特許第6254107号(P6254107)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6254107
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】電子素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 51/50 20060101AFI20171218BHJP
   C09K 11/06 20060101ALI20171218BHJP
   C07D 307/91 20060101ALI20171218BHJP
   C07D 307/94 20060101ALI20171218BHJP
   H01L 51/46 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   H05B33/22 D
   H05B33/14 A
   C09K11/06 690
   C07D307/91
   C07D307/94
   H01L31/04 154Z
   H01L31/04 154A
   H01L31/04 154B
   H01L31/04 154C
【請求項の数】18
【全頁数】60
(21)【出願番号】特願2014-561307(P2014-561307)
(86)(22)【出願日】2013年3月5日
(65)【公表番号】特表2015-516674(P2015-516674A)
(43)【公表日】2015年6月11日
(86)【国際出願番号】EP2013000641
(87)【国際公開番号】WO2013135352
(87)【国際公開日】20130919
【審査請求日】2016年3月3日
(31)【優先権主張番号】12001759.5
(32)【優先日】2012年3月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】597035528
【氏名又は名称】メルク パテント ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(74)【代理人】
【識別番号】100158805
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 守三
(74)【代理人】
【識別番号】100124394
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 立志
(74)【代理人】
【識別番号】100112807
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 貴志
(74)【代理人】
【識別番号】100111073
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 美保子
(72)【発明者】
【氏名】プフルム、クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】フォゲス、フランク
(72)【発明者】
【氏名】クロエバー、ヨナス・バレンティン
(72)【発明者】
【氏名】ストエッセル、フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】カイザー、ヨアヒム
【審査官】 大竹 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−139044(JP,A)
【文献】 特開2010−056523(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/069434(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/176675(WO,A1)
【文献】 特開2010−202633(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/106806(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 51/50
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-アノード、
-カソード、
-アノードとカソードとの間に配置された少なくとも一つの発光層、
-ホストとして式(III)または式(IV)の少なくとも一つのモノトリアリールアミンを含む少なくとも一つのp-ドープ層A、および
-式(III)または式(IV)の少なくとも一つのモノトリアリールアミンを含む少なくとも一つの層B
を含む電子素子:
【化1】
式中、
Zは、出現毎に同一であるか異なり、NまたはCRであり、ここで、置換基が結合していれば、Zは、Cであり;
Arは、1以上の基Rにより置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてもよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、C(=O)R、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)(R、S(=O)、CR=CR、CN、NO、Si(R、OSO、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、Sもしくは-CONRで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNOで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または1以上の基Rで置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの構造の組み合わせであり;ここで、2個以上の隣接する置換基Rは、モノあるいはポリ環式の脂肪族もしくは芳香族環構造を互いに形成してもよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、CN、1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/または複素環式芳香族炭化水素基であり、さらに、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよく、ここで、2個以上の隣接する置換基Rは、モノ-あるいはポリ環式の脂肪族もしくは芳香族環構造を互いに形成してもよく、および
nは、0または1である。
【請求項2】
層Aと層Bが、アノードと発光層との間に配置されたことを特徴とする、請求項1記載の電子素子。
【請求項3】
層Aが、層Bのアノード側の上に配置されたことを特徴とする、請求項1または2記載の電子素子。
【請求項4】
モノトリアリールアミンを含む層Bまたは別の層が、発光層に直接隣接することを特徴とする、請求項1〜3何れか1項記載の電子素子。
【請求項5】
一以上の同一のモノトリアリールアミンが、アノードと発光層との間の全ての層に存在することを特徴とする、請求項1〜4何れか1項記載の電子素子。
【請求項6】
p-ドープ層Aが、電子受容性化合物であるドーパントを含むことを特徴とする、請求項1〜5何れか1項記載の電子素子。
【請求項7】
層Aのドーパントは、そのLUMOがモノトリアリールアミンのHOMOよりも、0.3eV高くないことを特徴とする、請求項1〜6何れか1項記載の電子素子。
【請求項8】
層Aのドーパントは、そのLUMOがモノトリアリールアミンのHOMOよりも、0.2eV高くないことを特徴とする、請求項7記載の電子素子。
【請求項9】
