特許第6253676号(P6253676)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6253676(2S,5R)−2−カルボキシアミド−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンのナトリウム塩のためのプロセス
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  • 特許6253676-(2S,5R)−2−カルボキシアミド−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンのナトリウム塩のためのプロセス 図000017
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6253676
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】(2S,5R)−2−カルボキシアミド−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンのナトリウム塩のためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/08 20060101AFI20171218BHJP
   A61K 31/439 20060101ALN20171218BHJP
   A61P 31/04 20060101ALN20171218BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20171218BHJP
   C07B 53/00 20060101ALN20171218BHJP
【FI】
   C07D471/08
   !A61K31/439
   !A61P31/04
   !C07B61/00 300
   !C07B53/00 G
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-560790(P2015-560790)
(86)(22)【出願日】2013年10月12日
(65)【公表番号】特表2016-510062(P2016-510062A)
(43)【公表日】2016年4月4日
(86)【国際出願番号】IB2013059325
(87)【国際公開番号】WO2014135930
(87)【国際公開日】20140912
【審査請求日】2015年9月8日
(31)【優先権主張番号】718/MUM/2013
(32)【優先日】2013年3月8日
(33)【優先権主張国】IN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】506224012
【氏名又は名称】ウォックハート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100193493
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 健史
(72)【発明者】
【氏名】グプタ スニル ヴィシュヌバグワン
(72)【発明者】
【氏名】ジャダフ スニル バージナス
(72)【発明者】
【氏名】ラネ ヴィプル
(72)【発明者】
【氏名】デシュパンデ プラサッド ケシャブ
(72)【発明者】
【氏名】バブサー サティシュ
(72)【発明者】
【氏名】イエオール ラヴィンドラ ダッタトラヤ
(72)【発明者】
【氏名】パテル マヘッシュ ヴィタルブハイ
【審査官】 谷尾 忍
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/086241(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/172368(WO,A1)
【文献】 特表2013−507346(JP,A)
【文献】 特表2016−514107(JP,A)
【文献】 特表2016−515102(JP,A)
【文献】 特表2016−511269(JP,A)
【文献】 特表2014−521739(JP,A)
【文献】 特表2011−510012(JP,A)
【文献】 特表2004−505088(JP,A)
【文献】 特表2008−536817(JP,A)
【文献】 Eric VALEUR et al,Amide bond formation: beyond the myth of coupling reagents,CHEM. SOC. REV.,2009年,vol.38, no.2,p.606-631
【文献】 平山令明編著,有機化合物結晶作製ハンドブック−原理とノウハウ−,丸善株式会社,2008年 7月25日,p.17-23,37-40,45-51,57-65
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/08
A61K 31/439
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
の化合物の調製のためのプロセスであって、
(a)式(III)の化合物を得るために式(II)の化合物をアミド化剤と溶媒としての水の存在下で反応させるステップと、
【化2】
(b)式(IV)の化合物を得るために式(III)の化合物を水素化分解するステップと、
【化3】
(c)式(V)の化合物を得るために式(IV)の化合物をスルホン化するステップと、
【化4】
(d)式(V)の化合物を式(I)の化合物に変換するステップと、
を含む、上記プロセス。
【請求項2】
アミド化剤が、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール:アンモニア錯体を含む請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
