特許第6253440号(P6253440)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6253440ベクトルデータ処理装置、画像記録システム、ベクトルデータ処理方法およびプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6253440
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】ベクトルデータ処理装置、画像記録システム、ベクトルデータ処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 3/40 20060101AFI20171218BHJP
【FI】
   G06T3/40
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-28315(P2014-28315)
(22)【出願日】2014年2月18日
(65)【公開番号】特開2015-153281(P2015-153281A)
(43)【公開日】2015年8月24日
【審査請求日】2016年12月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100110847
【弁理士】
【氏名又は名称】松阪 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100136526
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100136755
【弁理士】
【氏名又は名称】井田 正道
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 裕之
【審査官】 鍬 利孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−191657(JP,A)
【文献】 特開平08−083060(JP,A)
【文献】 特開2007−293829(JP,A)
【文献】 特開平07−028451(JP,A)
【文献】 特開平06−118935(JP,A)
【文献】 特開2011−087283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/00 − 1/40
G06T 3/00 − 9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像記録用のラスタデータに変換される前のベクトルデータを処理するベクトルデータ処理装置であって、
幅を有する線状の図形を含む対象図形のアウトラインを示す対象ベクトルデータを処理して、前記対象図形を細らせた細らせ済み図形を示すベクトルデータである細らせ済みデータを得る細らせ部と、
前記対象ベクトルデータを処理して、前記対象図形の少なくとも一部の芯線を示すベクトルデータである芯線データを取得する芯線取得部と、
前記細らせ済み図形と前記芯線とを重ね合わせた合成図形の記録を指示するデータを生成する重ね合わせ部と、
を備えることを特徴とするベクトルデータ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のベクトルデータ処理装置であって、
前記対象図形が文字を表すことを特徴とするベクトルデータ処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のベクトルデータ処理装置であって、
元画像データが複数のレイヤを有し、
前記複数のレイヤの少なくとも1つのレイヤに含まれる図形要素のデータのうち、図形のアウトラインを示すベクトルデータであるものの全てが前記対象ベクトルデータであることを特徴とするベクトルデータ処理装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載のベクトルデータ処理装置であって、
前記芯線取得部が、前記対象図形の一部の芯線のみを取得し、
前記一部の芯線が、前記細らせ部の処理にて前記対象図形が途切れる位置の芯線を含むことを特徴とするベクトルデータ処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のベクトルデータ処理装置であって、
前記細らせ部が、前記対象ベクトルデータに関連付けられている細らせ量を示す変数の値が定められているか否かを確認し、値が定められていない場合に、前記対象ベクトルデータに対応する細らせ量を決定する、または、使用者が指定する細らせ量を受け付けることを特徴とするベクトルデータ処理装置。
【請求項6】
画像記録システムであって、
請求項1ないし5のいずれかに記載のベクトルデータ処理装置と、
前記重ね合わせ部から出力されるデータをラスタデータに変換するRIP部と、
前記ラスタデータに従って記録媒体に画像を記録する画像記録装置と、
を備えることを特徴とする画像記録システム。
【請求項7】
請求項6に記載の画像記録システムであって、
元画像データが示す複数の図形要素を表示する表示部と、
前記複数の図形要素に含まれる図形を前記対象図形として選択する操作を受け付ける入力部と、
をさらに備えることを特徴とする画像記録システム。
【請求項8】
請求項6または7に記載の画像記録システムであって、
予め準備されたラスタデータである固定ラスタデータと、前記RIP部にて生成された可変ラスタデータとを合成して合成ラスタデータを生成するラスタデータ合成部をさらに備え、
前記画像記録装置が、前記合成ラスタデータに従って記録媒体に画像を記録することを特徴とする画像記録システム。
【請求項9】
画像記録用のラスタデータに変換される前のベクトルデータを処理するベクトルデータ処理方法であって、
幅を有する線状の図形を含む対象図形のアウトラインを示す対象ベクトルデータを処理して、前記対象図形を細らせた細らせ済み図形を示すベクトルデータである細らせ済みデータを得る工程と、
