特許第6253893号(P6253893)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6253893質量分析方法、イオン生成装置及び質量分析システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6253893
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】質量分析方法、イオン生成装置及び質量分析システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/62 20060101AFI20171218BHJP
【FI】
   G01N27/62 F
   G01N27/62 V
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-85930(P2013-85930)
(22)【出願日】2013年4月16日
(65)【公開番号】特開2014-209066(P2014-209066A)
(43)【公開日】2014年11月6日
【審査請求日】2016年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(73)【特許権者】
【識別番号】504119734
【氏名又は名称】株式会社バイオクロマト
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】島田 治男
(72)【発明者】
【氏名】森下 佑佳
(72)【発明者】
【氏名】中谷 善昌
(72)【発明者】
【氏名】木下 一真
(72)【発明者】
【氏名】志田 保夫
【審査官】 立澤 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−152421(JP,A)
【文献】 特開2004−361367(JP,A)
【文献】 特開平04−289652(JP,A)
【文献】 特開2012−054172(JP,A)
【文献】 特開2004−179079(JP,A)
【文献】 特開2000−162188(JP,A)
【文献】 特開昭52−103016(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0317916(US,A1)
【文献】 草井 明彦,「リアルタイム直接質量分析法の原理と応用」,ぶんせき,社団法人日本分析化学会,2007年 3月 5日,2007年第3号,通巻387号,pp. 124-127
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/62
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波振動子を用いて、試料を含む液体を霧化させる工程と、
該霧化した液体を移動させる工程と、
DARTイオン源を用いて、該移動した霧化した液体からイオンを生成させる工程と、
該生成したイオンを質量分析計に導入して質量分析する工程を有し、
前記霧化させる工程が、前記超音波振動子上に固定された容器に予め入れられた前記液体を霧化させることを特徴とする質量分析方法。
【請求項2】
超音波振動子を用いて、試料を含む液体を霧化させる工程と、
該霧化した液体を移動させる工程と、
DARTイオン源を用いて、該移動した霧化した液体からイオンを生成させる工程と、
該生成したイオンを質量分析計に導入して質量分析する工程を有し、
前記霧化させる工程が、前記超音波振動子上に予め滴下された前記液体を霧化させることを特徴とする質量分析方法。
【請求項3】
前記霧化した液体を移動させる工程が、前記霧化した液体を鉛直方向上方に向かって移動させることを含む、請求項1又は2に記載の質量分析方法。
【請求項4】
超音波振動子を用いて、試料を含む液体を霧化させる霧化手段と、
該霧化した液体を移動させる移動手段と、
該移動した霧化した液体からイオンを生成させるDARTイオン源を有し、
前記霧化手段が、前記超音波振動子上に固定された容器に予め入れられた前記液体を霧化させることを特徴とするイオン生成装置。
【請求項5】
超音波振動子を用いて、試料を含む液体を霧化させる霧化手段と、
該霧化した液体を移動させる移動手段と、
該移動した霧化した液体からイオンを生成させるDARTイオン源を有し、
前記霧化手段が、前記超音波振動子上に予め滴下された前記液体を霧化させることを特徴とするイオン生成装置。
【請求項6】
