特許第6253897号(P6253897)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6253897
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】注射器
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/315 20060101AFI20171218BHJP
【FI】
   A61M5/315 500
   A61M5/315 550G
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-105028(P2013-105028)
(22)【出願日】2013年5月17日
(65)【公開番号】特開2014-389(P2014-389A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2016年5月11日
(31)【優先権主張番号】101121549
(32)【優先日】2012年6月15日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】515097395
【氏名又は名称】李信▲じゅん▼
(73)【特許権者】
【識別番号】515097409
【氏名又は名称】樊孝義
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】陳 卓英
【審査官】 鈴木 洋昭
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−522668(JP,A)
【文献】 米国特許第5370620(US,A)
【文献】 国際公開第2012/012603(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0213304(US,A1)
【文献】 特開2010−167279(JP,A)
【文献】 特表2009−529380(JP,A)
【文献】 特開平6−178810(JP,A)
【文献】 米国特許第5211628(US,A)
【文献】 米国特許第5188599(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/315
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フランジ部を有するシリンダと、
前記シリンダ内を軸方向である第一方向に往復移動可能なプランジャであって、前記プランジャから前記第一方向と直交する方向である第二方向に突出し前記フランジに当接可能な頂端当接部、及び、前記プランジャから前記第二方向に突出し前記頂端当接部と所定間隔を有する可撓性のストッパにより構成され、前記可撓性のストッパの外径が前記頂端当接部の外径より大きい逆止ユニットを有するプランジャと、を備え、
前記プランジャが前記シリンダに入る方向を前記第一方向の一方に向く方向とし、前記プランジャが前記シリンダから出る方向を前記第一方向の他方に向く方向とすると、
前記プランジャが、前記シリンダに対して前記第一方向の一方に向いて移動し、前記フランジ部が前記第一方向の他方に前記可撓性のストッパを傾斜させると、前記頂端当接部及び前記可撓性のストッパが前記フランジ部を通過し、
前記プランジャが、前記シリンダに対して前記第一方向の他方に向いて移動すると、前記フランジ部は、前記可撓性のストッパを係止し、
前記プランジャが前記第一方向の他方に向いて移動するときの前記可撓性のストッパの前記第一方向の一方側の傾斜角度は、前記プランジャが前記第一方向の一方に向いて移動するときの前記可撓性のストッパの前記第一方向の他方側の傾斜角度より小さいことを特徴とする注射器。
【請求項2】
前記シリンダは、シリンダ本体、及び、前記シリンダ本体に結合されている注射針の基部を有し
前記フランジ部は、前記シリンダ本体の内壁に形成された第一の前記フランジ部であり、
前記プランジャは、プランジャ本体、及び、前記プランジャ本体から延設され前記注射針の基部に収容可能である係止部を有し、
前記頂端当接部及び前記可撓性のストッパは前記プランジャ本体から前記第二方向に延設され第一の前記逆止ユニットを構成する第一の前記頂端当接部及び第一の前記可撓性のストッパであり、
前記プランジャが前記シリンダに対して前記第一方向の他方に向いて移動すると、第一の前記フランジ部は、前記プランジャの移動方向とは反対側に第一の前記可撓性のストッパを傾斜させ、第一の前記頂端当接部が第一の前記可撓性のストッパにより係止されることを特徴とする請求項1に記載の注射器。
【請求項3】
