特許第6253393号(P6253393)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 花王株式会社の特許一覧
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6253393
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】固形状組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7048 20060101AFI20171218BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20171218BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20171218BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20171218BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   A61K31/7048
   A61K47/02
   A61K47/12
   A61K9/20
   A61P3/02 107
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-262439(P2013-262439)
(22)【出願日】2013年12月19日
(65)【公開番号】特開2015-117213(P2015-117213A)
(43)【公開日】2015年6月25日
【審査請求日】2016年9月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】首藤 愛呼
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 陽子
(72)【発明者】
【氏名】白幡 登
【審査官】 馬場 亮人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−327526(JP,A)
【文献】 特開平02−295919(JP,A)
【文献】 特開2005−053861(JP,A)
【文献】 特開2011−126849(JP,A)
【文献】 特開2004−275089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/7048
A61K 9/20
A61K 47/02
A61K 47/12
A61P 3/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ヘスペリジン及び/又はヘスペリジン誘導体、
(B)炭酸塩、
(C)有機酸、
を含有し、成分(A)と成分(B)の含有質量比[(B)/(A)]が0.3以上であり、且つ成分(C)と成分(B)の当量比[(C)の当量/(B)の当量]が0.8〜3であり、前記ヘスペリジン誘導体がヘスペリジン糖付加物又はメチルヘスペリジンである固形状組成物。
【請求項2】
固形状組成物中の(A)ヘスペリジン及び/又はヘスペリジン誘導体の含有量が4〜60質量%である請求項1記載の固形状組成物。
【請求項3】
固形状組成物中の(C)有機酸の含有量が5.5〜50質量%である請求項1又は2記載の固形状組成物。
【請求項4】
発泡錠である請求項1〜のいずれか1項記載の固形状組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘスペリジンを含有する固形状組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フラボノイドの一種であるヘスペリジンは、ビタミンPとも呼ばれ、柑橘類の皮等に多く含まれることが知られている物質である。ヘスペリジンは、毛細血管の強化、出血予防、血圧調整等の様々な生理作用を有することが報告され、生体への利用が期待されている。
ヘスペリジンの生理機能をより効果的に発現させるには、ヘスペリジンの摂取量を増やすことが大切であり、また、それを簡便に達成可能とする手段として飲料の形態とすることが提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
一方、錠剤や散剤等の固形状組成物は、携帯性や保存性に優れ、1回当たり少量で、簡便且つ手軽に摂取できる経口摂取に適した形態である。とりわけ、炭酸塩と有機酸を配合した発泡剤は、摂取すると口内において唾液との接触により発泡し、独特の清涼感が得られるため好適な形態である。
