備する。
【0005】
例えば、ケーブルは光ファイバケーブルであり、伝送線は光ファイバである。光ファイバは、いくつかの個別ファイバを有するファイバ部材からなるユニットとして延びる。これらのファイバは、いくつかのファイバを具備する複数の束に束ねられる。このような単数の束及び複数の束は、ケーブル内に収容される。ファイバ自体は長く且つ細く、それ故、例えばスナップ係合及び亀裂により損傷を受け易いので、ファイバ自体に作用する応力を無くすためにストレインリリーフを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術によれば、ストレインリリーフは、ファイバ又はファイバ束等の各線を囲むケブラー(登録商標)の層が端キャップ又は終端接続部材に取り付けられることで一般に実現される。或いは、ケーブルの中心を延びるロッドの形態の中心補強部材を有するケーブルが使用される。その場合、ケブラー層の代わりに、補強部材が終端接続部材又はエンクロージャに固定される。さらに、線は、例えばアダプタ等の追加手段の補助により、エンクロージャ内に取り付けなければならない。換言すると、従来技術のケーブルを終端接続するためには独立した2工程が必要である。このため、線又は光ファイバを囲むケブラー層と、補強部材としての中心ロッドとの双方を使用する際に、ストレインリリーフが得られるようにケーブルを終端接続することは面倒で時間がかかる作業である。
【0007】
上述した従来技術の光ファイバケーブルの終端接続から生ずる不都合に鑑み、本発明は、ストレインリリーフを提供しながら光ファイバケーブルを終端接続することを容易にし、効率よく処理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、以下の構成を有する本発明で達成する。すなわち、本発明に係る端キャップには、その後側から前側に延びる通路が設けられ、通路は、ケーブルの中心補強部材を収容するよう構成される。換言すると、端キャップは終端接続部材から構成され、すなわち、終端接続部材は端キャップとして形成され、通路は、リードスルー開口に対して端キャップの少なくとも半径方向にずれた溝を提供する。
【0009】
最初に述べた終端接続構造に関して、本発明の目的は、本発明に係る少なくとも1個の端キャップがケーブルに取り付けられ、少なくとも1本の線がリードスルー開口を貫通し、ケーブルの補強部材が端キャップの通路を貫通することで達成される。
【0010】
最初に述べたキットに関して、本発明の目的は、キットが本発明に係る少なくとも1個の端キャップを具備することで達成される。
【0011】
これらの解決手段は、一方で端キャップがケーブルの一部及び線を収容し保護し、他方でストレインリリーフが得られるように補強部材を収容する点で、従来技術を凌駕する明白な利点を有する。ガキは、線及び補強部材をそれぞれリードスルー開口及び通路を通って導きながら、ケーブル上に端キャップを摺動させることによりケーブル及び補強部材に容易に取り付けられる。次に、端キャップは、エンクロージャに固定できるので、単一工程でエンクロージャに補強部材及び線を実装するためのアダプタとして機能する。
【0012】
さらに、目的に対する本発明の解決手段により、ケーブルの端部を固定するため及び保護するための追加のケーブル外被及びオーバモールドを省略できる。端キャップを固定するため及びストレインリリーフを提供するための保持力は、前面から突出する補強部材の部分から端キャップを経由して後面に配置されたケーブルの外周まで伝達される。このため、補強部材の保持力は、通常ケーブル外被が固定される位置でケーブルの外側に伝達される。これにより、本発明に係る解決手段が、現場の取付けキットで広く使用されている標準的なケーブル押え(cable glands)にも適用することができる。
【0013】
本発明に係る上述の解決手段は、本発明の以下の有利な実施形態のいずれか一つといかなる方法で組み合わせてもよく、このため、さらに改良することができる。
【0014】
