(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6253497
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】データ入力システム、アクティブスタイラスペンおよびアクティブスタイラスペンの制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20171218BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
G06F3/03 400B
G06F3/041 570
G06F3/041 580
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-90999(P2014-90999)
(22)【出願日】2014年4月25日
(65)【公開番号】特開2015-210620(P2015-210620A)
(43)【公開日】2015年11月24日
【審査請求日】2016年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】道畑 沙織
(72)【発明者】
【氏名】高野 俊也
【審査官】
星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】
特表2014−509031(JP,A)
【文献】
特表2009−543181(JP,A)
【文献】
特表2010−515195(JP,A)
【文献】
特開2004−078496(JP,A)
【文献】
特開2014−044720(JP,A)
【文献】
特開2006−268111(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブスタイラスペンと、前記アクティブスタイラスペンの信号を検知するセンサを有する手書き入力装置とを有するデータ入力システムであって、
前記アクティブスタイラスペンは、
第1送信信号、又は第2送信信号のいずれか一方を前記手書き入力装置に向けて出力する出力手段と、
前記手書き入力装置への入力操作時の筆圧を検出するための圧力センサと、
キャリア周波数が高周波数であり継続的な前記第1送信信号、及び前記キャリア周波数が前記第1送信信号より低周波数であり間欠的な前記第2送信信号を生成し、前記圧力センサにより一定期間を超えて圧力が検出されない場合、前記アクティブスタイラスペンをスリープモードに移行させ、前記アクティブスタイラスペンの電源オン時に前記出力手段から前記手書き入力装置に向けて出力される前記第1送信信号を前記スリープモード時の前記第2送信信号に切り替えて前記出力手段から前記手書き入力装置に向けて出力する制御手段と、
を具備し、
前記手書き入力装置は、前記アクティブスタイラスペンから出力される前記第1送信信号又は前記第2送信信号に基づき、操作面に非接触状態の前記アクティブスタイラスペンが指し示す位置を表すオブジェクトを前記操作面に表示する表示手段を具備する、
データ入力システム。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記電源オン時の前記第1送信信号を生成する第1信号生成回路と、
前記スリープモード時の前記第2送信信号を生成する第2信号生成回路と、
前記第1信号生成回路及び前記第2信号生成回路に接続され、前記キャリア周波数を切り替える周波数変換部と、
を具備する請求項1に記載のデータ入力システム。
【請求項3】
前記手書き入力装置の前記表示手段は、前記第1送信信号の受信が途絶えても前記第1送信信号に基づいて前記オブジェクトの第1座標での表示を維持し、前記スリープモード時の前記第2送信信号を受信した時は、前記第2送信信号に基づいて前記オブジェクトを第2座標に表示する請求項1に記載のデータ入力システム。
【請求項4】
手書き入力装置に対し手書き入力操作を行うためのアクティブスタイラスペンであって、
第1送信信号、又は第2送信信号のいずれか一方を前記手書き入力装置に向けて出力する出力手段と、
前記手書き入力装置への入力操作時の筆圧を検出するための圧力センサと、
キャリア周波数が高周波数であり継続的な前記第1送信信号、及び前記キャリア周波数が前記第1送信信号より低周波数であり間欠的な前記第2送信信号を生成し、前記圧力センサにより一定期間を超えて圧力が検出されない場合、前記アクティブスタイラスペンをスリープモードに移行させ、前記アクティブスタイラスペンの電源オン時に前記出力手段から前記手書き入力装置に向けて出力される前記第1送信信号を前記スリープモード時の前記第2送信信号に切り替えて前記出力手段から前記手書き入力装置に向けて出力する制御手段と、
を具備するアクティブスタイラスペン。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記スリープモード時の前記第1送信信号を生成する第1信号生成回路と、
