【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の第1の態様によれば、PCBの下面へと溶融はんだを届けるためのはんだ付けノズルであって、ノズル出口と、溶融はんだの流れを上記ノズル出口からあふれさせるべく送ることができる内腔と、溶融はんだの戻りの流れを支持するように構成された外面とを備えており、上記外面が、はんだの戻りの流れの少なくとも一部を受け入れるために上記ノズル出口の少なくとも一部分の周囲に配置された溝状または凹状の造作を備えているノズルが提供される。
【0022】
溝状または凹状の造作が、はんだの戻りの流れの一部を溝状または凹状の造作へと引き込まれるように促し、ノズル出口からあふれる溶融はんだの流れを安定化させる。
【0023】
好ましくは、ノズルが、出口からの溶融はんだのあふれの挙動がノズルの移動方向とは無関係であるよう、ノズル軸を定める軸対称な形状を有する。
【0024】
好ましくは、ノズルが鉄で形成される。好ましくは、その外面がすずめっきされる。
【0025】
ノズルは、実質的に鐘状の形状を有してよい。これは、溶融はんだの戻りの流れを穏やかに受け入れることを可能にする。
【0026】
ノズル出口は、ノズルの上部またはその先端に位置してよい。
【0027】
好ましくは、ノズルが、出口からの溶融はんだの流れが、出口からノズルの周囲のあらゆる方向に等しく流れ落ちることができるように構成される。
【0028】
好ましくは、内腔の軸とノズルの軸とが実質的に同軸である。
【0029】
溝状または凹状の造作は、好ましくは、溶融はんだの戻りの流れを出口/先端の少なくともその部分において促すことによって、バブルの安定化を補助し、したがってノズル出口からの溶融はんだの安定な流れの達成によりよく貢献できるよう、ノズル出口の少なくとも一部分の周囲またはノズルの先端の少なくとも一部分の周囲を延びる。
【0030】
溝状または凹状の造作は、ノズルの外面に対して接線方向に延びてよい。
【0031】
溝状または凹状の造作は、ノズルの外面の少なくとも一部分の周囲または周囲全体を真っ直ぐに延びてよい。
【0032】
一実施の形態においては、溝状または凹状の造作が、出口の全周または先端の全周を巡って延びてよい。これは、その機能をさらに改善することができ、ノズルを、はんだ付けノズルを多数の異なる方向に移動させることを必要とする用途によりよく適するようにすることができる。
【0033】
溝状または凹状の造作は、好ましくは、戻りの流れがあらゆる方向において実質的に同時に溝状または凹状の造作にぶつかるよう、使用時に実質的に水平方向に延びる。
【0034】
一実施の形態においては、溝状または凹状の造作が溝であり、好ましくは環状溝である。そのような溝は、ノズルへと単純に機械加工することが可能である。
【0035】
溝またはスロットまたは凹所の造作が、ノズルの表面の全体が溶融はんだで覆われるように促し、それは、先端の周囲のはんだの浸透によることが可能であり、溝、スロット、または凹所への戻りの流れの毛管流によることが可能であり、あるいは溝、スロット、または凹所による溶融はんだの引き込み/引きずりによることが可能である。
【0036】
溝、スロット、または凹所の幅、形状、または深さが、バブル安定化効果の達成において重要となりうる。溝は、丸みを帯びた縁または角張った断面を有してよい。同様に、溝、スロット、または凹所を、2つの外側へと突き出す尾根を形成することによって形成してよい。結果として、溝、スロット、または凹所が、これらの尾根の間に位置する。
【0037】
溝は、好ましくは比較的浅い深さを有する。これは、それ自身が低温になりかねないはんだの大きなプールの発生を防止するうえで役に立つ。
【0038】
溝は、好ましくは、フライス盤または旋盤を使用して容易に形成することができるおおむね矩形の深さ形状を有する。へりの角または底の角あるいは両方に、丸みを帯びた角を有することができる。
【0039】
好ましくは、スロット、溝、または凹所が、0.1〜0.5mmの間の範囲の深さを有する。
