(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記タッチセンサ制御部と接続するための接続端子と、有機EL素子層の発光を制御するための有機EL素子制御部と接続するための接続端子とが、前記第一の基板の同一平面上に形成される、
ことを特徴とする請求項8に記載のタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第一の実施形態]
本発明に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置は、絶縁基板上で薄膜トランジスタを有する画素がマトリクス状に配置された第一の基板と、前記第一の基板と対向して配置された第二の基板と、前記第一の基板上であって、前記第一の基板と前記第二の基板との間に配置され、前記薄膜トランジスタを含む回路により発光が制御される有機EL素子層と、前記有機EL素子層の前記第二の基板と対向する側に配置され、前記有機EL素子層を覆う第一の封止膜と、前記第一の封止膜の前記第二の基板と対向する側の一部の領域で、一方向に延び複数並置された第一の検出電極と、前記第一の封止膜の前記第二の基板と対向する側の、前記第一の検出電極が配置される一部の領域の外側である他の領域と、前記第一の検出電極の前記第二の基板と対向する側と、を覆って配置された第二の封止膜と、前記第二の封止膜の前記第二の基板と対向する側の一部の領域で、前記一方向とは異なる方向に延び、複数並置された第二の検出電極と、前記第一の電極及び前記第二の電極のいずれか一方の電位を制御し、いずれか他方で生じた電気的変化を検出することにより、表示面への接触を検知するタッチセンサ制御部と、を備えることを特徴とする。
【0017】
以下、図面を参照しながら、本発明のタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第一の実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10の分解斜視図である。
【0018】
図1に示されるように、本発明の一実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10は、第一の基板100及び第二の基板600を有するものである。そして、本発明の一実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10は、表示面30において画像を表示するとともに、また表示面30の何れの位置に指先が接触したかを検出するタッチセンサが内蔵されている。
【0019】
本発明の一実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10に含まれる第一の基板100は、
図1においては図示が省略されているが、絶縁基板上で薄膜トランジスタを有する画素がマトリクス状に配置された構造を有するものである。ここで、絶縁基板とは、例えばガラス、プラスチック(ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアクリレート等)等で構成されることとしてもよい。
【0020】
また、本発明の一実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10に含まれる第一の基板100は、例えば光透過性材料からなることとしてもよい。ここで光透過性材料とは、第一の基板100を構成する絶縁基板としては、ガラス、プラスチック(ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリアクリレート等)等であることとしてもよく、また、第一の基板100を構成する配線、電極等としては、ITO、IZO等であることとしてもよい。また光透過性材料は、上記例示したものに限定されるものではない。
【0021】
また、薄膜トランジスタを用いた回路が配置される第一の基板100は、TFT(Thin Film Transistor)基板ともよばれる。ここで、薄膜トランジスタは、ポリシリコンなどの半導体膜と、半導体膜を覆うゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜を介して半導体膜の上方に配置されたゲート電極と、ゲート絶縁膜を貫通して半導体膜に電気的に接続するソース電極及びドレイン電極と、を含むこととしてもよい。また、
図1にて示されるように、第一の基板100に配置される薄膜トランジスタを用いた回路を駆動させるための、駆動回路20が、第一の基板100上に配置されることとしてもよい。
【0022】
また、本発明の一実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10に含まれる第二の基板600は、第一の基板上に配置される有機EL素子(
図2、4A参照)から発せられた光のうち、所定の波長領域を有する光を透過させるカラーフィルターを有するカラーフィルター基板であることとしてもよい。カラーフィルター基板である第二の基板600については、後に詳細に説明する。
【0023】
