(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2の単位が、(アルキル)アクリレート、ビニル、アリルおよびマレイミドから選択される重合性基と、アミンから選択される塩基性部分とを含むモノマーから形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
前記第2の単位が、(アルキル)アクリレート、ビニル、アリルおよびマレイミドから選択される重合性基と、アミドから選択される塩基性部分とを含むモノマーから形成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のフォトレジスト組成物はネガティブトーン現像プロセスに使用するのに特に好適である。ネガティブトーン現像プロセスに使用される場合の本発明の特に好ましいフォトレジスト組成物は、改良された焦点寛容度(focus latitude)および露光寛容度(exposure latitude)、形状が均一なレジストパターン、例えば、ラインおよびコンタクトホール、並びに低減された欠陥のうちの1つまたは好ましくは1つより多くをもたらす。添加剤ポリマーは、フォトレジスト組成物のコーティング中に、レジストコーティング層の上面に向けて移動し、それによりこの添加剤ポリマーから実質的になる表面層を形成する。添加剤ポリマーの塩基性部分は、散光またはそれた光の制御に寄与し、それによって、ラインおよびトレンチパターン形成の場合に喪失したコンタクトホールおよびマイクロ架橋欠陥などのパターニング欠陥の低減を可能にすると考えられる。露光および露光後ベーク(PEB)の後で、レジストコーティング層は有機溶媒を含む現像剤中で現像される。現像剤はフォトレジスト層の未露光領域と、露光領域の表面層とを除去する。本発明のフォトレジスト組成物の利点は、ドライリソグラフィまたは液浸リソグラフィプロセスにおいてこの組成物を使用する場合に達成され得る。液浸リソグラフィにおいて使用される場合には、好ましいフォトレジスト組成物は、レジスト表面への添加剤ポリマーの移動の結果、液浸流体へのフォトレジスト材料の低減された移動(漏出)をさらに示すことができる。意義深いことには、これはフォトレジスト上のトップコート層の使用がなくても達成され得る。
【0015】
フォトレジストは様々な放射線波長で、例えば、サブ−400nm、サブ−300nmもしくはサブ−200nmの波長で使用され得、または、248nm、193nmおよびEUV(例えば、13.5nm)の露光波長が好ましい。組成物は、さらに、電子線(E−beam)露光プロセスにおいて使用され得る。
【0016】
本発明のフォトレジスト組成物は化学増幅型材料である。組成物は酸不安定基を含む1種以上のマトリックスポリマーを含む。酸不安定基は酸の存在下で容易に脱保護反応を受ける化学部分である。フォトレジスト組成物の層の部分としてのマトリックスポリマーが、ソフトベーク、活性化放射線への露光、並びに露光後ベークの後の、光酸発生剤から生じた酸との反応の結果として、本明細書において記載される現像剤中での溶解度の変化を受ける。これは、酸不安定基の光酸誘起切断から生じ、マトリックスポリマーの極性の変化を引き起こす。酸不安定基は、例えば、第三級アルキルカーボネート、第三級アルキルエステル、第三級アルキルエーテル、アセタール、およびケタールから選択され得る。好ましくは、酸不安定基は、マトリックスポリマーのエステルのカルボキシル酸素に共有結合した第三級非環式アルキル炭素または第三級脂環式炭素を含むエステル基である。そのような酸不安定基の切断は、カルボン酸基の形成をもたらす。好適な酸不安定基含有単位としては、例えば、酸不安定(アルキル)アクリレート単位、例えば、t−ブチル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−イソプロピルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−プロピルシクロペンチル(メタ)アクリレート、1−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−エチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−イソプロピルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、1−プロピルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、エチルフェンキル(メタ)アクリレートなど、並びに他の環式、例えば脂環式(アルキル)アクリレート、および非環式(アルキル)アクリレートが挙げられる。アセタールおよびケタール酸不安定基は、酸素原子と結合するように、カルボキシル基または水酸基などのアルカリ溶解性基の末端の水素原子と置換され得る。酸が生成される場合には、酸は、アセタールまたはケタール基と、アセタールタイプの酸解離性溶解抑制基が結合した酸素原子との間の結合を切断する。そのような酸不安定基の例は、例えば、米国特許第6057083号明細書、米国特許第6136501号明細書および米国特許第8206886号明細書、並びに欧州特許出願公開第01008913A1号明細書および欧州特許出願公開第00930542A1号明細書に記載されている。糖誘導体構造の一部としてのアセタールおよびケタール基も好適であり、その切断は、水酸基の形成をもたらし、例えば、それらは、米国特許出願公開第2012/0064456A1号明細書に記載されている。
