(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
汚水等の送水に用いる水中ポンプは、渦巻形のケーシング内に羽根車が収容された渦巻ポンプが用いられる。水中ポンプは、羽根車が回転することで、ケーシングの下面に設けられた吸込口から吸い込まれた汚水をケーシングの側面に設けられた吐出口から吐出する構成が知られている。
【0003】
このような汚水等の送水に用いられる水中ポンプは、汚水中に含まれた異物が回転軸や羽根車等に巻き込まれることによる故障等を防止するために、汚水中に含まれる汚物を確実に排出できる構成が要求される。
【0004】
このため、例えば、羽根車として、一枚のシュラウドに羽根が複数設けられた所謂セミオープン羽根と呼ばれるものが用いられる。しかし、このような羽根車は、ポンプ効率が悪いことから、高効率が要求される場合においては、所謂クローズド羽根と呼ばれる羽根車が用いられたものも知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
クローズド羽根を用いた羽根車は、二枚のシュラウド間に羽根が設けられる構成であり、セミオープン羽根を用いた羽根車に比べて、羽根車内に異物が巻き込まれる虞が高い。
このため、異物の巻き込みを防止するために、クローズド羽根としてシュラウド間に一枚の羽根を設けた羽根車も知られている。
【0006】
一枚羽根の羽根車は、ポンプ効率を向上させるために、羽根の厚みを厚くする技術が知られている。具体的には、一枚羽根の羽根車は、その羽根の厚みが一端側、中央側及び他端側で異なる構成、例えば、羽根車の中心側に位置する一端側から中央側に向かって漸次その厚みが厚くなり、当該中央側から羽根車の外周側に位置する他端側に向かって漸次その厚みが薄くなる構成である。
【0007】
このような一枚羽根の羽根車は、シュラウド間に羽根が一枚だけ設けられる構成であるとともに、その羽根の厚みが異なることから、配置や重量等の機械的バランスが悪く、振動や騒音の増大となる虞がある。
【0008】
このため、水中ポンプを配置した場合に上方側に位置するシュラウドから羽根の内部を中空とする凹部を設け、他の部位との重量の差を極力低減することで、機械的バランスを向上させる技術が知られている。
【0009】
しかし、羽根車に凹部が設けられていると、汚水中の異物等が当該凹部に蓄積されるため、振動や騒音の発生の原因となる。また、凹部は、羽根車の回転時に流体抵抗の増大の原因となり、水中ポンプの軸動力が増加する、という問題もある。
【0010】
そこで、凹部を含めたシュラウドの上面を蓋体で覆い、さらに凹部の侵入物の排出口を設け、振動や騒音の発生を防止する技術も知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0011】
また、羽根車に、軸方向に互いに対向して窪む第1の窪み及び第2の窪みを設ける技術も知られている(例えば、特許文献3参照)。この羽根車は、一方、例えば第2の窪みが、軸方向であって重力方向に対して上方に窪む構成であり、このため、第2の窪みに空気溜まりが発生する。この空気溜まりを除去するために、特許文献3においては、第1の窪み及び第2の窪みを連通する連通穴を設ける技術が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1の実施形態)
以下、本発明の一実施の形態に係る水中ポンプ1を、
図1を用いて説明する。
図1は本発明の一実施の形態に係る水中ポンプ1の構成を断面で示す説明図である。なお、
図1中、Bはボルトを、Fは水の流れを、Kは電源ケーブル、Lはライナリングをそれぞれ示す。
【0022】
図1に示すように、水中ポンプ1は、モータ10と、軸封装置11と、ポンプ12と、を備えている。このような水中ポンプ1は、汚水槽及び下水道等に設置され、異物(汚物等)を含む汚水を送水する所謂水中汚水ポンプと呼ばれるものである。
【0023】
モータ10は、モータケーシング21と、固定子22と、回転子23と、回転軸24と、を備えている。またモータ10は、外部電源等に接続される電源ケーブルKを有している。モータケーシング21は、両端が閉塞する円筒形状に形成され、一方の端面が軸封装置11にボルトB等により固定される。
【0024】
固定子22は、モータケーシング21の内面に固定されている。また固定子22は、電源ケーブルKを介して供給された電力により、回転子23を回転可能に形成されている。
