特許第6253548号(P6253548)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6253548
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/49 20070101AFI20171218BHJP
   H02M 7/797 20060101ALI20171218BHJP
   H02M 7/487 20070101ALI20171218BHJP
【FI】
   H02M7/49
   H02M7/797
   H02M7/487
【請求項の数】8
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-170804(P2014-170804)
(22)【出願日】2014年8月25日
(65)【公開番号】特開2016-46955(P2016-46955A)
(43)【公開日】2016年4月4日
【審査請求日】2017年3月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(74)【代理人】
【識別番号】100081961
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 光春
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 隆太
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大地
【審査官】 小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−099054(JP,A)
【文献】 特開2013−143836(JP,A)
【文献】 特開2014−096969(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/49
H02M 7/487
H02M 7/797
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流と直流の間で電力を変換する電力変換装置であって、
直流電源と、
前記直流電源と並列に接続され、前記直流電源の入力直流電圧を分割して中性点電位を作るため、前記直流電源の正端子と直流中性点との間に接続された第1のコンデンサと、
前記直流中性点と前記直流電源の負端子との間に前記第1のコンデンサと直列に接続された第2のコンデンサと、
前記直流電源の正端子と前記直流中性点との間に直列に接続された第1および第2のスイッチと、
前記直流中性点と前記直流電源の負端子との間に直列に接続された第3および第4のスイッチと、
直流を交流に変換するためのチョッパセルとからなり、前記直流電源と並列に各々接続され複数のレグと、
各相のレグの前記チョッパセル出力電圧をバランスさせるために各相のレグ内に流す循環電流を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、中性点電位を一定に制御するため、各相の正側直流端子から前記第1のスイッチおよび前記チョッパセルを介して前記第3のスイッチから前記直流中性点に至る直流循環電流もしくは各相の直流中性点から前記第2のスイッチおよび前記チョッパセルを介して前記第4のスイッチから負側直流端子に至る直流循環電流に、前記第1のコンデンサの電圧と前記第2のコンデンサの電圧の差から求められる中性点電流を重畳する中性点電位制御部を有し、
前記中性点電位制御部は、前記第1及び第2のコンデンサの少なくとも何れかに前記中性点電流を重畳した前記直流循環電流を流させること、
を特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記中性点電位制御部は、前記第1及び第2のコンデンサのうち、高電圧なコンデンサから放電させた電力を低電圧なコンデンサに充電させること、
を特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記中性点電位制御部は、前記中性点電流を各相のレグに分配して重畳すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記中性点電位制御部は、前記中性点電流の指令値を、前記第1及び第2のコンデンサの電圧差を比例積分制御することにより算出すること、
を特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記中性点電位制御部は、前記第1及び第2のコンデンサの電圧差に含まれる高周波数成分を除去するローパスフィルタを有すること、
を特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記中性点電位制御部は、前記第1及び第2のコンデンサの電圧差に含まれる高周波数成分を除去する移動平均フィルタを有すること、
を特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記移動平均フィルタの移動平均周期を、出力交流電圧周期の前記レグ数倍以上とすること、
を特徴とする請求項6に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記レグは、