図2は、
図1のA部分を拡大して示す図であり、本発明の一実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10に含まれる検出電極の配置を模式的に示す斜視図である。
【0024】
図2にて示されるように、本発明の一実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10は、薄膜トランジスタを用いた回路を含む第一の基板100、有機EL素子層200、第一の封止膜300、X方向に延びる第一の検出電極410、第二の封止膜500及びY方向に延びる第二の検出電極420の順に積層された、積層構造を有している。なお、図中には、第一の検出電極410及び第二の検出電極420の一部が記載されているが、それぞれ表示面30の全体に渡って複数並んで配置されている。
【0025】
また、
図2にて示されるように、第一の封止膜300の、有機EL素子層200と接する側とは反対側の領域の一部には、第一の検出電極410が配置されている。また、第一の検出電極410と、第一の封止膜300上において第一の検出電極410が配置されない該第一の封止膜300の他の部分とは、第二の封止膜500によって覆われている。そして、第二の封止膜500の表面の一部の領域には、第二の検出電極420が配置されている。
【0026】
そして、
図2におけるX方向に延びる第一の検出電極410と、Y方向に延びる第二の検出電極420とは、静電容量投影型タッチセンサ400を構成している。ここで、静電容量投影型タッチセンサについて以下に説明する。
【0027】
静電容量方式のタッチパネルには、静電容量表面型と静電容量投影型の2つ種類が知られている。静電容量表面型、静電容量投影型の両者とも、指先と検出電極との間での静電容量の変化を捉えて、指先が接触した位置を検出するものである。ここで、静電容量表面型のタッチセンサは、ベタ電極膜と、四隅の電極端子という少ない検出端子の構成で静電容量を検出しているのに対し、静電容量投影型のタッチセンサは、検出感度を高めるために多点検出方式を採用しており、このためX方向に延びる複数の第一の検出電極410と、Y方向に延びる複数の第二の検出電極420とが立体的に交差する複雑な構成を採用している。
【0028】
ここで、第一の検出電極410と第二の検出電極420との配置関係についてより詳細に説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10に含まれる検出電極の配置を模式的に示す平面図である。
【0029】
図3に示されるように、第一の検出電極410と第二の検出電極420とは、長方形(ストライプ)型ないし菱(ダイヤモンド)型を並べて配置した形状とすることにより、それぞれX方向及びY方向に延びる電極であることとしてもよい。静電容量表面型で採用されるベタ電極等と比べて複雑な形状であるが、このような長方形(ストライプ)型ないし菱(ダイヤモンド)型を連続して配置した形状の検出電極を採用することによってタッチセンサ400の検出感度の向上が図れるため好ましい。
【0030】
また、第一の検出電極410と第二の検出電極420とは、長方形(ストライプ)型ないし菱(ダイヤモンド)型形状を有する一の本体部411、421と、該一の本体部411、421と隣り合って形成される他の本体部とを接続する接続部412、422と、を含んで構成される形状であることとしてもよい。
【0031】
また、
図3に示されるように、第一の検出電極410と第二の検出電極420とから、引き出された配線は、第一の基板100上に形成された接続端子450に接続されたフレキシブルプリント回路基板(FPC)800Aを介して、外部のタッチセンサ制御部50と接続される。
【0032】
また、本発明の一実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10における第一の基板100上の一側には、有機EL素子層200駆動用の接続端子250が備えられ、該接続端子250に接続されたフレキシブルプリント回路基板(FPC)800Bを介して外部の有機EL素子制御部(図示なし)と接続される。
【0033】
本発明の一実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10においては、このようにタッチセンサ制御部50および有機EL素子制御部と接続される各々の接続端子450、250を、同一平面である第一の基板100上に備えることができる。なお、後に説明を行うが、該有機EL素子層200駆動用の接続端子250は、第一の基板100に備えられるタッチセンサ制御用の接続端子450と併存して備えられることとしてもよい。また、接続端子部分の接続方法については後に更に詳細に説明する。
【0034】
次に、有機EL素子層200等について詳細に説明を行う。
図4Aは、本発明の一実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10の断面図である。
【0035】
図4Aに示されるように、第一の基板100上には、陽極210と、陰極230と、前記陽極210と前記陰極230との間で挟持される発光層220と、を含んで構成される、有機EL素子層200が備えられている。
