(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
治療有効量のオピオイド作用薬および/または薬学的に許容されるその塩と臨床有効量のオピオイド拮抗薬および/または薬学的に許容されるその塩とを腸内で放出させる放出制御組成物から形成される少なくとも1層を含む経口フィルム製剤であって;
前記放出制御組成物は、少なくとも1つの放出制御マトリックスポリマーと、前記マトリックスポリマー中に分散する腸溶放出ビーズとを含み、ここで、
前記腸溶放出ビーズは、少なくとも1つの腸溶放出ポリマーであって、その中に封入される前記オピオイド作用薬および前記オピオイド拮抗薬および/またはそれらのそれぞれの塩を有する前記腸溶放出ポリマーから形成され;
前記放出制御組成物は、該オピオイド作用薬、拮抗薬およびそれらのそれぞれの塩のpKaより約2.0〜3.0pH単位下のpHに該組成物を調整するのに有効な量でpH調整剤をさらに含み、
前記放出制御組成物は、矯味剤、乳化剤、可塑剤、着色剤、酸化防止剤、微生物防止剤および透過促進剤から選択される1つまたはそれ以上の添加剤を場合によりさらに含み、前記腸溶放出ビーズは、ビーズ安定剤を場合によりさらに含む、
前記経口フィルム製剤。
腸溶放出ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸セルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、およびポリメチルアクリレートコポリマーの1つまたはそれ以上から選択される、請求項1に記載の経口フィルム製剤。
腸溶放出ポリマーはポリメタクリレートコポリマーであり、該ポリメタクリレートコポリマーは、(i)ジメチルアミノエスルメタクリレートおよび/または他の中性メタクリル酸エステルから誘導されるカチオン性コポリマーと(ii)メタクリル酸およびアクリレートから誘導されるアニオン性コポリマーとの混合物である、請求項1または2に記載の経口フィルム製剤。
ポリ(メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2−ジメチルアミノエチル)、メタクリル酸メチル)コポリマーは、それぞれのモノマー比が1:2:1であり、メタクリル酸とメタクリル酸メチルまたはアクリル酸エチルのいずれかとから誘導されるアニオン性コポリマーは、それぞれのモノマー比が1:1または1:2のいずれかである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の経口フィルム製剤。
オピオイド作用薬は、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アンフェプラモン、アンフェタミン、アンフェタミニル、アニレリジン、アポコデイン、アポモルフィン、アシマドリン、アキソマドール、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブレマゾシン、ブリフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、カルフェンタニル、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、シクロルファン、シプレノルフィン、シプロジム、デルトルフィン、デソモルピン、デキストロルファン、デキストロモラミド、デキストロプロポキシフェン、デゾシン、ジアモルフィン、ジアモルホン、ジアンプロミド、ジアセチルモルフィン、ジヒドロコデイン、ジヒドロコデイノン、ジヒドロエトルフィン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェタモール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキシアフェチルブチレート、ジフェノキシレート、ジピパノン、ジプレノルフィン、ドロナビノール、メトエンケファリン、ロイエンケファリン、ジノルフィンA、ジノルフィンB、β−エンドルフィン、エプタゾシン、エリドルフィン、エトヘプタジン、14−メトキシメトポン、エチルケトシクラゾシン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルフィン、エトニタゼン、エトルフィン、エキストロモラミド、フェンカンファミン、フェネチリン、フェンプロポレックス、フェンタニル、a−メチルフェンタニル、ベータ−フナルトレキサミン、β−ヒドロキシ−3−メチルフェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロモルホドン、ヒドロキシメチルモルフィナン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、キョートルフィン、レボ−α−アセチルメタドール、レバセチルメタドール、レバロルファン、レボメタドン、レボメタジル酢酸エステル、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、ロフェキシジン、ロペラミド、マルブフィン、マジンドール、メフェノレックス、メペリジン、メプロバメート、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、メチルジヒドロモルフィン、メチルジヒドロモルフィノン、メチルモルフィン、メチルナルトレキソン、メチルフェニデート、メチプリロン、メトポン、ミルフェンタニル、モダフミル、モルフィセプチン、モルフィナン、モルフィン、ミロフィン、ナビロン、ナルブフェン、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナロキソンベンゾイルヒドラゾン、ナルトレキソン、ナルトリベン、ナルトリンドール、ナルトリンドールイソチオシアネート、ナルセイン、ナトブフィン、ニコモルフィン、ノル−ビナルトルフィミン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ノルモルフィン、ノルピパノン、ノスカピン、オーメフェンタニル、o−メチルナルトレキソン、アヘン、オニタゼン、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、パパベリン、パレゴリック、ペモリン、ペルノリン、ペンタゾシン、ペチジン、フェンジメトラジン、フェンジメトラゾン、フェンメトラジン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ホルコデイン、ピミノジン、ピプラドロール、ピリトラミド、プレノルフィン、プロファドール、プロペリジン、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、プロピルヘキセドリン、レミフェンタニル、スピラドリン、スフェンタニル(sufentanil)、スフェンタニル(sufentanyl)、タペンタドール、テバイン、トラマドール、トレフェンタニル、チリジン、ビミノールもしくはそれらの塩、または、フェナントレン、モルフィナン、ベンゾモルファン、メタドン、フェニルピペリジン、プロピオンアニリド 4−アニリドピペリジン、4−アリールピペ
リジン、および4−ヘテロアリールピペリジンクラスのオピオイドの1つまたはそれ以上から選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の経口フィルム製剤。
オピオイド拮抗薬は、アラゾシン、アミフェナゾール、ブトルファノール、クロルナルトレキサミン、クロシンナモックス、シクラザシン、シクラゾシン、シクロルファン、シプレノルフィン、ジプレノルフィン、エタゾシン、β−フナルトレキサミン、レバロルファン、メプタジノール、メタゾシン、ナジド、ナルブフィン、ナリド、ナルメフェン、ナルメフェンジプレノルフィン、ナルメキソン、ナロルフィン、ナロルフィンジニコチネート、ナロキソン、6−アミノ−ナロキソン、N−メチルナロキソン、ノル−ビナルトルフィミン、ナルトレンドール、ナルトレキソン、6−アミノ−ナルトレキソン、7−ベンジリデンナルトレキソン、N−メチルナルトレキソン、ナルトリンドール、ナルフィン、オキシロルファン、ペンタゾシン、ピペリジン−N−アルキルカルボキシレートオピオイド拮抗薬、およびオピオイド拮抗薬ポリペプチドの1つまたはそれ以上から選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の経口フィルム製剤。
前記放出制御マトリックスポリマーは、セルロースおよび/またはその誘導体;合成または天然ゴム、アクリルポリマーおよび/またはそのコポリマー、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレングリコール、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カラギーナン、アルギン酸および/またはその塩、カルボキシビニルポリマー、ペクチンおよび/またはその誘導体、キサンタンガムおよび/またはその誘導体、ならびにデンプンおよび/またはその誘導体の1つまたはそれ以上から選択されるフィルム形成ポリマーである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の経口フィルム製剤。
前記セルロースおよび/またはその誘導体は、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースまたはそれらの混合物であり;前記合成または天然ゴムは、キサンタンガム、トラガカントゴム、グアーガム、アカシアガム、アラビアガム、ローカストビーンガムまたはそれらの混合物であり、前記アクリルポリマーおよび/またはそのコポリマーは、メタクリル酸ポリマー、メタクリル酸コポリマー、アクリル酸ポリマー、アクリル酸コポリマー、ポリアクリルアミドまたはその混合物であり、前記デンプンは、マメデンプン、エンドウマメデンプンまたはそれらの混合物である、請求項10に記載の経口フィルム製剤。
前記放出制御マトリックスポリマーは、食用シリコーン、ポリアクリル酸、および、ポリアルケニルエーテルまたはジビニルグリコールで架橋されたアクリル酸のポリマーの1つまたはそれ以上から選択される粘膜付着性ポリマーである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の経口フィルム製剤。
前記放出制御マトリックスポリマーは、水、アセトンおよびアルコール可溶性ポリマーの2つまたはそれ以上の組み合わせを含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載の経口フィルム製剤。
前記経口フィルム製剤は、1つまたはそれ以上の矯味成分をさらに含み、前記矯味成分は、甘味剤、冷感剤、味覚受容体ブロッカーおよび香料の1つまたはそれ以上から選択さ
れる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の経口フィルム製剤。
前記甘味剤は、デキストロース、乳糖、フルクトース、マンニトール、スクロース、トレハロース、スクラロース、キシリトール、マンニトール、アスパルテーム、サッカリン、ソルビトール、ナトリウムサッカリン、シクラミン酸ナトリウム、アセスルファム、ハチミツ、イソマルト、マルトデキストリン、デキストリンおよびデキストレートの1つまたは以上であり、前記冷感剤はメントールであり、前記味覚受容体ブロッカーは、ポリエトキシル化ヒマシ油またはイオン交換樹脂の1つまたはそれ以上であり、前記香料は、メントール、ウインターグリーン、ペパーミント、スイートミント、スペアミント、バニリン、チェリー、バタースコッチ、チョコレート、シナモン、チョウジ、レモン、オレンジ、ラズベリー、バラ、香辛料、スミレ、薬草、果物、イチゴ、ブドウ、パイナップル、バニラ、ペパーミント、モモ、キーウィ、パパイヤ、マンゴー、ココナツ、リンゴ、コーヒー、プラム、スイカ、ナッツ、緑茶、グレープフルーツ、バナナ、バター、またはカモミールの精油または抽出物の1つまたはそれ以上である、請求項14に記載の経口フィルム製剤。
前記乳化剤は、ヒマシ油誘導体、セチルおよびパルミチルアルコール、エタノール、水添植物油、ポリビニルアルコール、シメチコン、ソルビタンエステル、モノステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ポロキサマー、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの1つまたはそれ以上から選択される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の経口フィルム製剤。
前記フィルム製剤は、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、グリセリン、トリアセチン、脱アセチル化モノグリセリド、ポリエチレングリコール、ジエチルサレートおよびクエン酸トリエチルから選択される、1つまたはそれ以上の可塑剤をさらに含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の経口フィルム製剤。
前記フィルム製剤は、食用顔料、染料、天然の食品用色素および合成着色剤から選択される、1つまたはそれ以上の着色剤をさらに含む、請求項1〜18のいずれか1項に記載の経口フィルム製剤。
前記フィルム製剤は、キレート剤、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、およびパルミチン酸アスコルビルから選択される、1つまたはそれ以上の酸化防止剤をさらに含む、請求項1〜19のいずれか1項に記載の経口フィルム製剤。
前記フィルム製剤は、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシルトルエン、パラベンおよびその誘導体、ソルビン酸およびその誘導体、安息香酸およびその誘導体、プロピオン酸およびその誘導体、ならびに酢酸およびその誘導体から選択される、1つまたはそれ以上の微生物防止剤をさらに含む、請求項1〜21のいずれか1項に記載の経口フィルム製剤。
