特許第6254227号(P6254227)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6254227エレベータシステムおよびこれに利用するエレベータ制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6254227
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】エレベータシステムおよびこれに利用するエレベータ制御方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/18 20060101AFI20171218BHJP
【FI】
   B66B1/18 E
   B66B1/18 L
   B66B1/18 F
   B66B1/18 W
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-127388(P2016-127388)
(22)【出願日】2016年6月28日
【審査請求日】2016年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】木村 千穂里
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−147684(JP,A)
【文献】 特開平11−165960(JP,A)
【文献】 特開2014−076889(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/00− 1/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物運搬用の第1エレベータと、荷物の運搬を行う作業員の移動用の第2エレベータとを連動させて、荷物運搬専用運転を行うエレベータシステムにおいて、
前記第1エレベータの制御装置は、前記第1エレベータの第1乗りかごを所定の出発階で戸開させ、前記第1エレベータの目的階を設定して前記第1乗りかごを戸閉させた後、前記第2エレベータで前記目的階と同一階が目的階として設定され前記第2エレベータの第2乗りかごが戸閉されると、前記第1乗りかごを当該目的階に向けて出発させ、前記第2乗りかごが前記目的階で戸開した後、前記第1乗りかごを前記目的階で戸開させる
ことを特徴とするエレベータシステム。
【請求項2】
前記第2エレベータの制御装置は、前記第1乗りかごが前記出発階で戸閉すると前記第2乗りかごを前記出発階で戸開させ、前記第1エレベータと同一の目的階を設定すると、前記第2乗りかごを戸閉して当該目的階に向けて出発させ、前記目的階に着床すると戸開させる
ことを特徴とする請求項1に記載のエレベータシステム。
【請求項3】
前記第1エレベータの制御装置に接続されて前記目的階に設置された、前記第1乗りかごを前記目的階で戸開させるための目的階運搬釦をさらに備え、
前記第1エレベータの制御装置は、前記第1乗りかごを前記目的階に向けて出発させた後、前記第2乗りかごが前記目的階で戸開すると前記目的階運搬釦を操作有効な状態に切り替える
ことを特徴とする請求項1または2に記載のエレベータシステム。
【請求項4】
前記第1エレベータの制御装置に接続されて前記出発階に設置された、前記第1乗りかごを前記出発階で戸閉させるための出発階運搬釦をさらに備え、
前記第1エレベータの制御装置は、前記第1乗りかごを前記出発階で戸開させた後、前記第1乗りかごに所定値以上の荷重がかかったとき、または、前記出発階で運搬作業員の識別情報が読み取られたときに前記出発階運搬釦を操作有効な状態に切り替える
ことを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載のエレベータシステム。
【請求項5】
前記第1エレベータの制御装置は、前記第1乗りかごを前記出発階で戸開させ、前記第1エレベータの目的階を設定して戸閉させ、前記第2エレベータで前記目的階と同一階が目的階として設定された後、前記第2乗りかごが前記目的階に向けて出発したことを検知すると、前記第1乗りかごを前記目的階に向けて出発させる
ことを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のエレベータシステム。
【請求項6】
前記第1エレベータの制御装置に接続されて前記出発階に設置された第1出発階表示灯と、前記第2エレベータの制御装置に接続されて前記出発階に設置された第2出発階表示灯と、前記第1エレベータの制御装置に接続されて前記目的階に設置された第1目的階表示灯と、前記第2エレベータの制御装置に接続されて前記目的階に設置された第2目的階表示灯と、前記第1乗りかご内に設置された第1スピーカと、前記第2乗りかご内に設置された第2スピーカとをさらに備え、
前記第1エレベータの制御装置は、通常運転から前記荷物運搬専用運転に切り替えられると、前記第1出発階表示灯および第1目的階表示灯を点灯させるとともに、荷物運搬専用運転中であることを報知するための情報を前記第1スピーカから出力させ、前記荷物運搬専用運転から通常運転に切り替えられると、前記第1出発階表示灯および第1目的階表示灯を消灯させ、