前記スリープモード時の前記第2送信信号を生成する第2信号生成回路と、
前記第1信号生成回路及び前記第2信号生成回路に接続され、前記キャリア周波数を切り替える周波数変換部と、
を具備する請求項4に記載のアクティブスタイラスペン。
【請求項6】
手書き入力装置に対し手書き入力操作を行うためのアクティブスタイラスペンの制御方法であって、
前記アクティブスタイラスペンの電源オン時に、キャリア周波数が高周波数であり継続的な第1送信信号を前記手書き入力装置に向けて出力し、
圧力センサによって前記手書き入力装置への入力操作時の筆圧を検出し、
前記圧力センサにより一定期間を超えて圧力が検出されない場合、前記アクティブスタイラスペンをスリープモードに移行させ、前記キャリア周波数が前記第1送信信号より低周波数であり間欠的な第2送信信号に切り替えて前記手書き入力装置に向けて出力する、
アクティブスタイラスペンの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、データ入力システム、アクティブスタイラスペンおよびアクティブスタイラスペンの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タブレットやファブレットなどと称される、バッテリ駆動可能で携行容易なデバイスが広く普及している。この種のデバイスは、ユーザによる入力操作を容易にするために、手書き入力機能を備えている。また、最近では、タッチパネル上での指による入力操作のみならず、当該タッチパネル上でのペン(スタイラスペン)による入力操作を受け付け可能な手書き入力機能を備えるものも少なくない。
【0003】
静電容量方式のタッチパネル上でペンにより文字を入力する場合、ペン先が太く、デジタイザと比較して、小さな文字が書けないといった問題があった。しかし、タッチパネルの精度向上や、電源(電池)を備えたアクティブスタイラスペンを使用することで、ペン先を細くし、細かい文字も書けるようになっている。このため、アクティブスタイラスペンを使用した文字入力は、新たな入力インタフェースとして注目を集めている。
【0004】
アクティブスタイラスペンには、常時オンにして筆記可能な状態にしていると、電池が短期間に消耗してしまうという問題があった。その対策として、例えば、サイドスイッチにより、電源のオン/オフを切り替える等、節電のための工夫が種々なされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−78496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アクティブスタイラスペンによる入力操作が可能なデバイスの中には、アクティブスタイラスペンから出力される送信信号に基づき、タッチパネルに非接触状態にあるアクティブスタイラスペンのペン先が指し示すタッチパネル上の位置にマークをガイド表示する機能を備えるものも存在する。このマークは、例えばホバーなどと称され、このマークをガイド表示する機能は、例えばホバリング機能などと称される。
【0007】
ここで、アクティブスタイラスペンが、節電のために、例えば未使用期間(一定期間以上筆記が行われなかった場合)に送信信号を出力しないスリープ状態へ移行して送信信号の出力を停止することを考える。しかしながら、そうすると、アクティブスタイラスペンがスリープ状態から復帰して送信信号の出力が再開されるまで、ホバーをタッチパネル上にガイド表示するホバリング機能が有効に機能しないという問題が生じる。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、アクティブスタイラスペンがスリープ状態にあってもホバリング機能を有効に機能させることのできるデータ入力システム、アクティブスタイラスペンおよびアクティブスタイラスペンの制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態によれば、データ入力システムは、アクティブスタイラスペンと、前記アクティブスタイラスペンの信号を検知するセンサを有する手書き入力装置とを有する。前記アクティブスタイラスペンは、出力手段、圧力センサおよび制御手段を具備する。出力手段は、
第1送信信号、又は第2送信信号のいずれか一方を前記手書き入力装置に向けて出力する。圧力センサは、
前記手書き入力装置
への入力操作時の筆圧を検出する。制御手段は、
キャリア周波数が高周波数であり継続的な前記第1送信信号、及び前記キャリア周波数が前記第1送信信号より低周波数であり間欠的な前記第2送信信号を生成し、前記圧力センサにより
一定期間を超えて圧力が検出されない場合、前記アクティブスタイラスペンを
スリープモードに移行させ、前記アクティブスタイラスペンの電源オン時に前記出力手段