式(IV)の化合物を得るための式(III)の化合物の水素化分解が、遷移金属触媒及び水素源の存在下で行われる請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
遷移金属触媒が、パラジウム炭素であり、水素源が、水素ガスである請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
式(IV)の化合物を得るための式(III)の化合物の水素化分解が、反応溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド及びジクロロメタン(容積比1:1)の存在下で行われる請求項3又は4に記載のプロセス。
【請求項6】
式(V)の化合物を得るための式(IV)の化合物のスルホン化が、式(IV)の化合物を三酸化硫黄−N,N−ジメチルホルムアミド錯体と反応させ、続いて酢酸テトラブチルアンモニウムの10%水溶液による処理によって行われる請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
式(V)の化合物が、式(V)の化合物の2−エチルヘキサン酸ナトリウムとの反応によって式(I)の化合物に変換される請求項1に記載のプロセス。
【請求項8】
得られる式(I)の化合物がHPLCにより測定して少なくとも97%の純度を有する請求項1から7までのいずれか1項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願
本出願は、2013年3月8日に出願され、その開示があたかも本明細書に完全に書き換えられたかのように全体として参照により本明細書に組み込まれているインド特許出願第718/MUM/2013号の利益を主張する。その明細書に引用されている特許、特許出願、及び文献を含めた全ての参考文献は、明確にそれら全体として参照により本明細書に組み込まれている。
本発明は、(2S,5R)−2−カルボキシアミド−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンのナトリウム塩の調製のためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
(2S,5R)−2−カルボキシアミド−7−オキソ−6−スルホオキシ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンのナトリウム塩として化学的に知られている式(I)の化合物は、抗細菌性を有している。式(I)の化合物は、また、アビバクタム又はNXL−104として知られており、米国特許第7,112,592号に開示されている。
【化1】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
1つの一般的態様において、式(I)
【化2】
の化合物の調製のためのプロセスであって、
(a)式(III)の化合物を得るために式(II)の化合物をアミド化剤と反応させるステップと、
【化3】
(b)式(IV)の化合物を得るために式(III)の化合物を水素化分解するステップと、
【化4】
(c)式(V)の化合物を得るために式(IV)の化合物をスルホン化するステップと、
【化5】
(d)式(V)の化合物を式(I)の化合物に変換するステップと、
を含む、上記プロセスが提供される。
本発明の1つ又は複数の実施形態の詳細が、以下の記述の中に示されている。本発明のその他の特徴、目的及び有利な点は、特許請求の範囲を含めた以下の記述から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1図1はX線粉末回折パターンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
例示的な実施形態に対する言及がこれからなされ、特定の言葉がその実施形態を説明するために本明細書では使用される。それにもかかわらず、それにより本発明の範囲の限定が意図されることはないことが理解されるべきである。従来の技術に熟達している者及びこの開示の所有権を有している者には心に浮かぶであろう本明細書に説明されている本発明の特徴の変更及びさらなる修正、並びに本明細書で説明されているような本発明の原理のさらなる応用は、本発明の範囲内と考えられるべきである。本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」は、その文脈が別なふうにはっきりと指示していない限り、複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。本明細書に引用されている特許、特許出願、及び文献を含めた全ての参考文献は、あたかも本明細書に完全に書き換えられたかのように明確にそれら全体として参照により本明細書に組み込まれている。
用語「HOBt」は、本明細書で使用されるとき、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールを指す。
用語「EDC」は、本明細書で使用されるとき、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを指す。
【0006】
1つの一般的態様において、式(I)
【化6】
の化合物の調製のためのプロセスであって、
(a)式(III)の化合物を得るために式(II)の化合物をアミド化剤と反応させるステップと、
【化7】
(b)式(IV)の化合物を得るために式(III)の化合物を水素化分解するステップと、
【化8】
(c)式(V)の化合物を得るために式(IV)の化合物をスルホン化するステップと、
【化9】
(d)式(V)の化合物を式(I)の化合物に変換するステップと、
を含む、上記プロセスが提供される。