前記第2エレベータの制御装置は、通常運転から前記荷物運搬専用運転に切り替えられると、前記第2出発階表示灯および第2目的階表示灯を点灯させるとともに、荷物運搬専用運転中であることを報知するための情報を前記第2スピーカから出力させ、前記荷物運搬専用運転から通常運転に切り替えられると、前記第2出発階表示灯および第2目的階表示灯を消灯させる
ことを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載のエレベータシステム。
【請求項7】
荷物運搬用の第1エレベータと、荷物の運搬を行う作業員の移動用の第2エレベータとを連動させて荷物運搬専用運転を行うためのエレベータ制御方法であって、
前記第1エレベータの制御装置が、前記第1エレベータの第1乗りかごを所定の出発階で戸開させ、前記第1エレベータの目的階を設定して前記第1乗りかごを戸閉させ、
前記第2エレベータの制御装置が、前記第1乗りかごが前記出発階で戸閉したことを検知すると前記第2エレベータの第2乗りかごを前記出発階で戸開させ、前記第1エレベータと同一の目的階を設定すると、前記第2乗りかごを戸閉して当該目的階に向けて出発させ、
前記第1エレベータの制御装置が、前記出発階で前記第2乗りかごが戸閉されたことを検知すると、前記第1乗りかごを当該目的階に向けて出発させ、
前記第2エレベータの制御装置が、前記第2乗りかごが前記目的階に着床すると戸開させ、
前記第1エレベータの制御装置が、前記第2乗りかごが前記目的階で戸開した後、前記第1乗りかごを前記目的階で戸開させる
ことを特徴とするエレベータ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータシステムおよびこれに利用するエレベータ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷物のみを乗りかごに積載させて運搬作業を行うための荷物運搬専用のエレベータがある。この荷物運搬専用のエレベータは、例えば行先階の指定釦や扉の開閉釦等が乗場側に設置されており、作業員が乗りかごの外で当該エレベータの運転操作を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−76889号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような荷物運転専用のエレベータは、荷物の運搬先である行先階に別の作業員が待機し、乗りかごが到着した際に荷物の積み下ろし作業を行うことで効率よく運搬作業を行うことができる。しかし、運搬作業によっては、出発階で乗りかごへの積み込み作業を行った作業員が、荷物運搬用のエレベータとは別のエレベータを利用して荷物と同一の行先階に移動し、荷物の積み下ろし作業を行う場合がある。
【0005】
このような場合、作業員が利用するエレベータと荷物運搬用のエレベータとは別箇に運転が制御されるため、行先階に到着するタイミングがずれてしまう場合がある。しかし、現金などの貴重品やガスボンベなどの危険物を運搬する場合に、作業員の到着がこれらの荷物よりも大幅に遅れると、作業員以外の第三者が先に荷物に接するおそれがあり、セキュリティや安全性の面で問題があった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、運搬物を運搬するエレベータと、当該運搬物の運搬作業を行う作業員が利用するエレベータとを連動させて、異なる階床への荷物の運搬作業を作業員が適切に行うことができるように制御するエレベータシステムおよびこれに利用するエレベータ制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための実施形態によればエレベータシステムは、荷物運搬用の第1エレベータと、荷物の運搬を行う作業員の移動用の第2エレベータとを連動させて荷物運搬専用運転を行う。第1エレベータの制御装置は、第1エレベータの第1乗りかごを所定の出発階で戸開させ、第1エレベータの目的階を設定して第1乗りかごを戸閉させた後、第2エレベータで目的階と同一階が目的階として設定され第2エレベータの第2乗りかごが戸閉されると、第1乗りかごを当該目的階に向けて出発させる。また第1エレベータの制御装置は、第2乗りかごが目的階で戸開した後、第1乗りかごを目的階で戸開させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1、第2、第4実施形態によるエレベータシステムの構成を示す全体図。
図2】第1実施形態によるエレベータシステムの動作を示すシーケンス図。
図3】第2実施形態によるエレベータシステムの動作を示すシーケンス図。
図4】第3実施形態によるエレベータシステムの構成を示す全体図。
図5】第3実施形態によるエレベータシステムの動作を示すシーケンス図。
図6】第4実施形態によるエレベータシステムの動作を示すシーケンス図。