【0036】
また、有機EL素子層200の上には、有機EL素子層200を保護する封止膜が形成され、該封止膜300、500の上にはタッチセンサ400が備えられている。すなわち、第一の基板100上には、有機EL素子層200、タッチセンサ400が備えられている。
【0037】
以下に、本発明の一実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10に含まれる有機EL素子層200について詳細に説明する。本発明の一実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10に含まれる有機EL素子層200は、陽極210と、陰極230と、前記陽極210と前記陰極230との間で挟持される発光層220と、を有し、上記にて説明した第一の基板100上に備えられている。
【0038】
ここで、本実施形態における陽極210および陰極230はそれぞれ、ITOやIZO等の透明の金属による導電膜で形成されることとしてもよい。有機EL素子層200に含まれる陽極210には、第一の基板100に備えられた薄膜トランジスタを介して電流が供給される。そして陽極210に供給された電流は、発光層220を経て、陰極230へと流れ込む。陽極210および陰極230に挟持される発光層220では、陰極230からの電子及び陽極210からの正孔が再結合することにより発光する。そして、発光した光は、外部に照射されることとなる。
【0039】
また、本実施形態における陰極230は、タッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10の表示面30のほぼ全面にわたって形成されるベタ電極で形成されている。なお、ベタ電極は、所定の領域(本実施形態ではタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10の表示面30)の一面に形成されるものであるため、表面の凹凸状態で多少の段切れを起こしたとしても該電極の機能が完全に損なわれることはないものである。
【0040】
そして、有機EL素子層200の第一の基板100と対向する側とは反対側には、第一の封止膜300が備えられている。すなわち、有機EL素子層200の最上面に位置する陰極230の、第二の基板600と対向する側には、第一の封止膜300が備えられることとなる。
【0041】
また、
図4Aに示されるように、有機EL素子層200に含まれる陽極210の端部には、該端部を覆うようにバンク240が形成される。バンク240は、各画素で分離した陽極210の端部を覆うことによって発光領域を規定する役割を果たしている。よって、バンク240は、
図4Aにも示されるように第二の基板600であるカラーフィルター基板(第二の基板600)に備えられたブラックマトリクス610と対応する位置に備えられている。
【0042】
また、バンク240は、第一の基板100上に形成される陽極210端部の段差を覆うことによって有機EL素子層200の発光層220の段切れによる、陽極210−陰極230間の短絡を防ぐ役割も果たしている。そのため、バンク240は
図4Aに示されるように、なだらかな曲面表面を有するように形成される。
【0043】
このため、
図4Aにおいて有機EL素子層200の最上面に形成されるベタ電極である陰極230は、バンク240の形状に追随するようになだらかに凹凸が形成されることとなる。そして、有機EL素子層200の第一の基板100と対向する側とは反対側に備えられる、第一の封止膜300の表面も、有機EL素子層200の最上面に形成されるベタ電極である陰極230の表面形状に追随するように、凹凸が形成されることとなる。
【0044】
ここで、第一の封止膜300は、外部からの水分、酸素等から有機EL素子層200を保護するために備えられるものである。したがって、第一の封止膜300を形成する材料は、通水性、通気性を考慮して選定されることとなる。
【0045】
本実施形態においては、第一の封止膜300は、無機材料によって形成される第一の無機層で構成される。また、第一の無機層は、SiN、SiO
2、P
2O
5・SiO
2(PSG)、Al
2O
3、PbO・SiO
2、Si
3N
4、SiON、及びPbO・B
2O
3、からなる群で構成される化合物群から選択される化合物によって形成されることとしてもよい。なかでも第一の封止膜300は、SiNによって形成されることは好適である。また、第一の封止膜300は、例えばCVDによって成膜されることとしてもよい。なお、第一の封止膜300の材料、及び形成方法は、上記のものに限られるものではない。
【0046】
また、第一の封止膜300の厚さは、0.5μm〜5μmであることとしてもよい。第一の封止膜300の厚さが0.5μm〜5μmであることによって、有機EL素子層200に対する保護効果が高まり好ましい。
【0047】
