特許第6254186号(P6254186)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6254186低侵襲手術のためのマルチカメラシステム付き内視鏡
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6254186
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】低侵襲手術のためのマルチカメラシステム付き内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/05 20060101AFI20171218BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20171218BHJP
   A61B 1/313 20060101ALI20171218BHJP
   A61B 34/35 20160101ALI20171218BHJP
   A61B 90/00 20160101ALI20171218BHJP
【FI】
   A61B1/05
   A61B1/00 T
   A61B1/00 620
   A61B1/313
   A61B34/35
   A61B90/00
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-548201(P2015-548201)
(86)(22)【出願日】2013年12月12日
(65)【公表番号】特表2016-505315(P2016-505315A)
(43)【公表日】2016年2月25日
(86)【国際出願番号】DE2013000805
(87)【国際公開番号】WO2014094718
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2016年12月2日
(31)【優先権主張番号】102012025102.5
(32)【優先日】2012年12月20日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515168857
【氏名又は名称】アヴァテラメディカル ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フォン グリュンベルグ フーベルタス
(72)【発明者】
【氏名】セーベル マルセル
【審査官】 磯野 光司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/057117(WO,A2)
【文献】 特開平11−000309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00− 1/32
A61B 17/00−17/94
A61B 34/00−34/37
A61B 90/00−90/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低侵襲手術のための内視鏡であって、
身体の外部から内部まで前記内視鏡の全体の長さに渡って伸びていて、遠位末端に少なくとも一つの照射ユニット(15,16)及び二つの画像器(12a,13a,14a,12b,13b,14b,12c)を備えた主支持具(4)であって、前記画像器(12a,13a,14a,12b,13b,14b,12c)のそれぞれが前記主支持具(4)から外側へ同程度に回転できるように配置されている主支持具(4)と、
前記内視鏡が身体内に入ることできるようにするトロカール(1)と、
前記トロカール(1)及び/又は前記主支持具(4)に備え付けられ、遠位末端に付加画像器(8,9,10,11)を備えた付加支持具(3)とを備え、
前記付加画像器(8,9,10,11)は、前記付加支持具(3)から外側へ回転でき、かつ付加照射ユニット(10,11)と、前記主支持具(4)の前記二つの画像器(12a,13a,14a,12b,13b,14b,12c)の二つの監視領域を含む監視領域を備えた少なくとも一つの付加画像センサ(8,9)とを備え、かつ
前記付加支持具(3)は、前記トロカール(1)と前記主支持具(4)の間に位置して、前記主支持具(4)に直接的に置かれており、かつ前記主支持具(4)及び前記付加支持具(3)は円筒形状であることを特徴とする内視鏡。
【請求項2】
請求項1に記載の内視鏡において、前記付加画像センサ(8,9)は、回転するときに前記トロカール(1)の遠位末端近傍に位置する広角のレンズ(8)を備えていることを特徴とする内視鏡。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の内視鏡において、前記二つの画像器(12a,13a,14a,12b,13b,14b,12c)のそれぞれは、前記主支持具(4)の遠位末端にて、回転軸(17a,17b,17c)回りに回転できるようになっており、それらの回転軸(17a,17b,17c)は一平面内に互いに平行に並べられていることを特徴とする内視鏡。
