【文献】
Database REGISTRY,2011年10月28日,RN 1338690-04-2, 1338679-22-3, 1338678-71-9, 1338677-12-5, 1338671-50-3, 1338670-58-8, 1338670-32-8, 1338667-98-3, 1338667-92-7, 1338663-20-9, 1338662-97-7, 1338662-87-5, 1338662-61-5, 1338659-79-2, 1338657-44-5, 1338657-38-7, 1338657-23-0, 1338656-98-6, 1338653-88-5, 1338653-82-9, 1239847-07-4, 1239845-17-0, 1239839-33-8, 1239786-29-8, 1239748-54-9, Retrieved from STN international [online] ;retrieved on 17 March 2017
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0003】
背景
カッパオピオイド受容体(KOR)は、主な内因性リガンドであるオピオイドペプチドダイノルフィンと結合する、オピオイド受容体ファミリーのメンバーである。KORは、脳、脊髄、および痛みニューロンにおける、広いが、異なる分布を有する。最近、てんかんおよび神経障害性疼痛などの神経疾患におけるその関与への洞察に加えて、認知および感情を制御する際のKORの役割を理解する上で著しい進歩がなされた。これらの病態は神経可塑性の誘導の崩壊という共通の特徴を有する。これはてんかんにおいては特に新しい考えではないが、精神障害の分野で新しく出てきた理論は、嗜癖およびうつなどの疾患は、最終的に不適応学習につながる、正常なシナプス生理学における崩壊および異常な神経可塑性にも由来することである。カッパオピオイド受容体は最近、嗜癖の処置におけるそれらの治療的可能性について調べられており(Hasebe K, Kawai K, Suzuki T, Kawamura K, Tanaka T, Narita M, Nagase H, Suzuki T (2004) ''Possible pharmacotherapy of the opioid kappa receptor agonist for drug dependence'' Annals of the New York Academy of Sciences 1025: 404-13(非特許文献1))、証拠からダイノルフィンが体の自然な嗜癖制御メカニズムの1つであると指摘されている(Frankel PS, Alburges ME, Bush L, Hanson GR, Kish SJ (2008) ''Striatal and ventral pallidum dynorphin concentrations are markedly increased in human chronic cocaine users'' Neuropharmacology 55 (1): 41-6(非特許文献2))。
【0004】
実験的「嗜癖」モデルにおいて、カッパオピオイド受容体は、薬物探索行動に関するストレス誘導性の再発に影響をおよぼすことも明らかにされている。薬物依存の個人にとって、再発のリスクは薬物使用をやめるための主な障壁である。最近の報告により、コカイン探索のストレス誘導性の復活にKORが必要であることが示された(Beardsley PM, Howard JL, Shelton KL, Carroll FI (2005) ''Differential effects of the novel kappa opioid receptor antagonist, JDTic, on reinstatement of cocaine-seeking induced by footshock stressors vs cocaine primes and its antidepressant-like effects in rats'' Psychopharmacology (Berl.) 183 (1): 118-26(非特許文献3); Redila VA, Chavkin C (2008). ''Stress-induced reinstatement of cocaine seeking is mediated by the kappa opioid system'' Psychopharmacology 200 (1): 59-70(非特許文献4); Blum K, Braverman ER, Holder JM, Lubar JF, Monastra VJ, Miller D, Lubar JO, Chen TJ, Comings DE (2000) ''Reward deficiency syndrome: a biogenetic model for the diagnosis and treatment of impulsive, addictive, and compulsive behaviors'' Journal of psychoactive drugs 32 Suppl: i-iv, 1-112(非特許文献5))。ダイノルフィン-カッパオピオイド系がストレス誘導性の薬物探索にとって非常に重要であることも報告されている。動物モデルで、ストレスはコカイン報酬行動をカッパオピオイド依存的様式で強化することが明らかにされている(McLaughlin JP, Marton- Popovici M, Chavkin C. (2003) ''Kappa opioid receptor antagonism and prodynophin gene disruption block stress-induced behavioral responses'' The Journal of Neuroscience 23 (13): 5674-83(非特許文献6); Mash, Deborah C. (2006) ''Social defeat stress- induced behavioral responses are mediated by the endogenous kappa opioid system'' Neuropsychopharmacology 31 (4): 787-94(非特許文献7))。これらの効果は、ダイノルフィン-KOR系の活性化を必要とするストレス誘導性の薬物渇望によって引き起こされるようである。見たところ逆説的であるが、薬物摂取がホメオスタシスからアロスタシスへの変化をもたらすことは周知である。
【0005】
退薬誘導性の不快気分またはストレス誘導性の不快気分は、個人が薬物摂取による軽減を探索する推進力として作用しうることが示唆されている。薬物の報酬特性は変化し、ストレス後のカッパオピオイド活性化がその報酬特性を増大させ、報酬行動の強化、または薬物探索への復活を引き起こすことは明らかである。カッパオピオイド受容体のストレス誘導性の活性化は、複数のシグナル伝達メカニズムによると考えられる。カッパオピオイド受容体は、アルコールおよびアヘン乱用を含むすべての型の嗜癖に対して顕著な効果を有する。コカイン嗜癖、ならびにアルコールまたは他の薬物に対する嗜癖は、重大な社会的、精神的、および身体的重要性を有する世界的問題である。嗜癖に対する様々な形の予防および/または処置が試みられてきたが、まだ改善の必要がある。例えば、嗜癖に関連する身体および/または精神状態を低減するための薬物として、小分子が使用されてきた。
【0006】
今では、ストレスの不快要素が不安状態および臨床的うつ病の発生に貢献すると考えられている。最近、ストレスの不快成分がダイノルフィン-KOR系によってコードされることを示唆する証拠が得られている(Land BB, Bruchas MR, Lemos JC, Xu M, Melief EJ, Chavkin C (2008) ''The dysphoric component of stress is encoded by activation of the dynorphin kappa-opioid system'' J Neurosci 28(2):407-414(非特許文献8))。ストレスがBDNF発現を低減することが明らかにされており、これは次いで個人を抑うつ気分になりやすくする。高用量のnorBNIによる短期前処置が海馬および扁桃体の領域においてBDNF mRNA発現を増大させることが明らかにされている(Zhang H, Shi YG, Woods JH, Watson SJ, Ko MC (2007) ''Central kappa-opioid receptor mediated antidepressant-like effects of nor Binaltorphimine: behavioral and BDNF mRNA expression studies'' Eur J Pharmacol 570(1-3):89-96(非特許文献9); Duman RS, Monteggia LM (2006) ''A neurotrophic model for stress-related mood disorders'' Biol Psychiatry 59(12):1116-1127(非特許文献10))。
【0007】
KORアゴニスト/アンタゴニストならびにノックアウト動物を用いてのいくつかの行動試験により、神経障害性疼痛の鎮痛におけるダイノルフィン-KOR系の役割の可能性が示されている。(Gaveriaux-Ruff C, Kieffer BL (2002) ''Opioid receptor genes inactivated in mice: the highlights'' Neuropeptides 36 (2-3): 62-71(非特許文献11))。
【0008】
ダイノルフィンペプチドおよびメッセージ発現がてんかんを有するヒトおよびてんかんの動物モデルの両方においてアップレギュレートされることを示唆する多くの証拠があり、ダイノルフィン-KOR系が疾患において重要な役割を果たすことを示唆している。(Bausch SB, Esteb TM, Terman GW, Chavkin C (1998) ''Administered and endogenously released kappa opioids decrease pilocarpine-induced seizures and seizure-induced histopathology'' J Pharmacol Exp Ther 284(3):1147-1155(非特許文献12); de Lanerolle NC, Williamson A, Meredith C et al (1997) ''Dynorphin and the kappa 1 ligand [3H] U69,593 binding in the human epileptogenic hippocampus'' Epilepsy Res 28(3):189-205(非特許文献13); Loacker S, Sayyah M, Wittmann W, Herzog H, Schwarzer C (2007) ''Endogenous dynorphin in epileptogenesis and epilepsy: anticonvulsant net effect via kappa opioid receptors'' Brain 130(pt 4):1017-1028(非特許文献14); Houser CR, Miyashiro JE, Swartz BE, Walsh GO, Rich JR, Delgado-Escueta AV (1990) ''Altered patterns of dynorphin immunoreactivity suggest mossy fiber reorganization in human hippocampal epilepsy'' J Neurosci 10(1):267-282(非特許文献15); De Sarro GB, De Sarro A (1993) ''Anticonvulsant properties of non-competitive antagonists of the N-methyl-D-aspartate receptor in genetically epilepsy-prone rats: comparison with CPPene'' Neuropharmacology 32(1):51-58(非特許文献16))。
【0009】
ダイノルフィン-KOR系が学習過程に関与することが示唆されている。空間学習のレベルと海馬体におけるダイノルフィン免疫反応性のレベルとの間の負の相関が示されている(Jiang HK, Owyang VV, Hong JS, Gallagher M (1989) ''Elevated dynorphin in the hippocampal formation of aged rats: relation to cognitive impairment on a spatial learning task'' Proc Natl Acad Sci USA 86(8):2948-2951(非特許文献17))。ヒトでは、アルツハイマー病患者の脳は、年齢をマッチさせた対照に比べてダイノルフィン発現が有意に増大する(Mathieu-Kia AM, Fan LQ, Kreek MJ, Simon EJ, Hiller JM (2001) ''Mu-, delta- and kappa-opioid receptor populations are differentially altered in distinct areas of postmortem brains of Alzheimer's disease patients'' Brain Res 893(1-2):121-134(非特許文献18))。
【発明を実施するための形態】
【0018】
詳細な説明
定義
本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる単数形「一つ(a)」、「一つ(an)」、および「一つ(the)」は、文脈が明らかにそうではないと示さないかぎり、複数の指示物を含む。
【0019】
本明細書において用いられる「約」なる用語は、数値または範囲に言及する場合、値または範囲において、例えば、規定する値または規定する範囲の限界の10%以内、または5%以内の程度の可変性を許容する。
【0020】
すべてのパーセント組成は、特に記載がないかぎり、重量パーセンテージで示す。
【0021】
ポリマーのすべての平均分子量は、特に記載がないかぎり、重量平均分子量である。
【0022】
本明細書において用いられる「個体」(処置の対象におけるように)または「患者」とは、哺乳動物および非哺乳動物の両方を意味する。哺乳動物には、例えば、ヒト;非ヒト霊長類、例えば、類人猿およびサル;ならびに非霊長類、例えば、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ヒツジ、およびヤギが含まれる。非哺乳動物には、例えば、魚および鳥が含まれる。