前記フィルム製剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、胆汁酸塩、グリコデオキシコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、脂肪酸、シクロデキスト
リン、キレーター、クエン酸ナトリウム、ポリアクリレート、多糖ポリマーおよびカチオン性アミノ酸の1つまたはそれ以上から選択される透過促進剤をさらに含む、請求項1〜22のいずれか1項に記載の経口フィルム製剤。
前記アニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムおよび/またはラウリン酸ナトリウムであり、前記カチオン性界面活性剤は塩化セチルピリジウムであり、前記非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー、ポリオキシエチレン界面活性剤、ソルビタンモノラウレート、ポリエチレングリコール−100ステアレートおよび/またはポリソルベート20であり、前記脂肪酸は、オレイン酸および/またはカプリル酸であり;前記シクロデキストリンは、α−、β−、γ−シクロデキストリン、および/またはメチル化β−シルコデキストリンであり;前記キレーターは、エチレンジアミン四酢酸および/またはエチレングリコール四酢酸であり;前記多糖ポリマーは、キトサンおよび/またはトリメチルキトサンであり、前記カチオン性アミノ酸は、ポリ−L−アルギニンおよび/またはL−リジンである、請求項23に記載の経口フィルム製剤。
前記フィルム中の前記オピオイド作用薬の前記臨床有効量は、オピオイド依存症治療製剤の場合は2ミリグラム超;急性痛治療製剤の場合は約100〜400マイクログラム、慢性痛製剤の場合は1時間当たり約20〜70マイクログラムであり;
前記オピオイド拮抗薬の臨床有効量は、オピオイド依存症治療製剤の場合は0.5ミリグラム超;急性痛治療製剤の場合は約25〜100マイクログラム、および慢性痛治療製剤の場合は1時間当たり約5〜17.5マイクログラムの範囲の治療量以下の量である、請求項1〜24のいずれか1項に記載の経口フィルム製剤。
前記放出制御層は、すべて該放出制御層の重量に基づいて、放出制御マトリックスポリマーを約30.0〜70.0重量%の範囲の量で、前記マトリックスポリマー中に分散する腸溶放出ビーズを約5.0〜50重量%の範囲の量で、および有効量のpH調整剤を約3.0〜10.0重量%の範囲の量で含む、請求項1〜25のいずれか1項に記載の経口フィルム製剤。
前記任意選択による加工成分および/または香味マスキング成分を含むプレミックスを形成することをさらに含む、請求項30に記載の経口フィルム製剤を作製する方法。
慢性の関節炎、変形性関節症、急性腱炎、滑液包炎、頭痛、片頭痛、慢性の神経因性疼痛、帯状疱疹、月経前症候群、スポーツ損傷、悪性腫瘍の疼痛または物質乱用症候群を治療するための、請求項1〜29のいずれか1項に記載の経口フィルム製剤。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は一般に、さらに麻薬の悪用を妨げる剤形を使用する、患者のオピオイド依存または慢性もしくは急性痛の治療に関する。本発明は、経口で溶解可能なフィルム製剤(本明細書では経口ウェハ(oral wafer)とも呼ばれる)であって、公知のオピエートの錠剤およびフィルム、特にSUBOXONE(登録商標)錠剤およびフィルムと生物学的に同等の効果をもたらすが、活性成分が腸内に送達されることで効能がより長く持続するフィルム製剤を投与することによって、慢性/急性痛または麻薬依存を治療する方法を提供する。特に有利な実施形態では、本発明のフィルム製剤は、好ましくは使用者の口に口腔付着し、それにより投与後に取り除くことが困難なものとなり、さらに製品が悪用されることを妨げる。
【0012】
例示的な単層の本発明の経口フィルム製剤を、
図1に例示する。本発明の経口フィルム製剤(1)は一般に、臨床上有効な、すなわち治療量のオピオイド作用薬と、臨床上有効な、すなわち治療量以下の量のオピオイド拮抗薬とを腸溶放出させる、少なくとも1つの放出制御層(2)を含む。放出制御層を形成するのに使用される組成物(すなわち、放出制御組成物)は一般に、少なくとも1つの放出制御マトリックスポリマー(3)とその中に分散する腸溶放出ビーズ(4)とを含み、腸溶放出ビーズは、腸溶放出ポリマーシェル(7)内にくるまれた、オピオイド作用薬(5)とオピオイド拮抗薬(6)とを含む。理論に縛られることを望むものではないが、腸溶放出ポリマーシェル(7)は無定形であるために、
図1中に点線で示すように、ポリマーシェル(7)と放出制御マトリックスポリマー(3)の間には目に見えない明確な境界があり得ると本出願人は仮定する。放出制御組成物は、オピオイド作用薬および拮抗薬ならびに/またはそれらのそれぞれの塩がポリマーシェルに結合するように、オピオイド作用薬、拮抗薬および/またはそれらのそれぞれの塩のpKaより2.0〜3.0pH単位下のpHに該組成物を調整するのに有効な量のpH調整剤をさらに含む。
【0013】
経口フィルム製剤は、口腔に施用された時に崩壊してオピエートを含む腸溶放出ビーズを放出し、次いでそれが嚥下されて腸内で吸収されるように設計される。特に有利な実施形態では、本発明の経口フィルムストリップは特に、さらなる経口液体を必要とすることなく口腔の唾液で容易に分散して腸溶放出ビーズを放出し、それにより活性成分を患者の腸内で吸収させることができる。
【0014】
本発明の経口フィルムストリップのマトリックスを形成するのに使用される、唾液分散性および崩壊性の薄いフィルムは、口部もしくは口部内または口の粘膜上に施用するために平面状またはウェハ状の投与形態で使用されるものとして当技術分野で知られる、モノグラフに記される公知のいかなるフィルム形成材料であってもよい。本発明の経口フィルム製剤は一般に、薬理学的に許容される溶媒に注入された時に適切に強いフィルムを形成することができる、少なくとも1つのアセトン可溶性、アルコール可溶性ならびに/または水溶性および/もしくは水分散性のフィルム形成ポリマー、特に少なくとも1つの唾液可溶性および/または唾液分散性のフィルム形成ポリマーを含む。
【0015】
放出制御マトリックスポリマーはこのように、経口溶解性/分散性であるか、または経口的に消費可能で胃で溶解もしくは膨潤する、任意の水、アセトンおよび/またはアルコール可溶性または膨潤性の、医薬品グレードのポリマーから形成することができる。放出制御マトリックスポリマーはまた、かかる水、アセトンおよびアルコール可溶性または膨潤性のポリマーの2つまたはそれ以上の組み合わせから形成されてもよい。放出制御マトリックスポリマーは、製造、保管などの間は剤形に密着するが、投与後に十分に溶解、膨潤または崩壊して、腸内吸収させるオピオイド作用薬および拮抗薬を含む腸溶放出ビーズを放出する。
【0016】
放出制御マトリックスポリマーとしての使用に適した非限定的な例示的なポリマーには、セルロースおよび/またはその誘導体;合成または天然ゴム、アクリルポリマーおよび/またはそのコポリマー、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレングリコール、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カラギーナン、アルギン酸および/またはその塩、カルボキシビニルポリマー、ペクチンおよび/またはその誘導体、キサンタンガムおよび/またはその誘導体、ならびにデンプンおよび/またはその誘導体の1つまたはそれ以上が含まれる。
【0017】
本発明の経口フィルムストリップの形成における使用に適した例示的なセルロース誘導体には、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、およびそれらの混合物が含まれる。特に有利な実施形態では、本発明の経口フィルムストリップは、ナトリウムカルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび/またはヒドロキシプロピルセルロースの混合物から形成される。一般にセルロースガムと称されるナトリウムカルボキシメチルセルロースは、Ashland Inc.(ケンタッキー州コビントン)からAQUALON(登録商標)CMC−7LFナトリウムカルボキシメチルセルロース(「CMC」)として市販されるものを含め、幾つもの供給業者のいずれかから市販品として入手可能である。ヒプロメロースとも称されるヒドロキシプロピルメチルセルロース(「HPMC」)は、Dow Chemical Company(ミシガン州ミッドランド)からMETHOCEL(登録商標)として、Ashland,Inc.(ケンタッキー州コビントン)からBENECEL(登録商標)として、およびShin−Etsu Chemical Col,Ltd.(日本、東京)からPHARMACOAT(登録商標)として、および同様にShin Etsu Chemical Co.Ltd(日本、東京)からMETOLOSE(登録商標)として市販されるものを含め、幾つもの供給業者から市販される。ヒドロキシプロピルセルロース(「HPC」)は、Hercules Incorporated(デラウェア州ウィルミントン)からKLUCEL(登録商標)として市販される。
【0018】
有利には、本発明の経口フィルム製剤には、より低粘度のセルロース誘導体とより高粘度のセルロース誘導体を両方含むフィルム形成混合物が組み込まれる。本発明の経口フィルムストリップには、例えば、より低粘度のHPMCとより高粘度のHPMCとの混合物が組み込まれてもよい。より低粘度のセルロース誘導体の例示的な範囲は約1.5〜25mPasであり、例えば約2〜20mPas、特に約3mPasである。より高粘度のセルロース誘導体の例示的な範囲は、約25mPasより大きく100mPasまで、例えば約40〜80mPas、特に約50mPasである。粘度が3mPasであるHPMCは、PHARMACOAT(登録商標)603として市販されており、粘度が50であるHPMCは、METOLOSE(登録商標)60 SH50として市販されている。より低粘度のセルロース誘導体は一般に、より高粘度のセルロース誘導体より多い量でフィルム形成混合物中に存在する。より低粘度のセルロース誘導体は、より高粘度のセルロース誘導体に対して任意の有効な重量比でフィルム形成混合物中に存在してもよく、例えば、約1.5:1〜6:1、特に約2.0:1〜4:1、例えば約3:1(より低粘度のセルロース誘導体:より高粘度のセルロース誘導体)の範囲の重量比で存在してもよい。
【0019】
特に好都合な実施形態では、ナトリウムカルボキシメチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースとの混合物がフィルム形成材料またはマトリックスとして使用されるが、それは、この混合物が、優れたフィルム形成能、経口フィルムストリップの取扱適性、有益な口当たり、ならびに溶解時間の速さのいずれも有することが確定しているからである。合理的に薄いフィルムに対して望ましい溶解時間および口当たりをもたらし、さらに許容される製品取扱適性を付与するような、特定のナトリウムカルボキシメチルセルロース対ヒドロキシプロピルメチルセルロース比が選択される。理論に縛られることを望むものではないが、出願人は、カルボキシメチルセルロースは口内での溶解し易さおよびしっかりした口当たりを付与し、一方ヒドロキシプロピルメチルセルロースは機械的強度の向上、特に引裂き強度の向上を付与すると仮定する。
【0020】
放出制御マトリックスポリマーとしての使用に例示的な合成または天然ゴムには、キサンタンガム、トラガカントガム、グアーガム、アカシアガム、アラビアガム、ローカストビーンガムまたはそれらの混合物が含まれる。本発明の放出制御マトリックスポリマーとしての使用に許容されるデンプンには、マメデンプン、エンドウマメデンプンまたはそれらの混合物が含まれる。
【0021】
放出制御マトリックスポリマーとして使用されてもよい例示的なアクリルポリマーおよび/またはコポリマーには、メタクリル酸ポリマー、メタクリル酸コポリマー、アクリル酸ポリマー、アクリル酸コポリマー、ポリアクリルアミドまたはそれらの混合物が含まれる。
【0022】
とりわけ有利な実施形態では、放出制御マトリックスポリマーは、粘膜付着性ポリマーである。例示的な粘膜付着性ポリマーには、食用のシリコーン、ポリアクリル酸、ならびに架橋したアクリル酸ポリマー、コポリマーおよびインターポリマーの1つまたはそれ以上が含まれる。架橋したアクリル酸のポリマーは、Lubrizol Corp.(OH、ウィックリフ)からCARBOPOL(登録商標)ポリマーとして市販される。
【0023】
放出制御マトリックスポリマーは、放出制御層の重量に基づいて、典型的には約30〜70wt%、例えば約40〜60wt%、特に約45〜55wt%の範囲の量で放出制御層内に存在する。考察を容易にするために、用語「放出制御層」は、本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、乾燥後の、すなわち放出制御層の形成に使用される相当量の(全部とまでいかなくても)溶媒を除去した時の放出制御層を指す。対照的に、用語「放出制御層組成物」は、そうでないと指示しない限り、放出制御マトリックスポリマー、腸溶放出ビーズ、任意選択による添加剤および溶媒を含む混合物、すなわち、乾燥前の混合物を指す。
【0024】
