(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6254358
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】充填された容器を搬送し、外に出た液体がないかどうかこれを検査する装置
(51)【国際特許分類】
G01M 3/40 20060101AFI20171218BHJP
【FI】
G01M3/40 G
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-89997(P2013-89997)
(22)【出願日】2013年4月23日
(65)【公開番号】特開2013-234993(P2013-234993A)
(43)【公開日】2013年11月21日
【審査請求日】2016年4月12日
(31)【優先権主張番号】10 2012 207 736.7
(32)【優先日】2012年5月9日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100172340
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 始
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【弁理士】
【氏名又は名称】大場 玲児
(72)【発明者】
【氏名】エリック バウアー
【審査官】
素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−185638(JP,A)
【文献】
特開2002−333383(JP,A)
【文献】
特開平01−114744(JP,A)
【文献】
特開2003−048613(JP,A)
【文献】
特開2002−148241(JP,A)
【文献】
特開2007−170893(JP,A)
【文献】
特開2004−061363(JP,A)
【文献】
実開昭56−151957(JP,U)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0165536(US,A1)
【文献】
欧州特許出願公開第02365309(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填された容器(B)を搬送方向に搬送し、外に出た液体がないかどうかを検査する装置において、
前記容器(B)の表面領域と接触するように設けられ、該容器(B)の搬送方向に対して垂直に電圧を印加するための第1の電極(10_3,10_4)を有し、容器(B)の第1の区域を案内するための第1の案内ユニット(1)と、
前記容器(B)の表面領域と接触するように設けられ、該容器(B)の搬送方向に対して垂直に電圧を印加するための第2の電極(20_1,20_2)を有し、容器(B)の第2の区域を案内するための第2の案内ユニット(2)と、
ベルト伝動装置(5)と、前記容器(B)の表面領域と接触するように設けられ、該容器(B)の搬送方向に対して垂直に電圧を印加するための第3の電極(30_1,30_2,30_3,30_4)とを有する回転ユニット(3)と
を含んでおり、
前記回転ユニット(3)は、前記ベルト伝動装置(5)により前記容器(B)を回転させるようにセットアップされており、
前記第1の案内ユニット(1)、前記第2の案内ユニット(2)、および前記回転ユニット(3)は関連するモジュールとして、それぞれ前記容器(B)の搬送方向に対して垂直方向に組み付けられており、前記第1の案内ユニット(1)と前記第2の案内ユニット(2)との間に前記回転ユニット(3)が組み付けられており、
前記装置は交換機構(4a,4b,4c,4d,4e)を有しており、該交換機構により、
前記回転ユニット(3)を全体として前記第1の案内ユニット(1)と機械的に結合させることができ、ないしこれから取り外すことができ、
前記第2の案内ユニット(2)を全体として前記回転ユニット(3)または前記第1の案内ユニット(1)と機械的に結合させることができ、ないしこれから取り外すことができる装置。
【請求項2】
前記装置は、
前記第1の案内ユニット(1)の電極(10_3,10_4)および/または前記第2の案内ユニット(2)の電極(20_1,20_2)によりそれぞれ前記回転ユニット(3)の電極(30_1,30_2,30_3,30_4)との協働作用で容器(B)に搬送方向に対して垂直に区域的に電圧を印加するようにセットアップされており、および/または