図7】第5実施形態によるエレベータシステムの構成を示す全体図。
図8】第5実施形態によるエレベータシステムの動作を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態として、2台のエレベータを備え、所定操作により通常運転から荷物運搬専用運転に切り替えられると、一方のエレベータを荷物運搬用とし、他方のエレベータを当該荷物の運搬作業を行う作業員の移動用として、これら2台のエレベータを連動させて運転するエレベータシステムについて説明する。
【0010】
《第1実施形態》
〈第1実施形態によるエレベータシステムの構成〉
本発明の第1実施形態によるエレベータシステム1Aの構成について、図1を参照して説明する。本実施形態によるエレベータシステム1Aは、第1エレベータ10と、第2エレベータ20と、荷物運搬専用運転を行う際の出発階の乗場30に設置された出発階乗場操作盤31と、目的階の乗場40の設置された目的階乗場操作盤41とを備える。
【0011】
第1エレベータ10は、昇降路上部に設置された巻上げ機11と、巻上げ機11に掛け渡されたロープ12に吊り下げられた第1乗りかご13と、昇降路上部に設置されて巻上げ機11に信号線14で接続されるとともに第1乗りかご13にテールコード15を介して接続された第1エレベータ制御装置16とを有する。第1乗りかご13は、かご扉131と、かご上部に設置されかご扉131の戸開閉動作を駆動する戸開閉装置132と、かご内に設置され、利用者が目的階の指定操作を行うかご内操作盤133と、かご床面に設置され、かご内にかかる荷重量を検知する荷重検知装置134とを有する。
【0012】
第1エレベータ制御装置16は、荷物運搬専用運転において、第1乗りかご13のかご扉131を出発階乗場30で戸開させ、第1エレベータ10の目的階を設定してかご扉131を戸閉させた後、第2エレベータ20で第1エレベータ10と同一の目的階が設定されると、第1エレベータ10の乗りかご13を当該目的階に向けて出発させる。また、第2エレベータ20の乗りかご23のかご扉231が目的階乗場40で戸開した後、第1乗りかご13のかご扉131を目的階で戸開させる。
【0013】
第2エレベータ20も同様に、巻上げ機21と、巻上げ機21に掛け渡されたロープ22に吊り下げられた第2乗りかご23と、巻上げ機21に信号線24で接続されるとともに第2乗りかご23にテールコード25を介して接続された第2エレベータ制御装置26とを有する。第2乗りかご23は、かご扉231と、戸開閉装置232と、かご内操作盤233と、荷重検知装置234とを有する。第2エレベータ制御装置26は、信号線51により第1エレベータ制御装置16に接続されている。
【0014】
第2エレベータ制御装置26は、第1乗りかご13のかご扉131が出発階乗場30で戸閉すると第2乗りかご23のかご扉231を出発階乗場30で戸開させる。また、第1エレベータ10と同一の目的階を設定すると、第2乗りかご23を当該目的階に向けて出発させ、目的階乗場40に着床するとかご扉231を戸開させる。
【0015】
出発階乗場操作盤31は、通常運転時に乗場呼びを登録するための乗場呼びボタン311と、当該エレベータシステム1A内を通常運転から荷物運搬専用運転に切り替えるための出発階専用運転スイッチ312と、荷物運搬専用運転の際に運搬作業員が第1乗りかご13を出発させるために戸閉させる際に操作する出発階運搬釦313とを有する。目的階乗場操作盤41は、通常運転時に乗場呼びを登録するための乗場呼びボタン411と、当該エレベータシステム1A内を荷物運搬専用運転から通常運転に切り替えるための目的階専用運転スイッチ412と、荷物運搬専用運転の際に運搬作業員が到着した第1乗りかご13を戸開させる際に操作する目的階運搬釦413とを有する。出発階乗場操作盤31および目的階乗場操作盤41は、信号線52により第1エレベータ制御装置16に接続されている。
【0016】
〈第1実施形態によるエレベータシステムの動作〉
次に、本実施形態によるエレベータシステム1Aの動作について、図2のシーケンス図を参照して説明する。本実施形態によるエレベータシステム1Aにおいて、通常時は、第1エレベータ10の第1エレベータ制御装置16および第2エレベータ20の第2エレベータ制御装置26で通常運転が行われている(S1、S2)。通常運転時は、目的階乗場操作盤41の目的階運搬釦413が操作無効な状態になっている。
【0017】
そして、運搬作業員が荷物運搬作業の出発階の乗場30で出発階専用運転スイッチ312を ” ON “ 操作すると(S3の「YES」)、当該操作情報が第1エレベータ制御装置16に送信され、さらに第2エレベータ制御装置26にも送信される。第1エレベータ制御装置16および第2エレベータ制御装置26ではそれぞれ、出発階専用運転スイッチ312の” ON “ 操作情報が取得されると、当該出発階への呼びが登録され、応答のための運転が実行される(S4)。つまり、第1乗りかご13および第2乗りかご23が、出発階乗場30に呼び戻される。
【0018】