【請求項4】
請求項1に記載の内視鏡は、手術用ロボットシステム内で使用されることを特徴とする内視鏡。
【請求項5】
請求項3に記載の内視鏡において、前記画像器(12a,13a,14a,12b,13b,14b,12c)のそれぞれは、前記主支持具(4)の縦の延長線に対して直交する方向において、ジョイント(17a,17b,17c)により、前記回転軸(17a,17b,17c)回りに加えて、もう一つの回転軸(19)回りにも傾けられるように配置されており、前記回転軸(17a,17b,17c)及び前記もう一つの回転軸(19)回りの回転動作は互いに独立して分離されていることを特徴とする内視鏡。
【請求項6】
低侵襲手術のための少なくとも一つの手術器具及び/又は少なくとも一つの内視鏡を配置することができる少なくとも一つのロボットアームを有する手術用ロボットシステムであって、
身体の外部から内部まで前記内視鏡の全体の長さに渡って伸びていて、遠位末端に少なくとも一つの照射ユニット(15,16)及び二つの画像器(12a,13a,14a,12b,13b,14b,12c)を備えた主支持具(4)であって、前記画像器(12a,13a,14a,12b,13b,14b,12c)のそれぞれが前記主支持具(4)から外側へ同程度に回転できるように配置されている主支持具(4)と、
前記内視鏡が身体内に入ることできるようにするトロカール(1)と、
前記トロカール(1)及び/又は前記主支持具(4)に備え付けられ、遠位末端に付加画像器(8,9,10,11)を備えた付加支持具(3)とを備え、
前記付加画像器(8,9,10,11)は、前記付加支持具(3)から外側へ回転でき、かつ付加照射ユニット(10,11)と、前記主支持具(4)の前記二つの画像器(12a,13a,14a,12b,13b,14b,12c)の二つの監視領域を含む監視領域を備えた少なくとも一つの付加画像センサ(8,9)とを備えており、
さらに、前記二つの画像器(12a,13a,14a,12b,13b,14b,12c)及び前記付加画像器(8,9,10,11)に接続された画像処理ユニット(25)と、
前記二つの画像器(12a,13a,14a,12b,13b,14b,12c)及び/又は前記付加画像器(8,9,10,11)の2次元画像データ及び/又は3次元画像データを表示する可視化ユニット(27)とを備え、かつ
前記付加支持具(3)は、前記トロカール(1)と前記主支持具(4)の間に位置して、前記主支持具(4)に直接的に置かれており、かつ前記主支持具(4)及び前記付加支持具(3)は円筒形状であることを特徴とする手術用ロボットシステム。
【請求項7】
請求項6に記載の手術用ロボットシステムにおいて、前記付加画像センサ(8,9)は、回転するときに前記トロカール(1)の遠位末端近傍に位置する広角のレンズ(8)を備えていることを特徴とする手術用ロボットシステム。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の手術用ロボットシステムにおいて、前記二つの画像器(12a,13a,14a,12b,13b,14b,12c)は、前記主支持具(4)の遠位末端に、回転軸(17a,17b,17c)回りに回転できるようにそれぞれ配置され、それらの回転軸(17a,17b)は一平面内に互いに平行に並べられていることを特徴とする手術用ロボットシステム。
【請求項9】
請求項8に記載の手術用ロボットシステムにおいて、前記画像器(12a,13a,14a,12b,13b,14b)のそれぞれは、前記主支持具(4)の縦の延長線に対して直交する方向において、ジョイント(17a,17b,17c)により、前記回転軸(17a,17b,17c)回りに加えて、もう一つの回転軸(19)回りにも傾けられるように配置されており、前記回転軸(17a,17b,17c)及び前記もう一つの回転軸(19)回りの回転動作は互いに独立して分離されていることを特徴とする手術ロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低侵襲手術に使用するためのマルチカメラシステム付き内視鏡、及び特に腹腔鏡検査のような低侵襲手術に使用するための手術ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