前記交換機構(4a,4b,4c,4d,4e)により前記第2の案内ユニット(2)と前記回転ユニット(3)をそれぞれ電気的に互いに結合し、または互いに分断することができ、および/または前記第1の案内ユニット(1)と結合し、ないしはこれから分断することができる
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記交換機構(4a,4b,4c,4d,4e)は、
前記第1の案内ユニット(1)、前記第2の案内ユニット(2)、および前記回転ユニット(3)の間の機械的な差込結合(4a,4c,4d)および電気的な差込結合(4b,4e)および/または機械的なねじ結合(4c)を含んでおり、機械的な結合(4a,4c,4d)および電気的な結合(4b,4e)は、前記第1の案内ユニット(1)、前記第2の案内ユニット(2)、および前記回転ユニット(3)の間で事前に定義された相対運動がなされたときに相互に成立する
請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
さらに前記第1の案内ユニット(1)の前記電極(10_3,10_4)、前記第2の案内ユニット(2)の前記電極(20_1,20_2)、ならびに前記回転ユニット(3)の前記電極(30_1,30_2,30_3,30_4)は、
容器(B)の重心よりも下方にある容器(B)の表面領域と電気的かつ物理的に接触するようにセットアップされている
請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記回転ユニット(3)の電極(30_1,30_2,30_3,30_4)は搬送方向に対して垂直に互いにオフセットされており、特に第1の案内ユニット(1)の電極(10_3,10_4)と協働作用するようにセットアップされた前記電極(30_3,30_4)は、
前記第2の案内ユニット(2)の電極(20_1,20_2)と協働作用するようにセットアップされた前記電極(30_1,30_2)に対して、前記第2の案内ユニット(2)の方向にオフセットされている
請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記回転ユニット(3)の前記電極(30_1,30_2,30_3,30_4)の各区域は前記ベルト伝動装置(5)のそれぞれ2つのベルト(5a)の間に配置されており、および/または前記回転ユニット(3)により搬送される容器(B)の表面と電気的かつ機械的に接触するようにセットアップされている
請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
さらに前記装置は、
それ自体(6)と前記回転ユニット(3)との間にある容器(B)を搬送するようにセットアップされたウォーム伝動装置(6)を含んでいる
請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記第2の案内ユニット(2)と前記回転ユニット(3)は前記ウォーム伝動装置(6)の存在に関わりなく前記第1の案内ユニット(1)から取り外すことができ、ないしは前記第1の案内ユニット(1)と結合することができる
請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記電極(10_3,10_4,20_1,20_2,30_1,30_2,30_3,30_4)の搬送方向の長さと前記ベルト伝動装置(5)の速度は、
請求項7または8に記載の前記ウォーム伝動装置(6)との協働作用で、搬送される容器(B)が各々の前記電極(10_3,10_4,20_1,20_2,30_1,30_2,30_3,30_4)と接触しながら独自の軸を中心としてそれぞれ少なくとも1回の完全な回転を行うように相互に調整されている
請求項1〜8のうちいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
請求項1〜9のうちいずれか1項に記載の装置の回転ユニット(3)を交換する方法において、
前記交換機構(4)の形状接合式および/または摩擦接合式の係止(4c)を外すステップと、
前記第2の案内ユニット(2)を取り外すステップと、
前記回転ユニット(3)を取り外すステップと、
別の回転ユニットを挿入するステップと、
前記第2の案内ユニット(2)を挿入するステップと、
前記交換機構(4)の係止(4c)を締結するステップと
を含んでいる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
