特許第6253547号(P6253547)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立製作所の特許一覧
特許6253547送液デバイスおよび送液デバイスを用いた化学分析装置
<>
  • 特許6253547-送液デバイスおよび送液デバイスを用いた化学分析装置 図000002
  • 特許6253547-送液デバイスおよび送液デバイスを用いた化学分析装置 図000003
  • 特許6253547-送液デバイスおよび送液デバイスを用いた化学分析装置 図000004
  • 特許6253547-送液デバイスおよび送液デバイスを用いた化学分析装置 図000005
  • 特許6253547-送液デバイスおよび送液デバイスを用いた化学分析装置 図000006
  • 特許6253547-送液デバイスおよび送液デバイスを用いた化学分析装置 図000007
  • 特許6253547-送液デバイスおよび送液デバイスを用いた化学分析装置 図000008
  • 特許6253547-送液デバイスおよび送液デバイスを用いた化学分析装置 図000009
  • 特許6253547-送液デバイスおよび送液デバイスを用いた化学分析装置 図000010
  • 特許6253547-送液デバイスおよび送液デバイスを用いた化学分析装置 図000011
  • 特許6253547-送液デバイスおよび送液デバイスを用いた化学分析装置 図000012
  • 特許6253547-送液デバイスおよび送液デバイスを用いた化学分析装置 図000013
  • 特許6253547-送液デバイスおよび送液デバイスを用いた化学分析装置 図000014
  • 特許6253547-送液デバイスおよび送液デバイスを用いた化学分析装置 図000015
  • 特許6253547-送液デバイスおよび送液デバイスを用いた化学分析装置 図000016
  • 特許6253547-送液デバイスおよび送液デバイスを用いた化学分析装置 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6253547
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】送液デバイスおよび送液デバイスを用いた化学分析装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/08 20060101AFI20171218BHJP
   G01N 37/00 20060101ALI20171218BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   G01N35/08 A
   G01N37/00 101
   G01N1/00 101M
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-170030(P2014-170030)
(22)【出願日】2014年8月25日
(65)【公開番号】特開2016-45096(P2016-45096A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年1月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100098660
【弁理士】
【氏名又は名称】戸田 裕二
(72)【発明者】
【氏名】塚田 修大
(72)【発明者】
【氏名】長岡 嘉浩
【審査官】 島田 保
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−274148(JP,A)
【文献】 特開2006−023209(JP,A)
【文献】 特表2004−531369(JP,A)
【文献】 実開昭62−091235(JP,U)
【文献】 国際公開第2008/047875(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0028969(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/10
G01N 1/00
G01N 35/08
G01N 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析対象を含む第一の液体を送液する第一の送液部と、分析対象を含まない第二の液体を送液する第二の送液部と、
当該送液された第一の液体の物性を測定する測定部と、当該送液された第一の液体および第二の液体を収容する液体プール部と、複数のパッシブバルブと、を有する送液デバイスと、
当該送液された第一の液体および第二の液体を排出する排液部と、を備えた化学分析装置であって、