前記シリンダは、シリンダ本体及び前記シリンダ本体に結合されている注射針の基部を有し、
前記注射針の基部は、針側端部を有し、
前記フランジ部は、前記注射針の基部の内壁に形成された第二の前記フランジ部であり、
前記プランジャは、プランジャ本体、前記プランジャ本体から延設され前記注射針の基部に収容可能な係止部、及び、前記係止部から延設され前記針側端部に収容可能な頂端部により構成され、
前記頂端当接部及び前記可撓性のストッパは、前記係止部から前記第二方向に延設され第二の前記逆止ユニットを構成する第二の前記頂端当接部及び第二の前記可撓性のストッパであり、
前記プランジャが前記シリンダに対して前記第一方向の他方に向いて移動すると、第二の前記フランジ部は、前記プランジャの移動方向とは反対側に第二の前記可撓性のストッパを傾斜させ、第二の前記頂端当接部は第二の前記可撓性のストッパにより係止されることを特徴とする請求項1に記載の注射器。
【請求項4】
前記シリンダは、シリンダ本体及び前記シリンダ本体に結合され針側端部を有する注射針の基部を有し
前記フランジ部は、前記針側端部の内壁に形成された第三の前記フランジ部であり、
前記プランジャは、プランジャ本体、前記プランジャ本体から延設され前記注射針の基部に収容可能な係止部、及び、前記係止部から延設され前記針側端部に収容可能な頂端部により構成され、
前記頂端当接部及び前記可撓性のストッパは、前記頂端部から前記第二方向に延設され第三の前記逆止ユニットを構成する第三の前記頂端当接部及び第三の前記可撓性のストッパであり、
前記プランジャが前記シリンダに対して前記第一方向の他方に向いて移動すると、第三の前記フランジ部は、前記プランジャの移動方向とは反対側に第三の前記可撓性のストッパを傾斜させ、第三の前記頂端当接部は第三の前記可撓性のストッパにより係止されることを特徴とする請求項1に記載の注射器。
【請求項5】
前記プランジャは、三つの前記逆止ユニットを有し
前記シリンダは、シリンダ本体、及び、前記シリンダ本体に結合され針側端部を有する注射針の基部、及び、三つの前記フランジ部を有し、
三つの前記フランジは、それぞれ前記シリンダ本体の内壁に形成された第一の前記フランジ部、前記注射針の基部の内壁に形成された第二の前記フランジ部、及び、前記針側端部の内壁に形成された第三の前記フランジ部であり、
前記プランジャは、プランジャ本体、前記プランジャ本体から延設され前記注射針の基部に収容可能な係止部、及び前記係止部から延設され前記針側端部に収容可能な頂端部を有し、
第一の前記逆止ユニットの第一の前記頂端当接部及び第一の前記可撓性のストッパは、前記プランジャ本体から延設され
第二の前記逆止ユニットの第二の前記頂端当接部及び第二の前記可撓性のストッパは、
前記係止部から延設され
第三の前記逆止ユニットの第三の前記頂端当接部及び第三の前記可撓性のストッパは、
前記頂端部から延設され、
前記プランジャが、前記シリンダに対して前記第一方向の他方に向いて移動すると、三つの前記フランジ部は、前記プランジャの移動方向とは反対側に対応する前記可撓性のストッパを傾斜させ、対応する前記頂端当接部が前記可撓性のストッパにより係止されることを特徴とする請求項1に記載の注射器。
【請求項6】
前記シリンダの前記フランジは、前記シリンダの内壁の周方向に設けられ、
前記プランジャは、外径が前記シリンダの内径より小さく形成されており、
前記頂端当接部は、外径が前記フランジ部の内径と同じであることを特徴とする請求項1に記載の注射器。
【請求項7】
前記可撓性のストッパは、環状であることを特徴とする請求項1に記載の注射器。
【請求項8】
前記可撓性のストッパは、縁端に複数の凹部及び歯部が周方向に交互に形成されていることを特徴とする請求項7に記載の注射器。
【請求項9】
前記可撓性のストッパは、所定硬度を有し、湾曲している弧状弾性片であることを特徴とする請求項1に記載の注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注射器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の注射器は、図1に示すように、シリンダ11、注射針の基部12、及びプランジャ13で構成される。プランジャ13はピストンヘッド131及びカードエッジ133を有し、シリンダ11はフランジ16及び一対の位置決め座111からなる。位置決め座111は係止溝112を有し、注射針の基部12の前端部には注射針14を取り付ける嵌合段121が設けられており、注射針の基部12のシリンダ後端には弾性を有するフック部122を有し、注射針の基部12の前端部には複数の係止ブロック123が設けられている。