充填設備において、すでに充填されて閉止されている容器を漏れがないかどうか調べるために、充填された容器の表面に電圧を印加し、発生する電流が容器の表面を介して測定される、電極構造を備えた検査ステーションが知られている。容器の表面が外に出た液体で湿潤していると、容器の表面の抵抗が低くなり、測定される電流が大きくなる。このように、測定される電流を事前に定義された閾値に関してカテゴライズすることを通じて、測定された容器が密閉されていると判定できるか、それとも漏れがあると想定せざるを得ないかを決めることができる。その際には、検査される容器の片側にだけ存在する漏れを確実に検知するために、容器ないし包装が回転して、さまざまな表面領域に電気的な検査電圧を印加できるようにする。このとき漏れが発生していると、設備および特に検査電極が外に出た液体で湿潤してしまい、そのために、その後に検査した容器も、そこからは液体が外に出ていないにもかかわらず、不具合があると認識されるという事態が起こる可能性がある。外に出た液体による電極の湿潤を減らすために、従来技術では特に検査されるべき容器が、その上に配置された電極によって接触される。このようにして、容器から電極へ液体が伝わることは減らすことができるものの、容器の上側でその表面に生じる液体膜は、容器の下側で測定された場合よりもしばしば何倍も薄い。容器の表面によっては、すなわち表面が液体を受容しにくいとき、もしくはまったく受容しないときには、容器の漏れはほぼ完全に、外に出た液体で表面を湿潤させることなく存在する。
【背景技術】
【0002】
公知の密閉検査ステーションのさらに別の問題は、比較的複雑な構造が、特に漏れが生じた後での搬送システムの洗浄を難しくし、たとえば搬送装置や電気コンポーネントの保守作業が長くかかり、高いコストを生じさせるという点にある。その結果、長い生産中断と、相応の生産性の損失が生じるのが通常である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって本発明の課題は、上に述べた欠点を回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上に挙げた課題は本発明によると、請求項1に記載の構成要件を備える装置によって解決され、ならびに、請求項10に記載の構成要件を備える方法によって解決される。
【0005】
それによると、充填された容器を搬送方向に搬送し、外に出た液体がないかどうかこれを検査する装置は、容器の第1の区域を案内するための第1の案内ユニットを有している。搬送されるべき容器は、たとえばビン、塗装された缶、アンプル、薬瓶、および液体で充填されたその他の閉止された容器であってよい。本発明による測定原理は、外に出た液体が、容器表面の少なくとも1つの区域の電気抵抗に測定可能な影響を及ぼすあらゆるケースで機能する。第1の案内ユニットは、たとえば、搬送される容器の底面の区域を案内するようにセットアップされていてよい。案内ユニットは少なくとも1つの区域に、容器表面に電圧を印加するためにセットアップされた第1の電極を有している。これに加えて本装置は、たとえばビンのネックの領域、蓋の領域、または搬送されるべき容器の底面と向かい合うその他の区域のような第2の区域を案内するための第2の案内ユニットを有している。第2の案内ユニットも、容器表面に電圧を印加するために少なくとも一時的に利用されるようにセットアップされた電極を含んでいる。
【0006】
さらに、搬送されるべき容器を回転させるようにセットアップされたベルト伝動装置を備える回転ユニットが、本装置に設けられている。このときベルト伝動装置が容器表面との摩擦によって、たとえば搬送方向と反対向きの方向に容器の回転を惹起することができる。回転ユニットは、第1および第2の案内ユニットの間に配置されているのが好ましく、ベルト伝動装置は、搬送されるべき容器の中央領域に接触する。特に、回転ユニットはそのために、第1の案内ユニットおよび第2の案内ユニットの容器を案内する区域に比べて低く配置されていてよい。本発明によると、第1の案内ユニット、第2の案内ユニット、および回転ユニットは、それぞれ関連するモジュールとして組み付けられている。換言すると、これら3つのユニットは、実質的にそれぞれ全体として特に少ない「手数」で組み合わされて本装置の構成要素となる、コンパクトなモジュールをそれぞれ形成する。そのために本装置は交換機構を有しており、これにより、回転ユニットを全体として第1の案内ユニットと機械的に結合させ、ないしはこれから切り離すことができる。このとき機械的な結合は、本装置が作動する相対的な空間的状態を定義する。さらに交換機構は、第2の案内ユニットを全体として回転ユニットまたは第1の案内ユニットと機械的に結合させ、ないしはその取外しを可能にするようにセットアップされている。換言すると、第2の案内ユニットをまず交換機構を通じて回転ユニットと結合することができ、次いで、第2の案内ユニットおよび回転ユニットの組み合わせを第1の案内ユニットと結合することができ、または、第2の案内ユニットを回転ユニットに関わりなく第1の案内ユニットと機械的に結合することができる。交換機構による3つのユニットの組み合わせの解消についても、同様のことが当てはまる。
