(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6254103
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】大容量ラジアルフィット結合ボルト組立体、大容量拡張スリーブボルト組立体又は少なくとも2つの部品を固定する方法
(51)【国際特許分類】
F16B 2/14 20060101AFI20171218BHJP
F16B 31/04 20060101ALI20171218BHJP
F16B 7/04 20060101ALI20171218BHJP
F16B 7/18 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
F16B2/14 C
F16B31/04 A
F16B7/04 B
F16B7/18 B
【請求項の数】40
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-560195(P2014-560195)
(86)(22)【出願日】2013年3月6日
(65)【公表番号】特表2015-515583(P2015-515583A)
(43)【公表日】2015年5月28日
(86)【国際出願番号】AU2013000209
(87)【国際公開番号】WO2013131132
(87)【国際公開日】20130912
【審査請求日】2016年3月4日
(31)【優先権主張番号】2012900875
(32)【優先日】2012年3月6日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】509123840
【氏名又は名称】テクノファースト インダストリーズ プロプライエタリー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TECHNOFAST INDUSTRIES PTY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】バックネル、ジョン ウェントワース
【審査官】
葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−296826(JP,A)
【文献】
特公昭48−022578(JP,B1)
【文献】
実開昭61−173825(JP,U)
【文献】
特公昭53−010313(JP,B1)
【文献】
特開平10−078042(JP,A)
【文献】
米国特許第04326826(US,A)
【文献】
英国特許出願公開第02224099(GB,A)
【文献】
国際公開第1988/002074(WO,A1)
【文献】
国際公開第2010/021754(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 31/20
F16B 2/14, 4/00
F16B 7/04, 7/18
F16B 31/04
F16D 1/02
F16L 23/02,23/036
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも二つの部品を固定するための大容量ラジアルフィット結合ボルト組立体又は大容量拡張スリーブボルト組立体において、
前記組立体は、
第1及び第2の端部の中間に位置する円筒形の中央部を有する軸と、
前記軸の前記中央部の少なくとも一部を取り囲むそれぞれの内側及び外側スリーブと、
前記内側及び外側スリーブがそれぞれ相補的な内側及び外側テーパ係合面を有することと、
前記内側スリーブの第1の端部と、前記軸の第1の端部における駆動ピストン、又は前記軸の第1の端部に隣接する駆動ピストンのうちいずれかとの間に介在する押出リングと、
前記駆動ピストンが前記押出リングへ開口する少なくとも一つの軸穴を有することと、を含み、
テンション負荷が漸次的に前記軸の前記第2の端部に印加されるとき、前記内側及び外側スリーブ間の相対的軸運動は、前記外側スリーブを直径方向に、前記少なくとも2つの部品を最大で設定限界まで係合するように拡張させ、そのとき前記押出リングは、少なくとも一つの軸穴を通じて、少なくとも部分的に押し出され、それにより、前記少なくとも2つの部品に対して前記外側スリーブを移動させることなく前記軸が移動可能となるように形成される組立体。
【請求項2】
請求項1に記載の組立体において、
前記第1の端部は、一体型ヘッドフランジ又はヘッドナットを受容するためねじが形成されており、
前記ヘッドフランジ又はヘッドナットは、前記部品の一つの端部上の当接面に係合可能である組立体。
【請求項3】
請求項2に記載の組立体において、
前記ヘッドフランジ又はヘッドナットは、第1の環状キャビティ内に延びる環状リング部を有し、
前記第1の環状キャビティは、ヘッド部材の外側環状面、前記内側スリーブの第1の端部に係合する前記ヘッド部材の内面に係合するため、前記一つの部品におけるボルト孔及び前記軸の第1の端部によって規定される組立体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の組立体において、
前記軸の前記第2の端部は、解放可能にテンション装置によって係合されるように、ねじ切りされ、又はねじが形成され、
前記テンション装置又は前記第2の端部上のテンションナットは、前記外側スリーブの外側環状端面に係合可能である組立体。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の組立体において、
前記外側スリーブは、前記第2の部品に係合する環状内面を備えた環状の外面を形成する周縁フランジを有する組立体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の組立体において、
