特許第6253995号(P6253995)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6253995ディジタル保護制御装置の入力変換器及び入力変換基板
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6253995
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】ディジタル保護制御装置の入力変換器及び入力変換基板
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/02 20060101AFI20171218BHJP
   H01F 27/24 20060101ALI20171218BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   H02H3/02 F
   H01F27/24 J
   H01F17/04 F
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-6630(P2014-6630)
(22)【出願日】2014年1月17日
(65)【公開番号】特開2015-136240(P2015-136240A)
(43)【公開日】2015年7月27日
【審査請求日】2016年8月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】南方 清典
【審査官】 坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−114277(JP,A)
【文献】 特開2011−155158(JP,A)
【文献】 特開2012−065413(JP,A)
【文献】 特開2002−134328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/02
H01F 17/04
H01F 27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力系統の保護制御を行うディジタル保護制御装置の入力変換器であって、
前記入力変換器は、
電力系統の電気量を測定する入力変成器と、
前記入力変成器からの出力を取り込む入力部と、
から構成され、
前記入力変成器は、鉄心をハイブリッド化したEIコアからなり、
前記EIコアの前記鉄心は、
珪素鋼板をパーマロイで挟み込むようにして構成された
ことを特徴する、ディジタル保護制御装置の入力変換器。
【請求項2】
前記EIコアの前記鉄心は、
珪素鋼板90%、パーマロイ10%の枚数比率でハイブリッド化される
ことを特徴とする、請求項に記載のディジタル保護制御装置の入力変換器。
【請求項3】
ディジタル保護制御装置の入力変換器を構成する入力変換基板であって、
前記入力変換基板は、
電力系統からの電流を入力する1次回路と、
EIコアの鉄心に巻き付けられ、前記1次回路に入力された電流を所定の比率に変換して2次回路に出力するコイルと、
前記コイルからの出力電流を電圧に変換する2次回路と、
を備え
前記EIコアの前記鉄心は、
珪素鋼板をパーマロイで挟み込むようにして構成された
ことを特徴とする、入力変換基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディジタル保護制御装置の入力変換器及び入力変換基板に関し、特に、電力系統の電気量を測定する入力変成器からの出力を取り込み、電力系統の保護制御を行うディジタル保護制御装置の入力変換器及び入力変換基板に適用して好適なるものである。
【背景技術】
【0002】
電力系統の保護制御に用いられるディジタル保護制御装置においては、電力系統の電圧や電流を測定する入力変成器からの出力を取り込むための入力部と、保護制御演算を実行して電力系統の保護制御を行う制御部とは、特許文献1に例示されるようにそれぞれ別のユニットとして構成される。
【0003】
電力系統におけるディジタル保護制御装置の入力変換器に用いられる変流器においては、電力系統の事故が発生したときに、過渡直流分による直流偏磁耐性を向上させることや、小電力入力時での精度を向上させることなどが重要となってくる。また、ディジタル保護制御装置の入力変成器は高圧部品である複数の入力変成器から構成されるため、保護制御板内の大きな設置容量を占めることになる。このため変流器の小型化や軽量化も求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−163766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