【0023】
「疾患」または「障害」または「状態不良」なる用語は交換可能に用いられ、疾患または状態不良に関与する生化学的メカニズムにおいて、カッパ(κ)オピオイド受容体が、カッパオピオイド受容体に作用することによって治療的に有益な効果が達成されうるような役割を果たす疾患または状態またはその徴候を指すために用いられる。カッパオピオイド受容体に「作用すること」またはカッパオピオイド受容体を「調整すること」は、カッパオピオイド受容体に結合すること、および/またはカッパオピオイド受容体の生物活性を阻害すること、および/またはインビボでカッパオピオイド受容体の生物学的活性をアロステリックに調節することを含みうる。
【0024】
「有効量」なる表現は、障害を患っている個体への治療を記載するために用いる場合、障害に関与するカッパオピオイド受容体が活性である個体の組織においてカッパオピオイド受容体を阻害する、またはそれ以外に作用するのに有効な、本発明の化合物の量を意味し、ここでそのような阻害または他の作用は有益な治療効果を生じるのに十分な程度まで起こる。
【0025】
用語が本明細書において用いられる場合、「実質的に」とは完全に、またはほとんど完全に、を意味し;例えば、ある成分を「実質的に含まない」組成物は、成分をまったく含まないか、もしくは組成物の任意の関連する機能特性が痕跡量の存在によって影響されないような痕跡量を含み、または化合物が「実質的に純粋」であるとは、無視できる極微量の不純物しか存在しないことである。
【0026】
本明細書における意味の範囲内の「処置すること」または「処置」は、障害もしくは疾患に関連する症状の軽減、またはそれらの症状のさらなる進行もしくは悪化の阻害、または疾患もしくは障害の防止もしくは予防、または疾患もしくは障害を治癒することを意味する。同様に、本明細書において用いられる本発明の化合物の「有効量」または「治療的有効量」とは、障害もしくは状態に関連する症状を、全部もしくは一部軽減する、またはそれらの症状のさらなる進行もしくは悪化を停止もしくは遅延させる、または障害もしくは状態を防止する、もしくはその予防を提供する、化合物の量を意味する。特に、「治療的有効量」とは、所望の治療結果を達成するために、必要な用量および期間で、有効な量を意味する。
【0027】
治療的有効量は、本発明の化合物の任意の毒性または有害効果よりも、治療的に有益な効果がまさっている量でもある。
【0028】
本明細書において用いられる、合成法の文脈における、「提供するのに適した条件下で」または「生じるのに十分な条件下で」などの語句は、実験者にとって変更することは通常の技術の範囲内であり、反応生成物の有用な量または収率を提供する、時間、温度、溶媒、反応物濃度などの反応条件を意味する。所望の反応生成物を単離する、またはそうではなくさらに使用することができるとの条件で、所望の反応生成物が唯一の反応生物である、または出発原料が完全に消費される必要はない。
【0029】
「化学的に可能な」とは、有機構造の一般に理解されている規則が破られない結合配列または化合物を意味し;例えば、特定の場合に、天然には存在しない五価の炭素原子を含む、特許請求の範囲の定義の範囲内の構造は、特許請求の範囲内ではないことが理解されるであろう。本明細書において開示する構造は、それらの態様のすべてにおいて、「化学的に可能な」構造のみを含むことが意図され、例えば、様々な原子または基と共に示す構造において、化学的に可能ではない任意の列挙した構造は、本明細書において開示する、または特許請求することが意図されない。
【0030】
用語が本明細書において用いられる場合、化学構造の「類縁体」とは、親構造と実質的な類似性を維持しているが、親構造から合成によって容易に誘導されないこともある、化学構造を意味する。親化学構造から合成によって容易に誘導される関連化学構造は「誘導体」と呼ぶ。
【0031】
置換基が指定の同一性の原子、「または結合」であると指定される場合、立体配座は置換基が「結合」である場合には指定の置換基に直に隣接している基は化学的に可能な結合配座で互いに直接連結されているとされる。
【0032】
特定の立体化学または異性体型が具体的に示されないかぎり、構造のすべてのキラル型、ジアステレオマー型、ラセミ型が意図される。本発明において用いられる化合物は、記載から明らかなとおり、任意またはすべての不斉原子で濃縮または分割された光学異性体を、任意の濃縮度で含みうる。ラセミおよびジアステレオマー混合物の両方、ならびに個々の光学異性体は、それらの鏡像異性体またはジアステレオマーの相手を実質的に含まないように、単離または合成することができ、これらはすべて本発明の範囲内である。
【0033】
「安定な化合物」および「安定な構造」なる用語は、反応混合物から有用な純度までの単離、および有効な治療薬への製剤に耐えるのに十分強い化合物を示すことになる。安定な化合物だけが本明細書において企図される。
【0034】
「小分子」とは、ポリヌクレオチド、ポリペプチド、多糖、または複数の反復単位からなる合成ポリマーではない、約2kDa未満の分子量の、有機金属化合物を含む、有機化合物を意味する。
【0035】
1つまたは複数の置換基を含む、本明細書に記載の任意の基に関して、そのような基は立体的に実現不可能および/または合成的に不可能な、任意の置換または置換パターンを含まないことが理解される。加えて、本開示の対象の化合物は、これらの化合物の置換から生じるすべての立体化学的異性体を含む。
【0036】
様々な態様において、本発明の化合物に含まれる、または本発明の方法において用いられるものなどの、化合物または化合物群は、前述の態様の任意の組み合わせおよび/または下位の組み合わせの任意の1つでありうる。
【0037】
基、例えば、「アルキル」基が基における原子の数に対していかなる制限もなしに言及される場合、請求項はアルキル基のサイズに関して限定的で、定義および機能性の両方によって制限され;前者はすなわち、アルキル基などの基が有するサイズ(炭素原子の数)は有限の数で、宇宙の炭素原子の総数よりも少なく、基のサイズは分子実体に対して妥当であるとの当業者の理解によって制限され;かつ後者はすなわち、アルキル基などの基のサイズは、水性または有機性液体媒質中の溶解性などの、基を含む分子に基が与える機能的特性によって制限されることが理解される。したがって、「アルキル」または他の化学基もしくは部分を列挙する請求項は、基における原子の数は無限ではありえないため、限定的で、制限される。
【0038】
天然の原子の天然同位体分布とは異なる、分子中の1つまたは複数の原子の同位体型の包含は、分子の「同位体標識型」と呼ぶ。原子の特定の同位体型が示されないかぎり、原子のすべての同位体型が任意の分子の組成に選択肢として含まれる。例えば、分子中の任意の水素原子または原子群は水素の任意の異性体型、すなわち、任意の組み合わせのプロチウム(
1H)、重水素(
2H)、またはトリチウム(
3H)でありうる。同様に、分子中の任意の炭素原子または原子群は、
11C、
12C、
13C、もしくは
14Cなどの炭素の任意の異性体型でありえ、または分子中の任意の窒素原子または原子群は、
13N、
14N、もしくは
15Nなどの窒素の任意の異性体型でありうる。分子は、分子を作り上げている成分原子において任意の組み合わせの同位体型を含むことができ、分子を形成しているあらゆる原子の同位体型は独立に選択される。化合物の多分子試料において、あらゆる個々の分子が必ずしも同じ同位体組成を有するわけではない。例えば、化合物の試料は、肉眼的試料を作り上げている分子群のある画分だけが放射性原子を含む、トリチウムまたは
14C放射性標識試料などの、様々な異なる同位体組成を含む試料を含みうる。人工的にそれら自体を同位体濃縮しているのではない多くの元素は、
14Nおよび
15N、
32Sおよび
34Sなどの、天然の同位体型の混合物であることも理解される。本明細書において列挙する分子は、分子内の各位置ですべてのその構成元素の同位体型を含むと定義される。当技術分野において周知のとおり、同位体標識した化合物を、同位体標識した前駆体分子で置換する以外は、化学合成の通常の方法によって調製することができる。放射性標識または安定同位体は、原子炉内の前駆体核種の中性子吸収による生成、サイクロトロン反応による生成、または質量分析などによる同位体分離による生成などの、当技術分野において公知の任意の方法によって得ることができる。任意の特定の合成経路において用いるための必要に応じて、同位体型を前駆体に組み込む。例えば、
14Cおよび
3Hを原子炉内で生成した中性子を用いて調製することができる。核変換後、
14Cおよび
3Hを前駆体分子に組み込み、続いて必要に応じてさらなる加工を行う。
【0039】
本明細書において用いられる「アミノ保護基」または「N-保護」なる用語は、アミノ基を合成手順中の望ましくない反応に対して保護することが意図され、後に除去してアミンを曝露しうる基を意味する。一般に用いられるアミノ保護基は、Protective Groups in Organic Synthesis, Greene, T.W.; Wuts, P. G. M., John Wiley & Sons, New York, NY, (3rd Edition, 1999)に開示されている。アミノ保護基には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t-ブチルアセチル、2-クロロアセチル、2-ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、o-ニトロフェノキシアセチル、α-クロロブチリル、ベンゾイル、4-クロロベンゾイル、4-ブロモベンゾイル、4-ニトロベンゾイルなどのアシル基;ベンゼンスルホニル、p-トルエンスルホニルなどのスルホニル基;ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、p-クロロベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、2-ニトロベンジルオキシカルボニル、p-ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4-メトキシベンジルオキシカルボニル、2-ニトロ-4,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5-トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1-(p-ビフェニリル)-1-メチルエトキシカルボニル、α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t-ブチルオキシカルボニル(Boc)、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル(Alloc)、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、2-トリメチルシリルエチルオキシカルボニル(Teoc)、フェノキシカルボニル、4-ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル-9-メトキシカルボニル(Fmoc)、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェニルチオカルボニルなどのアルコキシ-またはアリールオキシ-カルボニル基(保護アミンとウレタンを形成する);ベンジル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシメチルなどのアラルキル基;およびトリメチルシリルなどのシリル基が含まれる。アミン保護基には、フタロイルおよびジチオスクシンイミジルなどの環状アミノ保護基も含まれ、これらはアミノ窒素を複素環に組み込む。典型的には、アミノ保護基には、ホルミル、アセチル、ベンゾイル、ピバロイル、t-ブチルアセチル、フェニルスルホニル、Alloc、Teoc、ベンジル、Fmoc、BocおよびCbzが含まれる。当面の合成作業のために適切なアミノ保護基を選択して使用することは、当業者の技術の範囲内である。
【0040】
本明細書において用いられる「ヒドロキシル保護基」または「O-保護」なる用語は、OH基を合成手順中の望ましくない反応に対して保護することが意図され、後に除去してアミンを曝露しうる基を意味する。一般に用いられるヒドロキシル保護基は、Protective Groups in Organic Synthesis, Greene, T.W.; Wuts, P. G. M., John Wiley & Sons, New York, NY, (3rd Edition, 1999)に開示されている。ヒドロキシル保護基には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ピバロイル、t-ブチルアセチル、2-クロロアセチル、2-ブロモアセチル、トリフルオロアセチル、トリクロロアセチル、o-ニトロフェノキシアセチル、α-クロロブチリル、ベンゾイル、4-クロロベンゾイル、4-ブロモベンゾイル、4-ニトロベンゾイルなどのアシル基;ベンゼンスルホニル、p-トルエンスルホニルなどのスルホニル基;ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、p-クロロベンジルオキシカルボニル、p-メトキシベンジルオキシカルボニル、p-ニトロベンジルオキシカルボニル、2-ニトロベンジルオキシカルボニル、p-ブロモベンジルオキシカルボニル、3,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、2,4-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、4-メトキシベンジルオキシカルボニル、2-ニトロ-4,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、3,4,5-トリメトキシベンジルオキシカルボニル、1-(p-ビフェニリル)-1-メチルエトキシカルボニル、α,α-ジメチル-3,5-ジメトキシベンジルオキシカルボニル、ベンズヒドリルオキシカルボニル、t-ブチルオキシカルボニル(Boc)、ジイソプロピルメトキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、エトキシカルボニル、メトキシカルボニル、アリルオキシカルボニル(Alloc)、2,2,2-トリクロロエトキシカルボニル、2-トリメチルシリルエチルオキシカルボニル(Teoc)、フェノキシカルボニル、4-ニトロフェノキシカルボニル、フルオレニル-9-メトキシカルボニル(Fmoc)、シクロペンチルオキシカルボニル、アダマンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル、フェニルチオカルボニルなどのアシルオキシ基(保護アミンとウレタンを形成する);ベンジル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシメチルなどのアラルキル基;およびトリメチルシリルなどのシリル基が含まれる。当面の合成作業のために適切なヒドロキシル保護基を選択して使用することは、当業者の技術の範囲内である。