本剤形は、米国薬局方−国民医薬品集の中で許容されると示される任意の非水溶性オピオイド作用薬の持続放出に適する。放出制御組成物中に含まれてもよい非限定的な例示的なオピオイド作用薬には、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アンフェプラモン、アンフェタミン、アンフェタミニル、アニレリジン、アポコデイン、アポモルフィン、アシマドリン、アキソマドール、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブレマゾシン、ブリフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、カルフェンタニル、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、シクロルファン、シプレノルフィン、シプロジム、デルトルフィン、デソモルフィン(desomorpine)、デキストロルファン、デキストロモラミド、デキストロプロポキシフェン、デゾシン、ジアモルフィン、ジアモルホン(diamorphone)、ジアンプロミド、ジアセチルモルフィン、ジヒドロコデイン、ジヒドロコデイノン、ジヒドロエトルフィン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェタモール(dimephetamol)、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキシアフェチルブチレート(dioxyaphetyl butyrate)、ジフェノキシレート、ジピパノン、ジプレノルフィン、ドロナビノール、Met−エンケファリン、Leu−エンケファリン、ジノルフィンA、ジノルフィンB、β−エンドルフィン、エプタゾシン、エンドルフィン、エトヘプタジン、14−メトキシメトポン、エチルケトシクラゾシン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルフィン、エトニタゼン、エトルフィン、エキストロモラミド(extromoramide)、フェンカンファミン、フェネチリン、フェンプロポレックス、フェンタニル、α−メチルフェンタニル、ベータ−フナルトレキサミン、β−ヒドロキシ−3−メチルフェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロモルホドン(hydromorphodone)、ヒドロキシメチルモルフィナン(hydroxymethylmorphinan)、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、キョートルフィン、レボ−α−アセチルメタドール、レバセチルメタドール、レバロルファン、レボメタドン、レボメタジル酢酸エステル、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、ロフェキシジン、ロペラミド、マルブフィン(malbuphine)、マジンドール、メフェノレックス、メペリジン、メプロバメート、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、メチルジヒドロモルフィン、メチルジヒドロモルフィノン、メチルモルフィン、メチルナルトレキソン、メチルフェニデート、メチプリロン、メトポン、ミルフェンタニル、モダフニル、モルフィセプチン、モルフィナン、モルフィン、ミロフィン、ナビロン、ナルブフェン(nalbuphene)、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナロキソンベンゾイルヒドラゾン、ナルトレキソン、ナルトリベン、ナルトリンドール、ナルトリンドールイソチオシアネート、ナルセイン、ナトブフィン(natbuphine)、ニコモルフィン、ノル−ビナルトルフィミン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ノルモルフィン、ノルピパノン、ノスカピン、オーメフェンタニル、o−メチルナルトレキソン、アヘン、オニタゼン(onitazene)、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、パパベリン、パレゴリック、ペモリン、ペルノリン(pernoline)、ペンタゾシン、ペチジン、フェンジメトラジン、フェンジメトラゾン(phendimetrazone)、フェンメトラジン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、フォルコディン、ピミノジン、ピプラドロール、ピリトラミド、プレノルフィン、プロファドール、プロペリジン、プロフェプタジン(propheptazine)、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、プロピルヘキセドリン、レミフェンタニル、スピラドリン、スフェンタニル(sufentanil)、スフェンタニル(sufentanyl)、タペンタドール、テバイン、トラマドール、トレフェンタニル、チリジン、ビミノールもしくはそれらの塩、または、フェナントレン、モルフィナン、ベンゾモルファン、メタドン、フェニルピペリジン、プロピオンアニリド 4−アニリドピペリジン、4−アリールピペリジン、および4−ヘテロアリールピペリジンクラスのオピオイドの1つまたはそれ以上が含まれる。オピオイド作用薬は、その遊離塩基の形態で存在しても、もしくは塩、プロドラッグ、エステル、類似体、誘導体、溶媒和物、錯体、多形体、水和物、ラセミ体の形態で存在しても、または個々のジアステレオ異性体および/またはそれらのエナンチオマー異性体ならびにそれらのそれぞれのグルクロニド誘導体として存在してもよい。特に有利な実施形態では、オピオイド作用薬は、ブプレノルフィンおよび/または薬学的に許容されるその塩である。考察を容易にするために、用語「作用薬」は、本明細書で使用される場合、そうでないと述べられていない限り、作用薬および/または医薬として許容されるその塩の両方を含む。
【0025】
さらに、本明細書で使用される場合、用語「非水溶性」(または他の極性溶媒不溶性)は、水(または他の特定の極性溶媒)中での溶解性が10mg/ml未満、例えば水(または他の特定の極性溶媒)中での溶解性が1mg/ml未満、特に水(または他の特定の極性溶媒)中での溶解性が100μg/ml以下である、材料または成分、例えば、作用薬、拮抗薬、腸溶性ポリマーなどを指す。
【0026】
オピオイド作用薬は、放出制御組成物中に治療有効量で存在する。オピエート依存症を治療することが意図される本発明の製剤の場合のオピオイド作用薬の例示的な治療有効量には、2ミリグラム超;例えば製剤当たり約2mg〜約16mg、特に製剤当たり約4mg〜約12mgが含まれる。非オピオイド耐性者の急性痛を制御することが意図される製剤の場合のオピオイド作用薬の例示的な治療有効量は、約100〜400マイクログラムの範囲であり、例えばおよそ200マイクログラムである。慢性痛を制御することが意図される製剤の場合のオピオイド作用薬の例示的な治療有効量は、製剤当たり1時間につき約20〜70マイクログラムの範囲である。
【0027】
本剤形は同様に、オピオイド作用薬と併せて使用するための、米国薬局方−国民医薬品集の中で許容されると示される任意の非水溶性オピオイド拮抗薬の持続放出に適する。放出制御組成物中に含まれてもよい非限定的で例示的なオピオイド拮抗薬には、アラゾシン、アミフェナゾール、ブトルファノール、クロルナルトレキサミン、クロシンナモックス、シクラザシン(cyclazacine)、シクラゾシン、シクロルファン、シプレノルフィン、ジプレノルフィン、エタゾシン、β−フナルトレキサミン、レバロルファン、メプタジノール、メタゾシン、ナジド、ナルブフィン、ナリド(nalide)、ナルメフェン、ナルメフェン ジプレノルフィン、ナルメキソン、ナロルフィン、ナロルフィンジニコチネート、ナロキソン、6−アミノ−ナロキソン、N−メチルナロキソン、ノル−ビナルトルフィミン、ナルトレンドール(naltrendol)、ナルトレキソン、6−アミノ−ナルトレキソン、7−ベンジリデンナルトレキソン、N−メチルナルトレキソン、ナルトリンドール、ナルフィン(naluphine)、オキシロルファン、ペンタゾシン、ピペリジン−N−アルキルカルボキシレートオピオイド拮抗薬、およびオピオイド拮抗薬ポリペプチドの1つまたはそれ以上が含まれる。
【0028】
オピオイド拮抗薬は、その遊離塩基の形態で存在しても、もしくは塩、プロドラッグ、エステル、類似体、誘導体、溶媒和物、錯体、多形体、水和物、ラセミ体の形態で存在しても、または個々のジアステレオ異性体および/またはそれらのエナンチオマー異性体ならびにそれらのそれぞれのグルクロニド誘導体として存在してもよい。特に有利な実施形態では、オピオイド拮抗薬はナロキソンおよび/または薬学的に許容されるその塩である。考察を容易にするために、用語「拮抗薬」は、本明細書で使用される場合、そうでないと述べられていない限り、拮抗薬および/または薬学的に許容されるその塩の両方を含む。
【0029】
オピオイド拮抗薬は一般に、放出制御組成物中に臨床上有効な量で存在する。用語「臨床有効量のオピオイド拮抗薬」は、経口投与された時の治療量以下の量のオピオド拮抗薬を指し、すなわち、オピオド拮抗薬は、経口経路を介して相当な治療効果を誘発しないこととなる。用語「臨床有効量のオピオイド拮抗薬」は、より詳細には、本発明のフィルム製剤の悪用、例えば活性成分を抽出した後に静脈注射することによる悪用を有効に抑止するために可能なまたは従来的に使用される、最小量のオピオド拮抗薬を意味する。したがって、用語「臨床有効量のオピオイド拮抗薬」は、本明細書で使用される場合、経口では十分に有効でない用量であるが、本発明のフィルム製剤の乱用を抑止するのに静脈注射では十分に有効な用量のオピオイド拮抗薬を指す。
【0030】
オピオイド拮抗薬は一般に、オピオイド作用薬より相当に少ない量で存在する。従来の製剤は、オピオイド拮抗薬を、約6:1〜2:1の作用薬対拮抗薬の重量比で、例えば約4:1(作用薬:拮抗薬)の重量比で含む場合がある。
【0031】
オピエート依存症を治療することが意図される本発明の製剤中のオピオイド拮抗薬の例示的な臨床有効量には、製剤当たり0.5ミリグラム超の拮抗薬、例えば製剤当たり約0.5〜約4mg;特に製剤当たり約1mg〜約3mgが含まれてもよい。非オピオイド耐性者の急性痛を制御することが意図される製剤の場合のオピオイド拮抗薬の例示的な臨床有効量は、製剤当たり約25〜100マイクログラムの範囲であり、例えば製剤当たりおよそ50マイクログラムである。慢性痛を制御することが意図される製剤の場合のオピオイド拮抗薬の例示的な臨床有効量は、製剤当たり1時間につき約5〜17.5マイクログラムの範囲である。医療施設内だけで投与される本発明の製剤などのさらなる代替実施形態では、本発明の製剤はオピオイド拮抗薬を含まなくてもよい。
【0032】
特に、作用薬がブプレノルフィンであり、拮抗薬がナロキソンである有利な実施形態の場合、本発明の経口フィルム製剤は、市販されるSUBOXONE(登録商標)製品と生物学的に同等の結果、例えば生物学的に同等の放出を有利にもたらす。よって、本発明の経口フィルム製剤は、市販されるSUBOXONE(登録商標)錠剤と生物学的に同等の結果をもたらすようにAUC値を有利に示す。その点に関して、経口フィルム製剤組成物は、作用薬および拮抗薬の各々について、市販されるSUBOXONE(登録商標)錠剤と生物学的に同等の放出をもたらすCmax値および/またはAUCinf値をもたらすように、すなわち市販製品中の所与の活性成分のCmax値およびAUC値の80%〜125%をもたらすように製造されてもよい。例えば、有利な実施形態において、経口フィルム製剤は、作用薬のCmaxが0.624〜0.975ng/ml、例えば作用薬のCmaxが約6.4ng/ml、かつ作用薬のAUC値が5.431〜8.486hr
*ng/mlであり、それと共に、対応する拮抗薬のCmaxが約400pg/ml未満、かつ拮抗薬のAUCinf値が約1030hr
*pg/ml未満であるin vivo血漿特性をもたらすように合わせられてもよい。
【0033】
オピオイド作用薬およびオピオド拮抗薬(以下、併せて「活性成分」と称することもある)は、放出制御マトリックスポリマーに懸濁する腸溶放出ビーズ中に存在する。腸溶放出ビーズは、腸内で活性成分が腸溶放出ポリマーから放出されるまでそれらを保護する少なくとも1つの腸溶放出ポリマー中に活性成分がコーティングされる、懸濁されるおよび/または溶解されることによって形成される。以下でさらに詳細に考察するように、最初に活性成分が溶媒に溶解され、その溶媒に腸溶放出ポリマーおよび任意選択による助剤が添加され、その後腸溶放出ビーズが収集される(harvest)。考察を容易にするために、用語「腸溶放出ビーズ」は、本明細書で使用される場合、別段の指示がない限り、収集後の、すなわち相当量の(全部とまでいかなくても)腸溶放出ビーズ溶媒を除去した時の腸溶放出ビーズを指す。対照的に、用語「腸溶放出ビーズ組成物」は、そうでないと指示しない限り、腸溶放出ポリマー、作用薬、拮抗薬、任意選択による助剤および溶媒を含む混合物、すなわち、ビーズ収集前の混合物を指す。さらに、考察を容易にするために、用語「コーティングする」および「封入する」は、そうでないと指示しない限り、等価語と解釈されるべきである。
【0034】
有利には、同一の腸溶放出ポリマーまたは腸溶放出ポリマーブレンドが、オピオイド作用薬とオピオイド拮抗薬との両方をコーティングするために使用される。代替実施形態では、オピオイド作用薬とオピオイド拮抗薬とは、異なる腸溶放出ポリマーまたはポリマーブレンドでコーティングされてもよい。
【0035】
収集された腸溶放出ビーズは一般に、コア/シェルまたはコア/アイランド構造体を有し、腸溶放出ポリマーが、オピオイド作用薬および/またはオピオド拮抗薬から形成される1つまたはそれ以上のコアまたはアイランドの周りにシェルまたはコーティングを形成する。シェルは、典型的には活性成分をくるむまたは包み、活性成分の表面積の少なくとも50%が腸溶放出ポリマーによって形成されるシェルによって覆われるまたはシェルの中に配置されるようにする。有利な実施形態では、活性成分の表面積の少なくとも75%、特に活性成分の表面積の100%が、腸溶放出ポリマーによって形成されるシェルまたはコーティングによって覆われるまたはその中に配置される。所与の腸溶放出ビーズは、オピオイド作用薬、オピオイド拮抗薬のいずれかを含んでもよく、または有利な実施形態では、オピオイド作用薬とオピオイド拮抗薬の混合物を含んでもよい。