【0040】
好ましくは、スロット、凹所、または溝が、0.5〜1.5mmの間の範囲の幅を有する。
【0041】
好ましくは、スロット、凹所、または溝について、出口またはノズルの自由端との距離(溝の中央から測定される)が、軸方向に測定して1〜4mmの間、または少なくともスロット、凹所、または溝の幅、あるいはより好ましくはスロット、凹所、または溝の幅の少なくとも2倍であり、しかしながら好ましくは5倍以下、より好ましくは4倍以下、最も好ましくは3倍以下である。
【0042】
好ましくは、ノズルが、少なくとも1つのさらなる(または、第2の)スロット、凹所、または溝を備える。これは、好ましくは、第1のスロット、凹所、または溝よりもさらにノズルの自由端から離れて位置する。好ましくは、これらが互いに隣接し、おそらくは1〜3mmの幅の島状部によって隔てられ、あるいは中心間の間隔が2mm〜5mmの間である。さらなるスロット、凹所、または溝は、流れるはんだの安定化の特性をさらに改善することができる。
【0043】
さらなる溝は、好ましくは、上方の溝と比べて実質的に同様のアスペクト比を有する。これは、両方を同じ方法で形成することを可能にする。しかしながら、より深く、あるいはより浅く、より幅広く、あるいはより狭い第2の溝を使用することも可能である。
【0044】
好ましくは、さらなる溝および第1の溝が、ノズルまたは出口の軸方向における溝間隔距離を定めており、この溝間隔距離が、溝の中央から1〜4mmの間の範囲にある。この配置によれば、溝が、溶融はんだの戻りの流れについて複合の引っ張り作用を果たすように協働することができる。
【0045】
本発明の第2の態様によれば、PCBの下面へと溶融はんだを届けるためのはんだ付けノズルであって、ノズル出口と、積み重ねることができる第1および第2の部分とを備えており、上記第1および第2の部分が、使用時に溶融はんだを上記ノズル出口からあふれさせるべく上記第1および第2の部分を通って流すことができるように流体に関して接続されるように構成されているノズルが提供される。好ましくは、積み重ねることができる2つの部分の外面が、はんだを流すことができるようにすずめっきされる。好ましくは、ノズルが、はんだが出口からあふれ出すときにはんだバブルをもたらす。
【0046】
ノズルは、本発明の第1の態様のノズルの造作のいずれかを備えてよい。
【0047】
本発明の第2の態様のノズルは、2つの部分からなる構成であることで、2つの部分を互いに別々にすることができ、各々の部分を必要な場合に交換または置換することができる。
【0048】
好ましくは、ノズルが、余分な溶融はんだを放出するようにも構成される。好ましくは、上記積み重ねることができる第1および第2の部分の一方または両方が、余分な溶融はんだを放出できる1つまたは複数の開口を定める。余分な溶融はんだの放出を、出口だけを通過する場合よりも多くのはんだの流れをノズルに通すことができるようにするために使用することができる。これは、はんだがノズルの先端において凍結する傾向を増すことなく、ノズルの先端をより小さくすることを可能にできる。これは、はんだの流れを増やすことで、より多くの熱量をノズルの先端または先端付近に循環させることができるからである。
【0049】
好ましくは、積み重ねることができる第1および第2の部分が、間に1つまたは複数の開口を定めるように協働する。これは、余分な流れのための開口をもたらす非常に容易な方法をもたらす。例えば、一方の部分に位置するスロットが、それらの開口を形成してよい。好ましい構成においては、4つの開口が存在し、すなわち4つのスロットが存在する。
【0050】
好ましくは、積み重ねることができる部分が、ひとたび積み重ねられたならば、使用時に分離しないように一体に保持される。
【0051】
積み重ねることができる部分を、それらの間の締まりばめによって一体に保持されるように構成してよい。しかしながら、例えば螺合など、別の方法も可能である。あるいは、積み重ねることができる部分を、例えばバヨネット取り付けなど、一方を他方へと噛み合わせることができるように形成することができる。
