(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ヘアカット機器の刃のセットのためのセグメント化された固定刃であって、前記刃のセットは、毛を切断するために、移動方向において毛を通って移動するように構成され、前記刃は、
動作中、肌に面する壁部分として機能するように構成された第1の壁部分と、第2の壁部分と、中間壁部分と、を有し、少なくとも前記第1の壁部分は、実質的に平坦な態様で延在しており、
前記第1の壁部分、前記第2の壁部分、及び、前記中間壁部分は、固定的に相互接続されており、これにより、セグメント化された層を形成しており、
前記中間壁部分は、前記第1の壁部分と前記第2の壁部分との間に配置され、
前記第1の壁部分、前記第2の壁部分、及び、前記中間壁部分は、実質的に同等の全体的拡がりを有し、これにより、前記セグメント化された層の端部において、少なくとも1つの歯状の先端エッジを協働して形成し、
前記少なくとも1つの先端エッジは、相互に間隔を空けられた各スロットと交互である複数の相互に間隔を空けられた突起部を有し、これにより、複数の歯と各歯のスペースとを規定し、
前記歯状の先端エッジは、少なくとも部分的に、動作中に想定される前記移動方向に対する側面方向において延在しており、前記相互に間隔を空けられた突起部は、少なくとも部分的に、前記側面方向に対しておよそ直交する方向において突出しており、
前記中間壁部分は、少なくとも1つの切り出し部分を有し、前記中間壁部分において設けられた前記少なくとも1つの切り出し部分は、前記セグメント化されたスタックの前記少なくとも1つの先端エッジにおいて、前記中間壁部分の複数の残りの端部を規定しており、
前記中間壁部分における前記少なくとも1つの切り出し部分、前記第1の壁部分、及び、前記第2の壁部分は、これらの間に、可動刃のためのガイドスロットを規定しており、
前記中間壁部分に設けられた前記少なくとも1つの切り出し部分が、前記側面方向に対して直交する断面において見た場合に前記側面方向に対しておよそ直交する前記方向において突出している前記突起部の基本的にU字形状の歯形状を規定するため、前記セグメント化されたスタックの長手方向端部内へ長手方向に延在し、前記U字形状の歯形状が、前記第1の壁部分によって形成された第1の歯脚と、前記第2の壁部分によって形成された第2の歯脚と、前記第1の歯脚と前記第2の歯脚とを接続する前記中間壁部分の残りの端部によって形成された接続領域と、を有する、固定刃。
前記第1の壁部分が、第1の層を形成し、前記第2の壁部分が、第2の層を形成し、前記中間壁部分が、中間層を形成し、前記第1の層、前記第2の層、及び、前記中間層が、積層を形成する、請求項1記載の固定刃。
前記ガイドスロットの隙間高さが、少なくとも、前記少なくとも1つの先端エッジにおいて、前記第1の壁部分と前記第2の壁部分との間に配置された前記中間壁部分の厚さ寸法によって規定される、請求項1又は2に記載の固定刃。
前記第1の壁部分、前記第2の壁部分、及び、前記中間壁部分が、前記セグメント化されたスタックの第1の長手方向端部における第1の歯先端エッジと、前記セグメント化されたスタックの第2の長手方向端部における第2の歯先端エッジとを協働して形成し、前記第1の歯先端エッジ及び前記第2の歯先端エッジが、互いに反対方向を向いており、前記第1の歯先端エッジ及び前記第2の歯先端エッジの各々が、歯部分を有し、前記固定刃が、2つの対応する歯先端エッジを有する可動刃を収容するように構成される、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の固定刃。
前記中間壁部分における前記少なくとも1つの切り出し部分が、前記セグメント化されたスタックの横方向端部において、側面開口を更に規定する、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の固定刃。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
さらに、髭剃り及びトリミングの両方に基本的に適合した複合装置が知られている。しかしながら、これらの装置は、単に、2つの別個の区別される切断刃、いわゆる、上述のように設計されるような電気駆動カミソリの概念にマッチする構成を有するシェービング部分と、一方で、ヘアトリマーの概念にマッチする構成を有するトリミング部分とを含む。
【課題を解決するための手段】
【0008】
残念ながら、一般的な電気かみそりは、肌の上の所望の可変長さに髪を切るために、即ち、正確なトリミング動作には特に適していない。このことは、少なくとも部分的に、電気かみそりが、箔、及び、結果的には、肌から切断刃に間隔を空けるメカニズムを含まないという事実によって説明され得る。しかしながら、たとえ電気かみそりが、例えば、スペーサ櫛などの取り付けスペーサ部品を付加することによって、一般的に多数の小さい円形の穴を含む箔の構成を有したとしても、最も短い、及び、最も固い毛のほとんどの効率的な捉える能力を減少させるであろう。
【0009】
同様に、一般的なヘアトリマは、髭剃りには特に適していない。これは、主に、別個の切断刃が、変形することなく切断動作を実行すべく、特定の剛性、ひいては厚みを必要とするためである。それは、しばしば肌に近い毛の切断を阻害する肌に面する刃の最低限必要な刃の厚みである。結果、自身の体毛の髭剃り及びトリミングを所望するユーザは、2つの別個の機器を購入し、使用する必要があろう。
【0010】
さらに、髭剃り機能及びトリミング機能を併せ持った装置は、基本的に2つの切断刃のセット及び各駆動機構を必要とするため、幾つかの欠点を示す。結果、これらの装置は、標準的なタイプの単一目的のヘアカット機器よりも重たくなり、摩耗しやすくなり、また、高価な製造及び組み立てプロセスを必要とする。同様に、これらの複合装置を動作させることは、しばしば、不快且つ複雑となり過ぎる。2つの別個の切断部分を有する従来の髭剃り及びトリミングの複合装置が使用される場合であっても、装置の操作、及び、異なる動作モード間の切り替えは、煩わしいものであり、極めてユーザフレンドリでないと考えられ得る。切断部分は、一般的に、装置の異なる位置に供給されるため、ガイド精度(ひいては切断精度)が減少する。ユーザは、動作中、2つの別個の主要な把持位置に慣れる必要があるためである。
【0011】
本開示の目的は、代替的な固定刃、及び、髭剃りとトリミングとの両方を可能にする対応する刃のセットを提供することである。特に、固定刃及び刃のセットは、髭剃り動作及びトリミング動作の両方において、心地よいユーザエクスペリエンスに寄与し得る。より好ましくは、本開示は、例えば、上述のような、既知の従来技術のヘアカット刃固有の少なくとも幾つかの欠点を解決することができる。好ましくは、切断動作に必要な時間を減少させつつ、改善された動作性能を示し得る刃のセットを供給することが好適であろう。また、固定刃を製造するための対応する方法を供給することが好ましい。
【0012】
本開示の第1の態様では、ヘアカット機器の刃のセットのためのセグメント化された固定刃が提示され、かかる刃のセットは、毛を切断するために、移動方向において毛を通って移動されるように構成され、上記刃は、動作中、肌に面する壁部分として機能するように構成された第1の壁部分と、第2の壁部分と、中間壁部分とを有し、少なくとも第1の壁部分は、実質的に平坦(又は平坦)な態様で延在しており、第1の壁部分、第2の壁部分、及び、中間壁部分は、固定的に相互接続され、これにより、セグメント化されたスタックを形成し、中間壁部分は、第1の壁部分と第2の壁部分との間に配置され、第1の壁部分、第2の壁部分、及び、中間壁部分は、実質的に同等(又は同等)な全体的拡がりを有し、これにより、セグメント化されたスタックの端部において、少なくとも1つの歯先端エッジを協働して形成し、少なくとも1つの先端エッジは、相互に間隔を空けられたスロットの各々と交互である複数の相互に間隔を空けられた突起部を有し、これにより、複数の歯及び各歯スペースを規定し、歯先端エッジは、動作中に想定される移動方向に対する側面方向Y,tにおいて少なくとも部分的に延在し、相互に間隔を空けられた突起部は、横方向Y,tに対しておよそ直交する(又は直交する)長手方向X,rにおいて、少なくとも部分的に前に延在し、中間壁部分は、少なくとも1つの切り出し部分を有し、中間壁部分に設けられた少なくとも1つの切り出し部分は、セグメント化されたスタックの少なくとも1つの先端エッジにおいて、中間壁部分の複数の残りの端部を規定し、中間壁部分の少なくとも1つの切り出し部分、第1の壁部分、及び、第2の壁部分は、その間に可動刃のためのガイドスロットを規定する。
【0013】
この実施形態は、固定刃のキット状構造が、設計の自由度を著しく増加させ得るという見識に基づいている。結果、固定刃は、ヘアカット特性に沿った幾つかの要件に良好に適合され得る。これは、特に、本開示に従った刃のセットが、髭剃り動作及びトリミング動作の両方を対象にするためである。髭剃りに関する適正及びトリミングに関する適正が、幾つかの態様において、異なる特徴を必要とするため、固定刃の柔軟なレイアウト及び構造に備えることは特に有用である。(単一目的の)ヘアカットの刃のセットの従来的なレイアウト及び構造に関する設計境界を克服することが好適であろう。
【0014】
これに関し、第1の壁部分が、第1の層を形成し、第2の壁部分が、第2の層を形成し、中間壁部分が、中間層を形成し、第1の層、第2の層、及び、中間層が、積層を形成することが更に好ましい。特に、固定刃が複数の層から形成される場合、従来の固定刃設計に備わる過度の設計限界に直面することなく、各層は、実際の割り当てられた目的及び機能に良く適合され得る。
【0015】
本願の固定刃は、少なくとも1つの実質的にU字形状の先端エッジを有していてもよく、第1の肌接触壁と、第2の支持壁とを持っていてもよい。これらの壁は、反対側に延在し、一般的に互いに平行であり、一連の間隔を空けられたU字形状(即ち、二重壁)の歯の形で、先端エッジに沿って互いに接続されていてもよい。固定刃の全体のU字形状、より具体的には、歯のU字形状は、固定刃の構造を補強する。U字形状の歯の脚の間に、スロットが、供給されてもよく、可動刃は、スロット内に収容及びガイドされ得る。換言すれば、固定刃は、可動刃の歯のための一体化された保護ケージを同時に規定する複数の歯を有する一体化されたガード部分を有していてもよい。結果、固定刃の輪郭は、可動刃の歯が、固定刃を越えて外側に突き出ることができないような形を有していてもよい。
【0016】
特に、刃のセットの構造強度が、ヘアトリマの従来の単一の平面切断刃に比して、改善され得る。第2の壁部分は、刃のセットのための支柱として機能してもよい。刃のセットの全体剛性又は強度は、従来の髭剃り用かみそり機器に比して、同様に向上され得る。このことは、固定刃の第1の肌接触壁が、従来のヘアトリマ切断刃よりも著しく薄く作られることを可能にし、必要であれば、幾つかの実施形態では、その厚さは、かみそり箔の厚さに近づくような薄さである。
【0017】