また、発泡剤は、経口用成分の吸収速度を高める目的で用いられることがあり、例えば、濃縮緑茶植物抽出物と炭酸塩と酸を配合し、身体による吸収を迅速にしてバイオアベイラビリティーを向上させた発泡性組成物を形成する固体水溶性製剤が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−126849号公報
【特許文献2】特表2003−503324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者らが、ヘスペリジンを含有する固形状組成物を開発すべく検討したところ、ヘスペリジンを固形状組成物中に配合し、それを高濃度化するに従いヘスペリジン特有の苦味が感じられるだけでなく、苦味とは異質の収斂感が感じられ、後に収斂味が残存することが判明した。
したがって、本発明の課題は、後に残る収斂味、苦味が抑えられ、風味の良好なヘスペリジンを含有する固形状組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、ヘスペリジンに所定量の炭酸塩と、更に有機酸を所定の割合で組み合わせ、摂取時に炭酸ガスを発生させることにより、ヘスペリジン特有の後に残る収斂味と苦味が低減されて、風味の良好な固形状組成物とすることができることを見出した。
すなわち、本発明は、次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)ヘスペリジン及び/又はヘスペリジン誘導体、
(B)炭酸塩、
(C)有機酸、
を含有し、成分(A)と成分(B)の含有質量比[(B)/(A)]が0.25以上であり、且つ成分(C)と成分(B)の当量比[(C)の当量/(B)の当量]が0.8〜3である固形状組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ヘスペリジン特有の後に残る収斂味と苦味が抑えられ、また、炭酸塩由来の塩味や有機酸由来の酸味も少ない、風味の良好なヘスペリジンを含有する固形状組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で用いる(A)ヘスペリジンは、ヘスペレチン(5,7,3'−トリヒドロキシ−4'−メトキシフラバノン)の7位の水酸基にルチノース(L−ラムノシル−(α1→6)−D−グルコース)がβ結合した化合物である。
本発明のヘスペリジン誘導体は、ヘスペリジンに糖が結合した配糖体、ヘスペリジンのメチル化物を用いることができる。
【0009】
ヘスペリジンに糖が結合した配糖体としては、ヘスペリジンに更に1個〜10個の糖が結合した化合物が挙げられる。糖としては、グルコース、マルトース、フルクトース、ラムノース、ラクトース等が挙げられる。なかでも、溶解性及び可溶化力の点から、ヘスペリジンに1個〜10個のグルコースが結合したグルコシルヘスペリジンが好ましく、更にグルコース1個が結合したモノグルコシルヘスペリジンが好ましい。また、グルコースの付加数は分布を持っていてもよく、ヘスペリジン1モルに対するグルコースの平均付加モル数は1〜10が好ましい。なお、ヘスペリジン自身も、上記のとおり、ヘスペレチンをアグリコンとし、これに糖が結合した配糖体である。本発明においてはこれと区別するため、ヘスペリジンに更に糖が結合したものをヘスペリジン糖付加物と表記する。
【0010】
これらのヘスペリジン及びヘスペリジン糖付加物は、化学合成や酵素反応を利用して公知の方法により工業的に製造することができる。また、ヘスペリジンについては、これを含有する天然物、好ましくは植物から抽出することによって得ることもできる。これらの物質はまた、試薬等として製造販売されている。市販されているヘスペリジンの例としては、浜理薬品工業(株)のヘスペリジン「ハマリ」が挙げられる。市販されているヘスペリジン糖付加物の例としては、(株)林原生物科学研究所の「林原ヘスペリジンS」が挙げられる。
【0011】
メチルヘスペリジンには、主に、カルコン型化合物(1)及びフラバノン型化合物(2)が含まれることが知られており、その構成成分として、例えば以下に示す構造のものが挙げられる。
【0012】
【化1】
【0013】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
ここで、医薬品添加物及び食品添加物としてのメチルヘスペリジンは、主に、化合物(3)及び(4)の混合物として取り扱われている。
【0014】
【化2】
【0015】
(式中、Glは、グルコース残基、Rhは、ラムノース残基を表す。また、Gl−2は、グルコース残基の2位((3−1)の場合、3位も含む)、Rh−2は、ラムノース残基の2位を表す。)
また、化粧品原料としてのヘスペリジンメチルカルコンは、(5)で示される化合物として取り扱われている。なお、カルコン型化合物を多く含む組成の場合、ヘスペリジンメチルカルコンとも呼ばれる。
【0016】