から前記手書き入力装置に向けて出力される前記第1送信信号を
前記スリープモード時の前記第2送信信号に切り替え
て前記出力手段から前記手書き入力装置に向けて出力する。前記
手書き入力装置は、前記アクティブスタイラスペンから出力される
前記第1送信信号
又は前記第2送信信号に基づき、操作面に非接触状態の前記アクティブスタイラスペンが指し示す位置を表すオブジェクトを前記操作面に表示する表示手段を具備
する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態のデータ入力システムを構成するタブレットおよびアクティブスタイラスペンの外観を示す図。
【
図2】実施形態のタブレットのシステム構成を示す図。
【
図3】実施形態のアクティブスタイラスペンのシステム構成を示す図。
【
図4】実施形態のデータ入力システムのホバー表示に関する動作原理を説明するための概略図。
【
図5】実施形態のアクティブスタイラスペンの動作手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1は、本実施形態のデータ入力システムを構成するタブレット1およびアクティブスタイラスペン2の外観を示す図である。
【0013】
図1に示すように、タブレット1は、本体11とタッチスクリーンディスプレイ12とを備える。タッチスクリーンディスプレイ12は、本体11の上面に重ね合わせるように取り付けられている。
【0014】
本体11は、薄い箱形の筐体を有している。タッチスクリーンディスプレイ12には、フラットパネルディスプレイと、フラットパネルディスプレイ上でのアクティブスタイラスペン2の接触位置を検出するセンサとが組み込まれている。センサは、静電容量方式のタッチパネルであり、アクティブスタイラスペン2をサポートする機能を有している。フラットパネルディスプレイは、例えばLCDである。タッチパネルは、フラットパネルディスプレイの画面を覆うように設けられる。
【0015】
タブレット1は、アクティブスタイラスペン2から出力される送信信号に基づき、タッチスクリーンディスプレイ12に非接触状態にあるアクティブスタイラスペン2のペン先が指し示すタッチスクリーンディスプレイ12上の位置にマーク(ホバー)a1をガイド表示する機能(ホバリング機能)を備えている。本データ入力システムは、アクティブスタイラスペン2がスリープ状態にあってもタブレット1のホバリング機能を有効に機能させることができるようにしたものであり、以下、この点について詳述する。
【0016】
図2は、タブレット1のシステム構成を示す図である。
【0017】
図2に示すように、タブレット1は、CPU101、システムコントローラ102、主メモリ103、BIOS−ROM104、タッチパネルコントローラ105、グラフィクスコントローラ106、RAM107およびEC(Embedded controller)108を備えている。
【0018】
CPU101は、タブレット1内の各種モジュールの動作を制御するプロセッサである。CPU101は、RAM107から主メモリ103に各種ソフトウェアをロードして実行する。各種ソフトウェアの中には、前述のホバリング機能を提供するためのホバー表示プログラム301が含まれている。また、CPU101は、BIOS−ROM104に格納された基本入出力システム(BIOS)も実行する。BIOSは、ハードウェア制御のためのプログラムである。
【0019】
システムコントローラ102は、CPU101のローカルバスと各種コンポーネントとの間を接続するデバイスである。システムコントローラ102には、主メモリ103をアクセス制御するメモリコントローラが内蔵されている。また、システムコントローラ102は、例えばシリアルバスなどを介して、タッチパネルコントローラ105およびグラフィクスコントローラ106との通信を実行する機能も有している。
【0020】
タッチパネルコントローラ105は、タッチパネル12Aが検出したタッチスクリーンディスプレイ12上でのアクティブスタイラスペン2の接触位置を入力するデバイスである。タッチパネル12Aは、また、アクティブスタイラスペン2から出力される送信信号(搬送波)を受信し、該信号のタッチスクリーンディスプレイ12上での受信位置を検出可能であり、タッチパネルコントローラ105は、この位置情報も入力する。ホバー表示プログラム301は、この位置情報を取得して、タッチスクリーンディスプレイ12上の対応する位置にホバーを表示する。なお、タッチパネル12Aは、アクティブスタイラスペン2とタッチパネル12Aとの距離が例えば20mm以内の場合に送信信号を検出するが、この距離はタッチパネル12Aの検出精度や送信信号の送信強度により異なる。また本実施形態では、アクティブスタイラスペン2とタッチパネル12Aとの間では、双方向通信ではなく、ペンからパネルへの一方向のみの信号送信を実行することを想定しているが、双方向通信しても良い。
