特許第6253797号(P6253797)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6253797
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】発電設備運用装置および運用方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20171218BHJP
【FI】
   G06Q50/06
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-553770(P2016-553770)
(86)(22)【出願日】2014年10月14日
(86)【国際出願番号】JP2014077315
(87)【国際公開番号】WO2016059668
(87)【国際公開日】20160421
【審査請求日】2017年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】三宅 俊之
(72)【発明者】
【氏名】近藤 真一
(72)【発明者】
【氏名】中谷 正親
【審査官】 佐藤 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−130638(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/118266(WO,A1)
【文献】 特開2012−130096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電系統に電力を供給する発電事業者における発電設備運用装置であって、
発電設備運用装置は、
電力事業者が要望する予備力の提供要請に応じて、発電事業者所有の発電設備による発電力の出力抑制を行う際に、発電機会を損失することにより失う発電機会損失価値を算出する発電機会損失価値算出手段と、
前記発電事業者所有の発電設備が出力抑制を行い電力事業者に予備力を提供することで、発電事業者が電力事業者から得るインセンティブに相当する対価である予備力インセンティブ価値を算出する予備力インセンティブ価値算出手段と、
前記発電機会損失価値が前記予備力インセンティブ価値を下回るように前記発電設備が確保すべき予備力計画を算出する予備力計画算出手段を備えることを特徴とする発電設備運用装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発電設備運用装置であって、
前記発電機会損失価値算出手段は、前記発電設備に投入するエネルギー形態の当該時刻の予測量に応じた最大出力運転時の発電出力と、前記発電設備が所定の出力抑制運転時の発電出力との差分出力に電力単価を掛けることにより発電機会損失価値を算出することを特徴とする発電設備運用装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の発電設備運用装置であって、
前記予備力インセンティブ価値算出手段は、前記発電設備に投入するエネルギー形態の当該時刻の予測量に応じた最大出力運転時の発電出力と前記発電設備が所定の出力抑制運転時の発電出力との差分出力に予備力の電力単価を掛けることにより予備力インセンティブ価値を算出することを特徴とする発電設備運用装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の発電設備運用装置であって、
前記予備力計画算出手段は、当該時刻における前記発電機会損失価値と前記予備力インセンティブ価値との大小比較を行い、前記発電機会損失価値が前記予備力インセンティブ価値を下回って小さくなるように前記発電設備に対する予備力計画量を算出することを特徴とする発電設備運用装置。
【請求項5】
請求項4に記載の発電設備運用装置であって、
前記予備力計画算出手段が出力した当該時刻の予備力計画量に基づいて、前記発電設備を制御する制御装置に対して、発電設備の出力動作を電気的又は機械的に発電設備の出力を制御するための制御信号を送付する発電設備出力制御手段を備えることを特徴とする発電設備運用装置。
【請求項6】
請求項4もしくは請求項5に記載の発電設備運用装置であって、
前記予備力計画算出手段が出力した予備力計画量を時系列に出力装置に対して表示することを特徴とする発電設備運用装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の発電設備運用装置であって、
前記予備力計画算出手段が算出した予備力計画は、前記発電機会損失価値が前記予備力インセンティブ価値を下回るときに前記出力抑制した発電力を計画値とし、前記発電機会損失価値が前記予備力インセンティブ価値を上回るときに前記発電設備に投入するエネルギー形態の当該時刻の予測量に応じた最大出力運転時の発電出力とすることを特徴とする発電設備運用装置。
【請求項8】
送電系統に電力を供給する発電事業者における発電設備運用装置であって、
発電設備運用装置は、電力事業者が要望する予備力の提供要請に応じて、発電事業者所有の発電設備による発電力の出力抑制を行う際に、発電機会を損失することにより失う発電機会損失価値を算出する発電機会損失価値算出手段と、
前記発電事業者所有の発電設備が出力抑制を行い電力事業者に予備力を提供することで、発電事業者が電力事業者から得るインセンティブに相当する対価である予備力インセンティブ価値を算出する予備力インセンティブ価値算出手段と、
