特許第6254281号(P6254281)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6254281
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】脳波測定及び脳刺激システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0484 20060101AFI20171218BHJP
   A61B 5/0408 20060101ALI20171218BHJP
   A61N 1/20 20060101ALI20171218BHJP
   A61B 5/0478 20060101ALI20171218BHJP
   A61B 5/0492 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   A61B5/04 320M
   A61B5/04 300Y
   A61N1/20
   A61B5/04 300J
【請求項の数】21
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-535020(P2016-535020)
(86)(22)【出願日】2014年11月18日
(65)【公表番号】特表2017-502722(P2017-502722A)
(43)【公表日】2017年1月26日
(86)【国際出願番号】KR2014011046
(87)【国際公開番号】WO2015076543
(87)【国際公開日】20150528
【審査請求日】2016年5月25日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0144087
(32)【優先日】2013年11月25日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516154325
【氏名又は名称】ワイ−ブレイン インク.
【氏名又は名称原語表記】Y−BRAIN INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】リー、キウォン
【審査官】 伊知地 和之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−239696(JP,A)
【文献】 特開2005−027813(JP,A)
【文献】 実開昭55−134809(JP,U)
【文献】 特開2011−045541(JP,A)
【文献】 特開2003−310561(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/103186(WO,A1)
【文献】 特表2009−530064(JP,A)
【文献】 実開昭52−35197(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/04 − 5/053
A61N 1/00 − 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脳を刺激するための微細電流を印加する第1の電極部;及び
前記脳から受信した脳波を測定する第2の電極部を含み、
前記第2の電極部は前記微細電流を遮断するカットフィルタを含むことを特徴とする脳波測定及び脳刺激システム。
【請求項2】
脳を刺激するための微細電流を印加するか、前記脳から受信した脳波を測定する第1の電極部;
前記第1の電極部と接続されて前記微細電流を制御する刺激部;及び
前記第1の電極部と接続されて前記脳波を受信する測定部を含み、
前記測定部は前記微細電流を遮断するカットフィルタを含むことを特徴とする脳波測定及び脳刺激システム。
【請求項3】
前記微細電流は直流電流(DC)であり、前記脳波は交流電流(AC)であり、
前記カットフィルタは直流カットフィルタ(DC Blocking Filter)であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の脳波測定及び脳刺激システム。
【請求項4】
前記第1の電極部は脳刺激の過程で所定のインピーダンス値を有する電解質層を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の脳波測定及び脳刺激システム。
【請求項5】
前記第1の電極部は、
頭皮に直接接触される電解質層;及び
前記電解質層の一面に接続される導電性層を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の脳波測定及び脳刺激システム。
【請求項6】
前記電解質層及び前記導電性層は延性であり、前記頭皮に対応して曲面形状が可変されることを特徴とする請求項5に記載の脳波測定及び脳刺激システム。
【請求項7】
前記電解質層と前記導電性層を接続する導電性接着層をさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の脳波測定及び脳刺激システム。
【請求項8】
前記第1の電極部は頭皮に直接接触される湿式電解質層を含み、
前記第1の電極部または前記第2の電極部は防水処理した保護層を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の脳波測定及び脳刺激システム。
【請求項9】
前記第1の電極部は、
前頭葉領域に配置され、第1の脳波を測定する第1のサブ電極;及び
前記前頭葉領域の以外の領域に配置され、第2の脳波を測定する第2のサブ電極を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の脳波測定及び脳刺激システム。