同時に、固定刃は、十分な堅さ及び剛性を有する切断エッジ構成を供給してもよい。結果、強化された歯状の切断エッジは、外側へ延在していてもよく、上面から見た場合に、U字形状又はV字形状であってもよい各歯の間に歯スペースを有していてもよく、従って、基本的に、切断される毛の実際の長さには関わりなく、可動刃及び固定刃において設けられた切断刃に対して切断される毛を受け、ガイドし得る櫛状の受け部分を規定してもよい。結果、刃のセットは、より長い毛を効率的に捉えるように適合され、トリミング性能を著しく改善する。しかしながら、より長い毛を剃ることも、この態様では促進され得る。これは、従来の髭剃り機器の箔を有する場合と同様、切断される毛が、固定刃によって過度に曲げられることなく、刃の切断エッジへガイドされ得るためである。このため、固定刃は、正確な髭剃り性能及びトリミング性能の両方を供給することができる。
【0018】
ここで用いられるように、側面方向なる用語は、横方向のことを表していてもよく、円周方向(又は、接線方向)を表していてもよい。基本的に、刃のセットの線形構造が想定され得る。さらに、湾曲セグメント又は円形セグメントを有する形状を含み得る、刃のセットの湾曲構造又は円形構造が想定され得る。一般的に、側面方向は、動作中、意図された移動方向に対して(実質的に)直交するものとみなされ得る。後者の定義は、線形構造の実施形態及び湾曲構造の実施形態の両方に適用され得る。
【0019】
固定刃の歯を形成している間隔を空けられた突起部は、例えば、横方向及び/又は円周方向に間隔を空けられた突起部として構成されてもよい。突起部は、特に、線形構造の実施形態に関連して、平行に間隔を空けられてもよい。幾つかの実施形態では、突起部は、円周方向において間隔を空けられていてもよい、即ち、互いに角度付けられて位置決め又は配置されてもよい。ガイドスロットは、横方向に延在している、及び/又は、円周方向に延在しているガイドスロットを含み得る側面方向に延在しているガイドスロットとして配置されてもよい。また、ガイドスロットが、実質的に接線方向に延在しているガイドスロットであることも想定され得る。一般的に、第1の壁部分及び第2の壁部分が接続される充填領域は、第3の中間壁部分とみなされる、又は、第3の中間壁部分により形成され得る。換言すれば、第1の壁部分と第2の壁部分とは、それらの先端エッジにおいて、中間壁部分を介して間接的に接続されていてもよい。
【0020】
一般的に、固定刃及び可動刃は、固定刃に対する可動刃の線形運動又は回転運動に関し、可動刃の歯先端エッジが、固定刃の歯と協働して、切断動作において、固定刃と可動刃との間に捉えられた毛を切断可能とするように構成及び配置され得る。線形運動は、特に、線形的な切断動作の往復運動に関していてもよい。
【0021】
第1の壁部分、第2の壁部分、及び、中間壁部分は、実質的に対応する外面形状を持っていてもよい。換言すれば、第1の壁部分、第2の壁部分、及び、中間壁部分は、実質的に対応する長手方向の拡がりと実質的に対応する横方向の拡がりとを持っていてもよい。ガイドスロットを規定している切り出し部分は、各対応部分が切り出された後に残った中間壁部分における窪み又は穴とみなされてもよい。
【0022】
固定刃が形成される、複数のセグメント又は層を含むキット状構造アプローチのおかげで、幾つかの有用な設計目標が達成され得る。幾つかの実施形態では、少なくとも少なくとも1つの先端エッジにおいて、ガイドスロットの隙間高さt
clが、第1の壁部分と第2の壁部分との間に配置される中間壁部分の厚み寸法t
iによって規定されることが好ましい。結果、ガイドスロットの高さt
clが、正確に規定され、正確な(狭さの)許容範囲で形成されることができる。
【0023】
他の実施形態によれば、少なくとも第1の壁部分は、金属薄板壁部分であり、好ましくは、第1の壁部分、第2の壁部分、及び、中間壁部分の各々は、金属薄板壁部分である。結果、セグメント化されたスタックは、積層として、特に、三層スタックとして形成され得る。しかしながら、幾つかの代替的な実施形態では、少なくとも1つの薄板壁部分と薄板壁部分でない少なくとも1つの壁部分との組み合わせが実装されてもよいことが想定され得る。
【0024】
他の実施形態によれば、第1の壁部分が、高さ寸法t
1、特に、長手方向X,r及び横方向Y,tに直交する金属薄板壁厚さ寸法を持つ肌に面する壁部分として構成され、ここで、高さ寸法t
1は、約0.04mm乃至約0.3mmの範囲にあり、好ましくは、約0.04mm乃至約0.2mmの範囲にあり、より好ましくは、約0.04mm乃至約0.15mmの範囲にある。幾つかの実施形態では、各セグメント又は層が、異なる厚みを持ち得ることが特に好ましい。また、中間壁部分が、約0.05mm乃至約0.5mmの範囲、好ましくは、約0.05mm乃至約0.2mmの範囲にある隙間高さ寸法だけ、第1及び第2の壁部分から間隔を空けられていることによって、横方向に延在しているガイドスロットの高さを規定することが有用であろう。
【0025】
この点において、第2の壁部分が、肌に面する第1の壁部分の反対側の後部壁部分として構成され、第2の壁部分が、長手方向X,r及び横方向Y,tに直交する高さ寸法t
2、特に、金属薄板壁厚さ寸法を持ち、第2の壁部分の高さ寸法t
2と第1の壁部分の高さ寸法t
1との間の比が、約0.8:1乃至約5.0:1の範囲にあり、好ましくは、約1.2:1乃至約3.0:1の範囲にあり、より好ましくは、約1.5:1乃至約1.8:1の範囲にあることが好ましい。
【0026】
更に他の実施形態によれば、中間壁部分は、第1の壁部分及び第2の壁部分の各々に直接取り付けられ、第1の壁部分、第2の壁部分、及び、中間壁部分は、接着、特にレーザ溶接されている。この態様は、金属薄板層から形成される壁部分を含む実施形態との組み合わせにおいて、特に有用である。
【0027】
更に他の実施形態によれば、端部の数が、歯の数に対応し、中間壁部分の端部が、中間壁部分の別個の部分を形成していることが好ましい。固定刃は、幾つかのセグメントから形成されるため、少なくとも1つの切り出し部分は、セグメントが互いに接続される前に処理されることができる。このように、複雑な(内部)形状でさえ、比較的少ない努力により規定され得る。
【0028】
固定刃の他の実施形態では、中間壁部分に設けられた少なくとも1つの切り出し部分が、横方向に対して直交する断面において見た場合に前に延在する突起部の基本的にU字形状の歯形状を規定するため、セグメント化されたスタックの長手方向端部内へ長手方向に延在し、U字形状の歯形状が、第1の壁部分によって形成された第1の歯脚と、第2の壁部分によって形成された第2の歯脚と、第1の歯脚と第2の歯脚とを接続する中間壁部分の残りの端部によって形成された接続領域と、を有する。結果、固定刃の歯は、可動刃の歯を保護し包む保護ケージを規定し得る。これにより、皮膚炎及び/又は皮膚を傷付けるリスクが低減され得る。
【0029】
また、第1の壁部分、第2の壁部分、及び、中間壁部分が、セグメント化されたスタックの第1の長手方向端部における第1の歯先端エッジと、セグメント化されたスタックの第2の長手方向端部における第2の歯先端エッジとを協働して形成し、第1の歯先端エッジ及び第2の歯先端エッジが、互いに反対方向を向いており、第1の歯先端エッジ及び第2の歯先端エッジの各々が、歯部分を有し、固定刃が、2つの対応する歯先端エッジを有する可動刃を収容するように構成されることが好ましい。
【0030】
更に他の実施形態では、中間壁部分における少なくとも1つの切り出し部分が、セグメント化されたスタックの横方向端部において側面開口を更に規定する。側面開口は、少なくとも製造プロセスの過程において、可動刃のための挿入開口として機能し得る。
【0031】
本開示の他の態様は、ヘアカット機器のための刃のセットであって、刃のセットが、毛を切断するために移動方向において毛を通って移動されるように構成され、刃のセットが、本開示の原理の少なくとも幾つかに従って形成される固定刃と、少なくとも1つの歯先端エッジを具備する可動刃であって、可動刃は、切断動作において可動刃と固定刃との間に捉えられた毛の切断を可能とするため、固定刃に対して可動刃の線形運動又は回転に関し、可動刃の少なくとも1つの歯先端エッジが、固定刃の対応する歯と協働するように、固定刃によって規定されるガイドスロット内に移動可能に配置される可動刃と、を有する、刃のセットに関する。
【0032】
更に他の実施形態では、第2の壁部分も少なくとも1つの切り出し部分を有し、当該切り出し部分を通じて、駆動部材が、固定刃対して可動刃を駆動するために可動刃を係合するようガイドされることができる。
【0033】
本開示の他の態様は、モータを収容する筺体と、ここで設計されるような刃のセットとを有し、固定刃が、筺体に接続可能であり、モータが、固定刃のガイドスロット内で可動刃を線形的に駆動又は回転させることができるように、可動刃が、モータに動作可能に接続可能である、ヘアカット機器に関する。特に、刃のセットは、ここで議論される態様及び実施形態のうちの少なくとも幾つかに従って、形成されてもよい。
【0034】
本開示の更に他の態様は、ヘアカット機器のための刃のセットの固定刃を製造する方法であって、第1の壁部分、第2の壁部分、及び、中間壁部分を供給するステップであって、少なくとも第1の壁部分が、実質的に平坦な全体形状を有するステップと、中間壁部分において少なくとも1つの切り出し部分を形成するステップと、第1の壁部分と第2の壁部分との間に中間壁部分を配置するステップと、第1の壁部分、第2の壁部分、及び、中間壁部分を固定的に相互接続する、特に接着するステップであって、これにより、第1の壁部分と第2の壁部分とが、第1の壁部分と第2の壁部分との間に配置された中間壁部分における少なくとも1つの切り出し部分を少なくとも部分的に覆うように、セグメント化されたスタックを形成するステップと、を有し、第1の壁部分、第2の壁部分、及び、中間壁部分が、実質的に同等の全体寸法を有し、第1の壁部分、第2の壁部分、及び、中間壁部分を相互接続するステップが、セグメント化されたスタックの長手方向端部において、第1の壁部分、第2の壁部分、及び、中間壁部分が接続される少なくとも1つの先端エッジを形成するステップと、可動刃のためのガイドスロットを形成するステップであって、ガイドスロットは、中間壁部分における少なくとも1つの切り出し部分、第1の壁部分、及び、第2の壁部分によって規定され、中間壁部分は、少なくとも1つの先端エッジにおいて、少なくとも1つの切り出し部分によって規定される複数の残りの端部を更に有するステップと、セグメント化されたスタックの少なくとも1つの先端エッジにおいて、各スロットと交互である複数の相互に間隔を空けられた突起部を形成することによって、複数の歯及び各歯スペースを規定するステップと、を更に有する、方法に関する。
【0035】
上述のように、第1の壁部分、第2の壁部分、及び、中間壁部分が、それぞれ、第1の層、第2の層、及び、中間層によって形成されることが更に好ましい。幾つかの実施形態では、上記層の少なくとも1つが、実質的に平坦な形状の横方向の拡がり及び長手方向の拡がりを有していてもよい。