前記発電機会損失価値と前記予備力インセンティブ価値を用いて前記発電設備の発電計画を算出する予備力計画算出手段を備えることを特徴とする発電設備運用装置。
【請求項9】
送電系統に電力を供給する発電事業者における発電設備運用方法であって、
計算機装置は、電力事業者が要望する予備力の提供要請を得るための入力部と、発電事業者所有の発電設備の発電計画を与える出力部と、前記予備力の提供要請から前記発電設備の発電計画を定める演算部とを備えており、
前記演算部は、前記電力事業者が要望する予備力の提供要請に応じて、前記発電事業者所有の発電設備による発電力の出力抑制を行う際に、発電機会を損失することにより失う発電機会損失価値を算出し、
前記発電事業者所有の発電設備が出力抑制を行い前記電力事業者に予備力を提供することで、前記発電事業者が前記電力事業者から得るインセンティブに相当する対価である予備力インセンティブ価値を算出し、
前記発電機会損失価値と前記予備力インセンティブ価値を用いて前記発電設備の発電計画を算出することを特徴とする発電設備運用方法。
【請求項10】
請求項9に記載の発電設備運用方法において、
前記算出された発電計画に応じて、発電事業者所有の発電設備を制御することを特徴とする発電設備運用方法。
【請求項11】
送電系統に電力を供給する発電事業者における発電設備運用方法であって、
計算機装置は、電力事業者が要望する予備力の提供要請を得るための入力部と、発電事業者所有の発電設備の発電計画を与える出力部と、前記予備力の提供要請から前記発電設備の発電計画を定める演算部とを備えており、
前記演算部は、前記電力事業者からの予備力の提供要請に応じて、発電事業者所有の発電設備による発電力の出力抑制を行う際に、発電機会を損失することにより失う発電機会損失価値と発電事業者が得る予備力インセンティブ価値の比較により前記発電設備の発電計画を立てることを特徴とする発電設備運用方法。
【請求項12】
送電系統に電力を供給する発電事業者における発電設備運用方法であって、
計算機装置は、電力事業者からの予備力提供要請と電力買い取り単価と予備力単価を得るための入力部と、電力事業者からの予備力提供要請の受け入れ可否を与える出力部と、前記予備力提供要請から前記電力事業者からの予備力提供要請の受け入れ可否を定める演算部とを備えており、
前記演算部は、電力買い取り単価で定まる発電の価値と、電力事業者に予備力を提供するときの予備力単価で定まる予備力の価値の比較により、電力事業者からの予備力提供要請の受け入れ可否を決定することを特徴とする発電設備運用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電設備運用装置及び運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化防止策として、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーを用いた再生可能エネルギー電源の導入が世界中で拡大している。
【0003】
太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギー電源は、化石燃料の燃焼による二酸化炭素を排出しない。一方でその発電出力が日射や風況といった気象条件に依存する。そのため、太陽光発電パネルを大規模に集約したメガソーラーや何台もの風力発電装置を集約したウィンドファームの系統連系は、電力系統の安定運用に大きな影響を及ぼすという問題がある。
【0004】
そこで、火力発電所と同等の出力制御能力や連系運用が求められ、例えば、ウィンドファームの電力系統への連系要件が電力会社や国際標準規格において定められている。非特許文献1は電力会社における連系要件の一例を示し、非特許文献2は国際標準規格における連系要件の一例を示したものである。
【0005】
また電力系統の運用においては、電力の需要量に対する供給量のバランスが許容範囲からずれると電力の安定供給をできなくなる、電気エネルギーは貯めておくことができないという特性から、需要と供給のバランスを許容範囲内に維持するいわゆる「同時同量」にする必要がある。電力の供給における「同時同量」については、例えば、日本では電気事業法(非特許文献3)に法的に定められている。
【0006】
また電力系統において、電力需要量の予測に対する電力供給計画のギャップ(電源脱落による供給不足や需要の上振れ等)から、需要と供給のバランス(需給バランス)の維持が崩れる場合がある。需給バランスがある範囲を超えて崩れると、電力系統の周波数や電圧が変動し、需要家の電気設備が正常に動作しないことや、極端なケースでは電力系統が大停電になることすらあるなど、電力系統の電力品質の維持に多大な悪影響を及ぼすことになる。これを解消するための需給バランス調整用の電源として、従来から火力発電や水力発電が用いられてきた。昨今、出力変動が気象条件に左右される再生可能エネルギー電源の連系が増大することにより、電力系統における需給パランス調整用の電源の不足が懸念されている。
【0007】
そこで、再生可能エネルギー電源自体に、電力系統の需給バランスの調整電源としての役割が望まれてきている。例えば特許文献1には、ウィンドファームにおいて、各風車の出力を意図的に低減させる運転を行い、予備力を確保する方法が開示されている。
【0008】
また、例えば特許文献2には、ウィンドファームの導入量が増えると、より出力変動の少ないウィンドファームの電力買い取り価格を高くするなどの出力変動抑制に対するインセンティブが与えられる場合を考えて、出力変動を調整するための風車グループの台数を増減する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO 2013/125043