注射針の基部12がシリンダ11内に収容されると、係止ブロック123がシリンダ11の位置決め座111の係止溝112に係止される。ピストンヘッド131にはピストン板15が設けられ、ピストンヘッド131の前端部には環状フランジ132が設けられている。薬液の注射が完了した後、ピストンヘッド131は、注射針の基部12に収容され、ピストンヘッド131の環状フランジ132が注射針の基部12のフック部122に係合され、ピストンヘッド131と注射針の基部12とが一体に結合される。ピストンヘッド131は、注射針台座12の係止ブロック123をシリンダー11の位置決め座111の係止溝112から外す。プランジャ13のピストンヘッド131を後退させると、注射針台座12と注射針14とが連動することにより、注射針の基部12及び注射針14がシリンダ11内に収容される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】台湾実用新案出願公開第M360049号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の発明では、ピストン板15、カードエッジ133、及びフランジ16により、プランジャ13がシリンダ11から離脱することを抑制する。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、カードエッジ133とフランジ16との結合が緩すぎる場合、注射針14がシリンダ11から突出するおそれがある。逆に、カードエッジ133とフランジ16との結合がきつすぎる場合、シリンダ11にプランジャ13を収容する場合、シリンダ11とプランジャ13とが相対移動しにくくなるおそれがある。
【0006】
そこで、本発明者は上記の問題が改善可能と考え、鋭意検討を重ねた結果、合理かつ効果的に課題を改善する本発明を提案した。
【0007】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものである。本発明は、停止装置を有する注射器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、フランジ部を有するシリンダ、シリンダ内を軸方向である第一方向に往復移動可能であり、逆止ユニットを有するプランジャを備える。
逆止ユニットは、プランジャから第一方向と直交する方向である第二方向に突出しフランジに当接可能な頂端当接部、及び、プランジャから第二方向に突出し頂端当接部と所定間隔を有する可撓性のストッパにより構成される。可撓性のストッパは、外径が頂端当接部の外径より大きく形成されている。
プランジャがシリンダに入る方向を「第一方向の一方」に向く方向とし、プランジャがシリンダから出る方向を「第一方向の他方」に向く方向とする。
プランジャが、シリンダに対して第一方向の一方に向いて移動し、フランジ部が第一方向の他方に可撓性のストッパを傾斜させると、頂端当接部及び可撓性のストッパがフランジ部を通過する。
また、プランジャが、シリンダに対して第一方向の他方に向いて移動すると、フランジ部は、可撓性のストッパを係止する。
プランジャが第一方向の他方に向いて移動するときの可撓性のストッパの第一方向の一方側の傾斜角度は、プランジャが第一方向の一方に向いて移動するときの可撓性のストッパの第一方向の他方側の傾斜角度より小さい。
【0009】
本発明では、逆止ユニットがシリンダから外れる過程に於いてシリンダのフランジ部に当接し、頂端当接部が可撓性のストッパの傾斜を抑制し、逆止効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】従来の注射器を示す断面図である。
図2】本発明の第一実施形態による注射器を示す断面図である。
図3】本発明の第一実施形態による注射器の逆止ユニットを示す断面図である。
図4】本発明の第一実施形態による注射器を示す断面図である。
図5】本発明の第一実施形態による注射器の逆止ユニットを示す断面図である。
図6】本発明の第一実施形態による注射器を示す断面図である。
図7】本発明の第一実施形態による注射器の可撓性のストッパを示す模式図である。
図8】本発明の第二実施形態による注射器の可撓性のストッパを示す模式図である。
図9】本発明の第三実施形態による注射器を示す模式図である。
図10】本発明の第三実施形態による注射器を示す模式図である。
図11】本発明の第四実施形態による注射器を示す断面図である。
図12】本発明の第四実施形態による注射器を示す断面図である。
図13】本発明の第四実施形態による注射器を示す断面図である。
図14】本発明の第四実施形態による注射器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0012】