【請求項10】
前記第1の脳波及び前記第2の脳波を受信する制御部をさらに含み、
前記制御部は前記第1の脳波と前記第2の脳波の違いから第3の脳波を抽出することを特徴とする請求項9に記載の脳波測定及び脳刺激システム。
【請求項11】
前記第1の電極部は、
前記脳波をもとに前記微細電流を制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の脳波測定及び脳刺激システム。
【請求項12】
脳を刺激するための微細電流を生成する刺激部と、前記脳から受信した脳波を測定する測定部を含む第1のデバイス;及び
前記第1のデバイスから前記脳波を含むデータを受信して管理する制御部を含む第2のデバイスを含み、
前記第1のデバイスまたは前記第2のデバイスと通信し、前記脳波を受信して複数の測定データを管理するサーバをさらに含み、
前記サーバは、特定のグループの脳波の状態に対応する微細電流制御信号を前記第1のデバイスまたは第2のデバイスに送信することを特徴とする脳波測定及び脳刺激システム。
【請求項13】
脳を刺激するための微細電流を生成する刺激部と、前記脳から受信した脳波を測定する測定部を含む第1のデバイス;及び
前記第1のデバイスから前記脳波を含むデータを受信して管理する制御部を含む第2のデバイスを含み、
前記測定部は前記微細電流を遮断するカットフィルタを含むことを特徴とする脳波測定及び脳刺激システム。
【請求項14】
前記第1のデバイスは頭に着用するヘッドセットであり、
前記第2のデバイスはモバイルデバイスであることを特徴とする請求項12または請求項13に記載の脳波測定及び脳刺激システム。
【請求項15】
前記第1のデバイスまたは前記第2のデバイスは前記脳波をもとに前記微細電流を制御することを特徴とする請求項12または請求項13に記載の脳波測定及び脳刺激システム。
【請求項16】
前記第1のデバイスまたは前記第2のデバイスと通信し、前記脳波を受信して複数の測定データを管理するサーバをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の脳波測定及び脳刺激システム。
【請求項17】
前記サーバは、同時間帯の複数のユーザーの前記脳波をもとに特定のグループの脳波の状態を分析することを特徴とする請求項12または請求項16に記載の脳波測定及び脳刺激システム。
【請求項18】
前記サーバは、特定のグループの脳波の状態に対応する微細電流制御信号を前記第1のデバイスまたは第2のデバイスに送信することを特徴とする請求項16に記載の脳波測定及び脳刺激システム。
【請求項19】
前記第1のデバイスまたは前記第2のデバイスは、前記脳波または前記脳波を利用して算出された指標を表示するモニタリング部をさらに含むことを特徴とする請求項12または請求項13に記載の脳波測定及び脳刺激システム。
【請求項20】
前記測定部は前記微細電流を遮断するカットフィルタを含むことを特徴とする請求項12に記載の脳波測定及び脳刺激システム。
【請求項21】
前記測定部はノイズ振動の位相を変更して出力する逆位相ノイズ出力モジュールを含むことを特徴とする請求項12または請求項13に記載の脳波測定及び脳刺激システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脳波測定及び脳刺激システムに関するもので、より詳細には、単一のシステムとして具現されて脳波測定と脳刺激を同時に行うことができる一体型システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
脳は、人体頭部の内部機関として、神経系の最高の中枢機関であり、大脳、小脳、中脳、橋脳、延髄に分けられる。また、脳はニューロンの活動電位の総合が脳の表皮で測定される信号である脳波を発生する。
【0003】
脳の状態を測定する方法として、まず、頭皮に電極を備えたパッドを装着して電極から受信される脳波を測定して検査するEEG(electroencephalogram)検査、または脳を放射線や超音波を利用して様々な角度で断層撮影して検査するCT検査、磁気共鳴によって脳を撮影するMRI検査などがある。
【0004】
様々な概念が脳の構造の神経刺激の分野で知られており、脳を刺激させて所定の目的を達成する脳刺激は大きく観血脳刺激(invasive brain stimulation)と非侵襲的脳刺激(non−invasive brain stimulation)に区分される。
【0005】
観血脳刺激は、手術により電極を脳に浸透させて電気信号を印加する方法であり、非侵襲的脳刺激は頭蓋骨の内部に電極を侵襲することなく、脳を刺激して所定の効果を達成する方法である。
【0006】
具体的な脳刺激は深部電気刺激(deep electrical stimulation)、経頭蓋磁気刺激(TMS:transcranial magnetic stimulation)及び経頭蓋電気刺激(TES:transcranial electrical stimulation)、特に経頭蓋直流電気刺激(tDCS:transcranial direct current stimulation)及び経頭蓋ランダムノイズ刺激(tRNS:transcranial random noise stimulation)を含む。
【0007】