第一の封止膜300上に形成される第一の検出電極410は、静電容量投影型タッチセンサ400を構成するが故に、上記にて説明したように例えば、長方形(ストライプ)型又は菱(ダイヤモンド)型を並べて配置した形状といった複雑な形状を有している。このため、第一の検出電極410は、ベタ電極と異なり段切れを起こすと該電極がオープン状態となり、タッチセンサ400の機能を完全に損なうことになりかねない。したがって、第一の検出電極410が形成される、第一の封止膜300の表面は、第一の検出電極410の段切れが起こらないように、より平坦なものであることが求められることとなる。
【0048】
また、特に、タッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10に備えられる有機エレクトロルミネッセンス表示部が、高精細になればなるほど、バンク240の形成箇所が増えることとなるため、より凹凸は形成されやすくなることとなる。
【0049】
また、第二の封止膜500も、第一の封止膜300同様、外部からの水分、酸素等から有機EL素子層200を保護するために備えられる。したがって、通水性、通気性を考慮して第二の封止膜500を形成する材料は選定される。
【0050】
本実施形態の第二の封止膜500は、無機材料によって形成される第二の無機層によって構成される。また、第二の無機層は、SiN、SiO
2、P
2O
5・SiO
2(PSG)、Al
2O
3、PbO・SiO
2、Si
3N
4、SiON、及びPbO・B
2O
3、からなる群で構成される化合物群から選択される化合物によって形成されることとしてもよい。また、第二の封止膜500は、有機材料ではあるが、例えばポリイミド樹脂及び/又はその誘導体によって形成されることとしてもよい。なかでも第一の封止膜300は、SiNによって形成されることは好適である。また、第二の封止膜500は、例えばCVDによって成膜されることとしてもよい。なお、第二の封止膜500の材料、及び形成方法は、上記のものに限られるものではない。
【0051】
また、第二の封止膜500の厚さは、0.5μm〜5μmであることとしてもよい。第二の封止膜500の厚さが0.5μm〜5μmであることによって、有機EL素子層200に対する保護効果が高まり好ましい。
【0052】
第二の封止膜500上に形成される第二の検出電極420は、上記にて説明したように例えば、長方形(ストライプ)型ないし菱(ダイヤモンド)型を並べて配置した(連続した)形状といった複雑な形状を有している。このため、第二の検出電極420が形成される、第二の封止膜500の表面は、平坦なものであることが好ましい。第二の封止膜500の表面の凹凸によって、第二の検出電極420が段切れを起こすことが考えられるからである。
【0053】
また、第一の検出電極410と第二の検出電極420の厚さは、それぞれ、10μm〜100μmであることとしてもよい。第一の検出電極410と第二の検出電極420の厚さが10μm〜100μmであることによって、シート抵抗を低減することができ好ましい。
【0054】
また、本発明の一実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10に含まれる第一の検出電極410と第二の検出電極420とは、それぞれ、マスクスパッタ法、印刷法のいずれか一方の方法によって形成されることとしてもよい。
【0055】
本発明に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10は、検出感度を高めるために静電容量投影型のタッチパネルが内蔵されるが、該タッチパネルを実現するためには、
図3にて示されるような複雑な形状をパターニングする必要がある。また、本発明に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10は、薄型化の要請から有機EL素子層200と、タッチセンサ400とは、
図4Aに示されるように、物理的に近い距離に位置することとなる。これらの点を踏まえ、有機EL素子層200は、水分や酸素を嫌うため、タッチセンサ400の形成においても水分や酸素をなるべく用いない方法を採ることが好ましい。
【0056】
例えば、エッチングを用いての検出電極の形成方法は、エッチング液の洗浄等で多量の水を使用するため、本発明に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10の、第一の検出電極410と第二の検出電極420との形成においては好ましい方法とはいえない。したがって、本発明の一実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10に含まれる第一の検出電極410と第二の検出電極420とは、それぞれ、マスクスパッタ法、印刷法のいずれか一方の方法によって形成されることが好ましい。ここで、印刷法とは、例えばインクジェット法、凸版印刷法等である。
【0057】
また、マスクスパッタ法によって、第一の検出電極410及び/又は第二の検出電極420が形成する場合、マスクと基板との間隔が無いと傷や異物の影響が考えられるため、マスクと基板との間は所定の間隙を空けて第一の検出電極410及び/又は第二の検出電極420を形成することが好ましい。このようにスクと基板との間は所定の間隙を空けて第一の検出電極410及び/又は第二の検出電極420を形成した場合、第一の検出電極410及び/又は第二の検出電極420の端部はテーパー形状を有することとなる。したがって、第一の検出電極410及び/又は第二の検出電極420の端部は、テーパー形状を有することとしてもよい。