(第一実施形態)
まず、図2〜7に基づいて、本発明の第一実施形態による注射器について説明する。
図2図3に示すように、本実施形態の注射器は、シリンダ2、プランジャ4、3つの逆止ユニット5、逆止ユニット6、及び逆止ユニット7を備える。ここで、シリンダ2とプランジャ4との相対移動方向において、プランジャ4がシリンダ2に入る方向を「前」とし、プランジャ4がシリンダ2から出る方向を「後」とする。また、シリンダ2とプランジャ4との相対移動方向は特許請求の範囲における「第一方向」に対応し、「前」は特許請求の範囲における「第一方向の一方」に対応し、「後」は特許請求の範囲における「第一方向の他方」に対応する。シリンダ2はシリンダ本体21及びシリンダ本体21に結合される注射針の基部22、フランジ部23、フランジ部24、及びフランジ部25を含む。シリンダ本体21は、シリンダ前端211、シリンダ前端211の反対側に位置するシリンダ後端212、シリンダ前端211に形成されると共に注射針の基部22の位置を決める位置決め座213、シリンダ本体21の内壁に形成されると共にシリンダ前端211に向いて延設されるフック部214、及びフック部214を収容凹部215で構成される。フック部214は、環状であり、拡張性のある弾性回復力を有し、注射針の基部22に当接するのに用いられる。注射針の基部22は、台座部221及び台座部221から延設されると共に注射針3に結合される針側端部222を備える。フランジ部23、フランジ部24、及びフランジ部25は、シリンダ本体21のシリンダ後端212の近傍の内壁、台座部221の内壁、及び針側端部222の内壁にそれぞれ周方向に形成されている。
【0013】
プランジャ4は、推し出し端41、推し出し端41の近傍に位置するプランジャ本体42、プランジャ本体42の反対側の推し出し端41から延設される係止部43、及び係止部43の反対側の推し出し端41から延設される頂端部44を備える。プランジャ本体42は、プランジャ本体42のシリンダ前端に形成される環状フランジ部421、及び環状フランジ部421と所定間隔を有し環状フランジ部421に対し推し出し端41の近傍に位置するピストン台座422で構成される。ピストン台座422は、漏れ防止用のピストン板8に結合されている。係止部43は、注射針の基部22の台座部221に収容されている。頂端部44は、注射針の基部22の針側端部222に収容されている。
【0014】
逆止ユニット5、逆止ユニット6、及び逆止ユニット7は、プランジャ4の推し出し端41から離れる順に形成されている。逆止ユニット5は、頂端当接部51、頂端当接部51の推し出し端41側に位置し環状を呈する可撓性のストッパ52を有する。逆止ユニット6は、頂端当接部61、頂端当接部61の推し出し端41側に位置し環状を呈する可撓性のストッパ62を有する。逆止ユニット7は、頂端当接部71、頂端当接部71の推し出し端41側に位置し環状を呈する可撓性のストッパ72を有する。逆止ユニット5の頂端当接部51、逆止ユニット6の頂端当接部61、及び逆止ユニット7の頂端当接部71は、それぞれプランジャ本体42、係止部43、及び頂端部44から径方向外側に向いて延設されている。ここで、径方向は特許請求の範囲における「第二方向」に対応する。逆止ユニット5の可撓性のストッパ52、逆止ユニット6の可撓性のストッパ62、及び逆止ユニット7の可撓性のストッパ72は、それぞれ、プランジャ本体42、係止部43、及び頂端部44から径方向外側に向いて延設されている。頂端当接部51と頂端当接部61と頂端当接部71との間には所定間隔を有する。
【0015】
プランジャ4は、外径がシリンダ2の内径より小さく形成されており、シリンダ本体21は、内径が可撓性のストッパ52、可撓性のストッパ62、及び可撓性のストッパ72の外径より大きく形成されている。可撓性のストッパ52、可撓性のストッパ62、及び可撓性のストッパ72は、外径が頂端当接部51、頂端当接部61、及び頂端当接部71の外径より大きく形成されている。頂端当接部51、頂端当接部61、及び頂端当接部71は、外径がフランジ部23、フランジ部24、及びフランジ部25の内径と同じであるよう形成されている。これにより、プランジャ4がシリンダ2に対し正方向Iに推移し、頂端当接部51及び可撓性のストッパ52がフランジ部23を通過するとき、頂端当接部51がフランジ部23に当接し可撓性のストッパ52がフランジ部23に当接すると、可撓性のストッパ52がフランジ部23により負方向IIに傾斜することでフランジ部23を通過する。可撓性のストッパ52は弾性回復力を有するため、可撓性のストッパ52がフランジ部23を通過した後に元の形に回復する。
【0016】