腹腔鏡下手術のような低侵襲手術は、一つ又は複数のトロカール(外套針)を介して患者の身体に差し込まれる(入れられる)、例えば、鉗子、切断及び縫い具のような手術器具を用いてなされる。一般的には、二つ乃至四つの手術器具、多くの場合、三つの手術器具が用いられる。これらの手術器具に加えて、手術領域を観察することを外科医に許容する可視化ユニットを利用し得ることが必要とされる。このような可視化ユニットは、トロカールを介して患者の身体に差し込まれるカメラ又は内視鏡を常に備えている。通常、そのような可視化は、手術領域の外部監視画像(外部モニタ画像)上に2次元(2D)又は3次元(3D)で表す内視鏡によってなされる。先行技術は、可視化ユニット、例えばカメラが遠位末端に合体された多くの内視鏡を備えている。しかしながら、内視鏡は、その遠位末端又はその近位端のいずれかにカメラを備えることができる。内視鏡によって取得される画像は、画像送信システム及び画像処理ユニットを介して一つ又はいくつかの外部モニタ上に表示される。多くの内視鏡が、先行技術には示されている。
【0003】
例えば、WO2009/057117A2は、二つの画像器付きの内視鏡を示している。それらの画像器は、トロカールを介して身体に差し込まれ、トロカールに付けられたフラップ(蓋)によって横方向、すなわち縦軸から側面までのある角度に伸ばされる。両方の画像器を、異なる角度に回転することができて、二つの異なる画像をもたらす。
【0004】
先行技術に示されたカメラシステム又は内視鏡は、手術領域の画像をとるために二つのカメラが与えられていても、次の点で不都合である。これらのカメラは、手術器具の変化する位置及び手術行為近くの内視鏡の位置に起因して、各群における全ての手術器具を同時に表示することができないばかりか、対象のフィールド角(領域角度、画角)(すなわち視野)も同時に表示することができない。ここでは、単に、手術行為の近接領域が表示されるだけである。手術器具が手術視野(手術領域)から取り除かれたときには、手術器具は一つのカメラ又は複数のカメラによって捕えられず、外科医又はその補助者の可視コントロール下にない。
【発明の概要】
【0005】
それゆえ、本発明は、外科医が、追加のトロカールを用いて身体にアクセス(接続)することなく、単一のトロカールを用いた簡単な方法で器具を調整して身体にアクセスすることを可能とする、例えば腹腔鏡下手術のような低侵襲手術のために改良された可視化システムを提供する目的に基づく。したがって、本発明によれば、この目的は、請求項1に記載された内視鏡、及び請求項6に記載された適当な内視鏡をもつ手術ロボットシステムにより達成される。
【0006】
本発明は、腹腔鏡検査のような低侵襲手術に使用するためのマルチカメラシステムを備えた内視鏡を提供する。
【0007】
本発明の第1の目的は、低侵襲手術のための内視鏡に関する。内視鏡は、身体の外部から内部まで内視鏡の全体の長さに渡って伸びていて、遠位末端に少なくとも一つの照射ユニット及び二つの画像器を備えた主支持具であって、画像器のそれぞれが主支持具から外側へ同程度に回転できるように配置されている主支持具と、内視鏡が身体内に入ることできるようにするトロカールと、トロカール及び/又は主支持具に備え付けられ、遠位末端に付加画像器を備えた付加支持具とを備え、付加画像器は、付加支持具から外側へ回転でき、かつ付加照射ユニットと、主支持具の二つの画像器の二つの監視領域を含む監視領域を備えた少なくとも一つの付加画像センサとを備え、かつ付加支持具は、トロカールと主支持具の間に位置して、主支持具に直接的に置かれており、かつ主支持具及び付加支持具は円筒形状である。この内視鏡は、例えば、手術用ロボットシステム内で使用される。
【0008】
本発明は、単一のトロカール(外套針)(又は組み合わせトロカール)を介して患者の身体の中に差し込まれる(入れられる)少なくとも一つの2次元(2D)概観カメラ及び3次元(3D)詳細カメラである、二つの画像システムを提供しかつ同時に使用することにより、次の利点を有する。すなわち、大きな対象フィールド角(大きな対象画角)(典型的には90度より大きな広角)を持つ少なくとも2次元概観画像と、70度までの一般的な対象フィールド角を持つ3次元詳細画像とを生成することができる。結果として、腹腔鏡下手術のような低侵襲手術の全般に渡って、手術の近接領域及びその周辺領域を表示することができる。このように、カメラ又は内視鏡の一つ又は複数の位置に加えて、対象フィールド角(視野)を変えることにより、手術器具が内視鏡の遠位末端における両画像器の手術視野(手術領域)外にあっても、全ての手術器具を同時に表示することができる。なぜならば、付加画像器が、両画像器の手術視野の外にある器具を捕えることができるからである。これは、たとえば、手術器具が一時的に必要されずに「預け置き」された場合である。多くの場合、そのような手術器具の「預け置き」は、手術の間に邪魔にならないよううに、直接の手術処置外及び手術視野外となる。