【0036】
活性成分をコーティングする腸溶放出ポリマーとしての使用に適したポリマーには、米国薬局方−国民医薬品集の中で活性成分を胃および/または腸に送達するためのコーティングとして許容されると示される、任意の非水溶性ポリマーが含まれる。腸溶性ポリマーの少なくとも一部がセルロース、ビニルまたはアクリル誘導体から形成され、それらは胃液に見られる低い方のpHでは不溶性であるかほどほどにしか可溶性でないが、腸液に見られる高い方のpHでは容易に溶解、湿潤、または浸透可能なので、大部分の(すなわち、少なくとも50%)の活性成分を腸液中に拡散させることができる。所定のpHで特定の溶解特性を有する腸溶放出ポリマー構成成分またはポリマーブレンド構成成分を選択すれば、腸溶放出ポリマーコーティングを用いることで、コーティングされた活性成分の全体とまではいかなくても大多数が胃を通過できるようになり、続いてコーティングがより可溶性になるおよび/または透過性になるために活性成分を腸内で放出することができることを出願人は見出した。本明細書で使用される場合、腸溶放出ポリマーという用語には、約5より下のpHの液体で溶解するポリマー、例えば胃液のpHで溶解するポリマーが含まれ、考察を容易にするためだけに述べると、こうしたポリマーは一般に、全腸溶放出ポリマーブレンドの中で、少なくとも大部分の活性成分を腸内で放出することを意図した構成成分として使用されるからである。
【0037】
特に有利な実施形態では、腸溶放出ポリマーはブレンドまたは混合物であり、例えば、低い方のpHで可溶性の1つまたはそれ以上の腸溶放出ポリマーと、高い方のpHで可溶性の1つまたはそれ以上の腸溶放出ポリマーとを含むブレンドまたは混合物である。低い方のpHで可溶性の腸溶放出ポリマーは、約5より下のpH、例えば約4.5未満のpH、特に約1〜2の範囲のpH(例えば胃液のpH)の液体に可溶であり得る。高い方のpHで可溶性の腸溶放出ポリマーは、約5.5より上のpH、例えば約6.0より上のpH、特に約7.0より大きく約8.5までのpH(例えば腸液のpH)の液体に可溶であり得る。かかる有利な実施形態では、低い方のpHで可溶性の腸溶放出ポリマーが胃液中で溶解するので、製造する間および摂取される間は活性成分を保護するにもかかわらず、残る薄くなった腸溶放出ポリマーコーティング、すなわち高い方のpHで可溶性の腸溶放出ポリマーに、腸内で大部分の(全部とまでいかなくても)活性成分をより容易に放出させることができる。低い方のpHで可溶性の腸溶放出ポリマーと高い方のpHで可溶性の腸溶放出ポリマーを含むブレンドの例示的な重量比は、典型的には、1:10〜10:1(低い方のpHで可溶性の腸溶放出ポリマーの重量:高い方のpHで可溶性の腸溶放出ポリマーの重量)の範囲であり、例えば約1:5〜5:1、特に1:1である。
【0038】
活性成分のコーティング/封入における使用に適した例示的な腸溶放出ポリマーには、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、およびポリメタクリレートコポリマーの1つまたはそれ以上が含まれる。特に有利な実施形態では、腸溶放出ポリマーはポリメタクリレートコポリマーであり、詳細には、(i)ジメチルアミノエチルメタクリレートおよび他の中性メタクリル酸エステルから誘導されるカチオン性ポリメタクリレートコポリマーと(ii)メタクリル酸およびアクリレートから誘導されるアニオン性ポリメタクリレートコポリマーとを含む、ポリメタクリレートコポリマーのブレンドまたは混合物である。かかる有利な実施形態では、カチオン性ポリメタクリレートコポリマーは、部分的にまたは完全に胃内で(例えば約5より下のpHで)溶解することができ、残るアニオン性ポリメタクリレートコポリマーは、続いて腸内で(例えば約7.0より上のpHで)溶解する。
【0039】
例示的なカチオン性ポリメタクリレートコポリマーには、ポリ(メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2−ジメチルアミノエチル)、メタクリル酸メチルコポリマーが含まれる。それぞれのモノマー比が1:2:1であるポリ(メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2−ジメチルアミノエチル)、メタクリル酸メチルコポリマーは、Evonik Rohm GmbH(ドイツ、ダルムシュタット)からEUDRAGIT(登録商標)Eとして商業的である。
【0040】
例示的なアニオン性ポリメタクリレートコポリマーには、メタクリル酸とメタクリル酸メチルまたはアクリル酸エチルのいずれかとから誘導されるコポリマーが含まれる。とりわけ好都合な実施形態では、メタクリル酸とメタクリル酸メチルまたはアクリル酸エチルのいずれかとから誘導されるアニオン性ポリメタクリレートコポリマーは、メタクリル酸対メタクリル酸メチルまたはアクリル酸エチルのモノマー比が1:1または1:2のいずれかである。メタクリル酸対メタクリル酸メチルまたはアクリル酸エチルのモノマー比が1:1であるアニオン性ポリメタクリレートコポリマーは、Evonik Rohm GmbH(ドイツ、ダルムシュタット)からEUDRAGIT(登録商標)Lとして市販されている。メタクリル酸対メタクリル酸メチルのモノマー比が1:2であるアニオン性ポリメタクリレートコポリマーは、Evonik Rohm GmbH(ドイツ、ダルムシュタット)からEUDRAGIT(登録商標)Sとして市販されている。
【0041】
腸溶放出ポリマーは、典型的には、腸溶放出ビーズの重量に基づいて約5〜60wt%、例えば約10〜40wt%、特に約15〜30wt%の範囲の量で腸溶放出ビーズ中に存在する。腸溶放出ポリマーがカチオン性ポリメタクリレートコポリマーとアニオン性メタクリレートコポリマーとのブレンドである有利な実施形態では、カチオン性コポリマーおよびアニオン性コポリマーは一般に、カチオン性ポリマー対アニオン性ポリマー重量比が約10:1〜1:10の範囲で、例えば1:1で存在する。
【0042】
オピオイド作用薬および/またはその塩は一般に、腸溶放出ビーズの重量に基づいて約10〜90wt%、例えば約20〜80wt%、特に約30〜70wt%の範囲の量で腸溶放出ビーズ中に存在する。
【0043】
オピオイド拮抗薬および/またはその塩は一般に、オピオイド作用薬よりはるかに少ない量で、例えば腸溶放出ビーズの重量に基づいて約1〜30wt%、例えば約5〜25wt%、特に約10〜20wt%の範囲の量で腸溶ビーズ組成物中に存在する。
【0044】
腸溶放出ポリマーまたは腸溶放出ビーズ組成物は、当業者に知られる任意の従来の添加剤または助剤を、場合によりさらに含んでもよい。
【0045】
腸溶放出ポリマーまたは腸溶放出ビーズシェル組成物は、少なくとも1つのビーズ安定剤、可塑剤または乳化剤の1つまたはそれ以上をさらに含んでもよい。
【0046】
例示的なビーズ安定剤には、腸溶放出ビーズが形成されるおよび/または収集される時にそれらの集塊および/または凝集を低減するまたは解消する任意の化合物またはポリマーが含まれる。適切なビーズ安定剤には、セルロースおよび/またはセルロース系誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースなどが含まれ、腸溶放出ビーズの集塊を実質的にまたは完全に解消する量で存在する。ビーズ安定剤としての使用に特によく適したShin Etsu Chemical Co.Ltd(東京)製のMETOLOSE(登録商標)60 SH 50は、約28.0〜30.0%の範囲のメトキシ含有量および7.0〜12.0%の範囲のヒドロキシプロポキシ含有量を有する。典型的なビーズ安定剤の量は、腸溶放出ビーズの重量に基づいて約1〜10wt%、例えば3〜7wt%の範囲であり、特に約4wt%である。
【0047】
例示的な可塑剤には、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、グリセロリン、トリアセチン、ジアセチル化モノグリセリド、ポリエチレングリコール、ジエチルサレートおよびクエン酸トリエチルの1つまたはそれ以上が含まれる。
【0048】
例示的な乳化剤には、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80の1つまたはそれ以上が含まれる。従来の添加剤または助剤が、当業者に公知の従来の量で、例えば腸溶放出ビーズの重量に基づいて約1〜10wt%の範囲の量で腸溶放出ビーズ中に存在してもよい。
【0049】
腸溶放出ビーズは、放出制御層の重量に基づいて、典型的には約5〜50wt%、例えば約10〜45wt%、特に約20〜40wt%の範囲の量で放出制御層中に存在する。
【0050】
腸溶放出ビーズは、薬物製品におけるビーズサイズに関するFDAの一般的な推奨に適合する、2.5mmまでの目標ビーズサイズ(すなわち平均直径)であって、このサイズを超えて10%より大きく変動せず、最大サイズが2.8mmまでである目標ビーズサイズをさらに有利に有してもよい。その点に関して、FDAは、前述のサイズを有するビーズであれば、患者に噛みたいという衝動を促すことなく嚥下させることができることを示している。特に有利な実施形態では、腸溶放出ビーズの範囲はかなり小さく、直径または幅におけるサイズは約5〜400ミクロン、例えば約10〜200ミクロンの範囲である。腸溶ビーズはその外形において限定されず、一般に、球形、丸みのある無定形、多角形または任意の他の形状であってもよい。
【0051】
腸溶ビーズは、全部とまでいかなくても大部分の活性成分を腸液中に放出する。その点に関して、腸溶放出ビーズは、pH7.4、すなわち腸液に見られる状態を反映するpHの水溶液中で、約5分以内に活性成分の少なくとも50wt%、例えば少なくとも75wt%、好ましくは100wt%を放出する。腸溶放出ビーズは、それより下のpH内でそれより相当に少ない活性成分を放出し、例えば50wt%未満、好ましくは25wt%未満、特に好ましくは約20wt%未満を約5分以内にpH4.5の水溶液中で放出する。有利には、腸溶放出ビーズは、胃内に見られる極めて低いpH、すなわち約1〜2の範囲のpHで最小限の活性成分を放出するまたは活性成分を放出せず、例えば、5分以内にpH2の水溶液中で5wt%未満、好ましくは2wt%未満、より好ましくは約1wt%未満の放出である。それより好ましくない代替実施形態において、かかる実施形態の必要性が生じた場合、「腸溶放出」配合物は、全部とまでいかなくても大部分の活性成分を胃内で放出するように形成されることもできると想定される。
【0052】
放出制御層は、放出制御組成物のpHをオピオイド作用薬およびオピオイド拮抗薬のpKaより約2.0〜3.0単位下に下げて、オピオド作用薬およびオピオイド拮抗薬を腸溶放出ポリマーに結合させるために、少なくとも1つのpH調整剤も含む。放出制御組成物に組み込むのに適したpH調整剤の量は、当業者によって、例えばヘンダーソン−ハッセルバルヒ式を使用して容易に決定することができる。例示的なオピオイド作用薬であるブプレノルフィンのpKaは、約8.31であることが分かっている。例示的なオピオイド拮抗薬であるナロキソンのpKaは,約7.94だと言われている。したがって、pH調整剤は一般に、約4.94〜6.31の範囲のpH、例えば約5.0〜6.0のpHを、放出制御組成物および/または放出制御層に付与するのに有効な量で存在する。典型的には、pH調整剤は、放出制御層の重量に基づいて約3.0〜10.0wt%、例えば4〜9wt%、特に約4.5〜8wt%の範囲の量で存在する。例示的なpH調整剤には、医薬品における使用に適した、モノグラフに記される任意のpH調整剤、例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸、酒石酸、酒石酸ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウムなどの1つまたはそれ以上が含まれる。
【0053】
有利な実施形態では、本発明のフィルム製剤、特に放出制御層(およびそれを形成するために使用される組成物)は、矯味成分、乳化剤、可塑剤、着色剤、酸化防止剤、微生物防止剤、透過促進剤の1つまたはそれ以上から選択される、任意選択による添加剤をさらに含む。
【0054】
とりわけ有益な実施形態では、矯味成分は、活性成分に関連する後を引くいかなる不快な味も完全に遮断する。例示的な矯味成分には、甘味剤、香味剤、冷感剤、および味覚受容体ブロッカーの1つまたはそれ以上が含まれる。とりわけ好都合な実施形態では、複数の構成成分が第2の矯味組成物またはブレンド中に含まれる。
【0055】
例示的な甘味剤には、デキストロース、乳糖、フルクトース、マンニトール、スクロース、トレハロース、スクラロース、キシリトール、マンニトール、アスパルテーム、サッカリン、ソルビトール、ナトリウムサッカリン、シクラミン酸ナトリウム、アセスルファム、ハチミツ、イソマルト、マルトデキストリン、デキストリン、デキストレートおよびそれらの混合物を含めた、モノグラフに記される任意の甘味剤が含まれる。甘味剤は、放出制御層中に任意の有効量で、例えば放出制御層の重量に基づいて約0〜3wt%、例えば約0.5〜1.5wt%で含まれてもよい。
【0056】
例示的な香味剤には、メントール、ウインターグリーン、ペパーミント、スイートミント、スペアミント、バニリン、チェリー、バタースコッチ、チョコレート、シナモン、チョウジ、レモン、オレンジ、ラズベリー、バラ、香辛料、スミレ、薬草、果物、イチゴ、ブドウ、パイナップル、バニラ、ペパーミント、モモ、キーウィ、パパイヤ、マンゴー、ココナツ、トゥッティフルッティ、リンゴ、コーヒー、プラム、スイカ、ナッツ、緑茶、グレープフルーツ、バナナ、バター、カモミール、マスキング香料の様々な精油または抽出物およびそれらの混合物を含めた、米国薬局方−国民医薬品集の中で許容されると示される任意の香味剤が含まれる。とりわけ有益な実施形態では、放出制御層には、ライム、トゥッティフルッティ、チェリー、ウインターグリーン、スペアミント、ペパーミントおよびオレンジから選択される1つまたはそれ以上の香味剤が組み込まれる。適切な医薬品グレードの香味剤は、幾つもの供給業者のいずれかから入手できる。香味料としてのそれらの使用に加えて、前述の香味剤の幾つかは清涼化剤(cooling agent)としての機能も果たすことができる。