図2図4、及び図5に示すように、薬液注射が完了後、継続してプランジャ4の推し出し端41を正方向Iに推移させると、プランジャ本体42の環状フランジ部421によりフック部214が拡張し凹部215内に収容され、係止部43が注射針の基部22の台座部221に収容され、頂端部44が注射針の基部22の針側端部222に収容される。頂端当接部61および可撓性のストッパ62がフランジ部24を通過するとき、係止部43の逆止ユニット6に形成される頂端当接部61は台座部221の内壁に形成されるフランジ部24に当接し、可撓性のストッパ62が負方向IIに傾斜することで可撓性のストッパ62がフランジ部24を通過する。頂端当接部71及び可撓性のストッパ72がフランジ部25を通過するとき、頂端部44の逆止ユニット7に形成される頂端当接部71は針側端部222の内壁に形成されるフランジ部25に当接し、可撓性のストッパ72が負方向IIに傾斜することで可撓性のストッパ72がフランジ部25を通過する。可撓性のストッパ62及び可撓性のストッパ72は弾性回復力を有するため、可撓性のストッパ62及び可撓性のストッパ72は、フランジ部24及びフランジ部25を通過した後、元の形に回復する。頂端当接部51、頂端当接部61、及び頂端当接部71は剛性の非可撓性を有し、可撓性のストッパ52、可撓性のストッパ62、及び可撓性のストッパ72は可変動弁であり、プランジャ4がシリンダ2に対し正方向Iに移動する場合、可撓性のストッパ52、可撓性のストッパ62、及び可撓性のストッパ72は傾斜し、フランジ部23、フランジ部24、及びフランジ部25を通過する。
【0017】
これにより、ユーザープランジャ4を引きシリンダ2に対し負方向IIにプランジャ4を推移させると、フランジ部24及びフランジ部25は逆止ユニット6及び逆止ユニット7の可撓性のストッパ62及び可撓性のストッパ72に当接し、可撓性のストッパ62及び可撓性のストッパ72が正方向Iに傾斜する。頂端当接部61及び頂端当接部71は、それぞれ可撓性のストッパ62及び可撓性のストッパ72を係止し、逆止効果を有する。よって、注射針の基部22をプランジャ4に結合することができ、注射針の基部22及び注射針3をプランジャ4と共にシリンダ本体21内に収容することができる。
【0018】
図2図5及び図6の図面に示すように、プランジャ4が継続して負方向IIに移動しシリンダ2まで移動すると、シリンダ本体21の内壁に形成されるフランジ部23がプランジャ本体42に形成される可撓性のストッパ52に当接し、頂端当接部51が可撓性のストッパ52を係止することで、逆止効果を有する。注射針の基部22がプランジャ4に結合し、注射針3がシリンダ本体21に収容される。可撓性のストッパ52、可撓性のストッパ62、及び可撓性のストッパ72が正方向Iに向いて傾斜する場合、頂端当接部51、頂端当接部61、及び頂端当接部71が、可撓性のストッパ52、可撓性のストッパ62、及び可撓性のストッパ72を係止し、撓性のストッパ52、可撓性のストッパ62、及び可撓性のストッパ72がフランジ部23、フランジ部24、及びフランジ部25を通過しないようにする。頂端当接部51、頂端当接部61、及び頂端当接部71の所定の角度、ならびに、可撓性のストッパ52、可撓性のストッパ62、及び可撓性のストッパ72と頂端当接部51、頂端当接部61、及び頂端当接部71との間隙により、可撓性のストッパ52、可撓性のストッパ62、及び可撓性のストッパ72の正方向I側の傾斜角度が負方向II側の傾斜角度より小さい。
【0019】
この好ましい実施形態では、注射器は、逆止ユニット5、逆止ユニット6、逆止ユニット7を有し、プランジャ本体42、係止部43、或いは頂端部44の内の何れか2箇所にそれぞれ形成される逆止ユニット5、逆止ユニット6、及び逆止ユニット7を含むか、またはプランジャ本体42、係止部43、或いは頂端部44の内の何れか1箇所に形成される逆止ユニット5、逆止ユニット6、及び逆止ユニット7のみを含むことで逆止効果を達成することができる。
【0020】
シリンダ本体21と注射針の基部22とは堅固に結合される方式で注射針の基部22に当接されるフック部214を有するが、これに限られず、一般的な係合構造による結合を用いてもよく、これらの技術分野に通常知識を有する者ならば容易に変更することが可能である。
【0021】
上述した通りに、本実施形態の注射器は以下の効果及び長所を有する。
一、フランジ部23、フランジ部24、及びフランジ部25は、それぞれ逆止ユニット5の可撓性のストッパ52、逆止ユニット6の可撓性のストッパ62、及び逆止ユニット7の可撓性のストッパ72に当接し、可撓性のストッパ52、可撓性のストッパ62、および可撓性のストッパ72が正方向Iに傾斜すると、頂端当接部51、頂端当接部61、及び頂端当接部71は、それぞれ可撓性のストッパ52、可撓性のストッパ62、及び可撓性のストッパ72を係止る逆止効果を有する。