前記内側スリーブは、前記軸の前記中央部において摺動可能とするため円筒状穴を備えた本体を有し、
前記本体の第1の端部における周縁フランジは、摺動可能に第1の部品のボルト穴内に受け入れられ、前記押出リングによって係合する一端において環状当接面を提供可能である組立体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の組立体において、
前記内側スリーブの外側テーパ係合面及び前記外側スリーブの内側テーパ係合面は、前記ボルト組立体の長手方向軸に対して比較的浅い角度で傾斜し、
前記傾斜角は10°未満である組立体。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の組立体において、
前記内側及び外側スリーブは、テンションを印加する前に、前記ボルト組立体を挿入可能にするための前記外側スリーブと前記少なくとも二つの部品において整列されたボルト穴のセットとの間の作業クリアランスを埋めるように前記外側スリーブを直径方向に十分に拡張可能にするべく、比較的薄い壁厚を有する少なくとも前記外側スリーブとともに金属又は合金から製造され、
前記テンションを印加する前の作業クリアランスは、0.5mmを超えないように設定される組立体。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の組立体において、
グリース又はグラファイトは、前記ボルト組立体にテンションが印加され、解放されたとき、内側及び外側スリーブ間の相対的な軸方向移動を支援するため、前記ボルト組立体が組み立てられる前に前記テーパ係合面の少なくとも一つに塗布される組立体。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の組立体において、
前記軸、前記駆動ピストン、前記ヘッド及びテールナットは、高テンション鋼から製造される組立体。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の組立体において、
前記外側スリーブは、摺動可能に第2の部品のボルト穴に受け入れられる円筒状外面を備える本体を有する組立体。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の組立体において、
前記駆動ピストンは、複数の等間隔の軸方向を通る軸穴を有する組立体。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の組立体において、
前記押出リングは、ゴム(天然及び合成の少なくとも一方)、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリマーのような流動性材料、鉛、スズ、アルミニウム又は合金のような軟質材料、青銅のような硬質材料から製造される組立体。
【請求項14】
整列されたボルト穴の少なくとも一つのセットを有する少なくとも2つの部品を固定する方法であって、
(a)請求項1〜13のいずれか一項に記載の大容量ラジアルフィット結合ボルト組立体を、第1の部品の端面(及び、選択的に、第1の部品のボルト孔において受け入れられるヘッドフランジ又はヘッドナット上の環状端部)から選択的に小さい距離だけ離間する内面を有するヘッドフランジ又はヘッドナットとともに前記整列されたボルト穴の一つのセットに挿入する工程と、
(b)前記外側スリーブ内に前記内側スリーブを軸方向に引き入れるため、前記軸の前記第2の端部にテンション荷重を印加する工程と、
(c)前記外側スリーブの前記内側テーパ係合面と前記内側スリーブ上の前記外側テーパ係合面との間の係合が前記外側スリーブの円筒外面を前記部品におけるボルト穴の一つのセットに係合するように直径方向に拡張させる工程と、
(d)前記テンション負荷がさらに設定限界を超えて増加するとき、前記押出リングは、前記軸が前記内側スリーブ(及びそれにより前記部品)に対して移動可能となるように、前記ヘッドフランジ又はヘッドナットが前記第1の部品に係合され、所望のテンション負荷が前記少なくとも二つの部品が一つに固定されるように前記軸に印加されるまで、前記駆動ピストンにおける少なくとも一つの軸穴を通じて少なくとも部分的に押し出される工程と、を含む方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記工程(d)の後、
(e)前記軸の前記第2の端部からのテンション装置の解放前に、テンションナットが前記軸の第2の端部上に螺合され、かつ回転可能にそこに沿って第2の部品とともにテンションが印加されて係合するように移動し、前記テンションナットが前記軸の前記第2端部と前記テンション装置との間の接続において、その内側で前記軸の前記第2の端部に受け入れられる工程を含む方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法において、
前記工程(d)の後、
(e)テンション装置として動作し、前記第2の部品に係合する油圧ナットは、前記外側スリーブの所望の拡張及び前記軸内のテンション負荷の少なくとも何れか一方が達成されたとき油圧用作動油の供給源から分離される方法を含む方法。
【請求項17】
少なくとも二つの部品を固定するための大容量ラジアルフィット結合ボルト組立体又は大容量拡張スリーブボルト組立体において、
前記組立体は、
第1及び第2の端部の中間に位置する円筒形の中央部を有する軸と、
前記軸の前記中央部の少なくとも一部を取り囲むそれぞれの内側及び外側スリーブと、
前記内側及び外側スリーブが、それぞれ相補的な内側及び外側テーパ係合面を有することと、
前記内側スリーブの第1の端部と、前記軸の第1の端部における駆動ピストン、又は前記軸の第1の端部に隣接する駆動ピストンのうちいずれかとの間に介在する圧縮リングと、
