(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6254305
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】室温において隙間の側面で互いに対して平坦に当接する2つの部材間の隙間を密封するための密封装置
(51)【国際特許分類】
F16J 15/08 20060101AFI20171218BHJP
F01D 25/00 20060101ALI20171218BHJP
F01D 25/24 20060101ALI20171218BHJP
F02C 7/28 20060101ALI20171218BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20171218BHJP
F01D 11/00 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
F16J15/08 K
F01D25/00 M
F01D25/24 P
F02C7/28 Z
F02C7/00 E
F01D11/00
F16J15/08 H
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-572891(P2016-572891)
(86)(22)【出願日】2015年1月19日
(65)【公表番号】特表2017-519164(P2017-519164A)
(43)【公表日】2017年7月13日
(86)【国際出願番号】EP2015050849
(87)【国際公開番号】WO2015132013
(87)【国際公開日】20150911
【審査請求日】2016年12月5日
(31)【優先権主張番号】14158234.6
(32)【優先日】2014年3月7日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508008865
【氏名又は名称】シーメンス アクティエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ベルトホルト・フォーゲル
(72)【発明者】
【氏名】カール・クライン
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン・ゾンネン
【審査官】
山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】
特表平08−500887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/08
F01D 25/00
F01D 25/24
F02C 7/28
F02C 7/00
F01D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の部材(16)と第2の部材(18)との間の隙間を密封するための密封装置(11)であって、前記第1および第2の部材(16、18)がそれぞれ、前記隙間の側面に、重複するストッパーを形成するための段(26a、26b)を有しており、前記段(26a、26b)は、その縁部(27a、27b)に沿って湾曲しており、前記第1の部材(13)が、湾曲した前記縁部(27)と同様に延在する溝(40)を有しており、前記溝(40)は、前記第1の部材(16)の後退した部分面(32a)に配置されており、前記第2の部材(18)が、前記溝(40)に向かい合う凹部(34)を有しており、
密封ストリップ(54)が、長手方向において前記溝(40)内に固定され、径方向の弾性を利用して、前記溝(40)の側壁に押圧されると共に、前記溝(40)から突出した密封部分(50)で、前記凹部(34)の側面に当接している、密封装置(11)において、
前記第1および第2の部材(16、18)は、室温において前記隙間の側面で互いに対して平坦に当接しており、スパイラルストリップ(56)が、前記スパイラルストリップ(56)の長手方向の延在部分に沿って螺旋状に巻かれていると共に、長手方向において前記溝(40)内に固定されて、径方向の弾性を生じさせることを特徴とする密封装置(11)。
【請求項2】
前記縁部(27a、27b)の湾曲が、概念的な中心点(M)の周囲に円弧を描いたものであり、
前記中心点(M)は、軸方向に延在する概念的な中心軸の上に位置しており、前記中心軸の周囲に、前記第1および第2の部材(16、18)が、前記縁部の湾曲と同様に円弧を描いていることを特徴とする、請求項1に記載の密封装置(11)。
【請求項3】
前記第1および第2の部材(16、18)が、円弧の周方向において、180°の長さに亘って延在していることを特徴とする、請求項2に記載の密封装置(11)。
【請求項4】
前記溝(40)の凹状に湾曲した側壁が、前記凹部(34)の凹状に湾曲した側壁(49)に対してずらされており、