前記対象ベクトルデータを処理して、前記対象図形の少なくとも一部の芯線を示すベクトルデータである芯線データを取得する工程と、
前記細らせ済み図形と前記芯線とを重ね合わせた合成図形の記録を指示するデータを生成する工程と、
を備えることを特徴とするベクトルデータ処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、画像記録用のラスタデータに変換される前のベクトルデータを処理させるプログラムであって、前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、
幅を有する線状の図形を含む対象図形のアウトラインを示す対象ベクトルデータを処理して、前記対象図形を細らせた細らせ済み図形を示すベクトルデータである細らせ済みデータを得る工程と、
前記対象ベクトルデータを処理して、前記対象図形の少なくとも一部の芯線を示すベクトルデータである芯線データを取得する工程と、
前記細らせ済み図形と前記芯線とを重ね合わせた合成図形の記録を指示するデータを生成する工程と、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録用のラスタデータに変換される前のベクトルデータを処理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、インクジェット方式や電子写真方式等にて画像の記録を行う際に、予め、ラスタデータに様々な処理を行う技術が知られている。例えば、特許文献1の従来の技術の欄では、インクの広がりにより網点が太るドットゲイン現象に対処するために、予め網点面積を補正しておく技術に言及されている。特許文献1では、校正用の出力装置と一般的な印刷機との間のドットゲインの相違に対処するために、網点画像のエッジ部分の濃度を変更することにより、太らせまたは細らせ処理を行う技術が開示されている。
【0003】
特許文献2では、パターン検査の分野ではあるが、マスタパターンの取得の際に、背景パターンと製品パターンを有する基準パターンにおいて、製品パターンに属する各画素に境界からの距離データを割り当てて基準距離パターンが得られ、基準距離パターンの各画素において周辺の画素に自分より大きな距離データがなくなるまで画素を削除して画素削除処理画像が得られる。また、基準距離パターンを線幅が最小となるまで画素を削除して細線化処理画像が得られ、画素削除処理画像と細線化処理画像とを合成して、基準骨格パターンが得られる。そして、基準骨格パターンを逆距離変換処理して(すなわち、太らせて)マスタパターンが得られる。
【0004】
なお、特許文献3には、複数の冊子において固定部分と可変部分とが存在する場合に、固定部分は共用化し、可変部分のみをラスタライズする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−219171号公報
【特許文献2】特開2010−145145号公報
【特許文献3】特開2001−301248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、微細な文字や線画を記録する場合、RIP(Raster Image processor)にてベクトルデータをラスタデータに変換すると(すなわち、ラスタライズすると)、線が太くなって潰れる場合がある。これは、アウトライン化した文字には、微細な文字を記録する際に参照されるHint情報が存在せず、かつ、ラスタライズする際に、微細な部分が途切れないように文字や図形に掛かる画素が描画画素に決定されるためである。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、文字や線状の図形の太りや潰れをラスタライズ前の処理にて適切に対応することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、画像記録用のラスタデータに変換される前のベクトルデータを処理するベクトルデータ処理装置であって、幅を有する線状の図形を含む対象図形のアウトラインを示す対象ベクトルデータを処理して、前記対象図形を細らせた細らせ済み図形を示すベクトルデータである細らせ済みデータを得る細らせ部と、前記対象ベクトルデータを処理して、前記対象図形の少なくとも一部の芯線を示すベクトルデータである芯線データを取得する芯線取得部と、前記細らせ済み図形と前記芯線とを重ね合わせた合成図形の記録を指示するデータを生成する重ね合わせ部とを備える。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のベクトルデータ処理装置であって、前記対象図形が文字を表す。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のベクトルデータ処理装置であって、元画像データが複数のレイヤを有し、前記複数のレイヤの少なくとも1つのレイヤに含まれる図形要素のデータのうち、図形のアウトラインを示すベクトルデータであるものの全てが前記対象ベクトルデータである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のベクトルデータ処理装置であって、前記芯線取得部が、前記対象図形の一部の芯線のみを取得し、前記一部の芯線が、前記細らせ部の処理にて前記対象図形が途切れる位置の芯線を含む。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のベクトルデータ処理装置であって、前記細らせ部が、前記対象ベクトルデータに関連付けられている細らせ量を示す変数の値が定められているか否かを確認し、値が定められていない場合に、前記対象ベクトルデータに対応する細らせ量を決定する、または、使用者が指定する細らせ量を受け付ける。
【0013】