回転子23は、その回転に追従して回転軸24を回転可能に、回転軸24と固定されている。
【0025】
回転軸24は、モータケーシング21の一端側から突出し、且つ、モータケーシング21にベアリング等の軸受25を介して回転自在に軸支されている。なお、回転軸24は、モータケーシング21から重力方向に延設される。
【0026】
軸封装置11は、シールケーシング30と、メカニカルシール31と、を備えている。
軸封装置11は、モータ10、ポンプ12及び回転軸24間を液密に仕切る。
【0027】
シールケーシング30は、内部にメカニカルシール31を収納可能に形成されている。
このようなシールケーシング30は、両端が閉塞する円筒状に形成され、その両端面に回転軸24を挿通する挿通孔33を備えている。また、シールケーシング30は、その内部に、メカニカルシール31の潤滑油を充満可能な油室34を形成する。
【0028】
メカニカルシール31は、シールケーシング30と回転軸24との間を密閉することで、ポンプ12からの汚水の浸入及びモータ10への潤滑油の浸入を防止可能に形成されている。このように、軸封装置11は、潤滑油が充満したシールケーシング30内にメカニカルシール31を設けることで、モータ10への異物混入を防止する所謂二段構造が用いられる。
【0029】
ポンプ12は、ケーシング41と、羽根車42と、を備えている。ケーシング41は、その内部に羽根車42を収納する渦巻ケーシングであり、その内部にポンプ室43を形成する。ケーシング41は、組み立てることでその内部にポンプ室43を形成する上部材44及び下部材45を有し、羽根車42を回転軸24に固定した状態で分解可能に形成されている。
【0030】
上部材44は、本実施の形態では、シールケーシング30の一部に一体に形成されている。上部材44は、上述した挿通孔33の下方に、羽根車42を回動可能に指示する第1支持部47を有している。
【0031】
下部材45は、水中ポンプ1を据付面に据付ける複数の脚部48を備えている。また、下部材45は、その底面であって、複数の脚部48間に設けられた吸込開口49と、その側面に設けられた吐出開口50と、を備えている。
【0032】
なお、吐出開口50は、その口径(吐出径)が羽根車42を通過可能な粒径の異物を通過可能に形成されている。具体的には、吐出開口50の口径は、羽根車42を通過可能な所定の粒径の異物と略同一径に形成されている。ここで、羽根車42を通過可能な所定の粒径の異物とは、水中ポンプ1の吐出開口50の口径(吐出径)と同直径(所定の粒径)の球形固形物である。
【0033】
吸込開口49は、羽根車42の後述する吸込口58と略同一の口径に形成されている。
吸込開口49は、羽根車42を回動可能に支持する第2支持部49aを有している。なお、挿通孔33、第1支持部47及び第2支持部49aには、回転軸24及び羽根車42と摺動可能なライナリングLが設けられる。第1支持部47及び第2支持部49aは、これらライナリングLの内面により形成される。
【0034】
羽根車42は、ノンクロッグのクローズド羽根車であって、所定の粒径の異物を通過可能に形成されている。このような羽根車42は、軸封装置11側に配置される上シュラウド(第1シュラウド)52と、吸込開口49側に配置される下シュラウド(第2シュラウド)53と、これらシュラウド52,53間に設けられた羽根54と、を備えている。
【0035】
また、羽根車42は、下シュラウド53に設けられた流体を吸込む吸込口58と、上シュラウド52、下シュラウド53及び羽根54により形成され、吸込んだ流体を吐出する吐出口63を有している。このような羽根車42は、上シュラウド52、下シュラウド53及び羽根54が鋳造等により一体に成型される。
【0036】
上シュラウド52は、円板状に形成されている。上シュラウド52は、その中央側に、回転軸24が挿通可能であって、キー溝56aを有する挿通孔56が形成された第1被支持部57が形成されている。なお、上シュラウド52は、羽根車42が回転軸24に固定された際に、重力方向に対して下シュラウド53の上方に位置する。
【0037】
下シュラウド53は、円環状に形成されている。下シュラウド53は、その中央に吸込口58が形成されている。また、下シュラウド53は、その中央側が円環状に突起し、当該突起の外周側に第2被支持部59が形成されている。
【0038】
第1被支持部57は、ライナリングLを介して第1支持部47に回転及び摺動自在に支持される。第2被支持部59は、ライナリングLを介して第2支持部49aに回転及び摺動自在に支持される。
【0039】