前記液体プール部は、第一の液体プール部と、第二の液体プール部とを有し、
前記第一の送液部と前記送液デバイスとをつなぐ第一の流路と、
前記測定部と前記第二の液体プール部とをつなぐ第二の流路と、
前記第二の送液部と、前記排液部とをつなぐ第三の流路と、
前記第一の液体プール部に設けられた第一の空気口と、
前記第二の液体プール部に設けられた第二の空気口と、を有し、
前記パッシブバルブは、前記第一の液体プール部の一端部と前記第三の流路との間に配置された第一のパッシブバルブと、前記第一の液体プール部の他端部と前記第二の液体プール部の一端部との間に配置された第二のパッシブバルブと、から構成されることを特徴とする化学分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載された化学分析装置であって、前記第一の流路、前記第二の流路、及び前記第三の流路は流体的に接続されていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項3】
請求項1に記載された化学分析装置であって、
前記第一のパッシブバルブの流動抵抗と、前記第二のパッシブバルブの流動抵抗とは略同一であることを特徴とする化学分析装置。
【請求項4】
請求項1に記載された化学分析装置であって、
前記第一の空気口は、前記第一の液体プール部の一端部と前記第一のパッシブバルブとの接続部と、前記第一の液体プール部の他端部と前記第二のパッシブバルブとの接続部との間に設けられていることを特徴とする化学分析装置。
【請求項5】
請求項1に記載された化学分析装置であって、
前記送液デバイスを複数個有し、
当該複数個の送液デバイスの各々は接続可能であることを特徴とする化学分析装置。
【請求項6】
請求項1に記載された化学分析装置であって、
前記第二の液体はシステム水であることを特徴とする化学分析装置。
【請求項7】
請求項1に記載された化学分析装置であって、
高圧状態の空気を格納する空気室をさらに備え、
前記空気室から空気を供給することによって、前記第一の送液部、前記第二の送液部は、
第一の液体、前記第二の液体をそれぞれ送液することを特徴とする化学分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を流動させるための送液デバイスおよびそれを用いた化学分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
送液デバイスとは、試料の反応や分析が行われる化学分析装置に対して、ポンプなどを用いて必要な溶液を供給する装置である。例えば、特許文献1には、液体クロマトグラフ用の送液デバイスに関し、溶離液の組成を順次変化させて分析カラムに供給するグラジエント送液のために、それぞれ所定方向に延設されている第1の流路、第2の流路および第3の流路と、第1の流路に接続され、第1の流路より細いn個の第4の流路と、第2の流路に接続され、第2の流路より細いn個の第5の流路と混合槽とを有するグラジエント装置について説明している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−274148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
並列に接続された複数の流路から任意の一つの流路のみに通液させる場合、例えば複数の送液デバイスが並列に接続されている構成において、任意の一つの送液デバイスのみに通液させる場合には、なんらかの手段で並列流路の流動抵抗を不均一にする必要がある。通常は、並列流路の一つ一つにバルブを挿入し、通液しない流路を物理的に遮断することで、残りの流路を通液させる。ただし、この方法ではバルブの弁体部分が接液するため、繰り返し使用するには洗浄が必要であり、ランニングコストが大きい。
【0005】
特許文献1に記載された手法によれば、弁体を駆動させる通常のバルブを用いずに、狭流路の流動抵抗を利用したパッシブバルブを用いて液体の流れを制御している。しかしながら、本方式では、並列に接続された流路内の混合槽を全て同時に通液させることはできるが、任意の1つの流路のみを通液させることはできず、このような場合については考慮されていない。
【0006】
本発明の目的は、弁体を駆動させる通常のバルブを用いずに、並列に接続された流路から選択的に任意の1つの流路のみを通液することができる送液デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための一態様として、分析対象を含む第一の液体を送液する第一の送液部と、分析対象を含まない第二の液体を送液する第二の送液部と、当該送液された第一の液体の物性を測定する測定部と、当該送液された第一の液体および第二の液体を収容する液体プール部と、複数のパッシブバルブと、を有する送液デバイスと、当該送液された第一の液体および第二の液体を排出する排液部と、を備えた化学分析装置であって、
