【実施例1】
【0020】
以下、図面を参照しながら実施例1を説明する。
図1は本発明の導体接続構造に係るフラット回路体及び端子金具の斜視図である。また、
図2は導体を導体接続部に接続する直前の状態を示す斜視図、
図3は導体を前記導体接続部に接続した状態を示す斜視図、
図4は
図3のA−A線断面図である。
【0021】
以下の説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができるものとする。
【0022】
図1において、引用符号1はフラット回路体を示す。このフラット回路体1は、FPC(Flexible Printed Circuit)やFFC(Flexible Fiat Cable)であり、本実施例においては、自動車等の移動体の配線に使用される。フラット回路体1が移動体に使用される理由としては、特に限定するものでないが、ワイヤハーネスの薄型軽量化を図ることができるからである。
【0023】
一般的な電線が使用される場合にあっては、ワイヤハーネスの占有スペースや重さが大きくなってしまうという虞があるが、フラット回路体1であれば、そのようなことはない。
【0024】
フラット回路体1は、導体2と、この導体2を被覆する絶縁体3とを備えて構成される。フラット回路体1は、偏平な帯状に形成される。尚、図中のフラット回路体1は、導体2が一本のみ示されるがこの限りでないものとする。すなわち、複数本であってもよいものとする。この場合、複数の導体2は所定間隔で並べられ、これら複数の導体2を覆うように絶縁体3が設けられるものとする。
【0025】
導体2は、所定の幅寸法で真っ直ぐにのびる帯状に形成される。導体2は、銅や銅合金等の導電性を有する金属材料からなる。導体2は、これ自身に外力が加わった場合に、破れ等の破損がない程度の厚みを有する。また、導体2は、外力が加わった場合に、曲がる等の変形が可能な厚みを有する。
【0026】
絶縁体3は、絶縁性を有する樹脂材料からなる。絶縁体3は、FPCやFFCに応じて、フィルム状に形成されたり、押出成型により所定の厚みを有するように形成されたりする。
【0027】
以上のようなフラット回路体1は、この端末部分において所定長さで絶縁体3が除去(所定範囲で絶縁体3を除去)される。これにより、導体2が露出(剥き出し状態)し、露出した部分を介して端子金具4との電気的な導通をとることができるようになる。
【0028】
端子金具4は、図示しない相手側端子金具との電気的接触部分として形成される電気接触部5と、フラット回路体1の導体2との電気的な導通をとる部分として形成される導体接続部6とを有する。端子金具4は、導電性を有する金属板を所定の展開形状に打ち抜いた後、曲げ等を施して例えば図示のような形状に形成される。
【0029】
尚、端子金具4は、本実施例において電気接触部5の部分が雌型となる形状であるが、この限りでないものとする。すなわち、雄型となる形状であってもよいものとする。
【0030】
電気接触部5は、上記の如く雌型となる形状に形成される。具体的には、断面矩形の筒形状に形成される。このような電気接触部5の内部には、片持ち形状となる図示しない弾性接触片が形成される。弾性接触片は、図示しない相手側端子金具の雄型となる電気接触部に対し、弾力性を持って電気的に接触する部分として形成される。電気接触部5は、相手側端子金具の電気接触部に応じた長さに形成される。
【0031】
導体接続部6は、電気接触部5に連成される。このような導体接続部6は、フラット回路体1の導体2を挟み込んで電気的な導通をとることができるように形成される。具体的には、第一導体挟持部7と、第二導体挟持部8と、連結折り曲げ部9とを有し、これら各部分により導体2を挟み込んで電気的な導通をとることができるように形成される。
【0032】
尚、導体接続部6は、以下の説明から分かるようになるが、第一導体挟持部7及び第二導体挟持部8にて導体2を挟み込んでも、この導体2へのダメージを引き起こすようなことはない。
【0033】
第一導体挟持部7は、板状の第一板状部10と、この第一板状部10に形成される突出部11とを有する。第一板状部10は、端子金具4が金属板からなることから、上記の如く板状に形成される。また、第一板状部10は、導体接続部6における端子金具4の底板に相当する部分として帯状に形成される。このような第一板状部10は、電気接触部5における端子金具4の底板に相当する部分に連成される。
【0034】
第一板状部10は、端子金具4の軸方向に沿って長く形成される。第一板状部10における引用符号12は、フラット回路体1の導体2に対する導体対向面を示す。また、引用符号13は、導体対向面12の反対側となる端子底面を示す。
【0035】
第一板状部10には、突出部11が二つ形成される(数は一例であるものとする)。この二つの突出部11は、導体接続部6の長手方向(端子金具4の軸方向)に所定の間隔をあけて配置形成される。
【0036】
本実施例においては、二つの突出部11の各中心軸が第一板状部10の中心軸に合うように配置形成される。二つの突出部11は、特に限定するものでないが、同じ形状及びサイズに形成される。以下、片方の突出部11について説明をする。
【0037】