テンション負荷が漸次的に前記軸の第2の端部に印加されるとき、内側及び外側スリーブ間の相対的軸運動は、前記外側スリーブを直径方向に、前記少なくとも2つの部品を最大で設定限界まで係合するように拡張させ、そのとき前記圧縮リングは、前記少なくとも2つの部品に対して、内側及び外側スリーブに対して前記軸が移動可能となるように形成される組立体。
【請求項18】
請求項17に記載の組立体において、
前記テンション負荷が最初に前記軸の前記第2の端部に印加されるとき、前記軸を内側スリーブに対して移動可能とし、それによって、テンション負荷が軸の全長に沿って印加されることを可能にしつつ、前記圧縮リングが前記外側スリーブを直径方向に拡張するため、前記外側スリーブに対して軸方向に前記内側スリーブを移動させる組立体。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の組立体において、
前記第1の端部は一体型ヘッドフランジとともに形成され、又はヘッドナットを受容するためねじが形成され、
前記ヘッドフランジ又はヘッドナットは、前記部品の一つの端部上の当接面に係合可能である組立体。
【請求項20】
請求項19に記載の組立体において、
前記ヘッドフランジ又はヘッドナットは、第1の環状キャビティ内に延びる環状リング部を有し、前記第1の環状キャビティは、駆動部材の外側環状面、前記圧縮リングに係合する前記駆動部材の内面に係合するため、前記一つの部品及び前記軸の第1の端部におけるボルト孔によって規定される組立体。
【請求項21】
請求項19に記載の組立体において、
前記駆動部材は、前記ヘッドフランジ又はヘッドナットの環状リング部から離間する前記駆動部材の外側環状面とともに前記軸にスクリューねじにより螺合され、前記駆動部材の内面が前記圧縮リングに係合する組立体。
【請求項22】
請求項17〜21のいずれか一項に記載の組立体において、
前記軸の前記第2の端部は、解放可能にテンション装置によって係合されるように、ねじ切りされ、又はねじが形成され、
前記テンション装置又は前記第2の端部上のテンションナットは、前記外側スリーブの外側環状端面に係合可能である組立体。
【請求項23】
請求項17〜22のいずれか一項に記載の組立体において、
前記外側スリーブは、前記第2の部品に係合する環状内面を備えた環状外面を形成する周縁フランジを有する組立体。
【請求項24】
請求項17〜23のいずれか一項に記載の組立体において、
前記内側スリーブは、前記軸の前記中央部において摺動可能とするため円形状穴を備えた本体を有し、
前記本体の第1の端部における周縁フランジは、摺動可能に第1の部品のボルト穴内に受け入れられ、前記圧縮リングによって係合する一端において環状当接面を提供する組立体。
【請求項25】
請求項17〜24のいずれか一項に記載の組立体において、
前記圧縮リングは、内側スリーブの一端に係合する発散内面及び前記駆動部材の内面と係合する外周縁面を有する円錐台形のばね座金や皿ばね座金である組立体。
【請求項26】
請求項17〜25のいずれか一項に記載の組立体において、
前記内側スリーブの外側テーパ係合面及び前記外側スリーブの内側テーパ係合面は、前記ボルト組立体の長手方向軸に対して比較的浅い角度で傾斜し、
前記傾斜角は10°未満である組立体。
【請求項27】
請求項17〜26のいずれか一項に記載の組立体において、
前記内側及び外側スリーブは、テンションを印加する前に、前記ボルト組立体を挿入可能にするための前記外側スリーブと前記少なくとも二つの部品において整列されたボルト穴のセットとの間の作業クリアランスを埋めるように前記外側スリーブを直径方向に十分に拡張可能にするべく、比較的薄い壁厚を有する少なくとも外側スリーブとともに金属又は合金から製造され、
前記テンションを印加する前の作業クリアランスは、0.5mmを超えないように設定される組立体。
【請求項28】
請求項17〜27のいずれか一項に記載の組立体において、
グリース又はグラファイトは、前記ボルト組立体にテンションが印加され、解放されたとき、内側及び外側スリーブ間の相対的な軸方向移動を支援するため、前記ボルト組立体が組み立てられる前に前記テーパ係合面の少なくとも一つに塗布される組立体。
【請求項29】
請求項17〜28のいずれか一項に記載の組立体において、
前記軸、前記駆動ピストン、前記ヘッド及びテールナットは、高テンション鋼から製造され、前記圧縮リングはばね鋼から製造される組立体。
【請求項30】
請求項17に記載の組立体において、
前記外側スリーブは、摺動可能に第2の部品のボルト穴に受け入れられる円筒状外面を備える本体を有する組立体。
【請求項31】
整列されたボルト穴の少なくとも一つのセットを有する少なくとも2つの部品を固定する方法であって、
(a)請求項17〜30のいずれか一項に記載の大容量ラジアルフィット結合ボルト組立体を、第1の部品の端面(及び、選択的に、第1の部品のボルト孔において受け入れられるヘッドフランジ又はヘッドナット上の環状端部)から選択的に小さい距離だけ離間する内面を有するヘッドフランジ又はヘッドナットとともに前記整列されたボルト穴の一つのセットに挿入する工程と、
(b)前記外側スリーブ内に前記内側スリーブを軸方向に引き入れるため、前記軸の前記第2の端部にテンション荷重を印加する工程と、
(c)前記外側スリーブの前記内側テーパ係合面と前記内側スリーブ上の前記外側テーパ係合面との間の係合が前記外側スリーブの前記円筒外面を前記部品におけるボルト穴の一つのセットに係合するように直径方向に拡張させる工程と、
(d)前記テンション負荷がさらに設定限界を超えて増加するとき、前記圧縮リングは、内側及び外側スリーブに対して、少なくとも前記部品に前記軸を移動させる工程と、を含む方法。
【請求項32】
請求項31に記載の方法において、
前記工程(b)中において、前記圧縮リングは、前記軸を前記内側スリーブに対して移動可能とし、それによって、テンション負荷が軸の全長に沿って印加されることを可能にしつつ、前記少なくとも二つの部品を固定するように前記外側スリーブを直径方向に拡張させるため、前記外側スリーブに対して前記内側スリーブを移動させる方法。