【0052】
好ましくは、ノズルが軸対称な形状を有し、回転の中心がノズルの軸である。これは、ノズルをX−Y平面内のあらゆる方向について機能できるようにし、すなわちPCBの下方における移動の方向にかかわらずに機能できるようにする。
【0053】
好ましくは、積み重ねることができる第1および第2の部分の各々が、第1および第2の内腔軸を定める内腔を有する。使用時に、溶融はんだの連続的かつ滑らかな流れをノズル出口から上方へともたらすことができるよう、好ましくは2つの内腔軸が実質的に整列する。
【0054】
好ましくは、内腔軸が、ノズルの中心軸に整列する。
【0055】
好ましくは、積み重ねることができる第1および第2の部分の少なくとも一方が、実質的に鐘状の形状を有する。鐘の形状は、鐘の柄として形成されたノズルを有してよい。
【0056】
代案として、積み重ねることができる第1および第2の部分の少なくとも一方が、フラスコ状または瓶状の形状を有する。
【0057】
好ましくは、積み重ねることができる第1および第2の部分の両方が、それぞれの広い根元および狭い首部を定める形状を有する。好ましくは、一方の部分の根元部分が、他方の部分の狭い首部を覆うように積み重ねられる。好ましくは、上方に重ねられる部分が、他方の部分よりもおおむね小さい態様を有する。しかしながら、好ましくは、上方に重ねられる部分の根元が、他方の部分の首部よりも広い。好ましくは、上方に重ねられる部分の首部が、他方の部分の首部よりも狭い。
【0058】
好ましくは、上方に重ねられる部分の内腔が、他方の部分の内腔よりもおおむね狭い。
【0059】
好ましくは、上方に重ねられる部分の根元が、その下端において他方の部分へと内側に曲がっている。これにより、この根元を流れるはんだが、2つの部分の間に形成された1つまたは複数の開口から出るはんだの流れと、滑らかに混ざり合うことができる。
【0060】
好ましくは、他方の部分が上方に重ねられる方の部分が、城郭風造作または突起のある首部を備える。次いで、上方に重ねられる部分の根元または底部が、好ましくは、それらの城郭風造作または複数の突起へと重ねられたときに余分なはんだを流すための開口を定める。
【0061】
本発明の第3の態様によれば、PCBの下面へと溶融はんだを届けるためのノズルであって、ノズル出口およびノズル本体を備えるとともに、溶融はんだの流れを上記ノズル出口からあふれさせるべく送ることができる内腔と、上記ノズル出口を端部に位置させているノズル先端とを有しており、上記ノズル出口が、1.5〜2.5mmの間の内側幅寸法を有しているノズルが提供される。
【0062】
好ましくは、ノズルの根元が、少なくとも15mm、好ましくは15〜25mmの間の外側幅寸法を有する。次いで、好ましくはノズルが、上記根元の上方において側面を巡って1つまたは複数のさらなる開口をさらに有し、ノズルの出口が、この1つまたは複数のさらなる開口の上方に位置し、すなわちノズルの上部に位置する。1つまたは複数のさらなる開口は、溶融はんだの被膜で開口を囲むノズルの外面全体を覆うことができるよう、余分なはんだを側面へと送り出すことを可能にする(小さな上部出口では、はんだバブルとしての流出を維持しながらこのような大きな外面の流動的な被覆を維持するための充分なはんだを流すことができないと考えられる)。
【0063】
好ましくは、出口と、上記開口または各々の開口とが、ほぼ同じ幅寸法を有し、あるいはほぼ同じ溶融はんだの流量容量を有する。
【0064】
好ましくは、上記開口または各々の開口の出口が、上向きの上部出口に対しておおむね下方へと向けられる。
【0065】
好ましくは、複数の開口が存在し、上記開口の各々がノズルの外周を巡って間隔を空けて位置している。好ましくは、ノズルを巡って一様な間隔で位置している。好ましくは、少なくとも3つの出口が存在する。好ましくは、それらの開口のすべてに同様の流量を通すことができるように構成されている。これは、ノズルの外面の全体に実質的に整然とした一様な流れを生じさせるためである。上部の出口を通過する流量は、開口よりも上方のノズルの外面の全体を覆うために充分でなければならない。