多直列接続された第1乃至第4のスイッチと、
前記チョッパセルが1つ又は2つ以上直列接続された一対のチョッパセル群回路と、
を有し、
前記第1乃至第4のスイッチは、この順で前記直流電源と接続される直流正端子から直流負端子の間に設けられ、前記第2のスイッチ及び前記第3のスイッチの間で中性点と接続され、
前記一対のチョッパセル群回路は、前記第2及び第3のスイッチと並列に接続されていること、
を特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、直流と交流との間で相互に電力を変換する電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、風力発電や太陽光発電、太陽熱発電などの再生可能エネルギーの普及が促進されているが、より大電力を再生可能エネルギーで賄うために、洋上風力発電や、砂漠地帯での太陽光、太陽熱発電が検討され始めている。洋上風力発電においては、発電された電力を消費地である都市まで海底ケーブルで大電力送電したり、アフリカや中国奥部の砂漠地帯から、ヨーロッパや沿岸地帯の大都市まで大電力を長距離にわたって高効率に送電したりすることが必要になる。このような要求には、従来の三相交流による電力送電よりも、直流送電のほうが高効率で、コストを抑えながら設置することが可能になるため、直流送電網の構築が検討され始めている。
【0003】
直流送電においては、発電された交流電力を直流送電用の直流に変換するコンバータや、送電されてきた直流を都市内の交流に変換するインバータなどの電力変換装置が必要になる。交流系統にコンバータ、インバータのスイッチングに伴う高調波が流出しないように、正弦波に近い電圧波形を出力することができ、出力フィルタを削減できるMMC(モジュラーマルチレベルコンバータ)が実用化されている。
【0004】
従来の直流送電用途に使用されるMMCの一例を図10に示す。図10(a)に示すように、MMC101は、直流電源120とそれぞれ並列に接続された交流電圧を生成するU相、V相及びW相レグ103を備える。各レグ103は、生成した交流電圧を所望の交流電圧に変換する三相トランス121と接続され、この三相トランス121が電力系統122と接続されている。
【0005】
各相のレグ103の構成は何れも同様であるため、U相レグ103について説明すると、U相レグ103は、入力直流電圧から交流電圧を生成するための手段であり、直列接続された12個のチョッパセルCを有している。すなわち、U相レグ103は、チョッパセルCが6つ直列接続されてなる正側の上アーム104aと、チョッパセルCが6つ直列接続されてなる負側の下アーム104bとからなる。
【0006】
上アーム104a及び下アーム104bの間には、三相トランス121と接続される交流出力端子139が設けられ、上アーム104a及び端子139の間にリアクトルlb_upが配置され、下アーム104b及び端子139の間にリアクトルlb_unが配置されている。チョッパセルCは、図10(b)に示すように、自己消弧能力を備える2つのスイッチsw_ch1,sw_ch2が直列接続されてなるレグ105と、レグ105に並列接続されたコンデンサc_chとから構成される。チョッパセルCは、コンデンサc_chを直流電圧源として、スイッチsw_ch1がオン時にコンデンサc_chの電圧v_chを出力し、スイッチsw_ch2がオン時にチョッパセルCの両端子が同電位となる。チョッパセルCが多直列接続されたU相レグ103は、各チョッパセルCへのスイッチングのタイミングをずらすことにより、多段の階段状の交流電圧波形を生成する。
【0007】
このMMC101の動作についてU相レグ103を例に説明すると、直流電源120の入力直流電圧v_dcから正側チョッパセルch_up1〜6の合計電圧v_upを減算し、基準電位から負側チョッパセルch_un1〜6の合計電圧v_unを加算することによって交流電圧が得られ、さらに三相トランス121で所望の交流電圧に変換される。
【0008】
また、リアクトルlb_up及びlb_unによって、入力直流電圧v_dcとチョッパセル出力電圧v_up+v_unの短絡による電流の増大が抑制される。V相レグ103及びW相レグ103についても同様である。
【0009】
以上説明した動作により、三相交流電圧を生成し、三相トランス121によって所望の交流電圧に変換し、電力系統122に三相交流電圧を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特表2010−512134号公報
【特許文献2】特開2013−198389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
MMCは、チョッパセルのコンデンサに出力交流周波数と同等の電力脈動が原理的に生じる。このコンデンサ電圧の変動を一定の値に抑制するためには、コンデンサの容量を大きくする必要があり、装置自体が大きくなってしまっていた。例えば、直流電圧が数十kV〜数百kVに及ぶ直流送電の場合、チョッパセルの数が多くなり、それに比例してコンデンサ体積が大きくなり、電力変換装置の体積が大きくなってしまう。
【0012】