層Aのドーパントは、そのLUMOがモノトリアリールアミンのHOMOよりも、0.1eV高くないことを特徴とする、請求項7記載の電子素子。
【請求項10】
層Aのドーパントは、キノジメタン化合物、アザインデノフルオレンジオン、アザフェナレン、アザトリフェニレン、I、金属ハロゲン化物、金属酸化物および遷移金属錯体から選ばれることを特徴とする、請求項1〜9何れか1項記載の電子素子。
【請求項11】
金属ハロゲン化物は、遷移金属ハロゲン化物から選ばれることを特徴とする、請求項10記載の電子素子。
【請求項12】
金属酸化物は、少なくとも一つの遷移金属もしくは第3主属の金属を含む金属酸化物から選ばれることを特徴とする、請求項11記載の電子素子。
【請求項13】
遷移金属錯体は、結合位置として少なくとも一つの酸素原子を含むリガンドをもつCu、Co、Ni、PdおよびPtの錯体から選ばれることを特徴とする、請求項12記載の電子素子。
【請求項14】
層Aのドーパントは、0.1〜20体積%の濃度であることを特徴とする、請求項1〜13何れか1項記載の電子素子。
【請求項15】
層Aのドーパントは、0.5〜12体積%の濃度であることを特徴とする、請求項14記載の電子素子。
【請求項16】
層Aのドーパントは、1〜8体積%の濃度であることを特徴とする、請求項14記載の電子素子。
【請求項17】
層Aのドーパントは、2〜6体積%の濃度であることを特徴とする、請求項14記載の電子素子。
【請求項18】
機発光トランジスタ(OLET)、有機発光電子化学電池(OLEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)から選ばれる請求項1〜17何れか1項記載の電子素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アノード、カソード、アノードとカソードとの間の少なくとも一つの発光層、ホスト材料としてモノトリアリールアミンを含む少なくとも一つのp-ドープ層A、およびモノトリアリールアミンを含む少なくとも一つの層Bを含む電子素子に関する。特に、本発明は、上記言及した層構造を含む有機エレクトロルミッセンス素子(OLED)に関する。本発明は、さらに、ホスト材料として式(II)、式(III)または式(IV)のモノトリアリールアミンとドーパントとして電子受容性化合物を含むp-ドープ混合物とその混合物の電子素子での使用に関する。
【0002】
有機層を含む電子素子は、現在、集中的な研究主題となっている。特別な関心は、有機エレクトロルミネセンス素子(OLED)であり、たとえば、携帯電子装置の表示装置に、または発光要素として使用される。
【0003】
先行技術、たとえば、EP1463130A2およびDE102007031220A1は、ドーパントとホスト材料を含む一以上のp-ドープ層であって、ホスト材料が有機窒素化合物であってよい電子素子を開示する。
【0004】
たとえば、US5093698Aからは、電子素子での正孔もしくは電子輸送層のドーピングが、その伝導性を顕著に改善することが、さらに、知られている。
【0005】
先行技術は、たとえば、EP1885008A1およびJP1995053955Aにおいて、正孔輸送もしくは発光層のための材料としてモノトリアリールアミンを含む電子素子をさらに開示する。
【0006】
新規な電子素子の開発における極めて重要なファクターは、素子の長期間の安定性とそれの性能データ、特に、駆動電圧と効率である。進歩は達成されはしたが、先行技術で知られた態様と比べると、すべてのこれらの点で改善のための必要性が引き続き存在する。
【0007】
本発明の技術的目的は、一以上の上記言及した点で、長期間の安定性と性能データにおいて、先行技術で知られた素子よりも良好な特性を有する電子素子を提供することである。
【0008】
技術的目的は、以下に示す本発明の主題事項により解決される。
【0009】
電子素子は、
-アノード、
-カソード、
-アノードとカソードとの間に配置された少なくとも一つの発光層、
-ホストとしてモノトリアリールアミンを含む少なくとも一つのp-ドープ層A、および
-モノトリアリールアミンを含む少なくとも一つの層B
を含む。
【0010】
ここで、p-ドープ層は、自由正孔が生成され、それによりその伝導性が増加した層の意味で使用される。OLEDでのまたは有機太陽電池でのドープされた輸送層の包括的検討はChem. Rev. 2007, 107, 1233に見出すことができる。
【0011】
モノトリアリールアミンは、単一のトリアリールアミン基を含む化合物の意味で使用される。トリアリールアミン基は、三個のアリールもしくはヘテロアリール基が窒素原子に結合した基である。モノトリアリールアミンは、好ましくは、さらなるアリールアミノ基を含まない。モノトリアリールアミンは、特に、好ましくは、さらなるアミノ基を含まない。
【0012】
電子素子は、好ましくは、層Aと層Bが、アノードと発光層との間に配置された層構造を有する。
【0013】
層Aは、好ましくは、層Bのアノード側上に配置される。
【0014】
層A、層Bと発光層は、さらに、好ましくは、有機層であり、換言すれば、一以上の有機化合物から本質的に成る。
【0015】
さらに、好ましい素子は、アノードと発光層との間に以下の層配列を有し、その層は互いに直接隣接する。
【0016】
-アノード、
-層A
-層B
-発光層。
【0017】
この態様は、図1に示された電子素子(1)の構造に対応し、ここで、アノード(2)、層A(3)、層B(4)、発光層(5)、電子輸送層(6)およびカソード(7)が、互いに続き、互いに直接隣接する。
【0018】
電子注入層(6a)が、さらに、好ましくは、図2に示されるとおりに、電子輸送層(6)とカソード(7)との間に存在する。
【0019】
本発明のさらに好ましい態様では、さらなる層Cが、層Bと発光層との間に存在する。この態様に対応する電子素子(1)の可能な層配置は、図3に示され、層C(4a)をもつ。
【0020】
層Cは、上記定義されるとおりの、好ましくは、有機アミン、特に、好ましくは、トリアリールアミンおよび非常に、特に、好ましくは、モノトリアリールアミンを含む。
【0021】
層Cは、好ましくは、発光層に直接隣接する。
【0022】
モノトリアリールアミンを含む層Bまたは別の層が、発光層に直接隣接することがさらに好ましい。
【0023】
さらに、可能な態様では、層A’が、アノードと層Aとの間に存在し、その結果以下の層構造が、アノードと発光層との間に生じ、ここで、その層は互いに直接隣接する。
【0024】
-アノード、
-層A'
-層A
-層B
-発光層。
【0025】
この態様に対応する電子素子(1)の可能な層配置は、図4に示され、層A'(2a)をもつ。
【0026】
層A'は、好ましくは、正孔輸送特性を有する有機化合物、特に、好ましくは、有機アミンを含む。層A'は、非常に、特に、好ましくは、トリアリールアミン、たとえば、モノトリアリールアミン、ビストリアリールアミンまたは二個を超えるトリアリールアミン基を含む化合物を含む。層A'は、p-ドープされてよい。この場合、それは、好ましくは、有機電子受容体化合物をドーパントとして含む。このようなドーパントの好ましい態様は、以下のセクションに示される。
【0027】
一般的に、電子素子は、また、さらなる層、たとえば、追加的正孔輸送層、電子輸送層、カップリングアウト層、中間層、正孔ブロック層、電子ブロック層、励起子ブロック層、電荷生成層および/または有機もしくは無機p/n接合を含んでよい。このような層の好ましい配置と機能との組み合わせは、当業者に知られている。
【0028】