【0007】
従属請求項は、本発明の好ましい発展例を示している。
【0008】
本装置は、第1の案内ユニットの電極により、回転ユニットの電極との協働作用で、搬送される容器に搬送方向に対して垂直に区域的に電圧を印加するのが好ましい。同様に本装置は、第2の案内ユニットの電極により、回転ユニットの電極との協働作用で、搬送方向に対して垂直に区域的に容器へ電圧を印加するようにセットアップされている。1つの考えられる技術的に好ましい印加装置の要旨は、回転ユニットの1つないし複数の電極に、第1および第2の案内ユニットの電極に比べて高い電位を印加するとともに、第1および第2の案内ユニットの電極をたとえばアース電位で保つことにある。別案の印加装置の要旨はそれぞれ反対向きの極性にあり、それによって同じ作用が実現される。上に述べた両方の実施形態は、個々のユニットの電位がそれぞれ統一されており、絶縁部ないしエネルギー案内部をいっそう簡素に具体化できるという利点を有している。
【0009】
上記の代替または追加として、交換機構により、第2の案内ユニットと回転ユニットとの間の電気結合を成立させることもできる。たとえば第2の案内ユニットと第1の案内ユニットとの間の電気結合を、回転ユニットに関わりなく成立させることができる。しかしながら別案として、このような結合は第1および第2の案内ユニットの間に配置された回転ユニットを介して行うこともできる。このときそれぞれ2つのユニットの間の電気結合は、2つの電気接点だけを介して行うことができるのが好ましく、それによって各ユニットの構造が簡素化され、たとえば電気設備に関する不良個所を探すのが容易になる。各ユニットにそれぞれ等しい電位をもつ複数の電極が配置されているとき、1つのユニットの電極の電気結合を各々のユニットの内部で行うことができる。そのようにして、電気絶縁部や、電気エネルギーを各ユニットないしその電極へ送るための接続部が、いっそう簡素に構成される。
【0010】
交換機構は、機械的および電気的な差込結合部ないし複合型の差込結合部を、機械的および電気的な接触を成立させるために含むことができるのがさらに好ましい。その代替または追加として、第1の案内ユニット、第2の案内ユニット、および回転ユニットの間の機械的なねじ結合部は、交換機構の電気的および機械的な結合が、望まないときに外れないように守られるように作用させることができる。このとき機械的および電気的な結合は、第1の案内ユニットと第2の案内ユニットとの間で、ないし第1の案内ユニットと回転ユニットとの間で、ならびに回転ユニットと第1の案内ユニットとの間で、適当な仕方で事前に定義された相対運動がなされたときに、各ユニットの機械的な結合が各ユニットの電気的な結合を伴うように作用することができるのが好ましい。たとえば、特に第1の案内ユニットの2つのロッドによる案内のもとでの、または回転ユニットおよび第2の案内ユニットのためのその他の支持部を利用しての、簡単な前進運動により、第2の案内ユニットと第1の案内ユニットの間の、ないし第2の案内ユニットと回転ユニットの間の、および/または回転ユニットと第1の案内ユニットの間の機械的な結合が、同時に、各ユニットの電気的な結合を伴うようにすることができる。そのために各ユニットの電気的な差込接点は、各ユニットの間での同一の前進運動が電気的な差込接続も成立させるように、相互に向けられて配置されている。それにより各ユニットを組み立てるときに、ないし組み合わせるときに、時間コストがかかり機械的に故障が生じやすい、別々の差込接続を成立させるためのケーブルを省略することができる。
【0011】
