特許第6253960号(P6253960)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6253960
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】導光板及び車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 8/10 20060101AFI20171218BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20171218BHJP
   F21V 8/00 20060101ALI20171218BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20171218BHJP
【FI】
   F21S8/10 371
   F21S8/10 352
   F21S2/00 435
   F21V8/00 330
   F21Y115:10
【請求項の数】5
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-242444(P2013-242444)
(22)【出願日】2013年11月25日
(65)【公開番号】特開2015-103363(P2015-103363A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年10月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】川端 茉莉
(72)【発明者】
【氏名】大森 敦
【審査官】 津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/024812(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0286679(US,A1)
【文献】 特開2003−043265(JP,A)
【文献】 特開2002−122743(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/10
F21S 2/00
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射面である一方の端面から入射された光を、一方の主面に設けられた複数の反射カットで反射させて、出射面である他方の主面から出射させる導光板であって、
前記複数の反射カットは、前記入射面から離れるに連れて隣り合うものとの間隔が短くなるように配列されるか、あるいは、所定の点灯デザインに対応させて粗密に配列され、
前記反射カットは、前記他方の主面側に向かって窄まる錘状を基本形状とした凹状に形成されるとともに、その前記入射面側の面が光の入射方向に対して前上がりに傾斜した傾斜面とされ、
前記傾斜面には、当該傾斜面の傾斜方向に沿った複数の溝部が、当該傾斜面の全面に亘って隙間なく並設され
前記複数の溝部は、その長手方向と直交するそれぞれの断面形状が、三角形状,円弧状,段付き三角形状または波形状に形成され、前記入射面からの光を当該溝部内で2回反射させることを特徴とする導光板。
【請求項2】
前記反射カットは、前記一方の主面に凹状に形成されており、前記傾斜面が当該反射カットのうちの前記入射面側の面であることを特徴とする請求項1に記載の導光板。
【請求項3】
前記複数の溝部は、それぞれの断面形状が、半円形よりも浅い円弧状、又は、前記溝部の深さ方向により小さい三角形状を有する段付き三角形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の導光板。
【請求項4】
前記反射カットは、前記傾斜面を有する四角錘状が基本形状であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の導光板。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の導光板と、
前記導光板の前記入射面に対向配置されたLEDと、
を備えることを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板及びこれを備える車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載される各種の車両用灯具として、導光板の主面を面発光させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。一般に、この種の車両用灯具は、図6(a)に示すように、裏面に多数の反射カットが形成された導光板と、この導光板の端面に対向配置された複数の光源(例えば発光ダイオード)とを備えている。そして、光源から出射されて端面から導光板内に入射した光が、裏面の反射カットで反射されて主表面(裏面と反対側の面)から出射されることで、この導光板の主表面が発光する。導光板に形成される反射カットとしては、端面(入射面)に一方の傾斜面を向けた三角柱状や、半球状のものが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−56603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の導光板では、反射カットの形状が半球状や三角柱状であるために、この反射カットでの反射方向の制御,ひいては、最終的に得られる出射光の方向制御が困難であった。
【0005】
具体的には、反射カットが半球状である場合には、反射光が広く散乱するために均一感のある出射光が得られやすいものの、一定の出射方向(反射カットでの反射方向)に沿った平行光となるように制御することは難しい。そのため、このような反射カットを有する導光板は、比較的に精緻な配光制御が求められる車両用灯具には、少なくとも当該導光板単独では適用できない。
