(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
《第1実施形態》
〈第1実施形態によるエレベータシステムの構成〉
本発明の第1実施形態によるエレベータシステムの構成について、
図1を参照して説明する。本実施形態によるエレベータシステム1Aは、5階建ての建物に設置された第1エレベータ10、第2エレベータ20、および第3エレベータ30の3台のエレベータと、当該建物の各階床のエレベータ乗場(1階乗場2−1、2階乗場2−2・・・5階乗場2−5)にそれぞれ設置された、利用者位置情報取得手段としての位置センサ3−1〜3−5および、行先階情報取得手段としての利用者情報読取装置4−1〜4−5とが接続されて構成されている。また、第1エレベータ10〜第3エレベータ30の利用者により携帯され、当該利用者の行先階情報が記憶された利用者端末5が、利用者情報読取装置4−1〜4−5と通信可能に構成されている。
【0011】
第1エレベータ10は、各階に設置された乗場ドア11−1〜11−5と、昇降路(図示せず)上部に設置された第1エレベータ制御装置12とを有する。同様に、第2エレベータ20は、各階に設置された乗場ドア21−1〜21−5と、第2エレベータ制御装置22とを有する。同様に、第3エレベータ30は、各階に設置された乗場ドア31−1〜31−5と、第3エレベータ制御装置32とを有する。第1エレベータ制御装置12、第2エレベータ制御装置22、および第3エレベータ制御装置32はそれぞれ、位置センサ3−1〜3−5および利用者情報読取装置4−1〜4−5に接続されている。
【0012】
位置センサ3−1〜3−5はそれぞれ、設置された乗場内にいる利用者の位置情報(利用者位置情報)を所定時間間隔で取得し、第1エレベータ制御装置12、第2エレベータ制御装置22、および第3エレベータ制御装置32に送信する。利用者位置情報は、例えば、超音波を用いたセンサ、カメラ装置に接続された画像解析装置、または無線通信装置等を用いた既知の技術により取得することができる。利用者情報読取装置4−1〜4−5はそれぞれ、設置された乗場内にいる利用者の利用者端末5から、当該利用者の行先階情報を読み取る。
【0013】
第1エレベータ制御装置12は、
図2に示すように、情報通信部121と、利用者判定部122と、呼び登録部123と、運転スケジュール更新部124と、運転制御部125と、報知情報生成部126とを有する。情報通信部121は、第1エレベータ10内の各機器の運転状況(乗りかごの位置情報、運転方向情報、荷重情報等)を所定時間間隔で取得するとともに、運転制御部125および報知情報生成部126で生成される情報を該当する機器に送信する。利用者判定部122は、位置センサ3−1〜3−5で取得された各階の利用者位置情報に基づいて、いずれかの階床の乗場に、第1エレベータ10の利用者が来場したか否かを判定する。呼び登録部123は、利用者判定部122で第1エレベータ10の利用者が来場したと判定されたときに、該当する階床の利用者情報読取装置4−1〜4−5で利用者の行先階情報が読み取られると、該当する階床に関し、当該行先階に向かう行先方向の乗場呼びを自動登録する。また呼び登録部123は、情報通信部121で乗りかご内で操作された行先階登録情報を取得すると、当該情報に基づいてかご呼びを登録する。運転スケジュール更新部124は、第1エレベータ10の最新の運転スケジュールの情報を保持し、呼び登録部123に新たに呼びが登録されると当該呼びに応答するための運転に関する情報を追加して、運転スケジュールの情報を更新する。運転制御部125は、呼び登録部123に登録された呼び情報に基づいて第1エレベータ10内の各機器を動作させるための制御情報を生成する。報知情報生成部126は、運転スケジュール更新部124で更新された運転スケジュールの情報を用いて、第1エレベータ10の運転に関する当該利用者への報知情報を生成する。
【0014】
第2エレベータ制御装置22および第3エレベータ制御装置32も同様に、情報通信部221、321と、利用者判定部222、322と、呼び登録部223、323と、運転スケジュール更新部224、324と、運転制御部225、325と、報知情報生成部226、326とを有する。これらの各部の機能は、第1エレベータ制御装置12の各部の機能と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0015】