前記第2の部材(18)の隙間面(32b)は、前記溝(40)を部分的に覆っていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の密封装置(11)。
【請求項5】
前記第1および第2の部材(16、18)が、フランジネジ接続によって相互に固定するためのフランジを有していることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の密封装置(11)。
【請求項6】
第1の上側ハウジング部分(16)及び第2の上側ハウジング部分(18)と下側ハウジング部分とを含むタービンハウジング(10)において、
請求項1から5のいずれか一項に記載の密封装置(11)を特徴としており、前記第1の部材(16)は前記第1の上側ハウジング部分を形成し、前記第2の部材(18)は前記第2の上側ハウジング部分を形成するタービンハウジング(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室温において隙間の側面で互いに対して平坦に当接する2つの部材の間の隙間を密封するための密封装置に関するものであり、各部材は、隙間の側面に、重複するストッパーを形成するための段を有しており、これらの段は、その縁部に沿って湾曲している。
【背景技術】
【0002】
この種の密封装置は、特に熱的ターボ機械のハウジングにおいて知られている。熱的ターボ機械は大抵の場合、固定式ガスタービンとして、又は、蒸気タービンとして、比較的厚い壁を有するハウジングを備えており、それによって、内部に生じる高い圧力を周囲に対して守っている。ハウジングが頑丈に設計され、特に大型であるゆえに、一般的に、ハウジングは複数のパーツから構成され、鋳造によって製造される。原則的に管状のハウジングは、通常、いわゆる水平継手で半分に分割されるので、当該ハウジングは、下側のハウジング部分と上側のハウジング部分とを有することになる。同時に、ハウジングは、このような軸方向の延在部分を有しており、当該方向においても複数のパーツから構成されている:ハウジングは、垂直継手とも呼ばれる軸方向の継ぎ目で分割されている。水平継手と軸方向継手とが交わる領域は、十字継手と呼ばれている。
【0003】
各ハウジング部分にはフランジが設けられており、当該フランジは、それぞれのハウジング縁部で外側に向かっており、開口部のための空間を提供している。それによって、直接隣接するハウジング部分の当接するフランジが、拡張ネジを用いて、持続的かつ確実に接続される。
【0004】
しかしながら、室温と動作温度との間における大きな温度差によって、ハウジング部分は熱膨張に曝露されており、当該熱膨張は、特にフランジの配置によって、時間的な挙動においても、各ハウジング部分内部での特徴においても、局所的に異なる可能性があることが明らかになっている。この局所的に異なる膨張によって、ハウジング部分が多数の拡張ネジによって大きな力で互いに対して押圧されるにも関わらず、ハウジング部分が、継手において、わずかに隙間を生じる可能性がある。それによって、継手の密封性が低下するので、最悪の場合には、外側に向けてわずかな漏れさえ生じ得る。
【0005】
同時に、例えば特許文献1から、隙間が生じた際のハウジング内部から外部への漏れを削減するために、2つの当接するハウジング部分のフランジ面に刻み付きシールを設けることが知られている。
【0006】
特許文献1の刻み付きシールの代わりに、いわゆるDシールを用いることが可能であり、当該Eシールは、1つの溝の内にのみ固定されて、向かい側のフランジ面に接している。しかしながら、この種のシールでさえ、実際に生じる大きさの隙間を塞ぐために十分な反発能力は有していないことが明らかになっている。加えて、この種のEシールは非常に高く、取り付けが複雑であり、1回の使用のみが可能であるので、Eシールを使用し、Eシールを取り付けたハウジングを開放した後には、新しいEシールと交換する必要がある。同様に、U字形シールも、例えば特許文献2から知られている。
【0007】