【請求項33】
請求項31に記載の方法において、
前記工程(d)の後、
(e)前記軸の前記第2の端部からのテンション装置の解放前に、テンションナットが前記軸の第2の端部上に螺合され、かつ回転可能にそこに沿って第2の部品とともにテンションが印加されて係合するように移動し、前記テンションナットが前記軸の前記第2端部と前記テンション装置との間の接続において、その内側で前記軸の前記第2の端部に受け入れられる工程を含む方法。
【請求項34】
請求項31に記載の方法において、
前記工程(d)の後、
(e)前記テンション装置として動作し、前記第2の部品に係合する油圧ナットは、前記外側スリーブの所望の拡張及び前記軸内のテンション負荷の少なくとも何れか一方が達成されたとき油圧用作動油の供給源から分離される方法を含む方法。
【請求項35】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の組立体において、
前記内側スリーブの外側テーパ係合面及び前記外側スリーブの内側テーパ係合面は、前記ボルト組立体の長手方向軸に対して比較的浅い角度で傾斜し、
前記傾斜角は7.5°未満である組立体。
【請求項36】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の組立体において、
前記内側スリーブの外側テーパ係合面及び前記外側スリーブの内側テーパ係合面は、前記ボルト組立体の長手方向軸に対して比較的浅い角度で傾斜し、
前記傾斜角は0.5°〜5°の範囲内である組立体。
【請求項37】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の組立体において、
前記内側及び外側スリーブは、テンションを印加する前に、前記ボルト組立体を挿入可能にするための前記外側スリーブと前記少なくとも二つの部品において整列されたボルト穴のセットとの間の作業クリアランスを埋めるように前記外側スリーブを直径方向に十分に拡張可能にするべく、比較的薄い壁厚を有する少なくとも前記外側スリーブとともに金属又は合金から製造され、
前記テンションを印加する前の作業クリアランスは、0.3mmを超えないように設定される組立体。
【請求項38】
請求項17〜25のいずれか一項に記載の組立体において、
前記内側スリーブの外側テーパ係合面及び前記外側スリーブの内側テーパ係合面は、前記ボルト組立体の長手方向軸に対して比較的浅い角度で傾斜し、
前記傾斜角は7.5°未満である組立体。
【請求項39】
請求項17〜25のいずれか一項に記載の組立体において、
前記内側スリーブの外側テーパ係合面及び前記外側スリーブの内側テーパ係合面は、前記ボルト組立体の長手方向軸に対して比較的浅い角度で傾斜し、
前記傾斜角は0.5°〜5°の範囲内である組立体。
【請求項40】
請求項17〜26のいずれか一項に記載の組立体において、
前記内側及び外側スリーブは、テンションを印加する前に、前記ボルト組立体を挿入可能にするための前記外側スリーブと前記少なくとも二つの部品において整列されたボルト穴のセットとの間の作業クリアランスを埋めるように前記外側スリーブを直径方向に十分に拡張可能にするべく、比較的薄い壁厚を有する少なくとも外側スリーブとともに金属又は合金から製造され、
前記テンションを印加する前の作業クリアランスは、0.3mmを超えないように設定される組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、大容量ラジアルフィット結合ボルト(この種のボルトは拡張スリーブボルトとしても知られている)に関する。
本発明は、特に、工学的部品を強固に連結して固定するために使用される大容量ラジアルフィット結合ボルトに関連する。ボルトの潜在的な用途の例としては、パイプラインの連結フランジ、駆動結合、機械的取り付け等が挙げられる。
【背景技術】
【0002】
以下の説明は、背景情報のみを目的として示されており、技術の分野における共通の一般知識として考えられるべきではない。
動力伝達シャフト用の駆動結合の仕様を確立するときに、技術者は、(a)結合の直径、(b)はパワースループット及び(c)ボルトサイズ、周波数及び引張荷重要件を予測するため使用される材料、の要因を考慮して必要とされるボルトの大きさを計算する。動力伝達は、理想的には対向する結合面間の摩擦グリップを介して行われるが、一般的には通常動作中にボルト軸に対して加えられるせん断力に対する抵抗を検討する。せん断力は、振動、滑り及び/又はボルトテンションの不足を結果として発生させるおそれがあり、それぞれボルト軸に対して結合ボルト穴が干渉して場合によっては分解が極めて困難となるように、これらの構成要素を損傷及び変形させる。全てのボルトにおける特定のボルトテンションの印加及び維持が、駆動結合の有効性の維持に不可欠であることが分かる。また、ボルト軸と駆動結合におけるその各ボルト孔との間の公差によって形成される隙間を充填するために半径方向に拡張することができるボルトは結合面の任意の滑りの制限を助けることが分かる。
【0003】
この数年は、この機能を有するボルトを採用することが一般的になっている。現在使用されるタイプは一般に「ラジアルフィット結合ボルト」と呼ばれ、ボルト部品は、各端部にスクリューねじ部を有する軸の中央部における拡張されたテーパ部を有して製造される。ボルトのテーパ部は、クランプするため駆動結合部品で整列したボルト穴の位置に置かれたときに、直径方向に軸のテーパ部の動作によりテーパスリーブ内に拡張される相補的形状テーパスリーブ内に受け入れられる。この拡径は、スリーブが完全に結合部品を介してボルト穴を埋めるまで、加えられた力に応じて継続する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