【特許文献2】特開2012−241576号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「風力発電設備の系統連系技術要件[特別高圧版]」平成24年12月、東北電力株式会社
【非特許文献2】規格番号IEC61400−25−2(Wind turbines − Part 25−2: Communications for monitoring and control of wind power plants − Information models)Annex C、2006−12−14
【非特許文献3】電気事業法第二条十四
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
電力系統は、大別すると2種類の事業者の設備である。事業者の一方は、既存の電力事業者(電力会社)であり、発電設備及び送電設備を所有して各需要家に品質の保証(電力系統の周波数や電圧の安定供給)された電力を供給する。将来に想定される発送電分離体制の下では電力事業者(電力会社)あるいは送電事業者などの電力系統運用事業者がこれに該当する。本明細書においては、これらの既存の事業者を以下電力事業者と総称することにする。
【0012】
これに対し他方の事業者は、発電のみを行い送電については既存の電力事業者(電力会社)の設備を利用する複数の発電事業者(発電会社)である。発電事業者としては、産業用の発電機を所有し余剰電力を送電系統に供給する産業用発電事業者、太陽光発電パネルを大規模に集約したメガソーラーの運用事業者あるいは多くの風力発電装置を集約したウィンドファームの運用事業者などがこれに該当する。本明細書においては、これらの事業者を以下発電事業者と総称することにする。
【0013】
係る複数事業者の設備により構成される電力系統の安定運用は、電力事業者の管理運用に委ねられる部分が多いが、他方において発電事業者の側も電力系統の安定運用に協力することが求められる。この発電事業者を電力系統の安定運用に参画せしめる場合に、発電事業者の協力の在り方、あるいはその時の発電事業者の利害得失を十分に考慮しておく必要がある。
【0014】
例えば、既存の電力事業者(電力会社もしくは電力系統運用事業者)が運営する電力系統のエリアにおいて電力需要を想定して供給力を確保する場合、発電事業者は、電源脱落や需要の上振れ等に備えつつ供給力確保義務を達成するため、一定の予備力を確保しておくことが期待される。
【0015】
然るに発電事業者において予備力を確保するには、その分だけ発電事業者が保有する既存電源の通常の発電量を抑制しておく必要があり、これは発電事業者にとっては通常の発電機会を失う機会損失が生じることを意味する。ここで、発電事業者の通常の発電機会損失分の電力量を対価に換算したものを発電機会損失価値と呼ぶことにする。
【0016】
一方で、発電事業者は、確保している予備力を、予備力市場(容量市場)に入札し、電力系統運用機関(電力事業者)や他の小売事業者に応札されることによって対価を得ることができる。すなわち、予備力を確保するインセンティブが働くことになる。このインセンティブを対価に換算したものを予備力インセンティブ価値と呼ぶ。
【0017】
発電事業者における、予備力を確保して電力系統の電力品質を維持するサービスは、アンシラリーサービスと呼ばれているが、発電事業者が、通常の発電出力を抑制しておく待機予備力は、アンシラリーサービスの1つであり、その運営は、電力事業者(電力会社もしくは電力系統運営機関)がサービスを市場化して行う。このアンシラリーサービス市場において、発電事業者が発電設備の予備力の量をどのように運用するかが課題となってくる。
【0018】
特許文献1には、発電事業者であるウィンドファームにおいて、電力事業者側から出力増加要求が通知されたときのために各風車の出力を意図的に低減させる運転を行って出力の予備力を確保する方法が開示されているが、前述した機会損失価値が生じるという観点で、電源における発電を抑制して予備力をどれだけ確保するかを決める方法が示されていない。
【0019】
特許文献2には、発電事業者であるウィンドファームにおいて、出力変動抑制能力の高いウィンドファームに働くインセンティブを想定して、出力変動調整用の風車グループの台数を増減する方法が開示されているが、インセンティブとウィンドファーム出力の制御量との直接的な関係を示していない。また、電力系統の需給バランスに対する調整のための予備力を決めるための方法は示されていない。
【0020】
以上のことから本発明は、前述した課題を解決するために、電力系統の安定運用に貢献する予備力を確保するに当たり、発電機会損失価値に対する予備力インセンティブ価値を最大化する予備力計画を立案し、また、立案した予備力計画を出力するよう適性に制御することのできる発電設備運用装置及び運用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
以上のことから本発明は、送電系統に電力を供給する発電事業者における発電設備運用装置であって、発電設備運用装置は、電力事業者が要望する予備力の提供要請に応じて、発電事業者所有の発電設備による発電力の出力抑制を行う際に、発電機会を損失することにより失う発電機会損失価値を算出する発電機会損失価値算出手段と、発電事業者所有の発電設備が出力抑制を行い電力事業者に予備力を提供することで、発電事業者が電力事業者から得るインセンティブに相当する対価である予備力インセンティブ価値を算出する予備力インセンティブ価値算出手段と、発電機会損失価値が予備力インセンティブ価値を下回るように発電設備が確保すべき予備力計画を算出する予備力計画算出手段を備える。