前記移動手段が、前記霧化した液体を鉛直方向上方に向かって移動させる、請求項4又は5に記載のイオン生成装置。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一項に記載のイオン生成装置と、質量分析計を有することを特徴とする質量分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一実施形態は、質量分析方法、イオン生成装置及び質量分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
大気圧イオン化法として、種々の方法が知られているが、近年、DART(Direct Analysis in Real Time)が注目されている。
【0003】
DARTは、電子励起状態の原子又は分子を大気中の水に衝突させてペニングイオン化させて生成したプロトンを試料に付加してイオン化させる方法である。例えば、準安定励起状態のヘリウムHe(2S)を用いると、以下のようにして、試料Mをイオン化させることができる。
【0004】
He(2S)+HO→H+*+He(1S)+e
+*+HO→H+OH
+nHO→[(HO)H]
[(HO)H]+M→MH+nH
特許文献1には、試料を加熱してガスを発生させ、DARTを用いて、ガスから生成したイオンを質量分析計に導入して質量分析する質量分析方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、試料が熱分解する場合があり、試料を気化させる際に熱分解を抑制することが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2012/090915号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一実施形態は、上記の従来技術が有する問題に鑑み、試料を気化させる際に熱分解を抑制することが可能な質量分析方法及びイオン生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、質量分析方法において、超音波振動子を用いて、試料を含む液体を霧化させる工程と、該霧化した液体を移動させる工程と、DARTイオン源を用いて、該移動した霧化した液体からイオンを生成させる工程と、該生成したイオンを質量分析計に導入して質量分析する工程を有し、前記霧化させる工程が、前記霧化させる工程が、前記超音波振動子上に固定された容器に予め入れられた前記液体を霧化させるまた、本発明の一実施形態は、超音波振動子を用いて、試料を含む液体を霧化させる工程と、該霧化した液体を移動させる工程と、DARTイオン源を用いて、該移動した霧化した液体からイオンを生成させる工程と、該生成したイオンを質量分析計に導入して質量分析する工程を有し、前記霧化させる工程が、前記超音波振動子上に予め滴下された前記液体を霧化させる。
【0009】
本発明の一実施形態は、イオン生成装置において、超音波振動子を用いて、試料を含む液体を霧化させる霧化手段と、該霧化した液体を移動させる移動手段と、該移動した霧化した液体からイオンを生成させるDARTイオン源を有し、前記霧化手段が、前記超音波振動子上に固定された容器に予め入れられた前記液体を霧化させるまた、本発明の一実施形態は、超音波振動子を用いて、試料を含む液体を霧化させる霧化手段と、該霧化した液体を移動させる移動手段と、該移動した霧化した液体からイオンを生成させるDARTイオン源を有し、前記霧化手段が、前記超音波振動子上に予め滴下された前記液体を霧化させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、試料を気化させる際に熱分解を抑制することが可能な質量分析方法及びイオン生成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】質量分析システムの一例を示す模式図である。
図2図1のチューブを加熱する方法の一例を示す模式図である。
図3】霧化されていない液体の混入を抑制する方法を示す模式図である。
図4】質量分析システムの他の例を示す模式図である。
図5】実施例1のグリチルリチン酸のマススペクトルである。
図6】比較例1の質量分析方法を示す模式図である。
図7】比較例1のグリチルリチン酸のマススペクトルである。
図8】グリチルリチン酸の熱分解を説明する図である。
図9】比較例2のマススペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明を実施するための形態を図面と共に説明する。
【0013】
図1に、質量分析システムの一例を示す。
【0014】