そこで、IGBT等の自励式スイッチング素子とこれに逆接続したダイオードからなるスイッチ(バルブ)と、チョッパセルとを組み合わせた中性点クランプ形モジュラー・マルチレベル・コンバータ(以下、NPC−MMCという。)が検討され始めている。このNPC−MMCは、直流電源の入力直流電圧を例えば2つのコンデンサで半分に分割し、コンデンサ間に中性点電位を形成する。すなわち、入力直流電圧に対し、直列接続した2つのコンデンサを並列に接続する。NPC−MMCは、各チョッパセルの動作タイミングをずらすことで階段状のマルチレベル電圧波形を出力でき、出力交流電圧をほぼ正弦波にできるというMMCの利点を受け継ぎつつ、チョッパセル数が減少できるので、電力変換装置の設置スペースを低減できる可能性がある。
【0013】
ところが、中性点電位はコンデンサやスイッチング素子の漏れ電流、放電電流の不平衡により変動してしまう。そのため、例えば、正側のコンデンサと負側のコンデンサの放電電圧のバランスが崩れて、スイッチング素子に耐電圧を超えた電圧が印加され、スイッチング素子が故障し、その結果電力変換装置自体の故障に繋がる虞があった。
【0014】
本発明の実施形態に係る電力変換装置は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、中性点電位を一定に保つことのできる電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するために、本実施形態の電力変換装置は、交流と直流の間で電力を変換する電力変換装置であって、直流電源と、前記直流電源と並列に接続され、前記直流電源の入力直流電圧を分割して中性点電位を作るため、前記直流電源の正端子と直流中性点との間に接続された第1のコンデンサと、前記直流中性点と前記直流電源の負端子との間に前記第1のコンデンサと直列に接続された第2のコンデンサと、前記直流電源の正端子と前記直流中性点との間に直列に接続された第1および第2のスイッチと、前記直流中性点と前記直流電源の負端子との間に直列に接続された第3および第4のスイッチと、直流を交流に変換するためのチョッパセルとからなり、前記直流電源と並列に各々接続され複数のレグと、各相のレグの前記チョッパセル出力電圧をバランスさせるために各相のレグ内に流す循環電流を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、中性点電位を一定に制御するため、各相の正側直流端子から前記第1のスイッチおよび前記チョッパセルを介して前記第3のスイッチから前記直流中性点に至る直流循環電流もしくは各相の直流中性点から前記第2のスイッチおよび前記チョッパセルを介して前記第4のスイッチから負側直流端子に至る直流循環電流に、前記第1のコンデンサの電圧と前記第2のコンデンサの電圧の差から求められる中性点電流を重畳する中性点電位制御部を有し、前記中性点電位制御部は、前記第1及び第2のコンデンサの少なくとも何れかに前記中性点電流を重畳した前記直流循環電流を流させること、を特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】(a)は第1の実施形態に係る電力変換装置の回路図であり、(b)はチョッパセルの回路図である。
図2】第1の実施形態に係る電力変換装置の制御部の内部構成ブロック図である。
図3】中性点電位制御部の制御構成を示す模式図である。
図4】1周期内の各相に重畳させる中性点電流を示す表である。
図5】アーム間コンデンサ電圧制御部の制御構成を示す模式図である。
図6】チョッパセル群出力電圧指令値の生成方法を示す模式図である。
図7】チョッパセル群出力電圧指令値生成部の制御構成を示す模式図である。
図8】個別コンデンサ電圧制御部の制御構成を示す模式図である。
図9】チョッパセルの電圧出力方法を説明するための図である。
図10】(a)は従来のMMCを説明するための図であり、(b)はチョッパセルの回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[1.第1の実施形態]
[1−1.概略構成]
以下では、図1図9を参照しつつ、本実施形態の電力変換装置について説明する。図1は、本実施形態の電力変換装置の回路図であり、図2は、本実施形態の電力変換装置の制御部の内部構成ブロック図である。
【0018】
図1(a)に示すように、本実施形態の電力変換装置1は、直流電源20と接続され、入力直流電圧v_dcを三相の交流電圧v_acに変換し、三相トランス21を介して電力系統22に交流電力を出力するものである。
【0019】
本電力変換装置1は、直流電源20と並列に接続され、その入力直流電圧v_dcを分割して中性点電位を作るための互いに直列接続されたコンデンサ2a,2bと、直流電源20と並列に各々接続され、直流電源20の直流を交流に変換するための単位変換器となるチョッパセルCを含むU相、V相及びW相のレグ3と、各レグ3のチョッパセルCの出力電圧をバランスさせるために各相のレグ3内に流す循環電流を制御する制御部5と、を備える。
【0020】
なお、U相、V相、W相の電力変換装置の構成は同じであるので、適宜代表してU相について説明する。また、以下に示す電流、電圧は、不図示の電流検出器及び電圧検出器によって検出され、その検出値が制御部5に入力可能に構成されていることを前提とする。