第1の可能な実施形態によれば、端キャップの前面に向かって、リードスルー開口は、半径方向に通路から離れる方向に沿って少なくとも部分的に延びるように、湾曲部を具備する。加えて又は代わりに、リードスルー開口は、前面に向かって漏斗状に広がってもよい。別の追加又は代わりの実施形態として、リードスルー開口の半径方向の幅は、前面に向かって増大してもよい。換言すると、前面におけるリードスルー開口の出口は、後面におけるリードスルー開口の入口よりも大きくてもよい。これらすべての実施形態は共通に、特に端キャップの前面の領域で少なくとも1本の線が自由に移動可能である。これにより、少なくとも1本の線が、補強部材から所定の距離で別々に取り扱われ配置されることができ、工具が補強部材に作動される際に少なくとも1本の線を損傷するリスクを低減する。
【0015】
通路は、補強部材を通路内に挿入するために、挿入方向に沿ってリードスルー開口の後ろで終端してもよい。換言すると、通路は、少なくとも1本の線及び補強部材を端キャップ内に挿入するために、挿入方向に沿って前面でリードスルー開口を越えて延びてもよい。これにより、少なくとも1本の線は、補強部材が通路を出る領域の前に補強部材から離れる方向に折られ曲げられ、補強部材を取り扱うこと、及び通路から出る補強部材に工具を作動させることを容易にする。
【0016】
端キャップの前端において、通路は、補強部材に圧着されたフェルールを少なくとも部分的に収容するよう構成された凹部内に導く。凹部は、端キャップでフェルールを支持するために基部を提供する。フェルールに作動させることにより、端キャップは、補強部材に容易に固定でき、ケーブルの端部及び補強部材間に押し挟まれる。或いは、任意の固定手段が、補強部材に付けられ、凹部内に収容されてもよい。固定手段は、補強部材に塗布される任意の接着剤、補強部材に形成された変形領域や、補強部材から端キャップ、特に前面まで保持力を伝達するために使用可能なナット、ボルト、ピン、割りピン等であってもよい。その結果、保持力は、端キャップによってケーブルの外周、すなわちケーブルのシースまで伝達することができる。
【0017】
凹部は前面からはみ出てもよい。換言すると、凹部は前面上を張り出してもよい。これにより、通路は、リードスルー開口に対して挿入方向に容易に延びることができる。凹部は、その底の周囲を囲む周縁を具備してもよい。周縁は、例えば補強部材に付けられるフェルール等の固定部材の横方向の安定化に役立つ。さらに、挿入方向と平行に測った周縁の高さは、フェルールに形成された周縁すなわちカラーの厚さを超える。この結果、圧着工具又は圧着トング等の任意の工具は、フェルールのカラーを損傷することなく、凹部の周縁に当接する。これにより、工具は、フェルールのカラーの前面と容易に整列し、補強部材に圧着されるフェルールの筒状部に迅速かつ精確に作動することができる。
【0018】
凹部は、半径方向に凹部から離れる方向に延びる少なくとも1個の連結部により支持されてもよい。連結部は凹部を横方向に支持する。連結部は凹部と一体化する。多数の凹部が半径方向に凹部から離れる方向に延びる。これにより、凹部は、安定化すると同時に、連結部の前面がガイドとして作用する点で保護される。工具は、凹部で通路を出る補強部材に圧着されるフェルールに作動する際に、そのガイドに沿って案内される。
【0019】
端キャップの後面は、ケーブルの端部を取り囲むよう構成されたリセプタクルを具備してもよい。換言すると、ケーブルの端部はリセプタクル内に収容されてもよい。これにより、ケーブルの端部が、端キャップに保持され、端キャップの中心に配置され、有害な環境の影響及び捻じれからさらに保護される。
【0020】
端キャップの縦方向に沿った突起内に、通路及びリセプタクルは、互いに対して同心円状に配置される。換言すると、通路及びリセプタクルの中心軸は、互いに重なるので、特にケーブルの中心軸に沿って延びる補強部材は、補強部材が挿入方向に沿って端部から突出しながら、凹部内にケーブルの端部を挿入する際に通路内に容易に挿入される。
【0021】
リセプタクルは、ケーブルの外周を取り囲むよう構成されたブッシュを具備してもよい。ブッシュはリン青銅等の金属で形成されるので、ケーブルの端部を保護するために硬く凸凹である。リセプタクルは、ブッシュを保持し、ブッシュを少なくとも取り囲む。また、ブッシュは、例えば射出形成部品等のプラスチックで形成される端キャップと一体に形成されてもよい。
【0022】