羽根54は、上下シュラウド52,53間に1枚設けられている。羽根54は、その一方の端部が、シュラウド52,53の中心側に、その他方の端部がシュラウド52,53の外周縁に配置される。羽根54は、シュラウド52、53の中心(インペラ54の回転中心)からの径が各位置で異なる形状、例えば渦巻形状やインボリュート形状に形成されている。なお、その詳細な形状は、羽根車42が、汚水を所定のポンプ効率で圧送(移送)可能な形状であれば、適宜設定可能である。
【0040】
羽根54は、その厚さが上下シュラウド52,53の外周縁側の端部で薄く、中央側に向かって漸次肉厚となる。羽根54は、シュラウド52,53及びその端部間により、下シュラウド53の吸込口58から吸い込まれた汚水をポンプ室43内へと移動させる吐出口63を形成する。
【0041】
羽根54は、その内部に中空を形成するとともに、その下端が下シュラウド53に開口する凹部55、及び、その外面と凹部55とを連通する孔部55aが形成されている。羽根54は、下方が開口する凹部55を有することで、その内部の肉抜きが成される。
【0042】
具体的には、凹部55は、羽根54の外形状に沿って下シュラウド53から、下シュラウド53及び羽根54の一部に設けられ、羽根54の外形状に沿って下シュラウド53及び羽根54の下端から、これら下シュラウド53及び羽根54の一部が窪む中空部である。
【0043】
孔部55aは、羽根54の軸心方向の中途部に、一つ又は複数設けられている。孔部55aは、凹部55内に溜まった空気を、凹部55内から外部に案内し、空気溜まりを除去可能に形成されている。
【0044】
吐出口63は、吸込口58から吸込んだ汚水をポンプ室43へと吐出する開口である。
吐出口63は、所定の粒径、即ち、羽根車42内を通過可能な異物の最大粒径の異物が吐出可能に形成されている。
【0045】
このように構成された水中ポンプ1は、電源ケーブルKを介して電力が供給されることで、モータ10が駆動され、固定子22により回転子23が回転することで回転軸24が回転する。当該回転子23の回転により、羽根車42も回転する。
【0046】
図1の水の流れFに示すように、羽根車42の回転により、吸込口58から吸い込まれた汚水がケーシング41及び羽根車42で増圧されて、吐出口63から吐出される。
【0047】
このように構成された水中ポンプ1によれば、羽根54に下端が開口する中空部である凹部55を設けることで、羽根54による重量バランスの偏りを極力低減することが可能となる。これにより、配置や重量等の機械的バランスを向上させることが可能となり、回転時における振動や騒音を極力防止することが可能となる。
【0048】
また、凹部55は、下シュラウド53の一部が開口し、その開口(凹部55の下端)がケーシング41の下方に連通することで、汚水が凹部55内に浸入しても、汚水に含まれる異物が凹部55内に滞留することがない。
【0049】
さらに言えば、水中ポンプ1は、羽根車42の回転中心が、重力方向に略沿って配置され、且つ、下シュラウド53が羽根車42の下方に設けられることから、凹部55は、重力方向の下方が開口することとなる。このため、水中ポンプ1の駆動時に、異物が含有された汚水が凹部55内に侵入しても、水中ポンプ1の停止時に、重力により異物が落下し、凹部55内に滞留することがない。
【0050】
また、凹部55は、水中ポンプ1を設置した際に、重力方向に沿って配置されるとともに、その下方が下シュラウド53から開口し、その上方に天井面が位置して形成されるとともに、凹部55の内空間が羽根54の外部と孔部55aにより連通する。このため、凹部55内に空気溜まりが発生しても、孔部55aから空気が除去される。これにより、凹部55内に空気溜まりが発生することを防止可能となる。
【0051】
特に、凹部55内に空気が溜まると、当該空気により、羽根車42の一部に浮力が加わり、重量バランスの偏りが発生する虞がある。しかし、羽根車42は、孔部55aを設けることで、重量バランスの偏りを防止することが可能となる。
【0052】
羽根車42は、凹部55を設けても、凹部55内に異物及び空気が滞留することがないことから、異物が凹部55内に蓄積されることでの重量の増加や空気の浮力等による振動や騒音の発生を防止し、且つ、流体抵抗の増加による軸動力の増大を防止することが可能となり、ポンプ効率の低下を防止することが可能となる。
【0053】
また、凹部55には異物及び空気が滞留することがないことから、凹部55を蓋体等の別構成品により閉塞する必要がなく、このため、製造工程や部品点数を低減することが可能となり、結果、羽根車42の製造コストを低減することが可能となる。