典型的には、このようなボルトにおいて、スリーブの内面及び軸部の中央部の外部テーパ面は、非常に微細な仕上がりで製造されなければならず、これら面が研磨される必要がある。また、「トラック」は、軸の中央部のテーパ面において機械加工されてもよい。内側テーパは、外部スリーブ内においてロックされ、スリーブの分解を可能にするべくボルトを吐出させる圧力下において油の注入を必要とするため取り外しが困難になる。そして、スリーブが直径方向に拡張されるとき、「トラック」を覆う部分が同程度に膨張しない。ボルトにより固定される部品が解放されるとき、スリーブは、中央部分の周りで引っ掛かり、部品内における整列されたボルト穴との比較的高い摩擦係合において維持されるおそれがあり、ボルトをボルト穴から解放するためには、例えば、プレス機によって印加されるような相当な力が要求される。
【0005】
これらの既知のボルトの製造業者は、(結合部品の一つに係合するように)バックナットがボルト軸の一端部におけるスクリューねじ部に適合することを推奨し、テンション負荷をボルト軸の他端に印加し、スリーブの所望の拡張が達成されたとき、テンションが印加された軸の他端は、第2の結合部品に係合するナットが締め付けられることによって、所定の位置でロックされる。
【0006】
このような設計は、スリーブの元の設定は付着摩擦を通じて所定の位置にボルトをロックするという明確な欠点を示す。このように、ボルトが所定の位置でバックナットとともに引っ張られたとき、印加される微小な引張荷重は、その反対側の端部にテンションを印加し、バックナットをロックするために軸のテーパ部を越えて移行する。これは、その端部から軸を締めることによって是正することができるが、スリーブの拡径を促す「設定」力を低下させる。
【0007】
この発明の目的は、従来技術の問題を解決又は改善するための大容量ラジアルフィット結合ボルト又は大容量拡張スリーブボルトの設計を提供することにある。
その他の好ましい本発明の目的は、以下の明細書から明らかになる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様においては、少なくとも二つの部品を固定するための大容量ラジアルフィット結合ボルト組立体又は大容量拡張スリーブボルト組立体において、前記組立体は、第1及び第2の端部の中間に位置する円筒形の中央部を有する軸と、前記軸の前記中央部の少なくとも一部を取り囲むそれぞれの内側及び外側スリーブと、前記内側及び外側スリーブがそれぞれ相補的な内側及び外側テーパ係合面を有することと、前記内側スリーブの第1の端部と、前記軸の第1の端部における又は前記第1の端部に隣接する駆動ピストンとの間に介在する押出リングと、前記駆動ピストンが前記押出リングへ開口する少なくとも一つの軸穴を有することと、を含み、テンション負荷が漸次的に前記軸の前記第2の端部に印加されるとき、前記内側及び外側スリーブ間の相対的軸運動は、前記外側スリーブを直径方向に、前記少なくとも2つの部品を最大で設定限界まで係合するように拡張させ、そのとき前記押出リングは、少なくとも一つの軸穴を通じて、少なくとも部分的に押し出され、それにより、前記少なくとも2つの部品に対して前記外側スリーブを移動させることなく前記軸が移動可能となるように形成される。
【0009】
第2の態様においては、少なくとも二つの部品を一つに固定するための大容量ラジアルフィット結合ボルト組立体又は大容量拡張スリーブボルト組立体において、前記組立体は、第1及び第2の端部の中間に位置する円筒形の中央部を有する軸と、前記軸の前記中央部の少なくとも一部を取り囲むそれぞれの内側及び外側スリーブと、前記内側及び外側スリーブが、それぞれ相補的な内側及び外側テーパ係合面を有することと、前記内側スリーブの第1の端部と、前記軸の第1の端部における又は前記第1の端部に隣接する駆動ピストンとの間に介在する圧縮リングと、テンション負荷が漸次的に前記軸の第2の端部に印加されるとき、内側及び外側スリーブ間の相対的軸運動は、前記外側スリーブを直径方向に、前記少なくとも2つの部品を最大で設定限界まで係合するように拡張させ、そのとき前記圧縮リングは、前記少なくとも2つの部品に対して、内側及び外側スリーブに対して前記軸が移動可能となるように形成される。
【0010】
好ましくは、前記テンション負荷が最初に前記軸の前記第2の端部に印加されるとき、前記軸を内側スリーブに対して移動可能とし、それによって、テンション負荷が軸の全長に沿って印加されることを可能にしつつ、前記圧縮リングが前記外側スリーブを直径方向に拡張するため、前記外側スリーブに対して軸方向に前記内側スリーブを移動させる。
【0011】
好ましくは、前記第1の端部は一体型ヘッドフランジとともに形成され、又はヘッドナットを受容するためねじが形成され、前記ヘッドフランジ又はヘッドナットは、前記部品の一つの端部上の当接面に係合可能である。
【0012】
好ましくは、前記ヘッドフランジ又はヘッドナットは、第1の環状キャビティ内に延びる環状リング部を有し、前記第1の環状キャビティは、前記ヘッド部材の外側環状面、前記内側スリーブの第1の端部に係合する前記ヘッド部材の内面に係合するため、前記一つの部品におけるボルト孔及び前記軸の第1の端部によって規定される。
【0013】
好ましくは、前記軸の前記第2の端部は、解放可能にテンション装置によって係合されるように、ねじ切りされ、又はねじが形成され、前記テンション装置又は前記第2の端部上のテンションナットは、前記外側スリーブの外側環状端面に係合可能である。
【0014】
好ましくは、前記外側スリーブは、前記第2の部品に係合する環状内面を備えた環状の外面を形成する周縁フランジを有する。