【化3】
【0017】
(式中、Rは水素原子又はメチル基を表す。)
本発明で用いるメチルヘスペリジンは、上記で示したカルコン型化合物(1)とフラバノン型化合物(2)の両方を含むものでもよいし、また、それぞれの片方のみを含むものでもよい。
本発明において、より好適なメチルヘスペリジンとしては、化合物(3)と化合物(4)の混合物が挙げられる。
メチルヘスペリジンは、公知の方法、例えば、ヘスペリジンを水酸化ナトリウム水溶液に溶かし、そのアルカリ溶液に対応量のジメチル硫酸を作用させ、反応液を硫酸で中和し、n−ブチルアルコールで抽出し、溶媒を留去したのち、イソプロピルアルコールで再結晶することにより製造できるが(崎浴、日本化學雑誌、79、733−6(1958))、その製造法はこれに限るものではない。
メチルヘスペリジンとして市販のメチルヘスペリジン含有製剤を使用してもよく、例えば、「メチルヘスペリジン」(アルプス薬品工業(株))、「ヘスペリジンメチルカルコン」(Sigma社)、「メチルヘスペリジン」(浜理薬品工業(株))が挙げられる。
【0018】
本発明の固形状組成物中、(A)ヘスペリジン及び/又はヘスペリジン誘導体の含有量は、4〜60質量%(以下、「%」とする)が好ましく、更に9〜60%、更に10〜55%、更に15〜50%、更に15〜40%であることが風味、有効量を摂取するに必要な錠剤数の点から好ましい。
なお、本明細書において「成分(A)の含有量」は、ヘスペリジンとヘスペリジン誘導体の合計量に基づいて定義され、また、ヘスペリジン誘導体がヘスペリジン糖付加物の場合はヘスペリジン糖付加物の含有量とし、また、メチルヘスペリジンの場合はメチルヘスペリジンの含有量とする。
【0019】
本発明で用いる(B)炭酸塩としては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、セスキ炭酸ナトリウム等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
本発明の固形状組成物中、(B)炭酸塩の含有量は、3〜40%であるのが好ましく、更に5〜35%、更に10〜20%であることが、風味、物性の点、(A)成分を多く含有させ生理効果を高める点から好ましい。
【0021】
本発明の固形状組成物においては、(A)ヘスペリジン及び/又はヘスペリジン誘導体と(B)炭酸塩の含有質量比[(B)/(A)]を0.25以上とする。(A)ヘスペリジン及び/又はヘスペリジン誘導体と(B)炭酸塩の含有質量比[(B)/(A)]は、収斂味、苦味抑制の点から、更に0.27以上、更に0.3以上、更に0.35以上、更に0.4以上、更に0.5以上、更に0.7以上が好ましい。また、(A)ヘスペリジン及び/又はヘスペリジン誘導体と(B)炭酸塩の含有質量比[(B)/(A)]は、(A)成分を多く含有させ生理効果を高める点から、7以下が好ましく、更に6以下、更に5以下、更に4以下、更に3以下、更に2以下が好ましい。
【0022】
また、本発明で用いる(C)有機酸としては、可食性の酸を使用することができる。例えば、クエン酸、コハク酸、アスコルビン酸、酢酸、グルコン酸、リンゴ酸、酒石酸、フマル酸、アジピン酸等の有機酸が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、有機酸の味の点、発生する泡の食感が良好な点から、クエン酸又はリンゴ酸が好ましく、更にクエン酸が好ましい。
【0023】
本発明の固形状組成物中、(C)有機酸の含有量は、5.5〜50%、更に8〜30%、更に10〜25%であることが風味、物性の点、(A)成分を多く含有させ生理効果を高める点から好ましい。
【0024】
本発明の固形状組成物においては、(C)有機酸と(B)炭酸塩の当量比[(C)の当量/(B)の当量]を、0.8〜3の範囲とする。炭酸塩由来の塩味や有機酸の酸味が突出せず、風味のバランスが良好となる。(C)有機酸と(B)炭酸塩の当量比は、上記と同様の点から、更に0.9〜3.0、更に0.9〜2.7、更に0.95〜2.0、更に0.95〜1.8が好ましい。
なお、本発明において、前記「当量比」とは、固形状組成物に含まれる(C)有機酸の当量を(B)炭酸塩の当量で除した値である。
【0025】
また、本発明の固形状組成物においては、固形状組成物中の(A)ヘスペリジンの含有量に対する(B)炭酸塩と(C)有機酸の合計含有量の比(質量比)[(B)+(C)/(A)]を、0.3〜10、更に0.5〜5、更に0.7〜3、更に0.8〜2の範囲とするのが風味、錠数を少なくし、効率的にヘスペリジンを摂取する1錠当たりのヘスペリジン含有量の点から好ましい。
【0026】