特に、経頭蓋直流電気刺激(tDCS)にとって、弱い連続的な直流が頭皮の上にある二つの大面積の電極を介して加えられる。これは、皮質の神経細胞の膜電位の小さな変更及び発火率の変化を招いて、それに応じて興奮レベルが影響を受ける。正確に言えば、これは刺激の極性に応じて増減される。陽極の刺激にとって(陽極は細胞体や樹状突起の近くにある)、脱分極化の増加された膜電位と発火率によって発生され、それに応じて興奮を増加させる。陰極の刺激にとって、神経細胞は低下した膜電位と発火率の結果として過分極化される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の脳波関連装置は、脳を刺激するためのモジュールと脳から検出された脳波を収集して分析するモジュールとが別々の装置からなり、脳の状態とはかかわりがなく、シンプルで、一定の刺激だけを加えられる。特に、脳の特定の領域を活性化させて、望む結果を得るためには、特定の部位をユーザーの状態に応じて適切な電流で刺激する必要があるが、従来の脳を刺激するモジュールが含まれている装置はこれを具現することが難しい。
【0009】
また、脳を刺激するためのモジュールは湿式電極をもとに構成され、脳から検出された脳波を収集及び分析するモジュールは乾式電極をもとに構成されるので、それぞれの電極を統合的に具現することが難しく、湿式電極は脳に印加された微細電流が均等な領域に広がるようにインピーダンスを大きくしなければならず、乾式電極は脳から受信される微細電圧を正確に検出することができるようにインピーダンスを小さくしなければならない逆の状況が発生する。
【0010】
具体的には、脳を刺激するためのモジュールは湿式電極をもとに構成されて、脳に印加された微細電流が均等な領域に広がるようにkΩ単位のインピーダンスを有する電解質を使用して、脳から検出された脳波を収集及び分析するモジュールは脳から受信される微細電圧を正確に検出することができるように数Ωないし数百Ω以下の低インピーダンスを有する電解質を使用する湿式電極や様々な低インピーダンスの導電性材料を使用して乾式電極を具現する。このような相反する特性のために、脳を刺激するためのモジュールで使用される電極と脳波を収集及び分析するモジュールの電極は、一つに統合されにくい特性がある。
【0011】
さらに、脳を刺激するためのモジュールと脳から検出された脳波を収集及び分析するモジュールは、互いに隣接するように配置される場合に干渉現象が発生して、刺激モジュールで脳に印加した電流がそのまま検出モジュールで読み取られるなどの現象が発生し正確な脳波測定が困難という問題がある。
【0012】
このような問題から着眼した本発明が解決しようとする課題は、測定と刺激を担当する電極を一つに共有したり、それぞれの電極が互いに密着するように配置して、1つの統合された脳波測定及び脳刺激システムを提供することである。
【0013】
本発明の解決しようとする他の課題は、脳波測定と脳刺激を同時に行って、脳波の測定状態をモニタリングして、脳刺激の程度をリアルタイムで制御することができる脳波測定及び脳刺激システムを提供しようとすることである。
【0014】
本発明の解決しようとするもう一つの課題は、特定の条件下での様々なクライアントの脳波を保存して、これをデータベース化し、これをもとに同時間帯の複数のユーザーの脳波信号をもとに、特定のグループの脳波の状態を分析する脳波測定及び脳刺激システムを提供しようとすることである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記のような目的を達成するための本発明の一実施形態に係る脳波測定及び脳刺激システムは、脳を刺激するための微細電流を印加する第1の電極部;及び前記第1の電極部と接続されて、前記脳から受信した脳波信号を測定する第2の電極部を含み、前記第2の電極部は前記微細電流を遮断するカットフィルタを含む。
【0016】
本発明の他の実施形態に係る脳波測定及び脳刺激システムは、脳を刺激するための微細電流を印加したり、前記脳から受信した脳波信号を測定する第1の電極部;前記第1の電極部と接続されて前記微細電流を制御する刺激部;及び前記第1の電極部と接続されて前記脳波信号を受信する測定部を含み、前記測定部は前記微細電流を遮断するカットフィルタを含む。
【0017】
前記微細電流は直流電流(DC)であり、前記脳波信号は交流電流(AC)でありえる。
【0018】
前記カットフィルタは直流カットフィルタ(DC Blocking Filter)でありえる。
【0019】
前記第1の電極部は頭皮に直接接触される固体電解質層;及び前記固体電解質層の一面に接続される導電性層を含むことができる。前記固体電解質層及び前記導電性層は延性であり、前記頭皮に対応して曲面形状が可変されることができる。
【0020】
前記第1の電極部は頭皮に直接接触される湿式電解質層;及び前記固体電解質層の一面に接続される防水型の導電性層を含む。
【0021】
前記第1の電極部は、脳刺激の過程で1kΩないし20kΩのインピーダンス値を有する電解質層を含むことができる。
【0022】
前記第1の電極部は、前頭葉領域に配置され、第1の脳波を測定する第1のサブ電極;及び、前記前頭葉領域の以外の領域に配置され、第2の脳波を測定する第2のサブ電極を含むことができる。
【0023】
前記第1の脳波及び前記第2の脳波を受信する測定部をさらに含むことができる。
【0024】
前記測定部は前記第1の脳波と前記第2の脳波の違いから第3の脳波を抽出することができる。
【0025】
前記第1の電極部は前記脳波信号をもとに前記微細電流を制御することができる。
【0026】
本発明の他の実施形態に係る脳波測定及び脳刺激システムは、脳を刺激するための微細電流を生成する刺激部と、前記脳から受信した脳波信号を測定する測定部を含む第1のデバイスと、前記第1のデバイスから前記脳波信号を含むデータを受信して管理する制御部を含む第2のデバイスを含む。
【0027】