請求項6に記載の発明は、画像記録システムであって、請求項1ないし5のいずれかに記載のベクトルデータ処理装置と、前記重ね合わせ部から出力されるデータをラスタデータに変換するRIP部と、前記ラスタデータに従って記録媒体に画像を記録する画像記録装置とを備える。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像記録システムであって、元画像データが示す複数の図形要素を表示する表示部と、前記複数の図形要素に含まれる図形を前記対象図形として選択する操作を受け付ける入力部とをさらに備える。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項6または7に記載の画像記録システムであって、予め準備されたラスタデータである固定ラスタデータと、前記RIP部にて生成された可変ラスタデータとを合成して合成ラスタデータを生成するラスタデータ合成部をさらに備え、前記画像記録装置が、前記合成ラスタデータに従って記録媒体に画像を記録する。
【0016】
請求項9に記載の発明は、画像記録用のラスタデータに変換される前のベクトルデータを処理するベクトルデータ処理方法であって、幅を有する線状の図形を含む対象図形のアウトラインを示す対象ベクトルデータを処理して、前記対象図形を細らせた細らせ済み図形を示すベクトルデータである細らせ済みデータを得る工程と、前記対象ベクトルデータを処理して、前記対象図形の少なくとも一部の芯線を示すベクトルデータである芯線データを取得する工程と、前記細らせ済み図形と前記芯線とを重ね合わせた合成図形の記録を指示するデータを生成する工程とを備える。
【0017】
請求項10に記載の発明は、コンピュータに、画像記録用のラスタデータに変換される前のベクトルデータを処理させるプログラムであって、前記プログラムの前記コンピュータによる実行は、前記コンピュータに、幅を有する線状の図形を含む対象図形のアウトラインを示す対象ベクトルデータを処理して、前記対象図形を細らせた細らせ済み図形を示すベクトルデータである細らせ済みデータを得る工程と、前記対象ベクトルデータを処理して、前記対象図形の少なくとも一部の芯線を示すベクトルデータである芯線データを取得する工程と、前記細らせ済み図形と前記芯線とを重ね合わせた合成図形の記録を指示するデータを生成する工程とを実行させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ラスタライズ前のベクトルデータに対する処理により、線切れを防止しつつ図形を細らせることができる。その結果、ラスタライズ後の図形の形状を元のデータが示す図形の形状に近づけることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】画像記録システムの構成を示す図である。
図2】画像記録装置の構成を示す図である。
図3】コンピュータの構成を示す図である。
図4】元画像データ生成装置および元画像データの構造を示す図である。
図5】表示部の表示例を示す図である。
図6.A】レイヤの画像を示す図である。
図6.B】レイヤの画像を示す図である。
図6.C】レイヤの画像を示す図である。
図6.D】レイヤの画像を示す図である。
図7】ベクトルデータ処理装置の機能構成を示す図である。
図8】ベクトルデータ処理装置の動作の流れを示す図である。
図9】対象図形の例を示す図である。
図10.A】細らせ処理を示す図である。
図10.B】細らせ済み図形を示す図である。
図11.A】芯線の取得途上の対象図形を示す図である。
図11.B】芯線を示す図である。
図12】合成図形を示す図である。
図13】対象図形を表現する記述を示す図である。
図14】合成図形を表現する記述を示す図である。
図15】元画像の例を示す図である。
図16.A】元画像に細らせ処理のみを施した結果を示す図である。
図16.B】元画像から取得される芯線を示す図である。
図17】ベクトルデータ処理装置にて処理した結果を示す図である。
図18.A】フォントによる文字を示す図である。
図18.B】ベクトルデータによる文字を示す図である。
図18.C】ベクトルデータ処理装置による処理後の文字を示す図である。
図19.A】ラスタライズ後の図18.Aの文字を示す図である。
図19.B】ラスタライズ後の図18.Bの文字を示す図である。
図19.C】ラスタライズ後の図18.Cの文字を示す図である。
図20.A】記録後の図19.Aの文字を示す図である。
図20.B】記録後の図19.Bの文字を示す図である。
図20.C】記録後の図19.Cの文字を示す図である。
図21】芯線取得部における処理の他の例を示す図である。
図22】細らせ量の指定の他の例を示す図である。
図23】画像記録システムの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明の一の実施の形態に係る画像記録システム1の構成を示すブロック図である。画像記録システム1は、元画像データ生成装置11と、ベクトルデータ処理装置12と、RIP部13と、画像記録装置14とを備える。元画像データ生成装置11には、表示部111および入力部112が接続される。表示部111および入力部112は、画像記録システム1において様々な態様にて設けられてよい。例えば、表示部111および入力部112は、元画像データ生成装置11の一部であってもよく、後述するように、ベクトルデータ処理装置12の一部であってもよい。
【0021】
本実施の形態では、元画像データ生成装置11とベクトルデータ処理装置12とは1つのコンピュータにより実現されるものとして説明するが、元画像データ生成装置11、ベクトルデータ処理装置12およびRIP部13は、様々な態様にて実現されてよい。例えば、これらの全てが1つのコンピュータにて実現されてもよいし、ベクトルデータ処理装置12およびRIP部13が1つのコンピュータにより実現されてもよい。RIP部13は、画像記録装置14が有するコンピュータにより実現されてもよい。ベクトルデータ処理装置12も画像記録装置14が有するコンピュータにより実現されてもよい。