カラーは、後面の周囲を囲み、後面から突出してもよい。半径方向に凹部から離れる方向に延びる連結部は、カラーと一体になってもよい。これは、連結部を安定化させ、リードスルー開口の出口開口を保護し、補強部材、固定手段や補強部材に圧着されるフェルールに作用する工具を案内することにさらに役立つ。
【0023】
カラーは、少なくとも1個のリードスルー開口の近傍に少なくとも1個の間隙を具備する。リードスルー開口は、間隙に向かって少なくとも部分的に延びるように湾曲する。これにより、少なくとも1個の線は、間隙を貫通し、補強部材に作動する工具又は線に圧着されるフェルールが間隙を取って案内される少なくとも1本の線を安全に越えて移動するように、湾曲し、曲げられる。
【0024】
終端接続構造に関して、解決手段は、端キャップの前面を越えて延びる補強部材の外部にフェルールが圧着される点でさらに改良される。これにより、端キャップは、端キャップの後面のブッシュやケーブルと、端キャップの前面のフェルール等の固定手段との間で押し挟まれる。フェルールに形成された周縁又はカラーは、前面でフェルールや、フェルールの支持のために前面に設けられる凹部の底を支持するために、当接面を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の一実施形態に係る終端接続構造の側面図である。
図2図1のA−A線に沿った、図1の終端接続構造の断面図である。
図3】終端接続構造の内部を示す、図2の3で示された部分の詳細図である。
図4】本発明の一実施形態に係る端キャップを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、利点のある実施形態を示す添付図面を参照して、本発明を例示により詳細に説明する。説明される実施形態は可能性のある構成のみである。しかし、個々の特徴は、上述したように、互いに独立して実施可能であり、また、省略可能である。図面に示される対応する部材には同一の参照符号が付される。異なる図面における同一部材に関連する部品の説明は省略されている。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態に係る終端接続構造1の側面図である。終端接続構造1は、端キャップ100と、伝送ケーブル300を終端接続するためのエンクロージャ組立体200とを具備する。さらに、終端接続構造1は、ケーブル300の伝送線301を終端接続するためのコネクタ400を具備してもよい。終端接続構造1は、端キャップ100の縦軸L100、エンクロージャ200の縦軸L200、ケーブル300の縦軸L300及びケーブル300の補強部材302の縦軸L302が互いに重なり、それにより終端接続構造1の共通の縦軸L1を構成するように配置される。
【0028】
図2は、図1の断面線A−A線、すなわち終端接続構造1の縦軸L1に沿った終端接続構造1の断面図である。ケーブル300は、エンクロージャ組立体200を通過すると共に端キャップ100内に挿入されるように、挿入方向Iに沿ってエンクロージャ組立体200内に挿入される。線301は、挿入方向Iに沿って端キャップ100のリードスルー開口101内に挿入される。ケーブル300の補強部材302は、端キャップ100の通路102内に挿入される。フェルール150は、挿入方向Iに通路102を越えて延びる補強部材302の一部に圧着される。
【0029】
図2に示される終端接続構造1の仮組立状態Pにおいて、端キャップ100は光ファイバケーブル300に固定され、フェルール150は補強部材302の移動を防止し、これにより、挿入方向Iとは逆向きへのケーブル300の移動を防止する。端キャップ100は、後方すなわちエンクロージャ組立体200に対して挿入方向Iとは逆向きに引っ張られるので、内部空間201の内周202により周囲が緊密に囲まれるようにするために、エンクロージャ組立体200の内部空間201内に挿入される。次に、終端接続構造1は、端キャップ100がエンクロージャ組立体200内に保護された状態で保持される最終状態Q(図示せず)にある。
【0030】
図3は、ケーブル300を収容する端キャップ100の断面図(図2で3で示された部分の詳細図)である。ケーブル300の端部303は、挿入方向Iに沿って端キャップ100の後面104に当接するように、端キャップ100のリセプタクル103内に保持される。後面104は、リセプタクル103の底により形成されてもよい。線301及び補強部材302は、端キャップ100の後面104から前面105までリードスルー開口101及び通路102をそれぞれ貫通する。