前記第1のデバイスは頭に着用するヘッドセットであり、前記第2のデバイスはモバイルデバイスでありえる。
【0028】
前記第1のデバイスまたは前記第2のデバイスは、前記脳波信号をもとに前記微細電流を制御することができる。
【0029】
前記第1のデバイスまたは前記第2のデバイスと通信し、前記脳波信号を受信して、複数の測定データを管理するサーバをさらに含むことができる。
【0030】
前記サーバは、同時間帯の複数のユーザーの前記脳波信号をもとに、特定のグループの脳波の状態を分析することができる。
【0031】
前記第1のデバイスまたは前記第2のデバイスは前記脳波信号または前記微細電流を表示するモニタリング部をさらに含むことができる。
【0032】
前記測定部は前記微細電流を遮断するキャパシタフィルタを含むことができる。
【0033】
前記測定部はノイズ振動の位相を変更して出力する逆位相ノイズ出力モジュールを含むことができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、測定と刺激を担当する電極を一つに共有するか、それぞれの電極が互いに密着するように配置して、1つの統合された脳波測定及び脳刺激システムを提供することができる。
【0035】
また、脳波の測定と脳刺激を同時に行って、脳波の測定状態をモニタリングして、脳刺激の程度をリアルタイムで制御することができる脳波測定及び脳刺激システムを提供することができる。
【0036】
また、特定の条件下でのさまざまなクライアントの脳波を保存して、これをデータベース化し、これをもとに同時間帯の複数のユーザーの脳波信号をもとに、特定のグループの脳波の状態を分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の一実施形態に係る脳波測定及び脳刺激システムを示すブロック図である。
図2図1の実施形態にカットフィルタが追加された脳波測定及び脳刺激システムを示すブロック図である。
図3】本発明の他の実施形態に係る脳波測定及び脳刺激システムを示すブロック図である。
図4図3の実施形態にカットフィルタが追加された脳波測定及び脳刺激システムを示すブロック図である。
図5】本発明の他の実施形態に係る脳波測定及び脳刺激システムの電極部の概略的な断面図である。
図6】本発明の他の実施形態に係る脳波測定及び脳刺激システムの電極部の概略的な断面図である。
図7】本発明の他の実施形態に係る脳波測定及び脳刺激システムの電極部の概略的な断面図である。
図8】本発明の他の実施形態に係る脳波測定及び脳刺激システムの電極部の概略的な断面図である。
図9】本発明の実施形態に係る脳波測定及び脳刺激システムのデバイスの間の通信構造を示すブロック図である。
図10図9のシステムの具体的な例を示す図面である。
図11】本発明の実施形態に係る脳波測定及び脳刺激システムの複数のデータ収集構造を示すブロック図である。
図12】本発明の実施形態に係る脳波測定及び脳刺激システムのモニタリング部を示す図面である。
図13】本発明の実施形態に係る第1のデバイスの刺激部と測定部の詳細構造を示す図面である。
図14】本発明の実施形態に係る第1のデバイスの刺激部と測定部の詳細構造を示す図面である。
図15】従来の乾式tDCS電極を利用して、脳刺激を行ったときの額の紅斑の分布を示すイメージと、本発明の実施形態に係る第1のデバイスの刺激部を利用して脳刺激を行ったときの額の紅斑の分布を示すイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、添付する図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付する図面と一緒に詳細に後述されている実施形態を参照すると明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で開示される実施形態に限定されるものではなく、異なる多様な形態で具現されることができ、単に本実施形態は本発明の開示が完全になるようにして、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は請求項の範疇によって定義されるだけである。明細書の全体にわたって同一の参照符号は同一の構成要素を指す。
【0039】
他の定義のない場合は、本明細書で使用されるすべての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者に共通的に理解することができる意味で使用することができるだろう。また、一般的に使用される辞典に定義されている用語は明白に特別に定義されていない限り、理想的または過度に解釈されない。
【0040】
本明細書で使用される用語は、実施形態を説明するためのものであり、本発明を制限しようとするものではない。本明細書で、単数形は文句で特に言及しない限り、複数形も含む。明細書で使用される「含む(comprises)」および/または「含んでいる(comprising)」は、言及された構成要素の以外に一つ以上の他の構成要素の存在または追加を排除しない。
【0041】
以下、添付図面を参照して、本発明について詳細に説明する。
【0042】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係る脳波測定及び脳刺激システムのブロック図が示されている。本実施形態に係る脳波測定及び脳刺激システムは電極部100及び制御部400を含み、電極部100は脳を刺激するための微細電流を印加する第1の電極部110と、第1の電極部110と接続又は分離され、脳から受信した脳波信号を測定する第2の電極部120を含む。
【0043】