好ましくは、前記内側スリーブは、前記軸の前記中央部において摺動可能とするため円筒状穴を備えた本体を有する。好ましくは、前記本体の第1の端部における周縁フランジは、摺動可能に第1の部品のボルト穴内に受け入れられ、前記押出リングにおいて係合する一端において環状当接面を提供する。
【0015】
好ましくは、前記内側スリーブの外側テーパ係合面及び前記外側スリーブの内側テーパ係合面は、前記ボルト組立体の前記長手方向軸に対して比較的浅い角度で傾斜し、前記傾斜角は好ましくは10°未満であり、より好ましくは7.5°未満であり、最も好ましくは0.5°〜5°の範囲内である。
【0016】
好ましくは、前記内側及び外側スリーブは、テンションを印加する前に、前記ボルト組立体を挿入可能にするための前記外側スリーブと(前記少なくとも二つの部品において)整列されたボルト穴の前記セットとの間の作業クリアランスを埋めるように前記外側スリーブを直径方向に十分に拡張可能にするべく、比較的薄い壁厚を有する少なくとも前記外側スリーブを備えた金属又は合金から製造される。典型的には、前記テンションを印加する前の作業クリアランスは、0.5mm、好ましくは0.3mmを超えないように設定される。
【0017】
好ましくは、グリース、グラファイト又は他の適切な潤滑剤は、前記ボルト組立体にテンションが印加され、解放されたとき、内側及び外側スリーブ間の相対的な軸方向移動を支援するため、前記ボルト組立体が組み立てられる前に前記テーパ係合面の少なくとも一つに塗布される。
【0018】
好ましくは、前記軸、前記駆動ピストン、前記ヘッド及びテールナットは、高テンション鋼から製造される。
好ましくは、前記外側スリーブは、摺動可能に第2の部品のボルト穴に受け入れられる円筒状外面を備える本体を有する。
【0019】
好ましくは、前記駆動ピストンは、複数の等間隔の軸方向を通る軸穴を有する。
好ましくは、前記押出リングは、ゴム(天然及び合成の少なくとも一方)、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリマーのような流動性材料、鉛、スズ、アルミニウム又は合金のような軟質材料、青銅のような硬質材料又はその他適切な流動性材料から製造される。
【0020】
第3の態様において、整列されたボルト穴の少なくとも一つのセットを有する少なくとも2つの部品を固定する方法であって、(a)請求項1〜13のいずれか一項に記載の大容量ラジアルフィット結合ボルト組立体を、第1の部品の端面(及び、選択的に、第1の部品のボルト孔において受け入れられるヘッドフランジ又はヘッドナット上の環状端部)から選択的に小さい距離だけ離間する内面を有するヘッドフランジ又はヘッドナットとともに前記整列されたボルト穴の一つのセットに挿入する工程と、(b)前記外側スリーブ内に前記内側スリーブを軸方向に引き入れるため、前記軸の前記第2の端部にテンション荷重を印加する工程と、(c)前記外側スリーブの前記内側テーパ係合面と前記内側スリーブ上の前記外側テーパ係合面との間の係合が前記外側スリーブの前記円筒外面を前記部品におけるボルト穴の一つのセットに係合するように直径方向に拡張させる工程と、(d)前記テンション負荷がさらに設定限界を超えて増加するとき、前記押出リングは、前記軸が前記内側スリーブ(及びそれにより前記部品)に対して移動可能となるように、前記ヘッドフランジ又はヘッドナットが前記第1の部品に係合され、所望のテンション負荷が前記少なくとも二つの部品が一つに固定されるように前記軸に印加されるまで、前記駆動ピストンにおける少なくとも一つの軸穴を通じて少なくとも部分的に押し出される工程と、を含む。
【0021】
第4の態様において、整列されたボルト穴の少なくとも一つのセットを有する少なくとも2つの部品を一つに固定する方法であって、(a)請求項17〜30のいずれか一項に記載の大容量ラジアルフィット結合ボルト組立体を、第1の部品の端面(及び、選択的に、第1の部品のボルト孔において受け入れられるヘッドフランジ又はヘッドナット上の環状端部)から選択的に小さい距離だけ離間する内面を有するヘッドフランジ又はヘッドナットとともに前記整列されたボルト穴の一つのセットに挿入する工程と、(b)前記外側スリーブ内に前記内側スリーブを軸方向に引き入れるため、前記軸の前記第2の端部にテンション荷重を印加する工程と、(c)前記外側スリーブの前記内側テーパ係合面と前記内側スリーブ上の前記外側テーパ係合面との間の係合が前記外側スリーブの前記円筒外面を前記部品におけるボルト穴の一つのセットに係合するように直径方向に拡張させる工程と、(d)前記テンション負荷がさらに設定限界を超えて増加するとき、前記圧縮リングは、内側及び外側スリーブに対して、少なくとも前記部品に前記軸を移動させる工程と、を含む。
【0022】
好ましくは、前記工程(b)中において、前記圧縮リングは、前記軸を前記内側スリーブに対して移動可能とし、それによって、テンション負荷が軸の全長に沿って印加されることを可能にしつつ、前記少なくとも二つの部品を一つに固定するように前記外側スリーブを直径方向に拡張させるため、前記外側スリーブに対して前記内側スリーブを移動させる。
【0023】
あるいは、前記工程(d)の後、(e)前記軸の前記第2の端部からの前記テンション装置の解放前に、テンションナットが前記軸の第2の端部上に螺合され、かつ回転可能にそこに沿って第2の部品にテンションが印加されて係合するように移動する工程を含む。(本実施形態では、前記テンションナットが内側に前記軸の前記第2端部と前記テンション装置との間の前記接続の前記軸の前記第2の端部に受け入れられる工程を含む。)
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の第1の実施形態の各結合ボルトに適合する複数の油圧ナットを用いた二つの駆動シャフトのフランジ間の結合組立体の等角図である。
【
図3】ボルト軸へのテンション負荷の印加前における、第1の実施形態の結合ボルトを備えた結合組立体の側断面図である。
【