さらに注意すべきことには、冒頭で挙げた熱的ターボ機械では、最後の上側ハウジング部分をハウジングの下側半分に載置することで、当該ハウジング部分を、下降の間に、隣接する上側のハウジング部分の隙間面に沿って正確な位置で動かさなければならない。なぜなら、取り付けのための側面からの移動は不可能だからである。従って、垂直継手に関しては、最後に取り付けられるべきハウジング部分にとって、当該ハウジング部分を軸方向に、すなわち側面から、他方の上側ハウジング部分の上に動かす可能性は存在しない。この取り付けに関する制限は、該当する箇所における、特許文献1に示された向かい合う溝と当該溝内に固定されたシールとを有する一般的な密封系の使用を可能にはしない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第0852659号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第1020070014569号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の課題は、隙間の側面で互いに対して平坦に当接する2つの部材を密封するための密封装置を提供することにあり、当該部材は、両方の部材の内一方を、生じ得る漏れ経路に沿って動かすような取り付けを可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の課題は、請求項1の特徴を有する密封装置によって解決される。
【0011】
本発明に係る、室温において隙間の側面で互いに対して平坦に当接する2つの部材の間の隙間を密封するための密封装置であって、各部材が、隙間の側面に、重複するストッパーを形成するための段を有しており、これらの段は、その縁部に沿って湾曲している密封装置では、両方の部材の内一方が、第1の、湾曲している縁部と同様に延在する溝を有しており、当該溝は、当該部材の隙間の側面の、段ゆえに後退した部分面に配置されていること、両方の部材の内他方が、当該溝に向かい合う、その段を短縮する凹部を有しておりこと、及び、密封要素が設けられており、当該密封要素は、当該溝に固定され、第1の密封部分で、当該凹部の側面に当接していること、が規定されている。
【0012】
本発明は、密封装置の両方の部材において、互いに対して平坦に当接し、実際に密封されるべき隙間を決定している部材の隙間面に対して、密封面を平行に位置付けるべきではなく、横に、特に垂直に位置付けるべきであるという認識に基づいている。
【0013】
特に、この特徴によって、密封要素の存在にも関わらず、両方の部材の隙間面が、当該部材の組立の間に、互いの上に動かないようにすることが可能になる。この動きは、本出願では、両部材の互いに対する側方運動として定義されている。その代わりに、両方の部材の取り付けの際の相対運動は、その後に互いに当接する隙間面に対して平行であり、この動きは、本出願では、両方の部材の接線運動として定義されている。両方の部材が、互いに対する最終的な位置にほぼ到達した際に初めて、特に、隙間の側面に配置された、湾曲した段であって、そのそれぞれの接触面がストッパー面として、最終的な動作位置で互いに当接する段と組み合わせて、密封要素が、その第1の密封部分で、他方の部材の凹部の側面と密封するように当接することが可能である。それによって、部材を組み立てる際の、密封要素における摩耗が防止される。第1の密封部分の当接面は、従来のように他方の部材の隙間面に一致するのではなく、凹部の側壁に一致するが、凹部の側壁は、隙間面に対して横に方向付けられているので、密封要素が他方の部材内に延在する深さについては、原則的に、任意の大きさを選択することができる。しかしながら、有利には、この延在部分は、両方の隙間面の間に予測される隙間の最大の大きさよりもいくらか大きくなるように選択されているので、従来よりも大きな部材の変形性と同時に、より優れた密封効果を得ることができる。
【0014】
さらに、溝は、段の近くに配置されており、密封要素は、密封ストリップと、当該密封ストリップを溝の側壁に押し付けるスパイラルストリップとを含んでおり、密封ストリップの、溝から突出している部分は、第1の密封部分として、凹部の前記側壁に、プレテンションを加えられて当接する。付加的に、一方の部材の段の接触面は、より高い圧力を有する空間に対向している。それによって、より高圧の空間からより低圧の空間への、場合によって生じ得る漏れが、一方では、第1の密封部分と凹部の側壁とを用いた第1の密封を回避できないということが実現する。他方、密封ストリップの溝内に配置された部分は、スパイラルストリップの溝の底部及び溝の側壁の角に、密着するように押圧される。生じ得る高圧の漏れ流れは、場合によっては、密封ストリップが、それぞれのストッパー面、すなわち一方では溝の側壁、他方では段の接触面、を押圧する圧力を上昇させ、それによって密封効果が増大する。密封要素の当該態様によって、部材の湾曲又は半径が比較的小さい場合でも、部材の湾曲又は半径が比較的大きい場合でも、当該密封要素の取り付けが容易になる。なぜなら、密封要素は、一方ではモジュール式に構成されており、他方では、さらに単純化された形状を有しているからである。この単純化された形状は、特に、密封要素が嵌め込まれる溝が段の縁部と同じように湾曲している場合に有利である。
【0015】
「段に近い」という概念は、段の接触面に対して最も近くに配置されている溝の側壁と、段の接触面との間の間隔が2cmよりも小さいということであると理解されるべきである。間隔が全く存在せず、段の接触面と、溝の前記側壁とが、ずれることなく重なり合うことが好ましい。