次に、第1乗りかご13と第2乗りかご23との双方が出発階乗場30に着床したことが第1エレベータ制御装置16で検知されると(S5の「YES」)、まず荷物運搬用として利用される第1乗りかご13の戸開閉装置132によりかご扉131が戸開される。また、第1乗りかご13のかご扉131が戸開すると、運搬作業員が荷物を第1乗りかご13に搬入する。搬入作業が終了すると、運転作業員が第1乗りかご13内のかご内操作盤133で搬送先である目的階を指定する操作を行う。目的階を指定する操作が行われると、該当階が第1乗りかご13の目的階として設定される(S6)。第1エレベータ制御装置16において第1乗りかご13の目的階が設定されると、当該目的階の情報が第2エレベータ制御装置26で取得され、保持される(S7)。
【0019】
次に、運搬作業員が第1乗りかご13から降車して、出発階乗場操作盤31の出発階運搬釦313を” ON “ 操作すると(S8の「YES」)、当該操作情報が第1エレベータ制御装置16に送信される。第1エレベータ制御装置16において出発階運搬釦313の” ON “ 操作情報が取得されると、当該第1乗りかご13の戸開閉装置132によりかご扉131が戸閉される(S9)。そして、第1乗りかご13のかご扉131が戸閉されたことが第2エレベータ制御装置26で検知され、運搬作業員の移動用として利用される第2乗りかご23の戸開閉装置232によりかご扉231が戸開される(S10)。第2乗りかご23のかご扉231が戸開すると、運搬作業員が乗り込み、第2乗りかご23内のかご内操作盤233で第1乗りかご13で操作した目的階と同じ階を指定する操作を行う。この操作において、ステップS7で保持した目的階情報と同じ階が指定され、戸閉されたときは(S11の「YES」)、当該動作情報が第1エレベータ制御装置16に送信され、第1乗りかご13および第2乗りかご23が目的階に向けて出発するよう制御される(S12)。
【0020】
次に、第1乗りかご13と第2乗りかご23との双方が目的階乗場40に着床したことが第2エレベータ制御装置26で検知されると(S13の「YES」)、まず第2乗りかご23の戸開閉装置232によりかご扉231が戸開される(S14)。目的階で第2乗りかご23のかご扉231が戸開すると、第1エレベータ制御装置16により目的階運搬釦413が操作有効な状態に切り替えられる(S15)。そして、第2乗りかご23から降車した運搬作業員が目的階運搬釦413を” ON “ 操作すると(S16の「YES」)、当該操作情報が第1エレベータ制御装置16に送信され、第1乗りかご13の戸開閉装置132によりかご扉131が戸開される(S17)。第1乗りかご13のかご扉131が戸開すると、運搬作業員が第1乗りかご13から荷物を搬出する。搬出作業が終了すると、運搬作業員が目的階乗場操作盤41の目的階専用運転スイッチ412を” ON “ 操作する。目的階専用運転スイッチ412が” ON “ 操作されると(S18の「YES」)、第1エレベータ10及び第2エレベータが通常運転に戻る。
【0021】
以上の第1実施形態によれば、荷物運搬用のエレベータの制御と、運搬作業員が利用するエレベータの制御とを連動させることにより、荷物を出発階から目的階に運搬する際に、第三者が荷物に接することなく、運搬作業員が適切に運搬作業を行うことができる。
【0022】
《第2実施形態》
〈第2実施形態によるエレベータシステムの構成〉
本発明の第2実施形態によるエレベータシステム1Bの構成は、第1実施形態で説明したエレベータシステム1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0023】
本実施形態において通常運転時は、出発階乗場操作盤31の出発階運搬釦313が操作無効な状態になっており、第1エレベータ制御装置16が、荷物運搬専用運転中に第1乗りかご13のかご扉131を出発階乗場30で戸開させた後、荷重検知装置134により第1乗りかご13に所定値以上の荷重がかかったことを検知したときに、操作有効な状態に切り替える。
【0024】
〈第2実施形態によるエレベータシステムの動作〉
本実施形態によるエレベータシステム1Bの動作について、図3のシーケンス図を参照して説明する。図3において、ステップS1〜S7の処理は、第1実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明な省略する。
【0025】
第1エレベータ制御装置16により、荷物運搬専用運転中に第1乗りかご13のかご扉131が出発階乗場30で戸開された(S6)後、荷重検知装置134により第1乗りかご13に所定値以上の荷重がかかったことが検知されると(S19の「YES」)、荷物が搬入されたと判定され、出発階運搬釦313が操作有効な状態に切り替え設定される(S20)。
【0026】
その後ステップS8以降に実行される処理は、第1実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0027】