【0022】
また本発明は、送電系統に電力を供給する発電事業者における発電設備運用方法であって、電力事業者が要望する予備力の提供要請に応じて、発電事業者所有の発電設備による発電力の出力抑制を行う際に、発電機会を損失することにより失う発電機会損失価値を算出し、発電事業者所有の発電設備が出力抑制を行い電力事業者に予備力を提供することで、発電事業者が電力事業者から得るインセンティブに相当する対価である予備力インセンティブ価値を算出し、発電機会損失価値と前記予備力インセンティブ価値を用いて発電設備の発電計画を算出する。
【0023】
また本発明は、送電系統に電力を供給する発電事業者における発電設備運用方法であって、電力買い取り単価で定まる発電の価値と、電力事業者に予備力を提供するときの予備力単価で定まる予備力の価値の比較により、電力事業者からの予備力提供要請の受け入れ可否を決定する。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、発電設備が出力抑制して電力系統調整用の予備力を確保するメリットを最大化し、再生可能エネルギー電源設備においても電力系統の安定運用に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態に係る発電設備運用装置の全体の構成例を示した図。
図2】発電設備運用装置が扱うデータの入出力関係を示す図。
図3】電力系統予備力計画データD1の一例を示す図。
図4図3の電力系統予備力計画データD1を時系列表示した図。
図5】発電設備予備力計画データD3の一例を示す図。
図6図5の発電設備予備力計画データD3を時系列表示した図。
図7】インセンティブ価値単価データD2の一例を示す図。
図8図7のインセンティブ価値単価データD2を時系列表示した図。
図9】投入エネルギー予測データD4の一例を示した図。
図10図9の投入エネルギー予測データD4を時系列表示した図。
図11】発電機会損失価値算出手段101の処理フローを示す図。
図12】予備力インセンティブ価値算出手段102の処理フローを示す図。
図13】予備力計画出力手段103の処理フローを示す図。
図14】発電設備運用装置100における処理内容を時系列的に表示した図。
図15】本発明の第2の実施形態に係る発電設備運用装置の全体の構成例を示した図。
図16】予備力計画出力手段が表示する発電設備予備力計画データD3の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施形態に係る発電設備運用装置及び方法について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係る発電設備運用装置の全体の構成例を示した図である。発電設備運用装置100は、発電のみを行い送電については既存の電力事業者Pの設備を利用する発電事業者Gの設備として備えられている。発電設備運用装置100は計算機などで構成され、ここでの主な処理機能は発電機会損失価値算出手段101、予備力インセンティブ価値算出手段102、予備力計画出力手段103などである。また計算機の付帯設備として、入力装置104、出力装置105、記憶装置106などを備える。なお、既存の電力事業者Pである電力系統運用機関108と双方向のデータの送受信が可能な通信ネットワーク107を介して接続されていても良い。
【0028】
このうち入力装置104は、ユーザである発電事業者が、発電設備運用装置100に所定の指示を行うためのインタフェースである。入力装置104は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル及び/又はボタン等で構成される。
【0029】
出力装置105は、発電設備運用装置100からユーザである発電事業者に所定の情報を提供するためのインタフェースである。出力装置105は、例えば、ディスプレイ等で構成される。
【0030】
記憶装置106は、計算機本体である発電設備運用装置100に付属して設けられた記憶装置である。記憶装置106には、計算機における計算に必要な各種の設定値や各種の処理結果及び計算機における処理内容を記憶したコンピュータプログラムなどを保持している。なお記憶装置100は計算機本体内に構成されていてもよい。
【0031】
発電設備運用装置100に係る処理機能(処理手段)101、102、103は、例えば、発電設備運用装置100の備えるCPU(Central Processing Unit)、メモリ(何れも不図示)を用いて実現される。例えば、CPUが、記憶装置106から所定のコンピュータプログラムをメモリに読み出して実行することにより、上述の各要素101、102、103に係る機能が実現される。
【0032】
図2は、発電設備運用装置100が扱うデータの入出力関係を示した図である。発電設備運用装置100は、その処理機能の実行のために各種のデータを各所から取り込んで使用する。これらデータの提供元は、既存の電力事業者P(電力系統運用機関108)、電力取引市場203、燃料調達機関207、気象予測機関208などである。
【0033】
例えば、電力系統が必要とする予備力の計画値である電力系統予備力計画データD1を電力系統運用機関108から取得する。なお電力系統予備力計画データD1は、ユーザが入力装置104を用いて予め入力し格納した記憶装置106から取得しても良い。
【0034】