〈第1実施形態によるエレベータシステムの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータシステム1Aの動作について、
図3のフローチャートを参照して説明する。
図3は、エレベータの利用者がいずれかの階床の乗場に来場したときに、第1エレベータ制御装置12、第2エレベータ制御装置22、または第3エレベータ制御装置32において実行される処理を示す。本実施形態においてエレベータシステム1Aの稼働中は、第1エレベータ制御装置12、第2エレベータ制御装置22、および第3エレベータ制御装置32において、それぞれ自エレベータ10、20、30内の各機器の運転状況が所定時間間隔で取得されている。また、第1エレベータ制御装置12、第2エレベータ制御装置22、および第3エレベータ制御装置32では、位置センサ3−1〜3−5で取得された各階の利用者位置情報も、所定時間間隔で取得されている。
【0016】
これらの情報が取得されている状態で、利用者Aが1階乗場2−1に来場し、利用者端末5を利用者情報読取装置4−1にかざすと、利用者情報読取装置4−1により利用者端末5に記憶された行先階情報(ここでは、「5階」とする)が読み取られる。読み取られた行先階情報「5階」は、利用者情報読取装置4−1から第1エレベータ制御装置12、第2エレベータ制御装置22、および第3エレベータ制御装置32に送信される。第1エレベータ制御装置12、第2エレベータ制御装置22、および第3エレベータ制御装置32では、利用者情報読取装置4−1から利用者Aの行先階情報が取得されると(S1の「YES」)、当該行先階情報が保持される(S2)。
【0017】
その後、当該利用者Aが第1エレベータ10の乗場ドア11−1の前に移動して待機すると、位置センサ3−1により利用者Aの存在が位置情報とともに検出される。そして、当該位置(乗場ドア11−1の前)に利用者がいることを示す利用者位置情報が位置センサ3−1により生成されて、第1エレベータ制御装置12、第2エレベータ制御装置22、および第3エレベータ制御装置32に送信される。第1エレベータ制御装置12、第2エレベータ制御装置22、および第3エレベータ制御装置32の利用者判定部122、222、322では、位置センサ3−1〜3−5から送信される利用者位置情報に基づいて、自エレベータの利用者が来場したか否かが監視されている(S3)。具体的には、利用者位置情報で示される利用者の位置に最も近い乗場ドアが自エレベータの乗場ドアであるときには、当該階の乗場に自エレベータの利用者が来場したと判定される。
【0018】
ここでは、取得された利用者位置情報で示される利用者Aの位置に最も近い乗場ドアは、1階乗場2−1の乗場ドア11−1であるため、第1エレベータ制御装置12の利用者判定部122において、1階乗場2−1に第1エレベータ10の利用者が来場したと判定される(S3の「YES」)。第1エレベータ制御装置12の利用者判定部122において1階乗場2−1に第1エレベータ10の利用者が来場したと判定されると、呼び登録部123により、ステップS2で保持された行先階情報に基づいて、行先方向である上方向の乗場呼びが自動登録される(S4)。
【0019】
呼び登録部123に新たな乗場呼びが自動登録されると、運転スケジュール更新部124により、当該新たな乗場呼びに応答するための運転に関する情報を追加して、第1エレベータ10の運転スケジュールの情報が更新される(S5)。運転スケジュールの情報が更新されると、運転制御部125により、更新された運転スケジュールの情報に基づいて第1エレベータ10内の機器を運転させるための制御情報が生成される。生成された制御情報は、情報通信部121から第1エレベータ10内の該当する各機器に送信される(S6)。
【0020】
また、報知情報生成部126において、更新された運転スケジュールの情報を含む最新の第1エレベータ10の運転状況に基づいて、第1エレベータ10の運転に関する利用者Aへの報知情報が生成される。生成される報知情報には、乗場呼びが自動登録された1階に第1エレベータ10の乗りかごが到着するまでの時間を示す情報、停止予定階を示す情報、乗りかごの荷重情報に基づく混雑状況を示す情報が含まれる。当該報知情報は、情報通信部121から、利用者Aがいる1階乗場2−1内の出力装置(図示せず)または、利用者Aの利用者端末5に送信される(S7)。出力装置または利用者端末5では、表示または音声により、報知情報が出力される。
【0021】