本発明によれば、そのような「預け置き」された手術の構成部分(要素)は、本発明に基づく2次元概観カメラによって捕えられ、それゆえ外科医又はその補助者の視野コントロール下にある。2次元概観カメラとして設計されている付加画像器及び3次元詳細カメラとして設計されている画像器は、それぞれ内視鏡内に例えば二つの画像センサの形で配置されているので、外科医は、相互に関係ある又は分けられた監視器(モニタ)を介して、2次元概観カメラ及び3次元カメラの画像記録を見張らなければならない問題をもたない。2次元概観カメラの監視領域(モニタリング領域)が、3次元詳細カメラの監視領域を含む、すなわち3次元詳細カメラの対象フィールド角よりも大きいために、外科医にとって画像を調和させることは簡単である。なお、前記2次元概観カメラは、3次元レンズを備えることもできる。この点で、完全に独立して位置し、かつ内視鏡に付属していない重なった監視領域をもつ二つのカメラの配置は、外科医に対して好ましくない調和をもたらす、すなわち二つの完全に独立したカメラのために外科医を「船酔い」のようにさせる可能性があることを述べておく。この問題は、2次元概観カメラ及び調節された3次元詳細カメラ付きの本発明に基づく内視鏡により簡単な方法で解決される。
【0009】
さらに、主支持具における照射ユニットは、付加支持具における付加照射ユニットと共に、3次元画像の照明を改善して、3次元詳細カメラの画像表示の質を改善する。また、付加支持具は、トロカールと主支持具の間に位置して、主支持具に直接的に置かれており、かつ主支持具及び付加支持具は円筒形状であることにより、構造を簡素化できる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によれば、付加画像センサは、回転するときにトロカールの遠位末端近傍に位置する広角のレンズを備えている。
【0011】
特に、二つの画像器のそれぞれが主支持具の遠位末端にて回転軸回りに回転できるようになっており、それらの回転軸は一平面内に互いに平行に並べられているという、構造費用の削減の利点を有する。
【0013】
さらに、画像器のそれぞれは、主支持具の縦の延長線に対して直交する方向において、前記回転軸回りに加えて、もう一つの回転軸回りにもジョイントによって傾けられるように配置されており、前記回転軸及び前記もう一つの回転軸回りの回転動作は互いに独立して分離されているという利点もある。
【0014】
結果的に、本発明によれば、一つだけのトロカールを使用するだけで、3次元詳細カメラを、2次元概観カメラとは独立に自由度4で動かすことができる。一方、2次元概観カメラ及び3次元詳細カメラは、自由度2で互いに接続され、身体へのトロカールの差し込みポイント回りのx及びy方向の動作(トロカールの旋回動作)を表示する。
【0015】
本発明の第2の主題は、低侵襲手術のための少なくとも一つの手術器具及び/又は少なくとも一つの内視鏡を配置することができる少なくとも一つのロボットアームを有する手術用ロボットシステムであって、身体の外部から内部まで内視鏡の全体の長さに渡って伸びていて、遠位末端に少なくとも一つの照射ユニット及び二つの画像器を備えた主支持具であって、画像器のそれぞれが主支持具から外側へ同程度に回転できるように配置されている主支持具と、内視鏡が身体内に入ることできるようにするトロカールと、トロカール及び/又は主支持具に備え付けられ、遠位末端に付加画像器を備えた付加支持具とを備え、付加画像器は、付加支持具から外側へ回転でき、かつ付加照射ユニットと、主支持具の画像器の二つの監視領域を含む監視領域を備えた少なくとも一つの付加画像センサとを備えており、さらに、二つの画像器及び付加画像器に接続された画像処理ユニットと、画像器及び/又は付加画像器の2次元画像データ及び/又は3次元画像データを表示する可視化ユニットとを備え、かつ付加支持具は、トロカールと主支持具の間に位置して、主支持具に直接的に置かれており、かつ主支持具及び付加支持具は円筒形状である手術用ロボットシステムに関する。
【0016】
特に、本発明に基づく手術用ロボットシステムは、必要に応じて、外科医のための画像データが、2次元画像データ及び/又は3次元画像データとして表示されるという利点を有する。すなわち、外観カメラの画像データが画像処理ユニットによって3次元詳細画像データに結合され、大幅に改良された外観が可視化ユニット上における単一のフレームシーケンスを通して外科医に与えられるという利点を有する。
【0017】
特に、付加画像センサは、回転するときにトロカールの遠位末端近傍に位置する広角のレンズを備えているという利点を有する。
【0018】
さらに、従属請求項は、発明の好都合な実施形態を示している。