アノードと発光層との間の全ての層は、少なくとも一つのモノトリアリールアミンを含むことが一般的に好ましい。それらは、特に、好ましくは、モノトリアリールアミンとは別の他のトリアリールアミン化合物を含まない。一以上の同一のモノトリアリールアミンが、非常に、特に、好ましくは、アノードと発光層との間の全ての層に存在する。
【0029】
p-ドープ層Aは、好ましくは、1〜500nm、特に、好ましくは、5〜300nm、非常に、特に、好ましくは、8〜250nmの厚さを有する。
【0030】
p-ドープ層Aは、好ましくは、電子受容体化合物であるドーパントを含む。ドーパントは、特に、好ましくは、モノトリアリールアミンを酸化することができ、換言すれば、十分に高いレドックス電位、特に、モノトリアリールアミンより高いレドックス電位を有する。
【0031】
好ましい態様では、ドーパントは、モノトリアリールアミンのHOMOよりも、0.3eV高くない、好ましくは、0.2eV高くない、特に、好ましくは、0.1eV高くないそのLUMOを有する。ドーパントは、最も、好ましくは、モノトリアリールアミンのHOMOと等しいかそれよりも低いLUMOを有する。
【0032】
HOMOとLUMO位置は、本発明の目的のために、実施例で明確に示されるとおり、「ガウシアン03W」(Gaussian Inc.)を使用する量子化学的計算により決定される。
【0033】
ドーパントは、好ましくは、−4.6eV未満、特に、好ましくは、−4.8eV未満、非常に、特に、好ましくは、−5.0eV未満のLUMOを有する。ドーパントは、最も、好ましくは、−5.1eV未満のLUMOを有する。
【0034】
適切なドーパントは、原則として、電子受容性化合物であり、ホストの酸化により有機層の伝導性を増加することができる全ての化合物である。当業者は、一般的専門知識の境界内で、さしたる努力もせずに適切な化合物を同定できるであろう。
【0035】
特に、適切なドーパントは、WO2011/073149、EP1968131、EP2276085、EP2213662、EP1722602、EP2045848、DE102007031220、US8044390、US8057712、WO2009/003455、WO2010/094378、WO2011/120709、US2010/0096600およびWO2012/095143に開示される化合物である。
【0036】
p-ドープ層Aのドーパントは、好ましくは、キノジメタン化合物、アザインデノフルオレンジオン、アザフェナレン、アザトリフェニレン、I、金属ハロゲン化物、好ましくは、遷移金属ハロゲン化物、金属酸化物、好ましくは、少なくとも一つの遷移金属もしくは第3主属からの金属を含む金属酸化物および遷移金属錯体、好ましくは、結合位置として少なくとも一つの酸素原子を含むリガンドをもつCu、Co、Ni、PdもしくはPtの錯体である。
【0037】
ドーパントは、さらに、好ましくは、遷移金属酸化物、好ましくは、レニウム、モリブデンおよびタングステンの酸化物、特に、好ましくは、Re、MoO、WOおよびReOである。
【0038】
ドーパントは、さらに、好ましくは、電子受容特性を有する化合物、特に、以下の化合物である:
【化1】
【0039】
ドーパントは、0.1〜20体積%、好ましくは、0.5〜12体積%、特に、好ましくは、1〜8体積%、非常に、特に、好ましくは、2〜6体積%の濃度で層A中に、好ましくは存在する。
【0040】
p-ドープ層Aは、また、ドーパントとモノトリアリールアミンに加えて、さらなる化合物、たとえば、さらなるドーパントおよび/または正孔輸送特性を有するさらなる化合物を含んでよい
好ましい態様では、p-ドープ層Aは、10−8S/cm超の高い、特に、好ましくは、10−7S/cm超の高い、非常に、特に、好ましくは、10−6S/cm超の高い、最も好ましくは、10−5S/cm超の高い伝導性を有する。
【0041】
薄層の伝導性は、二点法を使用して測定することができ、伝導性材料、たとえば、金もしくはインジウム錫酸化物を含む接点が基板に適用される。調査されるべき薄層は、次いで基板の全面積に適用され、その結果、接点は層により覆われる。接点への電圧の適用後、次いで、電流が測定される。接点と試料の層厚のジオメトリーは、こうして決定される抵抗からの層の伝導性を与える。ドープされた有機層に関するこのような測定は、たとえば、EP1786050 A1に記載されている。代替として、van der Pauw et al., Philips Technical Review, 1959/ 1960, Vol. 20, 220 and van der Pauw et al., Philips Research Reports 1958, Vol.13, 1に記載されているとおりに、四点法を伝導性の測定に使用することができる。
【0042】
好ましい態様では、同じモノトリアリールアミンが、層A中と層B中に存在する。
【0043】
好ましい態様では、同じモノトリアリールアミンが、層B中と層C中に存在する。
【0044】
好ましい態様では、同じモノトリアリールアミンが、層A中と層C中に存在する。
【0045】
さらに、好ましい態様では、同じモノトリアリールアミンが、層A中と層B中と層C中に存在する。
【0046】
モノトリアリールアミン、特に、層AとBのモノトリアリールアミンが、式(I)の化合物であることが好ましい。
【化2】
【0047】
式中、
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、C(=O)R、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)(R、S(=O)、CR=CR、CN、NO、Si(R、OSO、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、Sもしくは-CONRで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNOで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個のC原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または1以上の基Rで置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの構造の組み合わせであり;ここで、2個以上の隣接する置換基Rは、モノあるいはポリ環式の脂肪族もしくは芳香族環構造を互いに形成してもよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、CN、1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/または複素環式芳香族炭化水素基であり、ここで、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよく、ここで、2個以上の隣接する置換基Rは、モノ-あるいはポリ環式の脂肪族もしくは芳香族環構造を互いに形成してもよい。
【0048】