また、予備力を確保した場合に得られる対価すなわちインセンティブ価値単価データD2を電力取引市場203から取得する。なおインセンティブ価値単価データD2は、ユーザが入力装置104を用いて予め入力し格納した記憶装置106から取得しても良い。
【0035】
また、対象となる発電設備の発電設備予備力計画データD3を作成して記憶装置106に格納する。なおこの作成結果の発電設備予備力計画データD3は、電力系統運用機関108に対して送信しても良い。さらに発電設備運用装置100は、作成した発電設備予備力計画データD3を当該発電事業者の設備であり、対象となる発電設備の発電設備コントローラ205に送信しても良い。
【0036】
また発電設備運用装置100は、対象となる発電設備に投入するエネルギー源の投入量の予測に関する投入エネルギー予測データD4を発電設備に対する燃料調達機関207や気象予測機関208といった外部機関から取得する。なおこの取得は、ユーザが入力装置104を用いて予め入力し格納した記憶装置106から取得しても良い。
【0037】
なお発電設備に投入するエネルギー源の投入量の予測に関する情報は、対象となる発電設備が火力発電設備の場合は、火力燃料の燃料調達機関207から取得する。また対象となる発電設備が太陽光発電設備や風力発電設備の場合は、日射量や風況の予測データを扱う気象予測機関208から得ることになる。
【0038】
発電設備運用装置100においては、上記入力情報D1、D2、D3、D4を用い、図1の各手段101、102、103における処理の結果として、発電機会損失価値データD6及び予備力インセンティブ価値データD7を作成して、記憶装置106に格納する。
【0039】
図3は、電力系統運用機関108から得る電力系統予備力計画データD1の一例を示した図である。電力系統予備力計画データD1は、時刻301、期間302、必要予備力303等から構成される。例えば、2015年1月1日の0時30分00秒から30分間(1800秒間)は、対象発電設備に要求する必要予備力PSres(t)[kw]の計画値を2000kWとするといった時系列データである。なお電力系統予備力計画データD1の期間302の長さは任意であり、年、月、週、日ごと、あるいは、春、夏、秋、冬といった季節ごとに必要予備力PSres(t)[kw]の基準値304(図4)を定めたデータでも構わない。図の例では、1800秒、30分としている。
【0040】
図4は、図3の電力系統予備力計画データD1を時系列表示した図であり、時刻t0では1000kW、t1では2000kW、t3では3000kW、t4では1000kWの予備力を、既存の電力事業者P(電力系統運用機関108)が発電事業者に確保するように要求しているという状態を表している。この予備力について、当該発電事業者が分担協力可能な量か否か、可能であれば確保するように問われている。あるいは全量の確保が困難な場合に可能な量の提示が求められることもある。
【0041】
図5は、当該発電事業者が作成した発電設備予備力計画データD3の一例を示した図である。発電設備予備力計画データD3は、時刻401、期間402、発電設備計画予備力値403等から構成されている。例えば、2015年1月1日の0時0分0秒から30分間(1800秒間)は、予備力PPres(t)[kw]を800kW確保するといった発電設備の予備力計画値の時系列データである。
【0042】
図6は、図5の発電設備予備力計画データD3を時系列表示した図であり、時刻t0では800kW、t1では1500kW、t3では2000kW、t4では800kWの予備力PPres(t)[kw]を、当該発電事業者の当該設備から提供可能であるという状態を表している。
【0043】
図3から図6によれば、既存の電力事業者P(電力系統運用機関108)が必要としている予備力PSres(t)[kw]に対して、この発電事業者から提供可能な予備力PPres(t)[kw]の時系列的な量の関係が示されている。
【0044】
発電事業者は、発電設備予備力計画データD3を決定するに際し、発電事業者における利害得失を計算する。予備力確保による発電事業者としての利得をインセンティブ価値単価データD2から計算する。
【0045】
図7は、インセンティブ価値単価データD2の一例を示した図である。インセンティブ価値単価データD2は、時刻501、期間502、インセンティブ価値単価503等から構成される。例えば、2015年1月1日の0時30分0秒から30分間(1800秒間)は、インセンティブ価値単価PRinc(t)[¥/kWh]を20にするといったインセンティブを電力量単価に換算した時系列データである。なおインセンティブ価値単価データD2の期間502の長さは任意であり、年、月、週、日ごと、あるいは、春、夏、秋、冬といった季節ごとにインセンティブ価値単価PRinc(t)[¥/kWh]を基準値504として一定に定めたものでも構わない。
【0046】
図8は、図7のインセンティブ価値単価データD2を時系列表示した図であり、時刻t0では¥20/kWh、t1では¥30/kWh、t3では¥40/kWh、t4では¥20/kWhのインセンティブ価値単価であることを示している。
【0047】
図7図8は、インセンティブ価値単価データD2の一例を紹介しているが、このインセンティブ価値単価に予備力(発電力)を乗じた総価値としての予備力インセンティブ価値単価データも同様に整理しておくことができる。
【0048】