【0016】
スパイラルストリップは、一定の半径で、その軸方向に沿って螺旋状に巻かれている。それによって、スパイラルストリップは、径方向に弾性を有するように構成されており、好ましくは金属から形成されている。従って、スパイラルストリップは、その径方向の大きさに関しては、弾性的に変形可能であるので、スパイラルストリップは、径方向に圧縮されて溝内に固定されて、密封ストリップを側壁に押し付けることができる。それによって、密封ストリップが、溝の長手軸方向の延在部分全体に亘って、確実に、かつ、密封するように固定されることが保証される。
【0017】
加えて、本発明に係る密封装置は、取り付けが非常に容易である。なぜなら、密封要素がまず、湾曲した溝に取り付けられ、その後、他方の部材が、前記接線運動によって、一方の部材に当接しなければならないからである。その際、特に有利なことに、取り付けの際の動きは、密封要素が存在するか否かとは無関係であり、両方の部材の組立プロセスにとっては、密封要素が存在するか否かは些細なことである。
【0018】
有利な態様は、従属請求項に記載されている。
【0019】
好ましくは、密封装置は、第1の上側ハウジング部分及び第2の上側ハウジング部分と下側ハウジング部分とを含むタービンハウジングであり、第1の上側ハウジング部分は、上述した種類の密封装置の両方の部材の内の一方として形成されており、第2の上側ハウジング部分は、密封装置の両方の部材の内の他方として形成されている。
【0020】
「上側」及び「下側」という概念は、熱的ターボ機械又はタービンハウジングにおいては、水平面に関するものである。しかしながら、これは、限定的に理解されるべきものではない。なぜなら、本発明に係る密封装置は、例えば垂直に立てられており、従って下側ハウジング部分及び上側ハウジング部分の代わりに左側ハウジング部分及び右側ハウジング部分を有し得るようなターボ機械でも用いることができるからである。同じことは、「第1」及び「第2」、又は、「両方の内の一方」及び「両方の内の他方」にも当てはまる。
【0021】
さらなる有利な態様によると、段の縁部の湾曲は、概念的な中心点の周囲に円弧を描いており、当該中心点は、軸方向に延在する概念的な中心軸の上に位置しており、当該中心軸の周囲に、両方の部材が縁部の湾曲と同様に円弧を描いている。従って、両方の部材を管胴の形状に形成することが可能であり、当該管胴は、周方向に延在する長さを有しており、好ましくは180°の長さを有している。当該部材は半管状に形成されており、他方の対と共に、例えばタービンハウジングを構成することができる。弧長が小さい場合、継手の数が増大する。
【0022】
さらに好ましくは、溝の凹状に湾曲した側壁は、凹部の凹状に湾曲した側壁に対してずらされており、それによって、凹状に湾曲した側壁の隙間面は、溝の開口部を部分的にのみ、従ってわずかに覆っている。この態様によって、溝内に固定された密封要素が、凹部の側壁の接線運動の間、わずかに溝開口部の上を変位することが可能になるので、それによって、密封要素の密封部分が、凹部の当該側壁に弾性によって当接し、密封効果が増大する。このとき、「わずかに」という概念は、例えば溝開口部の幅が約1cmである場合に、約0.3mmから約1mmのずれですでに十分であるということだと理解されるべきである。
【0023】
「凸状」及び「凹状」という概念は、前記湾曲に基づいて外側に又は内側に向いた面に関する。
【0024】
有利には、両方の部材は、その外側を向いた面に、フランジネジ接続を用いて相互に固定するためのフランジを有している。それによって、両方の部材が比較的容易に互いに対して固定され得る。
【0025】
全体として、本発明は、室温において隙間の側面で互いに対して平坦に当接する2つの部材の間の隙間を密封するための密封装置に関するものであり、当該部材は、接線運動によっても取り付けることが可能であり、各部材は、隙間の側面に、重複するストッパーを形成するための段を有しており、これらの段は、その縁部に沿って湾曲している。一方では、当該両部材の互いに対する接線運動によって、さらに容易な取り付けを保証し、他方では、部材の両方の隙間面に隙間が生じ得るにも関わらず、さらに、両方の隙間面の間に存在する隙間の特に確実な密封を保証する、改善された密封装置を提供するために、両方の部材の内一方が、第1の、湾曲している縁部と同様に延在する溝を有しており、当該溝は、段ゆえに後退した当該部材の隙間面に配置されていること、両方の部材の内他方が、当該溝に向かい合う凹部を有していること、及び、密封ストリップ及び金属製のスパイラルストリップを含むモジュール式の密封要素が設けられており、当該密封要素は、溝内に固定されて、第1の密封部分で、凹部の側壁に当接していることが規定されている。