【0054】
また、孔部55aは、羽根54の側面、即ち、羽根車42の軸心方向に沿った羽根54に、当該軸心方向と直交する方向に開口して配置されることから、異物が孔部55a上に堆積することがない。このため、孔部55aは、異物により閉塞されることがなく、確実に凹部55内の空気を除去することが可能となる。
【0055】
上述したように、本実施の形態に係る水中ポンプ1によれば、下方が開口する凹部55、及び、凹部55と外部を連通する孔部55aを羽根54に設けることで、羽根車42の機械的バランスを向上させ、且つ、凹部55に異物及び空気の滞留防止により、振動及び騒音の抑制が可能であっても、製造コストを低減することが可能となる。
【0056】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る水中ポンプ1に用いられる羽根車42Aの構成を、
図2を用いて説明する。
【0057】
図2は、本発明の第2の実施形態に係るに用いられる羽根車42Aを用いた水中ポンプ1の構成を示す断面図である。なお、第2の実施形態に係る水中ポンプ1の構成のうち、上述した第1の実施形態に係る水中ポンプ1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、第2の実施形態に係る水中ポンプ1は、上述した第1の実施形態に係る水中ポンプ1と、羽根車42の構成以外同等の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
【0058】
図2に示すように、水中ポンプ1は、モータ10と、軸封装置11と、ポンプ12Aと、を備えている。このような水中ポンプ1は、汚水槽及び下水道等に設置され、異物(汚物等)を含む汚水を送水する所謂水中汚水ポンプと呼ばれるものである。ポンプ12Aは、ケーシング41と、羽根車42Aと、を備えている。
【0059】
羽根車42Aは、ノンクロッグのクローズド羽根車であって、所定の粒径の異物を通過可能に形成されている。羽根車42Aは、上シュラウド52と、下シュラウド53と、これらシュラウド52,53間に設けられた羽根54Aと、を備えている。
【0060】
また、羽根車42Aは、下シュラウド53に設けられた流体を吸込む吸込口58と、上シュラウド52、下シュラウド53及び羽根54Aにより形成され、吸込んだ流体を吐出する吐出口63と、を有している。このような羽根車42Aは、上シュラウド52、下シュラウド53及び羽根54Aが鋳造等により一体に成型される。
【0061】
羽根54Aは、上下シュラウド52,53間に1枚設けられている。羽根54Aは、その一方の端部が、シュラウド52,53の中心側に、その他方の端部がシュラウド52,53の外周縁に配置される。羽根54Aは、シュラウド52、53の中心からの径が各位置で異なる形状、例えば渦巻形状やインボリュート形状に形成されている。なお、その詳細な形状は、羽根車42Aが、汚水を所定のポンプ効率で圧送(移送)可能な形状であれば、適宜設定可能である。
【0062】
羽根54Aは、その厚さが上下シュラウド52,53の外周縁側の端部で薄く、中央側に向かって漸次肉厚となる。
【0063】
羽根54Aは、その内部に中空を形成するとともに、その下端が下シュラウド53に開口する凹部55、及び、その外面と凹部55とを連通する孔部55bが形成されている。
羽根54Aは、下方が開口する凹部55を有することで、その内部の肉抜きが成される。
【0064】
凹部55は、その天井面が、羽根車42Aの中心側から外周側に向かって上方に傾斜して形成されている。凹部55の天井面は、孔部55bに向かって上方に傾斜する。孔部55bは、羽根54Aの軸心方向の上端部、換言すると、上シュラウド52と隣接する羽根54Aの端部に、一つ又は複数設けられている。孔部55bは、凹部55内に溜まった空気を、凹部55内から外部に案内し、空気溜まりを除去可能に形成されている。
【0065】
このように構成された水中ポンプ1は、電源ケーブルKを介して電力が供給されることで、モータ10が駆動され、固定子22により回転子23が回転することで回転軸24が回転する。当該回転子23の回転により、羽根車42Aも回転する。
【0066】
図1の水の流れFに示すように、羽根車42Aの回転により、吸込口58から吸い込まれた汚水がケーシング41及び羽根車42Aで増圧されて、吐出口63から吐出される。
【0067】