【0036】
上記方法は、更に、少なくとも第1の壁部分が、ストリップ材料として供給され、第1の壁部分、第2の壁部分、及び、中間壁部分を相互接続する前に、第1の壁部分、第2の壁部分、及び、中間壁部分を位置決めする、特に、長手方向及び横方向に位置決めするステップと、ストリップ材料を分離する、特に切断することによって、セグメント化されたスタックを形成するセグメントを得るステップと、を更に有することで、発展され得る。
【0037】
第1の壁部分、第2の壁部分、及び、中間壁部分の各々が、ストリップ材料として、特に、フィードコイルから供給されるストリップ材料として供給されることが好ましく、これは、大量生産に特に適している。
【0038】
幾つかの実施形態では、上記位置決めステップが、第1の壁部分、第2の壁部分、及び、中間壁部分において、位置決め要素、特に穴を作成するステップと、第1の壁部分、第2の壁部分、及び、中間壁部分を相互接続する前に位置決め要素を係合させるステップと、更にを有し、上記位置決めステップが、好ましくは、横方向及び長手方向の位置決めを有していてもよい。上記位置決めステップは、ストリップ材料ベースの第1の壁部分、第2の壁部分、及び、中間壁部分を一緒に供給するステップを更に有し、当該ステップは、第1の壁部分、第2の壁部分、及び、中間壁部分の各々のためのストリップ材料に設けられた位置決め要素の各係合を同期化するステップを更に有していてもよい。
【0039】
第1の壁部分、中間壁部分、及び、第2の壁部分を接着するステップは、第1の壁部分、中間壁部分、及び、第2の壁部分を溶接、特にレーザ溶接するステップを更に有していてもよい。
【0040】
ストリップ材料を分離するステップは、切断済みのセグメント化されたスタックの側面端部において側面開口を作成するステップを更に有していてもよく、当該側面開口が、可動切断刃の挿入のために構成されていてもよい。
【0041】
少なくとも1つの先端エッジにおいて前に延在している突起部を形成するステップは、セグメント化されたスタックの先端エッジにおいて、複数の歯形状の突起部を形成するステップと、歯形状の突起部を材料除去処理するステップであって、これにより、固定刃の歯先端エッジを得るステップと、を更に有していてもよい。
【0042】
セグメント化されたスタックの先端エッジにおいて、複数の歯形状の突起部を形成するステップは、好ましくは切断により、より好ましくはワイヤエローディング(wire eroding)により、先端エッジの残りの歯部分の間に複数の歯のギャップを形成するステップを更に有していてもよい。
【0043】
歯形状の突起部を材料除去処理するステップは、歯形状の突起部の少なくとも外方向を向く外形を、特に、電気化学的研磨によって、少なくとも部分的に、丸める、又は、面取りするステップを更に有していてもよい。
【0044】
本開示の更に他の態様は、ヘアカット機器のための刃のセットを製造する方法であって、ここで設計される態様の少なくとも幾つかに従って、固定刃を製造するステップと、固定刃の少なくとも1つの各歯先端エッジと協働するように構成された少なくとも1つの歯先端エッジを有する可動切断刃を供給するステップと、可動切断刃をガイドスロット、固定刃の第1の壁部分及び第2の壁部分の中に挿入する、特に、可動切断刃を、セグメント化されたスタックの横方向端部における側面開口に通すステップと、を有する、方法に関する。
【0045】
本開示のこれらの及び他の特徴及び利点が、図示のためであり、本開示を限定しない添付の図面を参照して、本開示の特定の実施形態の以下の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1は、簡略化された斜視図において、ヘアカット機器10、特に、電気的ヘアカット機器10の例示的な実施形態を概略的に図示している。カット機器10は、筺体12と、筺体12において点線ブロック14で示されるモータと、筺体12において点線ブロック16で示される駆動機構と、を含んでいてもよい。モータ14に給電するために、カット機器10の少なくとも幾つかの実施形態では、例えば、充電式電池、交換可能電池などの、筺体12において点線ブロック17で示される電池が供給され得る。しかしながら、幾つかの実施形態では、カット機器10は、電源に接続するための電源ケーブルを更に備えていてもよい。電源コネクタは、(内部)電池17に加えて、又は、(内部)電池17の代わりに、供給され得る。
【0048】
カット機器10は、切断ヘッド18を更に有していてもよい。切断ヘッド18において、刃のセット20が、ヘアカット機器10に取り付けられ得る。刃のセット20は、切断動作を可能とするために、駆動機構16を介して、モータ14により駆動され得る。
【0049】
切断動作は、一般的に、
図2乃至
図18においてより詳細に図示され、以下において詳述される固定刃22と可動刃24との間の相対運動としてみなされてもよい。一般的に、ユーザは、毛を切るために、カット機器10を把持し、毛を通して移動方向28にガイドし得る。幾つかのアプリケーションでは、カット機器10、又は、より具体的には、刃のセット20を含む切断ヘッド18は、肌において成長する毛を切断するために肌に沿って移動されることができる。肌の近くで毛を切断する場合、肌の高さにおいて切断(又は、切る)ことを目的として、基本的に、シェービング動作が、実行され得る。しかしながら、クリッピング(又は、トリミング)動作、即ち、刃のセット20を有する切断ヘッド18が、肌に対して所望の距離における経路に沿って移動されることが想定され得る。従来技術の刃は、一般的に、肌近くにおける滑らかなシェービングと、肌から距離を空けた切断(又は、トリミング)との両方を供給することができない。
【0050】
毛に沿ってガイド又は導かれる場合、刃のセット20を含むカット機器10は、一般的に、
図1において参照符号28により示される共通の移動方向に沿って移動される。これに関し、ヘアカット機器10が一般的に手動でガイド及び移動されるとすると、移動方向28は、必ずしも、カット機器10及びその刃のセット20に適合する切断ヘッド18の向きについての固定の定義及び関連を持つ正確な幾何学的基準エンティティであるとして解釈される必要はないことは言及する価値がある。つまり、肌において切断される毛に対するヘアカット機器10の全体の向きは、幾らか不規則であると解釈され得る。しかしながら、図示目的のため、(仮想的な)移動方向は、以下、刃のセット20の構造的特徴を説明するための手段として機能する座標系の主軸に対して平行(又は、およそ平行)であると正しく仮定されることができる。
【0051】
参照しやすいように、座標系は、
図1乃至
図18の幾つかにおいて示されている。一例として、直交座標系X−Y−Zが、
図1乃至
図13の幾つかにおいて示されている。各座標系のX軸は、本開示の目的のため、一般的に長さに関連している長手方向において延在している。座標系のY軸は、本開示の目的のため、一般的に幅に関連している横方向(又は、側面方向)において延在している。座標系のZ軸は、説明の目的のため、少なくとも幾つかの実施形態において、一般的に垂直な方向として、高さ又は厚み方向において延在している。固定刃の特徴及び/又は拡がりに対する座標系の関連性は、主に、説明目的のために供給されており、本発明を限定するものとして解釈されるべきではないことは言うまでもない。当該技術分野における当業者は、代替的な実施形態、異なる向きを含む図面及び図示に直面した場合、ここで供給される座標系を容易に変換及び/又は変形することができることが理解されるべきである。これに関し、注目すべきは、
図2乃至
図13において図示される刃のセット20の(線形的な)実施形態は、一般的に、ただ1つの長手方向端部において、単一の歯切断エッジを有する単一側面レイアウト、又は、固定刃22及び移動刃24の各歯先端エッジによって相互に規定される2つの一般的に対向する歯切断エッジを有する2重側面レイアウトを含んでいてもよいことである。
【0052】
図14,
図15a及び
図15bに示される刃のセット20aの代替的な実施形態と関連して、代替的な座標系が、主に説明目的のために提示されている。
図14に見られるように、基本的に高さ(又は厚み)を示している直交座標系の軸Zに対応し得る中心軸Lを持つ極座標系が提供されている。また、中心軸Lは、回転の中心軸とみなされてもよい。さらに、中心軸Lからの半径方向又は距離rが、
図14,
図15a及び
図15bに示されている。また、角度位置を示している座標δ(デルタ)が、基準半径方向と現在の半径方向との間の角度を図示するように供給されていてもよい。さらに、湾曲矢印t´、特に、円周方向の矢印t´が、
図14,
図15a及び
図15bに図示されている。湾曲矢印t´は、円周方向及び/又は接線方向を示し、これらは、
図14に示される真っ直ぐな接線方向の矢印tによっても示されている。ある実施形態と関連して説明される本開示の幾つかの態様が、特定の開示の実施形態に現在されず、従って、直交座標系又は円筒座標系と関連して紹介及び提示されるかどうかに関わりなく、他の実施形態に容易に変形及び適用されることができることが、当該技術分野における当業者によって、容易に理解されるであろう。
【0053】
可動刃24と固定刃22との間の切断動作は、基本的には、例えば、
図3(参照符号30)で示される、線形的な相対運動、特に、往復線形運動を含んでいてもよい。しかしながら、特に、
図14,
図15a及び
図15bに示される実施形態と関連して、固定刃22と可動刃24との間の相対的な切断運動が、(相対的な)回転を含んでいてもよいことが理解されるであろう。切断回転運動は、単一方向の回転を含んでいてもよい。さらに、代替的には、切断運動は、双方向の回転、特に振動を含んでいてもよい。線形的及び/又は回転切断運動を可能にする、カット機器10のための駆動機構16の幾つかの配置が、当該技術分野において知られている。特に、振動切断運動を参照して、湾曲した又は円形の刃のセット20aは、必ずしも、完全な円形態様で形作られる必要はないことを更に留意する。対照的に、湾曲した又は円形の刃のセット20aは、単なる円形セグメント又は湾曲セグメントとして形作られてもよい。また、これに関し、当該技術分野における当業者は、特に、極めて大きな半径を持つ回転切断運動のために構成された円形の刃のセット20aは、理解のために、特に、各先端エッジの一部又は円形セグメントのみが考えられる場合、およそ線形形状の刃のセットとして解釈され得ることを理解することを言及する価値があるであろう。結果、線形的な実施形態を規定及び説明するための直交座標系も、
図14に変形及び図示され得る。
【0054】
図2乃至
図13は、
図1に説明される線形形状の刃のセット20の実施形態及び態様を図示している。
図2及び
図3に見られるように、刃のセット20は、固定刃22(即ち、一般的に、カット機器10のモータ14によって直接的には駆動されない刃のセット20の刃)を有する。さらに、刃のセット20は、可動刃24(即ち、カット機器10に取り付けられた場合、固定刃22に関して切断運動を生成するためにモータ14によって駆動され得る刃のセット20の刃)を有する。線形的な(往復)切断運動が、参照符号30で示される両方向矢印によって、