前記液体プール部は、第一の液体プール部と、第二の液体プール部とを有し、前記第一の送液部と前記送液デバイスとをつなぐ第一の流路と、前記測定部と前記第二の液体プール部とをつなぐ第二の流路と、前記第二の送液部と、前記排液部とをつなぐ第三の流路と、前記第一の液体プール部に設けられた第一の空気口と、前記第二の液体プール部に設けられた第二の空気口と、を有し、前記パッシブバルブは、前記第一の液体プール部の一端部と前記第三の流路との間に配置された第一のパッシブバルブと、前記第一の液体プール部の他端部と前記第二の液体プール部の一端部との間に配置された第二のパッシブバルブと、から構成されることを特徴とする装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、弁体を駆動させる通常のバルブを用いずに、並列に接続された流路から任意の1つの流路のみを選択的に通液することができる送液デバイスを提供することができる。これによって、接液部の構造を簡単にし、デッドボリュームを低減できる。
【0009】
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る化学分析装置の基本構成の例を示す図。
図2A】本実施の形態に係る送液デバイスの側面を示す図。
図2B】本実施の形態に係る送液デバイスの上面を示す図。
図2C】本実施の形態に係る送液デバイスの下面を示す図。
図3】本実施の形態に係る化学分析装置における液体の流動動作の例を説明する図。
図4】本実施の形態に係る化学分析装置における液体の流動動作の例を説明する図。
図5】本実施の形態に係る化学分析装置における液体の流動動作の例を説明する図。
図6】本実施の形態に係る化学分析装置における液体の流動動作の例を説明する図。
図7】本実施の形態に係る化学分析装置における液体の流動動作の例を説明する図。
図8】本実施の形態に係る化学分析装置における液体の流動動作の例を説明する図。
図9】本実施の形態に係る化学分析装置における液体の流動動作の例を説明する図。
図10】本実施の形態に係る化学分析装置における液体の流動動作の例を説明する図。
図11】本実施の形態に係る化学分析装置における液体の流動動作の例を説明する図。
図12】本実施の形態に係る化学分析装置における液体の流動動作の例を説明する図。
図13】本実施の形態に係る化学分析装置における液体の流動動作の例を説明する図。
図14】本実施の形態に係る化学分析装置における液体の流動動作の例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施の形態を図面を用いて説明する。

(装置全体)
図1は、本実施の形態に係る送液デバイスが4個連結された化学分析装置の基本構成の例を示す図である。本図に示す化学分析装置1では、送液デバイス21〜24と、送液デバイス21にサンプル液131とシステム水141を供給する供給コネクタ5と、送液デバイス24からの排液を排液タンク7に排出するための排出コネクタ6が、パッキン部材401、402、411、412、421、422、431、432、441、442を介して流体的に接続されている。ここで、サンプル液131は分析対象であるサンプルを含んだ溶液、システム水141は、後述のように送液デバイス21〜24の各々のサンプル液131の通液を制御するために用いる液体のことをいう。
【0012】
供給コネクタ5はデバイス押さえ固定ジグ181に固定されている。また、排出コネクタ6はデバイス押さえジグ可動182に固定されている。デバイス押さえ固定ジグ181はガイドレール183に固定されている。一方、デバイス押さえ可動ジグ182はガイドレール183に対して図上の左右方向に移動できる。デバイス押さえ可動ジグ182を図の左方向に移動させると、送液デバイス21〜24、排出コネクタ6、およびパッキン部材401〜442が供給コネクタ5に押し付けられる。
【0013】
パッキン部材401〜442は、供給コネクタ5、送液デバイス21〜24、排出コネクタ6よりも変形しやすい材料で作られており、押し付けによってパッキン部材401〜442が変形して供給コネクタ5、送液デバイス21〜24、排出コネクタ6に密着することで、流体接続部の耐圧が確保される。
【0014】
送液デバイス21〜24には、空気を供給もしくは空気を排出する空気用コネクタ311、321、331、341が装着されている。空気用コネクタ311、321、331、341は、デバイス押さえ可動ジグ182と同様にガイドレール183に対して図上の左右方向に移動できるように形成されている。これにより、デバイス押さえ可動ジグ182によって送液デバイス21〜24をデバイス押さえ固定ジグ181に押し付けることができる。