【0021】
グラフィクスコントローラ106は、LCD12Bを制御するデバイスであり、LCD12Bは、グラフィクスコントローラ106によって生成される表示信号に基づき画面イメージを表示する。
【0022】
EC108は、電力管理を司るコントローラを含むワンチップマイクロコンピュータである。EC108は、ユーザによるパワーボタンの操作に応じてタブレット1を電源オン/オフする機能を有している。
【0023】
図3は、アクティブスタイラスペン2のシステム構成を示す図である。
【0024】
図3に示すように、アクティブスタイラスペン2は、電源(電池)201、電源供給回路202、サイドスイッチ203、送信制御回路204、筆圧検出器205、送信信号生成回路206、導電性素材ペン先207、周波数変換部208および送信信号出力部209を備えている。
【0025】
アクティブスタイラスペン2内の各種モジュールは、電源(電池)201からの電力により動作する。電源供給回路202は、電源(電池)201の電力をアクティブスタイラスペン2内の各種モジュールに供給制御する回路である。サイドスイッチ203は、アクティブスタイラスペン2を電源オン/オフするための操作ユニットである。
【0026】
いま、アクティブスタイラスペン2は、サイドスイッチ203の操作により、電源オンされた状態にあるものと想定する。電源オン中、アクティブスタイラスペン2は、基本的に、ウェイク状態(ウェイクモード)にあり、送信制御回路204の制御下で、送信信号生成回路206により送信信号を生成し、周波数変換部208経由で送信信号出力部209から継続的に出力する。なお、ウェイクモードでの送信信号は、例えばアナログ方式の場合はペンの位置を通知するためのキャリア周波数信号、デジタル方式の場合は同期検出用のためのあらかじめ決められた直交符号パターン、ペン識別番号および筆圧情報などのペン情報を含む。周波数変換部208は、送信信号を所定のキャリア周波数の信号へ変換するモジュールである。キャリア周波数については後述する。
【0027】
タッチスクリーンディスプレイ12上でアクティブスタイラスペン2による入力操作が行われると、導電性素材ペン先207がタッチスクリーンディスプレイ12に接触し、筆圧検出器205により、入力操作時の筆圧が検出される。筆圧検出器205から出力される筆圧値が0の状態(筆圧が検出されない状態)が一定期間継続した場合、アクティブスタイラスペン2は、節電のために、スリープ状態(スリープモード)に移行する。アクティブスタイラスペン2は、導電性素材ペン先207がタッチスクリーンディスプレイ12に接触して、筆圧検出器205により筆圧が検出された場合に、スリープ状態からウェイク状態に復帰する。
【0028】
通常、スリープ状態にある時、アクティブスタイラスペン2は、送信信号の出力を停止する。しかしながら、そうすると、タブレット1側におけるホバー表示プログラム301によるホバーの表示も行われなくなってしまう。そこで、本データ入力システムのアクティブスタイラスペン2は、送信信号生成回路206が、ウェイク時の送信信号を生成するアクティブ信号生成回路206Aと、スリープ時の送信信号を生成するビーコン信号生成回路206Bとの2つの信号生成回路を備え、スリープ時には、ビーコン信号生成回路206Bが生成する送信信号(ビーコン信号)を出力する。なお、スリープモードでの送信信号は、例えば同期検出用の直交符号である。この直交符号のパターンは、ウェイク時とスリープ時とで異なるパターンを使い分けることが好ましい。
【0029】
図4は、本データ入力システムのホバー表示に関する動作原理を説明するための概略図である。
【0030】
図4中、(A)は、従来のアクティブスタイラスペンによるウェイク時およびスリープ時における送信信号の出力状況を示している。図示のように、ウェイク状態からスリープ状態に移行すると、従来のアクティブスタイラスペンは、送信信号の出力を停止する。これに伴い、タブレット側におけるホバーの表示は行われなくなる。
【0031】
一方、(B)は、本データ入力システムのアクティブスタイラスペン2によるウェイク時およびスリープ時における送信信号の出力状況を示している。図示のように、ウェイク状態からスリープ状態に移行した場合、本データ入力システムのアクティブスタイラスペン2は、送信信号の出力動作を、継続的な送信から(ビーコン信号の)間欠的な送信へと切り替える。前述したように、ウェイク時の送信信号は、アクティブ信号生成回路206Aにより生成され、スリープ時の送信信号(ビーコン信号)は、ビーコン信号生成回路206Bにより生成される。アクティブスタイラスペン2は、ビーコン信号に乗せて、自身がスリープ状態であることをタブレット1に通知する。
【0032】