電極部100は対象体Sの頭部に配置され、特に、第1の電極部110と第2の電極部120は対象体Sの前頭葉部分に配置することができる。電極部100は、直接頭皮や皮膚に触れる接触電極を含むことができ、接触電極に電気的な信号を伝送するか、接触電極からの電気的な信号を受信する所定の回路及び電源供給装置を含むことができる。
【0044】
対象体Sから脳波信号を測定する第2の電極部120は、必ず対象体Sの皮膚例えば、前頭葉頭皮領域に密着する必要はない、皮膚と第2の電極部120との間の空気層をキャパシターとして用いて、離間した状態でも脳波信号を測定することもできる。
【0045】
第2の電極部120は、脳の状態に対する脳波信号を測定し、脳波信号は電気信号の以外に、他の様々な信号形態からなり、脳から発生される信号を検出することができる。例えば、超音波またはMRIなどのようなさまざまな方法で脳から発生した信号を測定することができる。このような場合、第2の電極部120は各信号の種類に対応する検出構造を有することができ、第2の電極部120は頭皮に接触していない非接触の形態からなることができる。
【0046】
このような第2の電極部120で受信される脳波信号は、例えば、電気信号(EEG、electroencephalogram)、近赤外線信号(Near−infrared signal)、インピーダンス信号(impedance signal)、音響信号(acoustic signal)、磁気信号(magnetic signal)、力学信号(mechanical signal)、生化学信号(chemical signal)、光信号(optical signal)、超音波信号(ultrasonic signal)などを含むことができる。
【0047】
同様に、対象体Sに微細電流を印加する第1の電極部110も経頭蓋直流刺激(tDCS:transcranial direct current stimulation)のような直接的な電流印加方式にとって対象体Sの頭皮に密着される必要があるが、経頭蓋磁気刺激(TMS:transcranial magnetic stimulation)などのような方法を用いて微細電流を前頭葉に印加する場合には、第1の電極部110も同様に対象体Sの頭皮に密着される必要がない。
【0048】
電極部100の材質は限定されず、導電性金属材からなるか、または非金属材からなることができる。それぞれの第1の電極部110及び第2の電極部120は複数の電極からなることができ、電極部100を含む第1のデバイス500(図9参照)が経頭蓋に着用されたとき、脳の背外側前頭葉前部皮質領域、腹内側前頭葉前部皮質領域、始原運動皮質領域、側頭葉領域および後頭葉領域の中の少なくとも一つの領域に電気刺激を加えることができる位置に電極部100が存在するように、第1のデバイス500に固定することができる。
【0049】
電極部100は、微細電流を印加する第1の電極部110と、人体から脳波信号を測定する第2の電極部120以外にもノイズの除去及び参照電流を考慮して、脳波測定の精度を高めるための第3の電極部(図示せず)がさらに含まれることもできる。
【0050】
制御部400は、端末装置100から出力された脳波信号が入力され、その電気信号の周波数値に応じて経頭蓋の特定の位置に取り付けられた複数の電極に電気刺激信号を発生させ出力したり、経頭蓋の特定の位置で脳波信号を検出する脳波センサー310で脳波センサー駆動信号を発生させて出力する。
【0051】
いくつかの他の実施形態では、制御部400は変圧器、複数の周波数フィルタおよび複数の整流部を含んで構成されることができる。変圧器は、電極部100から出力された電気信号の電圧値を既設定された割合で変圧して出力する。複数の周波数フィルタは、異なる周波数通過帯域を有する変圧器を介して出力された電気信号がそれぞれ入力された後、その電気信号が有する周波数値に応じて電気信号を通過または遮断させる。複数の整流部は複数の周波数フィルタのそれぞれに対応して電気的に接続することができる。それとともに、複数の整流部それぞれに電気的に接続された周波数フィルタから通過した電気信号を整流し、その整流された信号を出力する。電極部100と電気的に接続されている整流部で整流された信号が出力される場合、その整流された信号は信号増幅部(図示せず)の駆動信号にて動作して、経頭蓋の特定の位置で脳波信号を検出する電極(図示せず)から検出された脳波信号が信号増幅部(図示せず)を介して増幅されて出力されることができる。
【0052】
制御部400は、電極部100を構成する第2の電極部120から受信された脳波信号、例えば、脳波信号を分析して対象体Sの現在の状態を分析して、対象体Sに適切な刺激の範囲を決定し、これを反映した制御コマンドを第1の電極部110に伝達することができる。これを受信した第1の電極部110は、適正刺激の範囲に対応する微細電流を発生させて、対象体Sから所定の刺激効果を得ることができる。
【0053】
または、制御部400は、ユーザーの選択信号に応じて既設定された周波数値を有する電気信号を発生させ出力するための制御信号を第1の電極部110に伝送することもできる。
【0054】
ユーザーの選択信号は、様々な電気刺激の種類の中のいずれかの電気刺激を行うかどうかに対するユーザーの選択を示したり、第2の電極部120を介して脳波信号の検出を行うかどうかに対するユーザーの選択を示す信号を意味するし、ユーザーの選択信号に応じて一つまたは複数の周波数値を既設定することもできる。
【0055】
制御部400は、電極部100と電気的に接続することができ、いくつかの他の実施形態では電極部100と離間して配置されることもでき、異なるデバイスに含まれる構成でありえる。
【0056】