突出部11は、導体対向面12から突出する突出部分として形成される。本実施例においては、端子底面13を凹ませて導体対向面12を凸にするような打ち出し形状に形成される。具体的には、ドーム状となるインデント形状に形成される。
【0038】
尚、突出部11は、上記ドーム状に限らず、例えば半球状であってもよいものとする。また、後述する実施例2や実施例3の形状であってもよいものとする。突出部11は、滑らかな曲面を有するように形成される(全体を曲面にしなくてもよいものとする。突出部11の変形例に関しては、突出先端に若干の平面を持たせてフラット回路体1の導体2に対する小さな載置部を形成してもよいものとする)。
【0039】
第二導体挟持部8は、板状の第二板状部14と、この第二板状部14に形成される貫通孔15とを有する。第二板状部14は、端子金具4が金属板からなることから、上記の如く板状に形成される。また、第二板状部14は、フラット回路体1の導体2を介在させた状態で第一板状部10に対し重ね合わせられるような部分として帯状に形成される。第二板状部14は、端子金具4の軸方向に沿って長く形成される。このような第二板状部14は、連結折り曲げ部9を介して第一板状部10に連成される。
【0040】
第二板状部14には、貫通孔15が二つ形成される(数は一例であるものとする)。この二つの貫通孔15は、導体接続部6の長手方向(端子金具4の軸方向)に所定の間隔をあけて配置形成される。具体的には、突出部11の位置に合わせて配置形成される。貫通孔15は、フラット回路体1の導体2の厚みに配慮して、また、後述する導体2の変形に配慮して、突出部11よりも一回り大きなサイズで貫通するように形成される。
【0041】
貫通孔15の周縁における引用符号16は、フラット回路体1の導体2に対する押さえ付け面を示す。この押さえ付け面16は、導体2を押さえ付けるのは勿論のこと、導体2に対する電気的な接触面でもある。
【0042】
連結折り曲げ部9は、第一板状部10及び第二板状部14の上記長手方向に沿う一側部同士を連結する部分として形成される。また、連結折り曲げ部9は、第一板状部10に対し重なる方向に第二板状部14を折り曲げる部分としても形成される。連結折り曲げ部9は、第二板状部14を折り曲げると、断面U字状となる形状に折り曲げられる。
【0043】
連結折り曲げ部9は、フラット回路体1の導体2の厚みに配慮した形状に形成される。また、連結折り曲げ部9は、折り曲げた後のスプリングバック等に配慮した形状に形成される。
【0044】
上記構成及び構造において、
図2に示す如くフラット回路体1の剥き出し状態になった導体2を端子金具4の第一導体挟持部7(二つの突出部11)上に置き、この後に第二板状部14を折り曲げるようにして導体2を第一導体挟持部7及び第二導体挟持部8にて挟み込むと、導体2は
図3及び
図4に示す如く導体接続部6に接続されて電気的な導通がとられる。
【0045】
導体2は、二つの突出部11により、対応する貫通孔15に押し込まれるような状態で変形をし、且つ二つの貫通孔15の周縁にそれぞれ形成される押さえ付け面16にて押さえられる。
【0046】
導体2は、第一導体挟持部7及び第二導体挟持部8の挟み込みにより、また、挟み込みに伴う変形且つ押さえ付けにより、仮に外力が加わったとしても抜け落ちてしまうようなことはない。
【0047】
以上のような導体接続構造によれば、フラット回路体1の剥き出し状態になった導体2を端子金具4の第一導体挟持部7及び第二導体挟持部8にて挟み込む構造であることから、電気的な導通をとるにあたり、導体2へのダメージを引き起こすことはなく、結果、接続強度を確保することができるという効果を奏する。
【0048】
また、上記導体接続構造によれば、挟み込みにより電気的な導通をとる構造であることから、従来のような接触圧力の低下及び接触抵抗の増加を引き起こすことはなく、結果、接続に係る例えば寸法管理を容易にすることができるという効果を奏する。
【0049】
さらに、上記導体接続構造によれば、電気的な導通をとる部分において、導体2を剥き出し状態にして視認し易くすることから、導体位置ズレを起こり難くすることができるという効果を奏する。
【0050】
さらにまた、上記導体接続構造によれば、挟み込みにより電気的な導通をとる構造であることから、従来よりも格段に接触面積を大きくとることができ、結果、接触抵抗の増加を引き起こし難くすることができるという効果を奏する。
【0051】
従って、上記導体接続構造によれば、従来よりも接続信頼性を向上させることができるという効果を奏する。
【実施例2】
【0052】
以下、図面を参照しながら実施例2を説明する。
図5は本発明の導体接続構造に係るフラット回路体及び端子金具の斜視図である。また、
図6は導体を導体接続部に接続する直前の状態を示す斜視図、
図7は導体を前記導体接続部に接続した状態を示す斜視図、
図8は
図7のB−B線断面図である。尚、上記実施例1と基本的に同じ構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0053】
図5において、フラット回路体1は、導体2と絶縁体3とを備えて構成される。フラット回路体1の端末部分は、所定長さで絶縁体3が除去され、導体2が剥き出し状態に加工される。
【0054】