【0021】
本電力変換装置1は、例えば、U相交流電圧が正、V相交流電圧及びW相交流電圧が負である場合、U相レグ3においては、スイッチ31,33をオンにして、直流正端子−スイッチ31−チョッパセル群回路35−チョッパセル群回路36−スイッチ33−直流中性点Nの経路を形成し、コンデンサ2aからチョッパセル群回路35,36のチョッパセルCの電圧を一定にするU相循環電流が供給される。V相レグ3及びW相レグ3においては、スイッチ32,34をオンにして、直流中性点N−スイッチ32−チョッパセル群回路35−チョッパセル群回路36−スイッチ34−直流負端子の経路を形成し、コンデンサ2bからチョッパセル群回路35,36のチョッパセルCの電圧を一定にするV相循環電流及びW相循環電流が供給される。
【0022】
本実施形態では、制御部5により、コンデンサ2a,2bを制御して、各相の循環電流に中性点電位を一定にする中性点電流を重畳させることにより、直流中性点Nの電位を一定に制御する。例えば、コンデンサ2aの電圧がコンデンサ2bの電圧よりも大きい場合、バランスを取るために、高電圧なコンデンサ2aの余分な電力を放電させるために中性点電流iを重畳させてU相レグ3内に流す。一方、V相レグ3及びW相レグ3内に−(1/2)iを重畳させて、余分な分の中性点電流iが低電圧なコンデンサ2bに充電されるようにする。このようにして、コンデンサ2a,2bのバランスを図り、中性点電位を一定に制御する。
【0023】
[1−2.詳細構成]
[コンデンサ]
コンデンサ2a,2bは、直流コンデンサであり、互いに直列接続されて、直流電源20の正端子及び負端子間に並列に配置されている。両コンデンサ2a,2b間には直流中性点Nが形成されている。本実施形態における基準電位は、入力直流電圧v_dcをコンデンサ2a,2bで分割して作られる直流中性点Nの電位とし、中性点電位は、入力直流電圧v_dcの概1/2である。直流中性点Nを基準としてコンデンサ2aを正側コンデンサ2a、コンデンサ2bを負側コンデンサ2bと呼ぶ場合がある。なお、コンデンサ2a,2bは、後述のチョッパセルCのコンデンサより容量が小さい。
【0024】
[レグ]
各相のレグ3は、直流電源20とそれぞれ並列に接続されている。何れのレグ3も同様の構成であるので、U相レグ3の構成を例に説明する。U相レグ3は、スイッチ31〜34と、直流を交流に変換するためのチョッパセルCを備えたチョッパセル群回路35,36と、リアクトル37,38とを有している。
【0025】
(スイッチ)
スイッチ31〜34は、オン時には電流を一方向に流すIGBTやMOSFET等の自己消弧能力を有するスイッチング素子と、このスイッチング素子に逆並列に接続された帰還ダイオードとで構成される逆導通スイッチである。スイッチ31〜34は、直流電源20の入力直流電圧v_dcにより耐電圧が決定される。入力直流電圧v_dcに対して、v_dc/2の電圧にスイッチング時のサージ電圧の重畳を考慮し、使用する素子を決定する。直流電圧が数十kV以上に及ぶと、1素子で耐電圧を持たせることは困難になり、複数の素子を直列にする必要がある。本実施形態では1つのスイッチに対し1素子を含むが、1つのスイッチに複数の素子を直列にする場合もスイッチ31〜34と称する。
【0026】
スイッチ31〜34は、直流正端子及び直流負端子間にこの順に直列接続されている。直流正端子にはスイッチ31のコレクタ(C)が接続され、直流負端子にはスイッチ34のエミッタ(E)が接続されている。スイッチ32のエミッタ(E)及びスイッチ33のコレクタ(C)がコンデンサ2a,2bにより分割される直流中性点Nに接続されている。スイッチ31〜34のオンオフによって、直流循環電流の経路を形成する。
【0027】
(チョッパセル群回路)
チョッパセル群回路35,36は、N個(N≧1)のチョッパセルCを直列接続して構成されており、チョッパセルCを単位変換器として直流電圧を階段状の交流電圧に変換する。チョッパセルCは、図1(b)に示すように、スイッチsw_ch1,sw_ch2を直列接続したレグと、直流コンデンサc_chとを並列接続してなる。スイッチsw_ch1,sw_ch2の構成は、前述のスイッチ31〜34の構成と同様である。チョッパセルCは、スイッチsw_ch1がオン時に直流コンデンサc_chの電圧v_chを出力し、スイッチsw_ch2がオン時にゼロ電圧となる。チョッパセル群回路35,36のチョッパセルC数は、入力直流電圧v_dcと、チョッパセルコンデンサ電圧v_chによって決定され、概ね(v_dc/2)/v_chである。本実施形態では、チョッパセルC数を3としている。
【0028】
チョッパセル群回路35は、その正端子がスイッチ32のコレクタ(C)と接続され、チョッパセル群回路36は、その負端子がスイッチ33のエミッタ(E)と接続されている。また、チョッパセル群回路35の負端子がリアクトル37を介して出力交流電圧端子と接続され、チョッパセル群回路36の正端子がリアクトル38を介して出力交流電圧端子と接続されている。
【0029】
なお、チョッパセル群回路35は、直流側から見て正側に接続された正側のアームであり、上アームと呼ぶ場合がある。また、チョッパセル群回路36は、直流側から見て負側に接続された負側のアームであり、下アームと呼ぶ場合がある。
【0030】