【0041】
一般に、「置換された」とは、その中に含まれる水素原子への1つまたは複数の結合が、ハロゲン(すなわち、F、Cl、Br、およびI);ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、オキソ(カルボニル)基、カルボン酸、カルボン酸塩、およびカルボン酸エステルを含むカルボキシル基などの基における酸素原子;チオール基、アルキルおよびアリールスルフィド基、スルホキシド基、スルホン基、スルホニル基、およびスルホンアミド基などの基における硫黄原子;アミン、ヒドロキシルアミン、ニトリル、ニトロ基、N-オキシド、ヒドラジド、アジド、およびエナミンなどの基における窒素原子;ならびに様々な他の基における他のヘテロ原子などであるが、それらに限定されるわけではない、水素ではない原子への1つまたは複数の結合によって置き換えられている、本明細書において定義する有機基を意味する。置換された炭素(または他の)原子に結合されうる置換基Jの非限定例には、F、Cl、Br、I、OR'、OC(O)N(R')
2、CN、NO、NO
2、ONO
2、アジド、CF
3、OCF
3、R'、O(オキソ)、S(チオノ)、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、N(R')
2、SR'、SOR'、SO
2R'、SO
2N(R')
2、SO
3R'、C(O)R'、C(O)C(O)R'、C(O)CH
2C(O)R'、C(S)R'、C(O)OR'、OC(O)R'、C(O)N(R')
2、OC(O)N(R')
2、C(S)N(R')
2、(CH
2)
0-2N(R')C(O)R'、(CH
2)
0-2N(R')N(R')
2、N(R')N(R')C(O)R'、N(R')N(R')C(O)OR'、N(R')N(R')CON(R')
2、N(R')SO
2R'、N(R')SO
2N(R')
2、N(R')C(O)OR'、N(R')C(O)R'、N(R')C(S)R'、N(R')C(O)N(R')
2、N(R')C(S)N(R')
2、N(COR')COR'、N(OR')R'、C(=NH)N(R')
2、C(O)N(OR')R'、またはC(=NOR')R'が含まれ、ここでR'は水素または炭素を基礎とする部分でありえ、かつここで炭素を基礎とする部分はそれ自体がさらに置換されていてもよい。例えば、R'は水素、アルキル、アシル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、またはヘテロアリールアルキルでありえ、ここで任意のアルキル、アシル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、もしくはヘテロアリールアルキルでありえ、またはR'は独立にJで一置換または多置換されていてもよく;あるいはここで窒素原子または隣接窒素原子に結合された2つのR'基は、窒素原子と一緒にヘテロシクリルを形成してもよく、これはJで一置換または独立に多置換されていてもよい。
【0042】
置換基が、例えば、FまたはClなどの、一価である場合、これは一重結合によって置換している原子に結合されている。置換基が、二価であるOなどの、一価よりも多価である場合、これは複数の結合によって置換している原子に結合されえ、すなわち、二価置換基は二重結合によって結合され;例えば、Oで置換されたCはカルボニル基、C=Oを形成し、これは「CO」、「C(O)」、または「C(=O)」と書くこともでき、ここでCおよびOは二重結合している。炭素原子が二重結合酸素(=O)基で置換されている場合、酸素置換基は「オキソ」基と呼ぶ。NRなどの二価置換基が炭素原子に二重結合している場合、得られるC(=NR)基は「イミノ」基と呼ぶ。Sなどの二価置換基が炭素原子に二重結合している場合、得られるC(=S)基は「チオカルボニル」基または「チオノ」基と呼ぶ。
【0043】
または、O、またはSなどの二価置換基は2つの一重結合によって2つの異なる炭素原子に連結されうる。例えば、二価置換基であるOは、2つの隣接炭素原子のそれぞれに結合してエポキシド基を提供することができ、またはOは、隣接もしくは非隣接炭素原子の間で「オキシ」基と呼ぶ架橋エーテル基を形成する、例えば、シクロヘキシル基の1,4-炭素を架橋して[2.2.1]-オキサビシクロ系を形成することができる。さらに、任意の置換基を炭素または他の原子に、(CH
2)
nまたは(CR'
2)
nなどのリンカーによって結合することもでき、ここでnは1、2、3、またはそれ以上であり、かつ各R'は独立に選択される。
【0044】
C(O)およびS(O)
2基はまた、炭素原子ではなく、窒素または酸素などの1つまたは2つのヘテロ原子に結合することができる。例えば、C(O)基が1つの炭素および1つの窒素原子に結合している場合、得られる基は「アミド」または「カルボキサミド」と呼ぶ。C(O)基が2つの窒素原子に結合している場合、官能基は「尿素」と呼ぶ。C(O)が1つの酸素および1つの窒素原子に結合している場合、得られる基は「カルバメート」または「ウレタン」と呼ぶ。S(O)
2基が1つの炭素および1つの窒素原子に結合している場合、得られる単位は「スルホンアミド」と呼ぶ。S(O)
2基が2つの窒素原子に結合している場合、得られる単位は「スルファメート」と呼ぶ。
【0045】
置換アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、およびシクロアルケニル基ならびに他の置換された基には、水素原子への1つまたは複数の結合が、炭素原子への、またはカルボニル(オキソ)、カルボキシル、エステル、アミド、イミド、ウレタン、および尿素基における酸素;ならびにイミン、ヒドロキシイミン、オキシム、ヒドラゾン、アミジン、グアニジン、およびニトリルにおける窒素などであるが、それらに限定されるわけではない、ヘテロ原子への二重または三重結合を含む1つまたは複数の結合によって置き換えられている基も含まれる。
【0046】
置換シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基などの置換された環基には、水素原子への結合が炭素原子への結合で置き換えられている環および縮合環系も含まれる。したがって、置換シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基を、本明細書において定義するアルキル、アルケニル、およびアルキニル基で置換することもできる。
【0047】
用語が本明細書において用いられる場合の「環系」とは、1、2、3またはそれ以上の環を含む部分を意味し、これらは非環基もしくは他の環系、または両方で置換されていてもよく、これらは完全飽和、部分不飽和、完全不飽和、または芳香族でありえ、かつ環系が複数の環を含む場合、環は縮合、架橋、またはスピロ環状でありうる。
【0048】
「スピロ環状」とは、当技術分野において周知のとおり、2つの環が1つの四面体型炭素原子で縮合している構造群を意味する。
【0049】
1つまたは複数の置換基を含む本明細書に記載の任意の基に関して、当然のことながら、そのような基は立体的に実行不可能および/または合成的に不可能である任意の置換または置換パターンを含まないことが理解される。加えて、この開示する内容の化合物は、これらの化合物の置換から生じるすべての立体化学的異性体を含む。
【0050】
アルキル基には、1から約20個の炭素原子、典型的には1から12個の炭素、または、いくつかの態様において、1から8個の炭素原子を有する、直鎖および分枝アルキル基およびシクロアルキル基が含まれる。直鎖アルキル基の例には、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n- ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、およびn-オクチル基などの1から8個の炭素原子を有するものが含まれる。分枝アルキル基の例には、イソプロピル、イソ-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ネオペンチル、イソペンチル、および2,2-ジメチルプロピル基が含まれるが、それらに限定されるわけではない。本明細書において用いられる「アルキル」なる用語は、n-アルキル、イソアルキル、およびアンテイソアルキル基ならびにアルキルの他の分枝鎖型を含む。代表的な置換アルキル基は、上に挙げた任意の基、例えば、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、ニトロ、チオ、アルコキシ、およびハロゲン基で1回または複数回置換されうる。
【0051】
シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチル基などであるが、それらに限定されるわけではない、環状アルキル基である。いくつかの態様において、シクロアルキル基は3から約8〜12個の環構成員を有しうるが、他の態様において、環炭素原子の数は3〜4、5、6、または7個の範囲である。シクロアルキル基には、ノルボルニル、アダマンチル、ボルニル、カンフェニル、イソカンフェニル、およびカレニル基などであるが、それらに限定されるわけではない、多環式シクロアルキル基、ならびにデカリニルなどであるが、それらに限定されるわけではない、縮合環がさらに含まれる。シクロアルキル基には、上で定義した直鎖または分枝鎖アルキル基で置換されている環も含まれる。代表的な置換シクロアルキル基は、2,2-、2,3-、2,4- 2,5-もしくは2,6-二置換シクロヘキシル基または一、二もしくは三置換ノルボルニルもしくはシクロヘプチル基などであるが、それらに限定されるわけではない、一置換または複数置換されていてもよく、これらは、例えば、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、ニトロ、チオ、アルコキシ、およびハロゲン基で置換されうる。「シクロアルケニル」なる用語は単独または組み合わせで環状アルケニル基を意味する。
【0052】
「炭素環式」、「カルボシクリル」、および「炭素環」なる用語は、シクロアルキル基またはアリール基などの、環の原子が炭素である環構造を意味する。いくつかの態様において、炭素環は3〜8個の環構成員を有するが、他の態様において、環炭素原子の数は4、5、6、または7個である。そうではないことが具体的に示されていないかぎり、炭素環はN-1もの数の置換基で置換されえ、ここでNは、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アミノ、アリール、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ニトロ、チオ、アルコキシ、およびハロゲン基、または上に挙げた他の基を有する炭素環のサイズである。炭素環はシクロアルキル環、シクロアルケニル環、またはアリール環でありうる。カルボシクリルは単環式または多環式でありえ、多環式の場合には各環は独立にシクロアルキル環、シクロアルケニル環、またはアリール環でありうる。
【0053】
(シクロアルキル)アルキル基はシクロアルキルアルキルとも表示され、アルキル基の水素または炭素結合が上で定義したシクロアルキル基への結合で置き換えられている、上で定義したアルキル基である。
【0054】
アルケニル基には、2個の炭素原子の間に少なくとも1つの二重結合が存在すること以外は、上で定義した直鎖および分枝鎖ならびに環状アルキル基が含まれる。したがって、アルケニル基は2から約20個の炭素原子、典型的には2から12個の炭素、または、いくつかの態様において、2から8個の炭素原子を有する。例には、特にビニル、-CH=CH(CH
3)、-CH=C(CH
3)
2、-C(CH
3)=CH
2、-C(CH
3)=CH(CH
3)、-C(CH
2CH
3)=CH
2、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニル、ブタジエニル、ペンタジエニル、およびヘキサジエニルが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0055】
シクロアルケニル基には、2個の炭素の間に少なくとも1つの二重結合を有するシクロアルキルが含まれる。したがって、例えば、シクロアルケニル基にはシクロヘキセニル、シクロペンテニル、およびシクロヘキサジエニル基が含まれるが、それらに限定されるわけではない。シクロアルケニル基は、3から約8〜12個の環構成員を有しうるが、他の態様において、環炭素原子の数は3〜5、6、または7個の範囲である。シクロアルキル基には、それらが環内に少なくとも1つの二重結合を含むことを条件として、ノルボルニル、アダマンチル、ボルニル、カンフェニル、イソカンフェニル、およびカレニル基などであるが、それらに限定されるわけではない、多環式シクロアルキル基、ならびにデカリニルなどであるが、それらに限定されるわけではない、縮合環がさらに含まれる。シクロアルケニル基には、上で定義した直鎖または分枝鎖アルキル基で置換されている環も含まれる。
【0056】
(シクロアルケニル)アルキル基は、アルキル基の水素または炭素結合が上で定義したシクロアルケニル基への結合で置き換えられている、上で定義したアルキル基である。
【0057】
アルキニル基には、2個の炭素原子の間に少なくとも1つの三重結合が存在すること以外は、直鎖および分枝鎖アルキル基が含まれる。したがって、アルキニル基は2から約20個の炭素原子、典型的には2から12個の炭素、または、いくつかの態様において、2から8個の炭素原子を有する。例には、特に-C≡CH、-C≡C(CH
3)、-C≡C(CH
2CH
3)、-CH
2C≡CH、-CH
2C≡C(CH
3)、および-CH
2C≡C(CH
2CH
3)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0058】
「ヘテロアルキル」なる用語はそれ自体で、または別の用語との組み合わせで、特に記載がないかぎり、規定の数の炭素原子ならびにO、N、およびSからなる群より選択される1または2個のヘテロ原子からなり、窒素および硫黄原子は酸化されていてもよく、かつ窒素ヘテロ原子は四級化されていてもよい、安定な直鎖または分枝鎖アルキル基を意味する。ヘテロ原子は、ヘテロアルキル基の残部とそれが連結している断片との間を含む、ヘテロアルキル基の任意の位置にあってもよく、同様にヘテロアルキル基の最も遠位の炭素原子に連結していてもよい。例には:-O-CH
2-CH
2-CH
3、-CH
2-CH
2CH
2-OH、-CH
2-CH
2-NH-CH
3、-CH
2-S-CH
2-CH
3、-CH
2CH
2-S(=O)-CH
3、および-CH
2CH
2-O-CH
2CH
2-O-CH
3が含まれる。例えば、-CH
2-NH-OCH
3、または-CH
2-CH
2-S-S-CH
3などの、2個までのヘテロ原子は連続であってもよい。
【0059】
「シクロヘテロアルキル」環は、少なくとも1つのヘテロ原子を含むシクロアルキル環である。シクロヘテロアルキル環は、以下に記載の「ヘテロシクリル」と呼ぶこともできる。
【0060】