端子金具4は、電気接触部5と導体接続部6とを有する。端子金具4は、導電性を有する金属板を所定の展開形状に打ち抜いた後、曲げ等を施して例えば図示のような形状に形成される。
【0055】
電気接触部5は、断面矩形の筒形状に形成される。このような電気接触部5には、導体接続部6が連成される。導体接続部6は、第一導体挟持部7と、第二導体挟持部8と、連結折り曲げ部9とを有し、これら各部分により導体2を挟み込んで電気的な導通をとることができるように形成される。
【0056】
第一導体挟持部7は、板状の第一板状部10と、この第一板状部10に形成される突出部11とを有する。第一板状部10には、突出部11が一つ形成される。この突出部11は、導体接続部6の長手方向(端子金具4の軸方向)に沿ってのびる、平面視長円形状の突出部分に形成される。
【0057】
本実施例においては、突出部11の長手方向の中心軸が第一板状部10の中心軸に合うように配置形成される。尚、突出部11は、実施例1の二つの突出部11(
図1参照)を繋ぐようにのびる突出部分として見ることもできる。突出部11は、実施例1と同様にインデントである。
【0058】
第二導体挟持部8は、板状の第二板状部14と、この第二板状部14に形成される貫通孔15とを有する。第二板状部14は、連結折り曲げ部9を介して第一板状部10に連成される。
【0059】
第二板状部14には、貫通孔15が一つ形成される。この貫通孔15は、突出部11の位置に合わせて配置形成される。貫通孔15は、フラット回路体1の導体2の厚みに配慮して、また、導体2の変形に配慮して、突出部11よりも一回り大きなサイズで貫通するように形成される。本実施例の貫通孔15は、長円形状に形成される。貫通孔15の周縁には、押さえ付け面16が形成される。
【0060】
連結折り曲げ部9は、第一板状部10及び第二板状部14の上記長手方向に沿う一側部同士を連結する部分として形成される。また、連結折り曲げ部9は、第一板状部10に対し重なる方向に第二板状部14を折り曲げる部分としても形成される。
【0061】
上記構成及び構造において、
図6に示す如くフラット回路体1の剥き出し状態になった導体2を端子金具4の第一導体挟持部7(突出部11)上に置き、この後に第二板状部14を折り曲げるようにして導体2を第一導体挟持部7及び第二導体挟持部8にて挟み込むと、導体2は
図7及び
図8に示す如く導体接続部6に接続されて電気的な導通がとられる。
【0062】
導体2は、突出部11により貫通孔15に押し込まれるような状態で変形をし、且つ貫通孔15の周縁に形成される押さえ付け面16にて押さえられる。
【0063】
導体2は、第一導体挟持部7及び第二導体挟持部8の挟み込みにより、また、挟み込みに伴う変形且つ押さえ付けにより、仮に外力が加わったとしても抜け落ちてしまうようなことはない。
【0064】
実施例2の導体接続構造は、実施例1と同じ効果を奏するのは勿論である。すなわち、従来よりも接続信頼性を向上させることができるという効果を奏する。
【実施例4】
【0071】
以下、図面を参照しながら実施例4を説明する。
図10は本発明の導体接続構造に係るフラット回路体及び端子金具の斜視図を示す図である。尚、上記実施例1と基本的に同じ構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0072】
図10において、フラット回路体1は、導体2と絶縁体3とを備えて構成される。フラット回路体1の中間部分は、所定長さで絶縁体3が除去され、これにより導体2が剥き出しとなる状態に加工される。
【0073】
端子金具4は、電気接触部17と導体接続部6とを有する。端子金具4は、導電性を有する金属板を所定の展開形状に打ち抜き、曲げ等を施して例えば図示のような形状に形成される。
【0074】
導体接続部6は、第一導体挟持部7と、第二導体挟持部8と、連結折り曲げ部9とを含み、これら各部分により導体2を挟み込んで電気的な導通をとることができるように形成される。導体接続部6は、実施例1と同じ形状に形成される。
【0075】
電気接触部17は、舌片形状に形成される。このような形状の電気接触部17には、ボルト挿通孔18が貫通形成される。電気接触部17は、この基端部が第一導体挟持部7における第一板状部10の側部に連成される。
【0076】
上記構成及び構造において、図中に示す如くフラット回路体1の剥き出し状態になった導体2を端子金具4の第一導体挟持部7(二つの突出部11)上に置き、この後に第二板状部14を折り曲げるようにして導体2を第一導体挟持部7及び第二導体挟持部8にて挟み込むと、導体2は導体接続部6に接続されて電気的な導通がとられる(導体2と導体接続部6との接続状態は
図3及び
図4参照)。
【0077】
導体2は、二つの突出部11により、対応する貫通孔15に押し込まれるような状態で変形をし、且つ二つの貫通孔15の周縁にそれぞれ形成される押さえ付け面16にて押さえられる。
【0078】
実施例4の導体接続構造は、実施例1と同じ効果を奏するのは勿論である。すなわち、従来よりも接続信頼性を向上させることができるという効果を奏する。
【0079】
実施例4の導体接続構造は、フラット回路体1の中間部分において電気的な導通をとる場合に有効である。
【0080】
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。