本発明の意味での芳香族環構造は、環構造中に6〜60個のC原子を含む。本発明の意味での複素環式芳香族環構造は、5〜60個の芳香族環原子と少なくとも1個のヘテロ原子を環構造中に含む。ヘテロ原子は、好ましくは、N、Oおよび/またはSから選ばれる。本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、必ずしもアリールもしくはヘテロアリール基のみを含む構造ではなく、その代わりに、加えて、複数のアリールもしくはヘテロアリール基が、たとえば、sp混成のC、Si、N、OもしくはSi原子、sp混成のCもしくはN原子、またはsp混成のC原子のような非芳香族単位(H以外の原子は、好ましくは、10%より少ない)により結合されていてもよい構造の意味で使用される。したがって、二個以上のアリール基が、たとえば、直鎖あるいは環状アルキル、アルケニルもしくはアルキニル基もしくはシリル基により連結される構造であることから、たとえば、9,9’-スピロビフルオレン、9,9-ジアリールフルオレン、トリアリールアミン、ジアリールエーテル、スチルベン等のような構造も、本発明の意味での芳香族環構造の意味で使用されることを意図されてもいる。さらに、二個以上のアリールもしくはヘテロアリール基が、単結合を介して互いに結合される構造、たとえば、ビフェニル、テルフェニルもしくはジフェニルトリアジン等の構造も、本発明の意味での芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の意味で使用される。
【0049】
5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造は、各場合に、上記定義した基により置換されていてもよく、任意の所望の位置を介して芳香族もしくは複素環式芳香族基に連結していてもよいが、特に、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ベンズアントラセン、フェナントレン、ベンズフェナントレン、ピレン、クリセン、ペリレン、フルオランセン、ナフタセン、ペンタセン、ベンゾピレン、ビフェニル、ビフェニレン、テルフェニル、テルフェニレン、クアテルフェニル、フルオレン、スピロビフルオレン、ジヒドロフェナントレン、ジヒドロピレン、テトラヒドロピレン、シス-もしくはトランス-インデノフルオレン、トルクセン、イソトルクセン、スピロトルクセン、スピロイソトルクセン、フラン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、ピロール、インドール、イソインドール、カルバゾール、インドロカルバゾール、インデノカルバゾール、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン、フェナントリジン、ベンゾ-5,6-キノリン、ベンゾ-6,7-キノリン、ベンゾ-7,8-キノリン、フェノチアジン、フェノキサジン、ピラゾール、インダゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、ナフトイミダゾール、フェナントロイミダゾール、ピリジンイミダゾール、ピラジンイミダゾール、キノキサリンイミダゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、ナフトオキサゾール、アントロオキサゾール、フェナントロオキサゾール、イソオキサゾール、1,2-チアゾール、1,3-チアゾール、ベンゾチアゾール、ピリダジン、ベンゾピリダジン、ピリミジン、ベンゾピリミジン、キノキサリン、1,5-ジアザアントラセン、2,7-ジアザピレン、2,3-ジアザピレン、1,6-ジアザピレン、1,8-ジアザピレン4,5-ジアザピレン、4,5,9,10-テトラアザピレン、ピラジン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、フルオルビン、ナフチリジン、アザカルバゾール、ベンゾカルボリン、フェナントロリン、1,2,3-トリアゾール、1,2,4-トリアゾール、ベンゾトリアゾール、1,2,3-オキサジアゾール、1,2,4-オキサジアゾール、1,2,5-オキサジアゾール、1,3,4-オキサジアゾール、1,2,3-チアジアゾール、1,2,4-チアジアゾール、1,2,5-チアジアゾール、1,3,4-チアジアゾール、1,3,5-トリアジン、1,2,4-トリアジン、1,2,3-トリアジン、テトラゾール、1,2,4,5-テトラジン、1,2,3,4-テトラジン、1,2,3,5-テトラジン、プリン、プテリジン、インドリジンおよびベンゾチアジアゾールまたはこれらの基の組み合わせに由来する基の意味で使用される。
【0050】
本発明の目的のために、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル基、または3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル基または2〜40個のC原子を有するアルケニルもしくはアルキニル基は、ここで、加えて、個々のH原子もしくはCH基は、上記した言及した基Rの定義で言及される基により置換されていてよく、好ましくは、基メチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、2-メチルブチル、n-ペンチル、s-ペンチル、シクロペンチル、ネオペンチル、n-ヘキシル、シクロヘキシル、ネオヘキシル、n-ヘプチル、シクロヘプチル、n-オクチル、シクロオクチル、2-エチルヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2,2,2-トリフルオロエチル、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、シクロペンテニル、ヘキセニル、シクロヘキセニル、ヘプテニル、シクロヘプテニル、オクテニル、シクロオクテニル、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルあるいはオクチニルの意味で使用される。1〜40個のC原子を有するアルコキシもしくはチオアルキル基は、好ましくは、メトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、i-プロポキシ、n-ブトキシ、i-ブトキシ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペントキシ、s-ペントキシ、2-メチルブトキシ、n-ヘキソキシ、シクロヘキシルオキシ、n-ヘプトキシ、シクロヘプチルオキシ、n-オクチルオキシ、シクロオクチルオキシ、2-エチルヘキシルオキシ、ペンタフルオロエトキシ、2,2,2-トリフルオロエトキシ、メチルチオ、エチルチオ、n-プロピルチオ、i-プロピルチオ、n-ブチルチオ、i-ブチルチオ、s-ブチルチオ、t-ブチルチオ、n-ペンチルチオ、s-ペンチルチオ、n-ヘキシルチオ、シクロヘキシルチオ、n-ヘプチルチオ、シクロヘプチルチオ、n-オクチルチオ、シクロオクチルチオ、2-エチルヘキシルチオ、トリフルオロメチルチオ、ペンタフルオロエチルチオ、2,2,2-トリフルオロエチルチオ、エテニルチオ、プロペニルチオ、ブテニチオル、ペンテニルチオ、シクロペンテニルチオ、ヘキセニルチオ、シクロヘキセニルチオ、ヘプテニルチオ、シクロヘプテニルチオ、オクテニルチオ、シクロオクテニルチオ、エチニルチオ、プロピニルチオ、ブチニルチオ、ペンチニルチオ、ヘキシニルチオ、ヘプチニルチオもしくはオクチニルチオの意味で使用される。
【0051】
Arは、好ましくは、6〜40個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、特に、好ましくは、6〜30個の芳香族環原子を有する芳香族環構造、非常に、特に、好ましくは、12〜30個の芳香族環原子を有する芳香族環構造である。
【0052】
少なくとも一つの基Arは、12〜30個の芳香族環原子を有する芳香族環構造であって、好ましくは、ビフェニル、テルフェニル、クアテルフェニル、スピロビフルオレン、フルオレンおよびインデノフルオレンから選ばれ、それぞれは、Rで置換されていることが好ましい。
【0053】