【0026】
本発明のさらなる利点及び特徴は、さらなる実施例を用いて詳細に記載される。示されているのは以下の図である:
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】隙間の側面で互いに対して平坦に当接する2つのハウジング部分を有するガスタービンハウジングの側面図である。
【
図2】
図1に係るハウジングの横断面の図であって、本発明に係る密封装置の第1の部材の側面図である。
【
図3】
図1の詳細部分Xを、第2のハウジング部分の第1のハウジング部分に対する位置決めの完了直前における第1のハウジング部分及び第2のハウジング部分、並びに、密封要素と共に示した図である。
【
図4】
図1の詳細部分Xを、両方の部材の互いに対する最終的な位置決め、及び、密封要素と共に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
全ての図において、同じ特徴には同じ参照符号が付されている。
【0029】
図1は、固定式ガスタービンのハウジング10の一部を側面図で示している。図示された例では、ハウジング10は、第1の下側ハウジング部分12、第2の下側ハウジング部分14、第1の上側ハウジング部分16、及び、第2の上側ハウジング部分18を含んでいる。ハウジング部分12、14、16、18のそれぞれは、半管状に設計されているので、両方の下側ハウジング部分12、14と両方の上側ハウジング部分16、18との間には、水平継手20が形成される。室温において、水平継手20では、それぞれのハウジング部分は、その隙間面で互いに対して平坦に当接している。水平継手20の上方では、第1の上側ハウジング部分16と第2の上側ハウジング部分18とが、垂直継手22において、隙間の側面で当接している。図示された実施例では、垂直継手22は、水平継手20を越えて下方へ延在しているので、第1の下側ハウジング部分12と第2の下側ハウジング部分14とは、隙間の側面で互いに対して平坦に当接している。本出願によると、ハウジング部分12、14、16、18の、それぞれ向かい合う部材に対向している面は、隙間の側面で、当該部材に配置されている。
【0030】
ハウジング部分16、18は、垂直継手の領域に配置されたフランジ17、19を有しており、当該フランジには開口部21が配置されている。当該開口部21内には、図示されていない拡張ネジが固定されており、当該拡張ネジは、両方のハウジング部分16、18を隙間の側面で互いに対して強く押圧している。
【0031】
以下に、本発明を、両方の上側ハウジング部分16、18を用いて詳細に説明する。ここで、第1の上側ハウジング部分16は、本発明に係る密封装置11の両方の部材13、15の内の一方(13)であり、第2の上側ハウジング部分18は、本発明に係る密封装置の両方の部材13、15の内の他方(15)である。
【0032】
両方の上側ハウジング部分16、18は、部分的に同じ特徴を有しているので、以下の図面の説明では、これらの特徴の参照符号には「a」又は「b」という接尾辞が付け加えられる。当該参照符号に対して、第1の上側ハウジング部分16の特徴を示すためには「a」が加えられ、第2の上側ハウジング部分18の特徴を示すためには「b」が加えられる。接尾辞を有さない参照符号が用いられる場合、両方のハウジング部分16、18の特徴であると理解されるべきである。
【0033】
図2は、
図1の切断線II‐IIに沿った断面を示しており、当該切断線は、垂直継手22に重なっているので、
図2は同時に、第2の上側ハウジング部分18の側面図でもある。第2の上側ハウジング部分16は、概念的な中心点Mbの周囲に、一定の半径Rbを有して、180°の弧長に亘って延在している。第2の上側ハウジング部分18の、
図2の観察者に対向する隙間の側面24bには、段26bが配置されている。段26bは、隙間面の、段26bに対してさらに径方向内側に位置する部分30bが、隙間面の径方向外側に位置する部分32bに対して後退しているように構成されている。段26bの接触面38bは、中心点Mbを向いている。
【0034】
同時に、段26bは、凹部34によって短縮されており、それによって、第2の段35が形成される。
【0035】
従って、段26bは、縁部27bを有しており、当該縁部は、ハウジング部分18自体と同様に、その延在部分に沿って湾曲している。縁部27bは、それ自体、円形であっても良い。
【0036】
図3は、
図1の詳細部分Xの横断面を示している。第1の上側ハウジング部分16は、
図3の左側に、その最終的な動作位置で示されているが、第2の上側ハウジング部分18は依然として、最終的な動作位置に到達する直前の、取り付け位置で示されている。矢印33は、第2の上側ハウジング部分18の、第1の上側ハウジング部分16に対する動きの方向を示しており、この動きの方向は、隙間面の平面に対して横である。第2の上側ハウジング部分18は、隙間の側面24bと段26bとを含んでおり、段26b及び凹部34ゆえに、隙間の側面24bは、さらに径方向内側に位置する部分面30bと、さらに径方向外側に位置する部分面32bとに分割されている。