図9は、投入エネルギー予測データD4の一例を示した図である。投入エネルギー予測データD4は、時刻701、期間702、投入エネルギー予測値703等から構成される。投入エネルギー予測値Peng(t)[kW]は、対象となる電源設備に対応するエネルギーを発電設備のエネルギー対電力変換特性に応じて変換した電力換算値とする。例えば、発電設備が風力発電設備の場合は風速値からの風力エネルギーの電力換算値、太陽光発電の場合は日射量からの太陽光エネルギーの電力換算値、そして、火力発電の場合は燃料量からの燃焼熱エネルギーの電力換算値である。
【0049】
図3から図10の説明により、本発明の図2の処理で取り扱う諸量と時間経過の一例を説明したので、次に発電装置運用装置100において、これら諸量を用いた処理内容の例について図11から図13の処理フローを用いて説明する。まず図11は、図1の発電装置運用装置100内の発電機会損失価値算出手段101の処理フローを示している。
【0050】
発電機会損失価値算出手段101の最初の処理ステップS101では、電力系統予備力計画データD1(図3、4参照)をユーザである発電事業者が予め入力装置104を用いて入力し格納してある記憶装置106から取得するか、もしくは通信ネットワーク107を介して電力系統運用機関108から取得する。
【0051】
次に処理ステップS102では、発電設備の時系列的な投入エネルギー予測データD4(図9、10参照)をユーザが予め入力装置104を用いて入力し格納してある記憶装置106から取得するか、もしくは通信ネットワーク107を介して燃料調達期間207や気象予測期間208から取得する。
【0052】
上記の入手したデータD1、D4を用いて、発電機会損失価値算出手段101の処理フローでは、処理ステップS103と同処理ステップS109に挟まれた範囲内の処理ステップ(S104からS108まで)を、計画作成対象期間内の各処理時刻において実行する。例えば図3などの例では、30分間隔で各種量を入力し、2015/01/01の[00:00:00]から同[02:30:00]を計画作成対象期間とし、各処理時刻として例えば1分周期での処理を実行する。
【0053】
具体的な発電機会損失価値の算出手法としては、まず処理ステップS104において、投入エネルギー予測データD4における1分周期での当該時刻tの投入エネルギー予測値の電力換算値Peng(t)(図9の603)から、発電設備の最大出力値Pmax(t)を時系列情報として作成する。ここでは、例えば、発電設備が太陽光発電設備で投入エネルギー予測値が日射量で得られる場合は、これに当該太陽光発電設備の最大出力運転係数を掛け合わせて電力換算値として算出する。また例えば、発電設備が風力発電設備で投入エネルギー予測値が風速で得られる場合、これに当該風力発電設備の最大出力運転係数を掛け合わせて電力換算値として算出する。
【0054】
次に処理ステップS105では、先に求めた当該時刻tの最大出力値Pmax(t)と電力系統予備力計画データD1における当該時刻tの必要予備力値PSres(t)(図3の303)との大小を比較する。
【0055】
処理ステップS106では、最大出力値Pmax(t)が必要予備力Pres(t)以上に大きい場合、必要予備力PSres(t)を想定出力抑制値Psus(t)として算出する。なお最大出力値Pmax(t)が必要予備力Pres(t)以下である場合には、この処理時刻での処理を終了し、次の時刻の処理に移行する。
【0056】
処理ステップS107では、続いて、当該時刻の発電電力の単位電力当たりの売値POpri(t)を予め格納した記憶装置106から取得するか、例えば電力取引市場203等の外部機関から取得したものを参照する。なお単位電力当たりの売値POpri(t)とは、いわゆる電力の買取価格のことである。発電事業者が電力事業者に電力を売る場合に設定された単位電力あたりの買取価格である。
【0057】
処理ステップS108では、発電電力の単位電力当たりの売値POpriと想定出力抑制値Psus(t)との積から、発電機会損失価値の電力換算値VALopt(t)を算出する。
【0058】
処理ステップS109では、処理ステップS104から処理ステップS108までの処理を計画作成対象時間内の時刻刻みごとに算出して時系列の発電機会損失価値データD6を作成する。
【0059】
最後に処理ステップS110では、時系列の発電機会損失価値データを記憶装置106に格納する。
【0060】
図12は、予備力インセンティブ価値算出手段102の処理フローを示す図である。図12のフローは、図11のフローと酷似しているが、本質的に両者が相違しているのは図11の処理ステップS107と、図12の処理ステップS207である。
【0061】
予備力インセンティブ価値算出手段102の最初の処理ステップS201では、まず、電力系統予備力計画データD1(図3、4参照)をユーザである発電事業者が予め入力装置104を用いて入力し格納してある記憶装置106から取得するか、もしくは通信ネットワーク107を介して電力系統運用機関108から取得する。
【0062】
次に処理ステップS202では、発電設備の時系列的な投入エネルギー予測データD4(図9、10参照)をユーザが予め入力装置104を用いて入力し格納してある記憶装置106から取得するか、もしくは通信ネットワーク107を介して燃料調達期間207や気象予測期間208から取得する。
【0063】
上記の入手したデータD1、D4を用いて、発電機会損失価値算出手段101の処理フローでは、処理ステップS203と同処理ステップS209に挟まれた範囲内の処理ステップ(S204からS208まで)を、計画作成対象期間内の各処理時刻において実行する。例えば図3などの例では、30分間隔で各種量を入力し、2015/01/01の[00:00:00]から同[02:30:00]を計画作成対象期間とし、各処理時刻として例えば1分周期での処理を実行する。