第1の案内ユニットの電極、第2の案内ユニットの電極、ならびに回転ユニットの電極は、搬送される容器の重心よりも下方にある容器の表面領域に電気的に、特に物理的にも、接触するようにセットアップされているのがさらに好ましい。換言すると、容器の容積部の下方にある容器の表面領域は、各ユニットの電極に対して少なくとも一時的に、電気結合が、および場合により引き続いて電極と容器表面の間でのある程度の火花ギャップが、容器表面への電圧の印加を可能にするように配置することができる。実際にしばしば適用される電圧は最大で30kVのオーダーであり、したがって、相応の火花ギャップの通過が物理的に可能であるとしても、当業者は電気的な誤差を低減するために、電極と容器表面の間の固体接触を可能にするように尽力する。このように、電極と容器表面との間の間隔は許容することができるものの、電極と容器表面の間隔が小さければ、ないし間隔がなければ、測定誤差を大幅に減らすことができる。
【0012】
複数の電極が回転ユニットに設けられており、搬送方向に対して垂直方向に互いにオフセットされて配置されるのがさらに好ましい。搬送方向が回転ユニットのベルトの走行方向と一致しているとき、このことは、たとえば第1の電極がベルトの第1の側に配置されており、回転ユニットの第2の電極がベルトの第1の側と向かい合う第2の側に配置されることによって実現することができる。特に、第1の案内ユニットの電極と協働するようにセットアップされている回転ユニットの電極は、第2の案内ユニットの方向に寄っていることができる。それに対して、第2の案内ユニットの電極と協働するようにセットアップされた回転ユニットの他の電極は、第1の案内ユニットの方向に寄っていることができる。このようにして、異なる測定チャネルの各組の電極の間で、重なり合う測定区間がもたらされる。このことは、特に漏れの空間的な広がりが小さいときに、特別に確実な認識を可能にする。
【0013】
回転ユニットのベルトは丸ベルトとして構成されており、そのようにして、特別に細い断面を有することができるのがさらに好ましい。それにより、上に説明したとおり、互いにオフセットされた電極をベルト伝動装置のそれぞれ2つのベルトの間に配置し、それにもかかわらず、電極のある程度の空間的な密度を具体化することが可能である。
【0014】
回転ユニットのベルトは平ベルトとして構成されており、そのようにして、断面積は同じままで、特別に低い高さを有することができるのがさらに好ましい。それにより、回転ユニットの設計高さを低く抑え、ベルトと容器の間の良好な摩擦を得ることが可能である。
【0015】
本装置は、それ自体と回転ユニットとの間にある容器を搬送するようにセットアップされたウォーム伝動装置を追加的に含むことができるのがさらに好ましい。このときウォーム伝動装置は、その長手方向で搬送装置に追随させることができる。表面にあるウォーム状の溝は、搬送されるべき容器をその円周の少なくとも1つの部分で包囲し、ウォーム伝動装置の回転時に容器の前進運動を行わせるようにセットアップされていてよい。特に、溝がウォーム伝動装置の長さにわたって不均一な勾配を有しているケースについては、搬送されるそれぞれの容器の間隔を、本発明による装置の領域で、事前に定義された寸法に合わせて規定することができる。
【0016】
さらに本発明によると、第2の案内ユニットと回転ユニットはウォーム伝動装置の存在に関わりなく第1の案内ユニットから取り外すことができ、ないしは、第1の案内ユニットと結合することができる。このことは、ウォーム伝動装置を事前に同じく取り外すことなく、第2の案内ユニットおよび/または回転ユニットで洗浄工程や保守作業を行えるという利点をもたらす。そのためにウォーム伝動装置は、搬送されるべき容器の上方に配置されているのが好ましい。
【0017】
搬送方向における電極の寸法およびベルト伝動装置の速度は、特に請求項7または8に記載のウォーム伝動装置との協働作用で、搬送される容器が各電極と接触しながら事前設定された程度だけ独自の軸を中心として回転できるように互いに調整されているのがさらに好ましい。このとき特に、検査されるべき容器の完全な1回転が、各々の電極と接触しながら具体化されることが意図されていてよい。換言すると、搬送方向における電極の長さは非常に大きくてよく、または、ベルト伝動装置およびウォーム伝動装置の運動は、検査されるべき容器が前進運動の過程で、容器が定置の架台の上で転動したときよりも多い回転を距離単位ごとに行うように、互いに反対向きに構成されていてよい。このようにして電極が、搬送方向で比較的短い長さを有することができ、本発明による装置を全体としていっそうコンパクトに寸法決めすることができる。
【0018】