このように構成された羽根車42Aを用いた水中ポンプ1によれば、上述した羽根車42を用いた水中ポンプ1と同様の効果を有するとともに、孔部55bが、羽根54Aの上方の端部に設けられるため、凹部55の上端側に滞留する空気を除去することが可能となる。また、凹部55の天井面を孔部55bに向かって上方に傾斜させる構成とすることで、羽根車42Aの停止中に凹部55の上方に滞留する空気を孔部55b側に案内することで、羽根車42Aの回転中だけでなく、停止中であっても凹部55内の空気を効果的に除去可能となる。
【0068】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る水中ポンプ1に用いられる羽根車42Bの構成を、
図3及び
図4を用いて説明する。
【0069】
図3は、本発明の第3の実施形態に係るに用いられる羽根車42Bの構成を示す側面図、
図4は、羽根車43Bの構成を、
図3中IV−IV断面で示す断面図である。なお、第3の実施形態に係る水中ポンプ1の羽根車42Bの構成のうち、上述した第1の実施形態に係る水中ポンプ1の羽根車42と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、第3の実施形態に係る水中ポンプ1は、上述した第1の実施形態に係る水中ポンプ1と、羽根車42の構成以外、同等の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
【0070】
図3及び
図4に示すように、水中ポンプ1に用いられる羽根車42Bは、ノンクロッグのクローズド羽根車であって、所定の粒径の異物を通過可能に形成されている。羽根車42Bは、上シュラウド52と、下シュラウド53と、これらシュラウド52,53間に設けられた羽根54Bと、を備えている。
【0071】
また、羽根車42Bは、下シュラウド53に設けられた流体を吸込む吸込口58と、上シュラウド52、下シュラウド53及び羽根54Bにより形成され、吸込んだ流体を吐出する吐出口63と、を有している。このような羽根車42Bは、上シュラウド52、下シュラウド53及び羽根54Bが鋳造等により一体に成型される。
【0072】
羽根54Bは、上下シュラウド52,53間に1枚設けられている。羽根54Bは、その一方の端部が、シュラウド52,53の中心側に、その他方の端部がシュラウド52,53の外周縁に配置される。羽根54Bは、シュラウド52、53の中心からの径が各位置で異なる形状、例えば渦巻形状やインボリュート形状に形成されている。なお、その詳細な形状は、羽根車42Bが、汚水を所定のポンプ効率で圧送(移送)可能な形状であれば、適宜設定可能である。
【0073】
羽根54Bは、その厚さが上下シュラウド52,53の外周縁側の端部で薄く、中央側に向かって漸次肉厚となる。
【0074】
羽根54Bは、その内部に中空を形成するとともに、その下端が下シュラウド53に開口する凹部55、及び、その外面と凹部55とを連通する孔部55cが形成されている。
羽根54Bは、下方が開口する凹部55を有することで、その内部の肉抜きが成される。
【0075】
凹部55は、その天井面が羽根車42Bの中心側から外周側に向かって上方に傾斜して形成されている。凹部55の天井面は、孔部55cに向かって上方に傾斜する。孔部55cは、羽根車42B(回転軸24)の軸心方向に沿って上下シュラウド52,53間を渡すように、羽根54Bにスリット状に形成されている。また、孔部55cは、羽根54Bの、凹部55内面及び羽根54Bの他方の端部(上下シュラウド52,53の外周側の端部)の外面が連続する位置に形成されている。
【0076】
孔部55cは、その幅が、凹部55内に溜まった空気、及び、凹部55内の異物を、遠心力により凹部55内から外部に案内し、空気溜まり、及び、異物を除去可能な幅に形成されている。
【0077】
このように構成された水中ポンプ1の羽根車42Bよれば、上述した水中ポンプ1の羽根車42と同様の効果を有するとともに、孔部55cが、スリット状であって、且つ、上下シュラウド52,53間を渡すように羽根54Bに上下方向(軸心方向)に沿って設けられる。このため、孔部55cは、凹部55に滞留する空気を除去することが可能となるとともに、羽根車42Bの回転中に、凹部55に位置する異物を、その遠心力により、凹部55内から除去可能となる。
【0078】
また、凹部55の天井面を孔部55cに向かって上方に傾斜させる構成とすることで、羽根車42Bの停止中に凹部55の上方に滞留する空気を孔部55c側に案内し、羽根車42Bの停止中であっても凹部55内の空気を効果的に除去可能となる。