【0022】
ベクトルデータ処理装置12は、元画像データに含まれるベクトルデータに対して処理を行う。すなわち、ベクトルデータ処理装置12は、画像記録用のラスタデータに変換される前のベクトルデータに対して処理を行う。これにより、ベクトルデータは、ラスタライズおよび記録に適したものとなる。RIP部13は、元画像データからラスタデータを生成する。画像記録装置14は、ラスタデータに従って画像を記録媒体に記録する。
【0023】
図2は、画像記録装置14の構成を示す図である。画像記録装置14は、連続紙等である連続シート状の記録媒体9に向けてインクの微小液滴を吐出することにより記録媒体9上に画像を記録する装置である。図2では、互いに垂直な2つの水平方向をX方向およびY方向として示し、X方向およびY方向に垂直な鉛直方向をZ方向として示している。X方向およびY方向は必ずしも水平方向である必要はなく、Z方向も必ずしも鉛直方向である必要はない。
【0024】
画像記録装置14は本体140および制御部141を備える。本体140は記録媒体9を移動する走査機構2と、走査機構2による移動途上の記録媒体9に向けて紫外線硬化性インクの微小液滴を吐出するヘッドユニット4とを備える。走査機構2は、それぞれが図2中のX方向に長い複数のローラ21を有する。最も(−Y)側に配置されたローラ21の近傍にはロール状の記録媒体9(供給ロール)を保持する供給部31が設けられ、最も(+Y)側に配置されたローラ21の近傍にはロール状の記録媒体9(巻取ロール)を保持する巻取部32が設けられる。画像記録装置14では、走査機構2の複数のローラ21の一部が、X方向に平行な軸を中心として一定の回転速度にて回転することにより、供給部31から巻取部32に至る所定の移動経路に沿って記録媒体9が一定速度にて移動する。
【0025】
記録媒体9の移動経路においてヘッドユニット4に対向する位置には、案内部34が設けられる。案内部34は、ヘッドユニット4の真下((−Z)側)に配置されるX方向に平行な仮想軸を中心とする円筒面の一部である曲面341(以下、「案内面341」という。)を有し、ヘッドユニット4の下方において、円滑な案内面341に沿って記録媒体9が移動する。このように、ヘッドユニット4に対向する位置において記録媒体9の移動経路がヘッドユニット4に向かって凸となるように湾曲し、記録媒体9が案内面341に沿って伸ばされる。
【0026】
また、記録媒体9の移動経路において供給部31と案内部34との間には、記録媒体9の蛇行を補正する蛇行補正部33が設けられ、案内部34と巻取部32との間には、インク硬化用の紫外線を出射する硬化部35が設けられる。なお、画像記録装置14では、記録媒体9に所定の前処理を行う前処理部等が設けられてもよい。
【0027】
ヘッドユニット4は、ヘッド421を有する複数のヘッドアッセンブリ42と、出射部431を有する複数の出射部アッセンブリ43と、複数のヘッドアッセンブリ42および複数の出射部アッセンブリ43を支持するベース41とを備える。各アッセンブリ42,43はX方向に長く、複数のアッセンブリ42,43がおよそY方向に沿って(正確には、走査方向に沿って)配列される。
【0028】
最も(−Y)側にホワイトのインクを吐出する1個のヘッドアッセンブリ42が配置され、当該ヘッドアッセンブリ42の(+Y)側には1個の出射部アッセンブリ43が配置される。当該出射部アッセンブリ43の(+Y)側には4個のヘッドアッセンブリ42が配置され、4個のヘッドアッセンブリ42はそれぞれK(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)のインクを吐出する。当該4個のヘッドアッセンブリ42の(+Y)側には1個の出射部アッセンブリ43が配置され、当該出射部アッセンブリ43の(+Y)側には、所定の特色のインクを吐出する1個のヘッドアッセンブリ42が配置される。ヘッドユニット4では、クリアインク等の他の種類のインクが吐出されてもよい。
【0029】
図3は、元画像データ生成装置11およびベクトルデータ処理装置12を実現するコンピュータ150の構成を示す図である。コンピュータ150は、各種演算処理を行うCPU151と、基本プログラムを記憶するROM152と、各種情報を記憶するRAM153とを含む一般的なコンピュータシステムの構成となっている。コンピュータ150は、情報記憶を行う固定ディスク155と、各種情報の表示を行う表示部111と、入力部112として操作者からの入力を受け付けるキーボード112aおよびマウス112bと、光ディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体81から情報の読み取りを行ったり記録媒体81に情報の書き込みを行う読取/書込装置158と、RIP部13と通信を行う通信部159とをさらに含む。
【0030】
コンピュータ150では、事前に読取/書込装置158を介して記録媒体81からプログラム810が読み出され、固定ディスク155に記憶される。そして、CPU151がRAM153および固定ディスク155を利用しつつプログラム810に従って演算処理を実行することにより(すなわち、コンピュータがプログラムを実行することにより)、コンピュータ150は、元画像データ生成装置11およびベクトルデータ処理装置12として機能する。
【0031】
図4は、元画像データ生成装置11および元画像データ生成装置11にて生成される元画像データ200の構造を示す図である。元画像データ200は、好ましくは、ページ記述言語にて表現される。元画像データ200は、元画像データ生成装置11にて使用者が表示部111の表示を参照して入力部112を操作することにより生成される。例えば、アクロバット(アドビ・システムズ・インコーポレーテッド製、米国、カリフォルニア州)をコンピュータにて実行することにより元画像データ200が生成される。