図2を参照すると、電極部100のうち、第2の電極部120は前記電流を遮断するカットフィルタ130をさらに含む。第1の電極部110と第2の電極部120が電極を共有したり、または隣接するように配置された状態で第1の電極部110で前頭葉領域へ微細電流を印加する場合、印加された微細電流がそのまま第2の電極部120に検出することができ、このような場合制御部400でしっかりとした脳波信号を分析することができない場合が発生することができる。
【0057】
したがって、脳波信号を測定する第2の電極部120の前段にカットフィルタ130を備えて、第1の電極部110で印加した電流がそのまま第2の電極部120を介して歪曲された脳波情報が制御部400に伝送されないように遮断することができる。
【0058】
具体的には、経頭蓋直流刺激(tDCS)を利用して、前頭葉を刺激するために、第1の電極部110から生成された微細電流は直流電流(DC)であり、一方、第2の電極部120から受信される脳波信号は交流電流(AC)でありえる。したがって、直流カットフィルタ(DC Blocking Filter)をカットフィルタ130からなり、第2の電極部120の前段に配置することができる。
【0059】
図3及び図4を参照すると、本発明の他の実施形態に係る脳波測定及び脳刺激システムの構成が開示される。本実施形態に係る脳波測定及び脳刺激システムは、電極部100が一つの電極である第1の電極部110で構成され、第1の電極部110を刺激部200と測定部300が互いに共有する構成を有する。
【0060】
つまり、第1の電極部110は脳を刺激するための微細電流を印加するか、脳から受信した脳波信号を測定し、刺激部200は第1の電極部110と接続されて微細電流を制御して、測定部300は第1の電極部110と接続されて対象体Sから検出された脳波信号を受信することができる。
【0061】
以前の実施形態と同様に、刺激部200によって第1の電極部110を介して対象体Sに伝達された微細電流の流入および脳波データの歪みを遮断するカットフィルタ310をさらに含む。脳波信号を測定する測定部300の前段にカットフィルタ310を備えて、刺激部200で印加された電流がそのまま測定部300を介して歪曲された脳波情報が制御部400に伝送されないように遮断することができる。刺激部200から生成された微細電流は直流電流(DC)であり、測定部300から受信される脳波信号は交流電流(AC)でありえる。したがって、直流カットフィルタ(DC Blocking Filter)をカットフィルタ310からなり、測定部300の前段に配置することができる。
【0062】
刺激部200は、高電圧モジュール、安定化モジュール、制限モジュール、出力モジュールまたは電流/電圧測定モジュールを含むことができる。刺激部200は、ユーザーの脳に特定の信号を提供して特定の部分を刺激し、具体的には微細電流などにより特定の部位の機能を活性化することができる。刺激プロセスの実行中に刺激のための電流と電圧が正常かないかを継続的にモニタリングする電流/電圧測定モジュールなどを介して過度な電流が頭皮に印加されないように遮断することができる。
【0063】
測定部300は、カットフィルタ、ノイズ処理モジュール、増幅モジュールまたは逆位相ノイズ出力モジュールを含むことができる。測定部300は、脳から検出された脳波信号を収集し、脳波以外の他のノイズ信号を除去したり、頭皮に流れるノイズを分離して逆位相で中和するプロセスを行うことができる。
【0064】
刺激部200と測定部300の詳細な構成については、図13図14を参照して後述する。
【0065】
以下、図5乃至図8を参照して、本発明の様々な実施形態に係る電極部の構造について説明する。図示された例のように、電極部100が第1の電極部110及び第2の電極部120からなり、対象体の皮膚や頭皮に接触される面を第1の電極部110及び第2の電極部120が互いに共有することができ、それぞれ別個に皮膚に接触することもできる。
【0066】
第1の電極部110は、頭皮に直接接触される電解質層111及び電解質層111の一面に接続される導電性層112を含むことができる。電解質層111は固体電解質層または湿式電解質層であり得て、電解質層111及び導電性層112は延性であり頭皮に対応して曲面形状が可変されることができる。電解質層111が湿式電解質層である場合、第1の電極回路113または第2の電極回路121、122、123、124は防水処理された保護層を含むことができる。または第1の電極部110または第2の電極部120に直接防水処理が行われることができる。
【0067】
例えば、電解質層111は、ゲル(gel)型の電解質を含んでいるハイドロゲル(hydrogel)層からなることができ、導電性層112は延性を有する導電性ファブリック(Conductive Fabric)層からなることができるが、これに限定されるものではなく、電解質層111は延性を有し電解質を含むすべての形態が適用されることができ、導電性層112も同様に皮膚の凹凸に沿って屈従する延性の導電性材料であれば制限なしに適用することができる。
【0068】
いくつかの他の実施形態では、電解質層111と導電性層112の間には、導電性接着層(conductive adhesive)が介在することができる。導電性接着層は、電解質層111と導電性層112を物理的および電気的に接続するように、300gf / cm以上の接着力を有することができる。導電性接着層は、電解質層111または導電性層112の総面積の20%〜50%の割合で介在されることができ、導電性接着層の10Hz以上で交流インピーダンスは0kΩないし2kΩに保持されて、直流インピーダンスは0kΩないし3kΩに保持することができる。
【0069】