(リアクトル)
本電力変換装置1を動作させると、出力交流電圧v_ac_uが正のとき、スイッチ31,33をオンにし、チョッパセル群回路35の出力電圧v_upとチョッパセル群回路36の出力電圧v_unの合計電圧v_up+v_unと、コンデンサ2aの電圧v_dc_pとがスイッチ31,33を通して短絡される。また、出力交流電圧v_ac_uが負のとき、スイッチ32,34をオンにし、合計電圧v_up+v_unと、コンデンサ2bの電圧v_dc_nとがスイッチ32,34を通して短絡される。
【0031】
このとき、電流増大を抑制するために、チョッパセル群回路35と出力交流電圧端子39との間にリアクトル37が挿入され、チョッパセル群回路36と出力交流電圧端子39との間にリアクトル38が挿入されている。
【0032】
[制御部]
制御部5は、各チョッパセルCの出力電圧を一定にするために各相のレグ3内に流す循環電流を制御する。そのため、各相レグ3のスイッチ31〜34及びチョッパセルCのスイッチsw_ch1,sw_ch2に対してオン又はオフにする指令を出力する。制御部5は、図2に示すように、CPU等を搭載したコンピュータのソフトフェア処理等によって実現される各相出力電圧制御部51、各相コンデンサ電圧制御部52、中性点電位制御部53、アーム間コンデンサ電圧制御部54、循環電流ACR部55、チョッパセル群出力電圧指令値生成部56、及び個別コンデンサ電圧制御部57を備えている。
【0033】
(制御動作)
以下では、各部51〜57の制御動作と制御構成を合わせて説明する。
【0034】
各相出力電圧制御部51は、各相の出力交流電流i_u,i_v,i_wから各相の電圧指令値v_u*,v_v*,v_w*を算出する。すなわち、各相出力電圧制御部51は、3相/DQ変換部511、ACR部512、及びDQ/3相変換部513を有しており、U相を例に説明すると、各相出力電圧制御部51には、検出されたU相上アーム電流i_up及びU相下アーム電流i_unが入力され、i_up−i_un=U相電流i_uを算出する。同様にi_v,i_wを算出する。次いで3相/DQ変換部511は、算出されたi_u,i_v,i_wを3相/DQ変換し、D軸電流i_d及びQ軸電流i_qを算出し、ACR部512に出力する。
【0035】
ACR部512は、D軸電流i_d及びQ軸電流i_qと、D軸電流指令値i_d*及びQ軸電流指令値i_q*の入力を受け、D軸電流i_d及びQ軸電流i_qが、D軸電流指令値i_d*及びQ軸電流指令値i_q*に追従するようにPI制御を行い、D軸電圧指令値v_d*及びQ軸電圧指令値v_q*を算出し、DQ/3相変換部513に出力する。そして、DQ/3相変換部513は、入力されたD軸電圧指令値v_d*及びQ軸電圧指令値v_q*をDQ/3相変換し、各相の電圧指令値v_u*,v_v*,v_w*を算出する。
【0036】
各相コンデンサ電圧制御部52は、各相のチョッパセル群回路35,36電圧の平均値を一定にするために制御を行う。そのために、U相を例に説明すると、出力交流電圧v_ac_uが直流中性点電圧より大きいときは、スイッチ31,33をオンにし、直流正端子−スイッチ31−チョッパセル群回路35−チョッパセル群回路36−スイッチ33−直流中性点Nの経路で直流循環電流を流す。一方、出力交流電圧v_ac_uが直流中性点電圧より小さいときは、スイッチ32,34をオンにし、直流中性点N−スイッチ32−チョッパセル群回路35−チョッパセル群回路36−スイッチ34−直流負端子の経路で直流循環電流を流す。
【0037】
このような制御動作を実現するために、各相コンデンサ電圧制御部52は、U相レグ3のチョッパセル群回路35,36の電圧v_up,v_unの平均値v_ch_u(=(v_up+v_un)/2)を計算し、所望の指令値に追従するようにPI制御を行い、循環電流指令値i_c_u0*を計算する。V相、W相についても同様な制御を行い、各相コンデンサ電圧制御部52は、得られた各相の循環電流指令値i_c_u0*,i_c_v0*,i_c_w0*を中性点電位制御部53に出力する。
【0038】
中性点電位制御部53は、直流中性点Nの中性点電位を一定に制御する。一般に、コンデンサやスイッチング素子には個体毎にバラツキがあるため、実際には正側コンデンサ2aと負側コンデンサ2bの充放電電流は異なり、中性点電圧は入力直流電圧v_dcのちょうど1/2には保たれない。そこで、本実施形態では、中性点電位に意図的に電流i_npを流し込むことにより、中性点電圧を一定に保つ。これを実現するために、本実施形態では、中性点電流指令値i_np*を、各相の直流循環電流に重畳させる。
【0039】
より詳細には、中性点電位制御部53は、図3に示すように、中性点電流指令値算出部531と、中性点電流重畳部532とを備える。中性点電流指令値算出部531は、コンデンサ2aの電圧v_dc_pとコンデンサ2bの電圧v_dc_nの入力を受け、これらの差電圧を算出し、1/2をかける。さらに、移動平均フィルタを通過させ、差電圧がゼロに追従するようにPI制御を行い、中性点電流指令値i_np*を算出する。
【0040】
差電圧に1/2をかけるのは、例えばコンデンサ2aの電圧v_dc_pが上昇した場合、その分コンデンサ2bの電圧v_dc_nが低下するので、上昇した分を正確に得るためである。
【0041】
