特許第6253453号(P6253453)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6253453
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】トナー用結着樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/087 20060101AFI20171218BHJP
   C08L 67/02 20060101ALI20171218BHJP
   C08L 51/08 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   G03G9/08 331
   G03G9/08 381
   G03G9/08 325
   C08L67/02
   C08L51/08
【請求項の数】10
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2014-42994(P2014-42994)
(22)【出願日】2014年3月5日
(65)【公開番号】特開2015-169728(P2015-169728A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2016年12月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095832
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】吉田 友秀
(72)【発明者】
【氏名】菅野 尭
(72)【発明者】
【氏名】白井 英治
【審査官】 福田 由紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−107673(JP,A)
【文献】 特開2013−109237(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/050023(WO,A1)
【文献】 特開2010−151996(JP,A)
【文献】 特開2011−095415(JP,A)
【文献】 特開2013−196001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G9/00−9/113
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結晶性ポリエステル及び非晶質複合樹脂を含有するトナー用結着樹脂組成物であって、
前記結晶性ポリエステルが、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分と炭素数4〜10の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを重縮合させて得られる結晶性ポリエステルであり、
前記非晶質複合樹脂が、ポリエステル樹脂部分の原料モノマーと、ビニル系樹脂部分の原料モノマーと、ポリエステル樹脂部分の原料モノマー及びビニル系樹脂部分の原料モノマーのいずれとも反応し得る両反応性モノマーとを重合させて得られ、該ポリエステル樹脂部分の原料モノマーが、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分であり、該両反応性モノマーの使用量が、ポリエステル樹脂部分のアルコール成分100モルに対して、1〜5モルである、
トナー用結着樹脂組成物。
【請求項2】
非晶質複合樹脂の原料モノマーであるアルコール成分が、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを80モル%以上含有する、請求項1記載のトナー用結着樹脂組成物。
【請求項3】
非晶質複合樹脂におけるポリエステル樹脂部分とビニル系樹脂部分の質量比(ポリエステル樹脂部分/ビニル系樹脂部分)が50/50〜95/5である、請求項1又は2記載のトナー用結着樹脂組成物。
【請求項4】
結晶性ポリエステルと非晶質複合樹脂の質量比(結晶性ポリエステル系樹脂/非晶質複合樹脂)が1/99〜40/60である、請求項1〜3いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
【請求項5】
非晶質複合樹脂の原料モノマーであるカルボン酸成分が、芳香族ジカルボン酸化合物を含有する、請求項1〜4いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
【請求項6】
非晶質複合樹脂の原料モノマーであるカルボン酸成分が、さらに、炭素数4〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有する、請求項5記載のトナー用結着樹脂組成物。
【請求項7】
非晶質複合樹脂のビニル系樹脂部分が構成単位としてスチレンを含む、請求項1〜6いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
【請求項8】
結晶性ポリエステルの軟化点が、非晶質複合樹脂の軟化点より20℃以上低い、請求項1〜7いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物を含有する、静電荷像現像用トナー。
【請求項10】
結晶性ポリエステル及び非晶質複合樹脂を含有する静電荷像現像用トナーであって、
前記結晶性ポリエステルが、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分と炭素数4〜10の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを重縮合させて得られる結晶性ポリエステルであり、
前記非晶質複合樹脂が、ポリエステル樹脂部分の原料モノマーと、ビニル系樹脂部分の原料モノマーと、ポリエステル樹脂部分の原料モノマー及びビニル系樹脂部分の原料モノマーのいずれとも反応し得る両反応性モノマーとを重合させて得られ、該ポリエステル樹脂部分の原料モノマーが、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分であり、該両反応性モノマーの使用量が、ポリエステル樹脂部分のアルコール成分の合計100モルに対して、1〜5モルである、静電荷像現像用トナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法において形成される潜像の現像に用いられるトナー用結着樹脂組成物、及び該結着樹脂組成物を含有した静電荷像現像用トナーに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真の分野においては、電子写真システムの発展に伴い、高画質化及び高速化に対応した電子写真用のトナーの開発が要求されている。
【0003】
高画質化及び高速化に対応して、特に熱特性を改善するために、トナー用結着樹脂として、組成の調整が容易であるポリエステル樹脂が汎用されており、さらに複数の樹脂を混合したり、複合化する試みがなされている。
【0004】
例えば、特許文献1には、低温定着性と保存性の向上を目的として、非晶質ポリエステル及びα,ω-脂肪族ジオールを含むアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合して得られる結晶性ポリエステルを含有するトナー用結着樹脂であって、前記非晶質ポリエステルが原料モノマーとして少なくともフラン環を有するカルボン酸化合物を含むカルボン酸成分及び/又はフラン環を有するアルコールを含むアルコール成分を用い、カルボン酸成分とアルコール成分とを縮重合させて得られる非晶質ポリエステルである、トナー用結着樹脂が開示されている。
【0005】
特許文献2には、低温定着性、耐熱保存性、印字物の保管性、画像濃度の改善を目的として、炭素数8〜12のジオールと炭素数10〜12のジカルボン酸化合物を含み、両者の総含有量が80モル%以上である原料モノマーを用いて得られる結晶性ポリエステル(1-1)と、アルコール成分と、芳香族ジカルボン酸化合物を含有したカルボン酸成分を含む非晶質縮重合系樹脂の原料モノマー、付加重合系樹脂の原料モノマー及び該付加重合系樹脂の原料モノマー100重量部に対して、3〜15重量部の非晶質縮重合系樹脂の原料モノマーと付加重合系樹脂の原料モノマーのいずれとも反応し得る化合物を重合させることにより得られる、非晶質縮重合系樹脂成分と付加重合系樹脂成分とを含む非晶質ハイブリッド樹脂(2-1)を含有する結着樹脂を含有した静電荷像現像用トナーであって、前記の結晶性ポリエステル(1-1)と非晶質ハイブリッド樹脂(2-1)の重量比(結晶性ポリエステル(1-1)/非晶質ハイブリッド樹脂(2-1))が1/99〜40/60である、静電荷像現像用トナーが開示されている。