質量分析システム100は、超音波霧化装置10、DARTイオン源20及び質量分析計30を有する。
【0015】
次に、質量分析システム100を用いて、質量分析する方法について説明する。
【0016】
まず、キャップ付きチューブ11に、0.3〜10mLの試料の溶液Sを入れた後、キャップ付きチューブ11を保持部材12に保持する。このとき、保持部材12は、液体Lが入れられている容器14の中で、超音波振動子13上に固定されており、キャップ付きチューブ11は、液体Lと接触するように保持される。このため、電源(不図示)を用いて超音波振動子13に電圧を印加することにより、試料の溶液Sを霧化させることができる。また、キャップ付きチューブ11のキャップ11aには、開口部Oが形成されており、開口部Oにチューブ15が挿入されている。このため、霧化した試料の溶液Sは、チューブ15内を移動する。また、チューブ15の出口側に三方コック16が設置されている。
【0017】
超音波振動子13の振動周波数は、通常、10kHz〜10MHzであり、100kHz〜3MHzであることが好ましい。
【0018】
超音波振動子13としては、特に限定されないが、圧電セラミックス等が挙げられる。
【0019】
チューブ15の内径は、通常、5〜20mmである。
【0020】
チューブ15の長さは、通常、0.05〜2mである。
【0021】
チューブ15の内面には、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、シリコーン樹脂等がコーティングされていてもよい。
【0022】
チューブ15の外面には、加熱チューブ17が取り付けられていてもよい(図2参照)。このとき、加熱チューブ17には、抵抗発熱線17aが巻き付けられているため、電源(不図示)を用いて抵抗発熱線17aに電圧を印加することにより、加熱チューブ17を加熱することができる。これにより、霧化した試料の溶液Sのチューブ15への付着を抑制することができる。
【0023】
なお、霧化した試料の溶液Sは、チューブ15の霧化した試料の溶液Sが導入される側に付着しやすいため、通常、チューブ15の霧化した試料の溶液Sが導入される側に加熱チューブ17を取り付けることが好ましい。
【0024】
加熱チューブ17を加熱するときの加熱チューブ17の内壁の温度は、通常、50〜400℃であり、100〜300℃であることが好ましい。
【0025】
なお、チューブ15を加熱する方法としては、加熱チューブ17を取り付けて加熱する方法に限定されず、セラミックファイバーヒーターを用いて加熱する方法、マイクロ波を照射して加熱する方法、熱風器を用いて加熱する方法等が挙げられる。
【0026】
加熱チューブ17を構成する材料としては、耐熱性を有していれば、特に限定されないが、セラミックス、ガラス、テフロン(登録商標)、ステンレス鋼、ニオブ鋼、タンタル鋼等が挙げられる。
【0027】
抵抗発熱線17aを構成する材料としては、特に限定されないが、鉄−クロム−アルミ系合金、ニッケル−クロム系合金等の金属発熱体;白金、モリブデン、タンタル、タングステン等の高融点金属発熱体;炭化ケイ素、モリブデン−シリサイト、カーボン等の非金属発熱体等が挙げられる。
【0028】
例えば、抵抗発熱線17aとして、直径が0.26mmのニクロム線を用いる場合は、1〜6Aの電流を流す。
【0029】
なお、試料の溶液Sを霧化させる際に、霧化していない試料の溶液Sのチューブ15への混入を抑制することが好ましい。これにより、霧化した試料の溶液Sに含まれる試料から、効率よくイオンを生成させることができる。
【0030】
霧化していない試料の溶液Sの混入を抑制する方法としては、特に限定されないが、入口側の開口部が霧化した試料の溶液Sが発生する方向に対して略垂直な方向に形成されているチューブ15’を設置する方法(図3(a)参照)、チューブ15の入口側の開口部にフィルター18を設置する方法(図3(b)参照)等が挙げられる。
【0031】
フィルター18の孔径は、通常、0.1〜2mmである。
【0032】
次に、DARTイオン源20を用いて、準安定励起状態のヘリウムHe(2S)を大気中の水に衝突させてペニングイオン化させて生成したプロトンを、三方コック16内において、霧化した試料の溶液Sに照射して生成したイオンを、質量分析計30のイオン導入管31から導入して質量分析する。このとき、イオン導入管31内は、コンプレッサー(不図示)により減圧されている。これにより、霧化した試料の溶液Sに含まれる試料から生成したイオンが質量分析計30に導入される。
【0033】
DARTイオン源20のガスヒーターの温度は、通常、室温〜200℃であり、室温〜100℃であることが好ましい。DARTイオン源20のガスヒーターの温度が200℃を超えると、試料が熱分解することがある。