過度直流分による直流偏磁耐性を向上させるために、コイルを大形化する必要があるが、コイルのコアが大形化することで、変流器を小型化したりコストを低減させたりすることが困難となる。また、過渡直流分による直流偏磁が発生しても、漏れ磁束のため緩やかな飽和特性を持つEIコアを用いることも考えられるが、トロイダルコアと比較し励磁インピーダンスが劣ることで精度が悪くなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、EIコアを用いて過渡直流分による直流偏磁に対する耐性を向上させるとともにコアを小型化し、EIコアの鉄心をハイブリッド化して励磁インピーダンスを維持することが可能なディジタル保護制御装置の入力変換器及び入力変換基板を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために本発明においては、電力系統の保護制御を行うディジタル保護制御装置の入力変換器であって、前記入力変換器は、電力系統の電気量を測定する入力変成器と、前記入力変成器からの出力を取り込む入力部と、から構成され、前記入力変成器は、鉄心をハイブリッド化したEIコアからなり、前記EIコアの前記鉄心を、珪素鋼板をパーマロイで挟み込むようにして構成するようにした
また本発明においては、ディジタル保護制御装置の入力変換器を構成する入力変換基板であって、前記入力変換基板は、電力系統からの電流を入力する1次回路と、EIコアの鉄心に巻き付けられ、前記1次回路に入力された電流を所定の比率に変換して2次回路に出力するコイルと、前記コイルからの出力電流を電圧に変換する2次回路と、を備え、前記EIコアの前記鉄心を、珪素鋼板をパーマロイで挟み込むようにして構成するようにした。
【0008】
かかる構成によれば、入力変成器にトロイダルコアよりも漏れ磁束の大きいEIコアを採用し、ディジタル保護制御装置の変流器における過渡直流分による直流偏磁耐性の向上を実現させることができる。また、鉄心をハイブリッド化することにより、小電流入力での精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、EIコアにより過渡直流分による直流偏磁に対する耐性を向上させるとともにコアを小型化し、EIコアの鉄心をハイブリッド化して励磁インピーダンスを維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るEIコアの構成を説明する概念図である。
図2】同実施形態にかかるディジタル保護制御装置の入力変換器の構成を示す概念図である。
図3】同実施形態にかかるディジタル保護制御装置の入力変換器の回路構成を示すブロック図である。
図4】同実施形態にかかる鉄心ハイブリッドの枚数比率の評価を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0012】
(1)本実施形態の概要
まず、本実施形態の概要について説明する。上記したように、電力系統におけるディジタル保護制御装置の入力変換器に用いられる変流器においては、電力系統の事故が発生したときに、過渡直流分による直流偏磁耐性を向上させることや、小電力入力時での精度を向上させることが求められる。また、変流器の小型化や軽量化も求められている。
【0013】
上記したように、ディジタル保護制御装置は、電力系統の入力変成器からの出力を取り込む入力部(入力変換器)と、電力系統の保護制御を行う制御部より構成される。従来の入力変換ユニットでは、過渡直流分による直流偏磁耐性向上対策として、コイルを大形化する必要があった。しかし、コイルのコアが大形となると、変流器の小型化やコスト低減が困難となるという問題があった。特に、方向性珪素鋼板のトロイダルコアでは、急激に磁束が飽和するという欠点があり、過渡直流が入力された場合には、直流偏磁しやすく、出力波形の歪みが大きくなってしまっていた。
【0014】
そこで、過渡直流分による直流偏磁が発生しても、漏れ磁束のため緩やかな飽和特性を持つEIコアを利用することが考えられるが、EIコアは励磁インピーダンスがトロイダルコアより劣ることで精度が悪くなる。
【0015】