【0031】
凹部(socket)106は、端キャップ100の前面105に形成され、挿入方向Iに沿って前面105上を張り出す補強部材302の自由端302aを取り囲むフェルール150を少なくとも部分的に収容する。フェルール150は、自由端302aに圧着される管状部151と、凹部106内にフェルール150を支持するための当接面153を形成するカラー152とを具備する。このため、端キャップ100は、ケーブル端部303及びフェルール150間に押し挟まれる。
【0032】
端部303は管状のブッシュ130内に保持され、ブッシュ130の内周131はケーブル300の外周304を取り囲む。ブッシュ130の外周132は、リセプタクル103の内周107により取り囲まれる。ブッシュ130は、ケーブル300に挿入する前にリセプタクル103内に圧入されてもよい。ブッシュ130はリセプタクル103の一部であってもよいし、端キャップ100と一体に形成されてもよい。
【0033】
ストレインリリーフを与えるための保持力の流れFは、補強部材302の自由端302aからフェルール150を経由し前面105や凹部106に延び、そこから端キャップ100を通って半径方向外方にリセプタクル103まで延びる。力の流れFは、ケーブル300の端部303まで、特にケーブル300の外周304まで伝達される。ブッシュ130が別体の部品として供給される場合、力の流れFはリセプタクル103の内周107からブッシュ130の外周132まで伝達され、次にブッシュ130の内周131を介してケーブル300の端部303の外周304まで伝達される。換言すると、保持力は、補強部材302からフェルール150、端キャップ100及びブッシュ130を介してケーブル300の外周304まで伝達される。ここで、外周304は、ケーブル300のシースにより形成されてもよい。
【0034】
さらに、リセプタクル103内にケーブル300の端部303を封止し取り付けるために、ケーブル300の外周304、ブッシュ130の外周132及び端キャップ100の外周108、特にリセプタクル103の外周を収縮取付けチューブ250が囲んでもよい。端キャップ100の外周108に沿った収縮取付けチューブ250の把持を強化するため、特に挿入方向Iとは逆向きの収縮取付けチューブ250の移動を防止するために、外周108は、その直径が減少して挿入方向Iとは逆向きに収縮取付けチューブ250が支持される縁が形成されるように、周囲段部109が設けられてもよい。
【0035】
端キャップ100及びエンクロージャ組立体200の間、特に端キャップ100の外周108及びエンクロージャ組立体200の内周202の間を封止するために、Oリングの形態の封止部材170を設けてもよい。封止部材170は、端キャップ100の外周108に沿って延びる周囲溝110内に載置されてもよい。
【0036】
また、図3において、リードスルー開口101には湾曲部111が設けられ、この結果、リードスルー開口101が端キャップ100の半径方向Rに通路102から離れる方向に部分的に延びることが明白になる。このため、挿入方向Iに沿って見た場合、後面104のリードスルー開口101は、最初に縦軸L100に沿って延びる通路102と平行に延びる。前面105に向かって、リードスルー開口101は通路102から離れる方向に湾曲する。
【0037】
図4は、端キャップ100の斜視図である。ここでは、凹部106が挿入方向Iに沿って前面105からはみ出すことが明白になる。凹部106の底112は、フェルール150、特にフェルール150のカラー152により提供される当接面153を支持するために形成される。周縁113は凹部106の周囲を囲む。周縁113における切欠き114、及び凹部106の底112の部分における切欠き114により、リードスルー開口101の壁の直線部101aが縦軸L100とほぼ平行に延びることは、縁が障害となることなく、線301が挿入方向Iに沿ってリードスルー開口101を通って容易に押されることを可能にする。
【0038】