【0006】
特許文献3には、低温定着性、高温高湿下での帯電安定性、保存性の向上を目的として、縮重合系樹脂とスチレン系樹脂とを含む、電子写真トナー用結着樹脂であって、前記縮重合系樹脂が、水酸基が結合した第二級炭素原子を2つ以上有する脂肪族多価アルコール(アルコールA)を含有するアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合させて得られる樹脂である、電子写真トナー用結着樹脂が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−24985号公報
【特許文献2】特開2013−109237号公報
【特許文献3】特開2010−107670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
電子写真印刷の用途の多様化に従い、印刷物に高い光沢すなわちグロスが求められる。グロスを向上させるためには、媒体に定着させる際のトナーの溶融時の粘度を低下させることが考えられる。そこで、溶融時の粘度を下げるためには、用いられる樹脂の分子量を低下させたり、軟化点を低下させる等の方法が行われるが、トナーの高温での保存性、いわゆる耐熱保存性の低下が生じることとなり、これらの両立が問題になる。
【0009】
また、結晶性樹脂は、融点において粘度が低下するため、グロスの向上には有効であると考えられるが、結着樹脂として主として用いられる非晶質樹脂との相溶性の調整が困難であり、やはり耐熱保存性との両立は不十分である。また、結晶性樹脂の相溶性の低さから、非晶質樹脂中での結晶性樹脂の分散性が悪く帯電が不均一となるためか、トナーの飛散も発生してしまうという問題もある。従って、耐熱保存性と印刷物のグロスを両立し、トナーの飛散が生じないトナーが求められている。
【0010】
本発明は、得られるトナーの耐熱保存性と印刷物のグロスに優れ、トナーの飛散を抑制できるトナー用結着樹脂組成物、及び該トナー用結着樹脂組成物を含有する静電荷像現像用トナーに関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
〔1〕 結晶性ポリエステル及び非晶質複合樹脂を含有するトナー用結着樹脂組成物であって、
前記結晶性ポリエステルが、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分と炭素数4〜10の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを重縮合させて得られる結晶性ポリエステルであり、
前記非晶質複合樹脂が、ポリエステル樹脂部分の原料モノマーと、ビニル系樹脂部分の原料モノマーと、ポリエステル樹脂部分の原料モノマー及びビニル系樹脂部分の原料モノマーのいずれとも反応し得る両反応性モノマーとを重合させて得られ、該ポリエステル樹脂部分の原料モノマーが、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分であり、該両反応性モノマーの使用量が、ポリエステル樹脂部分のアルコール成分100モルに対して、1〜5モルである、
トナー用結着樹脂組成物、
〔2〕 前記〔1〕記載のトナー用結着樹脂組成物を含有する、静電荷像現像用トナー、並びに
〔3〕 結晶性ポリエステル及び非晶質複合樹脂を含有する静電荷像現像用トナーであって、
前記結晶性ポリエステルが、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分と炭素数4〜10の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを重縮合させて得られる結晶性ポリエステルであり、
前記非晶質複合樹脂が、ポリエステル樹脂部分の原料モノマーと、ビニル系樹脂部分の原料モノマーと、ポリエステル樹脂部分の原料モノマー及びビニル系樹脂部分の原料モノマーのいずれとも反応し得る両反応性モノマーとを重合させて得られ、該ポリエステル樹脂部分の原料モノマーが、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分であり、該両反応性モノマーの使用量が、ポリエステル樹脂部分のアルコール成分の合計100モルに対して、1〜5モルである、静電荷像現像用トナー
に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明のトナー用結着樹脂組成物は、得られるトナーの耐熱保存性と印刷物のグロスに優れ、トナーの飛散を抑制できるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のトナー用結着樹脂組成物は、結晶性ポリエステルと非晶質複合樹脂を有し、結晶性ポリエステルが、比較的短鎖の脂肪族モノマーを用いて得られ、複合樹脂が第二級アルコールの部位を有する脂肪族ジオールから得られるポリエステル樹脂部分とビニル系樹脂部分からなり、さらにその結合部である両反応性モノマーの使用量が比較的少量であるものである。
【0014】
本発明のトナー用結着樹脂組成物を用いたトナーが、得られるトナーの耐熱保存性と印刷物のグロスに優れ、トナーの飛散を抑制できる理由は定かではないが、次のように考えられる。
【0015】
本発明の結着樹脂組成物における結晶性ポリエステルは、炭化水素部分に由来する疎水的な構造を有するため非晶質複合樹脂の疎水性の高いビニル系樹脂部分と相溶性に優れ、さらに、比較的短鎖の脂肪族モノマーが用いられていることから、非晶質複合樹脂のポリエステル樹脂部分とも親和性があり、分散性が良好になるものと考えられる。
一方、非晶質複合樹脂のポリエステル樹脂部分は脂肪族ジオールに由来する第二級アルコールの部位を有しており、結晶性ポリエステルとは分子レベルでの相溶化が生じないため、結晶性ポリエステルが微細に分散しながらも結晶性を保つことができるものと考えられる。
また、非晶質複合樹脂のポリエステル樹脂部分とビニル系樹脂部分は、少量の両反応性モノマーを介して結合されることで、過度な架橋をすることがないため、結晶性ポリエステルの分散や結晶化を低下させず、溶融時の粘度を高めることがないものと考えられる。
【0016】
このように、本発明の結着樹脂は、結晶性ポリエステルが、非晶質複合樹脂中に微細に分散しているため、トナー中の組成が均一となり、帯電量分布が均一となる。そのためオーバーチャージするトナーが減少し、トナーの飛散を抑制できると考えらえる。さらに、結晶性ポリエステルは、十分な結晶性を保てることから、定着時にトナーの粘度を下げることができ、印刷物のグロスが向上するものと考えられる。
また、非晶質樹脂は結晶性ポリエステルと分子レベルでの相溶化が生じていないためか、耐熱保存性にも優れ、過度な架橋がないため、グロスにも優れるものと考えられる。
【0017】
なお、樹脂の結晶性は、軟化点と示差走査熱量計による吸熱の最高ピーク温度との比、即ち[軟化点/吸熱の最高ピーク温度]の値で定義される結晶性指数によって表わされる。結晶性樹脂は、結晶性指数が0.6〜1.4、好ましくは0.7〜1.2、より好ましくは0.9〜1.2であり、非晶質樹脂は1.4を超えるか、0.6未満の樹脂である。樹脂の結晶性は、原料モノマーの種類とその比率、及び製造条件(例えば、反応温度、反応時間、冷却速度)等により調整することができる。なお、吸熱の最高ピーク温度とは、観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの温度を指す。最高ピーク温度は、軟化点との差が20℃以内であれば融点とし、軟化点との差が20℃を超える場合はガラス転移に起因するピークとする。
【0018】
結晶性ポリエステルは、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分と炭素数4〜10の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを重縮合させて得られるものである。