以上の第2実施形態によれば、荷物運搬用のエレベータの乗りかごに荷物が確実に搬入されたときに当該エレベータを運転させることで、運搬作業の精度を向上させることができる。
【0028】
《第3実施形態》
〈第3実施形態によるエレベータシステムの構成〉
本発明の第3実施形態によるエレベータシステム1Cの構成は、図4に示すように、出発階乗場30の出発階乗場操作盤31の近傍に、信号線52に接続されたカードリーダ装置32を備える他は、第1実施形態で説明したエレベータシステム1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0029】
本実施形態においてカードリーダ装置32は、運搬作業員が保持するICカードや携帯端末等から、当該運搬作業員を識別する識別情報を読み取る。また、本実施形態において通常運転時は、出発階乗場操作盤31の出発階運搬釦313が操作無効な状態になっており、第1エレベータ制御装置16が、荷物運搬専用運転中に第1乗りかご13のかご扉131を出発階乗場30で戸開させた後、カードリーダ装置32で運搬作業員の識別情報が読み取られたことを検知したときに、操作有効な状態に切り替える。
【0030】
〈第3実施形態によるエレベータシステムの動作〉
本実施形態によるエレベータシステム1Cの動作について、図5のシーケンス図を参照して説明する。図5において、ステップS1〜S7の処理は、第1実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明な省略する。
【0031】
第1エレベータ制御装置16により、荷物運搬専用運転中に第1乗りかご13のかご扉131が出発階乗場30で戸開された(S6)後、出発階乗場30のカードリーダ装置32で運搬作業員の識別情報が読み取られたことが検知されると(S21の「YES」)、出発階運搬釦313が操作有効な状態に切り替え設定される(S22)。
【0032】
その後ステップS8以降に実行される処理は、第1実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0033】
以上の第3実施形態によれば、荷物運搬専用運転中は、正規の運搬作業員に対してのみ釦操作を有効とするため、いたずらや誤操作を防止することができる。
【0034】
《第4実施形態》
〈第4実施形態によるエレベータシステムの構成〉
本発明の第4実施形態によるエレベータシステム1Dの構成は、第1実施形態で説明したエレベータシステム1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0035】
本実施形態において第1エレベータ制御装置16は、第1乗りかご13のかご扉131を出発階乗場30で戸開させ、第1エレベータ10の目的階を設定してかご扉131を戸閉させ、第2エレベータ20で第1エレベータ10と同じ目的階が設定された後、第2乗りかご23が目的階に向けて出発したことを検知すると、第1乗りかご13を目的階に向けて出発させる。
【0036】
〈第4実施形態によるエレベータシステムの動作〉
本実施形態によるエレベータシステム1Dの動作について、図6のシーケンス図を参照して説明する。図6において、ステップS1〜S11の処理は、第1実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0037】
ステップS11において、第2乗りかご23内のかご内操作盤233で第1乗りかご13で操作した目的階と同じ階を指定する操作が行われて戸閉されると、まず第2エレベータ制御装置26により第2乗りかご23が目的階に向けて出発するように制御される(S23)。そして、第2乗りかご23が出発したことが第1エレベータ制御装置16により検知され、これにより第1乗りかご13が目的階に向けて出発するように制御される(S24)。第2乗りかご23が目的階乗場40に着床したことが第2エレベータ制御装置26で検知されると(S25の「YES」)、第2乗りかご23のかご扉231が戸開される(S25)。
【0038】
その後ステップS14以降に実行される処理は、第1実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0039】
以上の第4実施形態によれば、荷物運搬用の乗りかごよりも運搬作業員の移動に利用する乗りかごを先に出発させることにより、運搬作業員が先に目的階に到着して荷物の搬出作業に備えて行動することができる。
【0040】
《第5実施形態》
〈第5実施形態によるエレベータシステムの構成〉
本発明の第5実施形態によるエレベータシステム1Eの構成は、図7に示すように、出発階乗場30の第1エレベータ10の近傍に設置された第1出発階表示灯33−1および第2エレベータ20の近傍に設置された第2出発階表示灯33−2と、目的階乗場40の第1エレベータ10の近傍に設置された第1目的階表示灯43−1および第2エレベータ20の近傍に設置された第2目的階表示灯43−2と、第1乗りかご13内に設置された第1スピーカ135と、第2乗りかご23内に設置された第2スピーカ235とをさらに備える他は、第1実施形態で説明したエレベータシステム1Aの構成と同様であるため、同一機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0041】