【0017】
248nmなどの200nm以上の波長については、好適な樹脂材料としては、例えば、酸不安定基を含むフェノール系樹脂が挙げられる。この種類の特に好ましい樹脂としては、(i)上記のようなビニルフェノールおよび酸性不安定(アルキル)アクリレートの重合単位を含むポリマー、例えば、米国特許第6,042,997号明細書および第5,492,793号明細書に記載されたポリマー;(ii)ビニルフェノール、場合によって置換され、ヒドロキシまたはカルボキシ環置換基を含まないビニルフェニル(例えば、スチレン)、および上記などの酸不安定(アルキル)アクリレートの重合単位を含むポリマー、例えば、米国特許第6,042,997号明細書に記載されるポリマー;(iii)光酸と反応するアセタールまたはケタール部分を含む繰り返し単位を含み、および場合によってフェニルまたはフェノール性基のような芳香族繰り返し単位を含むポリマー、例えば、米国特許第5,929,176号明細書および第6,090,526号明細書に記載されたポリマー;並びに、(i)および/または(ii)および/または(iii)のブレンドが挙げられる。
【0018】
特定のサブ−200nmの波長、例えば、193nmでの像形成のために、マトリックスポリマーは典型的にはフェニル、ベンジルまたは他の芳香族基(このような基はこの放射線を非常に吸収する)を実質的に含まず(例えば、15モル%未満)、好ましくは完全に含まない。芳香族基を実質的にまたは完全に含まない好適なポリマーは欧州特許出願公開第930542A1号明細書、および米国特許第6,692,888号明細書および第6,680,159号明細書に開示されている。
【0019】
他の好適なマトリックスポリマーとしては、例えば、非芳香族環式オレフィン(環内二重結合)、例えば、場合によって置換されたノルボルネンの重合単位を含むポリマー、例えば、米国特許第5,843,624号明細書および第6,048,664号明細書に記載されたポリマーが挙げられる。さらに他の好適なマトリックスポリマーとしては、重合された酸無水物単位、特に重合された無水マレイン酸および/または無水イタコン酸単位を含むポリマー、例えば、欧州特許出願公開第EP01008913A1号明細書および米国特許第6,048,662号明細書に開示されるポリマーが挙げられる。
【0020】
ヘテロ原子、特に酸素および/または硫黄を含む繰り返し単位(ただし、酸無水物以外、すなわちこの単位はケト環原子を含まない)を含む樹脂もマトリックスポリマーとして好適である。ヘテロ脂環式単位はポリマー骨格に縮合され得、かつ、ノルボルネン基の重合により提供されるような縮合炭素脂環式単位、および/または無水マレイン酸または無水イタコン酸の重合により提供されるような酸無水物単位を含むことができる。このようなポリマーは国際公開第0186353A1号パンフレットおよび米国特許第6,306,554号明細書に開示されている。他の好適なヘテロ原子基含有マトリックスポリマーとしては、1以上のヘテロ原子(例えば、酸素もしくは硫黄)含有基で置換された重合された炭素環式アリール単位、例えば、ヒドロキシナフチル基を含むポリマー、例えば、米国特許第7,244,542号明細書に開示されているポリマーが挙げられる。
【0021】
サブ−200nmの波長、例えば、193nmおよびEUV(例えば、13.5nm)の場合には、マトリックスポリマーは典型的にはマトリックスポリマーおよびフォトレジスト組成物の溶出速度を制御するためのラクトン部分を含む単位をさらに含む。ラクトン部分を含むマトリックスポリマーにおいて使用される好適なモノマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる:
【0022】
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【0023】
そのようなマトリックスポリマーは典型的には極性基を含む単位をさらに含み、それは、マトリックスポリマーおよびフォトレジスト組成物のエッチ耐性を向上し、マトリックスポリマーおよびフォトレジスト組成物の溶出速度を制御するさらなる手段をもたらす。そのような単位を形成するためのモノマーとしては、例えば、以下のものが挙げられる:
【0025】