「ヘテロアルケニル」なる用語はそれ自体で、または別の用語との組み合わせで、特に記載がないかぎり、規定の数の炭素原子ならびにO、N、およびSからなる群より選択される1または2個のヘテロ原子からなり、窒素および硫黄原子は酸化されていてもよく、かつ窒素ヘテロ原子は四級化されていてもよい、安定な直鎖または分枝鎖一不飽和または二不飽和炭化水素基を意味する。2個までのヘテロ原子は連続で配置されていてもよい。例には-CH=CH-O-CH
3、-CH=CH-CH
2-OH、-CH
2-CH=N-OCH
3、-CH=CH-N(CH
3)-CH
3、-CH
2-CH=CH-CH
2-SH、および-CH=CH-O-CH
2CH
2-O-CH
3が含まれる。
【0061】
アリール基は、環にヘテロ原子を含まない、環状芳香族炭化水素である。したがって、アリール基には、フェニル、アズレニル、ヘプタレニル、ビフェニル、インダセニル、フルオレニル、フェナントレニル、トリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、クリセニル、ビフェニレニル、アントラセニル、およびナフチル基が含まれるが、それらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、アリール基は基の環部分に約6から約14個の炭素を含む。アリール基は、上で定義したとおり、無置換でも置換されていてもよい。2-、3-、4-、5-、もしくは6-置換フェニルまたは2〜8置換ナフチル基などであるが、それらに限定されるわけではない、代表的な置換アリール基は、一置換または複数回置換されえ、これらは上に挙げたものなどの炭素または非炭素基で置換されうる。
【0062】
アラルキル基は、アルキル基の水素または炭素結合が上で定義したアリール基への結合で置き換えられている、上で定義したアルキル基である。代表的なアラルキル基には、ベンジルおよびフェニルエチル基ならびに4-エチル-インダニルなどの縮合(シクロアルキルアリール)アルキル基が含まれる。アラルケニル基は、アルキル基の水素または炭素結合が上で定義したアリール基への結合で置き換えられている、上で定義したアルケニル基である。
【0063】
ヘテロシクリル基または「ヘテロシクリル」なる用語は、3個以上の環構成員を含む芳香環および非芳香環を含み、環構成員のうち1つまたは複数はN、O、およびSなどであるが、それらに限定されるわけではない、ヘテロ原子である。したがって、ヘテロシクリルはシクロヘテロアルキル、もしくはヘテロアリール、または多環式の場合にはその任意の組み合わせでありうる。いくつかの態様において、ヘテロシクリル基は3から約20個の環構成員を含むが、他のそのような基は3から約15個の環構成員を有する。C
2-ヘテロシクリルと呼ぶヘテロシクリル基は、2個の炭素原子および3個のヘテロ原子を有する5員環、2個の炭素原子および4個のヘテロ原子を有する6員環などでありうる。同様に、C
4-ヘテロシクリルは、1個のヘテロ原子を有する5員環、2個のヘテロ原子を有する6員環などでありうる。炭素原子の数プラスヘテロ原子の数は合計して環原子の総数に等しくなる。ヘテロシクリル環は1つまたは複数の二重結合も含みうる。ヘテロアリール環はヘテロシクリル基の一態様である。「ヘテロシクリル基」なる語句は、縮合芳香族および非芳香族基を含むものを含む縮合環種を含む。例えば、ジオキソラニル環およびベンズジオキソラニル環系(メチレンジオキシフェニル環系)はいずれも本明細書における意味内のヘテロシクリル基である。この語句は、キヌクリジルなどであるが、それに限定されるわけではない、ヘテロ原子を含む多環式環系も含む。ヘテロシクリル基は無置換でもよく、または前述のとおりに置換されていてもよい。ヘテロシクリル基には、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、インドリル、ジヒドロインドリル、アザインドリル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、アザベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、イミダゾピリジニル、イソキサゾロピリジニル、チアナフタレニル、プリニル、キサンチニル、アデニニル、グアニニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、キノキサリニル、およびキナゾリニル基が含まれるが、それらに限定されるわけではない。ピペリジニルまたはキノリニル基などであるが、それらに限定されるわけではない、代表的な置換ヘテロシクリル基は、一置換または複数回置換されえ、これらは2-、3-、4-、5-、もしくは6-置換、または上に挙げたものなどの基で二置換される。
【0064】
ヘテロアリール基は、5個以上の環構成員を含む芳香環化合物であり、環構成員のうち1つまたは複数はN、O、およびSなどであるが、それらに限定されるわけではない、ヘテロ原子であり;例えば、ヘテロアリール環は5から約8〜12個の環構成員を有しうる。ヘテロアリール基は、芳香族電子構造を有する様々なヘテロシクリル基である。C
2-ヘテロアリールと呼ぶヘテロアリール基は、2個の炭素原子および3個のヘテロ原子を有する5員環、2個の炭素原子および4個のヘテロ原子を有する6員環などでありうる。同様に、C
4-ヘテロアリールは、1個のヘテロ原子を有する5員環、2個のヘテロ原子を有する6員環などでありうる。炭素原子の数プラスヘテロ原子の数は合計して環原子の総数に等しくなる。ヘテロアリール基には、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、インドリル、アザインドリル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、アザベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、イミダゾピリジニル、イソキサゾロピリジニル、チアナフタレニル、プリニル、キサンチニル、アデニニル、グアニニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、キノキサリニル、およびキナゾリニル基などの基が含まれるが、それらに限定されるわけではない。ヘテロアリール基は無置換でもよく、または前述の基で置換されていてもよい。代表的な置換ヘテロアリール基は、上に挙げたものなどの基で1回または複数回置換されうる。
【0065】
アリールおよびヘテロアリール基のさらなる例には、フェニル、ビフェニル、インデニル、ナフチル(1-ナフチル、2-ナフチル)、N-ヒドロキシテトラゾリル、N- ヒドロキシトリアゾリル、N-ヒドロキシイミダゾリル、アントラセニル(1-アントラセニル、2-アントラセニル、3-アントラセニル)、チオフェニル(2-チエニル、3-チエニル)、フリル(2-フリル、3-フリル)、インドリル、オキサジアゾリル、イソキサゾリル、キナゾリニル、フルオレニル、キサンテニル、イソインダニル、ベンズヒドリル、アクリジニル、チアゾリル、ピロリル(2-ピロリル)、ピラゾリル(3-ピラゾリル)、イミダゾリル(1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、5-イミダゾリル)、トリアゾリル(1,2,3-トリアゾル-1-イル、1,2,3-トリアゾル-2-イル 1,2,3-トリアゾル-4-イル、1,2,4-トリアゾル-3-イル)、オキサゾリル(2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル)、チアゾリル(2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル)、ピリジル(2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル)、ピリミジニル(2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、6-ピリミジニル)、ピラジニル、ピリダジニル(3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、5-ピリダジニル)、キノリル(2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、6-キノリル、7-キノリル、8-キノリル)、イソキノリル(1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、6-イソキノリル、7-イソキノリル、8-イソキノリル)、ベンゾ[b]フラニル(2-ベンゾ[b]フラニル、3-ベンゾ[b]フラニル、4-ベンゾ[b]フラニル、5-ベンゾ[b]フラニル、6-ベンゾ[b]フラニル、7-ベンゾ[b]フラニル)、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル(2-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、3-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、4-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、5-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、6-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、7-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、ベンゾ[b]チオフェニル(2-ベンゾ[b]チオフェニル、3-ベンゾ[b]チオフェニル、4-ベンゾ[b]チオフェニル、5-ベンゾ[b]チオフェニル、6-ベンゾ[b]チオフェニル、7-ベンゾ[b]チオフェニル)、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル、(2-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)、3-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)、4-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)、5-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)、6-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)、7-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)、インドリル(1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル)、インダゾール(1-インダゾリル、3-インダゾリル、4-インダゾリル、5-インダゾリル、6-インダゾリル、7-インダゾリル)、ベンズイミダゾリル(1-ベンズイミダゾリル、2-ベンズイミダゾリル、4-ベンズイミダゾリル、5-ベンズイミダゾリル、6-ベンズイミダゾリル、7-ベンズイミダゾリル、8-ベンズイミダゾリル)、ベンゾキサゾリル(1-ベンゾキサゾリル、2-ベンゾキサゾリル)、ベンゾチアゾリル(1-ベンゾチアゾリル、2-ベンゾチアゾリル、4-ベンゾチアゾリル、5-ベンゾチアゾリル、6-ベンゾチアゾリル、7-ベンゾチアゾリル)、カルバゾリル(1-カルバゾリル、2-カルバゾリル、3-カルバゾリル、4-カルバゾリル)、5H-ジベンズ[b,f]アゼピン(5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-1-イル、5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-2-イル、5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-3-イル、5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-4-イル、5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-5-イル)、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ[b,f]アゼピン(10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-1-イル、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-2-イル、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-3-イル、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-4-イル、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンズ[b,f]アゼピン-5-イル)などが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0066】
ヘテロシクリルアルキル基は、上で定義したアルキル基の水素または炭素結合が上で定義したヘテロシクリル基への結合で置き換えられている、上で定義したアルキル基である。代表的なヘテロシクリルアルキル基には、フラン-2-イルメチル、フラン-3-イルメチル、ピリジン-3-イルメチル、テトラヒドロフラン-2-イルエチル、およびインドル-2-イルプロピルが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0067】
ヘテロアリールアルキル基は、アルキル基の水素または炭素結合が上で定義したヘテロアリール基への結合で置き換えられている、上で定義したアルキル基である。
【0068】
「アルコキシ」なる用語は、上で定義したとおり、シクロアルキル基を含む、アルキル基に連結した酸素原子を意味する。直鎖アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどが含まれるが、それらに限定されるわけではない。分枝アルコキシの例には、イソプロポキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、イソペンチルオキシ、イソヘキシルオキシなどが含まれるが、それらに限定されるわけではない。環状アルコキシの例には、シクロプロピルオキシ、シクロブチルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが含まれるが、それらに限定されるわけではない。アルコキシ基は、酸素原子に結合した1から約12〜20個の炭素原子を含むことができ、さらに二重または三重結合を含むことができ、ヘテロ原子を含むこともできる。例えば、アリルオキシ基は本明細書における意味内のアルコキシ基である。構造の2つの隣接原子がそれによって置換されている状況でのメチレンジオキシ基と同様、メトキシエトキシ基も本明細書における意味内のアルコキシ基である。