【0057】
香味剤は、放出制御層中に任意の有効量で、例えば放出制御層の重量に基づいて約1.0〜5.0重量%、例えば約2.0〜3.0wt%で含まれてもよい。
【0058】
マスキング香料も、特にさらなる香味剤と組み合わせて放出制御層中に組み込まれてもよい。マスキング香料は、Firmenich(スイス、ジェノバ)を含めた幾つもの供給業者から市販されている。マスキング香料は、任意の有効量で、例えば放出制御層の重量に基づいて約0〜約2.5wt%で含まれてもよい。
【0059】
1つまたはそれ以上の冷感剤も、活性成分に関連するいかなる灼熱感、特に後を引くいかなる灼熱感も弱めるまたは完全に解消するために放出制御層中に含まれてもよい。例示的な冷感剤には、メントール、ウインターグリーン、ペパーミント、スイートミント、スペアミントの精油または抽出物およびそれらの混合物が含まれる。冷感剤は、任意の有効量で、例えば、放出制御層の重量に基づいて約0〜約5.0重量%、例えば約1.0〜3.0重量%の有効量で含まれてもよい。
【0060】
1つまたはそれ以上の味覚受容体ブロッカーも、放出制御層中に有利に含まれてもよい。例示的な味覚受容体ブロッカーには、モノグラフに記される任意の味覚受容体ブロッカーが含まれる。好都合な実施形態では、本発明の経口フィルムストリップは、味覚受容体ブロッカーとしてPEG−40水添ヒマシ油を含む。PEG−40 Hyrdrogenated Castor Oilは、BASF SE(ドイツ、ルートヴィヒスハーフェン)からCREMOPHOR(登録商標)として市販されている。
【0061】
味覚受容体ブロッカーは、任意の有効量で、例えば、放出制御層の重量に基づいて約0.0〜約6.5重量%、特に約0.30〜4.50wt%の有効量で放出制御層中に含まれていてもよい。
【0062】
放出制御層は、少なくとも1つの乳化剤を追加的に有益に含むことができる。モノグラフに記される任意の周知の水溶性乳化剤が、本発明の経口フィルムストリップでの使用に適している。適切な乳化剤の例には、それだけには限らないが、ヒマシ油誘導体、セチルおよびパルミチルアルコール、エタノール、水添植物油、ポリビニルアルコール、シメチコン、ソルビタンエステル、モノステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ポロキサマー、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステルおよびそれらの混合物が含まれる。
【0063】
乳化剤は、任意の有効量で、例えば放出制御層の重量に基づいて約0〜2.25wt%、特に0.50〜1.50wt%の範囲の量で放出制御層中に含まれてもよい。
【0064】
本発明の経口フィルム製剤中、特に放出制御層中に組み込むのに適した追加的な補助的構成成分には、それだけには限らないが、次の薬学的に許容可能な賦形剤:粘膜に結合させるための生体付着剤(粘膜付着剤とも称される)、着色料、安定化剤、酸化防止剤、充填剤、透過促進剤、可塑剤および微生物防止剤の1つまたはそれ以上が含まれる。かかる補助的構成成分は、所与の構成成分について当業者によって従来通りとみなされる量で本発明の経口フィルムストリップ中に含まれる。
【0065】
粘膜付着剤は、当技術分野で公知であるように、口腔粘膜、例えば頬、口蓋または舌の表面に付着する。例示的な粘膜付着剤には、食用シリコーンおよびポリアクリル酸、特にポリアルケニルエーテルまたはジビニルグリコールで架橋されたアクリル酸のポリマー、例えば、Lubrizol Corporation(OH、ウィックリフ)から市販されるCARBOPOL(登録商標)ポリマー、コポリマーおよびインターポリマーのファミリーが含まれる。
【0066】
適切な着色剤の例には、認可された食用顔料、染料、天然の食品用色素、および合成着色剤、例えばFD&C着色料、ならびにそれらの混合物が含まれる。
【0067】
適切な安定剤および/または酸化防止剤の例には、キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸(「EDTA」)、エチレングリコール四酢酸(「EGTA」)、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビルおよびそれらの混合物が含まれる。
【0068】
例示的な充填剤には、任意の水溶性不活性充填剤が含まれる。本発明の経口フィルム製剤に組み込むのに適した水溶性不活性充填剤には、マンニトール、キシリトール、グルコース、フルクトース、スクロース、スクラロース、乳糖、トレハロース、マルトデキストリン、デキストラン、デキストリン、化工デンプン、デキストロース、ソルビトール、デキストレートおよびそれらの混合物が含まれる。
【0069】
本発明のフィルム製剤、特に放出制御層は、天然または合成の透過促進剤も含んでもよい。当技術分野でよく理解されているように、「透過促進剤」は、腸の表面などの粘膜表面を通る活性剤の吸収を促進する、天然または合成の化合物である。例示的な透過促進剤には、アニオン性界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびラウリン酸ナトリウム;カチオン性界面活性剤、例えば塩化セチルピリジウム;非イオン性界面活性剤、例えばポロキサマー、Brij、Span、Myrj、およびTween;胆汁酸塩;グリコデオキシコール酸ナトリウム;グリココール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、Azone(登録商標);脂肪酸、例えばオレイン酸およびカプリル酸;シクロデキストリン、例えばα−、β−、γ−シクロデキストリン、メチル化β−シクロデキストリン;キレーター、例えば、EDTA、クエン酸ナトリウムおよびポリアクリレート;ポリマー、例えば、キトサン、トリメチルキトサン、ならびにカチオン性アミノ酸、例えばポリ−L−アルギニンおよびL−リジンが含まれる。Brijは、幾つもの供給業者から市販される非イオン性ポリオキシエチレンファミリーの商品名である。Spanは、ソルビタントリオレート(Span 85)およびソルビタントリステアレート(Span 65)などの、幾つもの供給業者から市販されるソルビタン界面活性剤ファミリーの商品名である。Myrjは、ポリオキシエチレンモノステアレート(Myrj 49)などの、幾つもの供給業者から市販されるポリエトキシル化脂肪酸ファミリーの商品名である。Tweenは、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート(Tween 85)およびポリソルベート80(Tween 80)などの、幾つもの供給業者から市販されるポリオキシエチレンソルビタンまたはポリソルベート界面活性剤ファミリーの商品名である。Azoneは、1−ドデシルヘキサヒドロ−2h−アゼピン−2−オンの商品名である。
【0070】
本発明のフィルム製剤、特に放出制御層に組み込むのに適した可塑剤には、モノグラフに記される任意の可塑剤が含まれる。例示的な可塑剤には、これらに限定されないが、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、グリセリン、トリアセチン、脱アセチル化モノグリセリド、ポリエチレングリコール、ジエチルサレート、クエン酸トリエチルおよびそれらの混合物が含まれる。
【0071】
本発明のフィルム製剤、特に放出制御層は、微生物防止剤、例えばブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシルトルエン、パラベン、パラベンの誘導体、ソルビン酸および誘導体、安息香酸および誘導体、プロピオン酸および誘導体、酢酸および誘導体ならびにそれらの混合物も含んでもよい。
【0072】
本発明の経口フィルム製剤は、単層または多層フィルムのいずれの形状であってもよい。多層の実施形態の場合、各々のまたは個々の層は、同一のまたは異なる賦形剤を、同量または異なる量で含んでもよい。例えば、様々なフィルム層が、異なる溶解時間を示すように、または様々な活性成分配合量を含むように製剤化されてもよい。特に有利な実施形態では、本発明のフィルムは、粘膜付着性ポリマーから形成される層と組み合わせて、非粘膜付着性放出制御層を含む。
【0073】
本発明の経口フィルム製剤は、ウェハまたは薄型フィルムベースの経口医薬フィルムの従来通りの厚さ、例えば、50〜120ミクロン、特に約60〜115ミクロンの範囲の厚さに製造される。
【0074】
本発明の経口フィルム製剤は、医薬経口フィルムストリップまたは製剤として当技術分野で公知の任意の形状を有してもよい。例えば、経口フィルム製剤は、円形、楕円形、正方形、長方形、または他の不規則な幾何学形状を有してもよい。本発明の経口フィルム製剤は、経口フィルムストリップ、経口ウェハまたは経口フィルム製剤に適するとして当技術分野で公知の任意の寸法をさらに有してもよい。
【0075】
腸溶放出ビーズ、放出制御層および/または経口フィルム製剤の形成における使用に適した適切な溶媒には、精製水、アセトン、エタノール、または炭素4個以下の長さの他の薬理学的に許容されるアルコールの1つまたはそれ以上が含まれる。薬理学的に許容される溶媒は、そうでないと指示しない限り、任意の組み合わせおよび任意の溶媒比で使用されてもよい。
【0076】
例えば、特定の溶媒が腸溶放出ビーズを形成するために最初に使用され、とりわけ極性が小さい方の溶媒(以下、本明細書では非極性溶媒とも称される)が腸溶放出ポリマーおよび活性成分を懸濁させるのに有効な量で使用される。次いで、それより大きい極性を有する追加的な溶媒(本明細書では極性溶媒とも称される)、例えば水が、最初に核形成し、次に得られた腸溶放出ビーズをポリマー溶液中で固化させる(harden)のに有効な量で使用される。考察を容易にするために、本明細書で使用される場合、用語「極性」溶媒および「非極性」溶媒は、水(極性が最も大きい溶媒として)と比較して所与の溶媒の極性を示す、単に相対的な用語として使用される。理論に縛られることを望むものではないが、出願人は一般に、極性結合について比較的低いハンセンの溶解度パラメータ値、すなわち約13未満のδPを有する溶媒は、非極性溶媒とみなされるべきであり、極性結合についてそれより高いハンセン溶解度パラメータ値、例えば13より大きいδPを有する溶媒は極性溶媒とみなされるべきだと仮定する。13未満のδPを有する例示的な溶媒には、アセトン(δP=10.4);エタノール(δP=8.8);n−プロパノール(δP=6.8);イソプロパノール(δP=6.1);n−ブタノール(δP=5.7)およびメタノール(δP=12.3)が含まれる。13より大きいδPを有する例示的な溶媒には水(δP=16.0δP)が含まれる。
【0077】
溶媒はまた、経口フィルム製剤形成、特に経口フィルム製剤の注入成形、コーティングまたは押出成形の前に、放出制御層中の成分全体を溶解および/または懸濁させて液体物質にするのに有効な量で使用される。得られた液体物質は、食用経口フィルムストリップまたは薄型ウェハフィルム製剤を形成するのに使用される従来通りのフィルム形成ブレンドのように、適度に上昇した粘度を有する。溶媒は、注入成形/コーティング/押出成形組成物の重量に基づいて95%までの量で、例えば約60〜90%の範囲の量で液体物質中に存在してもよい。次いで溶媒は、経口フィルム製剤を生成する間に、湿潤フィルムを注入成形、コーティングまたは押出成形した後で、次の乾燥工程で除去される。
【0078】
本発明は、食用経口フィルム製剤を製造する方法をさらに提供する。
【0079】
本発明の方法は一般に、活性成分を含む腸溶放出ビーズを形成すること、ならびに放出制御マトリックスポリマー(および任意選択による賦形剤)を含むpH調整済み溶液に該ビーズを組み込むこと、ならびに得られた物質を注入成形/コーティング/押出成形して経口フィルム製剤にすることを含む。
【0080】
腸溶放出ビーズは一般に、有効量のオピオイド作用薬および/または薬学的に許容されるその塩と有効量のオピオイド拮抗薬および/または薬学的に許容されるその塩とを、非極性(すなわち非水性)溶媒、特に、エタノールまたはアセトンから選択される溶媒中に溶解させて、活性成分溶液を形成することによって形成する。次いで、少なくとも1つの腸溶放出ポリマーを活性成分溶液中に混合しながら混ぜ入れて腸溶放出ポリマーを溶解させ、腸溶放出ビーズ溶液を形成する。有利な実施形態では、腸溶放出ビーズ溶液は、すべて腸溶放出ビーズ溶液の重量に基づいて、約1.0〜30.0重量%のオピオイド作用薬および/または薬学的に許容されるその塩;約1.0〜20.0重量%のオピオイド拮抗薬および/または薬学的に許容されるその塩;約1〜60.0重量%の腸溶放出ポリマーならびに約30〜80%の非極性溶媒を含む。
【0081】
腸溶放出ビーズを、腸溶放出ビーズ溶液から2工程のプロセス:核生成および固化において収集する。最初に、腸溶放出ビーズ溶液を室温より低く冷却し、極性の核生成コンセントレート(nucleation concentrate)を腸溶放出ビーズ溶液に穏やかに混合しながらゆっくり添加すること(すなわち核生成工程)によって、腸溶放出ビーズ溶液中に比較的軟質な腸溶放出ビーズが形成される。収集前の軟質な腸溶放出ビーズが形成された時に、冷却下および穏やかな混合下に保ったまま、次いで追加的な極性溶媒を収集前の腸溶放出ビーズ溶液にゆっくりと添加し、腸溶放出ビーズを固化させる(すなわち固化工程)。次に、固化した腸溶放出ビーズを、得られた懸濁液から濾過などを介して収集する。
【0082】