【0079】
また、孔部55cは、羽根54の側面に沿ってスリット状に開口して配置されることから、異物が孔部55a上に堆積することがない。このため、孔部55cは、異物により閉塞されることがなく、確実に凹部55内の空気を除去することが可能となる。
【0080】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る水中ポンプ1に用いられる羽根車42Cの構成を、
図5を用いて説明する。
【0081】
図5は、本発明の第4の実施形態に係るに用いられる羽根車42Cの構成を示す断面図である。なお、第5の実施形態に係る水中ポンプ1の羽根車42Cの構成のうち、上述した第1の実施形態に係る水中ポンプ1の羽根車42と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。また、第5の実施形態に係る水中ポンプ1は、上述した第1の実施形態に係る水中ポンプ1と、羽根車42の構成以外同等の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
【0082】
図5に示すように、水中ポンプ1は、モータ10と、軸封装置11と、ポンプ12Cと、を備えている。このような水中ポンプ1は、汚水槽及び下水道等に設置され、異物(汚物等)を含む汚水を送水する所謂水中汚水ポンプと呼ばれるものである。ポンプ12Cは、ケーシング41と、羽根車42Cと、を備えている。
【0083】
羽根車42Cは、ノンクロッグのクローズド羽根車であって、所定の粒径の異物を通過可能に形成されている。このような羽根車42Cは、軸封装置11側に配置される上シュラウド52と、吸込開口49側に配置される下シュラウド53と、これらシュラウド52,53間に設けられた羽根54Cと、を備えている。
【0084】
また、羽根車42Cは、下シュラウド53に設けられた流体を吸込む吸込口58と、上シュラウド52、下シュラウド53及び羽根54により形成され、吸込んだ流体を吐出する吐出口63を有している。このような羽根車42Cは、上シュラウド52、下シュラウド53及び羽根54Cが鋳造等により一体に成型される。
【0085】
羽根54Cは、上下シュラウド52,53間に1枚設けられている。羽根54は、その一方の端部が、シュラウド52,53の中心側に、その他方の端部がシュラウド52,53の外周縁に配置される。羽根54は、シュラウド52、53の中心(インペラ54の回転中心)からの径が各位置で異なる形状、例えば渦巻形状やインボリュート形状に形成されている。
【0086】
羽根54Cは、その内部に中空を形成するとともに、その上端が上シュラウド52に開口する凹部55C、及び、その外面と凹部55Cとを連通する孔部55dが形成されている。なお、羽根54Cの凹部55Cは、上シュラウド52の開口が孔部55bとその下面が略面一位置に配置された蓋体60により閉塞される。なお、蓋体60による閉塞は、凹部55cに異物が侵入しなければ、液密に閉塞しなくてもよい。
【0087】
凹部55Cは、その天井面が羽根車42Cの中心側から外周側に向かって上方に傾斜して形成されている。即ち、凹部55の天井面は、孔部55dに向かって上方に傾斜する。
孔部55dは、羽根54Cの軸心方向の上端部、換言すると、上シュラウド52と隣接する羽根54Cの端部であって、蓋体60の下面と面一に、一つ又は複数設けられている。
孔部55sは、凹部55C内に溜まった空気を、凹部55C内から外部に案内し、空気溜まりを除去可能に形成されている。
【0088】
このように構成された羽根車42Cによれば、上シュラウド52に抜き孔60が形成された中空部である凹部55を羽根54に設けることで、羽根54Cによる重量バランスの偏りを極力低減することが可能となる。これにより、配置や重量等の機械的バランスを向上させることが可能となり、回転時における振動や騒音を極力防止することが可能となる。
【0089】
また、羽根54Cは、孔部55dを有するとともに、その下面が孔部55dと略面一の蓋体60により、凹部55Cを閉塞ことで、上述した54Aと同様に、凹部55Cの上端側に滞留する空気を除去することが可能となる。また、凹部55Cの蓋体60を孔部55dに向かって上方に傾斜させる構成とすることで、羽根車42Cの停止中に凹部55Cの上方に滞留する空気を孔部55d側に案内することで、羽根車42Cの回転中だけでなく、停止中であっても凹部55C内の空気を効果的に除去可能となる。