いくつかの他の実施形態では、第1の電極部110は脳刺激の過程で1kΩないし20kΩのインピーダンス値を有する電解質層を含むことができる。つまり、必ずしも電解質層111が固体電解質でなくてもインピーダンス値のみ当該範囲に含まれる場合、脳刺激システムの構成が可能である。
【0070】
いくつかの他の実施形態では、電解質層111は塩素イオン(Cl−)を含む固体でありえて、皮膚に異物感や接着力を感じないように、例えば、200gf/cm以下の接着力を示すように電解質層111の表面が処理されることができる。この時、電解質層111の10Hz以上で交流インピーダンスは0kΩないし2kΩに保持されて、直流インピーダンスは2kΩないし5kΩに保持されることができる。
【0071】
また、いくつかの他の実施形態では、導電性層112は、導電性ファブリック以外に、導電性を有する金属や、導電性ポリマー(conductive polymer)、導電性フィラー(conductive filler)が含有されたポリマーまたはシリコンなどが使用されることができ、導電性層112の10Hz以上で交流インピーダンスは0kΩないし1kΩに保持されて、直流インピーダンスは0kΩないし1kΩに保持されることができる。
【0072】
第2の電極部120は、回路基板121、回路基板121に形成された検出電極122、検出電極122と接続された検出回路123、および検出フィルタ124からなることができる。
【0073】
図5の場合、第2の電極部120が第1の電極部110の上部に積層される構造で図示しているが、これに限定されるものではなく、図6に示すように、第2の電極部120が第1の電極部110の内側に配置される構成を有することもでき、図7のように、第1の電極部110と第2の電極部120とも外郭面に露出され、第1の電極部110と第2の電極部120が同時に皮膚に接触することもできる。
【0074】
また、図8に示すように、検出電極122のみを第1の電極部110に内蔵して、検出電極122と接続される検出回路123及び検出フィルタ124は離間された回路基板121の上に配置されることもできる。
【0075】
図9及び図10を参照すると、本発明の実施形態に係る脳波測定及び脳刺激システムのデバイスの間の通信構造を示すブロック図である。第1の電極部100は、前頭葉領域A、Bに配置され第1の脳波例えば、第1の微細電圧を測定する第1のサブ電極511、512と、前頭葉領域以外の領域C、Dに配置され第2の脳波例えば、第2の微細電圧を測定する第2のサブ電極521、522を含むことができる。例えば、本発明の実施形態に係る脳波測定及び脳刺激システムは、前頭葉部分のA領域とB領域を介して脳波測定及び脳刺激が行われ、耳の近傍のC領域とD領域を介して参照電圧測定(reference voltage detecting)が行われることができる。人体には、脳で発生する脳波による電圧(第1の脳波)だけでなく、常時ノイズ電圧(第2の脳波)が流れているので、脳から発生した脳波をより精密に測定するために参照電極を配置して、ノイズ電圧を測定することができる。
【0076】
第1の脳波及び第2の脳波を受信する制御部400をさらに含み、制御部400は第1の脳波と第2の脳波の違いから第3の脳波を抽出することができる。つまり、制御部400は、前頭葉で測定した第1の脳波で脳波が影響を及ばないし、または少なく及ぶ他の領域(耳の近傍)で測定した第2の脳波をもとに、実際の脳波によって発生した微細電圧値を測定することができ、これをもとに脳波を精密に抽出することができる。
【0077】
このような、第1の電極部100は、このように計算された脳波信号をもとに刺激部200を介して発生させる微細電流を制御することができる。
【0078】
図9に示すように、脳を刺激するための微細電流を生成する刺激部200と、脳から受信した脳波信号を測定する測定部300を含む第1のデバイス500が直接脳の領域との相互作用を行い、第1のデバイス500から脳波信号、または脳波信号を含むデータを受信して管理する制御部を含む第2のデバイス600を含むことができる。
【0079】
図10に示すように、第1のデバイス500は頭部に着用するヘッドセットでありえて、第2のデバイス600はモバイルデバイス、または第1のデバイス500と通信可能なすべての形態の端末装置でありえる。第1のデバイス500または第2のデバイス600は、脳波信号をもとに微細電流を制御することができる。つまり、第1のデバイス500自主的に脳波信号を分析して、微細電流を自動または手動で制御することができ、脳波信号を第2のデバイス600に伝送し、第2のデバイス600の上で脳波信号を分析して、微細電流を制御するための信号を生成し、この信号を再び第1のデバイス500に伝送して制御する形態であることもできる。
【0080】
図11を参照すると、本発明の実施形態に係る脳波測定及び脳刺激システムの複数のデータ収集構造を示すブロック図が示されている。第1のデバイス500または第2のデバイス600と通信し、脳波信号を受信して複数の測定データを管理するサーバ700をさらに含むことができる。サーバ700は同時間帯の複数のユーザーのデバイス600_1、600_2、600_3から受信した脳波信号をもとに、特定のグループの脳波の状態を分析することができる。脳波の同期化のために脳波信号または基準信号にタイムスタンプ(time stamp)を用いることができる。
【0081】
また、サーバ700は、特定のグループの脳波の状態に対応する微細電流アルゴリズムを実行する制御部をさらに含むことができ、微細電流アルゴリズムから導出された微細電流制御信号を第1のデバイス500または第2のデバイス600に送信することができる。したがって、サーバ700は、特定のグループの脳波の状態に応じて、複数のデバイスを制御して、所望の効果を得ることができる。