【0058】
また、第一の検出電極410と第二の検出電極420とは、それぞれ、ITO,IZO等の透明な金属、又は金属メッシュ、銀ナノファイバー、カーボンナノファイバー、グラフェン等によって形成されることとしてもよい。
【0059】
なお、本実施形態における第二の基板600であるカラーフィルター基板は、ガラス又は樹脂等の透明基板630上に、RGBによって区画された3つの領域(620R、620G、620B)を形成した構造であることとしてもよい。また、第二の基板600と、第二の検出電極420と、の間には、例えば有機樹脂からなる充填層700が備えられることとしてもよい。
【0060】
上記にて説明した第一の実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置は、タッチセンサが内蔵されていない有機エレクトロルミネッセンス装置と比較して、実質的にタッチセンサを構成する第一、第二の検出電極を含む封止膜構造の膜厚の増加のみだけで実現できるものであり、薄型化の要望を満たすものである。
【0061】
また、以下に接続端子部分の接続方法について詳細に説明する。
図5Aは、
図3のV−V線近傍における断面を示す概略図である。
図5Aに示されるように、タッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10に備えられる、タッチセンサ400の接続端子450と、有機EL素子層200の接続端子250とは、同一基板上(第一の基板200上)に形成される構造を有するものである。
【0062】
図5Aに示されるように、第一の封止膜300と第二の封止膜500とは、端部において段階的に除去されている。これによって、第一の検出電極410の一端及び第二の検出電極420の一端が、タッチセンサ400の接続端子450として露出する構造を有している、すなわち、タッチセンサ400の接続端子450は、第一の検出電極410の一端及び第二の検出電極420の一端から構成されている。
【0063】
そして、タッチセンサ400の接続端子450と接続されるフレキシブルプリント回路基板(FPC)800Aは、第一の検出電極410の一端及び第二の検出電極420の一端と接続されている。また、有機EL素子層200の接続端子250は、タッチセンサ400の接続端子450と接続されるフレキシブルプリント回路基板(FPC)800Aとは異なる他のフレキシブルプリント回路基板(FPC)800Bと接続されている。
【0064】
図5Bは、本発明に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10における接続端子部分付近の他の一例を示す断面図である。
図5Bに示されるように、タッチセンサ400の接続端子450と、有機EL素子層200の接続端子250とは、それぞれ共通のフレキシブルプリント回路基板(FPC)800にて接続されている。
【0065】
このように、一つのフレキシブルプリント回路基板(FPC)800で、タッチセンサ400の接続端子450と、有機EL素子層200の接続端子250とを接続することによって、接続工程の簡素化、部材の低減等が可能となり、製造コストの低減が実現される。
【0066】
また、
図6Aは、本発明の他の実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10に含まれる検出電極の配置を模式的に示す平面図である。
図6Bは、
図6AのVI−VI線近傍における断面を示す概略図である。本発明に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10における接続端子部分付近の他の一例を示す断面図である。
【0067】
図6Bに示されるように、タッチセンサ400を構成する第一の検出電極410と、第二の検出電極420とは、その端部に形成されたコンタクトホール460を介し、第一の基板100上に備えられる接続端子450と接続される引出配線と、電気的に接続されている。
【0068】
このような構造を採ることによって、タッチセンサ400の接続端子450と、有機EL素子層200の接続端子250とが、第一の基板200における同一平面上に形成される構造を有することとなるため、外部回路との電気的接続が更に容易なものとなる。
【0069】
また、上記説明を行ったコンタクトホール460を介して接続されるタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置は、薄型化の要望を満たすとともに、外部回路との電気的接続が容易なものとなるという効果を奏することとなる。
【0070】
[第二の実施形態]
以下には、タッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10に備えられる、有機エレクトロルミネッセンス表示部がより高精細なものが採用されたとしても、薄型化を実現し、且つ、タッチセンサを構成する検出電極の段切れを抑制する実施態様について説明を行う。