【0032】
元画像データ200は、複数のレイヤ210を含む。図4では2つのレイヤ210のみを示す。各レイヤ210は、複数のオブジェクトデータである図形要素データ211を含む。以下、1つの図形要素に対応する図形要素データ(または、ベクトルデータもしくはラスタデータ)を、適宜、計数可能な1つのデータとして表現する。一部のレイヤ210は、後述の細らせ量変数212を含む。図5は、複数のレイヤ210の情報を重ねた表示部111の表示例として、商品のパッケージに印刷される画像を示する図である。表示は、編集領域401と、情報領域402とを含む。編集領域401には、使用者が参照するための少なくとも1つのレイヤ210を示す画像が表示される。全レイヤ210を非表示とすることも可能である。
【0033】
情報領域402には、レイヤ210の名称の一覧が表示される。名称に付随するチェックボックスがオンである状態は、当該名称のレイヤ210が編集領域401に現在表示されていることを示す。レイヤ210の名称に続く「@CHOKE@0.02mm@」は、画像に対して0.02mmの細らせ処理が行われる予定であることを示す。この情報は、図4の細らせ量変数212に対応する。細らせ量の単位は、文字サイズに対応するポイント、画素数、インチ等に適宜変更可能である。本実施の形態では、細らせに関する情報がレイヤ210に関連づけられる。
【0034】
図6.Aないし図6.Dは、各レイヤ210の画像を示す。図6.Aは、枠線を示す図である。図6.Bは、大きな文字を示す図である。図6.Cは、小さい文字を示す図である。図6.Dは、背景画像を示す図である。本実施の形態では、背景画像は、1つの図形要素データ211の表示であり、ラスタデータである。各文字は、1つの図形要素データ211の表示である。文字は、アウトラインを示すベクトルデータにより表現される。これにより、画像記録装置14の機種に依存することなく正しい文字を記録することができる。各枠線も1つの図形要素データ211の表示であり、ベクトルデータである。
【0035】
図6.Aないし図6.Dは例示にすぎず、例えば、背景画像は複数の図形要素データ211の表示であってよく、一部の図形要素データ211はベクトルデータであってもよい。文字も、一部のものがドットの配列にて表現されるフォントにて表現されてもよい。
【0036】
図7は、コンピュータ150がプログラム810を実行することにより実現されるベクトルデータ処理装置12の機能構成を示す図である。ベクトルデータ処理装置12は、細らせ部301と、芯線取得部302と、重ね合わせ部303とを含む。もちろん、実際にはこれらの機能の動作順序を司る制御部も存在する。図7に示す各機能は専用の電気回路により構築されてもよく、部分的に専用の電気回路が利用されてもよい。
【0037】
図8は、ベクトルデータ処理装置12の動作の流れを示す図である。最初のレイヤ210の情報がベクトルデータ処理装置12に入力されると、まず、当該レイヤ210が処理対象であるか否かが確認される(ステップS11)。本実施の形態の場合、レイヤの名称に「@CHOKE@」が付されているものが処理対象のレイヤである。図5の例の場合、最初の「背景画像」のレイヤ210は処理対象ではないため、次の「文字1」のレイヤ210が存在することが確認され(ステップS17)、当該レイヤ210が処理対象であるか否か確認される(ステップS11)。
【0038】
「文字1」のレイヤ210は処理対象であるため、当該レイヤ210の最初の図形要素データ211が処理対象であるか否か確認される(ステップS12)。本実施の形態の場合、「文字1」のレイヤ210に属する図形要素データ211は全てベクトルデータであり、かつ、処理対象と判断される。以下、処理対象のベクトルデータを「対象ベクトルデータ231」と呼ぶ。処理対象でない図形要素データ211としては、例えば、折れ線(ストローク)、グラデーション図形、フォントの文字等が挙げられる。
【0039】
対象ベクトルデータ231には、まず、細らせ部301にて細らせ処理が施される(ステップS13)。「文字1」のレイヤ210に属する対象ベクトルデータ231に対しては、細らせ量が0.02mmである細らせ処理が施される。図9は、対象ベクトルデータ231が示す図形として、文字に限定されない対象図形241を例示する図である。細らせ処理では、対象図形241の各線分が、図10.Aに示すように内側に細らせ量だけ移動される。線分が分離する場合は、適宜線分を延長して交差が維持される。そして、閉領域からはみ出した線が削除され、図10.Bに示す細らせ済み図形242が得られる。以下、細らせ済み図形242を示すベクトルデータを「細らせ済みデータ232」と呼ぶ。
【0040】
一方、対象ベクトルデータ231は、芯線取得部302でも処理され、対象図形241の芯線を示すベクトルデータが取得される(ステップS14)。芯線の取得では、まず、図11.Aに示すように、曲線が折れ線243に近似される。また、複数の線分が重複して、あるいは、直列にて、1つの線分を表している場合、これらの線分が1つの線分244に統合される。次に、長い線分から、対向する線分が検索され、互いに対向する複数の線分対が取得される。図11.Bに示すように、これらの線分対の中央を通る折れ線として、芯線245が取得される。以下、芯線245を示すベクトルデータを「芯線データ233」と呼ぶ。なお、芯線の取得では、実際には、細らせ処理における細らせ量も参照して芯線を発生させる位置が決定される。
【0041】
細らせ処理(ステップS13)と芯線取得(ステップS14)とは、順序が逆でもよく、並行して処理されてもよい。細らせ済みデータ232および芯線データ233は、重ね合わせ部303に入力され、細らせ済み図形242と芯線245とを重ね合わせた、図12に示す合成図形246の記録を画像記録装置14に指示する処理済みベクトルデータ234が生成される(ステップS15)。処理済みベクトルデータ234は、合成図形246を示す1つのファイルとして扱われるデータでもよく、細らせ済みデータ232と芯線データ233とが個別に管理され、さらに、細らせ済み図形242と芯線245とが1つの記録媒体に重ねて記録されることを示す情報が細らせ済みデータ232および芯線データ233に関連づけられてもよい。すなわち、処理済みベクトルデータ234では、細らせ済みデータ232と芯線データ233との関連を少なくとも示すことができるのであれば様々な形式が採用可能である。