図3に図示されている。換言すれば、可動刃24は、側面方向(又は、横方向)(
図3におけるY軸を参照)に沿って、固定刃22に対して移動され得る。一般的に、線形切断運動は、相対的に小さい双方向ストロークを含んでいてもよく、従って、往復線形運動として解釈され得る。さらに、(想定される)移動方向28が
図3に図示されている。理論上は、毛を切る場合、カット機器10、ひいては刃のセット20は、横方向又は側面方向Yに対して直交する方向28に沿って移動されるべきである。この
図14,
図15a及び
図15bに示される円形の又は湾曲した刃のセット20aの代替的な実施形態に関し、更に言及すると、この形状に関し、(仮想的な)理想の移動方向28は、切断される毛を通ってガイドされる送り運動の間、刃のセット20aの前方向の先端において、接線方向又は円周方向tに対して直交していることが明確になる。換言すれば、湾曲した、又は、円形の刃のセット20aの実施形態のための理想の移動方向28は、一般的に、実際の先端に対して中心軸Lから延在している実際の半径方向rとと一致し得る。
【0055】
しかしながら、動作中、実際の送り運動方向は、(仮想的な)理想の移動方向28とは著しく異なることが強調される。従って、恐らく、動作中、軸運動方向は、横方向Y又は接線方向tに対して完全に垂直ではなく、その結果、長手方向Xに対して完全に平行ではないであろうことが理解されるべきである。
【0056】
図2乃至
図13に示される刃のセット20の線形的な実施形態に戻って、切断方向30において可動刃24を駆動するため可動刃24に結合され得る駆動係合部材26を図示している
図3に対して更なる説明がなされる。この目的のため、駆動係合部材26は、可動刃24に取り付けられる、又は、固定されていてもよい。刃のセット20が、カット機器10に取り付けられている場合、駆動係合部材26は、動作中、モータ16によって駆動されるために、駆動機構16に結合されていてもよい。
【0057】
図4において最もよく分かるように、
図2及び
図3に関して、高さ方向Zに対して垂直な上面から見た場合に、刃のセット20は、基本的に、矩形の形状又は外形を有していてもよい。固定刃22は、長手方向端部において、少なくとも1つの先端エッジ32,34を有していてもよい。より具体的には、少なくとも1つの先端エッジ32,34は、本開示の目的のため、少なくとも1つの歯先端エッジ32,34について示していてもよい。
図4に示される実施形態によれば、固定刃22は、第1の先端エッジ32及び第2の先端エッジ34を有し、第1の先端エッジ32及び第2の先端エッジ34は、互いに反対を向いている。先端エッジ32,34の各々は、複数の突起部36及びその間の各スロットを備えていてもよい。幾つかの実施形態では、突起部36は、実質的に、長手方向X(又は、半径寸法r)において突出している。換言すれば、突起部36の長手方向の拡がりは、側面方向又は横方向Y(又は、接線方向t)に沿った幅の拡がりよりも極めて大きくてもよい。説明の目的のためであって、限定する意図であると理解されるべきでないが、突起部36は、以下では、長手方向に延在している突起部36として示されてもよい。長手方向に延在している突起部36は、それぞれ外側を向いている先端38を有していてもよい。長手方向に延在している突起部36は、固定刃22の各歯40を規定していてもよい。各先端エッジ32,34に沿って、歯40は、各歯スペース42と交互に現れ得る。刃のセット20の例示的な実施形態は、約8mm乃至約15mmの範囲にある、好ましくは約8mm乃至約12mmの範囲にある、より好ましくは約9.5mm乃至約10.5mmの範囲にある全体長手方向寸法l
loを有していてもよい。刃のセット20は、約25mm乃至約40mmの範囲にある、好ましくは約27.5mm乃至約37.5mmの範囲にある、より好ましくは約31mm乃至約34mmの範囲にある全体横方向拡がりl
toを有していてもよい。この点においては、
図18も参照されたい。しかしながら、この例示的な実施形態は、全体の開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0058】
本開示に従った刃のセット20,20aは、広い適用性を提供し、好ましくは、シェービング及びトリミング(又は、クリッピング)動作の両方をカバーする。これは、少なくとも部分的に、可動刃24を少なくとも部分的に包囲及び収容し得る固定刃の筺体機能のためである。さらに、
図5及び
図6を参照すると、
図4の線分V−Vに沿った刃のセット20の側面断面図、及び、各詳細図が、示されており、以下説明される。
図5から分かるように、固定刃22は、第1の壁部分44と、第2の壁部分46と、その間に配置された中間壁部分48と、を有していてもよい。
図5及び
図6と関連して、各壁部分44,46,48の網掛け部分が、固定刃22が、必ずしも個別の層又は薄片からなっている必要はないことを示していてもよいことが認められているが、幾つかの実施形態では、固定刃22は、実際は、第1の壁部分44、第2の壁部分46、及び、中間壁部分48を形成している単一の一体的部分からなっていてもよいことに留意すべきである。あるいは、幾つかの実施形態において、固定刃22は、2つの別個の部分からなっていてもよく、当該部分の少なくとも1つは、第1の壁部分44、第2の壁部分46、及び、中間壁部分48のうちの少なくとも2つを形成してもよい。さらに、幾つかの代替的な実施形態では、第1の壁部分44、第2の壁部分46、及び、中間壁部分48のうちの少なくとも1つが、2つ以上の層又はセグメントからなっていてもよいことに留意する価値がある。
【0059】
ここで用いられる、第1の壁部分44なる用語は、一般的に、カット機器10の動作中、肌に面している固定刃22の壁部分を表している。結果、第2の壁部分46は、動作中、肌から離れる方向を向いており、カット機器10の筺体12の方を向いている固定刃の壁部分とみなされ得る。引き続き
図4を参照すると、
図11の拡大図を特に参照して、固定刃22の好適な実施形態が説明される。
図11は、
図3にも表されている刃のセット20の拡大斜視図を示している。
図11から分かるように、好ましい実施形態では、第1の壁部分44は、第1の壁セグメント50、特に第1の層50によって形成され得る。第1の層50は、肌に面する層としてみなされ得る。第2の壁部分は、第2の壁セグメント52、特に第2の層52によって形成され得る。第2の層52は、動作中、肌から離れる方向を向いている層としてみなされ得る。中間壁部分48は、中間壁セグメント54、特に中間層54によって形成され得る。これらを組み立て、固定する場合、中間層54は、第1の層50と第2の層52との間に配置される。
【0060】
図11において最もよく分かるように、中間層54は、必ずしも、単一の一体的な部分である必要はない。代わりに、少なくとも高度な製造過程において、少なくとも中間層54は、以下、より詳細に示され、説明されるように、複数の別個のサブ部品からなっていてもよい。これらをまとめた場合、例えば、しっかりと相互接続した場合、第1の層50、第2の層52、及び、中間層54は、セグメント化されたスタック56、より好ましくは、積層56を規定し得る。例示的な実施形態では、積層56は、三重積層56としてみなされ得る。固定刃22を複数の壁部分44,46,48で形成する、又は、好ましくは、複数の層50,52,54で形成することは、基本的に、別個の単一部分又は異なるタイプ及び形状の層の利用を可能とする。例えば、特に
図6を参照すると、(平均)厚さt
1としても称される、第1の壁部分44(又は、第1の層50)の高さ寸法t
1は、(平均)厚さt
2としても称される、第2の壁部分46(又は、第2の層52)の高さ寸法t
2とは異なっていてもよく、(平均)厚さt
iとしても称される、中間壁部分48(又は、中間層54)の高さ寸法t
iと異なっていてもよい。この態様において、壁部分44,46,48(又は、層50,52,54)の各々が、意図された機能に適切に適合する別個の特性及び別個の形状を持ち得るため、これは、特に有用である。
【0061】
例えば、厚さt
2は、厚さt
1よりも著しく大きくてもよい。この態様では、第2の壁部分46(又は、第2の層52)は、補強部材として機能し、かなりの剛性を供給し得る。結果、第1の壁部分44(又は、第1の層50)は、固定刃22を柔らかくし過ぎることなく、極めて薄くなることができる。特に、薄い第1の壁部分44(又は、第1の層50)を供給することは、肌に近い、特に肌の高さにおける毛の切断を許容する。この態様では、滑らかなシェービング体験が達成され得る。スタック56の全体の高さ寸法t
oは、基本的に、各部分高さ寸法t
1,t
2,t
iによって規定される。これに関し、幾つかの実施形態では、第1の壁部分44(又は、第1の層50)の厚さt
1と第2の壁部分46(又は、第1の層52)の厚さt
2とが、同一、又は、少なくとも、実質的に同一であってもよいことに留意する価値がある。他の実施形態では、中間壁部分48(又は、中間層54)の厚さt
iも同じであってもよい。
【0062】
一例として、少なくとも少なくとも1つの先端エッジ32,34における厚さt
1は、約0.04mm乃至約0.25mmの範囲、好ましくは約0.04mm乃至約0.18mmの範囲、より好ましくは約0.04mm乃至約0.14mmの範囲にあってもよい。少なくとも少なくとも1つの先端エッジ32,34における厚さt
2は、約0.08mm乃至約0.4mmの範囲、好ましくは約0.15mm乃至約0.25mmの範囲、より好ましくは約0.18mm乃至約0.22mmの範囲にあってもよい。少なくとも少なくとも1つの先端エッジ32,34における厚さt
iは、約0.05mm乃至約0.5mmの範囲、好ましくは約0.05mm乃至約0.2mmの範囲にあってもよい。少なくとも少なくとも1つの先端エッジ32,34における全体厚さt
oは、約0.3mm乃至約0.75mmの範囲、好ましくは約0.4mm乃至約0.5mmの範囲にあってもよい。
【0063】
幾つかの実施形態では、一般的に、少なくとも、先端エッジ32,34における長手方向の突起部において、第1の壁部分44が、第2の壁部分46の平均厚さt
2よりも小さい平均厚さt
1を持つことが好ましい。また、本開示の固定刃22,22aの全ての実施形態が、先端エッジにおいて、第1の壁部分44の平均厚さt
1よりも大きい、平均厚さt
2を持つ第2の壁部分46を少なくとも先端エッジにおいて含む必要はないことに留意する。
【0064】
引き続き
図5を参照すると、固定刃22の少なくとも1つの先端エッジ32,34における少なくとも1つの充電領域58が示されている。充填部分58は、先端エッジ32,34において第1及び第2の壁部分44,46(又は、層50,52)を接続する中間壁部分48(又は、中間層52)の一部としてみなされ得る。
図5,
図6,
図10及び