【0019】
炭素数2〜8の脂肪族ジオールの炭素数は、低温定着性を向上させる観点から、2以上であり、好ましくは4以上である。また、グロス向上の観点から、8以下であり、好ましくは6以下である。
【0020】
炭素数2〜8の脂肪族ジオールは、トナーの低温定着性を向上させる観点から、水酸基を炭素鎖の末端に有していることが好ましく、α,ω−直鎖アルカンジオールであることが好ましい。
【0021】
炭素数2〜8の脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられ1種であっても、2種以上が併用されていてもよい。これらの中では、高温高湿下での現像安定性及び転写性の観点から、1,4-ブタンジオール及び1,6-ヘキサンジオールがより好ましく、1,6-ヘキサンジオールがさらに好ましい。
【0022】
炭素数2〜8の脂肪族ジオールの含有量は、グロス向上の観点から、結晶性ポリエステルのアルコール成分中、80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、95モル%以上がさらに好ましく、100モル%がさらに好ましい。また、同様に、炭素数2〜6の脂肪族ジオールの含有量は、結晶性ポリエステルのアルコール成分中、80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、95モル%以上がさらに好ましく、100モル%がさらに好ましい。
【0023】
炭素数2〜8の脂肪族ジオール以外のアルコール成分としては、炭素数9以上の脂肪族ジオール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価以上の多価アルコール等が挙げられる。
【0024】
炭素数4〜10の脂肪族ジカルボン酸化合物の炭素数は、グロス向上及び耐熱保存性の観点から、4以上が好ましく、6以上がより好ましい。また、グロス向上の観点から、10以下が好ましく、8以下がより好ましい。なお、炭素数は、直鎖又は分岐鎖の炭化水素基の炭素数にカルボキシ基の炭素数を含めたものであり、アルキルエステルの炭素数は含めない。
【0025】
炭素数4〜10の脂肪族ジカルボン酸化合物としては、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グルタコン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、これらの酸の無水物及び炭素数1〜3のアルキルエステル等が挙げられ、これらの中では、セバシン酸が好ましい。
【0026】
炭素数4〜10の脂肪族ジカルボン酸化合物の含有量は、グロス向上の観点から、結晶性ポリエステルのカルボン酸成分中、80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、95モル%以上がさらに好ましく、100モル%がさらに好ましい。
【0027】
炭素数4〜10の脂肪族ジカルボン酸化合物以外のカルボン酸成分としては、炭素数9以上の脂肪族ジカルボン酸化合物、テレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸化合物、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸化合物等が挙げられる。
【0028】
アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、適宜含有されていてもよい。
【0029】
結晶性ポリエステルのカルボン酸成分とアルコール成分のモル比(カルボン酸成分/アルコール成分)は、トナーの耐熱保存性の観点から、0.70以上が好ましく、0.80以上がより好ましい。また、トナーの耐熱保存性の観点から、1.10以下が好ましく、1.05以下がより好ましい。
【0030】
アルコール成分とカルボン酸成分の重縮合反応は、不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じて、エステル化触媒、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下、好ましくは130〜240℃、より好ましくは160〜230℃の温度で重縮合させて製造することができる。エステル化触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等の錫化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、0.01〜1.5質量部が好ましく、0.1〜1.0質量部がより好ましい。エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、0.001〜0.5質量部が好ましく、0.01〜0.1質量部がより好ましい。重合禁止剤としては、tert-ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、0.001〜0.5質量部が好ましく、0.01〜0.1質量部がより好ましい。
【0031】
なお、本発明において、ポリエステルは、実質的にその特性を損なわない程度に変性されたポリエステルであってもよい。変性されたポリエステルとしては、例えば、特開平11−133668号公報、特開平10−239903号公報、特開平8−20636号公報等に記載の方法によりフェノール、ウレタン、エポキシ等によりグラフト化やブロック化したポリエステルをいう。
【0032】
結晶性ポリエステルの軟化点は、得られる印刷物のグロスの観点から、65℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましい。また、トナーの飛散抑制の観点から、120℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましく、75℃以下がさらに好ましい。
【0033】
また、結晶性ポリエステルの軟化点は、得られる印刷物のグロスとトナーの飛散抑制を両立させる観点から、65〜120℃が好ましく、65〜100℃がより好ましく、65〜75℃がさらに好ましい。
【0034】
結晶性ポリエステルの軟化点は、トナーの低温定着性を向上させる観点から、後述の非晶質複合樹脂の軟化点よりも低いことが好ましい。トナーの低温定着性を向上させ、トナーの飛散を抑制する観点から、軟化点の差は、20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましく、40℃以上がより好ましい。また、得られる印刷物のグロスを向上させる観点から、60℃以下が好ましく、50℃以下がより好ましい。
【0035】
結晶性ポリエステルの融点は、得られる印刷物のグロスの観点から、60℃以上が好ましく、65℃以上がより好ましい。また、トナーの飛散抑制の観点から、115℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましく、70℃以下がさらに好ましい。
【0036】
結晶性ポリエステルの酸価は、得られる印刷物のグロスとトナーの飛散抑制を両立させる観点から、15mgKOH/g以上が好ましく、20mgKOH/g以上がより好ましい。また、トナーの帯電性の観点から、40mgKOH/g以下が好ましく、25mgKOH/g以下がより好ましい。
【0037】
非晶質複合樹脂は、ポリエステル樹脂部分の原料モノマーと、ビニル系樹脂部分の原料モノマーと、ポリエステル樹脂部分の原料モノマー及びビニル系樹脂部分の原料モノマーのいずれとも反応し得る両反応性モノマーとを重合させて得られる。
【0038】
ポリエステル樹脂部分の原料モノマーは、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分である。
【0039】
第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールとしては、1,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、2,3-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール等が挙げられ、なかでも得られるトナーの低温定着性と保存性、耐久性を向上させる観点から、1,2-プロパンジオール及び2,3−ブタンジオールが好ましく、1,2-プロパンジオールがより好ましい。