【0069】
「ハロ」または「ハロゲン」または「ハロゲン化物」なる用語は、それら自体または別の置換基の一部として、特に記載がないかぎり、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子、好ましくは、フッ素、塩素、または臭素を意味する。
【0070】
「ハロアルキル」基には、モノ-ハロアルキル基、すべてのハロ原子が同じでも異なっていてもよいポリ-ハロアルキル基、およびすべての水素原子がフルオロなどのハロゲン原子で置き換えられている過ハロアルキル基が含まれる。ハロアルキルの例には、トリフルオロメチル、1,1-ジクロロエチル、1,2-ジクロロエチル、1,3-ジブロモ-3,3-ジフルオロプロピル、過フルオロブチルなどが含まれる。
【0071】
「ハロアルコキシ」基には、モノ-ハロアルコキシ基、すべてのハロ原子が同じでも異なっていてもよいポリ-ハロアルコキシ基、およびすべての水素原子がフルオロなどのハロゲン原子で置き換えられている過ハロアルコキシ基が含まれる。ハロアルコキシの例には、トリフルオロメトキシ、1,1-ジクロロエトキシ、1,2-ジクロロエトキシ、1,3-ジブロモ-3,3-ジフルオロプロポキシ、過フルオロブトキシなどが含まれる。
【0072】
x<yである「(C
x-C
y)過フルオロアルキル」なる用語は、すべての水素原子がフッ素原子で置き換えられている、最小x個の炭素原子および最大y個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。好ましいのは-(C
1-C
6)過フルオロアルキルであり、より好ましいのは-(C
1-C
3)過フルオロアルキルであり、最も好ましいのは-CF
3である。
【0073】
x<yである「(C
x-C
y)過フルオロアルキレン」なる用語は、すべての水素原子がフッ素原子で置き換えられている、最小x個の炭素原子および最大y個の炭素原子を有するアルキル基を意味する。好ましいのは-(C
1-C
6)過フルオロアルキレンであり、より好ましいのは-(C
1-C
3)過フルオロアルキレンであり、最も好ましいのは-CF
2-である。
【0074】
「アリールオキシ」および「アリールアルコキシ」なる用語は、それぞれ、酸素原子に結合したアリール基およびアルキル部分で酸素原子に結合したアラルキル基を意味する。例には、フェノキシ、ナフチルオキシ、およびベンジルオキシが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0075】
用語が本明細書において用いられる場合、「アシル」基とは、カルボニル炭素原子を介して結合している、カルボニル部分を含む基を意味する。カルボニル炭素原子は、アルキル、アリール、アラルキル シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル基などの一部でありうる、別の炭素原子にも結合している。カルボニル炭素原子が水素に結合している特別な場合には、基は用語が本明細書において用いられるアシル基の「ホルミル」基である。アシル基は、カルボニル基に結合した0から約12〜20個の追加の炭素原子を含みうる。アシル基は本明細書における意味内の二重または三重結合を含みうる。アクリロイル基はアシル基の一例である。アシル基は本明細書における意味内のヘテロ原子も含みうる。ニコチノイル基(ピリジル-3-カルボニル)基は、本明細書における意味内のアシル基の一例である。他の例には、アセチル、ベンゾイル、フェニルアセチル、ピリジルアセチル、シンナモイル、およびアクリロイル基などが含まれる。カルボニル炭素原子に結合した炭素原子を含む基がハロゲンを含む場合、基は「ハロアシル」基と呼ぶ。一例はトリフルオロアセチル基である。
【0076】
「アミン」なる用語は、例えば、各基が独立にHまたはアルキル、アリールなどの非Hでありうる、式N(基)
3を有する、一級、二級、および三級アミンを含む。アミンには、R-NH
2、例えば、アルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン;R
2NH、ここで各Rは独立に選択され、例えば、ジアルキルアミン、ジアリールアミン、アラルキルアミン、ヘテロシクリルアミンなど;およびR
3N、ここで各Rは独立に選択され、例えば、トリアルキルアミン、ジアルキルアリールアミン、アルキルジアリールアミン、トリアリールアミンなどが含まれるが、それらに限定されるわけではない。「アミン」なる用語は、本明細書において用いられるアンモニウムイオンも含む。
【0077】
「アミノ」基は、各Rが独立に選択される、-NH
2、-NHR、-NR
2、-NR
3+の型、およびプロトン化することができないNR
3+以外の、それぞれのプロトン化型の置換基である。したがって、アミノ基で置換されている任意の化合物は、アミンと見なすことができる。本明細書における意味内の「アミノ基」は、一級、二級、三級または四級アミノ基でありうる。「アルキルアミノ」基には、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、およびトリアルキルアミノ基が含まれる。
【0078】
「アンモニウム」イオンには、無置換アンモニウムイオンNH
4+が含まれるが、特に記載がないかぎり、アミンの任意のプロトン化または四級化型も含まれる。したがって、塩酸トリメチルアンモニウムおよび塩化テトラメチルアンモニウムはいずれも、本明細書における意味内のアンモニウムイオンおよびアミンである。
【0079】
「アミド(amide)」(または「アミド(amido)」)なる用語は、C-およびN-アミド基、すなわち、それぞれ-C(O)NR
2、および-NRC(O)R基を含む。したがって、アミド基には、一級カルボキサミド基(-C(O)NH
2)およびホルムアミド基(-NHC(O)H)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。「カルボキサミド」基は式C(O)NR
2の基であり、ここでRはH、アルキル、アリールなどでありうる。
【0080】
「アジド」なる用語は、N
3基を意味する。「アジド」は有機アジドでありえ、またはアジド(N
3-)アニオンの塩でありうる。「ニトロ」なる用語は、有機部分に結合したNO
2基を意味する。「ニトロソ」なる用語は、有機部分に結合したNO基を意味する。ニトレートなる用語は、有機部分に結合したONO
2基または硝酸(NO
3-)アニオンの塩を意味する。
【0081】
「ウレタン」(「カルバモイル」または「カルバミル」)なる用語は、N-およびO-ウレタン基、すなわち、それぞれ-NRC(O)ORおよび-OC(O)NR
2基を含む。
【0082】
「スルホンアミド(sulfonamide)」(または「スルホンアミド(sulfonamido)」)なる用語は、S-およびN-スルホンアミド基、すなわち、それぞれ-SO
2NR
2および-NRSO
2R基を意味する。したがって、スルホンアミド基には、スルファモイル基(-SO
2NH
2)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。式-S(O)(NR)-で表される有機硫黄構造は、スルホキシミンを意味することが理解され、ここで酸素および窒素原子はいずれも硫黄原子に結合しており、硫黄原子は2つの炭素原子に結合している。
【0083】
「アミジン」または「アミジノ」なる用語は、式-C(NR)NR
2の基を含む。典型的には、アミジノ基は-C(NH)NH
2である。
【0084】
「グアニジン」または「グアニジノ」なる用語は、式-NRC(NR)NR
2の基を含む。典型的には、グアニジノ基は-NHC(NH)NH
2である。
【0085】
化学基の標準的な略称として、当分野で周知のものが使用される:例えば、Me=メチル、Et=エチル、i-Pr=イソプロピル、Bu=ブチル、t-Bu=tert-ブチル、Ph=フェニル、Bn=ベンジル、Ac=アセチル、Bz=ベンゾイル、Boc=tert-ブトキシカルボニル、等である。
【0086】
「塩」は、当技術分野において周知のとおり、イオン型のカルボン酸、スルホン酸、またはアミンなどの有機化合物を、対イオンとの組み合わせで含む。例えば、酸はそれらのアニオン型で、金属カチオン、例えば、ナトリウム、カリウムなどのカチオンと;NH
4+などのアンモニウム塩もしくはテトラメチルアンモニウムなどのテトラアルキルアンモニウム塩を含む様々なアミンのカチオンと、またはトリメチルスルホニウムなどの他のカチオンなどと塩を形成しうる。「薬学的に許容される」または「薬理学的に許容される」塩は、塩化物塩またはナトリウム塩などの、ヒトの消費のために承認されており、一般に非毒性のイオンから形成される塩である。「両性イオン」は、互いに平衡を保つのに役立つ少なくとも2つのイオン化可能な基であって、一方はアニオンを形成し、他方はカチオンを形成する基を有する分子内で形成されうるものなどの、内部塩である。例えば、グリシンなどのアミノ酸は両性イオン型で存在することができる。「両性イオン」は、本明細書における意味内の塩である。本発明の化合物は塩の形を取ってもよい。「塩」なる用語は、本発明の化合物である遊離酸または遊離塩基の付加塩を含む。塩は「薬学的に許容される塩」でありうる。「薬学的に許容される塩」なる用語は、薬学的適用において有用性を提供する範囲内の毒性を有する塩を意味する。
【0087】
薬学的に許容されない塩は、例えば、本発明の化合物の合成、精製または製剤の工程における有用性などの、本発明の実施において有用性を有するが、それにもかかわらず、高い結晶性などの特性を有しうる。
【0088】
適切な薬学的に許容される酸付加塩は、無機酸または有機酸から調製してもよい。無機酸の例には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸、およびリン酸が含まれる。適切な有機酸は、有機酸の脂肪族、シクロ脂肪族、芳香族、芳香脂肪族、複素環式、カルボン酸およびスルホン酸類から選択してもよく、その例にはギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、4-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン(パモ)酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルギン酸、β-ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、ガラクタル酸およびガラクツロン酸が含まれる。薬学的に許容されない酸付加塩の例には、例えば、過塩素酸塩およびテトラフルオロホウ酸塩が含まれる。
【0089】
本発明の化合物の適切な薬学的に許容される塩基付加塩には、例えば、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛塩などの、アルカリ金属、アルカリ土類金属および遷移金属塩を含む、金属塩が含まれる。薬学的に許容される塩基付加塩には、例えば、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)およびプロカインなどの、塩基性アミンから作成される有機塩も含まれる。薬学的に許容されない塩基付加塩の例には、リチウム塩およびシアン酸塩が含まれる。薬学的に許容されない塩は一般には薬剤として有用ではないが、そのような塩は、例えば、式(I)化合物の合成における中間体として、例えば、再結晶によるそれらの精製において、有用でありうる。これらの塩はすべて、例えば、適切な酸または塩基を式(I)の化合物と反応させることにより、対応する式(I)の化合物から通常の手段によって調製しうる。「薬学的に許容される塩」なる用語は、非毒性の無機または有機酸および/または塩基付加塩を意味し、例えば、Lit et al., Salt Selection for Basic Drugs (1986), Int J. Pharm., 33, 201-217を参照されたく、これは参照により本明細書に組み入れられる。
【0090】
「水和物」は、水分子との組成物で存在する化合物である。組成物は、一水和物もしくは二水和物などの、化学量論量の水を含むことができ、または無作為な量の水を含むこともできる。用語が本明細書において用いられる場合、「水和物」は固体型を意味し、すなわち、水溶液中の化合物は、水和されているかもしれないが、用語が本明細書において用いられる場合の水和物ではない。
【0091】
「溶媒和物」は、水以外の溶媒が水と置き換わっている以外は、同様の組成物である。例えば、メタノールまたはエタノールは「アルコラート」を形成することができ、これはここでも化学量論量または非化学量論量でありうる。用語が本明細書において用いられる場合、「溶媒和物」は固体型を意味し、すなわち、溶媒の溶液中の化合物は、水和されているかもしれないが、用語が本明細書において用いられる場合の溶媒和物ではない。
【0092】
当技術分野において周知のとおり「プロドラッグ」は、患者に投与することができ、ここで酵素などの患者体内の生化学物質の作用によってインビボで活性薬学的成分に変換される物質である。プロドラッグの例には、カルボン酸基のエステルが含まれ、これはヒトおよび他の哺乳動物の血流中で見いだされる内因性エステラーゼによって加水分解されうる。適切なプロドラッグ誘導体の選択および調製のための通常の手順は、例えば、''Design of Prodrugs'', ed. H. Bundgaard, Elsevier, 1985に記載されている。
【0093】
加えて、本発明の特徴または局面がマーカッシュ群に関して記載される場合、当業者であれば、本発明はそれによりマーカッシュ群の任意の個々のメンバーまたはメンバーの下位群に関しても記載されることを理解するであろう。例えば、Xが臭素、塩素、およびヨウ素からなる群より選択されると記載される場合、臭素であるXに対する特許請求の範囲ならびに臭素および塩素であるXに対する特許請求の範囲が完全に記載される。さらに、本発明の特徴または局面がマーカッシュ群に関して記載される場合、当業者であれば、本発明はそれによりマーカッシュ群の個々のメンバーまたはメンバーの下位群の任意の組み合わせに関しても記載されることを理解するであろう。したがって、例えば、Xが臭素、塩素、およびヨウ素からなる群より選択されると記載され、Yがメチル、エチル、およびプロピルからなる群より選択されると記載される場合、臭素であるXおよびメチルであるYに対する特許請求の範囲が完全に記載される。
【0094】
必然的に整数である変数の値、例えば、アルキル基中の炭素原子の数または環上の置換基の数が範囲、例えば、0〜4で記載される場合、意味するものは値が0と4との間の両端を含む任意の整数、すなわち、0、1、2、3、または4でありうるということである。
【0095】
様々な態様において、本発明の方法において用いるものなどの、化合物または化合物群は、上に挙げた態様の任意の組み合わせおよび/または下位の組み合わせの任意の1つでありうる。
【0096】
様々な態様において、任意の実施例において示す、または例示的化合物の中の化合物を提供する。条件は任意の開示する範疇または態様に適用してもよく、ここで他の上で開示する態様または種の任意の1つまたは複数はそのような範疇または態様から除外してもよい。