【0019】
よって、本発明の全体の説明は、二つのカメラシステム、及び二つのカメラシステムを含む内視鏡に言及している。
【0020】
腹腔鏡手術のような低侵襲手術では、患者の身体はトロカール(一般的には、腹壁又は胸郭)を介してアクセスされる。手術器具、カメラ又は内視鏡は、そのようなトロカールを通して身体内に差し込まれる(入れられる)。前述したように、本発明によれば、トロカールを介して二つのカメラが同時に差し込まれる。医療処置は、通常、二つ乃至四つのの手術器具及び少なくとも一つのカメラを含む。それゆえ、そのような医療処置のために三つ乃至五つのトロカールが必要とされる。
【0021】
本発明は、添付した模範的な図面によって、より詳細に説明される。模範的な図面は、次のように示されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、手術ロボットシステムの画像処理ユニット及び可視化ユニットに接続されている本発明に基づく内視鏡に配置されている3次元詳細カメラの好ましい実施形態において示されている内視鏡の概略図である。
図2図2は、本発明に基づく内視鏡に配置されている外部に接続された光源付きの3次元詳細カメラの他の実施形態の概略部分図である。
図3図3は、本発明に基づく内視鏡に配置されて、減らされた数の機械的な制御部材によって実施し得る3次元詳細カメラのさらに好ましい実施形態の概略部分図である。
図4図4は、例えば腹腔鏡検査である低侵襲手術で使用される手術ロボットシステムにおいて、可視化の解決がどのように用いられているかを示す全体概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
続いて、本発明を図面を参考にして説明する。
【0024】
図1は、内視鏡に合体されている本発明に基づくマルチカメラシステムを示している。患者の身体は、トロカール(外套針)1を身体組織2に差し込む(入れる)ことによってアクセスされる。トロカール1を介して、2次元概観カメラのための付加支持具3が身体に差し込まれる。付加支持具3は、3次元詳細カメラのための回転対称であるロッド形状のもう一つの主支持具4を管状具に差し込むことができるように設計されている。これに代えて、管状具を、手術器具のためにも使うことができる。カメラブラケット5は、トロカール1に差し込まれた後、回転軸に対して基本的には90度までの回転動作7によって伸ばされるように、ジョイント6によって付加支持具3に取り付けられている。カメラブラケット5は、画像センサ9及び広角のレンズである結像光学系(イメージング光学系、撮像光学系)8からなる付加画像センサを備えている。対象領域(対象フィールド)を照らすために、カメラブラケット5は、光源11及びそれぞれ広角の結像光学系(イメージング光学系、撮像光学系)10からなる付加照明ユニットも備えている。これらの広角の結像光学系10は、画像センサ9及び接続された広角の結像光学系8によって捕えられる対象領域の全体が照らされるように設計されている。付加画像センサ及び付加照明ユニットを有するカメラブラケット5は、2次元概観画像を生成するための2次元概観カメラを形成する。好ましくは、画像センサ9は、1920×1080画素以上の分解能をもつCCDセンサ又はCMOSセンサとして設計されている。
【0025】
記録された画像データは、データリンク23を介して処理ユニット25に供給され、処理ユニット25は画像データを表示のために処理し、処理された画像データはもう一つのデータリンク26を介して可視化ユニット(視覚化ユニット)27に供給される。可視化ユニット27は、2次元及び3次元画像データを分けて表示でき、また単一の画像又は単一のフレームシーケンスに結合して表示することもできる。表示及び制御ユニット32は、外科医の選択に応じて、どの画像データがどのような方法で表示されるかを決定する。
【0026】
回転対称の主支持具4の端部には、二つのカメラモジュール、すなわち特に二つの結像光学系(イメージング光学系、撮像光学系)14a,14bをそれぞれ有する画像器12a,13a,14a,12b,13b,14bが、二つのカメラブラケット12a,12bにそれぞれ取り付けられている。旋回軸(回転軸)を形成するジョイント17a,17bを介して、カメラブラケット12a,12bは、身体に差し込まれた後に、主支持具4の回転軸に対して90度まで旋回方向(回転方向)18a,18bに伸ばすことができるように、主支持具4に接続されている。対象領域を照らすために、光源15及び結像光学系(イメージング光学系、撮像光学系)16からなる照明ユニットが、伸ばせるカメラブラケットが取り付けられている主支持具4の端部に取り付けられている。さらに、カメラブラケット12a,12bは、画像センサ13a,13b及び結像光学系14a,14bからなる画像レセプター(受容器)を備えている。これらの二つの画像器12a,13a,14a,12b,13b,14bは、共に3次元詳細カメラを形成する。