【0006】
また、反射カットが三角柱状である場合には、図6(b)に示すように、傾斜面での1回の正反射となるため、傾斜面の傾斜角度を変えることで導光板の長さ方向(入射方向に沿った方向)への制御は容易ではあるものの、導光板の幅方向への制御が難しい。そのため、この三角柱状の反射カットでは、光源から多少の広がりをもって出射される光を一様な平行光として反射させることができない。したがって、このような反射カットを有する導光板は、車両用灯具に適用するには効率が悪く、また輝度ムラも大きい。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、従来に比べ、出射光の方向制御を容易に行うことができる導光板及びこれを備える車両用灯具の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、
入射面である一方の端面から入射された光を、一方の主面に設けられた複数の反射カットで反射させて、出射面である他方の主面から出射させる導光板であって、
前記複数の反射カットは、前記入射面から離れるに連れて隣り合うものとの間隔が短くなるように配列されるか、あるいは、所定の点灯デザインに対応させて粗密に配列され、
前記反射カットは、前記他方の主面側に向かって窄まる錘状を基本形状とした凹状に形成されるとともに、その前記入射面側の面が光の入射方向に対して前上がりに傾斜した傾斜面とされ、
前記傾斜面には、当該傾斜面の傾斜方向に沿った複数の溝部が、当該傾斜面の全面に亘って隙間なく並設され
前記複数の溝部は、その長手方向と直交するそれぞれの断面形状が、三角形状,円弧状,段付き三角形状または波形状に形成され、前記入射面からの光を当該溝部内で2回反射させることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の導光板において、
前記反射カットは、前記一方の主面に凹状に形成されており、前記傾斜面が当該反射カットのうちの前記入射面側の面であることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の導光板において、
前記複数の溝部は、それぞれの断面形状が、半円形よりも浅い円弧状、又は、前記溝部の深さ方向により小さい三角形状を有する段付き三角形状であることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の導光板において、
前記反射カットは、前記傾斜面を有する四角錘状が基本形状であることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、車両用灯具であって、
請求項1〜4の何れか一項に記載の導光板と、
前記導光板の前記入射面に対向配置されたLEDと、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、導光板の一方の主面に設けられた複数の反射カットは、光の入射方向に対して前上がりに傾斜した傾斜面に、当該傾斜面の傾斜方向に沿った複数の溝部が並設された形状にそれぞれ形成されている。これにより、入射面から導光板内に入射した光が反射カットの溝部の両側面で2回反射されるので、入射方向と直交する導光板の幅方向に関して当該光を溝部に沿った方向へ向けやすくすることができる。そのため、導光板に沿った平面内で多少の広がりをもって反射カットに入射する光に対しても、一様な平行光として反射させることができる。したがって、反射カットが単純な半球状や三角柱状であった従来に比べ、出射光の方向制御を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態における車両用灯具の断面図である。
図2】実施形態における反射カットの(a)斜視図であり、(b)背面図である。
図3】実施形態における反射カットでの光の反射態様を説明するための図である。
図4】実施形態における反射カットでの光の反射態様を説明するための図である。
図5】実施形態における反射カットの変形例を説明するための図である。
図6】(a)従来の車両用灯具の断面図であり、(b)従来の反射カットでの反射態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態における車両用灯具1の断面図である。
なお、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」「上」「下」との記載は、特に断りのない限り、車両用灯具1から見た方向を意味するものとする。
【0016】
図1に示すように、車両用灯具1は、前面が開口したハウジング2と、当該ハウジング2の前面開口を覆う素通しの透光レンズ3とを備えている。これらハウジング2と透光レンズ3とで画成される灯室の内部には、LED(発光ダイオード)4と、導光板5とが収容されている。
【0017】
LED4は、車両用灯具1の光源であり、導光板5の上端面(後述の入射面5a)に発光面を対向させた状態に配置されている。また、LED4は、図示は省略するが、導光板5の上端面に沿って左右方向(図1の紙面垂直方向)へ複数並設されている。
【0018】
導光板5は、略平板状に形成されて前後方向と略直交する状態に配置されており、周縁部分がエクステンション6に覆われている。導光板5の上端面は、LED4からの光を当該導光板5内に入射させる入射面5aであり、上述の通り、LED4が対向配置されている。導光板5の前面は、当該導光板5内から光を出射させる出射面5bである。導光板5の後面は、入射面5aからの光を出射面5bに向けて反射させる面であり、当該後面には、そのための凹状の複数の反射カット51,…が形成されている。これら複数の反射カット51,…は、本実施形態では、出射面5bを均一に発光させる目的で、入射面5aから離れるに連れて隣り合うものとの間隔が短くなるように設けられている。