腸溶放出ビーズの形成において、腸溶放出ビーズ溶液および/または核生成コンセントレートおよび/または第2の極性溶媒は、室温(すなわち約23℃)より低く冷却され、例えば0〜20℃、好ましくは15〜20℃(中温核生成)または0〜4℃(低温核生成)あたりのいずれかの範囲の温度に冷却される。次いで、腸溶放出ビーズ溶液は、比較的穏やかな非乱流混合、例えば6,000rpm未満の速度での混合、特に約500rpm〜2000rpmの混合速度での混合に供される。前述の温度の抑制および非乱流混合(すなわち、均質化を引き起こすのに十分なほど高くない速度での混合)は、ビーズ収集プロセスの両方の工程を通して、すなわち核生成コンセントレートおよび追加的な極性溶媒を添加する間に、有利に維持される。温度および撹拌速度は、ビーズ収集プロセス全体を通して、すなわち核生成工程と固化工程の両方を通して一定に保たれてもよい。あるいは、異なる温度および/または撹拌速度が核生成および固化工程中に使用されてもよい。
【0083】
極性の核生成コンセントレートは一般に、ビーズ安定剤を極性溶媒中、好ましくは水中で混合することによって形成される。ビーズ安定剤は、核生成コンセントレートの重量に基づいて、典型的には約0.5〜10重量%、例えば約0.75〜10重量%の範囲の量で前記核生成コンセントレート中に存在する。上で述べたように、核生成コンセントレートは、収集前の腸溶放出ビーズ溶液中に比較的軟質なゼラチン状の腸溶放出ビーズが形成されるまで、次いで穏やかに撹拌される冷却された腸溶放出ビーズ溶液中にゆっくり滴加される。核生成コンセントレートを添加する例示的な流量は一般に約1〜2滴/秒の範囲であり、各液滴は、典型的には約25〜35マイクロリットルのコンセントレートを含む。それより速い滴下速度が好ましいが、軟質な腸溶放出ビーズが集塊を形成し始めたら、すなわち、ビーズが互いに融合し始めたら、集塊が止まるまで核生成コンセントレーションの流量を下げる。
【0084】
核生成コンセントレートは、典型的には、腸溶放出ビーズ溶液に対して適度に過剰に添加される。よって、核生成コンセントレートは、典型的には少なくとも1:1の重量比、例えば1:1〜2:1の重量比、特に約1.3:1の重量比(核生成コンセントレートの重量:腸溶放出ビーズ溶液の重量)で収集前の腸溶放出ビーズ溶液中に存在する。その点に関して、十分な核生成コンセントレートを腸溶放出ビーズ溶液に添加すると、ビーズ安定剤の量は、得られた上述の通りの乾燥済み腸溶放出ビーズの重量に基づいて、典型的には約1〜10wt%、例えば3〜7wt%の範囲、特に約4wt%となる。
【0085】
ビーズ安定剤の添加が完了した(すなわち、核生成コンセントレートの添加の完了)時に、収集前の腸溶放出ビーズ溶液を冷却下および穏やかな混合下に保ったまま、次いで水などの追加的な第2の極性溶媒を、典型的には1分当たり約5gの速度で収集前の腸溶放出ビーズ溶液に滴加して、ビーズを固化させる。穏やかな混合下で十分な極性溶媒を滴加して軟質な腸溶放出ビーズを適切に固化させ、その後の溶液からの分離、例えば濾過などを介する分離に耐えられるようにする。極性溶媒は、典型的には、極性の核生成コンセントレートを含む収集前の腸溶放出ビーズ溶液に対して少なくとも適度に過剰に添加され、例えば約1:1.25〜1:4、特に約1:1.50〜1:2.0の重量比(極性の核生成コンセントレートを含む収集前の腸溶放出ビーズ溶液の重量:追加的な極性溶媒の重量)で添加される。極性溶媒の添加の速度は同様に穏やかであり、第2の極性溶媒を添加する例示的な流量は一般に、約1〜10グラム/分の範囲である。
【0086】
軟質な腸溶放出ビーズの固化において、腸溶放出ビーズ溶液は、低い温度、例えば室温(すなわち約23℃)より低い温度、特に0〜20℃、好ましくは15〜20℃(中温核生成)または0〜4℃(低温核生成)あたりのいずれかの範囲の温度に保持される。腸溶放出ビーズ溶液は、第2の溶媒を添加する間に、穏やかな非乱流混合、例えば6000rpm未満、特に約200rpm〜2000rpm、好ましくは約250rpm〜1000rpmの速度の混合に同様に供される。上で述べたように、第2の溶媒を添加する間の温度および混合速度は、軟質な腸溶放出ビーズを形成する間に使用される混合速度と同じであっても異なっていてもよい。
【0087】
得られた、溶媒中に懸濁する固化した腸溶放出ビーズは、濾過などを介して溶媒から分離され、乾燥される。
【0088】
代替法において、本発明のフィルム製剤での使用に適した腸溶放出ビーズは、当技術分野で公知の任意の他の手段によって、例えば噴霧乾燥などによって形成されてもよい。
【0089】
理論に縛られることを望むものではないが、腸溶放出ビーズ溶液中の非極性の腸溶放出ポリマーおよび活性成分は、極性の核生成コンセントレートがゆっくり添加されるにつれて転相を起こし、軟質なビーズ構造を形成することになると出願人は仮定する。
【0090】
最適な撹拌速度、すなわち適正な混合を確保できる最低限の撹拌速度;収集前および収集温度をより冷却すること;ならびに核生成コンセントレートおよび/または極性溶媒の添加を遅くすることのすべてが個々に、収集前および収集工程中の両方で腸溶放出ビーズ安定性を促進する。したがって、収集前または収集工程のいずれかの間に集塊が発生した時に、前述の変数の1つまたはそれ以上をそれに応じて調整することができる。
【0091】
放出制御組成物は一般に、混合下で容器に水を装入し、pH調整剤を水溶液中に混ぜ入れることによって混合することおよびオピオイド作用薬およびオピオイド拮抗薬のpKaより約2〜3単位下に水のpHを調整することによって形成される。次いでpHを調整した水に腸溶放出ビーズを添加し、分散するまで撹拌する。任意選択による甘味剤および可塑剤を、撹拌を続けながら続いて添加してもよい。次いで、香料、清涼化剤および界面活性剤を含めた、任意選択によるさらなる補助構成成分を、溶液が均一になるまで撹拌を続けながら水溶液に添加してもよい。次いで、均質なコーティング物質、すなわち放出制御組成物が得られるまで、混合を続けながら均一な溶液に腸溶放出ポリマーをゆっくり添加する。
【0092】
フィルム形成の前に、粘性で均質なコーティング物質に、超音波処理、吸引および/または真空を施して、フィルム形成組成物中に混入した空気を除去することができる。あるいは、1つまたはそれ以上の消泡剤、例えば不溶性の油、ジメチルポリシロキサンおよび他のシリコーン、アルコール系脱泡剤、ステアレート系脱泡剤またはグリコール系脱泡剤を添加することができる。場合により脱気されたフィルム形成組成物は、続いて当技術分野で周知のプロセスを使用して、例えば注入成形、コーティングまたは押出成形によって、所定の湿潤厚を有する薄型フィルムに形成される。より具体的には、本発明のフィルム形成組成物を、適切な注入成形基材、例えばコート紙、ポリエチレンフィルムなどの上に注入成形、コーティング、または押出成形することによって、所定の湿潤厚を有する湿潤フィルムを形成してもよい。この湿潤フィルムは次いで、例えば均一な層流加熱炉(laminar flow heating oven)または他の適切な乾燥機で、当業者に周知の従来のプロセスの装置および条件を使用して、例えば30℃〜60℃の範囲の乾燥温度、5分〜30分の乾燥時間で乾燥されてもよい。乾燥したフィルムを、次いでコーティング基材から取り出し、続いて適切な切断方法を使用して、例えば、打抜き、パンチング、ナイフ、または回転切断機を使用して、様々な幾何学形状およびサイズに切断してもよい。
【0093】
本発明の経口フィルム製剤を投与する方法も本明細書で提供される。本発明の投与方法は一般に、経口フィルム製剤を患者に投薬して嚥下させることまたは経口フィルム製剤を患者または個人の口腔に施用すること、および有利には追加的な水または唾液以外の経口液体なしに該フィルムを溶解または崩壊させ、続いて患者または個人の腸管に吸収させることを含む。有利には、本発明の経口フィルムストリップは、生理液またはかかる液体を人工的に模造したものに浸した10cm
2の経口フィルムストリップに基づいて、溶解時間が15分未満、例えば溶解時間が5分未満、最も好ましくは1分未満である。
【0094】
有利な実施形態では、本発明の投与方法は、急性痛、慢性痛に関する症状またはオピエート依存症などの依存から被る症状を緩和するための、臨床上有効な用量のブプレノルフィンおよびナロキソンを個人に投与して、続いてそれを腸管に吸収させる、本発明の経口フィルム製剤の使用に関する。活性成分を腸溶放出ポリマーに有利に結合させると、特にpH調整を介すると、活性成分、例えばブプレノルフィンおよびナロキソンを腸管中に放出させて長時間にわたる効能をもたらすことを、出願人は謹んで提示する。有利な実施形態では、個々の経口フィルム製剤は、錠剤の形態のSUBOXONE(登録商標)製剤1錠と生物学的に同等の効果をもたらすことを、出願人は謹んでさらに提示する。
【0095】
本発明の、味をマスクした経口フィルムストリップは、慢性の関節炎からの急性痛または慢性痛、変形性関節症、急性腱炎、滑液包炎、頭痛、片頭痛、慢性神経因性疼痛、帯状疱疹、月経前症候群、スポーツ損傷、悪性腫瘍の疼痛、または物質乱用症候群、特にオピエート依存症を含めた幾つもの病態または病状のいずれかに関連する症状を治療するために使用されてもよい。
【0096】
本発明の経口フィルムストリップは、前述の病態または病状の1つまたはそれ以上に関連する症状を緩和するために、必要とされる時に患者によって自己投与されるように個人または患者に投薬されてもよい。あるいは、経口フィルム製剤中に粘膜付着剤を含まない実施形態の場合、経口フィルムストリップは、とりわけ、粘膜、例えば頬、口蓋または舌の表面に付着するように粘膜付着剤を用いて、特に医療専門家によって、患者の口腔に施用されてもよい。
【0097】
本発明の経口フィルムストリップは一般に、約30〜45分後から奏効し始め、効果は最大6時間持続する。したがって、本発明の経口フィルムストリップは極めて堅実で発現が早く、従来の錠剤と比較して投与量が少なく、輸送が容易であり、投与が容易で貯蔵寿命が長く、さらに従来の経口フィルム製剤と比較して緩和時間が長くなる。
【0098】
オピエート含有腸溶放出ビーズを、本明細書では崩壊性経口ウェハまたは薄型フィルムに関して記載してきたが、本発明のオピエート含有腸溶放出ビーズは、薬理学的に許容される広範な固体剤形に組み込まれてもよい。例えば、オピエート含有腸溶放出ビーズは、口腔内で速やかに崩壊し、嚥下させる予定の活性成分を放出する、口腔内崩壊錠剤に組み込まれてもよい。
【0099】
その点に関して、本発明に記載する腸溶放出ビーズ技術は、フィルム、錠剤、経口液体、クリームなどを含めた、任意の公知の剤形に適用することができる。具体的には、活性成分を含む腸溶放出ビーズ、放出制御ポリマー、pH調整剤、および任意選択による添加剤の混合物を本発明に記載するのと同じ比率で形成することによって、任意の剤形を形成してもよい。得られた混合物は固形であっても液体形であってもよいが、剤形を圧縮して錠剤にすることを意図するのであれば、液体形は凍結乾燥して溶媒を除くことができることを条件とする。
【0100】
出願人はさらに、本発明の経口フィルム製剤が、腸溶放出ビーズに含まれる様々な活性な医薬成分を送達するのに有用であることに注目する。本発明の経口フィルム製剤は、水および食用液なしで投与することができるので、とりわけ、嚥下が困難な若年患者およびある種の一般的な患者および老年患者に対して、容易な患者アドヒアランスおよびコンプライアンスが可能となる。
【実施例】
【0101】
次の非限定的な例は、本発明の特に有利な実施形態およびそれを形成するための好都合な関連方法を説明するためだけに提供される。
【0102】
本発明の経口フィルムストリップは、そうでないと指示されない限りまたは文脈からそうでないことが明らかでない限り、周囲温度、すなわちおよそ23℃の温度、および大気圧で形成した。
【0103】
比較例1:
ケトプロフェンを含むビーズ溶液を、表Iに記載する組成から生成した:
【0104】
【表1】
【0105】
エタノール約40gを溶媒として容器に装入した。ケトプロフェン約15g、およびポリメタクリレートとしてEUDRAGIT(登録商標)L 100約5gを溶媒に添加し、溶解するまで混合してポリマー相を形成した。
【0106】
次いで、表II中の成分を使用して前述のポリマー相からビーズを形成し、収集した:
【0107】
【表2】
【0108】
非凝集剤としてCaCl
2約0.5g、界面活性剤としてポリソルベート80約0.13g、およびHPMCポリマーであるMETOLOSE(登録商標)60HS50約0.8gを精製水約350g中に溶解させ、4℃に冷却して水相を形成した。6,500rpmでの均質化の下で、水相をポリマー相に非常にゆっくり添加した。混合物を濾過してビーズを得た。得られたビーズは極めて軟質で、凝集していることが分かった。
【0109】
比較例2:
ケトプロフェンを含むビーズ溶液を、表IIIに記載する組成から生成した:
【0110】
【表3】
【0111】
エタノール約40gを溶媒として容器に装入した。次いで、ケトプロフェン約15g、およびポリメタクリレートとしてEUDRAGIT(登録商標)L 100約5gを溶媒に添加し、溶解するまでオーバーヘッドスターラーを介して混合して有機相を形成した。
【0112】
次いで、表IV中の成分を使用して前述のポリマー相からビーズを形成し、収集した:
【0113】
【表4】
【0114】
HPMCポリマーであるMETOLOSE(登録商標)約0.5gを工程1用精製水に添加し、溶解するまで混合して水相を形成した。水相を15〜20℃の間に冷却し、有機相を1000rpmで撹拌しながら、スポイトを用いて水相を有機相にゆっくりと慎重に滴加した。水相を添加した時にビーズが形成したが、軟質であった。撹拌を10分間続けた。約半分の軟質ビーズ溶液を取り出し、放置した。この部分の軟質ビーズ溶液は最終的に癒合した。残りの半分の軟質ビーズ溶液を撹拌下に維持しながら、同様に15〜20℃に冷却した第2の水を滴加すると、ケトプロフェン/ポリメタクリレートビーズが固化し、その懸濁液を形成した。固化したビーズを、ブフナー漏斗およびWhatman4番フィルターを使用する濾過を介して懸濁液から取り出した。球形の堅いビーズが得られ、次いでビーズをペトリ皿に移し、真空乾燥した。得られたビーズは球形で均一であった。
【0115】