そこで、本実施形態では、EIコアを用いて過渡直流分による直流偏磁に対する耐性を向上させるとともにコアを小型化し、EIコアの鉄心をハイブリッド化して励磁インピーダンスを維持することを可能としている。
【0016】
具体的には、トロイダルコアよりも漏れ磁束の大きいEIコアを採用し、EIコアの鉄心材料に、緩やかな飽和特性を有する無方向性珪素鋼板またはNI48%含有のPBパーマロイを利用することにより、ディジタル保護制御装置のCT回路(変流器)における過渡直流分による直流偏磁耐性の向上を実現させる。また、珪素鋼板及びPCパーマロイから構成されるハイブリッド鉄心を採用することにより、小電流入力での精度を向上させている。
【0017】
このように、小形のEIコアを採用することにより、漏れ磁束を多くして緩やかな飽和特性を得る。これにより、過渡直流分により直流偏磁が発生しても、出力の歪み、すなわち入力波形に対する出力波形の差異やひずみを小さくすることができる。
【0018】
また、コアの鉄心材に、飽和特性が緩やかな無方向性珪素鋼板を採用している。無方向性珪素鋼板を使用したEIコアは、従来のコアと比べて励磁インピーダンスが低下する。そこで、本実施形態では、EIコアの鉄心をハイブリッド化して、EIコアを最小にしても励磁インピーダンス、すなわち、低入力域の精度を維持している。
【0019】
具体的に、本実施の形態では、EIコアの鉄心のハイブリッドの枚数比率は、珪素鋼板90%とPCパーマロイ10%としている。また、コアを積層鉄心にしてハイブリッド化する際に、珪素鋼板をパーマロイで挟み込む構成とすることにより、磁束の流れをコアの両サイドで均一化することにより誘導的にバランスさせている。
【0020】
また、EIコアの巻線の径を細くし、巻き数を約2.5倍に増やすことにより、トロイダルコアを採用した場合と同等以上の励磁インピーダンスを維持することを可能としている。また、EIコアを採用すると、ボビンへの巻線作業となり、巻線の作業性が向上し、巻き数を多くすることができることから、コアの小型化も実現できる。そして、コアが小型化することにより、従来のディジタル保護制御装置に比して体積比で1/2化を実現することができ、装置の小型化及び低コスト化を可能としている。
【0021】
(2)EIコアの構成
次に、図1を参照して、本実施形態にかかるEIコアの構成について説明する。図1の外観図100は、コイル101が巻き付けられたEIコア102の斜視図である。図1の外観図100に示すように、コイル101は、EIコア102のボビンに巻き付けられている。
【0022】
そして、図1の外観図110は、EIコア102の上面から見た図である。図1の外観図110に示すように、EIコア102の鉄心は、PCパーマロイ103と珪素鋼板104を積層するハイブリッド鉄心が採用されている。PCパーマロイ103及び珪素鋼板104の積層枚数比は、例えば、PCパーマロイ103の枚数比率を10%とし、珪素鋼板104の枚数比率を90%とする。このように、EIコア102にハイブリッド鉄心を採用することにより低入力域の精度を維持することができる。
【0023】
また、図1の外観図110に示すように、珪素鋼板104をPCパーマロイ103で挟み込む構成とすることにより、磁束の流れをEIコア102の両サイドで均一化して、誘導的にバランスさせることができる。
【0024】
また、本実施形態では、図1の外観図100に示すように、EIコア102の巻線の径を細くして、従来のコアより巻き数を約2.5倍に増やしている。これにより、コアを小型化しつつ、従来のトロイダルコアを採用した場合と同等以上の励磁インピーダンスを維持することが可能となる。
【0025】
ここで、励磁インピーダンスが維持できない場合とは、EIコア102が磁気飽和することを意味する。EIコアを小型化することにより、コアの断面積が小さくなるが、巻き数を増やすことにより、磁気飽和電圧を維持することが可能となる。また、本実施形態では、EIコアの小型化に際して、物理的にコアの断面積が1/2.5となったため、巻数を2.5倍としたが、巻数を2.5倍以上にすれば励磁インピーダンスを維持することができる。なお、巻数が多いほど電線の体積を必要とするため、コアの断面積の小型化とコイルの巻数の決定は、物理的な体積を考慮して設計するようにしてもよい。
【0026】
(3)ディジタル保護制御装置の入力変換器の構成
次に、図2を参照してディジタル保護制御装置の入力変換器の構成について説明する。図2は、EIコアで構成された複数の入力変成器が収納された状態を示している。図2の外観図10は入力変換器の側面図を示し、外観図11は入力変換器の平面図を示す。