本実施形態において第1エレベータ制御装置16は、通常運転から荷物運搬専用運転に切り替えられると、第1出発階表示灯33−1および第1目的階表示灯43−1を点灯させるとともに、荷物運搬専用運転中であることを報知するためのアナウンス情報を第1スピーカ135から出力させる。その後、荷物運搬専用運転から通常運転に切り替えられると、点灯させた第1出発階表示灯33−1および第1目的階表示灯43−1を消灯させる。
【0042】
また第2エレベータ制御装置26は、第1エレベータ制御装置16において荷物運搬専用運転に切り替わったことを検知すると、第2出発階表示灯33−2および第2目的階表示灯43−2を点灯させるとともに、荷物運搬専用運転中であることを報知するためのアナウンス情報を第2スピーカ235から出力させる。その後、荷物運搬専用運転から通常運転に切り替えられたことを検知すると、点灯させた第2出発階表示灯33−2および第2目的階表示灯43−2を消灯させる。
【0043】
〈第5実施形態によるエレベータシステムの動作〉
本実施形態によるエレベータシステム1Eの動作について、図8のシーケンス図を参照して説明する。本実施形態において、通常運転時に運搬作業員により出発階の乗場30の出発階専用運転スイッチ312が ” ON “ 操作されると(S1、S2、S3の「YES」)、第1エレベータ制御装置16により当該出発階への呼びの登録および応答が行われるとともに、第1出発階表示灯33−1および第1目的階表示灯43−1が点灯され、荷物運搬専用運転中であることを報知するためのアナウンス情報が第1スピーカ135から出力される。また、第2エレベータ制御装置26により当該出発階への呼びの登録および応答が行われるとともに、第2出発階表示灯33−2および第2目的階表示灯43−2が点灯され、荷物運搬専用運転中であることを報知するためのアナウンス情報が第2スピーカ235から出力される(S4、S5)。その後実行される、ステップS6〜S18の処理は、第1実施形態で説明した処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0044】
本実施形態においてステップS18で目的階専用運転スイッチ412が” ON “ 操作されると(S18の「YES」)、第1出発階表示灯33−1、第2出発階表示灯33−2、第1目的階表示灯43−1、および第2目的階表示灯43−2が消灯された後(S26)、第1エレベータ10および第2エレベータが通常運転に戻る。
【0045】
以上の第5実施形態によれば、通常運転から荷物運搬専用運転に切り替わったときに、各乗場や乗りかご内にいる利用者に当該運転の切り替わりを報知することで、一般利用者の不都合を回避することができる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0047】
1A,1B,1C,1D,1E…エレベータシステム、10…第1エレベータ、11,21…巻上げ機、12,22…ロープ、13…第1乗りかご、14,24…信号線、15,25…テールコード、16…第1エレベータ制御装置、20…第2エレベータ、23…第2乗りかご、26…第2エレベータ制御装置、30…出発階乗場、31…出発階乗場操作盤、32…カードリーダ装置、33−1…第1出発階表示灯、33−2…第2出発階表示灯、40…目的階乗場、41…目的階乗場操作盤、43−1…第1目的階表示灯、43−2…第2目的階表示灯、51,52…信号線、131,231…かご扉、132,232…戸開閉装置、133,233…かご内操作盤、134,234…荷重検知装置、135…第1スピーカ、235…第2スピーカ、311,411…乗場呼びボタン、312…出発階専用運転スイッチ、313…出発階運搬釦、412…目的階専用運転スイッチ、413…目的階運搬釦
【要約】
【課題】 運搬物を運搬するエレベータと、当該運搬物の運搬作業を行う作業員が利用するエレベータとを連動させて、異なる階床への荷物の運搬作業を作業員が適切に行うことができるように制御するエレベータシステムおよびこれに利用するエレベータ制御方法を提供する。
【解決手段】 実施形態によればエレベータシステムは、荷物運搬用の第1エレベータと、荷物の運搬を行う作業員の移動用の第2エレベータとを連動させて、荷物運搬専用運転を行う。第1エレベータの制御装置は、第1エレベータの第1乗りかごを所定の出発階で戸開させ、第1エレベータの目的階を設定して第1乗りかごを戸閉させた後、第2エレベータで目的階と同一階が目的階として設定され第2エレベータの第2乗りかごが戸閉されると、第1乗りかごを当該目的階に向けて出発させる。また第1エレベータの制御装置は、第2乗りかごが目的階で戸開した後、第1乗りかごを目的階で戸開させる。
【選択図】図1
図1
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図7
図8