移動平均フィルタを有するのは、制御への影響を排除するためである。すなわち、三相NPC−MMCは正側コンデンサ2a及び負側コンデンサ2bが供給する電流が交流電圧周波数の3倍の周波数で変動することに起因して、中性点電位が交流電圧周波数の3倍で変動する。このような高調波成分がコンデンサ2a,2bの電圧差に含まれており、ハンチング等の制御への影響をなくすために移動平均を取っている。
【0042】
移動平均の周期は出力交流電圧周期のレグ数倍以上(ここでは3倍)とすることで、制御への影響をさらに排除することができる。また、移動平均フィルタの代わりにローパスフィルタにより高調波成分を除去するようにしても良い。さらに、これらのフィルタを設けなくても、PI制御の際のゲインを高くしてPI制御応答速度を速くすることで、正側コンデンサ2a,負側コンデンサ2bの3倍周波数変動を抑制することができる。ゲインを高くするとは、例えば、少なくとも何れかのフィルタを挿入する場合のPI制御で用いるゲインよりも大きくすることをいう。
【0043】
中性点電流重畳部532は、中性点電流指令値算出部531で得た中性点電流指令値i_np*を、各相の循環電流指令値に重畳する。その方法をU相交流電圧の位相θ=π/3〜2π/3のときを例に説明する。このとき、U相交流電圧は正、V、W相交流電圧は負である。よって、U相循環電流は正側コンデンサ2aから供給され、V、W相循環電流は負側コンデンサ2bから供給される。
【0044】
中性点電流指令値i_np*をコンデンサ2a,2bが供給する循環電流に反映させるには、U相循環電流指令値i_c_u0*にi_np*を加算し、V、W相循環電流指令値i_c_v0*、i_c_w0*にはi_np*/2を分配して減算する。これにより、中性点電位を一定にするための各相の循環電流指令値i_c_u1*,i_c_v1*,i_c_w1*を算出する。
【0045】
U相交流電圧の位相θ=π/3〜2π/3以外の中性点電流指令値i_np*の重畳方法は同様であり、その重畳量は図4に示した通りである。すなわち、三相のうち、二相が正、一相が負の場合、正の二相においてはi_np*/2ずつ加算し、負の一相においては−i_np*を加算する。一相が正、二相が負の場合、正の一相においてi_np*を加算し、負の二相において−i_np*/2ずつ加算する。なお、三相の中性点電流指令値を合計するとゼロとなる。
【0046】
なお、二相構成の電力変換装置の場合も、同様の制御方法で中性点電圧を一定にできる。
【0047】
中性点電位制御部53は、得られた中性点電位を一定にするための各相の循環電流指令値i_c_u1*,i_c_v1*,i_c_w1*をアーム間コンデンサ電圧制御部54に出力する。
【0048】
アーム間コンデンサ電圧制御部54は、チョッパセル群回路35のコンデンサ電圧平均値v_ch_up及びチョッパセル群回路36のコンデンサ電圧平均値v_ch_unを同一にする。これを実現するため、出力交流電圧が直流中性点電圧より大きいときは、直流正端子−スイッチ31−チョッパセル群回路35−チョッパセル群回路36−スイッチ33−直流中性点Nの経路に、出力交流電圧と同一周波数の交流循環電流を流す。出力交流電圧が直流中性点電圧より小さいときは、直流中性点N−スイッチ32−チョッパセル群回路35−チョッパセル群回路36−スイッチ34−直流負端子の経路に、出力交流電圧と同一周波数の交流循環電流を流す。
【0049】
すなわち、図5に示すように、上アーム35のコンデンサ電圧平均値v_ch_up及び下アーム36のコンデンサ電圧平均値v_ch_unの入力を受け、v_ch_upからv_ch_unを減算して比例積分制御した値を正弦関数に代入した値を交流循環電流指令値i_c_ac*とする。これと中性点電位を一定にするためのU相の循環電流指令値i_c_u1*とを加算することで、U相循環電流指令値i_c_u*を算出する。従って、U相循環電流指令値i_c_u*は、直流循環電流に交流循環電流を足し合わせたものとなる。アーム間コンデンサ電圧制御部54は、同様にV相、W相についても循環電流指令値を算出し、算出した各相循環電流指令値i_c_u*,i_c_v*,i_c_w*を循環電流ACR部55に出力する。
【0050】
循環電流ACR部55は、入力されたU相循環電流指令値i_c_u*にU相循環電流i_c_uが追従するように比例積分制御を行い、U相循環電圧指令値v_c_u*を生成する。循環電流ACR55は、同様にV相、W相についても生成し、各相の循環電圧指令値v_c_u*,v_c_v*,v_c_w*をチョッパセル群出力電圧指令値生成部56に出力する。
【0051】
次いで、チョッパセル群出力電圧指令値生成部56は、各チョッパセル群回路35,36が出力する電圧指令値を生成する。U相を例に図6で説明すると、図6のタイミングt1のように、交流電圧指令値v_u*が直流中性点電圧v_dc_nより大きいときは、スイッチ31,33をオンにし、スイッチ32,34をオフにする。チョッパセル群回路35が入力直流電圧v_dcと出力交流電圧v_ac_uの差電圧を出力し、チョッパセル群回路36が出力交流電圧v_ac_uと直流中性点電圧v_dc_nの差電圧を出力する。図6のタイミングt2のように、交流電圧指令値v_u*が直流中性点電圧v_dc_nより小さいときは、スイッチ32,34をオンにし、スイッチ31,33をオフにする。チョッパセル群回路35が直流中性点電圧v_dc_nと出力交流電圧v_ac_uの差電圧を出力し、チョッパセル群回路36が出力交流電圧v_ac_uと直流負電圧の差電圧を出力する。