本発明のさらに別の態様では、上述の請求項のうちいずれか1項に記載の装置の回転ユニットを交換する方法が提案される。本発明によると、交換機構の形状接合式および/または摩擦接合式の係止がまず解除されることによって、回転ユニットを交換することができる。たとえばこの係止は手動ねじ、クランプレバー、または引張ばねを含むことができ、これを用いて各ユニットが組付け状態のとき相互に接触したまま保たれる。第2のステップとして、第2の案内ユニットを取り外すことができる。このことは、たとえば水平方向に互いに平行に配置された複数のロッドから、第2の案内ユニットを引き抜くことによって行うことができ、これらのロッドは組付け状態のとき溝または穴により第2の案内ユニットの内部で係合している。別案として、このとき第2の案内ユニットを回転ユニットと結合されたままに保つことができ、すなわち、回転ユニットは第1の案内ユニットから同時に取り外される。別案として、引き続いて回転ユニットが別個に、すなわち換言するとその際に第2の案内ユニットと結合されることなしに、第1の案内ユニットから取り外される。回転ユニットと第1の案内ユニットとの間の結合ユニットも、第2の案内ユニットとの関連でさきほど述べたロッド構造を含むことができる。そして回転ユニットで保守作業ないし洗浄がなされているあいだ、別の回転ユニットを用いて動作を継続することができる。そのために別の回転ユニットが第1の案内ユニットと結合され、そのために第1の案内ユニットが、たとえば同一のロッド構造に差し込まれる。別案として、別の回転ユニットをまず第2の案内ユニットと結合し、これと一緒に第1の案内ユニットと結合させることができる。別案として、引き続き第2の案内ユニットを別個に第1の案内ユニットまたは回転ユニットと結合することができる。最後に、交換機構の係止を締結して、各ユニットが望まないときに外れないよう相互に固定することができる。上に説明した方法の利点は、本発明による装置の停止時間を明らかに短くし、生産ないし検査の中止を最低限に抑えることができ、装置の洗浄ないし整備が必要になった場合に、複雑な工具や専門作業員の投入を容認できるという点にある。
【0019】
次に、添付の図面を参照しながら本発明の実施例について詳しく説明する。図面には次のものが示されている:
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明による第1の案内ユニットの実施例を示す分解図である。
【
図3】本発明による回転ユニットの実施例を示す斜視図である。
【
図4】本発明による第2の案内ユニットの実施例を示す分解図である。
【
図5】本発明による組み合わされた装置の実施例を示す破断斜視図である。
【
図6】本発明による組み合わされた装置の実施例を示す別案の斜視図である。
【
図7】本発明によるウォーム伝動装置を含む、組み合わされた装置の実施例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1には、搬送方向で長手方向に延びるハウジング9を含む、第1の案内ユニット1の分解図が示されている。(
図1には図示しない)回転ユニット3の方向で、ハウジングの上側領域には電極10_3,10_4のためのプラグ8aが突き出している。これらのプラグ8aは、接触レール7と結合されて、接触レール7に配置されている電極10_3,10_4に電気エネルギーを供給するようにセットアップされている。電極10_3,10_4は、搬送される容器に底面近傍の領域で接触するようにそれぞれセットアップされている。ハウジングの下側領域には、前者のそれぞれのプラグ8aの間で平行に同じ高さでボルト4aが設けられている。下側のプラグ8aは、(
図1には図示しない)回転ユニット3に電気エネルギーを供給するために設けられている。ボルト4aは、第1の案内ユニット1での回転ユニットの機械的な固定のために設けられている。同じく下側のプラグ8aないしボルト4aと同じ高さに、2つの電気接触部がブッシュ4bに設けられており、これらを介して測定信号がセンサ装置に印加され、特に、第2の案内ユニット2(
図1には図示せず)の電極に印加される。さらに、モータ53と、ギヤ51と、継手52とを含むベルト伝動装置6(
図1には図示せず)のための駆動ユニット50が示されている。
【0022】
図2は、
図1に示す構造を基本的に示しているが、第2の案内ユニット2と、回転ユニット3と、ユニット1,2および3を結合するための手動ねじ4cとが付け加えられている。回転ユニット3ならびに第2の案内ユニット2は、第1の案内ユニット1と同様に、搬送方向で長尺状ないしレール状の形態である。
