特許第6253623号(P6253623)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6253623
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】燃料遮断弁
(51)【国際特許分類】
   F02M 37/00 20060101AFI20171218BHJP
【FI】
   F02M37/00 311K
   F02M37/00 301G
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-180512(P2015-180512)
(22)【出願日】2015年9月14日
(65)【公開番号】特開2017-57724(P2017-57724A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2016年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】荻原 直貴
(72)【発明者】
【氏名】坂口 有亮
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 洋暁
【審査官】 中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】 実開平04−036182(JP,U)
【文献】 実開昭63−121760(JP,U)
【文献】 特開平02−221669(JP,A)
【文献】 実開平03−002978(JP,U)
【文献】 実開平04−105959(JP,U)
【文献】 特開2001−206083(JP,A)
【文献】 特開2002−048258(JP,A)
【文献】 特開2010−001916(JP,A)
【文献】 特開2015−075120(JP,A)
【文献】 特開昭48−010658(JP,A)
【文献】 実開昭50−061355(JP,U)
【文献】 実開昭56−054356(JP,U)
【文献】 特開昭64−053074(JP,A)
【文献】 実開平03−011184(JP,U)
【文献】 特開平08−210548(JP,A)
【文献】 特開平09−032724(JP,A)
【文献】 特開平11−030157(JP,A)
【文献】 特開2001−336664(JP,A)
【文献】 特開2002−004958(JP,A)
【文献】 特許第5709573(JP,B2)
【文献】 特開2015−083873(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/106310(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 37/00−37/22
F16K 15/00−15/20
F16K 31/06−31/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクの上部に装着され、前記燃料タンク内と外部とを連通させる連通路を開閉することで前記燃料タンクと前記外部との連通を遮断する燃料遮断弁であって、
筒状の弁室の内周に配置されたコイルと、可動コアとを有し、前記可動コアが下方に変位することにより、前記燃料タンクと前記外部とが連通可能になる第1の弁機構と、
前記可動コア内に配設された弁体が、前記燃料タンクの内部、又は、外部からの圧力によって変位することにより、前記燃料タンクと前記外部とが連通可能になる第2の弁機構と、
を備え
前記第2の弁機構は、前記弁体が、該弁体を付勢する2つの付勢部材のそれぞれの付勢力に逆らうことにより、内部又は外部からの連通を可能にしていることを特徴とする燃料遮断弁。
【請求項2】
請求項1記載の燃料遮断弁において、
前記第1の弁機構には、前記可動コアと前記コイルとの間に連通空間が形成され、
前記第2の弁機構には、前記可動コアに形成される孔部が連通空間となっていることを特徴とする燃料遮断弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンク内とキャニスタとの連通を遮断する燃料遮断弁に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、図8に示されるような蒸発燃料処理システム1が開示されている。この蒸発燃料処理システム1は、燃料タンク2の上部に配置されるフロート弁3a及びカット弁3bと、燃料タンク2とキャニスタ4とを連通させるベーパ通路5に配置される制御バルブ6及び高圧2ウェイバルブ7とを備えている。
【0003】