【0040】
第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールの炭素数は、得られるトナーの低温定着性と保存性を向上させる観点から、3以上が好ましい。また、6以下が好ましく、4以下がより好ましい。
【0041】
第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールの含有量は、ポリエステル樹脂部分のアルコール成分中、80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、95モル%以上がさらに好ましく、100モル%がさらに好ましい。
【0042】
第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオール以外のアルコール成分としては、α,ω−脂肪族ジオール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族ジオール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、グリセリン、トリメチロールプロパン等の3価以上の多価アルコール等が挙げられる。
【0043】
ポリエステル樹脂成分のカルボン酸成分は、トナーの帯電性の観点から、芳香族ジカルボン酸化合物を含有していることが好ましい。
【0044】
芳香族ジカルボン酸化合物としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、それらの酸の無水物及びそれらの酸のアルキル(炭素数1〜3)エステル等が挙げられる。これらの中では、帯電性の観点から、テレフタル酸及びイソフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
【0045】
芳香族ジカルボン酸化合物の含有量は、トナーの帯電性の観点から、アルコール成分100モルに対して、30モル以上が好ましく、40モル以上がより好ましい。また、トナーの低温定着性の観点から、アルコール成分100モルに対して、95モル以下が好ましく、90モル以下がより好ましい。
【0046】
ポリエステル樹脂部分のカルボン酸成分は、トナーの低温定着性の観点から、さらに、脂肪族ジカルボン酸化合物を含有していることが好ましい。
【0047】
脂肪族ジカルボン酸化合物の炭素数は、4以上が好ましい。また、8以下が好ましく、6以下がより好ましい。なお、炭素数は、直鎖又は分岐鎖の炭化水素基の炭素数にカルボキシ基の炭素数を含めたものであり、アルキルエステルの炭素数は含めない。
【0048】
炭素数4〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物としては、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、グルタコン酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、これらの酸の無水物及び炭素数1〜3のアルキルエステル等が挙げられ、これらの中では、フマル酸が好ましい。
【0049】
芳香族ジカルボン酸化合物と炭素数4〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物を併用する場合の両者のモル比(芳香族ジカルボン酸化合物/脂肪族ジカルボン酸化合物)は、50/50〜90/10が好ましく、70/30〜80/20がより好ましい。
【0050】
芳香族ジカルボン酸化合物及び炭素数4〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物以外のカルボン酸成分としては、炭素数7以上の脂肪族ジカルボン酸化合物、トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸化合物等が挙げられる。
【0051】
アルコール成分には1価のアルコールが、カルボン酸成分には1価のカルボン酸化合物が、適宜含有されていてもよい。
【0052】
アルコール成分とカルボン酸成分の重縮合により、ポリエステル樹脂部分が形成される。
【0053】
重縮合反応時の温度は、反応性の観点から、反応性の観点から、180℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。また、熱分解性の観点から、250℃以下が好ましい。
【0054】
重縮合反応は、必要に応じて、エステル化触媒、エステル化助触媒、重合禁止剤等の存在下で行ってもよい。エステル化触媒としては、スズ触媒、チタン触媒等が挙げられる。スズ触媒としては、酸化ジブチル錫、2-エチルヘキサン酸錫(II)等が挙げられるが、反応性、分子量調整及び樹脂の物性調整の観点から、2-エチルヘキサン酸錫(II)等のSn−C結合を有していない錫(II)化合物が好ましい。チタン触媒としては、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等が挙げられる。エステル化触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、0.01〜1.5質量部が好ましく、0.1〜1.0質量部がより好ましい。エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。エステル化助触媒の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、0.001〜0.5質量部が好ましく、0.01〜0.1質量部がより好ましい。重合禁止剤としては、tert-ブチルカテコール等が挙げられる。重合禁止剤の使用量は、アルコール成分とカルボン酸成分の総量100質量部に対して、0.001〜0.5質量部が好ましく、0.01〜0.1質量部がより好ましい。
【0055】
ビニル系樹脂部分は構成単位としてスチレンを含むことが好ましい。スチレンの含有量は、ビニル系樹脂の原料モノマー中、トナーの低温定着性、耐熱保存性及び耐ホットオフセット性の観点から、50〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましく、75〜95質量%がさらに好ましい。
【0056】
スチレン以外の原料モノマーとしては、α−メチルスチレン等のスチレン誘導体;エチレン、プロピレン等のエチレン性不飽和モノオレフィン類;ブタジエン等のジオレフィン類;塩化ビニル等のハロビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;(メタ)アクリル酸のアルキル(炭素数1〜18)エステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等のエチレン性モノカルボン酸のエステル;ビニルメチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニリデンクロリド等のビニリデンハロゲン化物;N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物類等が挙げられる。これらの中では、トナーの低温定着性、高湿下での保存性及び耐ホットオフセット性の観点から、(メタ)アクリル酸のアルキル(炭素数1〜18)エステルが好ましい。(メタ)アクリル酸のアルキル(炭素数1〜18)エステルの含有量は、ビニル系樹脂部分の原料モノマー中、トナーの低温定着性、高湿下での保存性及び耐ホットオフセット性の観点から、0〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を意味する。
【0057】
ビニル系樹脂部分の原料モノマーの付加重合により、ビニル系樹脂部分が形成される。
【0058】
付加重合反応時の温度は、反応性、分子量調整の観点から、140℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましい。また、反応性、分子量調整の観点から、180℃以下が好ましく、170℃以下がより好ましい。
【0059】