【0015】
送液デバイス21〜24の下面には後述する空気出入口21a、21b、22a、22b、23a、23b、24a、24bがそれぞれ設けられている。送液デバイス21の空気出入口21a、21bには、空気用接続部312、313がばね314、315によって押さえつけられて密着する。これによって、空気室11から高圧の空気を送液デバイス21内に導いたり、送液デバイス21から空気を排出したりすることができる。同様に、送液デバイス22の空気出入口22a、22bには空気用接続部322、323が、送液デバイス23の空気出入口23a、23bには空気用接続部332、333が、送液デバイス24の空気出入口24a、24bには空気用接続部342、343が、それぞれ密着される。
【0016】
コンプレッサ10で発生した高圧空気は空気室11に保持され、レギュレータ12でほぼ一定の圧力に調整される。空気室11で一定の圧力に調整された空気は、バルブ1501を介してサンプル液容器13に、バルブ1502と供給コネクタ5を介して送液デバイス21〜24に、バルブ1503を介してシステム水容器14に、バルブ1504と供給コネクタ5を介して送液デバイス21〜24に、それぞれ供給される。同様に、空気室11内の空気は、バルブ1511、1512、1521、1522、1531、1532、1541、1542を介して、空気用接続部312、313、322、323、332、333、342、343にそれぞれ供給される。上記のバルブはコントローラ17で制御され、空気室11から空気を供給するように開状態とする、もしくは空気の供給を止めるように閉状態となるように制御する。
【0017】
また、バルブ1505、1513、1523、1533、1543もコントローラ17で制御され、それぞれ排液容器7、空気用接続部313、323、333、343を大気に対して開状態または閉状態となるように制御する。
【0018】
また、空気室11内の圧力を測定する圧力センサ16が設けてあり、必要に応じて圧力センサ16から供給される信号に基づいてコントローラ17が圧力を調整するためにそれぞれのバルブを制御する。
【0019】
また、光検出器の発光部911、921、931、941と受光部912、922、932、942により、送液デバイス21〜24に流れる試料溶液の吸光度などの物性が測定され、分析される。

(送液デバイスの詳細)
図2を用いて、送液デバイス21の詳細を説明する。なお、送液デバイス22、23、24は送液デバイス21と同一の構成を備えるため重複する説明を省略する。
【0020】
図2Aは、送液デバイス21の側面図を示す。図2Aが示すように、送液デバイス21は流路が形成されている流動部2101と、流動部2101に接合された天板2102から構成される。図2Aにおいて、送液デバイス21の内部に形成されている流路は破線で示してある。
【0021】
図2Bは、送液デバイス21の上面図、すなわち流動部2101を図2Aの矢印A方向から見た平面図である。本図は、天板2102を取り除いた状態であるので、天板2102側に設けられた流路は実線で図示し、内部に設けられた流路は破線で示している。本図に示すように、送液デバイス21は、サンプル液容器13から送られたサンプル液131またはシステム水容器14から送られたシステム水141を収容する第一の液体プール部2109、第二の液体プール部2113を備えている。第一の液体プール部2109の両端には、パッシブバルブ2108、2110がそれぞれ接続されている。また、第一の液体プール部2109とパッシブバルブ2108、2208のそれぞれとの接続部の間には、第一の空気口2114が設けられている。さらに、第二の液体プール部2113の一端は、第一のプール部2109と接続されるパッシブバルブ2108に接続され、他端には第二の空気口2115が設けられている。
【0022】
図2Cは、送液デバイス21の下面図、すなわち流動部2101を、図2Bの矢印B方向から見た平面図である。本図に示されるように、第一の空気口2114、第二の空気口2115が設けられており、空気室11内の空気はバルブ1511、1512を介して空気用接続部312、313から第一の空気口2114、第二の空気口2115へ導入される。また反対に、送液デバイス21内の空気は、第二の空気口2115から空気用接続部313(本図では不図示)、バルブ1513を介して大気に排出される。サンプル測定部2106には、上述した光検出器の発光部911、912を備え、送液されたサンプル液131に対して、例えば吸光度等の物性を測定し、分析を行う。
【0023】