ビーズを溶解試験に供した。pH4.5の緩衝液でビーズは15〜18%の薬物を放出し、一方、pH7.4の緩衝液でビーズは試験開始から5分以内に98〜100%の薬物を放出したことから、ビーズの腸溶放出性が確認された。
【0116】
比較例3:
表VおよびVIに記載する材料ならびに以下のプロセス条件に基づいて、比較例2を概ね繰り返した:
【0117】
【表5】
【0118】
アセトン約40gを溶媒として容器に装入した。ケトプロフェン約15gをアセトンに混ぜ入れ、450rpmで溶液を混合し、溶解させた。次いで、ポリメタクリレートとしてEUDRAGIT(登録商標)L 100−55約5gを溶媒/ケトプロフェン組成物に添加し、450rpmで混合して溶解させることにより、有機相を形成した。
【0119】
次いで、表VI中の成分を使用して前述のポリマー相からビーズを形成し、収集した:
【0120】
【表6】
【0121】
HPMCポリマーであるMETOLOSE(登録商標)約0.56gを工程1用精製水に添加し、溶解するまで混合して水相を形成した。水相を15〜20℃に冷却し、次いで有機相を撹拌しながら、スポイトを用いて水相を有機相にゆっくりと慎重に滴加した。水相を添加した時にビーズが形成したが、軟質であった。撹拌を続けながら、同様に15〜20℃に冷却した第2の水を滴加すると、ケトプロフェン/ポリメタクリレートビーズが固化し、その懸濁液を形成した。固化したビーズを、ブフナー漏斗およびWhatman4番フィルターを使用する濾過を介して懸濁液から取り出した。固化したビーズを次いでペトリ皿に移し、真空乾燥した。得られたビーズは概ね球形または円形の無定形の形状であり、比較例2で得られたビーズよりはるかに不均一であった。
【0122】
実施例1:
塩酸ブプレノルフィン約1.62グラムに水約165gmを徐々に添加して(およそ12工程で水を添加する)溶解させ、ブプレノルフィン溶液を形成することによって、ブプレノルフィン塩をブプレノルフィン遊離塩基に変換した。NaOH約0.13gmを水10gmに溶解させ、次いでブプレノルフィン溶液に滴加して沈殿物を形成した。このブプレノルフィン溶液を、4,0000rpmで約30分間遠心分離して、得られた沈殿したブプレノルフィン遊離塩基(約1.5gm)を集めた。
【0123】
次いで、ブプレノルフィン遊離塩基を含む腸溶放出ビーズ溶液を、表VIIに記載する組成から生成した:
【0124】
【表7】
【0125】
最初に、ブプレノルフィン遊離塩基約1.5g(水約7.4グラム中に懸濁する)およびポリメタクリレート1(水1.0gにポリマー0.506gを含むEUDRAGIT(登録商標)L−100エマルションとして)0.5gを、アセトン4グラムに、ビーカー中で混合しながら添加した。次いで、ビーカー中で続けて撹拌しながらアセトン約15gをこの混合物に添加し、その後アセトン約44グラムをポリメタクリレートおよびブプレノルフィンが溶解するまでさらに添加することによって、腸溶放出ビーズ溶液を形成した。
【0126】
次いで、表VIII中の成分を使用して、前述の腸溶放出ビーズ溶液から腸溶放出ビーズを形成し、収集した:
【0127】
【表8】
【0128】
HPMCポリマーであるMETOLOSE(登録商標)60HS50約1gを工程1用精製水に添加し、溶解するまで混合して、核形成ポリマーコンセントレート(nucleating polymer concentrate)を形成した。核形成ポリマーコンセントレートを次いで15〜20℃に冷却し、次いで表VIIに記載した腸溶放出ビーズ溶液に、約350rpmの速度で撹拌しながら1秒当たり約35マイクロリットルで滴加すると、軟質ビーズを形成した。同様に15〜20℃に冷却した工程2用(第2の)精製水を、次いで核形成ポリマーコンセントレートを含む腸溶放出ビーズ溶液(すなわち、軟質な腸溶放出ビーズを含む溶液)に、溶液を約500rpmの速度で撹拌しながら50g/10分の速度で滴加し、腸溶放出ビーズを固化させた。撹拌速度を次いで250rpmに下げ、その後固化した腸溶放出ビーズを収集し、顕微鏡下で検査した。収集した腸溶放出ビーズは概ね多角形の形状であり、幅がおよそ30ミクロン〜100ミクロンであった。
【0129】
実施例2:
ブプレノルフィンおよびナロキソンを含む腸溶放出ビーズ溶液を、表IXに記載する有利な例示的組成からさらに生成することができる:
【0130】
【表9】
【0131】
エタノールまたはアセトン約50〜100gを溶媒として容器に装入することができる。次いで、ブプレノルフィン約1〜12gおよびナロキソン約0.25〜3gを溶媒に添加し、溶解するまで混合する。胃内で溶解するフィルム形成ポリマーであるポリメタクリレート1としてEUDRAGIT(登録商標)E約0.5〜1.5g、および腸内で溶解するフィルム形成ポリマーであるポリメタクリレート2としてEUDRAGIT(登録商標)LまたはS約0.5〜1.5gを、次いで活性成分を含む溶媒混合物に添加し、溶解するまで混合することによって、腸溶放出ビーズ溶液を形成する。
【0132】
次いで、表X中の成分を使用して、前述の腸溶放出ビーズ溶液から腸溶放出ビーズを形成し、収集することができる:
【0133】
【表10】
【0134】
HPMCポリマーであるMETOLOSE(登録商標)60HS50約0.9gを工程1用精製水に添加して、溶解するまで混合し、核形成ポリマーコンセントレートを形成することができる。次いで核形成ポリマーコンセントレートを冷却し、約15〜20℃の範囲の温度などに冷却する。核形成ポリマーコンセントレートを、次いで表IXに記載した腸溶放出ビーズ溶液に、その温度を約15〜20℃に維持したままで、約200〜1000rpmの速度で撹拌しながら滴加する。同様に約15〜20℃に冷却した工程2用(第2の)精製水を、次いで核形成ポリマーコンセントレートを含む腸溶放出ビーズ溶液に、溶液の温度を約15〜20℃に維持したままで、約100〜1000rpmの速度で撹拌しながら滴加することができる。
【0135】
得られた懸濁した腸溶放出ビーズを、濾過によって、例えばブリュックナー漏斗などを使用して、溶液から収集することができる。
【0136】
次いで、腸溶放出ビーズを組み込んだ本発明のフィルム製剤コーティング物質を、表XIの成分から形成することができる:
【0137】
【表11】
【0138】
精製水約100gを容器に装入し、混合することができる。次いで溶液のpHを、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、酒石酸ナトリウム、酢酸、酢酸ナトリウムなどの1つまたはそれ以上を使用して、ブプレノルフィンおよびナロキソンのpKaより3単位下に調整する。腸溶放出ビーズを添加し、よく混合するまで撹拌する。次に甘味剤および可塑剤を添加し、撹拌を続ける。香味剤、清涼化剤および界面活性剤を予備混合して配合物に添加し、均一になるまで撹拌を続ける。次いで放出制御マトリックスポリマーを、均質なコーティング物質が得られるまで、混合しながらゆっくり添加する。次いで手動式の塗布機を適切なコーティングギャップおよび30〜60℃の乾燥温度で5〜15分間使用して、コーティング物質を単層フィルムに形成する。単層フィルムを、次いで所与の用途に必要とされるブプレノルフィンおよびナロキソンの用量に基づいて適切なサイズに切断する。
【0139】
したがって、要約すると本発明は一般に下記に関する:
【0140】
(1)治療有効量のオピオイド作用薬および/または薬学的に許容されるその塩と臨床有効量のオピオイド拮抗薬および/または薬学的に許容されるその塩とを腸内で放出させる放出制御組成物から形成される少なくとも1層を含む経口フィルム製剤であって;
前記放出制御組成物は、少なくとも1つの放出制御マトリックスポリマーと、前記マトリックスポリマー中に分散する腸溶放出ビーズとを含み、ここで、
前記腸溶放出ビーズは、少なくとも1つの腸溶放出ポリマーであって、その中に封入される前記オピオイド作用薬および前記オピオイド拮抗薬および/またはそれらのそれぞれの塩を有する前記腸溶放出ポリマーから形成され;
前記放出制御組成物は、該オピオイド作用薬、拮抗薬およびそれらのそれぞれの塩のpKaより約2.0〜3.0pH単位下のpHに該組成物を調整するのに有効な量でpH調整剤をさらに含み、
前記放出制御組成物は、矯味剤、乳化剤、可塑剤、着色剤、酸化防止剤、微生物防止剤および透過促進剤から選択される1つまたはそれ以上の添加剤を場合によりさらに含み、前記腸溶放出ビーズは、ビーズ安定剤を場合によりさらに含む、
前記経口フィルム製剤。
【0141】
(2)腸溶放出ポリマーは、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸セルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、およびポリメチルアクリレートコポリマーの1つまたはそれ以上から選択される、(1)に記載される経口フィルム製剤。
【0142】
(3)腸溶放出ポリマーはポリメタクリレートコポリマーであり、該ポリメタクリレートコポリマーは、(i)ジメチルアミノエスルメタクリレートおよび/または他の中性メタクリル酸エステルから誘導されるカチオン性コポリマーと(ii)メタクリル酸およびアクリレートから誘導されるアニオン性コポリマーとの混合物である、(2)に記載される経口フィルム製剤。
【0143】
(4)カチオン性コポリマーはポリ(メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2−ジメチルアミノエチル)、メタクリル酸メチルコポリマーであり、アニオン性コポリマーは、メタクリル酸とメタクリル酸メチルまたはアクリル酸エチルのいずれかとから誘導される、(3)に記載される経口フィルム製剤。
【0144】
(5)ポリ(メタクリル酸ブチル、メタクリル酸(2−ジメチルアミノエチル)、メタクリル酸メチルコポリマーは、それぞれのモノマー比が1:2:1であり、メタクリル酸とメタクリル酸メチルまたはアクリル酸エチルのいずれかとから誘導されるアニオン性コポリマーは、それぞれのモノマー比が1:1または1:2のいずれかである、(4)に記載される経口フィルム製剤。
【0145】
(6)オピオイド作用薬は、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アンフェプラモン、アンフェタミン、アンフェタミニル、アニレリジン、アポコデイン、アポモルフィン、アシマドリン、アキソマドール、ベンジルモルフィン、ベジトラミド、ブレマゾシン、ブリフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、カルフェンタニル、クロニタゼン、コデイン、シクラゾシン、シクロルファン、シプレノルフィン、シプロジム、デルトルフィン、デソモルピン、デキストロルファン、デキストロモラミド、デキストロプロポキシフェン、デゾシン、ジアモルフィン、ジアモルホン、ジアンプロミド、ジアセチルモルフィン、ジヒドロコデイン、ジヒドロコデイノン、ジヒドロエトルフィン、ジヒドロモルフィン、ジメノキサドール、ジメフェタモール、ジメフェプタノール、ジメチルチアンブテン、ジオキシアフェチルブチレート、ジフェノキシレート、ジピパノン、ジプレノルフィン、ドロナビノール、メトエンケファリン、ロイエンケファリン、ジノルフィンA、ジノルフィンB、β−エンドルフィン、エプタゾシン、エリドルフィン、エトヘプタジン、14−メトキシメトポン、エチルケトシクラゾシン、エチルメチルチアンブテン、エチルモルフィン、エトニタゼン、エトルフィン、エキストロモラミド、フェンカンファミン、フェネチリン、フェンプロポレックス、フェンタニル、a−メチルフェンタニル、ベータ−フナルトレキサミン、β−ヒドロキシ−3−メチルフェンタニル、ヘロイン、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、ヒドロモルホドン、ヒドロキシメチルモルフィナン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、キョートルフィン、レボ−α−アセチルメタドール、レバセチルメタドール、レバロルファン、レボメタドン、レボメタジル酢酸エステル、レバロルファン、レボルファノール、レボフェナシルモルファン、ロフェンタニル、ロフェキシジン、ロペラミド、マルブフィン、マジンドール、メフェノレックス、メペリジン、メプロバメート、メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、メチルジヒドロモルフィン、メチルジヒドロモルフィノン、メチルモルフィン、メチルナルトレキソン、メチルフェニデート、メチプリロン、メトポン、ミルフェンタニル、モダフミル、モルフィセプチン、モルフィナン、モルフィン、ミロフィン、ナビロン、ナルブフェン、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナロキソンベンゾイルヒドラゾン、ナルトレキソン、ナルトリベン、ナルトリンドール、ナルトリンドールイソチオシアネート、ナルセイン、ナトブフィン、ニコモルフィン、ノル−ビナルトルフィミン、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ノルモルフィン、ノルピパノン、ノスカピン、オーメフェンタニル、o−メチルナルトレキソン、アヘン、オニタゼン、オキシコドン、オキシモルホン、パパベレタム、パパベリン、パレゴリック、ペモリン、ペルノリン、ペンタゾシン、ペチジン、フェンジメトラジン、フェンジメトラゾン、フェンメトラジン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ホルコデイン、ピミノジン、ピプラドロール、ピリトラミド、プレノルフィン、プロファドール、プロペリジン、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロピラム、プロポキシフェン、プロピルヘキセドリン、レミフェンタニル、スピラドリン、スフェンタニル(sufentanil)、スフェンタニル(sufentanyl)、タペンタドール、テバイン、トラマドール、トレフェンタニル、チリジン、ビミノールもしくはそれらの塩、または、フェナントレン、モルフィナン、ベンゾモルファン、メタドン、フェニルピペリジン、プロピオンアニリド 4−アニリドピペリジン、4−アリールピペリジン、および4−ヘテロアリールピペリジンクラスのオピオイドの1つまたはそれ以上から選択される、(1)に記載される経口フィルム製剤。