また、付加重合反応は、必要に応じて、重合開始剤等の存在下で行ってもよい。重合開始剤としては、tert-ブチルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等の過酸化物等が挙げられる。重合開始剤の使用量は、ビニル系樹脂部分の原料モノマー100質量部に対して、3〜12質量部が好ましい。
【0060】
両反応性モノマーは、ポリエステル樹脂部分の原料モノマーとビニル系樹脂部分の原料モノマーのいずれとも反応し得る。両反応性モノマーを用いることにより、ポリエステル樹脂部分とビニル系樹脂部分とが両反応性モノマーを介して部分的に化学結合し、ポリエステル樹脂中にビニル系樹脂がより微細に、かつ均一に分散した樹脂が得られる。
【0061】
両反応性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸等が好ましく、なかでも、ポリエステル樹脂成分とビニル系樹脂部分の結合を良好にする観点から、(メタ)アクリル酸がより好ましく、アクリル酸がさらに好ましい。
【0062】
両反応性モノマーの使用量は、ポリエステル樹脂部分のアルコール成分100モルに対して、結晶性ポリエステルの分散性向上の観点から、1モル以上であり、3モル以上が好ましい。また、トナーの耐熱保存性と印刷物のグロスを向上させ、トナー飛散を抑制する観点から、5モル以下であり、4モル以下が好ましい。
【0063】
両反応性モノマーは、ポリエステル樹脂部分の原料モノマーとビニル系樹脂部分の原料モノマーのいずれとも反応し得る。従って、ポリエステル樹脂部分の原料モノマー及びビニル系樹脂部分の原料モノマーを重合させて複合樹脂を得る際に、重縮合反応及び/又は付加重合反応は、両反応性モノマーの存在下で行うことにより、複合樹脂は、両反応性モノマー由来の構成単位を介してポリエステル樹脂部分とビニル系樹脂部分とが結合した樹脂(ハイブリッド樹脂)となり、ポリエステル樹脂部分とビニル系樹脂部分とがより微細に、かつ均一に分散したものとなる。
【0064】
両反応性モノマーを用いて得られる複合樹脂は、具体的には、以下の方法により製造することが好ましい。両反応性モノマーは、付加重合反応及び重縮合反応を制御することで、本発明の効果を発現させる観点から、ビニル系樹脂部分の原料モノマーとともに付加重合反応に用いることが好ましい。
【0065】
(i) ポリエステル樹脂部分の原料モノマーによる重縮合反応の工程(A)の後に、ビニル系樹脂部分の原料モノマー及び両反応性モノマーによる付加重合反応の工程(B)を行う方法
この方法では、重縮合反応に適した反応温度条件下で工程(A)を行い、反応温度を低下させ、付加重合反応に適した温度条件下で工程(B)を行う。ビニル系樹脂部分の原料モノマー及び両反応性モノマーは、付加重合反応に適した温度で反応系内に添加にすることが好ましい。両反応性モノマーは付加重合反応をすると共にポリエステル樹脂部分とも反応する。
工程(B)の後に、再度反応温度を上昇させ、フマル酸等の不飽和結合を有するジカルボン酸化合物や、必要に応じて架橋剤となる3価以上等のポリエステル樹脂部分の原料モノマー等を重合系に添加し、工程(A)の重縮合反応や両反応性モノマーとの反応をさらに進めることができる。
【0066】
(ii) ビニル系樹脂部分の原料モノマー及び両反応性モノマーによる付加重合反応の工程(B)の後に、ポリエステル樹脂部分の原料モノマーによる重縮合反応の工程(A)を行う方法
この方法では、付加重合反応に適した反応温度条件下で工程(B)を行い、反応温度を上昇させ、重縮合反応に適した温度条件下で、工程(A)の重縮合反応を行う。両反応性モノマーは付加重合反応と共に重縮合反応にも関与する。
ポリエステル樹脂部分の原料モノマーは、付加重合反応時に反応系内に存在してもよく、重縮合反応に適した温度条件下で反応系内に添加してもよい。前者の場合は、重縮合反応に適した温度でエステル化触媒を添加することで重縮合反応の進行を調節できる。
【0067】
(iii) ポリエステル樹脂部分の原料モノマーによる重縮合反応の工程(A)とビニル系樹脂部分の原料モノマー及び両反応性モノマーによる付加重合反応の工程(B)とを並行して行う方法
この方法では、付加重合反応に適した反応温度条件下で工程(A)と工程(B)とを行い、反応温度を上昇させ、重縮合反応に適した温度条件下で、必要に応じて、エステル化触媒、エステル化助触媒、架橋剤となる3価以上のポリエステル樹脂部分の原料モノマーを重合系に添加し、工程(A)の重縮合反応をさらに行うことが好ましい。その際、重縮合反応に適した温度条件下では、ラジカル重合禁止剤を添加して重縮合反応だけを進めることもできる。両反応性モノマーは付加重合反応と共に重縮合反応にも関与する。
【0068】
上記(i)の方法においては、重縮合反応を行う工程(A)の代わりに、予め重合した重縮合系樹脂を用いてもよい。上記(iii)の方法において、工程(A)と工程(B)を並行して行う際には、ポリエステル樹脂部分の原料モノマーを含有した混合物中に、ビニル系樹脂部分の原料モノマーを含有した混合物を滴下して反応させることもできる。
【0069】
上記(i)〜(iii)の方法は、同一容器内で行うことが好ましい。
【0070】
本発明では、ポリエステル樹脂成分とビニル系樹脂部分の結合反応を促進する観点から、(i)の方法が好ましい。
【0071】
本発明において、ポリエステル樹脂部分とビニル系樹脂部分の質量比(ポリエステル樹脂部分/ビニル系樹脂部分)は、結晶性ポリエステルの分散性の観点から、50/50〜95/5が好ましく、60/40〜95/5がより好ましく、70/30〜95/5がさらに好ましく、80/20〜90/10がさらに好ましい。なお、この質量比において、両反応性モノマーの質量はポリエステル樹脂部分とビニル系樹脂部分のいずれにも含めない。
【0072】
ビニル系樹脂の構成単位におけるスチレンの割合は、トナーの帯電性、耐熱保存性の観点から、50〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましく、75〜95質量%がさらに好ましい。
【0073】
非晶質複合樹脂の軟化点は、トナーの耐熱保存性の観点から、80℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、110℃以上がより好ましい。また、得られる印刷物のグロスの観点から、170℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましく、130℃以下がさらに好ましく、120℃以下がさらに好ましい。
【0074】
非晶質複合樹脂のガラス転移温度は、トナーの保存性の観点から、40℃以上が好ましく、45℃以上がより好ましく、50℃以上がより好ましい。また、トナーの低温定着性の観点から、60℃以下が好ましい。
【0075】
非晶質複合樹脂の酸価は、トナーの帯電性の観点から、3mgKOH/g以上が好ましく、5mgKOH/g以上がより好ましい。高温高湿下の現像安定性の観点から、40mgKOH/g以下が好ましく、30mgKOH/g以下がより好ましい。
【0076】
結晶性ポリエステルと非晶質複合樹脂の質量比(結晶性ポリエステル/非晶質複合樹脂)は、耐熱保存性、トナー飛散抑制及びグロス向上の観点から、1/99〜40/60が好ましく、1/99〜30/70がより好ましく、5/95〜15/80がさらに好ましい。
【0077】
本発明の結着樹脂組成物を含有する静電荷像現像用トナーは、耐熱保存性と印刷物のグロスに優れ、トナーの飛散を抑制できる。なお、本発明の結着樹脂組成物は、前記の結晶性ポリエステルと非晶質複合樹脂を混合する工程により得られたものを用いてもよく、トナーを製造する際に、それぞれの樹脂を直接原料の混合に供してもよい。
【0078】
本発明のトナーには、本発明の効果を損なわない範囲で、本発明の結着樹脂組成物以外の公知の樹脂が併用されていてもよいが、前記の結晶性ポリエステルと非晶質樹脂の総含有量は、結着樹脂中、90〜100質量%が好ましく、93〜100質量%がより好ましく、95〜100質量%がさらに好ましい。
【0079】
本発明のトナーには、着色剤、離型剤、荷電制御剤、荷電制御樹脂、磁性粉、流動性向上剤、導電性調整剤、繊維状物質等の補強充填剤、酸化防止剤、クリーニング性向上剤等の添加剤が含有されていてもよく、着色剤、離型剤及び荷電制御剤が含有されることが好ましい。
【0080】