流動部2101、天板2102の材料として、樹脂、ガラス、シリコン、シリコーンゴム、金属などが挙げられる。流動部2101、天板2102に樹脂を用いる場合は、射出成型、ホットエンボス、切削などでそれぞれを加工し、加熱溶着によってそれらを接合できる。流動部2101、天板2102にガラスを用いる場合は、射出成型でそれぞれを加工し、加熱溶着によってそれらを接合できる。また、流動部2101をリソグラフィーによってシリコンで作製し、ガラスで作製した天板と陽極接合によって接合することもできる。また、流動部2101をポリジメチルシロキサンなどのシリコーンゴムで作製し、ガラスで作製した天板とプラズマ照射による表面活性化接合によって接合することもできる。また、流動部2101、天板2102に金属を用いる場合は、切削によってそれぞれを加工し、拡散接合やろう付けによってそれらを接合できる。
【0024】
また、流動部2101、天板2102の間に薄い粘着シートや接着材を挟んで、流動部2101、天板2102を接着させてもよい。この場合は、流動部2101、天板2102を任意の材料で作製することができる。
【0025】
また、流動部2101と天板2102を別々に加工して接合させるのではなく、光造形法、熱溶解積層法、粉末焼結法、インクジェット法などの積層造形によって、一体物として作製することもできる。
【0026】
送液デバイス21〜24は、それぞれの形状を接続可能に形成することで、図1を用いて上述した方法により流体的に接続することができる。そのため、それぞれの送液デバイス21〜24は材料が異なっていてもよく、検出方法に応じて最適な材料を選択することができる。
【0027】
また、図1では、複数の送液デバイス21〜24を組み合わせて分析装置を構成しているが、同様の流路構成を一つの送液デバイス内に作製してもよい。この場合、検出法に合わせて流路の材料を変えるなどの柔軟な装置構成をとることはできないが、送液デバイス間を接続するパッキン部材は不要となり、装置構成を小型化、簡易化し、デッドボリュームを低減する。

(流動動作)
図3図14を用いて、化学分析装置1において、送液デバイス22のサンプル液測定部2206にのみサンプル液131を流して光検出器921、922でサンプル液131を測定、分析する場合の、液体および空気の流動動作を説明する。図3図14は、流体の流れを説明するために、流体が流れる部分のみを記載するように図1を簡略化した図である。
【0028】
図3は、初期状態を示している。サンプル液容器13にサンプル液131が、システム水容器14にシステム水141が入れられており、その他の流路には空気が満たされている。また、全てのバルブ1501、1502、1503、1504、1505、1511、1512、1513、1521、1522、1523、1531、1532、1533、1541、1542、1543は閉状態になっている。ここで、サンプル液131の供給元であるサンプル液容器13から、送液デバイス21〜24の各々にサンプル液131を供給する流路を第一の流路213とし、サンプル測定部2206と第二の液体プール部2213とをつなぐ流路を第二の流路216とし、システム水141の供給元であるシステム水容器14、送液デバイス21〜24、排液タンク7とをつなぐ流路を第三の流路212とする。
【0029】
図4は、システム水141を第三の流路212に流入させた状態である。バルブ1503、1505を開くことで、空気室11内の高圧空気がシステム水容器14に供給され、システム水141が押し出される。押し出されたシステム水141は、第三の流路212を通って排液容器7に流入する。システム水141の流入前に流路内にあった空気は、開放されたバルブ1505を通って大気に排出される。
【0030】
図5は、システム水141が、送液デバイス21〜24の第一の液体プール部2109、2209、2309、2409の各々に充填されている状態である。バルブ1503、1513、1523、1533、1543を開くことで、空気室11内の高圧空気がシステム水容器14に供給され、システム水141が押し出される。押し出されたシステム水141は、第一のパッシブバルブ2110、2210、2310、2410を通って、第一のプール部2109、2209、2309、2409にそれぞれ流入する。システム水141の流入前に流路内にあった空気は、バルブ1513、1523、1533、1543を通って大気に排出される。
【0031】
第一のパッシブバルブ2110、2210、2310、2410は、他の流路や配管に比べて、極端に流路幅が狭い。そのため、液体が通過する場合は、他の流路や配管に対して第一のパッシブバルブ2110、2210、2310、2410の流動抵抗が支配的となる。したがって、図5の場合、第三の流路212の流動抵抗はパッシブバルブ2110、2210、2310、2410の流動抵抗に対して無視できる大きさである。その結果、第一の液体プール部2109、2209、2309、2409にはほぼ同一の流量でシステム水141が充填される。