図11から分かるように、少なくとも完成した状態において、充電領域58は、各先端エッジ32,34における歯40の数に対応し得る複数のサブ部分からなっていてもよい。先端エッジ32,34における充電領域58に隣接して、固定刃22が、少なくとも部分的に、可動刃24を包囲する、少なくとも1つの筺体領域92が供給されていてもよい。換言すれば、切断動作中、カット機器10のモータ14によって駆動される場合、少なくとも1つのガイドスロット76(特に、
図3,
図9,
図10及び
図16c参照)が、可動刃24のためのガイド経路として機能するように規定され得る。
図10,
図11,
図16a及び
図16cから最もよく分かるように、ガイドスロット76は、基本的に、中間壁部分48(又は、中間層54)における切り出し部分68によって、規定され得る。幾つか実施形態では、切り出し部分68は、固定刃22の側面端部又は横方向端部に延在しており、これにより、製造中、可動刃24が、固定刃22に挿入され得る、側面開口78を規定している(
図9及び
図10参照)。
【0065】
ガイドスロット76は、
図2乃至
図13に図示される刃のセット20の例示的な線形的実施形態の可動刃24のための線形の経路を規定してもよい。しかしながら、
図14,
図15a及び
図15bに示される刃のセット20aの湾曲又は円形の実施形態を参照すると、ガイドスロット76は、湾曲した経路、特に、(湾曲した又は円形の)可動刃24の各々のための円周方向に延在している経路を規定してもよい。
【0066】
図5に戻り、更に、
図11を参照して、基本的に横方向及び長手方向に延在している固定刃の表面80,82,84,86,88及び90が説明される。参照しやすいように、第1の層50、第2の層52、中間層54なる用語は、以下では、固定刃22の一般的なレイアウトを説明するために用いられる。しかしながら、これは、限定する意図で解釈されるべきではなく、従って、層なる用語は、オプションで、それぞれ、壁部分及び壁セグメントなる代替的な用語で置き換えられてもよいことが強調される。
【0067】
動作中、肌の方を向いている第1の層50は、肌から離れる方を向いている第1の表面80と、肌の方を向いている第2の表面86と、を有していてもよい。第2の層52は、肌から離れる方を向いている第2の表面88と、肌及び第1の層50の方を向いている第1の表面90と、を有していてもよい。中間層54は、第1の層50の方を向いている第1の表面84と、第2の層52の方を向いている第2の表面90と、を有していてもよい。第1の層50及び第2の層52の第1の表面80,82の各々は、少なくとも部分的に、中間層における切り出し部分68を覆っていてもよく、少なくとも1つの筺体領域92、ひいては、可動刃24のためのガイドスロット76を規定していてもよい。
【0068】
少なくとも1つの先端エッジ32,34において、特に、固定刃22の第1の層50の肌に面する第2の表面86において、少なくとも1つの移行領域94が、滑らかな移行領域94を示し得るように備えられていてもよい。
図5及び
図6に示される固定刃22の例示的な実施形態は、各長手方向端において、各先端エッジ32,34を有するため、2つの各移行領域94が設けられ得る。少なくとも1つの移行領域は、毛を切断するために肌の上の毛を通る移動方向28に沿って動かされた場合に、刃のセット20のスライド可能特性を高めることができる。特に、少なくとも1つの移行領域94は、刃のセット20、特に、切断のために使用される先端エッジ32,34が、肌に沿ってスライドされた場合に、肌部分に深く入ることを防止する。このようにして、皮膚炎が避けられ得る。好ましくは、このようにして、皮膚切開も避けられ得る、又は、少なくとも、大幅にその可能性が減少し得る。移行領域94は、第1の層50の平坦領域98に接続され、そこから延在していてもよい。この実質的に平坦な領域98は、基本的に、第1の層50の第2の表面86の平面形状の部分としてみなされてもよい。一般的に、ここで用いられる、実質的に平坦なる用語は、平面形状を含み得るが、わずかに不均一な表面も含み得る。実質的に平坦な領域98は、全体的な平坦又は平面形状を実質的に損なわない、小さい凹みなどの穿孔を有していてもよいことに言及する価値がある。幾つかの実施形態では、実質的に平坦な領域98は、平面を含み得る。これは、特に、少なくとも第1の層50が、本来的に、シート又はシート状材料として供給される場合に適用される。移行領域94は、先端エッジ32の相当部分に及んでいてもよい。特に、移行領域94は、第1の層50における実質的に平坦な領域98と第2の層52における実質的に平坦な領域100とを接続してもよい。また、実質的に平坦な領域100は、平坦又は平面領域として形作られていてもよいが、その全体的な平坦形状を損なわない(小さい)穿孔又は凹みを備えていてもよい。
【0069】
図4から最もよく分かるように、線分V−Vを参照すると、
図5及び
図6に図示された断面は、先端エッジ32,34の歯40の先端102を通る長手方向の断面を含む。結果、移行領域94も、歯先端エッジ32,34の歯40において、主に形成され得る。移行領域94は、固定刃22の歯先端102と実質的に平坦な領域98との間に、長手方向の拡がりlt
1を有していてもよい。一例として、長手方向の拡がりlt
1は、約0.5mm乃至約1.5mmの範囲、好ましくは約0.6mm乃至約1.2mmの範囲、より好ましくは約0.7mm乃至約0.9mmの範囲にあってもよい。さらに、移行領域94は、幾つかのセクションを有していてもよい。
図5及び
図6から分かるように、移行領域94は、実質的に平坦な領域98,100に接線方向に合流する実質的な凸面を有していてもよい。さらに、移行領域94は、実質的に平坦な領域98(即ち、高さ方向Z)から突き出ていない。換言すれば、移行領域94は、実質的に平坦な領域98から後方へ、さらに、第2の層52の方へ向かって延在し得る。移行領域94は、少なくとも部分的に、高さ方向Zにおいて、実質的に平坦な領域98から離れるように延在し得る。
【0070】
図6から最もよく分かるように、移行領域94は、底半径R
tbを有していてもよい。一例として、底半径R
tbは、約1.0mm乃至約5.0mmの範囲、好ましくは約2.0mm乃至約4.0mmの範囲、より好ましくは約2.7mm乃至約3.3mmの範囲にあってもよい。さらに、先端の丸み116が、少なくとも1つのエッジ半径を含み得るように供給されてもよい。特に、先端の丸み116は、第1のエッジ丸みR
t1と、第2のエッジ丸みR
t2とをを有していてもよい。一例として、第1のエッジ丸みR
t1は、約0.10mm乃至約0.50mmの範囲、好ましくは約0.15mm乃至約0.40mmの範囲、より好ましくは約0.20mm乃至約0.30mmの範囲にあってもよい。また、一例として、第2のエッジ丸みR
t2は、約0.03mm乃至約0.20mmの範囲、好ましくは約0.05mm乃至約0.15mmの範囲、より好ましくは約0.07mm乃至約0.10mmの範囲にあってもよい。底半径R
tb、第1のエッジ丸みR
t1、及び、第2のエッジ丸みR
t2は、互いに、接線方向で合流してもよい。しかしながら、代替的に又は追加的に、それぞれの真っ直ぐな部分が、各半径に接線方向で接続され得るように、その間に供給され得る。底半径R
tbは、実質的に平坦な領域98に接線方向で合流してもよい。また、第2のエッジ丸みR
t2は、実質的に平坦な領域100に接線方向で合流してもよい。
【0071】
しかしながら、
図7a及び
図8から最もよく分かるように、移行領域94も、底半径R
tbを置換又は補完し得る傾斜部分124を備えていてもよい。傾斜部分124は、長手方向X及び横方向Yと実質的に並行な水平面に対して面取り角α(アルファ)を有していてもよく、ここで、面取り角αは、約25°乃至約35°の範囲にあってもよい。好ましくは、傾斜部分は、実質的に平坦な領域98に接線方向で合流する。より好ましくは、傾斜部分124は、先端の丸み116に接線方向に合流する。
図4から分かるように、線分VII−VIIを参照すると、
図7aは、歯スペース42を含む歯のセット20の部分断面図を示している。
【0072】
換言すれば、移行領域94は、底半径R
tbと傾斜部分124との組み合わせを含んでいてもよい。換言すれば、底半径R
tbは、実質的に平坦な領域98と面取り角αを含む傾斜部分124との間の接線方向の移行として機能してもよい。傾斜部分124の長手方向の端部に面する端部において、傾斜部分124は、例えば、上述の第1のエッジ丸みR
t1と第2のエッジ丸みR
t2とによって規定され得る先端の丸み116に接線方向で合流してもよい。
【0073】
さらに、
図11及び
図4を参照して、可動刃24のレイアウトが、より詳細に説明される。可動刃24も、少なくとも1つの先端エッジを備えていてもよい。
図4及び
図11に示される刃のセット20の例示的な実施形態によって示されるように、可動刃24は、第1の先端エッジ106と、第2の先端エッジ108とを有していてもよい。先端エッジ106,108の各々は、複数の歯110を備えていてもよい。可動刃24と固定刃22との間の相対的な切断動作を可能にするために適合された刃のセット20の幾つかの実施形態において、ただ1つの固定刃先端エッジ32と、それぞれ単一の可動刃先端エッジ106とが供給され得ることは言うまでもない。しかしながら、多くのアプリケーションのために、固定刃22における2つの先端エッジ32,34と、可動刃24における2つの対応する先端エッジ106,108とを含む刃のセット20の構成が、特に有用であろう。これは、カット機器10が、より柔軟になり、例えば、切断性能を改善し得る移動方向28に沿った肌における前後の動きなどのカット動作を許容し得るためである。換言すれば、
図2乃至
図13に図示される刃のセット20の実施形態は、一般的に、刃22,24のただ1つの長手方向端部において単一の切断エッジを有する単一側面レイアウト、又は、各先端エッジ32,34及び106,108によって相互に規定される2つの一般的に対向する切断エッジを有する両面レイアウトに関するものである。
【0074】
図12及び
図13を参照して、固定刃22の歯40及び可動刃24の歯110の関連寸法が説明される。
図12は、刃のセット20の歯部分の部分的な拡大上面図を図示しており、
図13は、点線によって隠された端部を示すことによって、
図12に示される図を詳述している。固定刃22の歯40は、ピッチ寸法pで配置されている。一例として、ピッチpは、約0.4mm乃至約1.0mmの範囲、好ましくは約0.5mm乃至約0.8mmの範囲、より好ましくは約0.6mm乃至約0.7mmの範囲にあってもよい。また、歯40は、横方向の拡がりW
tsを有する。一例として、横方向の拡がりW
tsは、約0.25mm乃至約0.60mmの範囲、好ましくは約0.30mm乃至約0.50mmの範囲、より好ましくは約0.35mm乃至約0.45mmの範囲にあってもよい。固定刃の歯スペース42は、横方向の拡がりW
ssを有する。一例として、横方向の拡がりW