着色剤としては、トナー用着色剤として用いられている染料、顔料等のすべてを使用することができ、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントブラウンFG、ブリリアントファーストスカーレット、ピグメントグリーンB、ローダミン−Bベース、ソルベントレッド49、ソルベントレッド146、ソルベントブルー35、キナクリドン、カーミン6B、ジスアゾエロー等が用いることができ、本発明のトナーは、黒トナー、カラートナーのいずれであってもよい。着色剤の含有量は、トナーの画像濃度及び低温定着性を向上させる観点から、結着樹脂100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましい。また、40質量部以下が好ましく、10質量部以下がより好ましい。
【0081】
離型剤としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレンポリエチレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックス及びそれらの酸化物、カルナウバワックス、モンタンワックス、サゾールワックス及びそれらの脱酸ワックス、脂肪酸エステルワックス等のエステル系ワックス、脂肪酸アミド類、脂肪酸類、高級アルコール類、脂肪酸金属塩等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0082】
離型剤の融点は、トナーの低温定着性と耐オフセット性の観点から、60〜160℃が好ましく、60〜150℃がより好ましい。
【0083】
離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、トナーの低温定着性と耐オフセット性の観点及び結着樹脂中への分散性の観点から、0.5質量部以上が好ましく、1質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。また、10質量部以下が好ましく、8質量部以下がより好ましく、7質量部以下がさらに好ましい。
【0084】
荷電制御剤は、特に限定されず、正帯電性荷電制御剤及び負帯電性荷電制御剤のいずれを含有していてもよい。
【0085】
正帯電性荷電制御剤としては、ニグロシン染料、例えば「ニグロシンベースEX」、「オイルブラックBS」、「オイルブラックSO」、「ボントロンN-01」、「ボントロンN-04」、「ボントロンN-07」、「ボントロンN-09」、「ボントロンN-11」(以上、オリエント化学工業社製)等;3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系染料、4級アンモニウム塩化合物、例えば「ボントロンP-51」(オリエント化学工業社製)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、「COPY CHARGE PX VP435」(クラリアント社製)等;ポリアミン樹脂、例えば「AFP-B」(オリエント化学工業社製)等;イミダゾール誘導体、例えば「PLZ-2001」、「PLZ-8001」(以上、四国化成社製)等;スチレン−アクリル系樹脂、例えば「FCA-701PT」(藤倉化成社製)等が挙げられる。
【0086】
また、負帯電性の荷電制御剤としては、含金属アゾ染料、例えば「バリファーストブラック3804」、「ボントロンS-31」、「ボントロンS-32」、「ボントロンS-34」、「ボントロンS-36」(以上、オリエント化学工業社製)、「アイゼンスピロンブラックTRH」、「T-77」(保土谷化学工業社製)等;ベンジル酸化合物の金属化合物、例えば、「LR-147」、「LR-297」(以上、日本カーリット社製)等;サリチル酸化合物の金属化合物、例えば、「ボントロンE-81」、「ボントロンE-84」、「ボントロンE-88」、「E-304」(以上、オリエント化学工業社製)、「TN-105」(保土谷化学工業社製)等;銅フタロシアニン染料;4級アンモニウム塩、例えば「COPY CHARGE NX VP434」(クラリアント社製)、ニトロイミダゾール誘導体等;有機金属化合物、例えば「TN105」(保土谷化学工業社製)等が挙げられる。
【0087】
荷電制御剤の含有量は、トナーの帯電安定性の観点から、結着樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましい。また、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下がさらに好ましく、2質量部以下がさらに好ましい。
【0088】
本発明のトナーは、溶融混練法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたトナーであってもよいが、生産性や着色剤の分散性の観点から、溶融混練法による粉砕トナーが好ましい。溶融混練法による粉砕トナーの場合、例えば、結晶性ポリエステル、非晶質複合樹脂等の結着樹脂、着色剤、荷電制御剤等の原料をヘンシェルミキサー等の混合機で均一に混合した後、密閉式ニーダー、1軸もしくは2軸の押出機、オープンロール型混練機等で溶融混練し、冷却、粉砕、分級して製造することができる。
【0089】
本発明のトナーには、転写性を向上させるために、外添剤を用いることが好ましく、外添剤としては、無機微粒子を用いることが好ましい。無機微粒子の例は、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化亜鉛が挙げられ、シリカが好ましい。
【0090】
シリカは、トナーの転写性の観点から、疎水化処理された疎水性シリカであるのが好ましい。
【0091】
シリカ粒子の表面を疎水化するための疎水化処理剤としては、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、ジメチルジクロロシラン(DMDS)、シリコーンオイル、オクチルトリエトキシシラン(OTES)、メチルトリエトキシシラン等が挙げられ、これらの中ではヘキサメチルジシラザンが好ましい。
【0092】
外添剤の平均粒子径は、トナーの帯電性や流動性、転写性の観点から、10nm以上が好ましく、15nm以上がより好ましい。また、250nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、90nm以下がさらに好ましい。
【0093】
外添剤の含有量は、外添剤で処理する前のトナー100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましく、0.3質量部以上がさらに好ましい。また、5質量部以下が好ましく、3質量部以下がより好ましい。
【0094】
本発明のトナーの体積中位粒径(D50)は、3〜15μmが好ましく、4〜10μmがより好ましい。なお、本明細書において、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が粒径の小さい方から計算して50%になる粒径を意味する。また、トナーを外添剤で処理している場合には、外添剤で処理する前のトナー粒子の体積中位粒径をトナーの体積中位粒径とする。
【0095】
本発明のトナーは、一成分現像用トナーとして、又はキャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。
【0096】
上述した実施形態に関し、本発明はさらに以下のトナー用結着樹脂組成物、該結着樹脂組成物を含有した静電荷像現像用トナーを開示する。
【0097】
<1> 結晶性ポリエステル及び非晶質複合樹脂を含有するトナー用結着樹脂組成物であって、
前記結晶性ポリエステルが、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分と炭素数4〜10の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを重縮合させて得られる結晶性ポリエステルであり、
前記非晶質複合樹脂が、ポリエステル樹脂部分の原料モノマーと、ビニル系樹脂部分の原料モノマーと、ポリエステル樹脂部分の原料モノマー及びビニル系樹脂部分の原料モノマーのいずれとも反応し得る両反応性モノマーとを重合させて得られ、該ポリエステル樹脂部分の原料モノマーが、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分であり、該両反応性モノマーの使用量が、ポリエステル樹脂部分のアルコール成分100モルに対して、1〜5モルである、