【0066】
好ましくは、上記開口または各々の開口の上方のノズルの幅寸法が、6〜13mmの間である。
【0067】
好ましくは、幅寸法が直径であり、ノズルがおおむね円形の断面を有するが、スパナによるはんだ供給ユニットの上部へのノズルの取り付けを容易にするために、平坦部を設けることができる。
【0068】
好ましくは、ノズルの壁が、上記ノズル出口において、上記ノズル出口の全周にわたって0.25〜1mmの間の厚さである。
【0069】
上述のはんだ付けノズルは、すでに述べたノズルの造作のうちの1つまたは複数を備えることができる。
【0070】
本発明のこの態様は、はんだ付け装置の製造者が、出口の凍結または出口からのジェッティングに悩まされることなく、単点はんだ付けの用途のためにより小さな(すなわち、これまでに実現されているよりも小さい)バブル/スポットはんだサイズを達成することを可能にする。さらに、ノズルの外面の全体をはんだの流れで覆うことができ、したがって外面(はんだの流れの中断の場所)からの戻り凍結を減らすことができるとともに、ノズルの外面における不規則な流れの輪郭に起因するドロスの形成を減らすことができる。
【0071】
さらにスロット、凹所、または溝の造作と組み合わせられるとき、ボブリングの傾向も少なくなり、したがってすずめっきの摩耗時に問題となるようなディウェッティングの傾向も少なくなる。
【0072】
ノズルおよび出口は円形であることが好ましいが、代案として正方形、矩形、または楕円形であってもよい。
【0073】
しかしながら、上記開口または各々の開口は、好ましくは実質的に正方形または矩形であり、ノズル内の城郭風のフィンガまたは塔の間に形成される。しかしながら、ノズルに形成された一連の丸穴として形成されてもよい。
【0074】
本明細書に記載のとおりのはんだ付けノズルを備えるはんだ付け装置を使用するはんだ付けの方法であって、ノズルの出口からあふれるはんだのバブルを形成することを含む方法も提供される。これまでのノズルは、1.5mm〜2.5mmの間という小さい寸法を有する上部出口において、信頼できるバブルの実現に決して成功していない。
【0075】
本発明の別の態様によれば、はんだ付けノズルの先端のディウェッティングの発生の度合いを軽減する方法であって、既存のノズルの設計を、ノズルの出口の少なくとも一部分またはノズルの出口の少なくとも一部分の周囲において、ノズルの外面にスロットまたは凹所の造作を加えることによって改良することを含む方法が提供される。これは、ノズルの先端から出るノズルの先端の周囲のはんだの流れを安定させることを可能にすることで、ノズルがPCBの下方のはんだ付け位置の間を移動するときのボブリングを少なくし、ノズルの先端のすずめっきの寿命を改善し、ノズルのディウェッティングが発生するまでにより長い時間を要するようにする。
【0076】
本発明の別の態様によれば、はんだ付けノズルを製造する方法であって、ノズル本体を形成するステップと、はんだ出口を有する別途のノズル先端を形成するステップと、上記ノズル先端を上記本体に接続するステップと、少なくともはんだの流れの第2の出口をノズルの側面に形成するステップとを含む方法が提供される。好ましくは、ノズルが、1.5mm〜2.5mmの間の上部はんだ出口寸法を有する。好ましくは、はんだの流れの第2の出口が、2つの部分を一体に接続するときに形成され、最も好ましくはこれら2つの部分の間の境界に形成される。ノズルが、上部はんだ出口にはんだバブルを形成するためのものであり、本方法が、単点はんだ付けの用途のためにより小さなサイズでありながら依然として使用可能であるはんだバブル/はんだ付けスポットの生成を可能にする。
【0077】
これらの方法は、上述のノズルの特徴をさらに利用することができる。
【0078】
次に、本発明のこれらの特徴および他の特徴を、添付の図面を参照してあくまでも例として説明する。