ここで、当該乗場呼びへの応答が完了する前に(S8の「NO」)、利用者Aが報知情報に基づいて、到着までに時間がかかる、乗りかごが混雑している等の判断をして他のエレベータの乗場ドア(第2エレベータ20の乗場ドア21−1または第3エレベータ30の乗場ドア31−1)の前に移動すると、位置センサ3−1において新たな利用者位置情報が生成される。生成された新たな利用者位置情報は、第1エレベータ制御装置12、第2エレベータ制御装置22、および第3エレベータ制御装置32の利用者判定部122、222、322で取得される。そして、第1エレベータ制御装置12の利用者判定部122において、利用者Aが乗場ドア11−1の前からいなくなったことが検知される(S9の「YES」)。利用者Aが乗場ドア11−1の前からいなくなったことが検知されると、ステップS4で自動登録された乗場呼びがキャンセルされ(S10)、これに基づいて運転スケジュール情報も更新される。
【0022】
ステップS10により乗場呼びがキャンセルされるかまたは、ステップS8により乗場呼びへの応答が完了したと判定されると(S8の「YES」)、第1エレベータ制御装置12における当該利用者Aの乗場呼びに関する処理を終了する。
【0023】
利用者Aが他のエレベータの乗場ドア(第2エレベータ20の乗場ドア21−1または第3エレベータ30の乗場ドア31−1)の前に移動したときには、移動先のエレベータの制御装置において、上述したステップS3以降の処理が実行される。
【0024】
このように各エレベータの制御装置で処理が実行されることにより、利用者は、複数のエレベータの乗場ドアの前を移動することで、それぞれのエレベータの運転状況を把握することができ、エレベータと階段とどちらを利用した方がよいか、またはエレベータを利用する場合にどのエレベータを利用したらよいか等を、乗りかごが到着する前に判断することができる。また、車椅子利用者やベビーカー利用者が、乗りかごの混雑状況に応じて、なるべく乗りかごが混雑していないエレベータを利用対象として選択することができる。また、利用者が利用対象として選択したエレベータに対して、自動で乗り場呼びが登録されるため、利用者の利便性が向上する。
【0025】
《第2実施形態》
〈第2実施形態によるエレベータシステムの構成〉
本発明の第2実施形態によるエレベータシステム1Bの構成について、
図4および
図5を参照して説明する。
図4は、エレベータシステム1Bの構成を示す全体図であり、
図5は、乗場の構成例として、1階乗場を上方向から見た状態を示す説明図である。
【0026】
本実施形態によるエレベータシステム1Bは、
図4に示すように、位置センサ3−1〜3−5に換えて、第1エレベータ10内の機器として設置された人感センサ13−1〜13−5と、第2エレベータ20内の機器として設置された人感センサ23−1〜23−5と、第3エレベータ30内の機器として設置された人感センサ33−1〜33−5とを備える。これら人感センサを備える他は、第1実施形態において説明したエレベータシステム1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する装置の詳細な説明は省略する。
【0027】
本実施形態において人感センサ13−1〜13−5はそれぞれ、第1エレベータ10の各階床の乗場ドア11−1〜11−5上部に設置され、対応する乗場内の乗場ドア11−1〜11−5近辺に予め設定された第1待ち利用者検出エリア14−1〜14−5内にいる待ち利用者を検出する。例えば、1階乗場2−1においては、
図5に示すように、人感センサ13−1は乗場ドア11−1近辺の第1待ち利用者検出エリア14−1内にいる待ち利用者を検出する。待ち利用者の検出は、例えば、超音波、無線通信、カメラ装置による撮像情報の解析情報等を用いた既知の技術により実行することができる。人感センサ13−1〜13−5は、第1待ち利用者検出エリア14−1〜14−5内に待ち利用者を検出すると、利用者検出情報を生成して第1エレベータ制御装置12に送信する。
【0028】
また、人感センサ23−1〜23−5はそれぞれ、第2エレベータ20の各階床の乗場ドア21−1〜21−5上部に設置され、対応する乗場内の乗場ドア21−1〜21−5近辺に予め設定された第2待ち利用者検出エリア24−1〜24−5内にいる待ち利用者を検出する。人感センサ23−1〜23−5は、第2待ち利用者検出エリア24−1〜24−5内に待ち利用者を検出すると、利用者検出情報を生成して第2エレベータ制御装置22に送信する。
【0029】