なお、図8中において、参照符号3cは、燃料タンク2内の燃料を図示しない内燃機関に送るポンプ、参照符号8は、燃料タンク2内の圧力(タンク内圧)を検出する圧力センサ、参照符号9a、9bは、燃料タンク2と図示しないフューエルリッドとの間に設けられるフィラーパイプ及びブリーザパイプをそれぞれ示している。
【0004】
フロート弁3aは、燃料タンク2内に貯留される燃料が満タンになったときにベーパ通路5への開口を閉塞して、燃料がベーパ通路5内へ進入することを防止する。また、制御バルブ6は、通常、ばね等の付勢手段によって付勢された弁体が弁座に着座する常閉型の電磁弁からなり、キャニスタ4側への蒸発燃料の流通を遮断する閉弁状態となっている。
【0005】
さらに、高圧2ウェイバルブ7は、例えば、ダイヤフラム式の正圧弁と負圧弁とが組み合わされて構成されている。正圧弁は、燃料タンク2内の圧力が所定圧となったときに開弁し、燃料タンク2内の高圧の蒸発燃料がキャニスタ4に送給される。負圧弁は、燃料タンク2内の圧力が所定圧未満の圧力となったときに開弁し、キャニスタ4に蓄えられていた蒸発燃料が燃料タンク2内に戻される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5709573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に開示された蒸発燃料処理システム1では、例えば、燃料の満タン状態を検知するフロート弁3aや、制御バルブ6、高圧2ウェイバルブ7等の複数のバルブが必要となり、部品点数が多くなって製造コストが高騰する。
【0008】
また、特許文献1に開示された蒸発燃料処理システム1では、複数のバルブ等によって構成されているために部品点数が多くなり、その組み付け工程が煩雑となる。
【0009】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、部品点数を削減して製造コストを低減すると共に、組み付け工程を簡素化することが可能な燃料遮断弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記の目的を達成するために、本発明は、燃料タンクの上部に装着され、前記燃料タンク内と外部とを連通させる連通路を開閉することで前記燃料タンクと前記外部との連通を遮断する燃料遮断弁であって、筒状の弁室の内周に配置されたコイルと、可動コアとを有し、前記可動コアが下方に変位することにより、前記燃料タンクと前記外部とが連通可能になる第1の弁機構と、前記可動コア内に配設された弁体が、前記燃料タンクの内部、又は、外部からの圧力によって変位することにより、前記燃料タンクと前記外部とが連通可能になる第2の弁機構と、を備え、前記第2の弁機構は、前記弁体が、該弁体を付勢する2つの付勢部材のそれぞれの付勢力に逆らうことにより、内部又は外部からの連通を可能にしていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、従来から用いられていたフロート弁を省略することができると共に、フロート弁が配置されていた燃料タンクの上部に、従来から用いられていた制御バルブ及び高圧2ウェイバルブを一体化した燃料遮断弁を配置することができる。この結果、本発明では、部品点数を削減して製造コストを低減すると共に、組み付け工程を簡素化することができる。さらに、従来、燃料タンクの外部でベーパ通路に配置されていた制御バルブ及び高圧2ウェイバルブを省略することで、配置スペースの効率化を達成することができる。
また、本発明によれば、第1の弁機構を構成する可動コアの中に、燃料タンク内の正圧又は負圧からなる蒸発燃料を逃がす第2の弁機構を収容することができる。
【0012】
また、本発明は、前記第1の弁機構に、前記可動コアと前記コイルとの間に連通空間が形成され、前記第2の弁機構には、前記可動コアに形成される孔部が連通空間となっていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、第1の弁機構の弁室内に、従来の高圧2ウェイバルブとして機能する第2の弁機構を配置することで、高圧2ウェイバルブと弁室とを共通化することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明では、部品点数を削減して製造コストを低減すると共に、組み付け工程を簡素化することが可能な燃料遮断弁を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る燃料遮断弁が組み込まれた蒸発燃料処理システムの概略構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る燃料遮断弁の斜視図である。
図3】(a)は、図2に示す燃料遮断弁の軸方向に沿った断面図、(b)は、(a)に示すB部の一部断面拡大斜視図である。
図4図3のA−A線に沿った断面図である。