ssは、約0.15mm乃至約0.40mmの範囲、好ましくは約0.20mm乃至約0.33mmの範囲、より好ましくは約0.25mm乃至約0.28mmの範囲にあってもよい。また、歯40は、その先端102と各歯のベース104との間に、長手方向の拡がりl
tsを有する。一例として、長手方向の拡がりl
tsは、約0.6mm乃至約2.5mmの範囲、好ましくは約1.0mm乃至約2.0mmの範囲、より好ましくは約1.5mm乃至約2.0mmの範囲にあってもよい。
【0075】
また、対応して、可動刃24の歯は、長手方向寸法l
tm、(平均の)横方向の歯の拡がりw
tm、及び、(平均の)横方向の歯スペースの拡がりw
smを有していてもよい。一例として、長手方向の拡がりl
tmは、約0.15mm乃至約2.0mmの範囲、好ましくは約0.5mm乃至約1.0mmの範囲、より好ましくは約0.5mm乃至約0.7mmの範囲にあってもよい。また、固定刃22の歯40の先端102と可動刃24の歯110の先端112との間において、長手方向のオフセット寸法l
otが規定される。一例として、長手方向のオフセット寸法l
otは、約0.3mm乃至約2.0mmの範囲、好ましくは約0.7mm乃至約1.2mmの範囲、より好ましくは約0.8mm乃至約1.0mmの範囲にあってもよい。
図13に示されるような、上面図から分かるように、固定刃22の歯40の先端102は、テーパ角度β(ベータ)を有していてもよい。テーパ角度βの各脚の間に、先端102の端部において、丸い先端部分が、横方向の歯の先端幅w
ttを有して設けられてもよい。幾つかの実施形態では、先端102のテーパ角度βは、約30°乃至約50°の範囲、より好ましくは約35°乃至約45°の範囲、更に好ましくは約38°乃至約42°の範囲にあってもよい。刃の先端102の横方向の幅は、約0.12mm乃至約0.20mmの範囲、好ましくは約0.14mm乃至約0.18mmの範囲にあってもよい。
【0076】
図5及び
図6に戻り、刃のセット20のセグメント化された構造の形状の更に有用な側面が、より詳細に図示及び説明される。
図6から最もよく分かるように、可動刃24の歯110と固定刃22の歯40とが位置決めされ(
図4の線分V−Vも参照)、規定される隙間部分118が、固定刃充填領域58の内側に面する端面114と可動刃24の歯110の先端112との間に設けられる(
図13も参照)。隙間部分118は、隙間長手方向寸法l
clと、隙間高さ寸法t
clとを有する。隙間長手方向寸法l
cl及び隙間高さ寸法t
clは、少なくとも高い確率で、毛が隙間部分118に入ることがないように、適切に規定される。例えば、十分なスペースが、1本の毛が容易に、可動刃24の歯110の先端112と固定刃充填領域58の端面114との間の隙間に入ることを可能にするために設けられる場合、かかる毛は、そこに詰まり、又は、挟まる。これは、切断能力を損ない得る。さらに、詰まった毛は、切断されるというよりも、むしろ引きちぎられる。これは、しばしば、不快、又は、痛みとして体験され、皮膚をひりひりさせる。従って、隙間部分118によって設けられる(長手方向及び横方向の)スペースは、切断される毛の期待される直径より小さいことが、特に好ましい。このようにして、毛が隙間部分118に入ることによって生じる閉塞のリスクが、著しく低減され得る。多くのケースにおいて、隙間長手方向寸法l
cl及び隙間高さ寸法t
clのうちの少なくとも1つが、予期される毛の直径よりも小さいことで十分であろう。一例として、隙間長手方向寸法l
clは、0.5mmより小さく、好ましくは0.2mmより小さく、より好ましくは0.1mmより小さい。また、一例として、長手方向寸法l
clに対して直交する隙間高さ寸法t
clは、約0.05mm乃至約0.5mmの範囲、好ましくは約0.05mm乃至約0.2mmの範囲にあってもよい。
【0077】
隙間部分118は、可動刃24の歯110の先端112に隣接する後方部分120と、固定刃充填領域58の端面114における前方部分122とからなっていてもよい。隙間部分118を示している
図7aにおいて供給される図の詳細な図である
図7bから最もよく分かるように、隙間部分118の前方部分122は、少なくとも1つの半径r
cl1,r
cl2を有していてもよい。この実施形態では、半径r
cl1は、中間層54と第1の層50とを接続していてもよい。半径r
cl2は、中間層54と第2の層52とを接続していてもよい。一例として、半径r
cl1,r
cl2は、約0.025mm乃至約0.25mmの範囲、好ましくは約0.025mm乃至約0.1mmの範囲にあってもよい。
【0078】
図5及び
図6に図示された実施形態に戻ると、固定刃22を形成している積層56の層構造は、隙間部分118の長手方向寸法l
cl及び隙間高さ寸法t
clが広範囲で選択可能であるため、特に有用であることが明らかにされている。固定刃22を積層56として設けることによって、又は、より一般的には、セグメント化されたスタックとして設けることによって、従来技術の刃のセット構造を適用する場合には達成され得ない厳しい許容範囲が、達成され得る。また、
図6から分かるように、固定刃22の先端エッジ32,34における充填領域58は、長手方向の拡がりl
f1を有していてもよい。一例として、当該長手方向の拡がりl
f1は、約0.6mm乃至1.2mmの範囲、好ましくは約0.75mm乃至0.9mmの範囲、より好ましくは約0.8mm乃至0.85mmの範囲にあってもよい。積層56の層50,52,54の各々が、幾何学的特性に関して広くカスタマイズされることができるため、固定刃22は、従来技術の刃のセット構造アプローチを使用する場合に達成され得ないような形状を有し得る。
【0079】
隙間高さ寸法t
clは、基本的に、中間層54の高さ寸法t
iに対応していてもよい。中間層54の高さt
iは、正確に規定され、選択され、さらに、精密さを有しているため、少なくとも高さ方向Zにおいて、固定刃22におけるガイドスロット76での可動刃24の隙間適合も達成され得る。中間層54の高さ寸法t
iによって規定される隙間高さ寸法t
clは、少なくともガイドスロット76にガイドされる領域において、可動刃24が、ガタガタする(過度にゆるい)ことなく、又は、つかえる(過度にきつい)ことなく、滑らかな動作のため、ガイドスロット76において適切にガイドされるように、精密な設計許容誤差内で正確に規定されることができる。最終的な部品の隙間高さ寸法t
rclが、
図6に示されており、基本的に、ガイドスロット76の隙間高さ寸法t
clと可動刃24の高さ寸法t
mとによって規定されている。一例として、隙間高さ寸法t
rclは、約0.003mm乃至約0.050mmの範囲、好ましくは約0.005mm乃至約0.030mmの範囲にあってもよい。
【0080】
図4、
図11、及び、
図16a〜
図16cから最もよく分かるように、中間層54における切り出し部分68は、横方向Y(又は、接線方向t)に沿って移動する場合に、可動刃24をガイドするための内側ガイド部分126を更に規定していてもよい。内側ガイド部分126は、タブ又はストリップとして形成されていてもよい。内側ガイド部分126は、基本的に、固定刃22の長手方向中心部分において配置され得る。内側ガイド部分126の端部において、側面開口78に隣接して、テーパ状の部分128が供給され得る(
図9及び
図10も参照)。テーパ状の部分128は、可動刃24のためのマウント又は挿入ステップを促進し得る。
【0081】
特に、
図11を参照して、本開示に従った例示的な実施形態の可動刃24の構造が、更に詳細に説明される。上面から見た場合(
図4参照)、可動刃24は、基本的に、U字形状であってもよく、第1の先端エッジ106と関連付けられた第1の腕部分132と、第2の先端エッジ108と関連付けられた第2の腕部分134と、第1の腕部分132と第2の腕部分134とを接続している接続部分136とを有していてもよい。一例として、接続部分136は、可動刃24の側面端部に設けられてもよく、固定刃22にマウントされた場合、固定刃22の側面開口78の近傍に配置される。換言すれば、第1の腕部分132及び第2の腕部分134は、中間層54における内側ガイド部分126の長手方向の拡がりに適合される長手方向Xにおいて、距離を空けて平行に配置され得る。可動刃24をガイドするために、内側ガイド部分126は、第1の側面延在ガイド表面140と、第2の側面延在ガイド表面142とを有していてもよい(
図4参照)。結果、可動刃24は、各腕部分132,134において、内側に面する接触部分146,148を有していてもよい。
【0082】
幾つかの実施形態では、可動刃24の少なくとも1つの腕部分132,134に配置された少なくとも1つのガイド部分146,148が、少なくとも1つの接触要素150,152、特に、少なくとも1つのガイドタブ150,152を備えていてもよい。一例として、(部分的に隠れた態様における)
図4に示される可動刃24は、第1の腕部分132の第1の接触部分146において2つのガイドタブ150を有していてもよい。可動刃24は、第2の腕部分134の第2の接触部分148において2つのガイドタブ152を更に有していてもよい。内側ガイド部分126の側面延在ガイド表面140,142は、長手方向の拡がりl
gpだけ離されていてもよい。結果、少なくとも1つの第1の接触要素150(又は、ガイドタブ)及び少なくとも1つの第2の接触要素152(又は、ガイドタブ)は、長手方向隙間寸法l
gtだけ離されていてもよい。ガイドタブ150,152の長手方向隙間寸法l
gtは、内側ガイド部分126の長手方向の拡がりl
gpよりもわずかに大きく選択されることが好ましい。このようにして、滑らかな相対切断運動を可能とする可動刃24のための規定された隙間適合ガイドが達成され得る。一例として、長手方向の拡がりl
gp及び長手方向隙間寸法l
gtによって規定される最終的な隙間長手方向寸法は、約0.003mm乃至約0.050mmの範囲、好ましくは約0.005mm乃至約0.030mmの範囲にあってもよい。幾つかの実施形態では、固定刃22におけるガイドスロット76が、長手方向寸法X及び高さ(又は、垂直)寸法Zにおいて、可動刃24の形状固定ガイドを備えることにより、横方向Yに沿った滑らかな動きを可能にするが好ましい。言うまでもなく、上述した有用な原理は、
図14,
図15a及び
図15bに示される刃のセット20aの円形の実施形態、又は、より一般的には、湾曲した実施形態へと容易に変換され得る。
【0083】
特に、
図15a及び
図15bを参照して、(円形の)刃のセット20aの固定刃22aが更に詳述される。
図15bにおいて供給される断面図では、網掛けが示されており、これは、固定刃22aが、一体的な部品として形成されてもよいことを示している。しかしながら、固定刃22aも、各可動刃のためのガイドスロット76を相互に規定する第1の壁部分44、第2の壁部分46、及び、中間壁部分48を有していてもよい。また、これに関連して、固定刃22aも、(線形的な)刃のセット及び各固定刃22の幾つかの有用な実施形態の上述の原理に従った層構造を有していてもよいことに留意すべきである。結果、第1の壁部分44、第2の壁部分46、及び、中間壁部分48の各々は、それぞれ、壁部分又は層によって形成されてもよい。上述のように、長手方向などの用語は、円形の実施形態と関連して、半径方向としてみなされ得る。また、側面又は横などの用語は、円形の実施形態と関連して、接線又は円周としてみなされ得る。