一般的に、Rは、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、CN、Si(R、N(R、1〜20個のC原子を有する直鎖アルキルもしくはアルコキシ基、3〜20個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキルもしくはアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、上記言及した基中の1以上の隣接しないCH基は、C≡C、RC=CR、Si(R、C=O、C=NR、-O-、-S-、-C(=O)O-もしくは-CONRで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい5〜20個のC原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;ここで、2個以上のRは、互いに結合してよく、環構造を形成してよい。
【0054】
モノトリアリールアミンは、好ましくは、式(II)、式(III)または式(IV)の一つであり;
【化3】
【0055】
式中、
Zは、出現毎に同一であるか異なり、NまたはCRであり、ここで、置換基が結合していれば、Zは、Cであり;
Arは、1以上の基Rにより置換されてよい5〜20個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
Arは、出現毎に同一であるか異なり、1以上の基Rにより置換されてもよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造であり;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、F、Cl、Br、I、CHO、C(=O)R、C(=O)R、P(=O)(R、S(=O)(R、S(=O)、CR=CR、CN、NO、Si(R、OSO、1〜40個のC原子を有する直鎖アルキル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基、2〜40個のC原子を有する直鎖アルケニルもしくはアルキニル基、3〜40個のC原子を有する分岐あるいは環状アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシもしくはチオアルコキシ基(夫々は、1以上の基Rにより置換されてよく、1以上の隣接しないCH基は、RC=CR、C≡C、Si(R、Ge(R、Sn(R、C=O、C=S、C=Se、C=NR、P(=O)(R)、SO、SO、NR、O、Sもしくは-CONRで置き代えられてよく、ここで、1以上のH原子は、D、F、Cl、Br、I、CNもしくはNOで置き代えられてよい。)または、各場合に、1以上の基Rにより置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、または1以上の基Rで置換されてよい5〜60個の芳香族環原子を有するアリールオキシもしくはヘテロアリールオキシ基、またはこれらの構造の組み合わせであり;ここで、2個以上の隣接する置換基Rは、モノあるいはポリ環式の脂肪族もしくは芳香族環構造を互いに形成してもよく;
は、出現毎に同一であるか異なり、H、D、CN、1〜20個のC原子を有する脂肪族、芳香族および/または複素環式芳香族炭化水素基であり、ここで、1以上のH原子は、DもしくはFで置き代えられてよく、ここで、2個以上の隣接する置換基Rは、モノ-あるいはポリ環式の脂肪族もしくは芳香族環構造を互いに形成してもよく、および
nは、0または1である。
【0056】
式(II)、(III)および(IV)中で、芳香環毎の三個を超えない基Zは、Nであることが好ましい。特に、好ましくは、芳香環毎の0、1または2個の基Zは、Nである。非常に、特に、好ましくは、全ての基Zは、CRであるか、または置換基が結合するならば、Cである。
【0057】
式(II)、(III)および(IV)中でのArは、好ましくは、6〜18個のC原子を有する芳香族もしくは複素環式芳香族環構造、特に、好ましくは、6〜18個のC原子を有する芳香族環構造であり;1以上の基Rにより置換されてもよい。
【0058】
本発明の素子での使用のためのモノトリアリールアミンの例は、以下に示される。
【化4-1】
【化4-2】
【化4-3】
【化4-4】
【化4-5】
【化4-6】
【化4-7】
【化4-8】
【化4-9】
【化4-10】
【化4-11】
【化4-12】
【化4-13】
【化4-14】
【化4-15】
【化4-16】
【化4-17】
【化4-18】
【化4-19】
【0059】
本発明は、さらに、モノトリアリールアミンを含むp-ドープ混合物に関する。
【0060】
混合物は、好ましくは、上記に定義されるとおりの、少なくとも一つの式(II)、(III)または(IV)のモノトリアリールアミンを含む。ここで、式(II)、(III)または(IV)の化合物に対して上記に示される態様が、あてはまる。
【0061】
p-ドープ混合物は、好ましくは、電子受容性化合物であるドーパントを含む。上記示されるドーパントの好ましい態様があてはまる。特に、ドーパントは、好ましくは、キノジメタン化合物、アザインデノフルオレンジオン、アザフェナレン、アザトリフェニレン、I、金属ハロゲン化物、好ましくは、遷移金属ハロゲン化物、金属酸化物、好ましくは、少なくとも一つの遷移金属もしくは第3主属からの金属を含む金属酸化物および遷移金属錯体、好ましくは、結合位置として少なくとも一つの酸素原子を有するリガンドをもつCu、Co、Ni、PdもしくはPtの錯体から選ばれる。
【0062】
ドーパントは、さらに、好ましくは、遷移金属酸化物、好ましくは、レニウム、モリブデンおよびタングステンの酸化物、特に、好ましくは、Re、MoO、WOおよびReOである。
【0063】
さらに、好ましくは、上記示されるとおりの式(D−1)〜(D−12)のドーパント化合物である:
p-ドープ混合物は、0.1〜20体積%、好ましくは、0.5〜12体積%、特に、好ましくは、1〜8体積%、非常に、特に、好ましくは、2〜6体積%の濃度でドーパントを含むことが好ましい。
【0064】
本発明の電子素子は、好ましくは、有機集積回路(OIC)、有機電界効果トランジスタ(OFET)、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機発光トランジスタ(OLET)、有機太陽電池(OSC)、有機光検査器、有機光受容器、有機電場消光素子(OFQD)、有機発光電子化学電池(OLEC)、有機レーザーダイオード(O-laser)および有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)から選ばれる。電子素子は、好ましくは、有機エレクトロルミネッセンス素子である。
【0065】
電子素子の発光層は、蛍光もしくは燐光発光層であることができる。一以上の発光層が素子中に存在してよい。
【0066】
本発明の電子素子は、複数の発光層を含んでもよい。この場合に、これらの発光層は、特に、好ましくは、380nm〜750nm間に全体で複数の最大発光を有し、全体として、白色発光が生じるものであり、換言すれば、蛍光若しくは燐光を発することができる種々の発光化合物が、発光層に使用される。特に、好ましいのは、3個の発光層を有する構造であり、ここで、その3層は、青色、緑色及びオレンジ色もしくは赤色発光を呈する(基本構造については、例えば、WO 2005/011013参照。)。白色光の生成のためには、広波長範囲で発光する個々に使用されるエミッター化合物も、色発光する複数のエミッター化合物に代えて適切であるかもしれないことに留意する必要がある。
【0067】
発光層または複数の発光層は、それぞれ、燐光または蛍光であってよい一以上のエミッター化合物を含む。
【0068】