図5】給油時の蒸発燃料の流れを示す動作説明図である。
図6】(a)は、駐車時の蒸発燃料(正圧)の流れを示す動作説明図、(b)は、蒸発燃料(正圧)の加圧力によってバルブガイドが上昇して第2シール部材の係合部と係合した状態を示す部分拡大断面図である。
図7】駐車時の蒸発燃料(負圧)の流れを示す動作説明図である。
図8】本出願人が案出した従来技術に係る蒸発燃料処理システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る燃料遮断弁が組み込まれた蒸発燃料処理システムの概略構成図、図2は、本発明の実施形態に係る燃料遮断弁の斜視図、図3(a)は、図2に示す燃料遮断弁の軸方向に沿った断面図、図3(b)は、図3(a)に示すB部の一部断面拡大斜視図、図4は、図3のA−A線に沿った断面図である。なお、図1に示す蒸発燃料処理システム10において、図8に示される蒸発燃料処理システム1と同一の構成要素には、同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0019】
図1に示されるように、蒸発燃料処理システム10は、燃料タンク2の上部に装着され、燃料タンク2内とキャニスタ(外部)4とを連通させるベーパ通路(連通路)5を開閉することで燃料タンク2とキャニスタ4との連通を遮断する燃料遮断弁12を備えて構成されている。
【0020】
図2に示されるように、燃料遮断弁12は、第1ポート14aを有する頭部16と、第2ポート14bを有する本体部18とが一体的に結合されて構成されている。第1ポート14aは、燃料タンク2から外部に露出し、ベーパ通路5に接続されている。第2ポート14bは、本体部18の底面で燃料タンク2内に臨むように形成されている。
【0021】
図3(a)に示されるように、本体部18は、略有底円筒状からなり、内部に弁室20を有する本体円筒部22と、本体円筒部22の上部開口を閉塞する円板状の蓋部材24とから構成されている。本体円筒部22の下部には、弁室20に連通する貫通孔からなる第2ポート14bが形成されている。蓋部材24の中央部には、弁室20と第1ポート14aとを連通させる連通孔26が形成されている。
【0022】
本体円筒部22の内周には、導線を円筒状に巻回して積層されたコイル(ソレノイドコイル)28が配置されている。コイル28の内周には、第1の弁機構30a及び第2の弁機構30bの両者を有する弁構造体が配置されている。
【0023】
弁構造体は、金属製で略有底円筒状のハウジング32と、ハウジング32の上部開口に装着される円板状のハウジングキャップ34とを有する。ハウジングキャップ34には、第1ポート14aと第2ポート14bとを連通させる連通孔35が形成されている。ハウジング32内には、ハウジング32の軸方向に沿って変位可能な可動コア36と、可動コア36とハウジング32の底部との間に配置され、可動コア36をハウジングキャップ34側の上方に向かって押圧する第1ばね部材38とがそれぞれ配置されている。
【0024】
可動コア36は、軸方向に沿って貫通する段付孔部(孔部、連通空間)40を有する円筒体によって形成されている。可動コア36の外周面には、半径外方向に突出し、且つ、円筒体の軸方向に沿って延在する複数の突条部(リブ)42が形成されている。隣接する突条部42とハウジング32の内周面との間には、可動コア36の軸方向に沿って貫通する連通空間44が形成されている。この連通空間44は、可動コア36の軸方向から見て、周方向に沿って所定角度だけ離間して複数配置されている。段付孔部40は、環状の第1段部40a及び第2段部40bを有する。第1段部40aは、後記する第2シール部材54が着座するように設けられている。第2段部40bは、第2シール部材54の上側に位置するバルブガイド56との間でクリアランスを有するように設けられている。
【0025】
ハウジングキャップ34に近接する可動コア36の上端には、リング状の第1シール部材46が固着されている。この第1シール部材46は、可動コア36と一体的に変位すると共に、ハウジングキャップ34の下面に当接してシール機能を発揮するように設けられている。第1の弁機構30aは、ハウジング32、コイル28、第1ばね部材38、第1シール部材46、及び、可動コア36によって構成されている。
【0026】
可動コア36の段付孔部40内には、弁体48が配設されている。弁体48の上面には、上方に向かって突出する環状突起部50が形成されている。弁体38の上方には、中心に貫通する連通孔52を有し、弁座部材として機能する第2シール部材54が配設されている。弁体48の環状突起部50は、第2シール部材54の下面に着座して閉弁状態となると共に、第2シール部材54の下面から離間することで開弁状態となる。図3(a)は、弁体48の環状突起部50が第2シール部材54の下面に着座した状態を示し、燃料タンク2内が密封された状態となっている。