トナー用結着樹脂組成物。
【0098】
<2> 結晶性ポリエステルの原料モノマーであるアルコール成分が、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを80モル%以上含有する、前記<1>記載のトナー用結着樹脂組成物。
<3> 結晶性ポリエステルの原料モノマーであるアルコール成分が、炭素数2〜6の脂肪族ジオールを80モル%以上含有する、前記<1>又は<2>記載のトナー用結着樹脂組成物。
<4> 結晶性ポリエステルの原料モノマーであるカルボン酸成分が、炭素数4〜10の脂肪族ジカルボン酸化合物を80モル%以上含有する、前記<1>〜<3>いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
<5> 非晶質複合樹脂の原料モノマーであるアルコール成分に含有される第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールの炭素数が3〜6である、前記<1>〜<4>いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
<6> 非晶質複合樹脂の原料モノマーであるアルコール成分が、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを80モル%以上含有する、前記<1>〜<5>いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
<7> 非晶質複合樹脂におけるポリエステル樹脂部分とビニル系樹脂部分の質量比(ポリエステル樹脂部分/ビニル系樹脂部分)が50/50〜95/5である、前記<1>〜<6>いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
<8> 結晶性ポリエステルと非晶質複合樹脂の質量比(結晶性ポリエステル系樹脂/非晶質複合樹脂)が1/99〜40/60である、前記<1>〜<7>いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
<9> 非晶質複合樹脂の原料モノマーであるカルボン酸成分が、芳香族ジカルボン酸化合物を含有する、前記<1>〜<8>いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
<10> 芳香族ジカルボン酸化合物がテレフタル酸である、前記<9>記載のトナー用結着樹脂組成物。
<11> 非晶質複合樹脂の原料モノマーであるカルボン酸成分が、さらに、炭素数4〜8の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有する、前記<9>又は<10>記載のトナー用結着樹脂組成物。
<12> 非晶質複合樹脂の原料モノマーである両反応性モノマーが(メタ)アクリル酸である、前記<1>〜<11>いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
<13> 非晶質複合樹脂のビニル系樹脂部分が構成単位としてスチレンを含む、前記<1>〜<12>いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
<14> 非晶質複合樹脂の軟化点が80〜170℃である、前記<1>〜<13>いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
<15> 結晶性ポリエステルの軟化点が65〜120℃である、前記<1>〜<14>いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
<16> 結晶性ポリエステルの軟化点が、非晶質複合樹脂の軟化点より20℃以上低い、前記<1>〜<15>いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
<17> 結晶性ポリエステルの融点が60〜115℃である、前記<1>〜<16>いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物。
<18> 前記<1>〜<17>いずれか記載のトナー用結着樹脂組成物を含有する、静電荷像現像用トナー。
<19> 結晶性ポリエステル及び非晶質複合樹脂を含有する静電荷像現像用トナーであって、
前記結晶性ポリエステルが、炭素数2〜8の脂肪族ジオールを含有するアルコール成分と炭素数4〜10の脂肪族ジカルボン酸化合物を含有するカルボン酸成分とを重縮合させて得られる結晶性ポリエステルであり、
前記非晶質複合樹脂が、ポリエステル樹脂部分の原料モノマーと、ビニル系樹脂部分の原料モノマーと、ポリエステル樹脂部分の原料モノマー及びビニル系樹脂部分の原料モノマーのいずれとも反応し得る両反応性モノマーとを重合させて得られ、該ポリエステル樹脂部分の原料モノマーが、第二級炭素原子に結合した水酸基を有する脂肪族ジオールを含有するアルコール成分とカルボン酸成分であり、該両反応性モノマーの使用量が、ポリエステル樹脂部分のアルコール成分の合計100モルに対して、1〜5モルである、静電荷像現像用トナー。
【実施例】
【0099】
樹脂等の物性は、以下の方法により測定した。
【0100】
〔樹脂の軟化点〕
フローテスター「CFT-500D」(島津製作所製)を用い、1gの試料を昇温速度6℃/minで加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出す。温度に対し、フローテスターのプランジャー降下量をプロットし、試料の半量が流出した温度を軟化点とする。
【0101】
〔樹脂の吸熱の最高ピーク温度〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、室温から降温速度10℃/minで0℃まで冷却しそのまま1分間静止させる。その後、昇温速度10℃/minで180℃まで測定する。観測される吸熱ピークのうち、最も高温側にあるピークの頂点の温度を吸熱の最高ピーク温度とする。
【0102】
〔樹脂の結晶性指数〕
上記のようにして測定された軟化点と吸熱の最高ピーク温度との比、即ち、「軟化点/吸熱の最高ピーク温度」を算出し、結晶性指数とする。
【0103】
〔樹脂のガラス転移温度〕
示差走査熱量計「Q-100」(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却した。次に昇温速度10℃/minで150℃まで昇温しながら測定した。吸熱ピークの最高温度以下のベースラインの延長線とピークの立ち上がり部分からピークの頂点までの最大傾斜を示す接線との交点の温度をガラス転移温度とした。
【0104】
〔樹脂の酸価〕
JIS K0070の方法に基づき測定する。但し、測定溶媒のみJIS K0070の規定のエタノールとエーテルの混合溶媒から、アセトンとトルエンの混合溶媒(アセトン:トルエン=1:1(容量比))に変更する。
【0105】
〔離型剤の融点〕
示差走査熱量計「DSC210」(セイコー電子工業社製)を用いて、試料0.01〜0.02gをアルミパンに計量し、200℃まで昇温し、その温度から降温速度10℃/minで0℃まで冷却する。次に試料を昇温速度10℃/minで昇温し、融解熱の最大ピーク温度を融点とする。
【0106】
〔外添剤の平均粒子径〕
平均粒子径は、個数平均粒子径を指し、外添剤の走査型電子顕微鏡(SEM)写真から測定した、500個の粒子の粒径の平均値をいう。長径と短径がある場合は長径を指す。
【0107】
〔トナーの体積中位粒径(D50)〕
測定機:コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製)
アパチャー径:50μm
解析ソフト:コールターマルチサイザーアキュコンプ バージョン 1.19(ベックマンコールター社製)
電解液:アイソトンII(ベックマンコールター社製)
分散液:エマルゲン109P(花王社製、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、HLB:13.6)5%電解液
分散条件:分散液5mlに測定試料10mgを添加し、超音波分散機にて1分間分散させ、その後、電解液25mlを添加し、さらに、超音波分散機にて1分間分散させる。