【0042】
図13は、図9の対象図形241の描画を示すPDF(Portable Document Format)形式の記述、すなわち、PDF形式のファイルの内容を示す図である。図13では、対象図形は1つであるが、通常は、複数の対象図形の記録を指示する記述となっており、各対象図形に対応する部分が上述の対象ベクトルデータ231として扱われる。なお、PDF形式はページ記述言語である。
【0043】
詳細については省略するが、符号251に示す範囲が対象ベクトルデータ231に対応する。図13において、「m」は、始点の移動、すなわち、描画のカレント座標の移動を示し、「x y m」は始点を(x,y)に移動することを示す。「l」は、カレント座標からの直線の描画を示し、「x y l」は、カレント座標から途中点(x,y)に至る直線を描画し、カレント座標を(x,y)に変更することを示す。「v」は、ベジェ曲線の描画を示し、「x1 y1 x2 y2 v」は、(x1,y1)を制御点としてカレント座標から(x2,y2)に至るベジェ曲線の描画を示す。「h」は、最終の途中点と始点とを結んで線画をクローズさせることを示す。「f」はクローズされた領域を塗りつぶすこを示す。
【0044】
図14は、図12の合成図形246の描画を示すPDF形式の記述を示す図である。符号252および253にて示す範囲が細らせ済みデータ232に対応する。符号254に示す範囲が芯線データ233に対応する。図10.Bに示すように、細らせ済み図形242は2つの領域に分かれているため、これらの領域が図13の場合と同様の手法にて記述される。芯線245は折れ線であるため、範囲254の最後に折れ線であることを示す「S」が付される。行255の「0 w」は、線幅が1ピクセルであることを示す。これにより、芯線245は、最小線幅にて記録される。また、行256の「0 0.8 0 1 k」は、CMYKの網パーセント値を示す。
【0045】
1つの対象ベクトルデータ231に対する処理が完了すると、図8に示すように、レイヤ210中に次の図形要素データ211が存在するか否か確認され(ステップS16)、存在する場合、ステップS12に戻って当該図形要素データ211が対象ベクトルデータ231であるか否か確認される。本実施の形態では、「文字1」のレイヤ210の中の全ての図形要素データ211に対してステップS13〜S15が実行される。
【0046】
「文字1」のレイヤ210に対する処理が完了すると、「文字2」のレイヤ210の処理へと移行する(ステップS17)。「文字2」のレイヤ210に属する図形要素データ211も全て対象ベクトルデータ231であり、処理済みベクトルデータ234へと変換される。次の「枠線」のレイヤ210では、図形要素データ211は、対象ベクトルデータ231ではない折れ線を示すベクトルデータであり、ステップS13〜S15は実行されない。
【0047】
以上の処理により、元画像データ200中の対象ベクトルデータ231が処理済みベクトルデータ234に置き換えられた処理済み画像データが生成される。重ね合わせ部303から出力される処理済みベクトルデータ234は、一旦、固定ディスク等の記憶部に保存される(ステップS18)。その後、処理済み画像データ234は、RIP部13に入力され、色成分毎にラスタデータに変換される。ラスタデータは画像記録装置14の制御部141に入力され、ラスタデータに従って画像記録装置14が記録媒体9に画像を記録する。
【0048】
図15は、元画像データが示す元画像を例示する図である。各文字のデータは、アウトラインがベクトルデータで表現される対象ベクトルデータである。図16.Aは、元画像データに細らせ処理のみを施した場合の画像を示す図である。図16.Aの画像では線切れが発生し、文字の構造は維持されない。図16.Bは、元画像データに対して芯線の取得のみを行って得られる画像を示す図である。芯線のみとなることにより、文字のスタイルは維持されない。
【0049】
図17は、ベクトルデータ処理装置12が図15の元画像データに対して処理を行って得られる結果を示す図である。図17の画像では、線切れを生じることなく文字である図形を細らせることが実現される。文字のスタイルはほぼ維持される。その結果、ラスタライズ時に文字が潰れることが防止され、かつ、元画像に近い画像記録が可能となる。芯線を利用することにより、細らせによる端部の縮退も防止される。
【0050】
ベクトルデータ処理装置12における処理は、ラスタライズ時の線の太りの防止のみならず、画像記録時の線の太りに対しても効果を得ることが可能である。図18.Aは、フォントで表現された文字を示し、図18.Bは、アウトラインがベクトルデータにて表現された文字を示し、図18.Cは、ベクトルデータ処理装置12にて処理されたベクトルデータにて表現された文字を示す。データをそのまま表示した場合、図18.Aと図18.Bとの間には大きな差異は存在せず、図18.Cでは細らせ処理および芯線取得にて途切れることなく文字が細くなっている。以下、ベクトルデータ処理装置12による処理を、「線切れ防止細らせ処理」と呼ぶ。
【0051】
図19.Aないし図19.Cは、図18.Aないし図18.Cを示すデータをラスタライズすることにより得られるデータにて表現される文字を示す。図19.Aではラスタライズによる変化は生じないが、図19.Bではラスタライズにより文字が太くなる。図19.Cにおいても文字は太くなるが、図19.Aと比べるとやや細い。図20.Aないし図20.Cは、図19.Aないし図19.Cを表現するラスタデータにて実際にインクジェット方式にて画像を記録した結果を示す図である。インクの広がりにより、いずれの文字もラスタデータにて表現される文字よりも太くなる。特に、図20.Bでは文字の潰れが大きく生じる。図20.Cでは、図20.Aよりも文字の潰れは少ない。このように、インクの広がりを考慮してベクトルデータ処理装置12にて線切れ防止細らせ処理を行うことにより、適切な画像記録が実現される。