図2に示す分解図でも組み付けられた構成のときでも、これら3つのコンポーネントは実質的に互いに平行に、かつ搬送方向と平行に配置されている。回転ユニット3は、ベルト車5bを介して案内、駆動されるベルト5aを有している。図示している5つのベルト車5bのうち、それぞれ外側のベルト車ならびに中央のベルト車に、少なくとも部分的にベルト5aが巻き掛けられている。したがって外側のベルト車5bを介して、ベルト5aへのテンション付与を行うことができる。それに対して、前者のベルト車5bの間に配置された両方のベルト車は、これらを介して走行するベルト5aを支持するにすぎず、それは、このベルト5aの過度の弛みを防ぐためである。
図1との関連で説明した下側のプラグ8aと対応するのが、回転ユニット3の水平方向の接触ロッドであり、これを起点として電極30_1,30_2,30_3および30_4が実質的に垂直方向に屹立しており、これらの電極は、ベルト5aの隣ないし間に、拡張する端部領域を有している。これらの端部領域の上面は、実質的に、ベルト5aの上面と対応する。このようにして電極30_1,30_2,30_3および30_4は、これを介して搬送される容器B(
図2には図示せず)と接触することができ、それにより、ベルト5aにより搬送される容器Bに、電極30_1,30_2,30_3および30_4を通じて、電圧を印加することができる。第1の案内ユニット1にあるブッシュ4bの電気接触部と対応するのは、第2の案内ユニット2にあるプラグ4eであり、これを介して、第2の案内ユニット2の接触アタッチメント21の上面に配置された2つの電極20_1および20_2に、測定信号を印加することができる。第2の案内ユニット2の下側領域には、第1の案内ユニット1のボルト4aと対応する2つの溝4dが配置されている。手動ねじ4cは、第2の案内ユニット2および回転ユニット3にある穴をそれぞれ通して、第1の案内ユニット1のねじ山と係合するようにセットアップされている。図示している交換機構4a,4b,4c,4dおよび4eにより、回転ユニット3は、実質的に水平方向で搬送方向に対して垂直に第1の案内ユニット1と、機械的にも電気的にも結合するようにセットアップされている。第2の案内ユニット2および第1の案内ユニットにも、同様のことが当てはまる
【0023】
図3は、回転ユニット3の斜視図を示している。回転ユニット3の下面には、(
図3には示さない)第1の案内ユニット1のボルト4aを収容するための2つの溝4dが設けられている。溝4dの上方には、回転ユニット3の上側領域に、ベルト車5bの支承部5cが配置されている。中央および図面で見て左側に配置されたベルト車5bの支承部はテンショナ5dとして構成されており、これによってベルト5aにテンションをかけることができる。換言すると、上記のベルト車5bの支承部5cは、搬送方向ないし搬送方向と反対向きにスライド可能なように支承されている。
図3で見て右側に配置されたベルト車5bのシャフト54は、駆動シャフト54として、駆動ユニット50の継手52と係合するように構成されている。電極30_1,30_2,30_3および30_4が、搬送方向に対して、水平方向と垂直方向で互いにオフセットされて配置されている様子を見ることができる。電極30_2は、観察者の方向ないし第1の案内ユニット1の方向に寄っており、したがって、回転ユニット3の本体と両方のベルト5aとの間に配置されているのに対して、電極30_1はこれら両方のベルトの間に配置されている。電極30_3および30_4は、回転ユニット3の本体に関して、他の両方のベルト5aと向かい合う側にある。4つの電極30_1,30_2,30_3および30_4はすべて、搬送方向に対して垂直に多部分で構成されている。換言すると、2つの金属部材ないし電極30_3のケースでは3つの金属部材が、実質的に垂直かつ互いに平行に間隔をおいて配置されており、それは、試験体として搬送される容器のさまざまな表面領域と接触できるようにするためである。
【0024】
図4は、第2の案内ユニット2の分解図を示しており、ここには、(
図4には図示しない)第1の案内ユニット1のブッシュ4bの電気接触部と係合するようにセットアップされたプラグ4eの電気接触部を見ることができる。握り部分と向かい合う端部にねじ山11を有する手動ねじ4cが、第2の案内ユニット2の本体を貫通している。第2の案内ユニット2には垂直方向で本体の上面に、接触レール21に配置された2つの電極20_1,20_2に測定信号を供給するための2つのプラグ8aが突き出している。第2の案内ユニット2の本体の互いに最大限の間隔をおいて配置された2つの端部には、接触アタッチメント21と追加的に機械的に結合させるための2つのピン22が突き出している。接触アタッチメント21は、(