【0007】
式(III)の化合物は、式(II)の化合物を適切なアミド化剤と反応させることによって得られる。いくつかの実施形態において、このアミド化剤は、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール:アンモニア錯体を含む。いくつかの他の実施形態において、式(III)の化合物は、式(II)の化合物を1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下で1−ヒドロキシベンゾトリアゾール:アンモニア錯体と反応させることによって得られる。このアミド化反応は、適切な溶媒中で行うことができる。いくつかの実施形態において、このアミド化反応は、反応溶媒としての水の中で行われる。いくつかの実施形態において、式(III)の化合物は、アンモニア溶液の存在下で、式(II)の化合物を1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロリド及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾールと反応させることによって得られた。
【0008】
式(IV)の化合物は、式(III)の化合物の水素化分解によって得られる。その水素化分解反応は、適切な水素化分解剤を使用して行うことができる。いくつかの実施形態において、式(IV)の化合物を得るための式(III)の化合物の水素化分解は、遷移金属触媒及び水素源の存在下で行われる。いくつかの他の実施形態において、遷移金属触媒は、パラジウム炭素であり、水素源は水素ガスである。いくつかの他の実施形態において、その水素化分解反応は、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド及びジクロロメタンの混合物(1:1の容積比)のような適切な溶媒の存在下で行われる。いくつかの実施形態において、式(IV)の化合物を得るための式(III)の化合物の水素化分解は、溶媒としてのN,N−ジメチルホルムアミド:ジクロロメタン混合物(1:1の容積比)中、水素ガスの下で10%のパラジウム炭素触媒を使用して行われる。
【0009】
式(V)の化合物は、式(IV)の化合物をスルホン化することによって得られる。そのスルホン化反応は適切な溶媒の存在下で行うことができる。いくつかの実施形態において、式(V)の化合物を得るための式(IV)の化合物のスルホン化は、式(IV)の化合物を三酸化硫黄−N,N−ジメチルホルムアミド錯体と反応させ、その後酢酸テトラブチルアンモニウムの10%水溶液により処理することによって行われる。
【0010】
式(V)の化合物は、適切な試薬の存在下で式(I)の化合物に変換される。いくつかの実施形態において、式(V)の化合物は、式(V)の化合物を2−エチルヘキサン酸ナトリウムと反応させることによって式(I)の化合物に変換される。
【0011】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、スキーム1に記載されているプロセスを使用して調製される。
【0012】
別の一般的な態様において、本発明によるプロセスは、HPLCにより測定して少なくとも97%の純度を有する式(I)の化合物の調製をもたらす。
【0013】
いくつかの実施形態において、8.69(±0.2)、9.65(±0.2)、11.22(±0.2)、12.44(±0.2)、13.01(±0.2)、16.48(±0.2)、17.48(±0.2)、18.58(±0.2)、19.35(±0.2)、20.89(±0.2)、22.27(±0.2)、25.03(±0.2)、26.07(±0.2)、28.14(±0.2)、29.74(±0.2)、34.28(±0.2)、36.01(±0.2)、及び37.18(±0.2)度2シータからなる群から選択されるピークを含むX線粉末回折パターンを有する式(I)の化合物が提供される。
【化10】
スキーム−1
【0014】
いくつかの実施形態において、式(I)の化合物は、図1に示されているものと実質的に同じX線粉末回折パターンを有する。
【0015】
さまざまな置き換え及び修正が、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく本明細書に開示される本発明になされ得ることは当業者には容易にわかるであろう。例えば、当業者であれば、本発明は記載された一般的記述の範囲内のさまざまな異なる化合物を使用して実施され得ることがわかるであろう。
【実施例】
【0016】
以下の例は、現在最もよく知られた本発明の実施形態を説明する。しかしながら、以下は本発明の原理の例示的な又は説明のための適用にすぎないことを理解されるべきである。多数の修正及び代替の組成物、方法、並びに系が、当業者により本発明の精神及び範囲から逸脱することなく考案され得る。添付の特許請求の範囲はそのような修正及び処理の範囲にわたることが意図されている。かくして、本発明は特殊性と共に上に記載されているが、以下の例は、最も現実的で好ましい本発明の実施形態であると現在考えられることに関連してさらなる詳細を提供している。
【0017】
(例1)
(2S,5R)−硫酸モノ−{2−カルボキシアミド−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンのナトリウム塩の調製
ステップ−1:(2S,5R)−2−カルボキシアミド−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンの調製:
【0018】
方法−1:
出発化合物((2S,5R)−ナトリウム6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキシレート、式(II)の化合物)は、インド特許出願第699/MUM/2013号に開示されている手順に従って調製された。磁気撹拌機を備えた100mlの丸底フラスコに、(2S,5R)−ナトリウム6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキシレート(10.0g、0.033mol)を、続いて新たに調製したHOBt.アンモニア錯体(10.0g、0.066mol)、EDCヒドロクロリド(9.62g、0.050mol)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(4.51g、0.033mol)を仕込んだ。この固体の混合物に、水(30ml)を約35℃で添加し、撹拌を開始した。沈殿が30分後に起こった。その反応混合物を、約35℃でさらに20時間撹拌した。ジクロロメタン(150ml)をその懸濁液に添加し、その反応塊をそのまま10分間撹拌した。層を分離した。水性層をさらなるジクロロメタン(50ml)で洗浄した。合わせた有機層を、真空下で蒸発させ、残渣(21g)を得た。その残渣を、アセトン(21ml)で30分間撹拌し、吸引下で濾過して、約45℃での真空下の乾燥後、白色固体として(2S,5R)−2−カルボキシアミド−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンを、5.5gの量の60%の収率で得た。
【0019】
分析
H1NMR (DMSO-d6)
7.35 -7.45 (m, 6H), 7.25 (bs, 1H), 4.89 - 4.96 (dd, 2H), 3.68 (d, 1H), 3.62 (s, 1H), 2.90 (s, 2H), 2.04 - 2.07 (m, 1H), 1.70-1.83 (m, 1H), 1.61-1.66 (m, 2H).
MS (ES+) C14H17N3O3 = 276.1 (M+1)
純度:HPLCにより測定して93.95%。
比旋光度:[α]25D−8.51°(c 0.5%、CHCl3
【0020】
方法−2:
別法では、上記の化合物は、以下のプロセスを使用して調製された。磁気撹拌機を備えた50mlの丸底フラスコに、水(15ml)中の(2S,5R)−ナトリウム6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン−2−カルボキシレート(1g、0.003mol)の溶液、続いて撹拌下の35℃で、EDCヒドロクロリド(1g、0.005mol)及び1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(0.39g、0.003mol)を仕込んだ。その反応塊を、白色の懸濁液を得るために1時間撹拌した。この時点で、アンモニア水(2ml、容積当たり40質量%)を撹拌下で添加した。その反応混合物をさらに5時間撹拌した。その懸濁液を濾過し、さらなる水(10ml)で洗浄し、45℃の真空下で乾燥後、0.21g量の(2S,5R)−2−カルボキシアミド−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]を得た。
ステップ−2:(2S,5R)−2−カルボキシアミド−6−スルホオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンのテトラブチルアンモニウム塩の調製:
パールシェーカーボトル(Parr shaker bottle)に、(2S,5R)−2−カルボキシアミド−6−ベンジルオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン(7.0g、0.025mol)を、続いてN,N−ジメチルホルムアミドとジクロロメタンの1:1の混合物(35ml:35ml)を仕込んだ。その透明な溶液に、10%パラジウム炭素(1.75g)を添加し、そして水素圧を50psiまでかけた。その懸濁液を、35℃で3時間振盪した。その触媒を、その反応混合物をセライト床(celite bed)により濾過することによって除去した。その触媒床を、ジクロロメタン(30ml)で洗浄した。合わせた濾液は、40℃未満の真空下で蒸発させ、油状の残渣を得た。その油状の残渣(4.72g)を、N,N−ジメチルホルムアミド(35ml)に溶解し、その透明な溶液に、三酸化硫黄.DMF錯体を撹拌下の10℃で1回で添加した。その混合物を、さらに2時間35℃でそのまま撹拌した。TLCが完全な変換を示したとき、酢酸テトラブチルアンモニウムの10%水溶液(9.44g、0.031mol、30mlの水中)を、撹拌下で添加し、その反応混合物を終夜撹拌し、次いで温度が40℃を超えないロータリーエバポレーターに基づく高真空蒸留にかけ、残渣を得た。キシレン(50ml)をその残渣に添加し、DMFの痕跡が除去されるように同様に蒸発させた。かくして得られた乾燥残渣を、水(70ml)と共に撹拌し、ジクロロメタンで抽出した(70ml×2)。合わせた有機抽出物を、硫酸ナトリウムで脱水し、溶媒を40℃未満の真空下で蒸発させ、粗生成物として7gの量で油状の残渣を得た。それを、メチルイソブチルケトン(21ml)と共に約35℃で30分間撹拌し、(2S,5R)−2−カルボキシアミド−6−スルホオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンのテトラブチルアンモニウム塩としての5.9gの量の白色固体を純粋な形で46%の収率で得た。
【0021】
分析
NMR: (CDCl3)
6.63 (s, 1H), 5.48 (s, 1H), 4.34 (br s, 1H), 3.90 (d, 1H), 3.27-3.40 (m, 9H), 2.84 (d, 1H), 2.38 (dd, 1H), 2.21-2.20 (m, 1H), 1.60-1.71 (m, 12H), 1.40-1.50 (m, 8H), 1.00 (t, 12H).