【0052】
なお、インクジェット方式以外の画像記録装置においても、画像記録において図形に広がりが生じても、ベクトルデータ処理装置12による処理により適切な画像記録が可能となる。
【0053】
対象ベクトルデータがアウトラインを示す対象図形は、細らせた場合に途切れる可能性があるものが好ましい。すなわち、対象図形は、幅を有する線状の図形(正確には、塗りつぶし図形)を含むものであることが好ましい。対象図形は、幅を有する線状の複数の図形を組みあわせた図形であってもよい。より正確には、対象図形は、幅が変化する線状の図形を含む。特に、対象図形は、上記実施の形態にて示したように、文字を表す図形であることが好ましい。さらには、細らせに適さない小さな文字(例えば、5pt以下の文字)に上記処理は適している。ベクトルデータ処理装置12により、線切れを防止しつつ対象図形を細らせることができ、かつ、ラスタライズ後の図形の形状をアウトラインデータが示す図形の形状に近づけることができる。
【0054】
ベクトルデータ処理装置12は、ラスタライズ前に処理を行うため、さらに様々な効果を得ることができる。例えば、対象ベクトルデータ231が示す文字や他の図形(以下、「文字等」という。)が背景画像と重なっていても、容易に線切れを防止した細らせを行うことができる。色成分毎に処理を行うことにより、色を有する文字等に対しても容易に線切れを防止した細らせを行うことができる。文字等は中間濃度であってもよい。また、線切れ防止細らせ処理を行うに際して、RIP部13におけるラスタライズ処理に変更を加える必要はない。ベクトルデータ処理装置12による処理はラスタライズ前の処理であるため、原則として処理時間は記録解像度に依存しない。
【0055】
図4に示す例では、複数のレイヤ210の少なくとも1つのレイヤ210に含まれる図形要素データ211の全てが、処理対象となる対象ベクトルデータ231である。すなわち、レイヤ210の名称の後ろに、線切れ防止細らせ処理を意味する「@CHOKE@」を追加する作業は、そのレイヤ210に属する各図形要素を対象図形として選択する操作に相当する。これにより、処理対象の選択を容易に行うことができる。また、「@CHOKE@」に続いて細らせ量を指定することにより、類似の対象に対して細らせ量を一括して指定することができ、操作性が向上する。
【0056】
レイヤ210に属する全ての図形要素データ211はベクトルデータである必要はなく、他の形式の図形要素データ211が含まれてもよい。この場合、ステップS12により、処理対象でない図形要素データ211に対してはステップS13〜S15はスキップされる。すなわち、少なくとも1つのレイヤ210に含まれる図形要素データ211のうち、図形のアウトラインを示すベクトルデータであるものの全てが対象ベクトルデータ231であることにより、元画像データ200の作成時の操作性が向上する。
【0057】
もちろん、元画像データ200はレイヤ210を含む構造である必要はなく、レイヤ210に依存することなく対象図形の選択が行われてよい。この場合、元画像データ200が示す複数の図形要素が表示部111に表示される状態で、入力部112が、いずれかの図形を対象図形として選択する操作を受け付けることにより、その図形要素データ211に、対象ベクトルデータ231であることを示す情報が付与される。これにより、特定の図形要素データ211に対してのみ的確に処理を行うことができる。例えば、文字列の一部のみに線切れ防止細らせ処理を施すことができる。レイヤ210を利用することにより、特定の領域のみを処理対象とすることも容易に実現される。
【0058】
図21は、芯線取得部302における処理の他の例を示す図である。図21の例では、芯線245は、図12に示すものの一部である。芯線245は、細らせ処理にて対象図形241が途切れる位置を含む部位および内側に縮退した端部を含む部位のみに生成される。芯線取得部302が対象図形241の一部の芯線245のみを取得することにより、芯線取得部302での演算量は大幅に削減される。このような処理を実現するために、芯線取得部302は、細らせ部301から、細らせ処理にて途切れて新たに頂点が発生した位置を取得する。芯線取得部302では、細らせ処理にて対象図形241が途切れる位置を含む部位および縮退した端部を含む部位の全てにて生成される必要はなく、このような位置の一部のみにて芯線245が取得されてもよい。好ましくは、少なくとも途切れる位置にて芯線245が取得される。このように、芯線取得部302では、対象図形の少なくとも一部の芯線の取得が行われる。
【0059】
芯線を取得する手法としては、様々なものが採用されてよい。例えば、各頂点から最寄りの頂点を検索し、各頂点と最寄りの頂点との間の中間点を結ぶことにより芯線が得られてもよい。芯線は、幅を有する線状の図形の長手方向に延びる線であって、およそ中心を示す線であれば、厳密に中心を示す線である必要はない。芯線は曲線であってもよい。
【0060】
図22は、細らせ量の指定の他の例を示す図である。図22の例では、細らせ量は具体的数値ではなく、「w1@」等と記号で指定される。このような指定は、画像記録装置14の使用者側で細らせ量を指定したい場合に適している。すなわち、元画像データ生成装置11の使用者が画像記録装置14の特性を知らない、あるいは、使用される画像記録装置14の機種が未定である等の場合、未定である旨を示す記号や、細らせの程度を示すが具体的な値は未定であることを示す記号が利用される。
【0061】