【0052】
これらの差電圧は、図7に示すチョッパセル群出力電圧指令値生成部56によって実現される。U相上アーム電圧指令値v_up*は、交流電圧指令値v_u*が直流中性点電圧v_dc_n以上のときは、v_up*=v_dc−v_u*−v_c_u*とし、交流電圧指令値v_u*が直流中性点電圧v_dc_nより小さいときは、v_up*=v_dc_n−v_u*−v_c_u*で演算される。U相下アーム電圧指令値v_un*は、交流電圧指令値v_u*が直流中性点電圧v_dc_n以上のときは、v_un*=v_u*−v_dc_n−v_c_u*とし、交流電圧指令値v_u*が直流中性点電圧v_dc_nより小さいときは、v_un*=v_u*−v_c_u*で演算される。
【0053】
個別コンデンサ電圧制御部57は、チョッパセル群回路35,36の各チョッパセルCの出力電圧を同一になるように調整する。すなわち、U相上アーム電流i_upが正のときコンデンサは充電されるので、コンデンサ電圧が小さいチョッパセルCの出力電圧を大きくし、コンデンサ電圧が大きいチョッパセルCの出力電圧は小さくする。U相上アーム電流i_upが負のときコンデンサは放電されるので、コンデンサ電圧が小さいチョッパセルCの出力電圧を小さくし、コンデンサ電圧が大きいチョッパセルCの出力電圧は大きくする。
【0054】
このような制御動作を実現するために、個別コンデンサ電圧制御部57は、U相のチョッパセル群回路35を例に説明すると、図8に示すように、コンデンサ電圧v_ch_up1からチョッパセル群回路35のコンデンサ電圧平均値v_ch_upを減算し、これに比例ゲインを乗算した値に、U相アーム電流i_upの符号を反転させた値−sign(i_up)を乗算し、U相アーム電圧指令値v_up*を加算し、各チョッパセルの電圧指令値v_up1*,v_up2*,v_up3*を算出する。
【0055】
次に、チョッパセルCの電圧出力方法を説明する。この方法は全チョッパセルCで同じであるため、チョッパセルch_up1を例に、図9を用いて説明する。なお、チョッパセルch_up1を構成する2個のスイッチをsw_ch_up11,sw_ch_up12とする。
【0056】
チョッパセルch_up1の出力電圧指令値v_up1*を出力するため、キャリア三角波car_up1と比較し、出力電圧指令値v_up1*がキャリア三角波car_up1より大きいときは、スイッチsw_ch_up11をオンにし、sw_ch_up12をオフにする。出力電圧指令値v_up1*がキャリア三角波car_up1より小さいときは、スイッチsw_ch_up11をオフにし、sw_ch_up12をオンにする。
【0057】
チョッパセル群回路35がN個のチョッパセルCで構成される場合、キャリア三角波の位相を360°/Nずつずらすことにより、等価キャリア周波数をキャリア三角波周波数のN倍に大きくでき、各スイッチのオンオフをより細かく行う。従って、出力交流電圧の高調波電圧を低減し出力交流電圧を滑らかにすることができる。また、チョッパセル群回路36に用いるキャリア三角波位相を、チョッパセル群回路35に対して180°ずらすことにより、更に出力交流電圧の高調波電圧を低減することができる。
【0058】
[1−3.作用・効果]
(1)本実施形態の電力変換装置1は、交流と直流の間で電力を変換する電力変換装置であって、直流電源20と並列に接続され、直流電源20の入力直流電圧を分割して中性点電位を作るための直列接続されたコンデンサ2a,2bと、直流電源20と並列に各々接続され、直流を交流に変換するためのチョッパセルCを含む複数のレグ3と、各相のレグ3のチョッパセル出力電圧をバランスさせるために各相のレグ3内に流す循環電流を制御する制御部5と、を備え、制御部5は、各相の直流端子間に流す直流循環電流に、中性点電位を一定に制御するための中性点電流を重畳する中性点電位制御部53を有し、中性点電位制御部53は、コンデンサ2a,2bの少なくとも何れかに中性点電流を重畳した循環電流を流させるようにした。
【0059】
これにより、中性点電位を一定に保つことのできる中性点クランプ形の電力変換装置を得ることができる。また、中性点電位を一定に保つためには零相電圧を印加する方法も考えられるが、この場合、出力交流電圧の周波数に制御応答速度が依存し、結果的に中性点電位変動が大きくなり、直流コンデンサ容量を大きくなる虞がある。これに対し、本実施形態によれば、中性点電流を一周期のうちいつでも流すことができるので、出力交流電圧の周波数に依存しない制御応答速度を実現できる。
【0060】
また、レグ3は、多直列接続されたスイッチ31〜34と、チョッパセルCが1つ又は2つ以上直列接続された一対のチョッパセル群回路35,36と、を有し、スイッチ31〜34は、この順で直流電源20と接続される直流正端子から直流負端子の間に設け、スイッチ32及びスイッチ33の間で直流中性点Nと接続され、一対のチョッパセル群回路35,36は、スイッチ32,33と並列に接続するようにした。これにより、従来のMMCと比較してチョッパセル数を半数に減らすことができ、電力変換装置サイズを小さくすることができる。加えて、直流コンデンサ容量はチョッパセルのコンデンサ容量より小さく、電力変換装置サイズを小さくできる。また、チョッパセル数低減によりスイッチング損失が低減して変換効率を向上させることができる。