【0082】
図12を参照すると、第1のデバイス500または第2のデバイス600は脳波信号又はこれから算出された脳の活動指標を表示するモニタリング部610をさらに含むことができる。図示された例では、第2のデバイス600にモニタリング部610が配置されることを示したが、これに限定されるものではない。脳の活動指標は、例えば、ユーザーの感覚誘発電位(Sensory Evoked Potential)を用いた反応度分析、脳波の周波数バンド分析による集中度や様々な感情の状態または脳波の種類などを含むデータでありえる。
【0083】
ユーザーは、このようなモニタリング部610を参照して、自分の脳波の状態を直接確認することができ、モニタリング部610の結果に応じてリアルタイムで刺激部300を制御して、適切な刺激の強さやパターンを決めることができる。
【0084】
図13及び図14を参照すると、本発明の実施形態に係る第1のデバイスの刺激部200と測定部300の詳細な構造を示す図面が示されている。
【0085】
刺激部200は高電圧モジュール210、安定化モジュール220、制限モジュール230、出力モジュール240、電流/電圧測定モジュール250の中の一つ以上を含むことができる。
【0086】
高電圧モジュール210は前頭葉を刺激するための初期電圧電流を生成し、初期電圧電流は20V以下及び数mA以下の特性を有することができるが、これに限定されるものではない。
【0087】
安定化モジュール220は、前記の初期電圧電流を安定化させることができ、例えば、前記の初期電圧電流を微細電流に変換することができるが、これに限定されるものではなく、微細電流の変換過程は省略されて、後述する出力モジュール240で変換過程が行われることができる。
【0088】
制限モジュール230は、後述する電流/電圧測定モジュール250で検出された電流値を既設定された過電流値と比較して、過電流値よりも大きい場合に電気刺激信号出力を遮断する。そして、一定の刺激の強さ以上の強さを有する電気刺激信号がユーザーの皮膚に伝送されることを遮断することができる。
【0089】
出力モジュール240は、安定化モジュール220からの電流が供給され、既設定された電圧または電流を出力することができる。
【0090】
電流/電圧測定モジュール250は、出力モジュール240で出力される電圧値または電流値をリアルタイムで測定し、出力状況をモニタリングすることができ、ディスプレイ部などを介して現在のユーザーに印加される微細電流の状況を制御することができる。
【0091】
測定部300は、精密な脳波信号を測定するために、刺激部200で発生した微細電流を遮断するカットフィルタ310、一つ以上の脳波信号から共通のノイズを分離するノイズ処理モジュール320、ノイズが除去された脳波信号を増幅する増幅モジュール330、頭皮に流れるノイズ成分を相殺させる逆位相ノイズ出力モジュール340の中の一つ以上を含むことができる。
【0092】
カットフィルタ310は、直流電流で脳刺激を行う場合、直流電流カットフィルタ(DC blocking filter)回路でありえる。しかし、測定する脳波と同じ周波数帯域の交流電流またはパルス電流で脳刺激を行う場合、脳刺激信号が入力され脳波から除去するソフトウェア的なフィルタでありえる。ノイズ処理モジュール320は、電極部100および/または測定部300の一つ以上の電極で測定された脳波信号に共通的に存在する共通のノイズ成分を分離して、それぞれの脳波信号から除去することができる。
【0093】
増幅モジュール330は、ノイズが除去された脳波の測定が容易になるよう、振幅を増幅することができる。
【0094】
逆位相ノイズ出力モジュール340は、ノイズ処理モジュール320から抽出された共通のノイズ成分が頭皮で減少または相殺されるように、ノイズ振動の位相を変えて、一つ以上の測定電極で出力することができる。
【0095】
図15を参照すると、従来の乾式tDCS電極を用いて、脳刺激を行ったときの額の紅斑の分布を示すイメージ(左)と、本発明の実施形態に係る第1のデバイスの刺激部を用いて脳刺激を行ったときの額の紅斑の分布を示すイメージ(右)が示されている。
【0096】
図示のように、従来の乾式電極は、低インピーダンスによって額に脳刺激電流が印加される場合、灼熱感が発生して、皮膚の損傷による紅斑が発生することができる。一方、本実施形態に係る第1のデバイスの第1の電極部110は、電解質層111と導電性層112が備わって、経頭蓋直流刺激(tDCS)を行うのに最適の湿式環境を構成することができ、同時に乾式電極の形態で測定するべき第2の電極部120が第1の電極部110と併存する構造が可能である。これにより、本実施形態に係る第1のデバイスの第1の電極部110を介して脳刺激電流が印加される場合、皮膚刺激が大きく減少して、右のイメージのように紅斑が発生しないことができる。
【0097】
本発明は、記載された実施形態に限定されるものではなく、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく様々な修正および変形することができることは、この技術の分野における通常の知識を有する者にとって自明である。したがって、そのような修正例や変形例は、本発明の特許請求の範囲に属するものとする。
【符号の説明】
【0098】
100:電極部
200:刺激部
300:測定部
400:制御部
500:第1のデバイス
600:第2のデバイス
700:サーバ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15