【0084】
特に、
図16a〜
図16fを参照して、また、
図17を更に参照して、本開示の幾つかの態様に従った刃のセット20の固定刃22のための例示的な製造方法及び例示的な製造システムが、図示及び詳述される。
図16aから分かるように、第1の層50、第2の層52、及び、中間層54のうちの少なくとも1つは、ストリップ材料の形式で供給され得る。第1の層50は、第1のストリップ194から得られてもよい。第2の層52は、第2のストリップ196から得られてもよい。中間層54は、中間ストリップ198から得られてもよい。これに関連する更なる参照が、
図18においてなされる。
図16aにおいて既に述べたように、ストリップ194,196,198の少なくとも幾つかは、事前に、機械加工又は処理されていてもよい。
図16aに図示される準備段階において、切り出し部分68が、中間層54を規定する中間ストリップ198において処理され得る。切り出し部分68は、実質的に、U字形状を有していてもよい。異なる形状が、同様に、想定され得る。特に、切り出し部分68は、第1の脚158、第2の脚160、及び、第1の脚158と第2の脚160とを接続する移行部分162を有していてもよい。第1の脚158、第2の脚160、及び、移行部分162は、中間層54における内側ガイド部分126を規定する。
【0085】
同様に、第2のストリップ196によって形成された第2の層52も、切り出し部分166を備えていてもよい。例えば、切り出し部分166は、実質的に、U字形状を有していてもよい。異なる形状が、同様に、想定され得る。切り出し部分166は、第1の脚168、第2の脚170、及び、第1の脚168と第2の脚170とを接続する移行部分172を有していてもよい。第1の脚168、第2の脚170、及び、移行部分172は、それらの間に、ガイドタブ174を規定する。一般的に、実際の形状及びサイズに関わらず、切り出し部分166は、駆動係合部材26(これについては、
図3参照)が、開口を通じて、固定刃22に関して相対切断運動するように可動刃24に接触し、可動刃24を駆動し得る、固定刃22における開口としてみなされ得る。結果、ヘアカット機器10に適合された場合、第2の層52における切り出し部分166は、動作中、筺体12の方を向いており、肌から離れた方を向いていてもよい。
【0086】
また、
図16aから分かるように、少なくとも第1の層50、好ましくは各層50,52,54は、実質的に平坦又は平面形状を有していてもよい。ストリップ194,196,198の各々は、金属ストリップとして、特に、ステンレス鋼のストリップとして供給され得る。しかしながら、幾つかの実施形態では、第2の層52及び中間層54の少なくとも1つは、非金属材料などの異なる材料から形成されていてもよい。一般的に、ヘアカット機能自体は、可動刃24の高さにおける各切断エッジと協働する第1の層50(又は、第1の壁部分44)の切断エッジにより、固定刃22の高さにおいて、実行される。従って、しばしば、少なくとも第1の層50が、金属材料から形成される、特に、スレンレス鋼から形成されることが好ましい。層50,52,54の各々は、金属薄板として供給されてもよい。金属薄板は、各金属薄板リールから供給されてもよく、又は、一般的には、金属薄板ブランクから供給されてもよい。
【0087】
図16bから分かるように、第1の層50、第2の層52、及び、中間層54は、相互接続されることに備えて相互に位置決めされ得る。特に、各層は、接着によって、又は、より好ましくは溶接によって、固定接続され得る。最終的な接着されたストリップが、参照符号208により、
図16bにおいて示されている。各層50,52,54の溶接は、特に、レーザ溶接を含み得る。層50,52,54は、各々の先端エッジ(
図16bの参照符号210)において接着され得る。さらに、幾つかの実施形態では、層50,52,54は、内側ガイド部分126及びガイドストリップ174が存在する(参照符号212)、長手方向中心部分において接着され得る。溶接は、連続溶接及び/又はスポット溶接の形式を含み得る。
【0088】
図16cから分かるように、
図16bに図示される相互接続ステップ又は接着ステップに続いて、積層56が、接着されたストリップ208から分離又は切り離される、分離ステップが実行され得る。切り出し部分68及び/又は166の少なくとも小さい側面部分が最終的な積層56から切り離されるように、接着されたストリップ208を切断する場合、側面開口78は、ガイドスロット76がアクセス可能であるように形成され得る。さらに、切断又は分離動作は、積層の基本的に矩形の外形216を規定してもよい。
【0089】
図16dに図示される更なる段階において、積層の少なくとも1つの先端エッジ94が、処理され得る。当該処理は、特に、少なくとも1つの移行領域94(
図5、
図6、及び、
図7aも参照)を規定又は形成するために、材料除去処理を含み得る。
図16dから更に分かるように、積層56の先端エッジ32は、歯形成処理の後の歯においても存在する実質的にU字の形状を有していてもよい。特に、ガイドスロット76は、少なくとも部分的に先端エッジ32の中へ長手方向に延在してもよく、結果、第1の歯脚178、第2の歯脚180、及び、接続領域182が規定される。第1の歯脚178は、主に、第1の壁部分44(又は、第1の層50)によって規定され得る。第2の歯脚180は、主に、第2の壁部分46(又は、第2の層52)によって規定され得る。接続領域182は、主に、中間壁部分48(又は、中間層)から形成され得る。先端エッジ94の処理は、材料除去処理、特に、電気化学的機械処理を含み得る。
【0090】
更なる製造段階において、積層56は、少なくとも1つの先端エッジ42において、歯40及び各歯スペース42を更に備えていてもよい。歯の機械処理は、複数の歯40の間を更に規定すべく歯スペースを規定する複数のスロットを形成するための材料除去処理を含み得る。歯の機械処理は、切断動作を含み得る。特に、歯の機械処理は、ワイヤエローディング(wire eroding)を含み得る。
図16eから更に分かるように、中間的な製造段階において、歯40は、側面222及び接触表面224が接続される鋭い移行エッジ218を有していてもよい。
【0091】
図16eに図示された段階に続く、
図16fに示される更なる製造段階において、歯が形成された積層56が、更に機械処理される、又は、より一般的には、処理され得る。特に、歯40の形成後に存在し得る鋭いエッジ218は、丸みをつけられてもよい。結果、歯側面エッジ半径R
tleを持つ丸みを帯びたエッジ220が形成され得る。丸みをつけることは、材料除去処理、特に、電気化学的機械処理を含み得る。これに関し、更なる参照が、
図8でなされる。一例として、湾曲したエッジ移行の半径R
tleは、約0.05mm乃至約0.07mmの範囲、好ましくは約0.053mm乃至約0.063mmの範囲にあってもよい。
【0092】
図16a〜
図16fに関連して、各製造段階の順序は、必ずしも、上述の固定的な製造順序に関するものではないことに言及する価値がある。例えば、
図16d及び
図16eに図示される製造ステップは、シフトされてもよいし、又は、より好ましくは交換されてもよい。さらに、製造方法の幾つかの実施形態において、移行領域及び歯形状を形成するステップは、同時に実行されてもよいし、又は、少なくとも一時的に重複して実行されてもよい。
【0093】
図17は、本開示の幾つかの態様に従った固定刃22を製造するための製造システム214を図示している。特に、
図16b〜
図16fに図示される準備段階及び中間段階の少なくとも幾つかは、製造システム214を用いて、実行又は処理され得る。
【0094】
第1の層50、第2の層52、及び、中間層54を形成するための各ストリップ材料194,196,198は、各リール200,202,204から供給され得る。第1のストリップ194は、第1のリール200から供給され得る。第2のストリップ196は、第2のリール202から供給され得る。中間ストリップ198は、中間リール204から供給され得る。フィード方向が、参照符号226によって、
図17において示されている。幾つかの実施形態では、リール202,204は、第2の層52及び中間層54のための各切り出し部分68,166を既に有していてもよい。また、充填表面、即ち、各切り出し部分を有さない表面を有する第2のストリップ196及び中間ストリップ198のためのリール材料が供給されることも想定され得る。この場合、製造システム214は、ストリップ196,198において各切り出し部分68,166を形成するための少なくとも1つ切断又はスタンプユニットを更に有していてもよい。
【0095】
図17に図示される実施形態によれば、リール202,204は、予め製造された、又は、予め処理されたストリップ196,198を有していてもよい。それぞれ、第1の層50、第2の層52、中間層54を形成しているストリップ材料194,196,198が、接着装置228へ供給又は先送りされ得る。一般的に、接着装置228は、相互接続又は固定装置としてもみなされ得る。接着装置228において、ストリップ194,196,198の各部分が、受けられ、支持され、位置決めされ得る。この点において、更なる参照が、予め処理された、又は、予め機械処理されたストリップ194,196,198の上面からの表現を示している
図18において、なされる。これに関して、ストリップ194,196,198は、必ずしも、リール200,202,204から供給される必要はないことに留意する。むしろ、シート又はブランクなどの平坦な前製品が、用いられてもよい。ストリップ194,196,198の幾つか、又は、各々は、それぞれ対応している位置決め要素242,244を備えていてもよい。位置決め要素242,244は、長手方向X並びに側面又は横方向Yにおいて、ストリップ194,196,198の各部分の間に相互の位置的なアラインメントを供給し得る。一例として、ストリップ194,196,198における第1の位置決め要素242は、長手方向と横方向(又は、側面方向)との両方において、アラインメントを供給してもよい。さらに、ストリップ194,196,198における第2の位置決め要素244は、一般的に、横方向(又は、側面方向)において、アラインメントを供給してもよい。このようにして、ストリップ194,196,198の位置的な重複が回避され得る。幾つかの実施形態では、位置決め要素242は、円筒孔として形作られ得る。対照的に、位置決め要素244は、細長い孔として形作られ得る。接着又は相互接続装置228において十分に位置決め及びスタック化され、各ストリップ194,196,198は、固定的に相互接続され、好ましくは接着され、より好ましくは溶接され、これにより、接着されたストリップ208が形成される(これに関しては、
図16b参照)。
【0096】