【0097】
本発明は、単離した本発明の化合物をさらに含む。「単離した化合物」なる表現は、単離した化合物が、化合物の合成において用いた試薬、および/または生じた副生成物から分離されている、本発明の化合物の調製物、または本発明の化合物の混合物を意味する。「単離した」とは、調製物が技術的に純粋(均質)であることを意味するものではなく、治療的に用いうる形の化合物に対して十分に純粋であることを意味する。好ましくは「単離した化合物」とは、本発明の化合物または化合物の混合物を全重量の少なくとも10重量パーセントの量で含む、本発明の化合物の調製物または本発明の化合物の混合物を意味する。好ましくは、調製物は指定の化合物または化合物の混合物を全重量の少なくとも50重量パーセントの量で;より好ましくは全重量の少なくとも80重量パーセント;最も好ましくは調製物の全重量の少なくとも90重量パーセント、少なくとも95重量パーセントまたは少なくとも98重量パーセントの量で含む。
【0098】
本発明の化合物および中間体は、ろ過、液-液抽出、固相抽出、蒸溜、再結晶またはフラッシュクロマトグラフィ、もしくはHPLCを含むクロマトグラフィなどの標準の技術によって、それらの反応混合物から単離し、精製してもよい。
【0099】
本発明の化合物における異性および互変異性
互変異性
本発明の範囲内で、式(I)の化合物またはその塩は互変異性の現象を示しうることが理解されるべきで、それによって、そのいずれかに対して共役結合を形成する2つの原子の間で水素原子を交換することにより容易な相互交換が可能な2つの化学化合物。互変異性化合物は互いに可動平衡で存在するため、これらは同じ化合物の異なる異性体型と見なしうる。本明細書内の式の図は、可能な互変異性型の1つだけしか表し得ないことが理解されるべきである。しかし、本発明は、任意の互変異性型を含み、単に式の図内に用いられる任意の1つの互変異性体に限定されないことも理解されるべきである。本明細書内の式の図は、可能な互変異性型の1つだけを表すことができ、本明細書はその中で図示するのに好都合であった型だけでなく、描写した化合物のすべての可能な互変異性型を含むことが理解されるべきである。例えば、互変異性は波線で示すとおりに結合したピラゾリル基によって示しうる。両方の置換基は4-ピラゾリル基と呼ぶが、各構造において異なる窒素原子が水素を有することが明白である。
[この文献は図面を表示できません]
【0100】
そのような互変異性は、3-メチル、5-メチル、または3,5-ジメチルピラゾールなどの置換ピラゾールでも起こりうる。互変異性の別の例は、環窒素原子に隣接して環酸素原子を有する複素環式化合物において見られるものなどの、アミド-イミド(環状の場合はラクタム-ラクチム)互変異性である。例えば、平衡:
[この文献は図面を表示できません]
は互変異性の一例である。したがって、1つの互変異性体として本明細書において示す構造は、他の互変異性体も含むことが意図される。
【0101】
光学異性
本発明の化合物が1つまたは複数のキラル中心を有する場合、化合物は純粋な鏡像異性型もしくはジアステレオマー型またはラセミ混合物で存在してもよく、それらとして単離してもよいことが理解されるであろう。したがって、本発明は、本発明の化合物の任意の可能な鏡像異性体、ジアステレオマー、ラセミ体またはその混合物を含む。
【0102】
キラル中心の存在によって生じる異性体は、「鏡像異性体」と呼ばれる重ね合わせ不可能な異性体の対を含む。純粋な化合物の単一の鏡像異性体は光学活性であり、すなわち、これらは平面偏光の平面を回転させることができる。単一の鏡像異性体はカーン-インゴールド-プレローグシステムによって表示する。置換基の順位を原子量に基づいて番号付け、系統的手順によりもとめた原子量が高いほど高い順位を有する。4つの基の順位が決定されれば、最も低い順位の基を観察者から遠くに向けるように分子を置く。次いで、他の基の下行順位が時計回りであれば、分子は(R)と表示され、他の基の下行順位が反時計回りであれば、分子は(S)と表示される。スキーム14の例において、カーン-インゴールド-プレローグ順位はA>B>C>Dである。最も順位が低い原子Dを観察者から遠くに向ける。
[この文献は図面を表示できません]
【0103】
本発明は、ジアステレオマーならびにそれらのラセミ型と、分割した、ジアステレオ異性的および鏡像異性的に純粋な型ならびにその塩を含むことになる。ジアステレオマーの対は、順相および逆相クロマトグラフィ、ならびに結晶化を含む公知の分離技術によって分割してもよい。ラセミ混合物またはラセミ化合物は、2つの鏡像体の混合物である。
【0104】
「単離した光学異性体」とは、同じ式の対応する光学異性体から実質的に精製されている化合物を意味する。好ましくは、単離した異性体は、少なくとも約80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%純粋、さらにより好ましくは少なくとも98重量%純粋、最も好ましくは少なくとも約99重量%純粋である。
【0105】
単離した光学異性体は、周知のキラル分離技術によってラセミ混合物から精製してもよい。1つのそのような方法に従い、本発明の化合物のラセミ混合物、またはそのキラル中間体を、カラムの一連のDAICEL(登録商標) CHIRALPAK(登録商標)ファミリー(Daicel Chemical Industries, Ltd., Tokyo, Japan)のメンバーなどの、適切なキラルカラムを用いてのHPLCにより、99%重量%純粋な光学異性体へと分離する。カラムを製造者の指示に従って操作する。
【0106】
シス-トランス異性
二重結合を含み、二重結合の各末端に同一でない置換基を有する化合物は、シス-トランス、またはZ/E異性を示しうる。シス-トランス異性は、二重結合の各末端で、1つの水素および1つの非水素置換基がある場合に存在する。したがって、式A-CH=CH-Bの化合物は2つの異性体型:
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で存在しうる。4つの置換基がより複雑である場合、この型の異性はZ/E異性と呼ぶ。基に前述の光学異性の場合のように優先順位を割り付け、2つの最も高い優先順位の基が互いにシスである場合、二重結合はZ二重結合と呼び;2つの最も高い優先順位の基が互いにトランスである場合、二重結合はE二重結合と呼ぶ。
【0107】
シスおよびトランス異性は環系に存在することもあり、ここで自由回転は起こりえない。例えば、両方の化合物が環の同じ「側」にある場合、基は互いにシスであるとされ、反対側にある場合、それらは互いにトランスであるとされる。例えば、1,4-ジメチルシクロヘキサンはシスおよびトランス型で存在し得る:
シクロヘキサンが椅子型配座
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で示される場合、
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;
シクロヘキサンが椅子型配座
[この文献は図面を表示できません]
で示される場合、
[この文献は図面を表示できません]
。
【0108】
シスおよびトランス異性体を形成可能な環を有する、本明細書の化合物のいくつかにおいて、化合物をシスまたはトランスと記載し;これらの命名は環シスおよびトランス異性を意味する。そのような化合物が光学活性である、すなわち、キラル中心を有する場合、シス化合物はラセミ体でありえ、シス-ラセミ体と呼び;または代替的に、トランス化合物はラセミ体でありえ、トランス-ラセミ体と呼ぶ。
【0109】
回転異性
アミド結合連結まわりの制限された回転の化学的特性(すなわち、C-N結合にいくらかの二重結合的性質を与える共鳴)(以下に示す)により、別々の回転異性体種を観察し、さらにいくつかの状況下では、そのような種を単離することさえ可能であることが理解される(以下を参照されたい)。さらに、立体的かさ高さまたはアミド窒素上の置換基を含む特定の構造要素が、回転異性体の安定性を、化合物が単一の安定な回転異性体として単離され、無期限に存在しうる程度まで増強しうることも理解される。したがって、本発明は、癌または他の増殖性疾患状態の処置において生物学的に活性な、式(I)の任意の可能な安定回転異性体を含む。
[この文献は図面を表示できません]
【0110】
位置異性
本発明の好ましい化合物は、芳香環上の置換基の特定の空間配列を有し、これは化合物類が示す構造活性相関に関係している。多くの場合、そのような置換配列は番号付けシステムによって表示する;しかし、番号付けシステムは異なる環系の間では一貫していないことが多い。6員芳香族系において、空間配列は以下に示す一般的な命名法、すなわち1,4-置換については「パラ」、1,3-置換については「メタ」、および1,2-置換については「オルト」で明記する。
[この文献は図面を表示できません]
【0111】
説明
本発明の化合物
様々な態様において、本発明は式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を目的とする:
[この文献は図面を表示できません]
式中
Aと示す環は、それぞれの基W、X、Y、またはZがその位置にないことを条件として、W、X、Y、またはZのいずれかを有する任意の位置に追加の窒素原子をさらに含むことができ;
WはH、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)ハロアルキル、ヒドロキシ(C1-C6)アルキル、(C3-C9)シクロアルキル、またはハロであり;
XはH、ハロ、ニトロ、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)ハロアルキル、ヒドロキシ(C1-C6)アルキル、(C3-C9)シクロアルキル、NR
aR
b、N(R
a)C(=O)(C1-C6)アルキル、CO
2R、またはヘテロアリールであり;
YはH、ハロ、(C1-C6)アルキル、(C3-C9)シクロアルキル、またはハロであり;
Zはハロ、ヒドロキシ、CO
2R、C(=O)NR
2、CN、ヘテロアリール(C
0-C
6)アルキル、ヒドロキシ(C1-C6)アルキル、HC(=O)、HC(=O)、(C1-C6)C(=O)、またはCR(=NOR)であり;
ここでそれぞれの独立に選択されるRはH、(C1-C6)アルキル、(C3-C9)シクロアルキル、(C6-C10)アリール、または(C6-C10)アリール(C1-C6)アルキルであり;
あるいは、W、X、およびYの任意の隣接する対は、それらが結合している原子と一緒に縮合シクロアルキル、ヘテロシクリル、またはアリール、もしくはヘテロアリールを形成することができ、それらはいずれも(C1-C6)アルキル、(C3-C9)シクロアルキル、ハロ、ニトロ、NR
aR
b、N(R
a)C(=O)(C1-C6)アルキル、CO
2R、またはヘテロアリールで一置換または独立に多置換されていてもよく;
ここでW、X、Y、またはZの任意のアルキル、シクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールは無置換でもよく、または(C1-C6)アルキル、(C3-C9)シクロアルキル、ハロ、ニトロ、NR
aR
b、N(R
a)C(=O)(C1-C6)アルキル、CO
2R、もしくはヘテロアリールで一置換もしくは独立に多置換されていてもよく;
窒素原子を含む環系Cycは、窒素原子を介して環Aに結合された単環式、二環式、または三環式ヘテロシクリルを含み、ここでCycは、0、1、または2個の炭素原子を独立に含む1つまたは2つの橋で架橋されていてもよい、4、5、6、7、または8員環を含み、環系CycはNR、O、またはq=0、1、もしくは2であるS(O)
qから選択される1または2個の追加のヘテロ原子を含んでいてもよく;ここでR
1および独立して選択されてもよいR
2は環系Cycに結合され、m=0、1、または2であり;
R
1は(CH
2)
nNR
aR
bであり、ここでR
aおよびR
bはそれぞれ独立にH、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクリル、もしくはヘテロシクリルアルキルであり、ここで任意のアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、 ヘテロシクリル、もしくはヘテロシクリルアルキルは0、1、2、3、もしくは4つの独立に選択されるJで置換されており、かつここで任意のヘテロシクリルもしくはシクロアルキルは単環式、二環式、もしくは三環式であり;またはR
aおよびR
bはそれらが結合している窒素原子と一緒に、0、1、2、3、もしくは4つの独立に選択されるJで置換されたヘテロシクリル環を形成し、ここでn=0、1、または2であり;
あるいは、R
1はCycの2個の炭素原子に結合された(CH
2)
p1NR
a(CH
2)
p2であり、0、1、2、3、または4つの独立に選択されるJで置換された5、6、または7員ヘテロシクリルを形成し、p1+p2が2以上であるとの条件で、p1およびp2は独立に0、1、または2であり;
R
2は(C1-C6)アルキル、ヒドロキシ(C1-C6)アルキル、OR、CO
2R、またはハロであり、ここでm=0、1、または2であり;
Jはそれぞれの出現時に独立にOR、(C1-C6)アルキル、ヒドロキシ(C1-C6)アルキル、(C3-C9)シクロアルキル、CO
2R、またはハロである。
【0112】
様々な態様において、Aと示す環はピリジル、ピリダジニル、ピリミジル、もしくはピラジニルでありえ、または縮合してキノリル、テトラヒドロキノリル、キノキサリニル、もしくは6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[b]ピリジニルを提供しえ、それらはいずれも置換または無置換でありうる。
【0113】
本発明の化合物の様々な態様において、WはHまたはメチルでありうる。
【0114】
本発明の化合物の様々な態様において、XはH、メチル、エチル、シクロプロピル、ブロモ、クロロ、フルオロ、ヨード、トリフルオロメチル、ニトロ、アミノ、アセトアミド、ブチルアミド、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、またはオキサジアゾリル(置換または無置換)でありうる。
【0115】
本発明の化合物の様々な態様において、YはHまたはクロロでありうる。
【0116】
本発明の化合物の様々な態様において、Zはメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ヒドロキシメチル、ホルミル、アセチル、O-メチルホルムアルドキシム(シスまたはトランス)、O-エチルホルムアルドキシム(シスまたはトランス)、オキサジアゾリル(置換(アルキル、シクロアルキル)または無置換)、ピリダジニル(置換(アルキル)または無置換)、またはピリミジニル(置換(アルキル)または無置換)でありうる。
【0117】
本発明の化合物の様々な態様において、環系Cycは
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の任意の1つであり、ここでR