【0027】
好ましくは、光源15及び結像光学系16からなる照明ユニットは、画像センサ13a,13b及び関連する結像光学系14a,14bの両方によって表示される対象領域が完全に照らされるように、適当な結像光学系16と結合されたLEDの放射角度が選択される方法でLED光源として設計することができる。変形例では、近接した端部における照明ユニットは、結像光学系16のみを備えることもできる。この場合、光源30は、主支持具4の外部に配置され、それゆえ患者の外部に配置されている。光源30に対する制御指示は、データリンク31を介して処理ユニット25から伝送される。それから、その光は、光伝導体を介して適当な分岐回路機構28に供給される。好ましくは、前記分岐回路機構28は、例えば、光ファイバー束(光束状構造)として設計され、光を結像光学系16に導く。さらに他の変形例では、分岐回路機構28は適当なロッド状の光学系によっても実施され得る。
【0028】
さらなる変形例(図3)では、カメラブラケット12cは、回転対称の主支持具4の端部に位置している。前記カメラブラケット12cは、特に二つの結像光学系14a,14bをそれぞれ含み、カメラブラケット12cに取り付けられた両方の画像器13a,14a,13b,14bを備えている。この配置では、結像光学系16に接続された光源15も、二つの画像器13a,14a,13b,14bの中央でカメラブラケット12cに取り付けられている。旋回軸(回転軸)を形成するジョイント17cを介して、カメラブラケット12cは、身体に差し込まれた後に、カメラブラケット12cを主支持具4の回転軸に対して90度までの回転動作18cにおいて伸ばすことができるように、主支持具4に接続されている。
【0029】
加えて、ジョイント17cは、カメラブラケット12cが主支持具4の回転軸21に直交して位置する回転軸(旋回軸)19回りに、方向20において少なくとも+/−90度まで回転できるように設計されている。
【0030】
記録画像データは、データリンク24を介して処理ユニット25に供給される。処理ユニット25は、3次元詳細カメラの画像データをステレオ表現のために処理して、データリンク26を介して可視化ユニット27に供給する。可視化ユニット27は、2次元及び3次元画像データを表示することができる。処理ユニット25は、画像データがどのような方法で表示されるかを制御する。
【0031】
図2は、回転軸及び旋回軸に関する3次元カメラの伸ばし動作を示している。ジョイント17a,17b(図1参照)は、カメラブラケット12a,12bが主支持具4の回転軸21から初めて90度まで伸ばされることを許容する(図1参照)。
【0032】
さらに、ジョイント17a,17bは、主支持具4の回転軸に直交した旋回軸(回転軸)19回りのカメラブラケット12a,12bのほぼ+/−90度までの同期した回転動作又は傾きを許容することができる。このように、主支持具4の位置を変えることなく、主支持具4の回転軸21に対するそれぞれの角度の3次元画像を記録することができる。
【0033】
この発明に基づく、主支持具4の回転軸に直交した旋回軸19回りのカメラブラケット12a,12bの同期した回転動作は、回転軸と光軸が一致している先行技術で知られる内視鏡の構造に比較して、有益な点を有する。すなわち、先行技術では、「上向きの傾き」又は「下向きの傾き」をもつ視野がそれぞれの角度で傾けられる内視鏡を必要とする、言い換えれば十分な動作空間を必要とする。これでは、患者の組織に重圧をかけ、患者を傷つけさえする。カメラブラケットを旋回軸19回りに回転させることができるために、本発明に基づく内視鏡は、慣習的な方法で傾けられる必要がない。それに代え、先行技術で知られている内視鏡は、0度とは異なる典型的には30度をなす厳密な異なる角度をもつレンズを使用している。それらのレンズを交換するために、外科医は、手術を中断して、内視鏡レンズを取り外し、異なるレンズを内視鏡に接続して、内視鏡トロカールの方法で患者に内視鏡を再び差し込まなければならない。
【0034】