本発明の固形状組成物には、上記成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲において、ミネラル(例えば、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、クロム、セレン、マンガン、モリブデン、銅、ヨウ素、リン、カリウム、ナトリウム)、ビタミン(例えば、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンE、葉酸及びそれらの塩、又はそれらのエステル)、甘味料(例えば、フルクトース、グルコース、ガラクトース、キシロース、タガトース等の単糖、例えば、ショ糖、乳糖、麦芽糖、トレハロース、イソマルトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、大豆オリゴ糖、イソマルツロース、カップリングシュガー等の少糖、炭素数6〜12の糖アルコール、サッカリン、スクラロース、アセスルファムカリウム等の合成甘味料)、前記「(C)有機酸」以外の酸味料、香料、着色料、保存料等が適宜配合されていてもよい。
【0027】
本発明の固形状組成物は、口内又は水の存在下で炭酸ガスを発生するものである。その形態としては、例えば、室温(15〜25℃)で固形状のものであれば特に限定されないが、例えば、カプセル剤、顆粒剤、散剤、錠剤、丸剤等が挙げられる。なかでも、1回あたり少量で摂取可能な点、摂取が簡便な点から、発泡錠である錠剤、散剤が好ましく、チュアブル錠であることが更に好ましい。
このような剤型の組成物を調製するには、必要に応じて、乳糖、デンプン類、結晶セルロース、蔗糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸、リン酸水素カルシウム等の賦形剤;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、アルファー化デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、プルラン、メチルセルロース、硬化油等の結合剤;カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース等の崩壊剤;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、二酸化ケイ素等の滑沢剤;ステビア、アスパルテーム等の嬌味剤;香料、増量剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、被膜剤、希釈剤等を適宜組み合わせて用いることができる。
【0028】
本発明の固形状組成物は、特に制限はなく常法に従い製造される。例えば、(A)ヘスペリジン及び/又はヘスペリジン誘導体、(B)炭酸塩、(C)有機酸及び必要に応じて添加される添加剤の混合物を調製後、圧縮成形することによって製造することができる。
例えば、散剤を製造する場合、(A)ヘスペリジン及び/又はヘスペリジン誘導体、(B)炭酸塩、(C)有機酸及び必要に応じて添加される添加剤の混合物をそのまま用いてもよいし、混合物を粉砕して用いてもよい。散剤は、18号(850μm)ふるいを全量通過することが好ましく、300号(500μm)ふるいに残留するものが全量の5%以下であることがより好ましい。
顆粒剤は、(A)ヘスペリジン及び/又はヘスペリジン誘導体、(B)炭酸塩、(C)有機酸及び必要に応じて添加される添加剤の混合物を乾式造粒法、湿式造粒法等を用いて造粒することにより得ることができる。
錠剤を製造する場合は、原料粉末を直接圧縮して成形(直接粉末圧縮法)しても、乾式造粒法、湿式造粒法等を用いて造粒してから圧縮して成形(顆粒圧縮法)しても良い。なかでも、工程の簡便性の点から、直接粉末圧縮法を用いて錠剤とするのが好ましい。
直接圧縮して成形して錠剤を製造する場合、打錠成形機としてはロータリー式打錠機や単発式打錠機等通常使用されるものを用いることができる。
また、造粒法より造粒してから錠剤とする場合、円筒造粒機、球形整粒機、ペレッター等を使用する押し出し造粒法、スピードミル、パワーミル等を使用する破砕造粒法、転動造粒法、攪拌造粒法、流動層造粒法等により造粒物を製造し、乾燥・整粒した後、得られた造粒物を前記打錠成形機で圧縮して錠剤を形成できる。造粒物の平均粒子径は、45μm〜850μmとするのが好ましく、100μm〜500μmとするのが更に好ましい。
錠剤の形状としては、円形錠もしくは楕円形、長円形、四角形等の面形を有する各種異形錠であってもよい。
また、打錠時の圧縮成型圧は、成型物の硬度維持、崩壊性等の点から、例えば100〜4000kg/cm2である。
【0029】
また、本発明の錠剤の1錠当りの重量は、0.1g以上とするのが簡便性及び有効性の点で好ましい。
【実施例】
【0030】
[原料]
ヘスペリジン製剤:ヘスペリジン「ハマリ」、浜理薬品工業(株)製、ヘスペリジン含有量92%