アクティブスタイラスペン2がスリープ状態に移行すると、タブレット1は、間欠的に出力される送信信号(ビーコン信号)に基づき、タッチスクリーンディスプレイ12へのホバーの表示を実行する。より具体的には、送信信号(ビーコン信号)を受信してホバーを例えば座標(X
1,Y
1)に表示した後、送信信号が途絶えても、タブレット1は、この座標(X
1,Y
1)でのホバーの表示を維持する。その後、アクティブスタイラスペン2から間欠的に出力される送信信号(ビーコン信号)を受信した際に、タブレット1は、この受信した送信信号(ビーコン信号)に基づき、ホバーを改めて例えば座標(X
2,Y
2)に表示する。
【0033】
アクティブスタイラスペン2は、スリープ状態に移行した場合、送信信号の出力動作が継続的な送信から(ビーコン信号の)間欠的な送信へと切り替わるので、節電という所期の目的は達成される。また、タブレット1は、アクティブスタイラスペン2がスリープ状態にあっても、間欠的に出力される送信信号(ビーコン信号)に基づき、タッチスクリーンディスプレイ12にホバーを表示することが可能となる。
【0034】
なお、タブレット1は、送信信号が途絶えた期間が、送信信号(ビーコン信号)の間欠送信間隔を大幅に上回った場合、ホバーの表示の維持を終了してもよい。送信信号(ビーコン信号)の間欠送信間隔は、例えば数十msec程度のユーザに違和感を与えることのない範囲で設計することが好ましい。
【0035】
さらに、アクティブスタイラスペン2は、ウェイク状態からスリープ状態に移行した場合、送信信号(ビーコン信号)のキャリア周波数をウェイク時のキャリア周波数よりも低周波数とすることで、消費電力を低減し、より一層の省電力化を図る。ウェイク時のキャリア周波数は、ノイズの影響を受けにくくするために、高周波数(数百KHz〜数MHz)とすることが一般的である。アクティブスタイラスペン2がスリープ状態にある場合におけるホバー表示のための送信信号(ビーコン信号)の送受信に関しては、ノイズの多少の影響は許容されるので、キャリア周波数を低周波数に変更しても問題はない。キャリア周波数の切替えは、周波数変換部208により実行される。
【0036】
前述したように、アクティブスタイラスペン2は、ビーコン信号に乗せて、自身がスリープ状態であることをタブレット1に通知する。タブレット1は、この通知を受けて、キャリア周波数の切替えに対応する。
【0037】
従来、スリープ状態のアクティブスタイラスペンのペン先をタッチスクリーンディスプレイに近づけたとしても、ペン先をタッチスクリーンディスプレイに接触させるまで、ホバーがタッチスクリーンディスプレイに表示されず、ウェイク状態の場合と動作が異なるという不便な点が存在した。これに対して、本データ入力システムでは、アクティブスタイラスペン2のペン先をタッチスクリーンディスプレイ12に近づけた場合、スリープ状態であっても、ウェイク状態の場合と同様、ホバーがタッチスクリーンディスプレイ12に表示されるので、アクティブスタイラスペン2がスリープ状態にあることをユーザに意識させることが無くなる。
【0038】
図5は、アクティブスタイラスペン2の動作手順を示すフローチャートである。
【0039】
アクティブスタイラスペン2は、筆圧の検出有無を調べ(ブロックA1)、筆圧が検出されない場合(ブロックA1のNO)、続いて、一定期間以上筆圧が検出されていないかどうかを調べる(ブロックA2)。
【0040】
一定期間以上筆圧が検出されていない場合(ブロックA2のYES)、アクティブスタイラスペン2は、ウェイク状態であれば(ブロックA3のYES)、キャリア周波数を低周波数にしてビーコン信号を間欠送信するスリープ状態に移行する(ブロックA4)。
【0041】
一方、筆圧が検出された場合(ブロックA1のYES)、アクティブスタイラスペン2は、スリープ状態であれば(ブロックA5のYES)、通常のキャリア周波数で送信信号を継続送信するウェイク状態に復帰する(ブロックA6)。
【0042】
以上のように、本データ入力システムによれば、アクティブスタイラスペンがスリープ状態にあってもホバリング機能を有効に機能させることを実現する。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1…タブレット、2…アクティブスタイラスペン、11…本体、12…タッチスクリーンディスプレイ、12A…タッチパネル、12B…LCD、101…CPU、102…システムコントローラ、103…主メモリ、104…BIOS−ROM、105…タッチパネルコントローラ、106…グラフィクスコントローラ、107…RAM、108…EC、201…電源(電池)、202…電源供給回路、203…サイドスイッチ、204…送信制御回路、205…筆圧検出器、206…送信信号生成回路、206A…アクティブ信号生成回路、206B…ビーコン信号生成回路、207…導電性素材ペン先、208…周波数変換部、209…送信信号出力部、301…ホバー表示プログラム