1および任意で(R
2)
mは、任意の位置でそれに結合され、かつここで波線は結合の点を示す。
【0118】
本発明の化合物の様々な態様において、R
1は(CH
2)
nNR
aR
bであり、かつnは0または1であり;R
aはエチル、2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、ボルニル、アダマンチル、またはテトラヒドロピラニルであり、それらはいずれも0、1、2、3、または4つのJで置換されており、かつR
bはHである。
【0119】
本発明の化合物の様々な態様において、R
1は(CH
2)
nNR
aR
bであり、かつnは0または1であり;R
aおよびR
bはそれらが結合している窒素原子と一緒にピロリジニル、ピペリジニル、アゼピニル モルホリニル、またはチオモルホリニル環を形成し、それらはいずれも0、1、2、3、または4つのJで置換されている。
【0120】
本発明の化合物の様々な態様において、任意のR
2は独立に選択されたOR、F、Cl、Br、メチル、ヒドロキシメチル、エチル、またはヒドロキシエチルである。
【0121】
本発明の化合物の様々な態様において、R
2は存在しない。
【0122】
本発明の化合物の様々な態様において、環系CycおよびR
1は一緒に以下の式:
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の基を形成し、式中、R
aは本明細書において定義するとおりであり、かつ波線は結合の点を示し、かつここでCycは追加のR
2基で置換されていてもよい。
【実施例】
【0123】
本発明の化合物の様々な態様において、化合物は以下の表1に示す任意のものである。カッパオピオイド受容体の阻害が医学的に指示される患者の状態を処置するための薬用化合物として可能性がある化合物を、この検定においてほとんど不活性であり、したがって薬用分子実体の開発のための候補として適当とは予想されない、比較化合物から区別するために、IC
50>10μMのカットオフを選択した。表1において、本明細書において開示し、特許請求する化合物を索引番号と共に提供し、不活性化合物は識別のために「C#」で示す。
【0124】
化合物のIC
50値をもとめる方法を以下に提供する。
【0125】
当技術分野において周知のとおり、酵素検定において良好に機能する化合物の識別は、薬用分子実体を開発する第一段階にすぎない。例えば、候補化合物は哺乳動物の体内での吸収、分布、代謝、排出、および毒性(ADMET)の基準に合致しなければならない。本明細書における発明者らは、開示し、特許請求するそれぞれの、およびすべての化合物が薬用分子実体であると主張しないが、これが薬用分子実体の開発におけるさらなる試験のために識別された候補であると主張する。
【0126】
(表I)本発明の化合物
Me=メチル、Et=エチル、Boc=t-ブトキシカルボニル、Ph=フェニル、iPr=イソプロピル、直線または波線=特に記載がないかぎり、立体化学的選択肢のいずれか、太線またはくさび形の実線=「上向きの」結合、点線またはくさび形の点線=「下向きの」結合。
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シス-rac=2つのシス異性体のラセミ混合物
トランス-rac=2つのトランス異性体のラセミ混合物
NA=最高10μMの濃度で活性でない
C#=比較化合物、IC50>10μM
【0127】
合成法
以下の略語を本文書の全体で用いる。
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【0128】
実施例1. 化合物5の合成
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a)I(1.1当量)プラスII(1当量)、Bi(OTf)
3-4H
2O(0.01当量)、マイクロ波150℃、30分。
b)TFA(20当量)、CH
2Cl
2、室温、30分。
c)III(1当量)プラスIV(1.2当量)、DIPEA(1.2当量)EtOH、マイクロ波、150℃、35分。
【0129】
ふたをしたマイクロ波バイアル中、N-Boc-4アミノピペリジンI、エポキシドII、およびBi(OTf)
3・4H
2Oをマイクロ波照射下、150℃で30分間加熱した。エチルエーテル添加後、反応混合物を5分間撹拌し、次いでセライトを通してろ過し、エチルエーテルで洗浄し、減圧下で濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、食塩水(2×)で洗浄した。
【0130】
CH
2Cl
2に溶解した生成物N-Boc-保護アミノアルコールに、TFAを室温で加えた。反応混合物を30分間撹拌し、次いで減圧下で濃縮した。残渣を1M NaOHに溶解し、生成物をEtOAc(5×)で抽出した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。生成物をカラムクロマトグラフィ(CC)でCH
2Cl
2/MeOHを用いて精製し、アミノアルコールIIIを得た。
【0131】
マイクロ波バイアル中、エタノール中のIII、ピリジンIVおよびDIPEAの溶液をマイクロ波照射下、150℃で35分間加熱した。有機溶媒を減圧下で除去し、生成物をCCでCH
2Cl
2/MeOHを用いて精製し、化合物5を得た。
【0132】
実施例2. 化合物33の合成
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試薬および条件:(a)I(1当量)プラスII(1.3当量)、NaBH(OAc)
3(1.5当量)、AcOH(1.5当量)、DCE、室温、12時間;(b)III(1当量)、TFA(20当量)CH
2Cl
2、室温、30分;(c)IV(1当量)、DIPEA(2当量)、マイクロ波、145℃、35分。
【0133】
DCE中のN-Boc-4アミノピペリジンIおよびシクロヘキサノンIIの撹拌溶液に、NaBH(OAc)
3およびAcOHを加えた。反応混合物を室温で12時間撹拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、食塩水(2×)で洗浄した。有機相を濃縮し、生成物をCCでCH
2Cl
2/MeOH(9:1)を用いて精製し、アミンIIIを得た。
【0134】
CH
2Cl
2中のIIIの溶液にTFAを加え、反応混合物を室温で30分間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、エタノールで希釈した後、DIPEAおよびピリジンIVを加えた。反応混合物をマイクロ波照射下、145℃で35分間加熱した。粗製物を減圧下で濃縮し、生成物をHPLCで精製して、純粋な化合物33を得た。
【0135】
実施例3. 化合物7の合成
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試薬および条件:(a)I(1当量)プラスII(1当量)、DIPEA(1当量)EtOH、マイクロ波、125℃、45分;(b)5%HCl、THF、40℃、6時間;(c)IV(1当量)プラスシクロヘキシルアミン(1.2当量)、NaBH(OAc)
3(1.5当量)、AcOH(1.5当量)、DCE、室温、16時間。
【0136】
マイクロ波バイアル中、ピリジンI、4-ピペリジノンエチルケタールIIおよびDIPEAをエタノールに溶解し、マイクロ波照射下、125℃で45分間加熱した。有機溶媒を減圧下で除去し、生成物をCCでCH
2Cl
2/MeOHを用いて精製し、ピリジン誘導体IIIを得た。
【0137】
THF中のIIIの溶液を5%HClに加え、40℃で6時間加熱した。有機溶媒を減圧下で濃縮した。粗製物を酢酸エチルに溶解し、0.5M NaOH(2×)で洗浄した。有機溶媒を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。生成物をCCでヘキサン/EtOAcを用いて精製し、ケトン誘導体IVを得た。
【0138】
DCE中のIV、シクロヘキシルアミンおよびAcOHの撹拌溶液に、室温でNaBH(OAc)
3を加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌した。反応完了後、混合物を酢酸エチルで希釈し、食塩水(2×)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、生成物をCCでCH
2Cl
2/MeOHを用いて精製し、化合物7を得た。
【0139】
実施例4. 化合物235の合成
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試薬および条件:(a)XI(1当量)、XII(1.2当量)、EDCI(1.3当量)、HOBt 91.3当量)、ジオキサン、室温〜100℃、マイクロ波、35分、70%;(b)XIII(1当量)、VIII(1.2当量)、DIPEA(1当量)、EtOH、マイクロ波、125℃、45分、85%;(c)XIV(1当量)、5%HCl、THF、40℃、6時間、62%;(d)XV(1当量)、XVI(1.2当量)、NaBH(OAc)
3(1.5当量)、AcOH(1.5当量)、DCE、室温、5時間、76%。
【0140】
マイクロ波バイアル中、1,4-ジオキサン中の酸XIの撹拌溶液をHOBtおよびEDCIにより室温で処理した。反応混合物を20分間撹拌した後、アミドキシムXIIを一度に加えた。反応混合物を室温でさらに30分間撹拌し、次いでマイクロ波照射下、100℃で35分間加熱した。反応混合物をEtOAcで希釈し、食塩水(2×)で洗浄した。有機相を無水Na
2SO
4で乾燥し、減圧下で濃縮した。生成物をCCでCH
2Cl
2:MeOH(99:1)を用いて精製し、XIIIを収率70%で得た。
【0141】
マイクロ波バイアル中、キノリンXIII、4-ピペリジノンエチルケタールVIIIおよびDIPEAをエタノールに溶解し、マイクロ波照射下、125℃で45分間加熱した。有機溶媒を減圧下で除去し、生成物をCCでCH
2Cl
2/MeOHを用いて精製し、キノリンXIVを収率85%で得た。
【0142】
THF中のXIVの溶液を5%HClに加え、40℃で6時間加熱した。溶媒を減圧下で除去した。粗製物をEtOAcに溶解し、0.5M NaOH(2×)で洗浄した。有機溶媒を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。生成物XVをCCでヘキサン/EtOAcを用いて収率62%で精製した。
【0143】
DCE中のXV、4-アミノテトラヒドロピランXVIおよびAcOHの撹拌溶液に、室温でNaBH(OAc)
3を加え、混合物を室温で5時間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、食塩水(2×)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、生成物をCCでCH
2Cl
2/MeOHを用いて精製し、化合物235を収率76%で得た。
【0144】
実施例5:296の合成
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試薬および条件:(a)XVII(1.0当量)、シクロヘキサノン(1.4当量)、NaBH(OAc)
3(1.4当量)、AcOH(1.4当量)、DCE、室温、終夜、75%;(b)XVIII(1当量)、TFA(20当量)、CH
2Cl
2、室温、30分;(c)XIII(1.1当量)、DIPEA(2.2当量)、EtOH、マイクロ波、130℃、35分、65%。
【0145】
DCE中の(3S,4R)ピペリジンXVIIおよびシクロヘキサノンの撹拌溶液に、NaBH(OAc)
3およびAcOHを加え、反応混合物を室温で終夜撹拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、食塩水(2×)で洗浄した。有機相を濃縮し、生成物をCCでCH
2Cl
2/MeOH(9:1)を用いて精製し、アミンXVIIIを収率75%で得た。
【0146】
CH
2Cl
2中のXVIIIの溶液にTFAを加え、反応混合物を室温で30分間撹拌した。混合物を減圧下で濃縮し、EtOAcで希釈し、NaOH(1M)で洗浄した。水相をEtOAc(3×)で抽出した。有機相を減圧下で濃縮し、生成物XIXをそれ以上精製せずに用いた。マイクロ波バイアル中、エタノール中のXIX、キノリンXIIIおよびDIPEAの溶液をマイクロ波照射下、130℃で35分間加熱した。粗製物を減圧下で濃縮し、生成物をHPLCで精製して、化合物CYM51427を収率65%で得た。
【0147】
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試薬および条件:(i)(a)XX(1当量)、XII(1.2当量)、EDCI(1.3当量)、HOBt(1.3当量)、ジオキサン、100℃、マイクロ波、35分間;(ii)XXI(1当量)、XIX(1.2当量)、DIPEA(1当量)、EtOH、マイクロ波、145℃、2時間、80%。
【0148】
マイクロ波バイアル中、1,4-ジオキサン中の酸XXの撹拌溶液をHOBtおよびEDCIにより室温で処理した。反応混合物を20分間撹拌した後、アミドキシムXIIを一度に加えた。反応混合物を室温でさらに30分間撹拌し、次いでマイクロ波照射下、100℃で35分間加熱した。反応混合物をEtOAcで希釈し、食塩水(2×)で洗浄した。有機相を無水Na
2SO
4で乾燥し、減圧下で濃縮した。生成物XXIをCCでCH
2Cl
2:MeOH(99:1)を用いて精製した。
【0149】
マイクロ波バイアル中、ピリジンXXI、アミンXIXおよびDIPEAをエタノールに溶解し、マイクロ波照射下、145℃で2時間加熱した。有機溶媒を減圧下で除去し、生成物をHPLCで精製して、CYM51433を得た。
【0150】
式(I)の他の化合物は、当業者であれば、本明細書に記載の技術およびアプローチを化学文献と共に用いて調製することができる。
【0151】
薬学的組成物および使用
本発明の態様の別の局面は、本発明の化合物の、単独または別の薬剤との組み合わせでの組成物を提供する。本明細書において示すとおり、本発明の化合物は立体異性体、互変異性体、溶媒和物、プロドラッグ、薬学的に許容される塩およびその混合物を含む。本発明の化合物を含む組成物を通常の技術により、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th Ed., 1995、またはその後の版に記載のとおりに調製することができ、これらは参照により本明細書に組み入れられる。組成物は、通常の形態、例えば、カプセル剤、錠剤、エアロゾル、液剤、懸濁剤または局所適用で提示されうる。
【0152】