【0090】
また孔部55dは、羽根54Cの側面、即ち、羽根車42Cの軸心方向に沿った羽根54Cに、当該軸心方向と直交する方向に開口して配置されることから、異物が孔部55d上に堆積することがない。このため、孔部55dは、異物により閉塞されることがなく、確実に凹部55C内の空気を除去することが可能となる。
【0091】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した例では、上シュラウド52、下シュラウド53及び羽根54を鋳造により一体に製造する構成を説明したが、これに限定されない。例えば、上シュラウド52を、下シュラウド53及び羽根54と別体に製造し、上シュラウド52と羽根54とを溶接等により接合させる構成であってもよく、上シュラウド52、下シュラウド53及び羽根54を全て別体で製造し、それぞれ接合させる構成であってもよい。即ち、羽根54の凹部55の下端を下シュラウド53の開口と連続させる構成であれば、適宜設定可能である。
【0092】
また、上述した例では、羽根車42Cは、羽根54Cの凹部55Cを、上シュラウド52で開口させるとともに、蓋体60で閉塞し、蓋体60の下面と面一となる位置に孔部55dを設ける構成を説明したがこれに限定されない。例えば、孔部は、上述した羽根車42の孔部55aと同様に、羽根54Cの軸心方向の中途部に配置する構成であってもよい。
【0093】
さらに、孔部は、上述した羽根車42Bの孔部55cと同様に、羽根車42C(回転軸24)の軸心方向に沿って上下シュラウド52,53間を渡すように、羽根54Cにスリット状に形成する構成であってもよい。また、このような孔部は、羽根54Cの、凹部55C内面及び羽根54Cの他方の端部(上下シュラウド52,53の外周側の端部)の外面が連続する位置に形成してもよい。このような構成の孔部は、その幅を、凹部55C内の異物が案内可能な幅とすることで、凹部55C内の異物及び空気を外部に移動可能となる。このため、スリット状の孔部とする場合には、羽根車42Cは、蓋体60を設けなくてもよい。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 水中ポンプのケーシング内に収納され、重力方向に沿って延設された回転軸により回転することで、流体を圧送する羽根車であって、
前記回転軸に固定される上シュラウドと、
前記上シュラウドと対向して設けられ、その中心に吸込口を有する下シュラウドと、
前記上シュラウド及び前記下シュラウド間に一体に成形され、前記上シュラウド及び前記下シュラウドの中心側から外周側まで連続する、前記上シュラウド又は下シュラウドから開口する中空の凹部及び前記凹部とその外面とを連続する孔部が形成された一枚の羽根と、
を備えることを特徴とする羽根車。
[2] 前記孔部は、前記羽根の上端部に形成されていることを特徴とする[1]に記載の羽根車。
[3] 前記孔部は、スリット状に、前記回転軸の軸心方向に沿って形成されていることを特徴とする[1]に記載の羽根車。
[4] 前記孔部は、前記羽根の前記上シュラウド及び前記下シュラウドの外周側の端部の外面と、前記凹部の内面とを連続させることを特徴とする[3]に記載の羽根車。
[5] 前記凹部は、その天井面が、前記孔部に向かって上方に傾斜することを特徴とする[1]乃至[4]のいずれかに記載の羽根車。
[6] モータと、
前記モータに接続された回転軸と、
前記回転軸に固定される上シュラウド、前記上シュラウドと対向して設けられ、その中心に吸込口を有する下シュラウド、並びに、前記上シュラウド及び前記下シュラウド間に一体に成形され、前記上シュラウド及び前記下シュラウドの中心側から外周側まで連続する、前記上シュラウド又は前記下シュラウドから開口する中空の凹部及び前記凹部とその外面とを連続する孔部が形成された一枚の羽根を具備する羽根車と、
前記羽根車を収納するポンプケーシングと、
を備えることを特徴とする水中ポンプ。
[7] 前記孔部は、前記羽根の上端部に形成されていることを特徴とする[6]に記載の水中ポンプ。
[8] 前記孔部は、スリット状に、前記回転軸の軸心方向に沿って形成されていることを特徴とする[6]に記載の水中ポンプ。
[9] 前記孔部は、前記羽根の前記上シュラウド及び前記下シュラウドの外周側の端部の外面と、前記凹部の内面とを連続させることを特徴とする[8]に記載の水中ポンプ。
[10] 前記凹部は、その天井面が、前記孔部に向かって上方に傾斜することを特徴とする[6]乃至[9]のいずれかに記載の水中ポンプ。