グルコシルヘスペリジン製剤:林原ヘスペリジンS、(株)林原生物化学研究所製、ヘスペリジン含有量17%、モノグルコシルヘスペリジン含有量74%
メチルヘスペリジン製剤:メチルヘスペリジン、アルプス薬品工業(株)製、メチルヘスペリジン含有量100%
炭酸水素ナトリウム:炭酸水素ナトリウム、和光純薬(株)
クエン酸:無水クエン酸MS、扶桑化学工業(株)
リンゴ酸:フソウS、扶桑化学工業(株)
デキストリン:デキストリンM−SPD、昭和産業(株)
ステアリン酸カルシウム:オーラブライトCA−65、日油(株)
【0031】
[ヘスペリジン、メチルヘスペリジン及びヘスペリジン糖付加物の分析]
ヘスペリジン、メチルヘスペリジン及びヘスペリジン糖付加物の定量は、日立製作所製高速液体クロマトグラフを用い、インタクト社製カラムCadenza CD−C18 (4.6mmφ×150mm、3μm)を装着し、カラム温度40℃でグラジエント法により行った。移動相A液は0.05mol/L酢酸水溶液、B液はアセトニトリルとし、1.0mL/分で送液した。グラジエント条件は以下のとおりである。
時間(分) A液(%) B液(%)
0 85 15
20 80 20
35 10 90
50 10 90
50.1 85 15
60 85 15
試料注入量は10μL、検出はメチルヘスペリジンは波長360nm、ヘスペリジンとヘスペリジン糖付加物は波長283nmの吸光度により定量した。
【0032】
[炭酸塩の分析]
固形状組成物中の炭酸塩の含有量の分析方法は以下の通りである。
固形状組成物を0.1〜0.2g採取し、水10mLと50%りん酸2mLを加え密栓した。10分間超音波処理を行った後、1時間放置しヘッドスペースガスをガスクロマトグラフに供してCO2量を求め、発生したCO2量から算出した。
<ガスクロマトグラフ操作条件>
機種:GC−14B[島津製作所]
検出器:TCD
カラム:Chromosorb101,80〜100mesh
ガラス管,φ3.2mm×2m
温度:カラム50℃,注入口及び検出器100℃
セル電流75mA
ガス圧力:ヘリウム(キャリヤーガス)100kPa
注入量:ヘッドスペースガス0.2mL
【0033】
[有機酸の分析]
固形状組成物中の有機酸の含有量の分析方法は以下の通りである。
固形状組成物を1g採取し5%過塩素酸20mLを加え、10分間振とうすることで抽出した。これを水で200mLに定容し10分間超音波処理を行った。ろ過後高速液体クロマトグラフに供した。
<高速液体クロマトグラフ操作条件>
機種:LC−20AD[株式会社島津製作所]
検出器:紫外可視吸光光度計SPD−20AV[島津製作所]
カラム温度:40℃
移動相:3mmоl/L過塩素酸
反応液:0.2mmоl/Lブロムチモールブルー含有
15mmоl/Lりん酸水素二ナトリウム溶液
流量:移動相1.0mL/min、反応液1.4mL/min
測定波長:445nm
【0034】
〔チュアブル錠の調製〕
実施例1〜実施例11及び比較例1〜比較例7
表1に記載の配合組成で各原料成分を混合した。次に単発式打錠機(RIKEN社製)を用いて、穴径7mmのリング状杵で、錠剤重量100mgで打錠し、チュアブル錠を得た。
尚、実施例2,9,10及び11は参考例である。
【0035】
上記で得た本発明品と比較品を専門パネル3名による官能評価を行なった。評価は、ヘスペリジン特有の後味の収斂味、ヘスペリジン特有の苦味、酸味と塩味のバランスについて、下記に示す判断基準に従って行い、協議により評点を決定した。結果を表1に示す。
〔後味の収斂味〕
5:後味の収斂味が弱い
4:後味の収斂味がやや弱い
3:後味の収斂味がやや強い
2:後味の収斂味が強い
1:後味の収斂味がとても強い
〔苦味〕
5:苦味が弱い
4:苦味がやや弱い
3:苦味がやや強い
2:苦味がが強い
1:苦味がとても強い
〔酸味と塩味のバランス〕
5:酸味と塩味が突出せずにバランスが非常に良い
4:酸味と塩味が突出せずにバランスが良い
3:酸味と塩味が突出せずにバランスがやや良い
2:塩味及び/又は酸味がやや強くバランスが悪い
1:塩味及び/又は酸味が強くバランスが非常に悪い
【0036】
【表1】
【0037】
表1から明らかなように、ヘスペリジンを配合した固形状組成物は、ヘスペリジン特有の後に残る収斂味と苦味が感じられた(比較例6と7)。これに対し、本発明品は、比較品と比べ、ヘスペリジン特有の後に残る収斂味と苦味が低減されて、また、炭酸塩由来の塩味や有機酸由来の酸味が突出せず、風味のバランスが良好であった。
ヘスペリジンに対する炭酸塩の割合が一定範囲外の比較例1〜3は、ヘスペリジンの後に残る収斂味と苦味の低減効果が低く、有機酸と炭酸塩の当量比が一定範囲外の比較例4と5では、炭酸塩由来の塩味や有機酸由来の酸味が強く、風味のバランスが悪かった。