さらに、3個の連結部115a,115b,115cは半径方向に凹部106から離れるように延びるので、凹部106は連結部115a〜115cによって横方向に支持される。連結部115a〜115cは、前面105の周囲を囲むカラー116と一体化する。カラー116内の間隙117は、リードスルー開口101の近傍に設けられる。
【0039】
上述の実施形態を変形することは本発明の概念内で可能である。終端接続構造1は、いかなる数の端キャップ100、ブッシュ130、フェルール150、封止部材170、エンクロージャ組立体200、収縮取付けチューブ250、ケーブル300やコネクタ400を具備してもよいし、特定用途のために要望通りに形成してもよい。
【0040】
端キャップ100は、線301及び補強部材302用のそれぞれの溝を形成する任意の数のリードスルー開口101及び通路102を具備し、要望通りに形成してもよい。後面104及び前面105は、要望通りに形成されてもよく、ブッシュ130、ケーブル300の端部303及びフェルール150をそれぞれ支持し収容するために必要な任意の形態及び数のリセプタクル103及び凹部106を具備してもよい。リセプタクル103の内周107は、補完的にブッシュ130やケーブル300を受容するために必要な構成にされてもよい。端キャップ100の外周108は、封止部材170や収縮取付けチューブ250を積極的に嵌まる方法で取り付けるために必要な任意の形態及び数の段109及び溝110を具備してもよい。
【0041】
リードスルー開口101は、線301の取扱いを容易にできるようにするために湾曲部111を具備してもよい。リードスルー開口101及び湾曲部111の形態は、補強部材302の自由端302aの隣の線301のしっかりとした容易な取扱いを可能にするために選択され、切欠き114及び間隙117に合致してもよい。凹部106は、フェルール150の支持に必要な任意の形態及び数の底112、周縁113及び切欠き114を具備してもよい。
【0042】
連結部115a〜115cは、必要な任意の形態及び数が設けられてもよいし、補強部材302の自由端302aに作動される工具を案内すると共に凹部106やカラー116を安定化させるために、周縁130及びカラー116と一体化してもよい。従って、挿入方向Iに沿って面する周縁113、連結部115a〜115cやカラー116の表面は、一平面を画定するように互いに整列してもよい。この一平面に沿って、工具が補強部材302の自由端302aやフェルール150に作動される際に工具が移動する。
【0043】
ブッシュ130は、リセプタクル103内にブッシュ130を緊密に収容するために、外周132を提供するために、及びケーブル300の外周304を緊密に取り囲むよう構成された内周131を提供するために必要に応じて形成されてもよい。ブッシュ130は、リセプタクル103と一体に形成されてもよいし、リセプタクル103に嵌められてもよい。フェルール150は、必要な形態の管状部151及びカラー152を具備してもよいし、端キャップ100と一体に形成されたり、端キャップ100に嵌められたりしてもよい。
【0044】
エンクロージャ組立体200は、少なくとも1本のケーブル300、及び少なくとも1個の端キャップ100を収容するために必要ないかなる形態及び形状の内部スペーサ201を具備してもよい。ケーブル300は、補強部材302、及び所定用途に必要ないかなる形態及び数の線301を具備してもよい。ケーブル300は、電力、及び例えばデジタルデータやアナログ信号等の情報を伝送するための任意の種類の伝送ケーブルであってもよい。このため、線301は、情報や電力を伝送するための任意の伝送線であってもよい。従って、線は、例えば銅等の金属製の編組線又は撚り線等の任意の種類の電気導体からなっていてもよい。また、線301は、光ファイバ又は光ファイバ束の形態の任意の伝送線であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
100 端キャップ
101 リードスルー開口
102 通路
103 リセプタクル
104 後面
105 前面
106 凹部
111 湾曲部
115a,115b,115c 連結部
116 カラー
117 間隙
130 ブッシュ
150 フェルール
300 ケーブル
301 伝送線
302 補強部材
302a 自由端(外部)
303 端部
304 外周
100 縦方向
図1
図2
図3
図4