【0071】
本発明の第二の実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10は、第一の実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10において、第一の封止膜300が第一の無機層300と、第一の平坦化層310とで構成されている点で異なる。
【0072】
図4Bは、本発明の第二の実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10の断面図を示す図である。
図4Bに示されるように、第二の実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置10の第一の封止膜300は、第一の無機層300の第二の基板側に形成され、表面の凹凸を平坦化する第一の平坦化層310を有する。
【0073】
ここで、第一の平坦化層310は、有機材料によって形成される。第一の平坦化層310は、第一の封止膜300において第一の検出電極410が備えられる側の表面の凹凸を平坦化と共に、陰極230との間で形成される静電容量の影響を少なくすることを目的に備えられるために、適宜膜厚を選択することとしてもよい。そして、有機樹脂のワニス(有機樹脂を溶媒に溶かした液状物)を凹凸表面に塗布することによって、凹部に優先的にワニスが流れ込むこととなり、第一の封止膜300の表面の凹凸を効果的に平坦化することとなる。
【0074】
また、第一の平坦化層310は、例えば、有機樹脂によって形成されることとしてもよい。第一の平坦化層310に適用される有機樹脂は、例えば、アクリル、ポリイミド、エポキシ、及び光学的接着剤(OCA)からなる群より選択されることとしてもよい。有機材料を塗布する方法以外に、有機材料を低温蒸着法、樹脂シート貼付け法などにより形成してもよい。また表示面30より外側では徐々に薄くなるように形成し、最外部では第一の封止膜300と第二の封止膜500が接触する構造としてもよい。これにより外部からの水分の侵入を効果的に防ぐことができる。
【0075】
また、第一の平坦化層は、1〜100μmの厚さを有することとしてもよい。第一の平坦化層が、10μm以上であることによって、タッチセンサの段切れを抑制する効果が高まることに加え、陰極とタッチセンサ間の静電容量の影響を低減できることから好ましい。また、第一の平坦化層の厚みの上限については特に規定がないが、第一の平坦化層の厚みが大きいほど、薄型化については不利なものとなるため、例えば80μm以下であることとしてもよいし、また80μm未満であることとしてもよい。
【0076】
なお、第一の平坦化層310の材料、及び形成方法は、上記のものに限られるものではない。
【0077】
上記にて説明した第二の実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置は、タッチセンサが内蔵されていない有機エレクトロルミネッセンス装置と比較して、実質的にタッチセンサを構成する第一、第二の検出電極の膜厚、第一の平坦化層の厚さの増加のみだけで実現できるものであり、薄型化の要望を満たすものである。また、タッチセンサの段切れを抑制する効果も有し、該装置の信頼性が高まるという効果も奏する。
【0078】
また、上記にて説明した第二の実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置においても、第一の実施形態に係るタッチセンサ内蔵有機エレクトロルミネッセンス装置において説明した接続端子の接続構造を採用することとしてもよい。
【0079】
また、第二の封止膜500は、第二の基板600と対向する側の、少なくとも第二の検出電極420が配置される領域の表面の凹凸を平坦化する第二の平坦化層(図示せず)を有することとしてもよい。
【0080】
また、第二の封止膜500が第二の平坦化層を有する場合において、第二の平坦化層は、例えば、有機樹脂によって形成されることとしてもよい。第二の平坦化層は、表面の凹凸を平坦化することを目的に備えられるため、第二の封止膜500の有する機能である通水性、通気性を考慮して材料を選定する必要がない。また、有機樹脂のワニス(有機樹脂を溶媒に溶かした液状物)を凹凸表面に塗布することによって、凹部に優先的にワニスが流れ込むこととなり、結果効果的に第二の封止膜500の表面の凹凸を平坦化することができ好ましい。
【0081】
なお、第二の平坦化層510の材料、及び形成方法は、上記のものに限られるものではない。
【0082】
また、第二の平坦化層は、1〜100μmの厚さを有することとしてもよい。第二の平坦化層が、10μm以上であることによって、タッチセンサの段切れを抑制する効果が高まり好ましい。また、第二の平坦化層の厚みの上限については特に規定がないが、第二の平坦化層の厚みが大きいほど、薄型化については不利なものとなるため、例えば80μm以下であることとしてもよいし、また80μm未満であることとしてもよい。