【0064】
具体的な予備力インセンティブ価値の算出手法としては、まず処理ステップS204において、投入エネルギー予測データD4における1分周期での当該時刻tの投入エネルギー予測値の電力換算値Peng(t)(図9の603)から、発電設備の最大出力値Pmax(t)を時系列情報として作成する。ここでは、例えば、発電設備が太陽光発電設備で投入エネルギー予測値が日射量で得られる場合は、これに当該太陽光発電設備の最大出力運転係数を掛け合わせて電力換算値として算出する。また例えば、発電設備が風力発電設備で投入エネルギー予測値が風速で得られる場合、これに当該風力発電設備の最大出力運転係数を掛け合わせて電力換算値として算出する。
【0065】
次に処理ステップS205では、先に求めた当該時刻tの最大出力値Pmax(t)と電力系統予備力計画データD1における当該時刻tの必要予備力値PSres(t)(図3の303)との大小を比較する。
【0066】
処理ステップS206では、最大出力値Pmax(t)が必要予備力Pres(t)以上に大きい場合、必要予備力PSres(t)を想定出力抑制値Psup(t)として算出する。また最大出力値Pmax(t)が必要予備力Pres(t)以下である場合には、この処理時刻での処理を終了し、次の時刻の処理に移行する。
【0067】
処理ステップS207では、当該時刻の単位予備力当たりの売値PRpri(t)を予め格納した記憶装置106から取得するか、例えば電力取引市場203等の外部機関から取得したものを参照する。図2において、発電設備運用装置100が、電力取引市場203から取得するインセンティブ価値単価データD2が、この当該時刻の単位予備力当たりの売値PRpri(t)のことである。売値PRpri(t)は、仮に発電事業者が電力事業者に予備力を提供せずに、この分の電力を電力取引市場203に提供する場合に、電力取引市場203における電力購買の価格を意味している。
【0068】
電力事業者は、通常は買取価格に従って発電事業者の電力を購入しているわけであるが、電力取引市場203の構成員の中には、同時刻により高い単価での電力購入をしたいと考えている事業者もおり、この事業者に電力を販売したときに得られる価値をここでは考慮している。
【0069】
続いて処理ステップS208では、予備力の単位電力当たりの売値PRpriと想定出力抑制値Psup(t)との積から予備力インセンティブ価値VALinc(t)を算出する。
【0070】
最後に処理ステップS210では、時系列の予備力インセンティブ価値データD7を記憶装置106に格納する。
【0071】
図13は、予備力計画出力手段103の処理フローを示す図である。予備力計画出力手段103の最初の処理ステップS301では、記憶装置106から発電機会損失データD6を取得する。併せて処理ステップS302では、記憶装置106から予備力インセンティブ価値データD7を取得する。
【0072】
処理ステップS304では、計画作成対象時間内の各時刻において、当該時刻における発電機会損失価値VALopt(t)とインセンティブ価値VALinc(t)との大きさを比較する。
【0073】
処理ステップS305では、発電機会損失価値VALopt(t)がインセンティブ価値VALinc(t)以下である時、最大出力予測値Pmax(t)を予備力計画値PPres(t)に登録する。なお、発電機会損失価値VALopt(t)がインセンティブ価値VALinc(t)以上である時は、最大出力予測値Pmax(t)に保持される。
【0074】
処理ステップS304から処理ステップS305までの処理ステップを計画作成対象時間内の時刻刻みごとに算出して時系列の発電設備予備力計画データを作成する。
【0075】
最後に処理ステップS307では、時系列の発電設備予備力計画データD3を記憶装置106に格納する。
【0076】
図14は、発電設備運用装置100における処理内容を時系列的に表示した図である。図14の横軸は時間軸t、縦軸左は発電設備出力値PG、縦軸右には発電機会損失価値およびインセンティブ価値の電力量換算値PWを示している。
【0077】
図14において、細い実線で示すD1が電力系統運用機関108からの電力系統予備力計画データであり、発電設備運用装置100は、最終的に太い実線で示す発電設備予備力計画データD3を電力系統運用機関108に出力する。ここで電力系統予備力計画データD1は、図3図4に記載の時系列的な増減を示す必要予備力PSres(t)[kw]に相当する。また発電設備予備力計画データD3は、図5図6に記載の時系列的な増減を示す発電設備予備力計画値PPres(t)[kw]に相当する。
【0078】
また細い実線で示すD2がインセンティブ価値単価データであり、図7図8に記載の時系列的な増減を示すインセンティブ価値単価PRinc(t)[¥/kWh]に相当する。電力系統予備力計画データD1における各時刻(期間)に必要な予備力PSres(t)[kw]の大きさに応じて、インセンティブ価値単価データD2の大きさが決まる。つまり、供給力の需要の多さが、電力価格の大小に反映しインセンティブとなる。
【0079】
また図15において、時刻(期間)毎の投入エネルギー予測データD4に基づく最大出力Peng(t)[kw]を太い一点鎖線で表示している。最大出力Peng(t)[kw]は、発電設備に応じて風速、日射、燃料等の大きさで決まる最大値である。発電設備予備力計画データD3は、最大出力Peng(t)[kw]から出力抑制して得る。このときの出力抑制量(想定出力抑制値Psus(t))は、発電機会損失価値データD6として換算したものである。