二、逆止ユニット5、逆止ユニット6、及び逆止ユニット7は、プランジャ本体42、係止部43、及び頂端部44の内の何れか1箇所に形成されることで異なる逆止効果を得ることができる。
【0022】
(第二実施形態)
次は、本発明の第二実施形態による注射器について説明する。
本発明の第二実施形態の構成を図8に示す。本実施形態は、第一実施形態の可撓性のストッパ52、可撓性のストッパ62、及び可撓性のストッパ72の他の構造型態であり、第一実施形態の可撓性のストッパ52と本実施形態の可撓性のストッパ52Aとの差異は、可撓性のストッパ52Aの縁端に複数の凹部521Aと歯部522A間が周方向に等間隔に形成されていることである。これにより第一実施形態の可撓性のストッパ52と同じく逆止効果を得ることができる。第一実施形態の可撓性のストッパ62及び可撓性のストッパ72もこの構造に変更可能である。
【0023】
(第三実施形態)
次は、本発明の第三実施形態による注射器について説明する。
本発明の第三実施形態の構成を図9から図10に示す。本実施形態は、第一実施形態の可撓性のストッパ52、可撓性のストッパ62、及び可撓性のストッパ72の他の構造型態であり、第一実施形態の可撓性のストッパ52と本実施形態の可撓性のストッパ52Bとの差異は、可撓性のストッパ52Bは、硬度を有し湾曲している弧状弾性片であり、プランジャ4がシリンダ2に対して正方向Iに移動すると(図9に示すように)可撓性のストッパ52Bが湾曲しながらシリンダ2へ進入する。プランジャ4がシリンダ2に対して負方向IIに移動すると、可撓性のストッパ52Bは、フランジ部21により係止される(図10に示すように)。本実施形態は上記実施形態と同様に逆止効果を有する。
【0024】
(第四実施形態)
更に、本発明の第四実施形態による注射器について説明する。
本発明の第四実施形態の構成を図11から図14に示す。図11に示すように、シリンダ2A及びプランジャ4Aを備え、シリンダ2Aはシリンダ本体21A及びシリンダ本体21Aに結合される注射針の基部22Aからなり、シリンダ本体21Aのシリンダ前端211Aには貫通孔212Aを有する。注射針の基部22Aの内壁の中間位置にはフランジ部24Aが形成されている。
【0025】
本実施形態では、プランジャ4Aはプランジャ本体42A、プランジャ本体42Aから延設され注射針の基部22Aに収容可能な係止部43A、及び中空であり係止部43Aを被覆し注射針の基部22A内に収容されているコルク製のキャップ45Aを有する。係止部43Aは、環状溝431A及び環状溝431Aから水平に延設されている可撓性のストッパ432Aを有する。フランジ部24Aは、内径が可撓性のストッパ432Aの外径より大きく形成されている。コルク製のキャップ45Aは、縁端451Aの厚さがフランジ部24Aの内径と可撓性のストッパ432Aの外径との差より薄く形成されている。コルク製のキャップ45Aの縁端451Aは、フランジ部24 Aにより環状溝431A内に突出している突起部Tを有し、突起部Tは、内径が可撓性のストッパ432Aの外径より小さく形成されている。環状溝431Aは、可撓性のストッパ432Aの後側に斜面部433Aが形成されており、可撓性のストッパ432Aの正方向I側に平面部434Aが形成されている。
【0026】
シリンダ本体21A内の貫通孔212Aの一端には複数のありつぎ溝217Aが等間隔に形成されている。ありつぎ溝217Aは、シリンダ本体21Aの貫通孔212Aの一端から軸方向に形成されている。ありつぎ溝217Aの負方向II側にはフック部214Aが形成されている。フック部214Aは、貫通孔212A側に延設されると共にシリンダ本体21Aの径方向内側に向いて斜めに形成されている。フック部214Aの末端には、ありつぎ溝217A内に嵌合可能なありつぎ部216Aが形成されている。
【0027】
本実施形態ではリング26Aを有し、リング26Aは、圧縮性を有し、断面が方形を呈し、しシリンダ本体21A内に設けられていると共に貫通孔212Aの一端の底部に位置する。本実施形態の注射針の基部22Aは、シリンダ本体21Aの貫通孔212Aの一端に設置されていると共に台座部221A及び針側端部222Aを有する。台座部221Aは、縁端に第一環状部224A及び第二環状部225Aが形成されている。環状溝226Aは、第一環状部224Aと第二環状部225Aとの間に形成されている。第一環状部224Aは環状部材26Aに当接する。フック部214Aは、シリンダ本体21Aの内壁に対して直立している場合、環状溝226A内に入り、第一環状部224Aの第二環状部225A側への移動を係止する。また、フック部214Aは、ありつぎ部216Aがありつぎ溝217Aに嵌合される場合、第二環状部225Aの第一環状部224A側への移動が許容される。第二環状部225Aの第一環状部224Aとの反対側にはシリンダ本体21Aの内壁に当接するシール部材223Aが設けられている。針側端部222Aは貫通孔212Aから突出している。