【0061】
(2)中性点電位制御部53は、コンデンサ2a,2bのうち、高電圧なコンデンサから放電させた電力を低電圧なコンデンサに充電させるようにした。これにより、中性点電位を一定に制御しやすくできる。例えば、正側コンデンサ2aが高電圧で、負側コンデンサ2bが低電圧の場合、正側コンデンサ2aの放電電流が、他の二相のレグ3を介して負側コンデンサ2bに充電され、コンデンサ2a,2bのバランスを取るため、双方のコンデンサ2a,2bを制御した方が中性点電位を一定に保たせやすくなる。
【0062】
(3)中性点電位制御部53は、中性点電流を各相のレグ3に分配して重畳するようにした。これにより、重畳される中性点電流が各相のレグ3に分散されるので、スイッチ31〜34に流れる電流増大に伴う熱的負担等の負担を低減することができる。分配して重畳させない方法としては、例えば、U相レグ3にのみ中性点電流を流し、正側コンデンサ2aを放電させてチョッパセル群回路35のコンデンサに充電させ、V相、W相レグ3には流さないように制御することも可能であるが、この場合、U相にのみ中性点電流を重畳させるので、U相レグ3のスイッチ31〜34に熱的な負担が増大する。これに対し、本実施形態の方法によれば、その負担を各相レグ3に分散することができる。
【0063】
(4)中性点電位制御部53は、中性点電流の指令値i_np*を、コンデンサ2a,2bの電圧差を比例積分制御することにより算出するようにした。これにより、コンデンサ2a,2bの電圧が同じになり、中性点電位を一定に制御することができる。
【0064】
(5)中性点電位制御部53は、コンデンサ2a,2bの電圧差に含まれる高周波数成分を除去するローパスフィルタを有するようにした。これにより、安定した中性点電流指令値を生成することができるので、高周波成分を有することによる制御への影響を排除することができる。
【0065】
(6)中性点電位制御部53は、コンデンサ2a,2bの電圧差に含まれる高周波数成分を除去する移動平均フィルタを有するようにした。これにより、安定した中性点電流指令値を生成することができるので、高周波成分を有することによる制御への影響を排除することができる。
【0066】
(7)移動平均フィルタの移動平均周期を、出力交流電圧周期のレグ数倍以上とした。これにより、中性点電流指令値を算出するためのコンデンサ2a,2bの電圧差から、出力交流電圧周期のレグ数倍の高調波成分を除去することができるので、効率的に制御への影響を排除することができる。
【0067】
[2.その他の実施形態]
本明細書においては、本発明に係る複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであって、発明の範囲を限定することを意図していない。以上のような実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の範囲を逸脱しない範囲で、種々の省略や置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0068】
例えば、第1の実施形態では、2つのコンデンサ2a,2bにより中性点電位を形成したが、正側で多直列接続したコンデンサと、負側で多直列接続したコンデンサとで中性点電位を形成するようにしても良い。これにより、耐電圧を大きくすることができる。また、コンデンサ2a,2bのそれぞれに対し、2個のコンデンサを並列接続してコンデンサ容量を大きくするようにしても良い。
【0069】
更に、第1の実施形態では、直列接続された2つのコンデンサ2a,2bに対し、3相のレグ3をそれぞれ並列接続したが、各相のレグ3に対し、直列接続された2つのコンデンサ2a,2bをそれぞれ直近に並列接続するようにしても良い。これにより、スイッチ31〜34をオフにするときに、各相のレグ間に寄生のインダクタンスが残ることによるサージ電圧の印加を防止することができる。
【符号の説明】
【0070】
1 電力変換装置
2a,2b コンデンサ
20 直流電源
21 三相トランスtr
22 電力系統V_S
3 レグ
31〜34 スイッチ
35 チョッパセル群回路(上アーム)
36 チョッパセル群回路(下アーム)
37,38 リアクトル
39 出力交流電圧端子
5 制御部
51 各相出力電圧制御部
511 3相/DQ変換部
512 ACR部
513 DQ/3相変換部
52 各相コンデンサ電圧制御部
53 中性点電位制御部
531 中性点電流指令値算出部
532 中性点電流重畳部
54 アーム間コンデンサ電圧制御部
55 循環電流ACR部
56 チョッパセル群出力電圧指令値生成部
57 個別コンデンサ電圧制御部
C チョッパセル
N 直流中性点
sw_ch1,sw_ch2 チョッパセルのスイッチ
101 MMC
103 レグ
104a 上アーム
104b 下アーム
105 レグ
120 直流電源
121 三相トランス
122 電力系統
139 交流出力端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10