【0034】
このとき、質量分析計30のイオン導入管31は、抵抗発熱線31aが巻き付けられているため、電源(不図示)を用いて抵抗発熱線31aに電圧を印加することにより、イオン導入管31を加熱しながら、試料から生成したイオンを質量分析することができる。これにより、試料から生成したイオンのイオン導入管31への付着を抑制することができる。
【0035】
なお、試料から生成したイオンは、イオン導入管31の試料から生成したイオンが導入される側に付着しやすいため、通常、イオン導入管31の試料から生成したイオンが導入される側に抵抗発熱線31aが巻き付けられている。
【0036】
イオン導入管31を加熱するときのイオン導入管31の内壁の温度は、通常、50〜400℃であり、100〜300℃であることが好ましい。
【0037】
なお、イオン導入管31を加熱する方法としては、抵抗発熱線31aを巻き付けて加熱する方法に限定されず、セラミックファイバーヒーターを用いて加熱する方法、マイクロ波を照射して加熱する方法、熱風器を用いて加熱する方法等が挙げられる。
【0038】
また、イオン導入管31を外して、イオン導入口を直接加熱してもよい。
【0039】
さらに、イオン導入管31に生成したイオンが付着しにくい場合は、イオン導入管31を加熱しなくてもよい。
【0040】
イオン導入管31を構成する材料としては、耐熱性を有していれば、特に限定されないが、セラミックス、ガラス、テフロン(登録商標)、ステンレス鋼、ニオブ鋼、タンタル鋼等が挙げられる。
【0041】
イオン導入管31の内面に、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン、シリコーン樹脂等がコーティングされていてもよい。
【0042】
抵抗発熱線31aを構成する材料としては、特に限定されないが、鉄−クロム−アルミ系合金、ニッケル−クロム系合金等の金属発熱体;白金、モリブデン、タンタル、タングステン等の高融点金属発熱体;炭化ケイ素、モリブデン−シリサイト、カーボン等の非金属発熱体等が挙げられる。
【0043】
例えば、抵抗発熱線31aとして、直径が0.26mmのニクロム線を用いる場合は、1〜6Aの電流を流す。
【0044】
試料としては、DARTイオン源20を用いてイオンを生成させることが可能であれば、特に限定されないが、有機化合物、高分子化合物等が挙げられる。
【0045】
試料の溶液Sに含まれる溶媒としては、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、アセトニトリル等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0046】
なお、試料の溶液Sの代わりに、試料の分散液を用いてもよい。
【0047】
試料の分散液に含まれる分散媒としては、特に限定されないが、水、メタノール、エタノール、アセトニトリル等が挙げられ、二種以上併用してもよい。
【0048】
また、試料が液体である場合は、試料の溶液Sの代わりに、試料を用いてもよい。
【0049】
液体Lとしては、特に限定されないが、水等が挙げられる。
【0050】
図4に、質量分析システムの他の例を示す。なお、図4において、図1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0051】
質量分析システム100’は、超音波霧化装置10の代わりに、超音波霧化装置10’を有する以外は、質量分析システム100と同一の構成である。
【0052】
次に、質量分析システム100’を用いて、質量分析する方法について説明する。
【0053】
まず、保持部材12’により保持されている超音波振動子13上に、1〜10μLの試料の溶液Sを滴下する。このため、電源(不図示)を用いて超音波振動子13に電圧を印加することにより、試料の溶液Sを霧化させることができる。また、滴下された試料の溶液Sの周囲には、チューブ15が設置されている。このため、霧化した試料の溶液Sは、チューブ15内を移動する。さらに、チューブ15の出口側に三方コック16が設置されている。
【0054】
次に、DARTイオン源20を用いて、準安定励起状態のヘリウムHe(2S)を大気中の水に衝突させてペニングイオン化させて生成したプロトンを、三方コック16内において、霧化した試料の溶液Sに照射して生成したイオンを、質量分析計30のイオン導入管31から導入して質量分析する。このとき、イオン導入管31内は、コンプレッサー(不図示)により減圧されている。これにより、霧化した試料の溶液Sに含まれる試料から生成したイオンが質量分析計30に導入される。