【0027】
第2シール部材54の上方には、バルブガイド56及びコアキャップ58が所定間隔離間して対向配置されている。上方側のコアキャップ58と下方側のバルブガイド56との間には、第2ばね部材(付勢部材)60が介装されている。バルブガイド56及びコアキャップ58には、それぞれ、相手方に向かって突出する環状フランジ部が設けられている。環状フランジ部を設けることで、第2ばね部材60のばね受けが簡便となる。コアキャップ58の中央部には、第1ポートと第2ポートとを連通させる連通孔59が形成されている。第2シール部材54には、上方に向かって突出してバルブガイド56の係合孔と係合する略円筒状の係合部62が設けられている。
【0028】
弁体48の下方には、第3ばね部材(付勢部材)64が配置されている。第3ばね部材64は、その上端が弁体48に係止されると共に、その下端が可動コア36の下面に設けられた内径係止部66に係止されている。
【0029】
第1〜第3ばね部材38、60、64は、それぞれコイルスプリングからなり、可動コア36の下から上に向かって、第1ばね部材38、第3ばね部材64、及び、第2ばね部材60の順序で配置されている。第1〜第3ばね部材38、60、64のばね力は、大きい方から小さい方に向かって、順に、第1ばね部材38のばね力F1、第2ばね部材60のばね力F2、第3ばね部材64のばね力F3の関係(F1>F2>F3)に設定されている。
【0030】
弁体48は、第2シール部材54及びバルブガイド56を介して上方に配置される第2ばね部材60のばね力(付勢力)F2と、下方に配置される第3ばね部材64のばね力(付勢力)F3とのバランスにより、図3(a)に示される車両走行状態において、弁体48が第2シール部材54に着座する閉弁型に構成されている。換言すると、車両走行状態では、後記で詳細に説明するように、第1の弁機構30a及び第2の弁機構30bがそれぞれ図3(a)に示される閉弁状態となっている。
【0031】
第2の弁機構30bは、可動コア36の段付孔部40内にそれぞれ配設された、弁体48、第2シール部材54、連通孔52、バルブガイド56、第2ばね部材60、及び、第3ばね部材64によって構成されている。
【0032】
弁構造体を構成するハウジング32の底面と、本体部18の底面との間には、第3シール部材68が配設されている。
【0033】
本実施形態に係る燃料遮断弁12が組み込まれた蒸発燃料処理システム10は、基本的に以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
【0034】
図3(a)に示されるように、車両の走行時は、第1ばね部材38のばね力(押圧力)によって可動コア36が上方に向かって押圧されている。これにより、可動コア36に上端に設けられた第1シール部材46は、ハウジングキャップ34の下面に当接してシールしている。換言すると、車両の走行時は、第1の弁機構30a及び第2の弁機構30bの両方が、それぞれ閉弁状態となっている。この結果、燃料タンク2内は、常時、密封状態に保持され、燃料タンク2からの燃料漏れが防止されると共に、燃料タンク2内の蒸発燃料がベーパ通路5を介してキャニスタ4側へ流通することが阻止されている。
【0035】
図5は、給油時の蒸発燃料の流れを示す動作説明図、図6(a)、及び図7は、それぞれ、駐車時の蒸発燃料の流れを示す動作説明図、図6(b)は、蒸発燃料(正圧)の加圧力によってバルブガイドが上昇して第2シール部材の係合部と係合した状態を示す部分拡大断面図である。
【0036】
次に、燃料タンク2の給油時について説明する。
図示しない制御部は、燃料タンク2に対する給油時に、例えば、フューエルキャプが開かれたことをトリガとして、コイル28に通電する。図5に示されるように、通電されたコイル28の励磁作用により可動コア36が第2ポート14b側に吸着されて、可動コア36が下降変位する。これにより、第1シール部材46がハウジングキャップ34の下面から離間して、第1の弁機構30aが開弁状態になる。その際、第2の弁機構30bの弁体48は、第2シール部材54の下面に着座した閉弁状態に保持された状態で、可動コア36と一体的に変位する。この結果、燃料タンク2内の蒸発燃料は、図5の破線矢印で示されるように、第2ポート14b→連通空間44→連通孔35→連通孔26→第1ポート14aを経由し、ベーパ通路5を介してキャニスタ4に送給される。
【0037】