【0027】
図2に示すように、ディジタル保護制御装置の入力変換器は、プリントボード16が、補強金具17のフレーム部分位置に、各所でネジ12及び14で固定されている。プリントボード16は、16個の端子を含む入力コネクタ15と、出力コネクタ13を備える。
【0028】
コイル101が巻かれたEIコア102で構成された複数の入力変成器を図2に示すような配置とすることにより、コイル間で相互に磁束の影響を受けないようにしている。
【0029】
(4)回路構成
次に、図3を参照して、ディジタル保護制御装置の入力変換器の回路構成について説明する。上記したように、ディジタル保護制御装置の入力変換器は、保護対象である送電線などの電流または電圧を変流器または電圧変成器などで検出した信号を、入力変成器によりレベル変換したり、絶縁をして内部取り込みしたりする機能を有する。
【0030】
図3に示すように、入力変換器の回路は、1次回路210、コイル101及び2次回路220から構成されている。1次回路210の入力をコイル101の巻線比にして、2次回路220に出力している。そして、2次回路220側では、コイル101の出力電流を抵抗Rで電圧に変換する。入力変換器は、例えば、1次回路からAC10A〜200Aを入力し、2次回路にAC10Vmaxを出力する。また、アースEの設置により、1次回路210のノイズが2次回路220に移行しないように構成されている。
【0031】
(5)鉄心ハイブリッドの枚数比率の評価
次に、図4を参照して、EIコアに採用する鉄心のハイブリッドの枚数比率の評価について説明する。図4は、パーマロイの枚数比率と入出力特性との関係を示すグラフである。図4では、理想特性のグラフと比較して、パーマロイ枚数の比率が多の場合、中の場合、小の場合の特性グラフを示す。本実施形態では、パーマロイ枚数の比率が多の場合をパーマロイ枚数の比率が全体の20%以上である場合とし、パーマロイ枚数の比率が中の場合をパーマロイ枚数の比率が全体の10〜20%とし、パーマロイ枚数の比率が小の場合をパーマロイ枚数の比率が全体の10%以下としている。
【0032】
図4に示すように、パーマロイ枚数の比率が多の場合には、低入力域の励磁インピーダンスが高入力域の励磁インピーダンスより高くなるため、入出力特性が一様とならないことがわかる。この場合、低入力の精度はよいが、高入力の精度が悪くなることがわかる。
【0033】
また、パーマロイ枚数の比率が中の場合には、低入力域の励磁インピーダンスと高入力域の励磁インピーダンスが一定であり、入出力特性が一様となることがわかる。この場合、低入力と高入力の精度が同じとなることがわかる。
【0034】
また、パーマロイ枚数の比率が小の場合には、低入力域の励磁インピーダンスが高入力域の励磁インピーダンスより低くなるため、入出力特性が一様とならない。この場合、低入力の精度が悪く、高入力の精度がよいことがわかる。
【0035】
したがって、パーマロイ枚数の比率が中の場合に、最も理想特性に近い評価となることがわかる。そこで、本実施形態では、EIコアの鉄心のハイブリッドの枚数比率を珪素鋼板90%とPCパーマロイ10%としている。
【0036】
また、上記したように、珪素鋼板の両側にPCパーマロイを配置することにより、磁束の流れをコアの両サイドで均一化して誘導的にバランスさせることができる。また、本実施形態では、珪素鋼板をPCパーマロイで挟み込む構成としている。また、PCパーマロイを左右対称に配置する方法や、中央に配置する方法も考えられるが、珪素鋼板をPCパーマロイで挟み込む構成とすることにより、EIコアの生産性を高めることができる。
【0037】
また、EIコアのハイブリッド鉄心を方向性珪素鋼板やファインメットなど他の磁性体で構成することもできる。例えば、方向性珪素鋼板を使用した場合には、全体的な励磁インピーダンスが大きくなるが、飽和電圧が低くなり、コスト高となる。また、ファインメットを使用した場合にも、全体的に励磁インピーダンスが大きくなり、飽和電圧も高くなるが、コスト高となる。
【0038】
(6)本実施の形態の効果
上記したように、本実施形態によれば、小形のEIコアを採用することにより、巻線の作業性を改善して巻数を従来の約2.5倍にして、コアの精度、すなわち所望の励磁インピーダンスを確保したままコアの小型化を実現することを可能とした。
【符号の説明】
【0039】
101 コイル
102 EIコア
103 PCパーマロイ
104 珪素鋼板

図1
図2
図3
図4