【0028】
図12に示すように、コルク製のキャップ45Aは、係止部43Aと共に注射針の基部22A内に設けられている。可撓性のストッパ432Aが突起部Tの後側で前に向いて移動すると、可撓性のストッパ432Aは、突起部Tにより後側の斜面部433Aに向いて傾斜し、突起部Tを通過する。可撓性のストッパ432Aは、突起部Tを通過した後、元の形に回復する。
【0029】
また、図12図13に示すように、コルク製のキャップ45Aが係止部43Aと共に注射針の基部22Aに対して正方向Iに継続して移動すると、注射針の基部22Aの台座部221Aが、キャップ45Aに当接し、正方向Iに移動する。台座部221Aの第二環状部225Aがフック部214Aに当接すると、フック部214Aは、外側に拡げられ、ありつぎ溝217Aに嵌合される。よって、フック部214Aがシリンダ本体21Aの内壁と平行になり、注射針の基部22Aの台座部221Aが負方向IIに移動することができる。
【0030】
図14に示すように、プランジャ4Aをシリンダ本体21Aから外すとき、可撓性のストッパ432Aが突起部Tの前側から後側へ移動すると、可撓性のストッパ432Aの変形が平面部434Aのより抑制され、可撓性のストッパ432Aの負方向IIへの移動が突起部Tにより係止される。これにより逆止效果を得ることができ、係止部43Aと注射針の基部22Aとを一体にして変移させ、上述の実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0031】
注射針の基部22Aの台座部221Aは、シリンダ本体21A内で環状部材26Aに当接し、フック部214Aがシリンダ本体21Aの内壁に対して直立すると、シリンダ本体21A内で停止するため、プランジャ4Aがシリンダ本体21A内に挿入される場合、注射針の基部22Aの台座部221Aをシリンダ本体21A内に固定することができ、シール部材223Aにより漏れを抑制することができる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は上述実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0033】
2・・・シリンダ、
21・・・シリンダ本体、
211・・・シリンダ前端、
212・・・シリンダ後端、
213・・・位置決め座、
214・・・フック部、
215・・・凹部、
22・・・注射針の基部、
221・・・台座部、
222・・・針側端部、
23・・・(第一の)フランジ部、
24・・・(第二の)フランジ部、
25・・・(第三の)フランジ部、
3・・・注射針、
4・・・プランジャ、
41・・・推し出し端、
42・・・プランジャ本体、
421・・・環状フランジ、
422・・・ピストン台座、
43・・・係止部、
44・・・頂端部、
5・・・(第一の)逆止ユニット、
51・・・(第一の)頂端当接部、
52・・・(第一の)可撓性のストッパ、
6・・・(第二の)逆止ユニット、
61・・・(第二の)頂端当接部、
62・・・(第二の)可撓性のストッパ、
7・・・(第三の)逆止ユニット、
71・・・(第三の)頂端当接部、
72・・・(第三の)可撓性のストッパ、
8・・・ピストン板、
I・・・正方向(第一方向の一方)、
II・・・負方向(第一方向の他方)、
52A・・・可撓性のストッパ、
521A・・・凹部、
522A・・・歯部、
52B・・・可撓性のストッパ、
2A・・・シリンダ、
21A・・・シリンダ本体、
211A・・・シリンダ前端、
212A・・・貫通孔、
214A・・・フック部、
216A・・・ありつぎ部、
217A・・・ありつぎ溝、
22A・・・注射針の基部、
221A・・・台座部、
222A・・・針側端部、
223A・・・シール部材、
224A・・・第一環状部、
225A・・・第二環状部、
226A・・・環状溝、
24A・・・フランジ部、
26A・・・環状部材、
4A・・・プランジャ、
42A・・・プランジャ本体、
43A・・・係止部、
431A・・・環状溝、
432A・・・可撓性のストッパ、
433A・・・斜面部、
434A・・・平面部、
45A・・・キャップ、
451A・・・縁端、
T・・・突起部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14