細らせ部301では、予め、図7に示すように、細らせ量テーブル311が準備される。一方、細らせ部301は、対象ベクトルデータ231に関連づけられている細らせ量を示す変数の値が定められているか、未定であるかを確認する。変数の値が定められていない、あるいは、細らせのおよその程度は決定されているがその正確な値が未定である場合、細らせ部301は、これらの情報および細らせ量テーブル311を参照して対象ベクトルデータ231に対応する具体的な細らせ量を決定する。例えば、細らせ量テーブル311には、細らせ量が未定の場合や細らせの度合いに対応し、かつ、画像記録装置14の種類に対応する多数の細らせ量が格納される。これにより、的確な細らせ量が自動的に決定される。
【0062】
細らせ量が未定の場合、ベクトルデータ処理装置12において、表示部等にその旨が表示され、細らせ部301は使用者が指定する細らせ量を受け付けてもよい。あるいは、細らせ量テーブル311に存在しない条件が対象ベクトルデータ231に関連づけられている場合にのみ、細らせ部301が使用者による指定を受け付けてもよい。
【0063】
図23は、画像記録システム1の好ましい他の例を示す図である。画像記録システム1では、RIP部13と画像記録装置14との間にラスタデータ合成部16が追加される。一般的に、記録物において、文字は可変な情報である場合が多い。例えば、食品包装では製造固有記号は可変情報であり、請求書では宛先は可変情報である。したがって、対象ベクトルデータ231は可変情報である場合が多く、他の図形要素データ211は固定された画像である場合が多い。
【0064】
そこで、図23の画像記録システム1では、背景や枠線等の固定の図形要素データ211を予めRIP部13でラスタデータに変換しておき、当該ラスタデータがラスタデータ合成部16に固定ラスタデータ261として保存される。一方、元画像データ生成装置11では、可変情報である対象ベクトルデータ231が予め指定される。以下、当該対象ベクトルデータ231を「可変ベクトルデータ262」という。元画像データ200では、可変ベクトルデータ262のみが存在するレイヤ210が存在することが好ましい。可変ベクトルデータ262には、ベクトルデータ処理装置12にて上述のように、線切れ防止細らせ処理が施され、RIP部13にてラスタデータに変換される。以下、当該ラスタデータを「可変ラスタデータ」という。
【0065】
可変ラスタデータは、ラスタデータ合成部16にて、予め準備された固定ラスタデータ261と合成される。以下、合成後のラスタデータを「合成ラスタデータ」という。画像記録装置14は、合成ラスタデータに従って記録媒体9に画像を記録する。
【0066】
元画像データ生成装置11からは、可変ベクトルデータ262を変更しつつ次々と可変ベクトルデータ262がベクトルデータ処理装置12に入力され、処理後の可変ベクトルデータ262は可変ラスタデータに変換されて固定ラスタデータ261と合成される。これにより、可変情報だけ変更された画像が繰り返し画像記録装置14により記録媒体9に記録される。
【0067】
繰り返し画像が記録される状態では、ベクトルデータ処理装置12およびRIP部13での処理は、可変ベクトルデータ262に対応する処理のみであるため、画像記録システム1における処理量を削減することができ、記録速度の向上および記録コストの削減が実現される。
【0068】
画像記録システム1は様々な変形が可能である。
【0069】
例えば、ベクトルデータ処理装置12の表示部に処理後の図形が表示され、処理結果の確認が行われてもよい。さらに、ベクトルデータ処理装置12にRIP機能を設け、ラスタライズ後の画像が表示されて確認されてもよい。
【0070】
元画像データ生成装置11に、アウトラインを示すベクトルデータへとフォントを変換する機能が設けられてもよい。同様に、ストロークをアウトライン化して閉図形とする機能が設けられてもよい。これにより、画像記録時の潰れを抑制することができる。
【0071】
ベクトルデータ処理装置12による処理は、特定の色成分(例えば、線切れが特に目立ちやすいKの色成分)のベクトルデータに対してのみ行われてもよい。
【0072】
画像記録装置14では、カット紙等の所定サイズの記録媒体に対して画像が記録されてもよい。また、吐出ユニット3が記録媒体に対してY方向に移動してもよい。すなわち、記録媒体は吐出ユニット3に対して相対的に移動すればよい。
【0073】
画像記録装置14は、インクジェット方式の装置以外に、例えば、電子写真方式の装置であってもよい。また、画像記録装置14は、CTP(Computer To Plate)またはイメージセッタであってもよく、さらにこれらと、各種印刷機(オフセット印刷機、フレキソ印刷機、レタープレス印刷機、グラビア印刷機等)との組合せであってもよい。
【0074】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0075】
1 画像記録システム
9 記録媒体
12 ベクトルデータ処理装置
13 RIP部
14 画像記録装置
16 ラスタデータ合成部
111 表示部
112 入力部
150 コンピュータ
200 元画像データ
210 レイヤ
211 図形要素データ
231 対象ベクトルデータ
232 細らせ済みデータ
233 芯線データ
241 対象図形
245 芯線
246 合成図形
261 固定ラスタデータ
301 細らせ部
302 芯線取得部
303 重ね合わせ部
311 細らせ量テーブル
810 プログラム
S11〜S18 ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6.A】
図6.B】
図6.C】
図6.D】
図7
図8
図9
図10.A】
図10.B】
図11.A】
図11.B】
図12
図13
図14
図15
図16.A】
図16.B】
図17
図18.A】
図18.B】
図18.C】
図19.A】
図19.B】
図19.C】
図20.A】
図20.B】
図20.C】
図21
図22
図23