【0037】
第1の上側ハウジング部分16は、やはり隙間の側面24aと段26aとを含んでおり、段26aは、隙間の側面24aを、径方向外側の部分面32aと径方向内側の部分面32aとに分割する。しかしながら、第1の上側ハウジング部分16においては、径方向外側の部分面32aは、径方向内側の部分面30aに対して後退している。
【0038】
それぞれの段26は、接触面38を有している。さらに、第1の上側ハウジング部分16の側面24aには、溝40が設けられており、当該溝は、段26の縁部27aと同様に、弧状に湾曲している。溝40は、好ましくは段の近くに配置されている:
図3の実施例では、溝40の凸状の側壁は、段26aの凸状の接触面38aと同じ半径上にある。溝40内には、モジュール式の密封要素52が固定されている。
図5の斜視図から明らかであるように、当該モジュール式密封要素は、主に、密封ストリップ54とスパイラルストリップ56とを含んでいる。
【0039】
基本的に、スパイラルストリップ56は、本来の意味の渦巻き状ではなく、むしろ螺旋状に巻かれている。しかしながら、このようなストリップに関しては、「スパイラルストリップ」という概念が定着している。溝40内に固定されたスパイラルストリップ56は、金属製であり、その延在部分に関して径方向の弾性を有しており、溝40の一方の側壁に支持されており、それによって、密封ストリップ54を、溝40の他方の側壁に弾性的に押圧する。その際、螺旋状の密封ストリップ54の直径は、溝40の幅Bにほぼ一致するか、又は、わずかに大きい。密封ストリップ54は、第1の密封部分50で、溝40から突出している。
【0040】
図4は、第1の上側ハウジング部分16と第2の上側ハウジング部分18とを、その最終的な動作位置において示している。その際、段26は、径方向外側の部分面30と同じように、ストッパーとして互いに対して平坦に当接している。凹部34の寸法は、溝40の凹状の側壁と凹部34の凹状の側壁49との間に、わずかなずれAが生じ得るように設定されている。それによって、密封ストリップ42は、取り付けられた状態において、プレテンションを受けて、その第1の密封部分50で、側壁49又はその縁部53に当接する。さらに、スパイラルストリップ56は、密封ストリップ54の他方の長手方向縁部57を、溝40の凹状に湾曲した側壁59に対して、隙間を密封するように押圧する。熱膨張ゆえに、上側ハウジング部分16、18の、段26の径方向外側に位置する部分面30に隙間が生じ、それによって、漏れ流れの経路が開かれる場合には、縁部53の密封線は第1の密封部分50に沿って移動し、それによって、第2の部材の密封装置が提供される。
【0041】
特に、密封要素52が嵌め込まれた溝40が弧状であり、それに応じて、密封要素52も、その比較的単純な幾何学的な横断面の形状にも関わらず、長手方向の延在部分に沿って同様に湾曲しなければならないということを考慮すると、密封要素52は、極めて容易に製造され、取り付けられるという利点を有している。
【0042】
対称性の理由から、本発明に係る密封装置11を、ガスタービンのハウジング10の上側半分だけではなく、下側のハウジング部分12、14でも用いることが考えられる。しかしながら、それにも関わらず、下側ハウジング部分12、14がモジュール式に構成されているのではなく、一体型として構成されている可能性も存在する。
【0043】
本発明を、好ましい実施例によって、詳細に図示かつ説明してきたが、本発明は、記載された実施例に限定されるものではなく、当業者は、本発明の保護範囲を離れることなく、その他の変型例を引き出すことができる。特に、異なる実施例の特徴を互いに組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 ハウジング
11 密封装置
12 第1の下側ハウジング部分
13 部材
14 第2の下側ハウジング部分
15 部材
16 第1の上側ハウジング部分
17 フランジ
18 第2の上側ハウジング部分
19 フランジ
20 水平継手
21 開口部
22 垂直継手
24a、24b 隙間の側面
26a、26b 段
27a、27b 縁部
30a、30b 径方向内側の部分面
32a、32b 径方向外側の部分面
33 矢印
34 凹部
35 第2の段
38a、38b 接触面
40 溝
42 密封ストリップ
49 側壁
50 第1の密封部分
52 密封要素
53 縁部
54 密封ストリップ
56 スパイラルストリップ
57 長手方向縁部
59 側壁
B 幅
Mb 中心点
Rb 半径