【0055】
なお、準安定励起状態のヘリウムHe(2S)の代わりに、準安定励起状態のネオン、準安定励起状態のアルゴン、準安定励起状態の窒素等を用いてもよい。
【実施例】
【0056】
[実施例1]
容器14としての200mLのビーカーに、液体Lとしての水100mL及び超音波振動子13を有する超音波霧化ユニットM−011(星光技研社製)を入れた後、高さが30mmになるように保持部材12を固定した。次に、キャップ付きチューブ11としての、プラスチック製の50mLの遠沈管コニカルチューブ(コーニング社製)に、試料の溶液Sとしての、グリチルリチン酸の0.67mg/mL溶液(溶媒:水/アセトニトリル=2/1(体積比))500μLを入れた。このとき、遠沈管のキャップ11aに、直径が8mmの開口部Oを形成し、内径が6mm、長さが150mmのチューブ15を通した。また、チューブ15の出口側に三方コック16を設置した(図1参照)。
【0057】
次に、質量分析システム100を用いて、霧化した試料の溶液Sから生成したイオンを質量分析した。具体的には、まず、DARTイオン源20を用いて、準安定励起状態のヘリウムHe(2S)を大気中の水に衝突させてペニングイオン化させて生成したプロトンを、霧化した試料の溶液Sに照射して生成したイオンを、質量分析計30に導入して質量分析した。このとき、抵抗発熱線31aに4Aの電流を流すことにより、イオン導入管31を加熱し、イオン導入管31の内壁の温度を150℃とした。
【0058】
なお、DARTイオン源20として、DART SVP(イオンセンス社製)を用い、ガスヒーターの温度を50℃とした。また、質量分析計30として、micrO−TOFQII(ブルカー・ダルトニクス社製)を用い、測定モードをネガティブイオンモードとした。さらに、イオン導入管31として、外径が6.2mm、内径が4.7mm、長さが94mmのセラミックス製のチューブを用い、イオンが導入される側から35mmの領域に抵抗発熱線31aを巻き付けた。このとき、抵抗発熱線31aとして、直径が0.26mmのニクロム線を用いた。
【0059】
図5に、グリチルリチン酸のマススペクトルを示す。
【0060】
図5から、m/zが821であるグリチルリチン酸の分子イオンピーク([M−H])が見られる一方、グリチルリチン酸の熱分解生成物由来のピークが見られず、熱分解を抑制してグリチルリチン酸の構造を解析できることがわかる。
【0061】
[比較例1]
グリチルリチン酸の0.67mg/mL溶液(溶媒:水/アセトニトリル=2/1(体積比))にガラス棒Rを浸し、ガラス棒Rにグリチルリチン酸を付着させた。
【0062】
超音波霧化装置10の代わりに、グリチルリチン酸が付着したガラス棒Rを用い、ガスヒーターの温度を450℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、質量分析した(図6参照)。
【0063】
図7に、グリチルリチン酸のマススペクトルを示す。
【0064】
図7から、m/zが821であるグリチルリチン酸の分子イオンピーク([M−H])が見られない一方、グリチルリチン酸の熱分解生成物由来のピークが見られ、グリチルリチン酸が熱分解していることがわかる。
【0065】
なお、m/zが469であるピークは、結合Aが切断されて脱離した糖部位由来である。また、m/zが645であるピークは、結合Bが切断されて脱離した糖部位由来である。さらに、m/zが940であるピークは、結合Aが切断されて脱離した糖部位の二量体由来である(図8参照)。
【0066】
[比較例2]
ガスヒーターの温度を50℃に変更した以外は、比較例1と同様にして、質量分析した。
【0067】
図9に、マススペクトルを示す。
【0068】
図9から、m/zが821であるグリチルリチン酸の分子イオンピーク([M−H])及びグリチルリチン酸の熱分解生成物由来のピークが見られず、ガラス棒Rの表面からグリチルリチン酸が気化していないことがわかる。
【符号の説明】
【0069】
10、10’ 超音波霧化装置
11 キャップ付きチューブ
11a キャップ
12、12’ 保持部材
13 超音波振動子
14 容器
15、15’ チューブ
16 三方コック
17 加熱チューブ
17a 抵抗発熱線
18 フィルター
20 DARTイオン源
30 質量分析計
31 イオン導入管
31a 抵抗発熱線
100、100’ 質量分析システム
L 液体
O 開口部
S 試料の溶液
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9