【0146】
(7)オピオイド作用薬は、ブプレノルフィンおよび/または薬学的に許容されるその塩である、(1)に記載される経口フィルム製剤。
【0147】
(8)オピオイド拮抗薬は、アラゾシン、アミフェナゾール、ブトルファノール、クロルナルトレキサミン、クロシンナモックス、シクラザシン、シクラゾシン、シクロルファン、シプレノルフィン、ジプレノルフィン、エタゾシン、β−フナルトレキサミン、レバロルファン、メプタジノール、メタゾシン、ナジド、ナルブフィン、ナリド、ナルメフェン、ナルメフェンジプレノルフィン、ナルメキソン、ナロルフィン、ナロルフィンジニコチネート、ナロキソン、6−アミノ−ナロキソン、N−メチルナロキソン、ノル−ビナルトルフィミン、ナルトレンドール、ナルトレキソン、6−アミノ−ナルトレキソン、7−ベンジリデンナルトレキソン、N−メチルナルトレキソン、ナルトリンドール、ナルフィン、オキシロルファン、ペンタゾシン、ピペリジン−N−アルキルカルボキシレートオピオイド拮抗薬、およびオピオイド拮抗薬ポリペプチドの1つまたはそれ以上から選択される、(1)に記載される経口フィルム製剤。
【0148】
(9)オピオイド拮抗薬は、ナロキソンおよび/または薬学的に許容されるその塩である、(1)に記載される経口フィルム製剤。
【0149】
(10)前記放出制御マトリックスポリマーは、セルロースおよび/またはその誘導体;合成または天然ゴム、アクリルポリマーおよび/またはそのコポリマー、ポリアルキレンオキシド、ポリアルキレングリコール、プルラン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カラギーナン、アルギン酸および/またはその塩、カルボキシビニルポリマー、ペクチンおよび/またはその誘導体、キサンタンガムおよび/またはその誘導体、ならびにデンプンおよび/またはその誘導体の1つまたはそれ以上から選択されるフィルム形成ポリマーである、(1)に記載される経口フィルム製剤。
【0150】
(11)前記セルロースおよび/またはその誘導体は、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースまたはそれらの混合物であり;前記合成または天然ゴムは、キサンタンガム、トラガカントゴム、グアーガム、アカシアガム、アラビアガム、ローカストビーンガムまたはそれらの混合物であり、前記アクリルポリマーおよび/またはそのコポリマーは、メタクリル酸ポリマー、メタクリル酸コポリマー、アクリル酸ポリマー、アクリル酸コポリマー、ポリアクリルアミドまたはその混合物であり、前記デンプンは、マメデンプン、エンドウマメデンプンまたはそれらの混合物である、(10)に記載される経口フィルム製剤。
【0151】
(12)前記放出制御マトリックスポリマーは、食用シリコーン、ポリアクリル酸、および、ポリアルケニルエーテルまたはジビニルグリコールで架橋されたアクリル酸のポリマーの1つまたはそれ以上から選択される粘膜付着性ポリマーである、(1)に記載される経口フィルム製剤。
【0152】
(13)前記放出制御マトリックスポリマーは、水、アセトンおよびアルコール可溶性ポリマーの2つまたはそれ以上の組み合わせを含む、(1)に記載される経口フィルム製剤。
【0153】
(14)前記経口フィルム製剤は、1つまたはそれ以上の矯味成分をさらに含み、前記矯味成分は、甘味剤、冷感剤、味覚受容体ブロッカーおよび香料の1つまたはそれ以上から選択される、(1)に記載される経口フィルム製剤。
【0154】
(15)前記甘味剤は、デキストロース、乳糖、フルクトース、マンニトール、スクロース、トレハロース、スクラロース、キシリトール、マンニトール、アスパルテーム、サッカリン、ソルビトール、ナトリウムサッカリン、シクラミン酸ナトリウム、アセスルファム、ハチミツ、イソマルト、マルトデキストリン、デキストリンおよびデキストレートの1つまたはそれ以上であり、前記冷感剤はメントールであり、前記味覚受容体ブロッカーは、ポリエトキシル化ヒマシ油またはイオン交換樹脂の1つまたはそれ以上であり、前記香料は、メントール、ウインターグリーン、ペパーミント、スイートミント、スペアミント、バニリン、チェリー、バタースコッチ、チョコレート、シナモン、チョウジ、レモン、オレンジ、ラズベリー、バラ、香辛料、スミレ、薬草、果物、イチゴ、ブドウ、パイナップル、バニラ、ペパーミント、モモ、キーウィ、パパイヤ、マンゴー、ココナツ、リンゴ、コーヒー、プラム、スイカ、ナッツ、緑茶、グレープフルーツ、バナナ、バター、またはカモミールの精油または抽出物の1つまたはそれ以上である、(14)に記載される経口フィルム製剤。
【0155】
(16)前記フィルム製剤は、1つまたはそれ以上の乳化剤をさらに含む、(1)に記載される経口フィルム製剤。
【0156】
(17)前記乳化剤は、ヒマシ油誘導体、セチルおよびパルミチルアルコール、エタノール、水添植物油、ポリビニルアルコール、シメチコン、ソルビタンエステル、モノステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ステアリン酸ポリオキシエチレン、ポロキサマー、およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの1つまたはそれ以上から選択される、(16)に記載される経口フィルム製剤。
【0157】
(18)前記フィルム製剤は、アルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、グリセリン、トリアセチン、脱アセチル化モノグリセリド、ポリエチレングリコール、ジエチルサレートおよびクエン酸トリエチルから選択される、1つまたはそれ以上の可塑剤をさらに含む、(1)に記載される経口フィルム製剤。
【0158】
(19)前記フィルム製剤は、食用顔料、染料、天然の食品用色素および合成着色剤から選択される、1つまたはそれ以上の着色剤をさらに含む、(1)に記載される経口フィルム製剤。
【0159】
(20)前記フィルム製剤は、キレート剤、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、およびパルミチン酸アスコルビルから選択される、1つまたはそれ以上の酸化防止剤をさらに含む、(1)に記載される経口フィルム製剤。
【0160】
(21)前記キレート剤は、エチレンジアミン四酢酸またはエチレングリコール四酢酸の1つまたはそれ以上である、(20)に記載される経口フィルム製剤。
【0161】
(22)前記フィルム製剤は、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシルトルエン、パラベンおよびその誘導体、ソルビン酸およびその誘導体、安息香酸およびその誘導体、プロピオン酸およびその誘導体、ならびに酢酸およびその誘導体から選択される、1つまたはそれ以上の微生物防止剤をさらに含む、(1)に記載される経口フィルム製剤。
【0162】
(23)前記フィルム製剤は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、胆汁酸塩、グリコデオキシコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、脂肪酸、シクロデキストリン、キレーター、クエン酸ナトリウム、ポリアクリレート、多糖ポリマーおよびカチオン性アミノ酸の1つまたはそれ以上から選択される透過促進剤をさらに含む、(1)に記載される経口フィルム製剤。
【0163】
(24)前記アニオン性界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムおよび/またはラウリン酸ナトリウムであり、前記カチオン性界面活性剤は塩化セチルピリジウムであり、前記非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー、ポリオキシエチレン界面活性剤、ソルビタンモノラウレート、ポリエチレングリコール−100ステアレートおよび/またはポリソルベート20であり、前記脂肪酸は、オレイン酸および/またはカプリル酸であり;前記シクロデキストリンは、α−、β−、γ−シクロデキストリン、および/またはメチル化β−シルコデキストリンであり;前記キレーターは、エチレンジアミン四酢酸および/またはエチレングリコール四酢酸であり;前記多糖ポリマーは、キトサンおよび/またはトリメチルキトサンであり、前記カチオン性アミノ酸は、ポリ−L−アルギニンおよび/またはL−リジンである、(23)に記載される経口フィルム製剤。
【0164】
(25)前記フィルム中の前記オピオイド作用薬の前記臨床有効量は、オピオイド依存症治療製剤の場合は2ミリグラム超;急性痛治療製剤の場合は約100〜400マイクログラム、慢性痛製剤の場合は1時間当たり約20〜70マイクログラムであり;
前記オピオイド拮抗薬の臨床有効量は、オピオイド依存症治療製剤の場合は0.5ミリグラム超;急性痛治療製剤の場合は約25〜100マイクログラム、および慢性痛治療製剤の場合は1時間当たり約5〜17.5マイクログラムの範囲の治療量以下の量である、(1)に記載される経口フィルム製剤。
【0165】
(26)前記放出制御層は、すべて該放出制御層の重量に基づいて、放出制御マトリックスポリマーを約30.0〜70.0重量%の範囲の量で、前記マトリックスポリマー中に分散する腸溶放出ビーズを約5.0〜50重量%の範囲の量で、および有効量のpH調整剤を約3.0〜10.0重量%の範囲の量で含む、(1)に記載される経口フィルム製剤。
【0166】
(27)前記フィルム製剤は単層フィルムである、(1)に記載される経口フィルム製剤。
【0167】
(28)前記フィルム製剤は、粘膜付着層をさらに含む多層フィルムである、(1)に記載される経口フィルム製剤。
【0168】
(29)製剤は、円形、楕円形、正方形、長方形、または他の不規則な幾何学形状を有する、(1)に記載される経口フィルム製剤。
【0169】
(30)(1)に記載される経口フィルム製剤を作製する方法であって、
(a)以下によって、腸溶放出ビーズを形成すること
(i)有効量のオピオイド作用薬および/または薬学的に許容されるその塩と有効量のオピオイド拮抗薬および/または薬学的に許容されるその塩とを、エタノールまたはアセトンから選択される非水性溶媒に溶解させて、活性成分溶液を形成すること;
(ii)少なくとも1つの腸溶放出ポリマーを該活性成分溶液に混ぜ入れ、混合して前記腸溶放出ポリマーを溶解させて、腸溶放出ビーズ溶液を形成すること
(iii)ビーズ安定剤を極性溶媒に混ぜ入れて、核生成コンセントレートを形成すること;
(iv)該核生成コンセントレートを滴下して該腸溶放出ビーズ溶液に混ぜ入れて、収集前の腸溶放出ビーズを形成すること;
(v)該核生成コンセントレートを含む該腸溶放出ビーズ溶液に第2の極性溶媒を混ぜ入れることによって、該収集前の腸溶放出ビーズを固化させること;ならびに
(vi)固化した該腸溶放出ビーズを、濾過を介して該腸溶放出ビーズ溶液から収集すること;
(b)以下によって放出制御組成物を形成すること
(i)水溶液のpHを該オピオイド作用薬および該オピオイド拮抗薬のpKaの3単位下に調整すること;
(ii)収集した該腸溶放出ビーズを添加すること;
(iii)任意選択による加工成分および/または香味マスキング構成成分を添加すること;
(iv)少なくとも1つの放出制御マトリックスポリマーを添加して、放出制御コーティング組成物を形成すること;
(c)以下によって該経口フィルム製剤を形成すること
(i)該放出制御コーティング組成物の少なくとも1層をコーティングすること
(ii)コーティングした放出制御コーティングを乾燥して、放出制御層を形成すること;
(iii)乾燥した該放出制御層を切断して、有効量のオピオイド作用薬および/またはその塩と有効量のオピオイド拮抗薬および/またはその塩とを含む幾何学形状にすること
を含む、前記方法。
【0170】
(31)前記任意選択による加工構成成分および/または香味マスキング構成成分を含むプレミックスを形成することをさらに含む、(30)に記載される経口フィルム製剤を作製する方法。
【0171】
(32)前記極性溶媒および第2の極性溶媒は水である、(30)に記載される経口フィルム製剤を作製する方法。
【0172】
(33)慢性の関節炎、変形性関節症、急性腱炎、滑液包炎、頭痛、片頭痛、慢性の神経因性疼痛、帯状疱疹、月経前症候群、スポーツ損傷、悪性腫瘍の疼痛または物質乱用症候群を治療するための方法であって、1に記載される経口フィルム製剤を患者に投薬するまたは患者の口腔内に配置することによって該フィルム製剤を投与し、続いて治療的に有効な用量のオピオイド作用薬および臨床的に有効な用量のオピオイド拮抗薬を腸管内に放出させることを含む、前記治療方法。
【0173】
(34)前記経口フィルム製剤は、水または唾液以外の液体なしに投与される、(33)に記載される治療方法。
【0174】
様々な他の変更が当業者には明らかであり、本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者によって容易になされ得ることが理解される。したがって、添付の特許請求の範囲は本明細書に説明する記載に限定されることを意図するのではなく、むしろ特許請求の範囲は、本発明が属する分野の当業者によってその等価物として扱われると思われるすべての特徴を含め、本発明における特許可能な新規性のあるすべての特徴を包含すると解釈されることを意図している。したがって、本発明は、本明細書で記載する任意の1つの説明的実施形態に限定されるべきではない。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、冠詞「a」、「an」および「the」は、単数形の冠詞または複数形の冠詞のいずれも意味することができる。