図4には図示しない)回転ユニット3の方向を向く側に段部23を有しており、この段部は、試験体ないし容器の蓋ないしネックの部分と接触するようにセットアップされている。そのために、第2の案内ユニット2の電極20_1,20_2は段部23の表面を模倣しており、ないしは表面の山形を一緒に形成している。
【0025】
図5は、第1の案内ユニット1と、第2の案内ユニット2と、これら両者の間に配置される回転ユニット3とで構成される、組み合わされた装置の破断図を示している。第2の案内ユニット2からボルト4aが突き出ており、それに対して手動ねじ4cは、ストッパに当たるまで、第2の案内ユニット2にねじ込まれている。容器Bは回転ユニット3のベルト5aの上の縁部の近傍にあり、第2の案内ユニット2の電極20_2により頭部領域で接触される。容器Bの底面領域は、第1の案内ユニットの接触レール7に当接する。破断平面には、変圧器ケーブルのための接続ブッシュ12と、回転ユニット3の電極30_2との間の電気接続を見ることができる。さらに2つの電極10_3および10_4が、搬送される容器Bの方向を向く接触レール7の垂直面に配置されている。電極10_3および10_4に向かい合うように、回転ユニット3のそれぞれの対応電極30_3および30_4を見ることができる。
【0026】
図6は、
図5に示す装置の別の斜視図を基本的に示している。この図面では、第2の案内ユニット2に設けられた電極20_1および20_2を見ることができ、電極20_2は容器Bにその頭部で接触する。第2の案内ユニット2の接触アタッチメント21の段部23は、回転ユニット3の電極30_3の高さに中断部を有しており、それは、この個所で電極30_3の配置を可能にするためである。さらに回転ユニット3の電極30_4、ならびに、電極30_3および30_4に対向して配置された、第1の案内ユニット1の接触レール7の電極10_3および10_4を見ることができる。
【0027】
図7は、
図5および
図6に示す構造を基本的に示しており、
図7ではこれに搬送ウォームが付け加えられている。搬送ウォーム6は円筒状に成形された本体で実質的に構成されており、その表面には螺旋状の溝が配置されている。螺旋のピッチは、搬送ウォーム6の端部のところでは小さく、真中に向かう方向で広がっており、それにより、搬送ウォーム6が回転すると、溝により把持される容器Bは、速度を上げながら搬送ウォーム6の縁部領域から搬送ウォーム6の中央部の方向へ、ないしは速度を下げながら搬送ウォーム6の中央部から搬送ウォーム6の縁部領域の方向へ搬送される。このようにして、搬送ウォームに連続して係合する容器Bの間の間隔は、容器が搬送ウォームの中央部の方向へ動くときに広がっていく。たとえば搬送ウォームのピッチは、ウォームの1回転ごとに60mmの容器の送りを惹起する。それと同時に電極間隔がたとえば120mmであることにより、第1の電極構造により検査される容器Bが、第1の電極構造から離れる前に、次の電極構造の測定結果に影響を及ぼさないことが保証される。回転ユニット3のベルト伝動装置5との協働作用で、搬送ウォームは、特に、搬送される容器Bが軸を中心として事前に定義された回転を行ってから、いずれかのユニットにある電極の接触領域を出ていくように作用することができる。本発明によると、すべての電極が第1の案内ユニット1、第2の案内ユニット2、または回転ユニット3に配置されているので、搬送ウォーム6は、長さに関して連続するコンポーネントとして中断なしに構成することができる。
【0028】
本発明の中心思想は、密閉検査構造がモジュール形式の構造を有することにより、迅速で簡単な洗浄・保守プロセスを可能にする、密閉検査およびそのような密閉検査に利用可能なモジュールを提供することにある。本発明によると、3つのモジュールすなわち第1の案内ユニット、第2の案内ユニット、および回転ユニットが設けられ、少数回の取扱によって特に同時の、ないしは互いに連動する機械的および電気的な接触のもとで、相互に組み付けたり取り外したりできるようにセットアップされる。
【0029】
本発明に基づく態様および本発明の好ましい実施形態について、添付の図面との関連で詳細かつ具体的に説明してきたが、当業者にとっては、図示している各実施例の改変や組み合わせも、添付の特許請求の範囲により保護範囲が定義される本発明の範囲から逸脱することなく可能である。
【符号の説明】
【0030】
1 第1の案内ユニット
2 第2の案内ユニット
3 回転ユニット
4a,4b,4c,4d,4e 交換機構
5 ベルト伝動装置
5a ベルト
6 ウォーム伝動装置
10_3,10_4 第1の電極
20_1,20_2 第2の電極
30_1,30_2,30_3,30_4 第3の電極
B 容器