【0032】
図6は、システム水141が第一の液体プール部2109、2209、2309、2409に充填された後に、バルブ1504、1505を開いて空気室11内の高圧空気を第三の流路212に供給してシステム水141を排液容器7に排出した状態である。
【0033】
図7は、送液デバイス22の第一の液体プール部2209に充填されたシステム水141が2方向に分割されて排出されている状態である。バルブ1505、1521、1523を開くことで、空気室11内の高圧空気が第一の空気流路2214を通って、第一のプール部2209に供給される。供給された高圧空気によって押し出されたシステム水141の半分は、第一のパッシブバルブ2210を通って第三の流路212に排出される。同時に、もう半分のシステム水141は、第二のパッシブバルブ2208を通って、第二の液体プール部2213に排出される。システム水141の流入前に流路内にあった空気は、バルブ1505、1523を通って大気に排出される。
【0034】
第一のパッシブバルブ2210と第二のパッシブバルブ2208は、同一の形状であり、そのため流動抵抗も同じである。また、上述した通り、液体が流れる際の流動抵抗はパッシブバルブによるものが支配的である。したがって、図7の場合は、第一のパッシブバルブ2210を通って排出されるシステム水141の流量と、第二の液体プール部2213側に流れるシステム水141の流量はほぼ等しくなる。そして、第一の空気流路2214は第一の液体プール部2209の中心に設置されている。そのため、第一のパッシブバルブ2210からシステム水141が排出される時間と、第二のパッシブバルブ2208からシステム水141が排出される時間はほぼ等しくなる。
【0035】
図8は、第一の液体プール部2209からシステム水141が第三の流路212と第二の液体プール部2213に排出された後に、第三の流路212内のシステム水を排液容器7に排出した状態である。図6を用いて上述したように、バルブ1504、1505を開いて空気室11内の高圧空気を第三の流路212に供給してシステム水141を排液容器7に排出している。
【0036】
図9は、サンプル液131を送液デバイス22のサンプル測定部2206に充填している状態である。まず、バルブ1501と1505を開いて空気室11内の高圧空気をサンプル液容器13に供給して、サンプル液131を送液デバイス21〜24側に押し出す。所定の体積だけサンプル液131を押し出したら、バルブ1501を閉じてバルブ1502を開くことで、サンプル液容器13から押し出されたサンプル液131を送液デバイス22内に導入する。
【0037】
本図において、サンプル液131の導入前に第一の流路213内に存在していた空気は、サンプル液131に押し出されて、第一の流路213を通過して送液デバイス22へ導入され、第二の流路226、第三の流路212を通って排液容器7、バルブ1505へと進み大気に排出される。このとき、送液デバイス22の内部は第二の液体プール部2213を除いて全て空気であるが、送液デバイス21、23、24は第一の液体プール部2109、2309、2409がシステム水141で満たされている。空気の粘度は液体の粘度に比べてはるかに小さいため、空気室11内から高圧空気が供給されても、送液デバイス22にのみ空気が流れ、送液デバイス21、23、24には空気はほとんど供給されない。その結果、サンプル液131は、送液デバイス22のサンプル測定部2206にのみ選択的に供給される。
【0038】
図10は、サンプル液131が送液デバイス22のサンプル測定部2206に充填された状態である。このとき、バルブ1501、1502、1503、1504、1505、1511,1512、1513、1521、1522、1523、1531、1532、1533、1541、1542、1543を全て閉じ、サンプル液131をサンプル測定部2206に静止させて光検出器921、922(図1参照)で測定する。
【0039】
図11は、サンプル測定部2206内にあったサンプル液131を第一の液体プール部2209に排出している状態である。バルブ1502、1505を開くことで、空気室11内の高圧空気が第二の流路213を通って、第一のプール部2109、2309、2409、および、サンプル測定部2206に供給される。第一のプール部2109、2309、2409内にあったシステム水141は第一のパッシブバルブ2110、2310、2410を通って第三の流路212に排出される。また、サンプル測定部2106内にあったサンプル液は第二のパッシブバルブ2208を通って第一のプール部2209に排出される。このとき、第一のパッシブバルブ2110、2310、2410、および、第二のパッシブバルブ2208は形状が同じで流動抵抗が等しいため、それぞれを流れる流量はほぼ等しくなる。高圧空気の供給前に流路内にあった空気は、バルブ1505を通って大気に排出される。