用語燐光エミッターは、スピン禁制遷移、たとえば、励起三重項状態または五重項状態等の比較的高いスピン量子数を有する状態からの遷移により、発光が起こる化合物を典型的には包含する
適切な燐光発光エミッター、特に、好ましくは、可視域で適切な励起により発光する化合物は、加えて、20より大きい原子番号、好ましくは、38〜84の原子番号、特に、好ましくは、56〜80の原子番号を有する少なくとも一つの原子、特に、この原子番号を有する金属を含む。使用される燐光発光ドーパントは、好ましくは、銅、モリブデン、タングステン、レニウム、ルテニウム、オスミウム、ロジウム、イリジウム、パラジウム、白金、銀、金またはユウロピウムを含む化合物、特に、イリジウム、白金または銅を含む化合物である。
【0069】
本発明の目的のために、全てのルミネッセントイリジウム、白金または銅錯体が、燐光発光化合物とみなされる。
【0070】
燐光エミッターの例は、出願WO 2000/70655、WO 2001/41512、WO 2002/02714、WO 2002/15645、EP 1191613、EP 1191612、EP 1191614、WO 2005/033244、WO 2005/019373およびUS2005/0258742により明らかにされている。一般的には、燐光発光OLEDのために先行技術にしたがって使用され、有機エレクトロルミネッセンス素子分野の当業者に知られるようなすべての燐光発光錯体が本発明の素子での使用のために適切である。当業者は進歩性を必要とすることなく、OLEDで本発明の化合物と組み合わせて、更なる燐光発光錯体を使用することができよう。
【0071】
本発明の電子素子に使用することのできる燐光エミッターの特定の例は、以下に示される。
【化5-1】
【化5-2】
【化5-3】
【化5-4】
【化5-5】
【化5-6】
【化5-7】
【0072】
好ましい蛍光エミッターは、アリールアミンのクラスから選ばれる。本発明の意味でのアリールアミンもしくは芳香族アミンは、窒素に直接結合した3個の置換あるいは非置換芳香族もしくは複素環式芳香族環構造を含む化合物の意味で使用される。これら芳香族もしくは複素環式芳香族環構造の少なくとも1個は、好ましくは、縮合環構造、特に、好ましくは、少なくとも14個の芳香族環原子を有する縮合環構造である。それらの好ましい例は、芳香族アントラセンアミン、芳香族アントラセンジアミン、芳香族ピレンアミン、芳香族ピレンジアミン、芳香族クリセンアミンもしくは芳香族クリセンジアミンである。芳香族アントラセンアミンは、一個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9-位で結合する化合物の意味で使用される。芳香族アントラセンジアミンは、二個のジアリールアミノ基が、アントラセン基に直接、好ましくは、9.10-位で結合する化合物の意味で使用される。芳香族ピレンアミン、ピレンジアミン、クリセンアミンおよびクリセンジアミンは、同様に定義され、ここで、ジアリールアミノ基は、好ましくは、ピレンに、1位もしくは1.6-位で結合する。
【0073】
一以上の発光化合物に加えて、エミッター層は、また、好ましくは、一以上のマトリックス材料を含む。
【0074】
好ましくは、蛍光エミッターのための適切なマトリックス材料は、種々の物質のクラスからの材料である。好ましいマトリックス材料は、オリゴアリーレン(たとえば、EP 676461にしたがう2,2’,7,7’-テトラフェニルスピロビフルオレンもしくはジナフチルアントラセン)、特に、縮合芳香族基を含むオリゴアリーレン、オリゴアリーレンビニレン(たとえば、DPVBiもしくはEP 676461にしたがうスピロ- DPVBi)、ポリポダル金属錯体(たとえば、WO 2004/081017にしたがう)、正孔伝導化合物(たとえば、WO 2004/058911にしたがう)、電子伝導化合物、特に、ケトン、ホスフィンオキシド、スルホキシド等(たとえば、WO 2005/084081およびWO 2005/084082にしたがう)、アトロプ異性体(たとえば、WO 2006/048268にしたがう)、ボロン酸誘導体(たとえば、WO 2006/117052にしたがう)またはベンズアントラセン(たとえば、WO 2008/1452398にしたがう)のクラスから選択される。特に、好ましいマトリックス材料は、ナフタレン、アントラセン、ベンゾアントラセンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体、オリゴアリーレンビニレン、ケトン、ホスフィンオキシドおよびスルホキシドのクラスから選ばれる。非常に、特に、好ましいマトリックス材料は、アントラセン、ベンゾアントラセン、ベンゾフェナントレンおよび/またはピレンを含むオリゴアリーレンもしくはこれら化合物のアトロプ異性体のクラスから選ばれる。本発明の意味でのオリゴアリーレンは、少なくとも三個のアリールもしくはアリーレン基が互いに結合する化合物の意味で使用されることを意図している。
【0075】
燐光エミッターのための好ましいマトリックス材料は、特に、たとえば、US2005/0069729にしたがうトリアリールアミン、カルバゾール誘導体(たとえば、CBP、N,N-ビスカルバゾリルビフェニル)、WO 2005/039246、US 2005/0069729、JP 2004/288381、EP 1205527もしくはWO 2008/086851にしたがう化合物、たとえば、2011/088877および2011/128017にしたがう架橋カルバゾール誘導体、たとえば、WO 2010/136109およびWO 2011/000455にしたがうインデノカルバゾール誘導体、たとえば、EP 1617710、EP 1617711、EP 1731584、JP 2005/347160にしたがうアザカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2007/063754もしくはWO 2008/056746にしたがうインドロカルバゾール誘導体、たとえば、WO 2004/093207もしくはWO 2010/006680にしたがうケトン、たとえば、WO 2005/003253にしたがうホスフィンオキシド、スルホキシドおよびスルホン、オリゴアリーレン、たとえば、WO 2007/137725にしたがうバイポーラーマトリックス材料、たとえば、WO 2005/111172にしたがうシラン、たとえば、WO 2006/117052にしたがうアザカルバゾールもしくはボロン酸エステル、たとえば、WO 2010/015306、WO 2007/063754もしくはWO 08/056746にしたがうトリアジン誘導体、たとえば、EP 652273もしくはWO 2009/062578にしたがう亜鉛錯体、アルミニウム錯体、たとえば、BAlq、たとえば、WO 2010/054729にしたがうジアザシロールおよびテトラアザシロール誘導体、たとえば、WO 2010/054730にしたがうジアザホスホール誘導体およびアルミニウム錯体、たとえば、BAlQである。
【0076】
本発明の電子素子の正孔注入もしくは正孔輸送層もしくは電子ブロック層中でまたは電子輸送層中で使用することができる適切な電荷輸送材料は、たとえば、Y. Shirota et al., Chem. Rev. 2007, 107(4), 953-1010に開示された化合物または先行技術にしたがってこれらの層に使用される他の材料である