図4】ボルト軸へのテンション負荷の印加前における、第2の実施形態の結合ボルトを備える二つの機械部品間の結合組立体の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
当業者であれば、後述する本発明の実施形態はボルト軸上にせん断荷重を大きく印加可能に設計されていることを理解できる。本発明の結合ボルトは、非常に高い回転荷重を伝達するための駆動結合又は他のデバイスにおいて使用することができるだけでなく、大規模な機械(例えば、海洋液体又はガス燃料エンジン)、建物の柱や梁等のための固定ボルトのような器具に適応できる。
【0026】
図1〜
図3を参照すると、駆動結合組立体100は、一対の駆動シャフト101,102のそれぞれのフランジ7を相互接続する。
以下に詳細に説明するように、結合組立体100は、複数の結合ボルト10を組み込み、本発明の第1の好ましい実施形態によれば、結合ボルト10はフランジ7の周囲に等しい角度間隔で設けられるとともに、各油圧ナット8によってテンションが印加されている。
【0027】
図3は、本発明の第1の実施形態を示し、各大容量ラジアルフィット結合ボルト(又は拡張スリーブ付きボルト)10には、油圧ナット8、例えば、登録商標「TECHNOFAST」において、Technofast Industries Pty Ltd, 2/677 Boundary Road, Richlands, Queensland, Australiaによって製造販売されているタイプのものが設けられている。
【0028】
連結ボルト10は、ねじ切りされた第1及び第2の端部12,13の中間に位置する円筒状の中央部分11を備える軸1を有する。
ヘッドナット5が軸1の第1端部12に螺合され、その内面に環状端部51を有する。ヘッドナット5上の環状端部51が第1の部品7の第1のボルト孔71及び軸1によって規定されたキャビティ内に受け入れられる。
【0029】
内側スリーブ3は、軸1の中央部11上における摺動のための円筒穴32を備える管状本体31を有する。軸1の第1端部12に隣接する本体31の端部において、周縁フランジ33は第1の部品7のボルト孔71に摺動可能に収容されるとともに、その外端に環状当接面34を有している。
【0030】
内側スリーブ3の本体31は、軸1の長手方向軸に対してその面の傾斜角度が3°〜5°の範囲にある外側テーパ係合面35を有している。
外側スリーブ2は、ボルト組立体10にテンションが加えられる前に、第1及び第2の部品のボルト孔71、72との間に0.3mm〜0.5mmの作業クリアランスを有する円筒状外面22を備えた管状本体21を有する。
【0031】
軸1の第2の端部13に隣接する本体21の端部における周縁フランジ23は、第2の部品7の隣接する面に係合可能な内側環状当接面24、及び油圧ナット8の外部81、軸1の第2の端部13に螺合する油圧ナット8の内部82によって係合可能な外側スリーブ2の本体21上の外側当接面25を有する。
【0032】
外側スリーブ2の本体21は、軸1に対して内側スリーブ3の外テーパ係合面35と同じ角度に傾斜する内側テーパ係合面26を有している。
駆動ピストン6は、自身に沿って延出する複数の等間隔配置軸穴62を備えた複数の環状本体61を有している。環状本体61は、中央部分11の端部に隣接する軸1の第1の端部12に螺合されて締結されている。
【0033】
管状本体41を有する押出リング4は、内側スリーブ3上の環状当接面34と駆動ピストン6の内側環状当接面63との間に介在されている。本体41の内穴は、摺動可能に軸1の中央部分12に係合され、その外面は、外側スリーブ2の外周面22にその位置が合わせされている。
【0034】
ボルト組立体10は、
図3に示すように、整列したボルト孔71,72に組み付けられ、挿入されている。
当業者は、ヘッドナット5の内面は、第1の部品7の隣接面から離れ、内側スリーブ3上の周縁フランジ33は、外側スリーブの本体21の隣接する(内側)端部から離れていることに留意する。
【0035】
油圧ナット8がチャージされたとき、油圧ナット8の内側部分82は、ヘッドナット5上の環状の端部51が駆動ピストン6と係合し、駆動ピストン6、押出リング4及び内側スリーブ3を、外側スリーブ2に向かって押圧するように、矢印Aの方向に移動する。内側スリーブ3の各外側テーパ係合面34と外側スリーブ2の内側テーパ係合面26との摺動係合によって、直径方向に外側スリーブ2が部品7内の整列ボルト穴71と係合するように拡張する。
【0036】
所望のテンション負荷が油圧ナット8により軸1に印加されたとき、油圧ナット8は、テンション荷重下の油圧ナット8をロックするために圧力下にある油圧用作動油の供給源から分離することができる。
【0037】
予め設定されたテンション負荷では、押出リング4の本体41の流動性(flowable)材料は、駆動ピストン6の本体61における軸穴62を通じた流れ(変形)を開始する。これにより、ヘッドナット5の内面が第1の部品7の隣接面に係合し、かつ所望のテンション負荷が軸1の長さに沿って印加されるまで、駆動ピストン6及びヘッドナット5を矢印Aの方向に移動させ続けることを可能とする。そして、内側及び外側スリーブ3,2間の更なる相対移動を制限する。
【0038】
例えば、メンテナンスのために、結合部品7を分離する場合、油圧ナット8における油圧がボルト組立体10のテンション負荷を軽減するために軸1を矢印Aと反対方向に移動させることで解放させる。内側スリーブ3は、外側スリーブ2上の直径方向に印加された力を減少させるため、矢印A方向と反対に移動する傾向がある。部品7からボルト組立体10を解放するために軸1の端部12を矢印Aに移動可能とするため、軸1のナット5は、軸1の第1の端部12から取り外される。
【0039】