【0040】
図12は、サンプル測定部2206内にあったサンプル液141が全て第一の液体プール部2209に排出された状態である。この状態で、図3Iの状態に引き続きバルブ1502、1505が開いているので、空気室11内の高圧空気は第一の液体プール部2109、2209、2309、2409に供給される。ただし、第一のパッシブバルブ2110、2310、2410をシステム水141が流れる流動抵抗よりも、第一のプール部2209をサンプル液131が流れる流動抵抗の方がはるかに小さい。そのため、第一のパッシブバルブ2110、2310、2410内のシステム水141はほとんど流れず、第一の液体プール部2209内のサンプル液131のみが流れる。このとき、図11の状態で第一の液体プール部2309、2409から第三の流路212に押し出されたシステム水141は、第一の液体プール部2209から排出される空気によって排液容器7に向かって押し流される。
【0041】
図13は、第一の液体プール部2209内のサンプル液131が第一のパッシブバルブ2210を通って第三の流路212に排出されている状態である。図13の状態に引き続きバルブ1502、1505が開いているので、空気室11内の高圧空気は第一の液体プール部2109、2209、2309、2409に供給されている。そのため、第一の液体プール部2109、2309、2409内のシステム水141も、第一のパッシブバルブ2110、2310、2410を通って第三の流路212に排出されている。このとき、第一のパッシブバルブ2110、2210、2310、2410の流動抵抗が支配的であるため、それぞれを流れる流量はほぼ等しくなる。
【0042】
図14は、第一の液体プール部2209内のサンプル液131が全て第三の流路212に排出された後に、第三の流路212内のシステム水141とサンプル液131を排液容器7に排出した状態である。図6を用いて説明したように、バルブ1504、1505を開いて空気室11内の高圧空気を第三の流路212に供給してシステム水131とサンプル液141を排液容器7に排出した。
【0043】
以上で示したように、第一の液体プール部2209の中心に設置した第一の空気流路2215から空気を流入させることで、第一の液体プール部2209に充填されたシステム水141を分割して排出することで、並列に接続されたサンプル測定部2106、2206、2306、2406のうち1つのみに選択的にサンプル液131を充填し、また排出することができる。このとき、弁体を駆動させるバルブには液体が接液せず、空気の供給と排出のみに使用されるので、バルブが接液する場合の流路構成に比べて、バルブの洗浄が不要で、かつ交換頻度が少なくなることから、分析装置のランニングコストを低減できる。
【符号の説明】
【0044】
1・・・化学分析装置
5・・・供給コネクタ
6・・・排出コネクタ
7・・・排液タンク
10・・・コンプレッサ
11・・・空気室
12・・・レギュレータ
13・・・サンプル液容器
14・・・システム水容器
16・・・圧力センサ
17・・・コントローラ
21、22、23、24・・・送液デバイス
21a、21b、22a、22b、23a、23b、24a、24b・・・空気出入口
131・・・サンプル液
141・・・システム水
181・・・デバイス押さえ固定ジグ
182・・・デバイス押さえ可動ジグ
183・・・ガイドレール
311、321、331、341・・・空気用コネクタ
312、313、322、323、332、333、342、343・・・空気用接続部
401、402、411、412、421、422、431、432、441、442・・・パッキン部材
911、921、931、941・・・発光部
912、922、932、942・・・受光部
1501、1502、1503、1504、1505、1511、1512、1513、1521、1522、1523、1531、1532、1533、1541、1542、1543・・・バルブ
2101・・・流動部
2102・・・天板
2106、2206、2306,2406・・・サンプル測定部
2109、2209、2309、2409・・・第一のプール部
2213、2213、2313、2413・・・第二のプール部
2114、2214、2314、2414・・・第一の空気口
2115、2215、2315、2415・・・第二の空気口
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14