典型的な組成物は、本発明の化合物および担体または希釈剤でありうる薬学的に許容される賦形剤を含む。例えば、活性化合物を通常は担体と混合する、または担体で希釈する、またはアンプル、カプセル、サシェ、紙、もしくは他の容器の形態でありうる担体内に封入することになる。活性化合物を担体と混合する場合、または担体が希釈剤として役立つ場合、担体は活性化合物の媒体、賦形剤、または媒質として作用する固体、半固体または液体材料であり得る。活性化合物は、例えば、サシェに含まれる顆粒固体担体上に吸着することができる。適切な担体のいくつかの例は、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール、ポリヒドロキシエトキシル化ヒマシ油、落花生油、オリーブ油、ゼラチン、ラクトース、白土、スクロース、デキストリン、炭酸マグネシウム、糖、シクロデキストリン、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸またはセルロースの低級アルキルエーテル、ケイ酸、脂肪酸、脂肪酸アミン、脂肪酸モノグリセリドおよびジグリセリド、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン、ヒドロキシメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンである。同様に、担体または希釈剤は、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルなどの、当技術分野において公知の任意の持続放出材料を、単独またはワックスと混合して含むことができる。
【0153】
製剤は、活性化合物と有害に反応しない補助剤と混合することができる。そのような添加物には、湿潤剤、乳化および懸濁化剤、浸透圧に影響をおよぼすための塩、緩衝剤および/または着色物質保存剤、甘味剤または着香剤が含まれうる。組成物は、望まれる場合には、滅菌することもできる。
【0154】
投与経路は、経口、鼻、肺、口腔、皮下、皮内、経皮または非経口、例えば、直腸、デポー、皮下、静脈内、尿管内、筋肉内、鼻内、眼用液剤または軟膏などの、本発明の活性化合物を適切な、または所望の作用部位に有効に輸送する任意の経路であり得、経口経路が好ましい。
【0155】
固体担体を経口投与のために用いる場合、製剤を錠剤化するか、ゼラチン硬カプセル中に粉末もしくはペレット形態で入れることができ、または製剤はトローチもしくはロゼンジの形態でありうる。液体担体を用いる場合、製剤はシロップ、乳剤、ゼラチン軟カプセルまたは水性もしくは非水性液体懸濁剤もしくは液剤などの滅菌注射液の形態でありうる。
【0156】
注射用剤形には、一般には、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を用いて調製しうる、水性懸濁剤または油性懸濁剤が含まれる。注射用剤形は溶液相または懸濁剤の形態であり得、これは溶媒または希釈剤と共に調製する。許容される溶媒または媒体には、滅菌水、リンゲル液、または等張水性食塩液が含まれる。または、無菌油を溶媒または懸濁化剤として用いることができる。好ましくは、油または脂肪酸は、天然または合成の油、脂肪酸、モノ、ジまたはトリグリセリドを含む、非揮発性物質である。
【0157】
注射のために、製剤は、前述の適切な溶液での再構成に適した粉末であることもできる。これらの例には、凍結乾燥、回転乾燥または噴霧乾燥した粉末、アモルファス粉末、顆粒、沈殿物、または微粒子が含まれるが、それらに限定されるわけではない。注射のために、製剤は任意で安定化剤、pH調節剤、界面活性剤、バイオアベイラビリティ調節剤およびこれらの組み合わせを含みうる。化合物を、ボーラス注射または持続注入などの、注射による非経口投与のために製剤することができる。注射用の単位剤形は、アンプル内または多用量容器内でありうる。
【0158】
本発明の製剤は、当技術分野において周知の手順を用いて、患者への投与後に活性成分の即時、持続、または遅延放出を提供するよう設計することができる。したがって、製剤は、制御放出または緩徐放出のために製剤することもできる。
【0159】
本発明によって企図される組成物には、例えば、ミセルもしくはリポソーム、またはいくつかの他のカプセル化形態が含まれてもよく、あるいは組成物は長期保存および/または送達効果を提供するために延長放出剤形で投与することができる。したがって、製剤は、ペレットまたは円柱に圧縮し、デポー注射として筋肉内または皮下に植え込むことができる。そのような植え込み物は、シリコーンおよび生体分解性ポリマー、例えば、ポリラクチド-ポリグリコリドなどの、公知の不活性材料を用いることができる。他の生体分解性ポリマーの例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が含まれる。
【0160】
鼻投与のために、製剤は、エアロゾル適用のための液体担体、好ましくは水性担体に溶解または懸濁した、本発明の化合物を含むことができる。担体は、可溶化剤、例えば、プロピレングリコール、界面活性剤、レシチン(ホスファチジルコリン)もしくはシクロデキストリンなどの吸収増強剤、またはパラベンなどの保存剤などの添加物を含みうる。
【0161】
非経口適用のために、特に適切なのは注射用液剤または懸濁剤、好ましくは活性化合物をポリヒドロキシル化ヒマシ油に溶解した水性液剤である。
【0162】
タルクおよび/または炭水化物担体または希釈剤などを有する錠剤、糖衣錠、またはカプセル剤は、経口適用に特に適している。錠剤、糖衣錠、またはカプセル剤のための好ましい担体には、ラクトース、トウモロコシデンプン、および/またはジャガイモデンプンが含まれる。加糖媒体を用いうる場合には、シロップまたはエリキシル剤を用いることもできる。
【0163】
通常の打錠技術によって調製しうる典型的な錠剤は下記を含むことができる。
[この文献は図面を表示できません]
*フィルムコーティング用の可塑剤として用いるアシル化モノグリセリド
【0164】
経口投与用の典型的なカプセル剤は、本発明の化合物(250mg)、ラクトース(75mg)およびステアリン酸マグネシウム(15mg)を含む。混合物を60メッシュのふるいを通し、No.1ゼラチンカプセルに充填する。典型的な注射製剤は、本発明の化合物250mgをバイアルに無菌的に入れ、無菌的に凍結乾燥し、密封することによって生成する。使用のために、バイアルの内容物を2mLの無菌生理食塩水と混合して、注射製剤を生成する。
【0165】
本発明の化合物を哺乳動物、特に状態不良のそのような処置、予防、除去、軽減または改善を必要としているヒトに投与することができる。そのような哺乳動物には、家庭内動物、例えば、家庭用ペット、家畜、および野生生物などの非家庭内動物の両方の動物も含まれる。
【0166】
本発明の化合物は、広い用量範囲で有効である。例えば、成人の処置において、1日に約0.05〜約5000mg、好ましくは約1〜約2000mg、より好ましくは約2〜約2000mgの間の用量を用いることができる。典型的な用量は1日に約10mg〜約1000mgである。患者のための投与計画を選択する際に、しばしばより高い用量で開始し、状態が制御下になれば、用量を下げることが必要となりうる。正確な用量は化合物の活性、投与の様式、望まれる治療法、投与する形態、処置する対象および処置する対象の体重、ならびに担当の医師または獣医師の好みおよび経験に依存することになる。
【0167】
一般に、本発明の化合物を、単位用量あたり約0.05mg〜約1000mgの活性成分を薬学的に許容される担体と共に含む、単位剤形で投与する。
【0168】
通常、経口、鼻、肺または経皮投与に適した剤形は、約125μg〜約1250mg、好ましくは約250μg〜約500mg、より好ましくは約2.5mg〜約250mgの化合物を薬学的に許容される担体または希釈剤と混合して含む。
【0169】
剤形は1日1回、または1日に2回もしくは3回などの、1日に複数回投与することができる。または、剤形は、処方する医師によって望ましいとされた場合には、1日おき、または1週間に1回などの、1日1回よりも低頻度で投与することもできる。
【0170】
様々な態様において、本発明は、カッパオピオイド受容体を調節する方法であって、受容体を本発明の式(I)の化合物の有効な量または濃度と接触させる段階を含む方法を目的とする。例えば、カッパオピオイド受容体を、ヒトの生体組織内で処理することができる。より具体的には、ヒトは解離性障害または疼痛を患っていてもよい。
【0171】
様々な態様において、本発明は、それを必要としている患者の解離性障害または疼痛の処置の方法であって、本発明の式(I)の化合物の有効な量または濃度を、患者に有益な効果を提供するための頻度および期間で患者に投与する段階を含む方法を提供する。
【0172】
例えば、様々な態様において、患者に神経保護を提供する方法であって、本発明の式(I)の化合物の有効な量または濃度を、患者に有益な効果を提供するための頻度および期間で患者に投与する段階を含む方法が提供される。
【0173】
例えば、様々な態様において、患者の免疫系を調節する方法であって、本発明の式(I)の化合物の有効な量または濃度を、患者に有益な効果を提供するための頻度および期間で患者に投与する段階を含む方法が提供される。
【0174】
例えば、様々な態様において、患者の利尿を誘導する方法であって、本発明の式(I)の化合物の有効な量または濃度を、患者に有益な効果を提供するための頻度および期間で患者に投与する段階を含む方法が提供される。
【0175】
本明細書において開示し、特許請求する任意の化合物を、カッパオピオイド受容体の調節またはカッパオピオイド受容体への結合における有効性、および様々な細胞検定における有効性について、前述の、または科学文献中に見出される手順を用いて評価することは、通常の技術の範囲内である。したがって、当業者であれば、過度の実験を行うことなく、特許請求する任意の化合物を調製し、評価することができる。
【0176】
カッパオピオイド受容体の調節またはカッパオピオイド受容体への結合において有効であることが判明した任意の化合物は、同様に、動物モデルおよびヒト臨床試験において、用量および処置計画の選択を誘導するための研究者の技術および経験を用いて試験することができる。
【0177】
本明細書における発明者らにより、および公に入手可能な情報(引用文献参照)に基づき、カッパオピオイド受容体の調節因子は以下の医学的状態の処置のために用いうると考えられる。
情動障害:うつ、ストレス/不安
[この文献は図面を表示できません]
嗜癖障害
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アルコール依存症
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てんかん
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認知障害
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統合失調症
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アルツハイマー病
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疼痛(内臓痛、急性術後痛)
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【0178】
したがって、本発明は、カッパオピオイド受容体の調節が医学的に指示されるヒト患者の状態の処置の方法であって、本発明の化合物の濃度の有効な量を、患者に有益な効果を提供するための頻度および期間で投与する段階を含み、ここで状態はうつもしくはストレス/不安を含む情動障害;嗜癖障害;アルコール依存症、てんかん、認知障害、統合失調症、アルツハイマー病、または疼痛、例えば、内臓痛もしくは急性術後痛のうち1つまたは複数を含む方法を提供することができる。
【0179】
生物検定の手順
表に示す各化合物のカッパオピオイド受容体に対するIC50を判定した。
【0180】
OPRK1アンタゴニスト検定のための細胞株は以下のエレメントを安定に発現する。OPRK1受容体のカルボキシ末端は7アミノ酸のリンカーと、それに続くTEVプロテアーゼ切断部位およびGAL4-VP16融合タンパク質を有する。細胞株はb-アレスチン-2-TEVプロテアーゼ融合タンパク質も発現し、UAS応答エレメントおよびb-ラクタマーゼ(bla)レポーター遺伝子からなるレポーター構築物を含む。受容体の活性化後、g-タンパク質受容体キナーゼ(GRK)はOPKR1の特定の細胞内残基をリン酸化し、これはB-アレスチン2-TEVプロテアーゼ融合タンパク質の動員を誘導する。TEVプロテアーゼはTEV部位を認識して切断し、GAL4-VP16融合タンパク質が遊離され、これは次いで核に移動する。GAL4-V16はUASエレメントに結合し、b-ラクタマーゼ遺伝子の発現を推進する。B-ラクタマーゼ発現は、細胞浸透性蛍光基質であるCCF4-AMで検出する。この基質は、b-ラクタム環を介してフルオレセインに連結されたクマリンからなる。b-ラクタマーゼ非存在下で、405nmの光による色素の励起はクマリンからフルオレセインへのFRETおよび緑色(最大525nm)光の発光をもたらす。基質のB-ラクタマーゼによる切断によって、クマリン蛍光体がフルオレセインから分離され、405nm励起は青色(最大460nm)発光をもたらす。検定を青色/緑色発光比によりモニターする。アンタゴニスト検定を、細胞を384穴プレートに播種し、37℃で16〜24時間インキュベートすることによって実施する。試験アンタゴニスト化合物を加え、37℃で30分間インキュベートする。次に、U-50488(OKRK1アゴニスト)のEC80相当を加え、試料を37℃で4時間インキュベートし、続いてCCF4-AM基質を加える。次いで、プレートを暗所、室温で2時間インキュベートし、青色/緑色比を蛍光プレート読み取り器で判定する。J Biomol Screen April 2009, vol. 14 no. 4, pp 381-394参照。
【0181】
生物検定の結果
表1の118個の化合物について、22個のIC50値は10〜100nM、46個のIC50値は100〜1000nM、44個のIC50値は1000〜10,000nM、および6個のIC50値は10,000nMよりも大きいことが判明した。
【0182】
本発明を、当業者がそれを作成し、使用するのに十分詳細に記載し、例示してきたが、当業者であれば、特許請求の範囲の主旨および範囲から逸脱することなく、様々な代替物、改変、および改善が明らかであろう。
【0183】
本明細書において言及するすべての特許および出版物は、それぞれ個別の出版物が具体的かつ個別にその全体が参照により本明細書に組み入れられると示された場合と同程度に、参照により本明細書に組み入れられる。
【0184】
用いてきた用語および表現は、説明のための用語として用いており、限定のためのものではなく、そのような用語および表現の使用において、提示し、記載する特徴またはその一部のいかなる等価物も除外する意図はないが、特許請求する発明の範囲内で様々な改変が可能であることが理解される。したがって、本発明を好ましい態様および任意の特徴によって具体的に開示してきたが、当業者であれば本明細書に開示する概念の改変および変形を行いうること、ならびにそのような改変および変形は、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲内であると考えられることが理解されるべきである。