電子輸送層のために使用することのできる材料は、電子輸送層中で電子輸送材料として先行技術にしたがって使用されるとおりのすべての材料である。特に適切なものは、アルミニウム錯体、たとえば、Alq、ジルコニウム錯体、たとえば、Zrq、ベンズイミダゾール誘導体、トリアジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピリジン誘導体、ピラジン誘導体、キノキサリン誘導体、キノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、芳香族ケトン、ラクタム、ボラーン、ジアザホスホール誘導体およびホスフィンオキシド誘導体である。されに、適切である材料は、JP2000/053957、WO2003/060956、WO 04/028217、WO 2004/080975およびWO 2010/072300に開示されたとおりの上記言及した化合物の誘導体である。
【0077】
本発明のエレクトロルミッセンス素子の正孔輸送もしくは正孔注入もしくは電子ブロック層中で使用することができる好ましい正孔輸送材料は、一般的にインデノフルオレンアミン誘導体(たとえば、WO 06/122630もしくはWO06/100896)にしたがう)、EP1661888に開示されたアミン誘導体、ヘキサアザトリフェニレン誘導体(たとえば、WO 01/049806にしたがう)、縮合芳香族環を持つアミン誘導体(たとえば、US5,061,569にしたがう)、WO95/09147に開示されたアミン誘導体、モノベンゾインデノフルオレンアミン(たとえば、WO08/006449にしたがう)、ジベンゾインデノフルオレンアミン(たとえば、WO 07/140847)にしたがう)、スピロビフルオレンアミン(たとえば、WO2012/034627もしくは未公開EP12000929.5にしたがう)、フルオレンアミン(たとえば、未公開EP12005369.9、EP12005370.7およびEP12005371.5にしたがう)、スピロジベンゾピランアミン(たとえば、未公開EP11009127.9にしたがう)およびジヒドロアクリジン誘導体(たとえば、未公開EP11007067.9にしたがう)である。
【0078】
電子素子のカソードは、好ましくは、低仕事関数を有する金属、金属合金または、たとえば、アルカリ土類金属、アルカリ金属、主族金属もしくはランタノイド(たとえば、Ca、Ba、Mg、Al、In、Mg、Yb、Sm等)のような種々の金属を含む多層構造である。また、適切なのは、アルカリ金属、アルカリ土類金属および銀を含む合金、たとえば、マグネシウムと銀を含む合金である。多層構造の場合、比較的高仕事関数を有するさらなる金属、たとえば、AgもしくはAlが、前記金属に加えて使用されてもよく、その場合、たとえば、Ca/Ag、Mg/AgもしくはBa/Agのような金属の組み合わせが、一般的に使用される。金属カソードと有機半導体との間に高誘電定数を有する材料の薄い中間層を導入することも好ましいかもしれない。この目的に適切なのは、たとえば、アルカリ金属フッ化物もしくはアルカリ土類金属フッ化物だけでなく、また対応する酸化物もしくは炭酸塩(たとえば、LiF、LiO、BaF、MgO、NaF、CsF、CsCO等)である。さらに、リチウムキノリナート(LiQ)をこの目的のために使用することができる。この層の層厚は、好ましくは、0.5および5nmである。
【0079】
アノードは、好ましくは、高い仕事関数を有する金属を含む。アノードは、好ましくは、4.5eV対真空超の仕事関数を有する。この目的に適切なのは、一方で、たとえば、Ag、PtもしくはAuのような高レドックスポテンシャルを有する金属である。他方で、金属/金属酸化物電極(たとえば、Al/Ni/NiO、Al/PtO)が、また、好まれてもよい。幾つかの用途のために、少なくとも一つの電極は、有機材料の放射(有機太陽電池)もしくは光のカップリング-アウト(OLED、O−laser)を可能にするために透明もしくは一部透明である必要がある。好ましいアノード材料は、ここで、伝導性混合金属酸化物である。特に、好ましいのは、イリジウム錫酸化物(ITO)もしくはイリジウム亜鉛酸化物(IZO)である。さらに、好ましいのは、伝導性でドープされた有機材料、特に、伝導性ドープポリマーである。
【0080】
電子素子は、好ましくは、1以上の層が、昇華プロセスにより適用される。このプロセスにおいて、材料は、10−5mbar未満、好ましくは、10−6mbar未満の初期圧力で、真空昇華ユニット中で真空気相堆積により適用される。しかしながら、ここで、初期圧力は、さらにより低くても、たとえば、10−7mbar未満でも可能である。
【0081】
特に、p-ドープ層Aは、好ましくは、ドーパントとモノトリアリールアミンの共昇華により製造される。この目的のためのプロセスは、たとえば、Solar Energy Materials & Solar Cells, 2000, 63, 83-99に記載されている。
【0082】
同様に、1以上の層が、OVPD(有機気相堆積)プロセスもしくはキャリアガス昇華により被覆されることが好ましく、材料は、10−5mbar〜1barの圧力で適用される。このプロセスの特別な場合は、OVJP(有機気相ジェット印刷)プロセスであり、材料はノズルにより直接適用され、そのように構造化される(たとえば、M. S. Arnold et al., Appl. Phys. Lett. 2008, 92, 053301)。
【0083】
更に、1以上の層が、溶液から、たとえば、スピンコーティングにより、もしくは、たとえば、スクリーン印刷、フレキソ印刷、ノズル印刷もしくはオフセット印刷、特に、好ましくは、LITI(光誘起熱画像化、熱転写印刷)もしくはインクジェット印刷のような任意の所望の印刷プロセスにより製造されることを特徴とする。可溶性の化合物が、この目的のために必要である。適切な溶解度は、化合物の適切な置換により達成することができる。
【0084】
本発明の素子を一以上の層を溶液から、一以上の層を昇華プロセスにより製造することが、さらに、好ましい。
【0085】
素子は、(用途に応じて)、構造化され、接点を供され、本発明の素子の寿命が水および/または空気の存在で短くなることから、製造中に封止される。
【0086】
以下の図が、本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0087】
図1図1は、アノード(2)、層A(3)、層B(4)、発光層(5)、電子輸送層(6)およびカソード(7)を含む電子素子(1)を示す。
図2図2は、アノード(2)、層A(3)、層B(4)、発光層(5)、電子輸送層(6)、電子注入層(6a)およびカソード(7)を含む電子素子(1)を示す。
図3図3は、アノード(2)、層A(3)、層B(4)、層C(4a)、発光層(5)、電子輸送層(6)、電子注入層(6a)およびカソード(7)を含む電子素子(1)を示す。
図4図4は、アノード(2)、層A'(2a)、層A(3)、層B(4)、発光層(5)、電子輸送層(6)、電子注入層(6a)およびカソード(7)を含む電子素子(1)を示す。
【0088】

A)化合物のHOMO/LUMO位置の決定
材料のHOMOおよびLUMO位置は、量子化学計算によって決定する。この目的のために、「ガウシアン03W」プログラムパッケージ(Gaussian Inc.)を使用する。金属を含まない有機物質を計算するために、「基底状態/準実験的/デフォルトスピン/AM1/電荷0/一重項スピン」法を使用して、第1番目に幾何学的な最適化を実施する。続いて幾何学的な最適化を基準にしてエネルギー計算を実施する。この場合は、「6−31G(d)」ベースセット(電荷0/一重項スピン)を用いる「TD−SCF/DFT/デフォルトスピン/B3PW91」法を使用する。有機金属化合物に対しては、ジオメトリーは、「基底状態/ハートリー-フォック/デフォルトスピン/LanL2MB/電荷0/一重項スピン」を介して最適化される)。エネルギー計算は「LanL2DZ」基本セットが金属原子のために使用され、「6−31G(d)」基本セットがリガンドのために使用されるという相違の他は、上記記載のとおりの有機物質と同様に実行される。エネルギー計算は、ハートリー単位でHOMO HEhまたはLUMO LEhを与える。これらから電子ボルト(eV)におけるHOMOおよびLUMOの値を以下のように決定するが、ここで、これらの関係は、サイクリックボルタンメトリ測定を基礎とする較正から来る。