【0019】
図2(a),(b)は、反射カット51の斜視図及び背面図であり、図3及び図4は、反射カット51での光の反射態様を説明するための図である。なお、図2図4では、反射カット51の形状を分かり易くするために当該反射カット51を中実部として示しているが、実際には反射カット51は中空(凹状部)である。
【0020】
図2(a),(b)に示すように、各反射カット51は、4つの側面が上下左右を向きつつ前方に向かって窄まる四角錘状が基本形状となっており、本実施形態では、左右両側面が膨出する凸面状の四角錘状が基本形状である。そして、反射カット51は、この基本形状の四角錘のうち、光の入射方向(下向き方向)に対して前上がりに傾斜した傾斜面,つまり光が入射してくる上側(入射面5a側)の側面に、複数の溝部G,…が設けられた形状となっている。複数の溝部G,…は、基本形状である傾斜面の傾斜方向にそれぞれ沿っており、当該傾斜面の全面に亘って隙間なく左右方向に並設されている。また、複数の溝部G,…は、長手方向と直交する各断面形状が三角形状に形成されている。
【0021】
この反射カット51では、図3に示すように、入射面5aから入射して導光板5内を下方へ導光してきた光が、2回反射されることで前方へ向けられる。
より詳細には、反射カット51に入射した光は、図4(a)に示すように、まず溝部Gの一方の側面で反射されて進行方向を変える。次に、この光は、図4(b)に示すように、この溝部Gの他方の側面でさらに反射されて、前方へ向けられる。
このように、反射カット51では、入射面5aからの光を溝部G内で2回反射させることにより、左右方向に関して当該光を溝部Gに沿った方向へ向けやすくすることができる。
【0022】
以上のように、本実施形態の導光板5によれば、入射面5aから導光板5内に入射した光が反射カット51の溝部Gの両側面で2回反射されるので、左右方向に関して当該光を溝部Gに沿った方向へ向けやすくすることができる。そのため、導光板5に沿った平面内で多少の広がりをもって反射カット51に入射する光に対しても、前方への一様な平行光として反射させることができる。したがって、反射カットが単純な半球状や三角柱状であった従来に比べ、出射光の方向制御を容易に行うことができる。
【0023】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0024】
例えば、上記実施形態では、反射カット51の複数の溝部G,…が三角形状断面であることとしたが、この溝部Gの断面形状は、所望の反射光に応じたものであることが好ましい。
具体的には、左右方向により広がりのある反射光を得たい場合には、図5(a)に示すように、溝部Gの断面形状は、円弧状であることが好ましい。この場合、当該断面形状が半円状にまで曲率の大きいものであると、反射光が再帰反射してしまう可能性があるため、比較的に曲率の小さい円弧状であることがより好ましい。
また、上記実施形態の三角形状のときよりも、さらに溝部Gに沿った方向への指向性を有する反射光を得たい場合には、図5(b)に示すように、溝部Gの断面形状は、奥側により小さい三角形状を有する段付き三角形状であることが好ましい。
或いは、所定の方向に沿った反射光と左右方向に広がりのある反射光とをそれぞれ得たい場合には、図5(c)に示すように、溝部Gの断面形状は、波形状であることが好ましい。
【0025】
また、溝部Gの山の端部及び/又は谷の端部をR面処理してもよい。このように構成すれば、溝部Gでの反射光の向きをわずかに左右方向に広げることができる。そのため、このR面の曲率を微調整することで、車両用灯具として好適な配光パターンに合わせこむことが可能になる。
【0026】
また、反射カット51は、光の入射方向に対して前上がりに傾斜した傾斜面に複数の溝部G,…が並設されたものであれば、導光板5の後面に凸状に設けられていてもよい。つまり、反射カット51を凸状に設けた場合には、複数の溝部G,…は、反射カット51のうち、光が入射してくる側とは反対側(下側)の面に設けられる。このような凸状の反射カット51が設けられた導光板5であっても、凹状の反射カット51が設けられたものと同様の効果を得ることができる。
また、反射カット51の基本形状は、複数の溝部G,…が設けられる傾斜面を有していれば、四角錘状でなくともよい。
【0027】
また、複数の溝部G,…は、反射カット51の側面のうち、入射面5a側である上側の側面に設けられることとしたが、これとは反対側である下側の側面に追加して設けてもよい。このように構成すれば、例えば導光板5内の雑光などを反射カット51の下側の側面でも反射させることができ、光の利用効率を向上させることができる。またこのときに、LED4を導光板5の下端面にも対向配置させて、当該導光板5の上下両端面から光を入射させるように構成すれば、より光量を増やすことができる。
【0028】
また、導光板5の後面における反射カット51の配列(分布)は、特に限定されるものではない。例えば、反射カット51を車両用灯具の点灯デザインに合せて疎密に配列すれば、点灯時にこの点灯デザインの発光パターンを得ることができる。本発明に係る反射カット51によれば、左右方向に拡散しやすい従来のものに比べて、左右方向に関して入射光を溝部Gに沿った方向へ向けることができるため、意図した点灯デザイン通りの発光パターンを形成することができる。
【符号の説明】
【0029】
1 車両用灯具
4 LED
5 導光板
5a 入射面
5b 出射面
51 反射カット
G 溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6