MS(ES−)C71036S.N(C494=遊離のスルホン酸として264.0(M−1)。
純度:HPLCにより測定して98.98%。
比旋光度:[α]25D −30.99°(c 0.5%、MeOH)
【0022】
ステップ−3:(2S,5R)−2−カルボキシアミド−6−スルホオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンのナトリウム塩の合成
磁気撹拌機を備えた100mlの丸底フラスコに、(2S,5R)−2−カルボキシアミド−6−スルホオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンのテトラブチルアンモニウム塩(5.5g、0.0108mol)、続いてエタノール(28ml)を仕込み、約35℃での撹拌下で透明な溶液を得た。この反応混合物に、エタノール(28ml)中に溶解した2−エチルヘキサン酸ナトリウム(3.6g、0.021mol)の溶液を撹拌下で1回で添加し、沈殿をもたらした。この懸濁液を、さらに2時間撹拌し、約35℃で完全な沈殿を達成した。その反応混合物を吸引下で濾過し、そのウェットケーキをアセトンで洗浄した(30ml×2)。そのウェットケーキを、真空下の40℃で乾燥し、白色固体として(2S,5R)−2−カルボキシアミド−6−スルホオキシ−7−オキソ−1,6−ジアザ−ビシクロ[3.2.1]オクタンのナトリウム塩を2.6gの量での83%の収率で得た。
【0023】
分析
H1NMR (DMSO-d6)
7.39 (s, 1H), 7.24 (s, 1H), 3.98 (s, 1H), 3.68 (d, 1H), 3.02 (d, 1H), 2.92 (d, 1H), 2.00-2.10 (m, 1H), 2.80-2.90 (m, 1H), 1.55-1.70 (m, 2H).
MS(ES−)C71036SNa=遊離のスルホン酸として264.0(M−1)。
純度:HPLCにより測定して97.98%。
比旋光度:[α]25D−49.37°(c 0.5%、水)
粉末X線ディフラクトグラム:(度2シータ):
8.69(±0.2)、9.65(±0.2)、11.22(±0.2)、12.44(±0.2)、13.01(±0.2)、16.48(±0.2)、17.48(±0.2)、18.58(±0.2)、19.35(±0.2)、20.89(±0.2)、22.27(±0.2)、25.03(±0.2)、26.07(±0.2)、28.14(±0.2)、29.74(±0.2)、34.28(±0.2)、36.01(±0.2)、及び37.18(±0.2)。
【0024】
典型的なX線分析は、以下のようにして実施した。試験物質を、ふるい#100BSSに通すか、又は乳鉢と乳棒でそれを優しくこすり回してすりつぶす。その試験物質を一面に空洞表面を有する試料保持器上に均一に置き、その試料を押圧し、スライドガラスを使用して試料の表面が平らでむらがないように薄い均一なフィルムに切断する。X線回折図を以下の装置パラメーターを使用して記録する。
【0025】
【表1】
図1