【0080】
一方、電力取引市場203から入手するインセンティブ価値単価データD2に基づき、予備力インセンティブ価値データに換算する。
【0081】
以上の処理の考え方により、最終的に図11のフローで求められた発電機会損失価値データがVALop(t)であり、最終的に図12のフローで求められた予備力インセンティブ価値データがVALinc(t)である。
【0082】
図13の処理では、各時刻(期間)において、[発電機会損失価値データ]≦[予備力インセンティブ価値データ]となるように、発電設備予備力計画データを決定している。この大小比較において、[発電機会損失価値データ]>[予備力インセンティブ価値データ]となるときは、最大出力Pengを発電設備出力の計画値とする。
【0083】
発電設備予備力計画データD3は、要するに予備力を確保するために抑制出力とするか、最大出力とするかの計画値である。発電設備で時間帯に応じて予備力とするか、最大出力とするかは、[発電機会損失価値データ]≦[予備力インセンティブ価値データ]が成り立つか成り立たないかで決定する。
【0084】
図14に示した例の場合には、時刻t1から時刻t4の期間では、下矢印の面積が上矢印の面積より小さくなる([発電機会損失価値データ]≦[予備力インセンティブ価値データ]となる)ので、抑制出力を計画値として採用したことを表している。同様に時刻t0から時刻t1の期間、時刻t4から時刻t5の期間では、下矢印の面積が上矢印の面積より大きくなる([発電機会損失価値データ]>[予備力インセンティブ価値データ]となる)ので、予備力は確保せず最大出力を計画値として採用したことを表している。
【0085】
なお上記判断を行うに当たり、設備出力の大小関係について、定格出力>最大出力(風、日射、燃料等の投入エネルギーによる)>抑制出力の大きさ関係にある。
【0086】
また上記処理は、風力、太陽光、産業用火力での適用を例示して説明したが、発電事業者に付属する設備であり、電力事業者に予備力供給可能な設備であれば他の設備でも適用が可能であることは言うまでもない。例えば、原子力や蓄電池の放電などであっても双方合意の上であれば可能である。
【実施例2】
【0087】
図15は、本発明の第2の実施形態に係る、発電設備運用装置の全体の構成例を示した図である。本装置は発電設備運用装置100における機能として、発電機会損失価値算出手段101、予備力価値算出手段102、予備力計画出力手段103に加えて、新たに発電設備出力制御手段1D1を備える。また、通信ネットワーク107を介して発電設備センサ1202と接続されて発電設備のセンサ情報を得ることができる。さらに通信ネットワーク107を介して発電設備コントローラ1203に接続され、発電設備の出力動作を制御する制御信号を送信することができる。
【0088】
本装置における基本的な内容は実施例1に示したものと同じであるので、ここでは追加された機能部分について説明する。まず、発電設備出力制御手段1201は、予備力計画出力手段103が出力した発電設備予備力計画データD3の当該時刻の想定発電予備力値に基づいて、発電設備センサ1002から各種センサ情報を収集し、発電設備コントローラ1203に対して、発電設備の出力動作を電気的及び/又は機械的に発電設備の出力を制御するための制御信号を送付する。
【0089】
対象となる発電設備が風車を複数台持つウィンドファームの場合は、各風車の機能特性に関するデータを記憶装置106に格納しておき、機能特性に関するデータとともに、風車のセンサから当該時刻における出力値、ロータ回転数、風速等をリアルタイムで読み出し、各風車にウィンドファーム全体の出力を目標値に合致させるよう配分制御を行うウィンドファームコントローラに対して、当該時刻における発電設備予備力計画データの予備力計画値と同等の出力値を出すよう制御信号を送信する。
【0090】
図16は、予備力計画出力手段103が作成した発電設備予備力計画データD3の表示例を示した図である。予備力計画出力手段103は、作成した発電設備予備力計画データD3を時系列に出力装置104に表示しても良い。
【0091】
また、発電設備予備力計画データD3の他に、電力系統予備力データD1、インセンティブ価値単価データD2、投入エネルギー予測データD4、発電機械損失価値データD6、予備力インセンティブ価値データD7を時系列に出力装置104に単独あるいは組み合わせて表示しても良い。
【0092】
なお上記説明の本発明におけるさらなる変形例として、図11の処理ステップS105、図12の処理ステップS205において、Noと判断された場合の対応がある。この事態は、発電設備の最大出力以上の抑制を求められており、発電設備としては全量抑制(停止)することになる。上記実施例では、部分抑制については価値評価を行ったが、全量抑制(停止)の場合も対象とした価値評価を行うことも可能である。
【符号の説明】
【0093】
100…発電設備運用装置、101…発電機会損失算出手段、102…予備力インセンティブ価値算出手段、103…予備力計画出力手段、104…入力装置、105…出力装置、106…記憶装置、107…通信ネットワーク、108…電力系統運用機関、203…電力取引市場、207…燃料調達機関、208…気象予測機関、205…発電設備コントローラ、1101…発電設備出力制御手段、1102…発電設備センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16