さらに、ジョイント17a,17bは、主支持具4の回転軸21に直交した旋回軸19回りのカメラブラケット12a,12bの基本的には+/−90度までのそれぞれ独立及び分離した回転動作を許容する。このように、主支持具4の位置を変更することなく、大きな対象フィールド角に渡って、それぞれの2次元画像を記録することができる。この目的のために、データリンク24(図1参照)を介して処理ユニット25(図1参照)に送られた後に、可視化ユニット27(図1参照)上に大きな対象フィールド角に渡る2次元画像を表示することができるように、二つの2次元画像が作られる。この大きな対象フィールド角に渡る2次元画像を、慣習的な内視鏡を使っては作ることはできない。もし、可視化ユニット27が3次元画像を表示することにも適していれば、処理ユニット25は、外科医に対して可視化ユニット27上に3次元画像として表示される3次元画像を計算することもできる。外科医は、例えばシャッター眼鏡又は偏光眼鏡である光学補助により、そのような可視化ユニット27上の3次元画像を理解することができる。これに代えて、可視化ユニット27は、光学画像システムにより、左目に対して左画像を右目に対して右画像をそれぞれ映すように設計されてもよい。この実施形態では、例えばシャッター眼鏡又は偏光眼鏡のような付加光学補助を用いる必要はない。
【0035】
図3による他の実施形態では、カメラブラケット12cは、両方の画像器13a,14a,13b,14bに加えて、光源15及び結像光学系16からなる照明ユニットを備えている。結論的には、カメラブラケットのジョイント17cを、主支持具4の回転軸21に対して直交して位置する旋回軸19回りに基本的には+/−90度まで回転させることは、両方の画像器13a,14a,13b,14bに加えて、光源15及び結像光学系16からなる照明ユニットにも効果をもたらす。この実施形態では、照明ユニットが画像器と共に回転するために、結像光学系16が画像器13a,14a,13b,14bによって記録される対象フィールド角に対して最適に採用されるという利点がある。この実施形態では、光源15は、好ましくはLED照明として設計されている。
【0036】
処理ユニット25においては、差し込まれた器具の位置及び経路は、2次元概観カメラのデータから計算される。この経路の情報は、例えば重ね表示のような適当な方法で可視化ユニット27上に3次元画像を表示するときに、付加情報として示される。
【0037】
図4は、遠隔操作器又はロボットシステムにおける本発明に基づくマルチカメラシステム43の例示的な使用を示している。外科医は、表示及び制御ユニット32を介してアクチュエータをコントロールする。表示及び制御ユニット32によって発生される制御指示は、データ伝送33を介して制御ユニット34に伝送される。この制御ユニット34は、もう一つのデータライン35を介してロボットシステム37に接続され、ロボットシステム37には支持シャフト40が備え付けられている。ボーイング(胴曲がり)42は、ロボットアーム44がマルチカメラシステム43の最適な位置を許容するように、ORテーブル(手術室テーブル)38上の患者の位置に従ってジョイント機構41を介して予め位置決めされる。2次元概観カメラによって記録された画像データは、データリンク23を介して処理ユニット25に供給され、処理ユニット25は画像データを処理し、もう一つのデータリンク26を介して可視化ユニット27に供給する。可視化ユニット27は、2次元及び3次元画像データを、例えば分けて表示することができる。また、単一の画像又は単一のフレームシーケンスに結合して表示することもできる。表示及び制御ユニット32は、外科医の選択に応じて、どの画像データがどのような方法で表示されるかを決定する。表示及び制御ユニット32によっで発生された制御指示は、データリンク39によって処理ユニット25に伝送される。
【0038】
図1によれば、ある場面(シーン)の異なる位置からの二つの画像が、特に二つのカメラブラケット12a,12bにそれぞれ取り付けられた二つの結像光学系14a,14bを含む二つの画像器12a,13a,14a,12b,13b,14bによって記録される。記録された画像データは、データリンク24を介して処理ユニット25に伝送される。処理ユニット25は、ステレオ表現のために3次元カメラの画像データを処理し、データリンク26を介して可視化ユニット27に供給する。可視化ユニット27は、2次元及び3次元画像データを表示することができる。表示及び制御ユニット32は、外科医の選択に応じて、どの画像データがどのような方法で表示されるかを決定する。制御ユニット32によって発生される制御指示は、データリンク39を介して処理ユニット25に伝送される。
【0039】
腹腔鏡下手術のような低侵襲手術は、手術操作器、遠隔操作器又はロボットシステムによって、頻繁になされる。本発明に基づく内視鏡及びカメラは、そのような遠隔操作器又はロボットシステムで使われる。
【0040】
本発明は、本発明に基づく内視鏡又は本発明に基づくカメラが、低侵襲手術を成し遂げるために、遠隔操作器又はロボットシステムで使われるという事実には制限されない。本発明は、このようなシステム以外の医療分野においても利用することができる。
図1
図2
図3
図4