第2の実施形態では、図示しないが、テンション(又はテール)ナットは、外側スリーブ2とテンション装置(軸1の第2の端部13に接続される)との間に介在されてもよい。この実施形態では、テンション装置は、本明細書中に記載のように、内側スリーブ3を軸方向に軸1の中心部11に沿って移動させ、外側スリーブ2を直径方向に拡張するため軸1にテンション負荷を印加する。
【0040】
所望のテンション負荷が印加されたとき、テンション(又はテール)ナットは、それが軸1上のテンション負荷を維持するために外側スリーブ2の外側当接面26に係合するまで、矢印Aの方向と反対方向に第2の端部13に沿って移動するように回転される。テンション装置、例えば油圧ジャッキは、その後に取り外し可能である。
【0041】
本実施形態において、部品7を分離可能とするべく、このテンション装置は軸1の第2の端部13に再接続され、テンション(又はテール)ナットを外側スリーブ2との係合から回転可能に解放するため、テンション負荷が軸1に印加され、テンション装置は軸1の第2の端部13から解放される。このヘッドナット5は、本明細書に記載されるように、ボルト組立体10の取り外しを可能とするため、第1の端部12から解放される。
【0042】
本明細書中に記載の結合ボルト10が摩擦係合している部品7の対向面間に相当なクランプ力を提供でき、部品7の相対回転に対して相当なせん断力に耐え及び対抗することができることは、当業者にとっては明らかである。
【0043】
押出リング6の材料及び/又は寸法の選択は、外側スリーブ2及び内側スリーブ3は、ボルト組立体10の意図する用途により決定される。好ましくは、外側スリーブ2は、軸1にテンションが加わるとき、内側スリーブ31に力が加えられて外側スリーブ2の拡径を可能にするように金属又は金属合金の比較的薄い壁を有する。
【0044】
押出リング4を製造するための材料は、ポリマー/プラスチック材料又は金属/金属合金等の広い範囲から選択することができる。本明細書中に上述したように、材料は、所望のテンション負荷が均等に軸1に沿って分布するように軸1に印加されるまで、押出リング4の本体41が駆動ピストン6の本体61における軸穴62を通して流動(変形)し始め、それによって、軸1の部品7に対する移動の継続を可能とするテンション負荷の設定限界に応じて、ナイロンから、鉛、アルミニウムを通じてブロンズの範囲であってもよい。
【0045】
図4は、本発明の第2実施形態の連結ボルト110を採用した一対の機械部品107(介在スペーサーS、及びガスケット又はシールGを備える)間の第2の実施形態の結合組立体を示す。軸101、内側及び外側スリーブ102,103及びヘッドナット105は、
図1〜
図3の同一構成のための参照番号xxに対応して参照番号1xxによって実質的に上記明細書に記載した通りである。
【0046】
第1の実施形態の駆動ピストン6は駆動部材106によって置き換えられる。この駆動ピストン6はヘッドナット105の環状端部151から離間した駆動部材106の外面161を備え、軸101に螺合するロックナットの形状である。
【0047】
第1の実施形態の押出リング4は、実質的に円錐台形状、例えば皿ばねの形状における圧縮リング104によって置換されている。圧縮リング104の周縁外面142が駆動部材106の内面162に係合しつつ、圧縮リング104の発散内面141は、内側スリーブ103の端部上の当接面に係合する。
【0048】
油圧テンショナ108がテンション負荷を印加するとき、圧縮リング104の発散面141は、外側スリーブ102に対して内側スリーブ103を軸方向に移動させて、外側スリーブ102を直径方向に拡張するため、内側スリーブ103に係合し、その間に、軸101が内側スリーブ103内で、その全長に亘ってテンションが印加された軸101のため移動可能とされる。また、軸101は、ヘッドナット105を隣接する部品107に係合するように引っ張る。これにより、テンション負荷を軸101の長さに沿って均一に印加することが可能となる。圧縮リング104の発散面141は内側スリーブ103を外側スリーブ102に係合するように直径方向に拡張させる。
【0049】
テンション負荷が設定限界に達した際に、外側及び内側スリーブ102,103が完全に係合したとき、圧縮リング104は、軸101を外側及び内側スリーブ102,103に対して、すなわち、2つの部品107に対して移動させ、このボルトに対して均等なテンションをその全長に沿って印加させることを保証する。
【0050】
軸101上のテンション負荷は、
図1〜
図3の第1の実施形態と同様の方法において、チャージされた油圧ジャッキ108によって維持することができ、ロックナット105は係合され、油圧ジャッキ108を取り除き、部品107が分離される。
【0051】
押出リング4とは異なり、圧縮リング104は、再使用することができ、その機械的制限を超えないように提供される。
単一の皿ばねは、圧縮リング104として示されているが、2つ以上の皿ばね等は、ロックされたスリーブ2、3、102、103に対してボルト軸1,101のより大きな軸方向の動きを提供するように設けられていてもよい。
【0052】
両実施形態においては、設定限界は部品7、107と係合する外側スリーブ2、102を拡張するのに必要な力に対応することになるが、他のそのような制限、例えば、上記軸の軸移動距離は、上記部品又は外側スリーブに関連する。
【0053】
当業者は、本発明は結合ボルトをその以下の効果(但し限定されない)とともに提供することを理解可能である。
(a)上記結合ボルトは、製造及び/又は操作することがより簡単で、より費用対効果が高い。
【0054】
(b)上記結合ボルトは、スリーブの設定とボルトテンションの設定を単一の動作で可能にする「ワンプル」ボルト設計を提供する。
(c)テンションが解放されたとき、ボルトはより容易に取り外すことができる。
【0055】
様々な変更及び修正は、本発明から逸脱することなく、記載された及び例示した実施形態に対してなされ得る。