製造システム214は、分離装置230、特に、切断又はスタンプ装置230を更に有していてもよい。分離装置230により、接着装置228によって供給され、分離装置230に送られる、接着されたストリップ208の各部分が、切り離され(切り出され)てもよい。また、これに関連して、
図18を参照すると、接着されたストリップ208の分離される部分は、全体的な横方向長さ寸法l
troを有していてもよい。接着されたストリップ208の分離される各部分の間に配置される位置決め要素242,244の各々は、長さ廃棄寸法l
wa1及び長さ廃棄寸法l
wa2をそれぞれ有する部分に配置されてもよい。換言すれば、横方向全体長さ寸法l
troを持つ複数の積層56を得るために、接着されたストリップ208の各部分を切断する場合、各長さ廃棄寸法l
wa1及びl
wa2によって、
図18において示されるクリッピング又は廃棄部分も接着されたストリップ208から切り離され(切り出され)得る。単なる説明目的のために、接着層208及び積層56が、別個の拡大図として
図18において示されていることに言及すべきであろう。また、ストリップ194,196,198は、好ましくは、同一の長手方向の拡がりl
loを持っていてもよいことに言及する価値がある。
【0097】
また、
図17を参照すると、製造システム214は、歯形状形成装置232、特に、ワイヤエローディング装置232を更に有していてもよい。特に、装置232は、複数の積層56を有するスタック238を同時に処理するように適合されていることが好ましい。歯形状形成装置232では、基本的に長手方向に延在するスロットが、積層56の各先端エッジ32,34において生成され得る(
図16e参照)。
【0098】
製造システム214は、処理装置又は機械処理装置334、特に、供給された積層56を電気化学的処理又は機械処理をすることが可能な装置を更に有していてもよい。その際、面取り及び/又は丸み付け処理が、積層56における鋭いエッジに対して適用され得る(
図16f参照)。幾つかの実施形態では、処理装置234は、積層56において、少なくとも1つの移行領域94を形成又は機械処理することが可能であってもよい(
図16d参照)ことに留意すべきである。あるいは、製造システム214は、別個の処理装置又は機械処理装置、特に、電気化学的機械処理が可能な装置を更に有していてもよい。かかる装置は、例えば、分離装置230と歯形状生成装置232との間に介在し、積層の歯40の形成又は生成に先立って、少なくとも1つの移行領域94を形成することが可能である。また、異なる製造段階において、少なくとも1つの移行領域94を処理するために、及び、歯を丸み付け又は面取りするために、基本的に同一の処理装置又は機械処理装置234を利用することが想定され得る。
【0099】
さらに、
図19及び
図20を参照して、本開示の幾つかの態様に従った固定刃を製造するための方法及び刃のセットを製造するための方法の例示的な実施形態の幾つかのステップが、図示及び詳述される。
図19は、刃のセットの固定刃を製造する方法を概略的に図示している。
図19において、一般的に、オプションのステップは、点線ブロックにより示されている。まず、ステップ300,304,308において、第1の層、第2の層、及び、中間層を形成するための各ストリップが、供給され得る。ステップ304,308の前に、更なるオプションのステップが実行されてもよい。ステップ302,306は、第2の層が形成され得る第2のストリップ、及び、中間層が形成され得る中間ストリップにおいて、各切り出し部分を形成するステップを含んでいてもよい。しかしながら、代替的に、予め処理された切り出しストリップが供給される場合は、ステップ302,306は、省略されてもよい。オプションの位置決めステップ310が、ステップ300,304,308に続いてもよい。位置決めステップは、分離ステップ310としてみなされ得るが、代替的に、しっかりとした方法で互いの上部で各ストリップを位置決めする次のステップ312に含まれてもよい。ステップ312は、第1のストリップと第2のストリップとの間での中間ストリップの位置決めを更に含んでいてもよい。位置決めステップ310は、各ストリップ部分の長手方向及び/又は側面(又は、横)方向の位置決めを含んでいてもよい。ステップ312の下流において、各ストリップが、固定的に相互接続され得る接続ステップ314が続いてもよい。特に、ステップ314は、接着ステップ、好ましくは溶接ステップを含んでいてもよい。このようにして、接着されたストリップ、特に接着された層構造のストリップが形成され得る。
【0100】
さらに、次のオプションのステップ316では、各スタック部分が、接着されたストリップから分離され得る。これは、接着されたストリップ、より正確には、各層を形成するオリジナルのストリップが、複数の積層セグメントがそこから形成されるように形作られるとともに、然るべき寸法を有する場合に、特に、適用され得る。例えば、第1のストリップ、第2のストリップ、及び、中間ストリップの各々は、細長い金属薄板、特にリール材料として供給されてもよい。このようにして、高次の積層セグメントが、単一のストリップを基に、形成され得る。しかしながら、幾つかの実施形態では、形成される積層の最終的な全体形状に既に適合されているストリップ部分が、ステップ300,304,308において供給されてもよい。この場合、分離ステップ316は、省略され得る。ストリップにおいて供給される別個の位置決め要素を考慮して、ステップ310においてストリップの位置決めが実行される場合、各位置決め部分も、分離ステップ316において、切り抜かれる又は切り出される。
【0101】
幾つかの実施形態では、全体的な先端機械処理及び/又は先端平滑化処理318が続いて実行され得る。ステップ318において、少なくとも1つの移行領域が、積層の少なくとも1つの先端エッジにおいて、形成又は処理され得る。ステップ318は、特に、面取り処理、及び/又は、丸み付け処理を有していてもよい。ここで、ステップ318は、電気化学的機械処理として構成されてもよい。また、ステップ320が、オプションのステップ318の下流において(又は、代替的には、上流において)実行され得る。ステップ320は、歯形成ステップ、より明確には、歯切断ステップとしてみなされ得る。例えば、ステップ320は、複数のスロット又は歯スペースを作成するために、積層の少なくとも1つの先端エッジにおける切断動作を含んでいてもよい。ステップ320は、例えば、ワイヤエローディング切断動作を使用してもよい。ステップ320において、歯及び歯スペースを形成する場合、一般的に、歯の鋭いエッジが生成され得る。結果、材料除去歯機械処理動作を含み得る更なるステップ322が続く。特に、ステップ322は、鋭い歯のエッジにおける丸み付け又は面取り動作を有していてもよい。少なくとも1つの切り出し部分が、中間層を形成する中間ストリップにおいて存在するため、層を配置、接続、及び、機械処理するステップが、同時に、可動刃を収容することができる積層におけるガイドスロットを生成してもよい。ステップ322において、積層を含むヘアカット機器のための固定刃が供給され得る。
【0102】
ここで、
図20を参照すると、ヘアカット機器のための刃のセットを製造する方法の例示的な実施形態が提示されている。当該方法は、ステップ330を有していてもよく、ここで説明された製造方法の幾つかの態様に従って製造された固定刃が供給され得る。固定刃は、固定刃におけるガイドスロットがアクセス可能である、開口、特に側面開口を有することが好ましい。また、ステップ332において、少なくとも1つの歯先端エッジを有する各可動刃24が供給され得る。次いで、可動刃が固定刃のガイドスロットに挿入される組み立てステップ334が供給される。特に、可動刃が、固定刃の側面(横)端部において、側面開口を通ることが好ましい。
【0103】
上述のように紹介及び説明された製造方法は、本開示の幾つかの有用な態様に従って形作られた刃のセットを製造する実施形態のための考えられ得るただ1つの手法であるものとして解釈されるべきではないことを強調する。特に、刃のセットの構造的特徴が、本開示において明らかにされ、説明されたが、これらの特徴は、特定の製造方法に関連している必要はない。固定刃を製造するための幾つかの製造方法が想定され得る。構造的特徴の説明が、上述の製造方法に関しているときはいつでも、このことは、理解のための例示的な追加情報として解釈されるべきであり、開示の製造ステップに本開示を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0104】
さらに、「第1の層」、「第2の層」、及び、「中間層」などの用語がここで固定刃の構造と関連して用いられる場合、これらは、本開示の範囲から逸脱することなく、それぞれ、「第1の壁部分」、「第2の壁部分」、及び、「中間壁部分」により容易に置き換えられ得ることが強調される。「第1の層」、「第2の層」、「中間層」、及び、「積層」なる用語は、本開示を、製造プロセス中に相互接続される前に、実際に(物理的に)互いに区別される、スライスされた(例えば、金属薄板の)サブコンポーネントから実際になる固定刃の実施形態のみに限定するものとして解釈されるべきではない。
【0105】
言うまでもなく、本開示に従った刃のセットの製造方法の実施形態において、ここで説明される幾つかのステップは、変更された順序で、又は、同時にさえ、実行されることができる。さらに、幾つかのステップは、本発明の範囲から逸脱することなく、省略されてもよい。
【0106】
ある程度、添付の図面を参照して、本発明の例示的な実施形態がこれまで説明されてきたが、本発明は、これらの実施形態に限定されないことが理解されるべきである。開示の実施形態に対する変形が、図面、開示、及び、添付の請求項の研究から、本発明を実行する当該技術分野における当業者によって、理解及び達成されることができる。「一実施形態」又は「ある実施形態」に対する本開示を通じた符号は、実施形態と関連して説明された特定の特徴、構造、又は、特性が、本開示に従った、固定刃、刃のセット、製造方法の少なくとも1つ実施形態に含まれることを意味する。このため、本開示を通じた様々な箇所における「一実施形態において」又は「ある実施形態において」なる文言の出現は、必ずしも全て同じ実施形態に関するものではない。さらに、1又は複数の実施形態の特定の特徴、構造、又は、特性が、新たな、明示されていない実施形態を形成するために、任意の適切な態様で組み合わせられてもよいことに留意する。
【0107】
請求項において、「有する」なる用語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形は、複数であることを除外しない。単一の要素又は他のユニットが、請求項に記載された幾つかの項目の機能を果たしてもよい。特定の特徴が、相互に異なる従属項において言及されているという単なる事実は、これらの特徴の組み合わせが好適に用いられないということを示すものではない。
【0108】
請求項における任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。