また、人感センサ33−1〜33−5はそれぞれ、第3エレベータ30の各階床の乗場ドア31−1〜31−5上部に設置され、対応する乗場内の乗場ドア31−1〜31−5近辺に予め設定された第3待ち利用者検出エリア34−1〜34−5内にいる待ち利用者を検出する。人感センサ33−1〜33−5は、第3待ち利用者検出エリア34−1〜34−5内に待ち利用者を検出すると、利用者検出情報を生成して第3エレベータ制御装置32に送信する。
【0030】
各乗場において、隣接する待ち利用者検出エリア間には、いずれの人感センサからも検出対象外となる検出対象外エリアが設けられている。例えば
図5に示すように、1階乗場2−1では、第1待ち利用者検出エリア14−1と隣接する第2待ち利用者検出エリア24−1との間に、人感センサ13−1、23−1いずれからも検出対象外となる検出対象外エリアn1が設けられている。また、第2待ち利用者検出エリア24−1と隣接する第3待ち利用者検出エリア34−1との間には、人感センサ23−1、33−1いずれからも検出対象外となる検出対象外エリアn2が設けられている。このように、隣接する待ち利用者検出エリア間に検出対象外エリアが設けられることにより、一人の利用者が2つのエレベータにおいて待ち利用者として検出されることが回避される。
【0031】
本実施形態において第1エレベータ制御装置12の利用者判定部122は、人感センサ13−1〜13−5で取得された各階の利用者検出情報に基づいて、いずれかの階床の乗場に、第1エレベータ10の利用者が来場したか否かを判定する。また、第2エレベータ制御装置22の利用者判定部222は、人感センサ23−1〜23−5で取得された各階の利用者検出情報に基づいて、いずれかの階床の乗場に、第2エレベータ20の利用者が来場したか否かを判定する。また、第3エレベータ制御装置32の利用者判定部322は、人感センサ33−1〜33−5で取得された各階の利用者検出情報に基づいて、いずれかの階床の乗場に、第3エレベータ30の利用者が来場したか否かを判定する。
【0032】
〈第2実施形態によるエレベータシステムの動作〉
本実施形態によるエレベータシステム1Bでは、利用者Aが1階乗場2−1に来場して利用者端末5を利用者情報読取装置4−1にかざすと、第1実施形態と同様に行先階情報が読み取られる。そして、読み取られた利用者行先階情報は、第1エレベータ制御装置12、第2エレベータ制御装置22、および第3エレベータ制御装置32に送信され、保持される(S1、S2)。その後、利用者Aが第1エレベータ10の乗場ドア11−1の前に移動して待機すると、人感センサ13−1により利用者Aの存在が検出され、利用者検出情報が生成されて第1エレベータ制御装置12に送信される。利用者判定部122では、送信された利用者検出情報に基づいて、1階乗場2−1に第1エレベータ10の利用者が来場したと判定され(S3の「YES」)、呼び登録部123により、ステップS2で保持された行先階情報に基づいて、上方向の乗場呼びが自動登録される(S4)。
【0033】
以降に第1エレベータ制御装置12で実行されるステップS5〜S10の処理は、第1実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0034】
以上の第2実施形態では、第1実施形態と同様の効果を有するとともに、乗場にいる利用者がどのエレベータの利用者であるかをより高い精度で判定することができる。
【0035】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【課題】 複数のエレベータが設置された建物で、各エレベータの運転状況に応じて利用者が利用するエレベータを選択することを可能にするためのエレベータ制御装置およびこれを利用したエレベータシステム、エレベータの制御方法を提供する。
【解決手段】 実施形態によれば建物内に設置された複数のエレベータのいずれかの動作を制御するエレベータ制御装置は、利用者判定部と呼び登録部と運転スケジュール更新部と報知情報生成部とを備える。利用者判定部はいずれかの階床の乗場に自エレベータの利用者がいるか否かを判定する。呼び登録部はいずれかの階床に自エレベータの利用者がいると判定されると該当する階床の乗場呼びを自動登録する。運転スケジュール更新部は登録された乗場呼びに基づいて自エレベータの運転スケジュールを更新する。報知情報生成部は更新された運転スケジュールを用いて自エレベータの運転に関する利用者への報知情報を生成する。