【0089】
HOMO(eV)=((HEh*27.212)−0.9899)/1.1206
LUMO(eV)=((LEh*27.212)−2.0041)/1.385
これらの値は、本出願の目的においては、材料のHOMOまたはLUMOとみなされる。例で使用される材料に対する値が、表1に要約される。
【0090】
表1:材料のHOMO/LUMO値
【表1】
【0091】
B)化合物の調製
使用される化合物は、一般的専門知識にしたがって、調製することができる。MA1の調製は、たとえば、JP1995-053955に記載されている。MA2、MA6、MA7、MA11、MA20、MA25およびMA27の調製のためのプロセスは、たとえば、WO2012/034627に記載されている。
【0092】
C)OLEDの製造
本発明によるOLEDと先行技術によるOLEDが、WO 2004/058911にしたがう一般的プロセスにより製造されるが、ここに記載される状況(層の厚さの変化、材料)に適合される。
【0093】
種々のOLEDに対するデータが、以下の例V1〜E46で示される(表2と3参照)。厚さ50nmの構造化されたITO(インジウム錫酸化物)で被覆されたガラス板が、OLEDの基板を形成する。基板は、湿式洗浄され(皿洗い機、Merck Extran洗浄剤)、引き続き250℃で15分間の加熱により乾燥され、被覆前に酸素プラズマで処置される。
【0094】
種々の層が、前処理された基板に適用される:第1の正孔輸送層(HTL1)/随意に第2の正孔輸送層(HTL2)/EMLに直接隣接する正孔輸送層(HTL3)/発光層(EML)/電子輸送層(ETL)/随意に電子注入層(EIL)および最後に厚さ100nmのアルミニウムカソード。OLEDの正確な構造は、表2に示される。OLEDの製造のために必要とされる材料は、表4に示される。
【0095】
例E16、E44において、材料IC1の厚さ10nmの層が、EMLとETLとの間に追加的に存在する。
【0096】
例E42、E43において、材料IC2の厚さ10nmの層が、EMLとETLとの間に追加的に存在する。
【0097】
例E15とE16において、PEDOT:PSS((ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスホネート)で水溶液からのスピンコートにより適用、Heraeus Clevios Metals GmbH独国からCLEVIOS P V(登録商標)P AI 4083として購入。)の厚さ20nmの層が、ITOとHTL1との間に追加的に存在する。
【0098】
その他の材料は、真空室において、熱気相堆積により適用される。ここで、発光層は、常に、少なくとも一つのマトリックス材料(ホスト材料)と、共蒸発により一定の体積割合でマトリックス材料または材料と前混合される発光ドーパント(エミッター)とから成る。ここで、M1:D1(95%:5%)等の表現は、材料M1が95体積%の割合で層中に存在し、D1が5体積%の割合で層中に存在することを意味する。同様に、電子輸送層も、二種の材料の混合物から成ってもよい。
【0099】
OLEDは、標準方法により特性決定される。この目的のために、エレクトロルミネセンススペクトル、ランベルト発光特性を仮定する電流/電圧/輝度特性線(IUL特性線)から計算した、輝度の関数としての電流効率(cd/Aで測定)、パワー効率(Im/Wで測定)、外部量子効率(EQE、パーセントで測定)ならびに寿命が測定される。エレクトロルミネセンススペクトルは、輝度1000cd/mで測定され、CIE1931xおよびy色座標はそこから計算される。表3での用語U1000は、初期輝度1000cd/mのために必要な電圧である。CE1000とPE1000は、1000cd/mで達成される電流効率とパワー効率である。最後に、EQE1000は、駆動輝度1000cd/mでの外部量子効率である。寿命LTは、一定電流での駆動時に初期輝度から一定の割合Aまで初期輝度が低下した後の時間で定義される(表3でのjLT欄で示される。)。
【0100】
種々のOLEDに対するデータが、表3に要約される。例V1〜V16は、先行技術にしたがう比較例であり、例E1〜E46は、本発明のOLEDの例を示す。
【0101】
幾つかの例が、本発明のOLEDの優位性を証明するために、以下に詳細に説明される。しかしながら、これは、単に表3に示されたデータの選択であることに留意する必要がある。
【0102】
HTL1として、p-ドープモノアミンとEMLに隣接するHTL3としてジアミンNPBを含むOLEDと比較すると、同じHTL1とHTL3としてモノアミンMA2を含むOLEDは、顕著に良好な効率と寿命と僅かに良好な電圧を示す(例V1とE9)。
【0103】
青色蛍光ドーパントD2を持つ例(V2〜V7、V10、E5〜E11、E14)は、HTL1として、p-ドープモノアミンとEMLに隣接するモノアミンの組み合わせが、最良の結果を与えることを示す。ジアミン、アミンカルバゾールもしくはテトラアミンが、先行技術にしたがって、HTL1、HTL2として、もしくは直接EMLに隣接してHTL3として使用されると、性能データは、より良好ではない。p-ドープテトラアミンSpA1とEMLに直接隣接するMA2との組み合わせにおけるモノアミンMA2のp-ドープ層の使用に関して。非常に良好な性能データが、同様に得られる(例E14)。
【0104】
カルバゾール-アミンCbzA1が、HTL3に使用され(すなわち、EMLと直接接触)、p-ドープモノアミンMA2が、青色ドーパントD1と組み合わせて使用されると、HTL3中のモノアミンMA1もしくはMA2の使用よりもより高い電圧とより劣悪な効率と寿命が得られる(例E1、E2およびE12)。燐光緑色ドーパントTEG1が青色蛍光ドーパントD1に代えて使用されると、同じことが当てはまる(例E3、E4およびE13)。
【0105】
p-ドープされたモノアミンが、また、その他の正孔輸送層に使用されると、特に、良好な寿命が得られる(例E1およびE2およびE3およびE4とを比較)。
【0106】
非常に良好な電子注入とともに、純粋にフェニル置換されたモノアミンM1の使用は、モノアミンM2と比べて、さらに有利である(例E10およびE11を比較)。示されたOLEDは、より短い寿命を呈するが、しかしながら、それらは、より低い電子注入を有する同等のOLEDよりもより低い電圧を呈し、幾つかの用途で有利であり得る。
【0107】
例E18〜E46は、多様な種類の化合物を、本発明の基本的な優位性を変化させることなく、本発明にしたがうモノアミンとして使用することができることを示している。化合物MA1〜MA29は、特に、フルオレニルモノトリアリールアミン、キサンテンモノトリアリールアミン、スピロビフルオレンモノトリアリールアミン、インデノフルオレンモノトリアリールアミンとさらなるクラスの物質を含む。
【0108】
表2:OLEDの構造
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【0109】
表3:OLEDに対するデータ
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0110】
表4:OLEDに対する材料の構造式
【化6-1】
【化6-2】
【化6-3】
【化6-4】
【化6-5】
図1
図2
図3
図4