図示しない制御部は、例えば、図示しない液面検知手段を介して燃料タンク2が満タンになったことを検知したとき、コイル28に対する通電を停止する。これにより、可動コア36は、第1ばね部材38のばね力によって図3(a)に示す初期状態に復帰し、第1の弁機構30aが閉弁状態となる。このように、本実施形態では、コイル28に対する通電を停止して可動コア36を変位させることで、燃料タンク2内を密閉状態とすることができる。この結果、本実施形態では、従来技術のようなフロート弁3a(図8参照)を省略することが可能になると共に、コイル28への通電を停止する任意のタイミングで燃料タンク2を密閉状態とすることができる。なお、図示しない液面検知手段は、電気的手段又は機械的手段のいずれであってもよい。
【0038】
次に、車両の駐車時において、正圧又は負圧からなる蒸発燃料の圧抜きについて説明する。
車両の駐車時(イグニッションスイッチのオフ時)において、圧力センサ8によって検知される燃料タンク2内の蒸発燃料の圧力が所定圧力以上(正圧)となったとき、蒸発燃料は、第2ばね部60材のばね力に抗して第2シール部材54を押圧して第2段部40bとバルブガイド56との間のクリアランスに進入し、バルブガイド56を上方に向かって押圧する。バルブガイド56が上方に向かって変位して第2シール部材54の係合部62と係合することにより(図6(b)参照)、第2シール部材54がバルブガイド56と一体的に上昇する。
【0039】
これにより、第2シール部材54は、弁体48の環状突起部50から離間して第2の弁機構30bが開弁状態となる(図6(a)参照)。その際、第1の弁機構30aは、第1シール部材46がハウジングキャップ34の下面に当接する閉弁状態に保持されている。この結果、燃料タンク2内の所定圧力以上の蒸発燃料(正圧)は、図6(a)の破線矢印で示されるように、第2ポート14b→第2段部40bとバルブガイド56との間のクリアランス→上部側の段付孔部40→連通孔59→連通孔35→連通孔26→第1ポート14aを経由し、ベーパ通路5を介してキャニスタ4に送給される。
【0040】
前記とは反対に、車両の駐車時(イグニッションスイッチのオフ時)において、燃料タンク2内の蒸発燃料の圧力が所定圧力未満(負圧)となったとき、燃料タンク2内の蒸発燃料は、第3ばね部材64のばね力に抗して弁体48を下方に向かって吸引する。これにより、弁体48は、第2シール部54材の下面から離間して第2の弁機構30bが開弁状態となる(図7参照)。その際、第1の弁機構30aは、第1シール部材46がハウジングキャップ34の下面に当接して閉弁状態に保持されている。この結果、キャニスタ4に蓄えられていた蒸発燃料は、図7の破線矢印で示されるように、第1ポート14a→連通孔26→連通孔35→連通孔59→連通孔52→段付孔部40→第2ポート14bを経由し、燃料タンク2内に戻される。なお、弁体48が負圧作用によって下方に吸引される際、第2シール部材54は、第1段部40aに着座して下方への変位が規制されている。
【0041】
このように、本実施形態に係る燃料遮断弁12は、正圧弁と負圧弁とが組み合わされて構成される従来の高圧2ウェイバルブ7の機能をも併有する。
【0042】
本実施形態では、従来から用いられていたフロート弁3a(図8参照)を省略することができると共に、フロート弁3aが配置されていた燃料タンク2の上部に、従来から用いられていた6制御バルブ6及び高圧2ウェイバルブ7(図8参照)を一体化した燃料遮断弁12を配置することができる。この結果、本実施形態では、部品点数を削減して製造コストを低減すると共に、組み付け工程を簡素化することができる。さらに、従来、燃料タンク2の外部でベーパ通路5に配置されていた制御バルブ6及び高圧2ウェイバルブ7を省略することで、配置スペースの効率化を達成することができる。
【0043】
また、本実施形態では、第1の弁機構30aの弁室20であって可動コア36の段付孔部40内に、従来の高圧2ウェイバルブ7として機能する第2の弁機構30bを配置することで、高圧2ウェイバルブ7と弁室20とを共通化することができる。
【0044】
さらに、本実施形態では、第2の弁機構30bの弁体48を押圧する第2ばね部材60(正圧時)のばね力、又は、第3ばね部材64(負圧時)のばね力にそれぞれ逆らうことにより、内部又は外部からの連通を可能にしている。これにより、本実施形態では、第1の弁機構30aを構成する可動コア36の中に、燃料タンク2内の正圧又は負圧からなる蒸発燃料を逃がす第2の弁機構30bを収容することができる。
【符号の説明】
【0045】
2 燃料タンク
4 キャニスタ(外部)
5 ベーパ通路(連通路)
10 蒸発燃料処理システム
12 燃料遮断弁
20 弁室
28 コイル
30a 第1の弁機構
30b 第2の弁機構
36 可動コア
38 第1ばね部材
40 段付孔部(孔部、連通空間)
44 連通空間
48 弁体
60 第2ばね部材(付勢部材)
64 第3ばね部材(付勢部材)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8