測定条件:ビーカーに電解液100mlと分散液を加え、3万個の粒子の粒径を20秒で測定できる濃度で、3万個の粒子を測定し、その粒度分布から体積中位粒径(D50)を求める。
【0108】
〔樹脂の製造〕
[非晶質複合樹脂の製造]
製造例1(樹脂A−1〜A−9の製造)
表1、2に示すフマル酸以外のポリエステル樹脂の原料モノマー、エステル化触媒及びエステル化助触媒を、温度計、ステンレス製撹拌棒、25℃の水を通水した還流冷却管を上部に装備し、下部に98℃の温水を通水した分留管、脱水管、及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、160℃で2時間重縮合反応させた後、10時間かけて220℃まで昇温を行った。その後220℃にて反応率が95%に到達したのを確認し、160℃に冷却後、表1、2に示すビニル系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及びラジカル重合開始剤の混合溶液を1時間かけて滴下した。その後、30分間160℃に保持して付加重合反応させた後、200℃まで1時間かけて昇温し、さらに8kPaの減圧下で1時間反応させた。その後190℃に冷却した後、フマル酸及びラジカル重合禁止剤を入れ、210℃まで3時間かけて昇温し、210℃、40kPaにて表1、2に記載の軟化点に達するまで反応を行って、非晶質複合樹脂を得た。物性を表1、2に示す。なお、反応率とは、生成反応水量(mol)/理論生成水量(mol)×100の値をいう。
【0109】
製造例2(樹脂A−11の製造)
表2に示す、フマル酸以外のポリエステル樹脂の原料モノマー、エステル化触媒及びエステル化助触媒を、温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、235℃まで2時間かけて昇温を行った。その後、235℃にて10時間重縮合反応後、8kPaの減圧下で1時間反応させた。その後、160℃に冷却後、表2に示すビニル系樹脂の原料モノマー、両反応性モノマー及びラジカル重合開始剤の混合溶液を1時間かけて滴下した。その後、30分間160℃に保持して付加重合反応させた後、200℃まで1時間かけて昇温し、さらに8kPaの減圧下で1時間反応させた。その後190℃に冷却した後、フマル酸及びラジカル重合禁止剤を入れ、210℃まで3時間かけて昇温し、210℃、40kPaにて表2に記載の軟化点に達するまで反応を行って、非晶質複合樹脂を得た。物性を表2に示す。
【0110】
[非晶質ポリエステルの製造]
製造例3(樹脂A−10の製造)
表2に示すフマル酸を除く原料モノマー、エステル化触媒及びエステル化助触媒を、温度計、ステンレス製攪拌棒、25℃の水を通水した還流冷却管を上部に装備し、下部に98℃の温水を通水した分留管、脱水管、及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、160℃で2時間重縮合反応させた後、10時間かけて220℃まで昇温を行った。その後220℃にて反応率が95%に到達したのを確認した後、190℃に冷却し、フマル酸及びラジカル重合禁止剤を入れ、210℃まで3時間かけて昇温し、210℃、40kPaにて表2に記載の軟化点に達するまで反応を行って非晶質ポリエステルを得た。物性を表2に示す。
【0111】
【表1】
【0112】
【表2】
【0113】
[結晶性ポリエステルの製造]
製造例4(樹脂B−1〜B−6の製造)
表3に示すポリエステルの原料モノマー、エステル化触媒、及びラジカル重合禁止剤を、温度計、ステンレス製撹拌棒、流下式コンデンサー及び窒素導入管を装備した10リットルの四つ口フラスコに入れ、窒素雰囲気にてマントルヒーター中で、135℃から210℃まで10時間かけて昇温した。210℃にて3時間反応させ、さらに8kPaの減圧下で2時間反応させ、結晶性ポリエステルを得た。樹脂の物性を表3に示す。
【0114】
【表3】
【0115】
〔静電荷像現像用トナーの製造〕
実施例1〜12及び比較例1〜8
表4に示す結着樹脂を表4に示す質量比で合計20質量部、負帯電性荷電制御剤「ボントロン E-81」(オリエント化学工業社製)0.2質量部、着色剤「Regal 330R」(キャボット社製、カーボンブラック)1質量部、及び離型剤「三井ハイワックスNP055」(三井化学社製、ポリプロピレンワックス、融点:125℃)0.4質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで十分混合した後、同方向回転二軸押出し機を用い、ロール回転速度200r/min、ロール内の加熱温度80℃で溶融混練した。得られた溶融混練物を冷却、粗粉砕した後、ジェットミルにて粉砕し、分級して、表4に示す体積中位粒径(D50)を有するトナー粒子を得た。なお、比較例8では結晶性ポリエステルを用いず、非晶質複合樹脂のみを20質量部用いた。
【0116】
得られたトナー粒子100質量部に、疎水性シリカ「NAX-50」(日本アエロジル社製、疎水化処理剤:HMDS、平均粒子径:30nm)1.0質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合することにより、トナーを得た。
【0117】
試験例1〔トナーの耐熱保存性〕
25mL容の容器(直径約3cm)にトナー5gを入れ、高温高湿(温度55℃、湿度75%)環境下で84時間放置した。12時間毎にトナー凝集の発生程度を目視にて観察し、以下の評価基準に従って、耐熱保存性を評価した。結果を表4に示す。凝集が認められない時間が長いほど、耐熱保存性に優れる。
【0118】
〔評価基準〕
A:84時間後も凝集は認められない。
B:60時間後で凝集は認められないが84時間後では凝集が認められる。
C:48時間後で凝集は認められないが60時間後では凝集が認められる。
D:36時間後で凝集は認められないが48時間後では凝集が認められる。
E:24時間後で凝集は認められないが36時間後では凝集が認められる。
F:24時間以内に凝集が認められる。
【0119】
試験例2〔印刷物のグロス〕
複写機「AR-505」(商品名、シャープ(株)製)にトナーを実装し、未定着で画像出しを行った(印字面積:2cm×12cm、付着量:0.5mg/cm2)。前記複写機の定着機にて、160℃、400mm/secの条件で印字媒体に未定着画像を定着させた。なお、印字媒体にJ紙(商品名、富士ゼロックス(株)製)を用いた。該画像の下に厚紙を敷き、光沢度計((株)堀場製作所製、商品名:「IG-330」)を用いて入射角度60°の光射条件にて印刷物の光沢度を測定した。結果を表4に示す。得られた値が高いほどグロスに優れる。
【0120】
試験例3〔トナーの飛散性〕
室温25℃、相対湿度50%の環境下に以下の全ての装置を準備し、次の操作は同一環境下で行った。
トナー0.7gとシリコーンフェライトキャリア(関東電化工業(株)製、平均粒径:40μm)9.3gとを内容積20mlの円筒形ポリプロピレン製ボトル((株)ニッコー製)に入れ、縦横に10回ずつ振り撹拌を行った。その後、ボールミルにて10分間撹拌を行った。市販のプリンタ((株)沖データ製、商品名:Microline5400)に搭載されている現像ローラー(直径42mm)を取り出し回転可変に改造した外部現像ローラー装置を用いた。該外部現像ローラー装置の現像ローラーを10r/minの速度で回転させ、現像ローラー上に現像剤を付着させた。均一に付着させた後、一旦、回転を止めた。現像ローラーの回転数を45r/minに変え、1分間回転させた時の飛散トナーの粒子数をデジタル粉じん計(柴田科学(株)製、型式:P-5)にて計測した。飛散トナーの粒子数より、トナーの飛散性を評価した。結果を表4に示す。飛散性はトナー飛散粒子数が少ないほど良好であることを示す。
【0121】
【表4】
【0122】
以上の結果より、実施例のトナーは、比較例のトナーに比べて、いずれも耐熱保存性に優れ、トナー飛散を抑制でき、印刷物のグロスに優れることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明のトナー用結着樹脂組成物は、電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において形成される潜像の現像等に用いられるトナーに好適に用いられるものである。