マトリックスポリマーは、上記タイプの1種以上のさらなる単位を含むことができる。典型的には、マトリックスポリマーのためのさらなる単位は、ポリマーの他の単位を形成するために使用されるモノマーに使用されるものと同じまたは類似の重合性基を含むが、同じポリマー骨格中に他の異なる重合性基を含んでいてもよい。
【0026】
マトリックスポリマーは以下に記載される添加剤ポリマーのより高い表面エネルギーを有し、添加剤ポリマーと実質的に非混和性であるべきである。表面エネルギーの相違の結果、マトリックスポリマーからの添加剤ポリマーの分離はスピンコーティング中に行われる。マトリックスポリマーの好適な表面エネルギーは典型的には20〜50mN/m、好ましくは30〜40mN/mである。
【0027】
マトリックスポリマーの例としては、限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる:
【0028】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【化14】
【0029】
本発明のフォトレジスト組成物に使用するのに好適なマトリックスポリマーは商業的に入手可能であり、当業者によって容易に製造され得る。マトリックスポリマーは、レジストの露光されたコーティング層を好適な現像剤溶液中で現像可能にするのに充分な量でレジスト組成物中に存在する。典型的には、マトリックスポリマーはレジスト組成物の全固形分を基準にして50〜95重量%の量で組成物中に存在する。マトリックスポリマーの重量平均分子量M
wは典型的には100,000未満、例えば、5000〜100,000、より典型的には5000〜15,000である。上記マトリックスポリマーの2種以上のブレンドは本発明のフォトレジスト組成物において好適に使用され得る。
【0030】
添加剤ポリマーはマトリックスポリマーのよりも低い表面エネルギーを有する材料であり、マトリックスポリマーと実質的に非混和性であるべきである。このようにして、コーティングプロセス中での適用されたフォトレジスト層の頂部もしくは上部への第1の添加剤の分離または移動が容易にされる。添加剤ポリマーの所望の表面エネルギーは具体的なマトリックスポリマーおよびその表面エネルギーに依存するが、添加剤ポリマーの表面エネルギーは典型的には18〜40mN/m、好ましくは20〜35mN/m、より好ましくは29〜33mN/mである。添加剤ポリマーは、コーティングプロセス中にレジスト層の上面に移動するが、添加剤ポリマーとレジスト表面直下のマトリックスポリマーとの間にいくらかの混合があることが好ましい。そのような混合は、それた光によるマトリックスポリマー近傍での暗い領域で生成された酸の減少または除去によってレジスト層における表面阻害の低減に役立つことが考えられる。混合の程度は例えばマトリックスポリマー(MP)と添加剤ポリマー(AP)との表面エネルギー(SE)の差(ΔSE=SE
MP−SE
AP)に依存する。所定のマトリックスおよび添加剤ポリマーについて、混合の程度はΔSEの減少につれて、増加しうる。ΔSEは典型的には2〜32mN/mであり、好ましくは5〜15mN/mである。
【0031】
フォトレジスト組成物に役立つ添加剤ポリマーは複数の別個の繰り返し単位、例えば、2、3または4種の別個の繰り返し単位を有する共重合体である。異なる単位は少なくとも一般式(I)のモノマーの重合された単位、および以下に記載されるような塩基性部分を含む異なる単位を含む。添加剤ポリマーには酸不安定基、例えば、光酸不安定第三級アルキルエステル、アセタールおよびケタール基がなく、それらの基は、典型的にはポジ型化学増幅型フォトレジストのマトリックスポリマーに含まれる。添加剤ポリマーでのそのような基の存在はポリマーを現像剤に不溶性にすることができ、形成されたレジストパターンの架橋欠陥などの欠陥を場合によりもたらす。コーティング中でのレジスト表面への添加剤ポリマーの移動およびその塩基性官能性の結果として、フォトマスクによってブロックされたレジストの領域におけるそれた光の存在により引き起こされるトレンチ形成におけるマイクロ架橋欠陥およびコンタクトホール喪失欠陥が最小限にされもしくは回避され得る。
【0032】
添加剤ポリマーはケイ素を含まないことがさらに好ましい。ケイ素含有ポリマーは、特定のエッチング剤において有機フォトレジストポリマーよりも有意に低いエッチング速度を示す。その結果、有機マトリックスポリマーベースのレジスト層の表面におけるケイ素含有添加剤ポリマーの凝集が、エッチングプロセス中のコーン欠陥を引き起こす場合がある。添加剤ポリマーがフッ素を含んでいてもよく、フッ素を含まないことも可能である。好ましい添加剤ポリマーは、フォトレジスト組成物を配合するのに使用されるのと同じ有機溶媒(単一または複数種)に可溶性である。好ましい添加剤ポリマーは、また、露光後ベーク(例えば、120℃で60秒間)によって、ネガティブトーン現像プロセスに使用される有機現像剤中で可溶性であるかまたは可溶性になる。
【0033】
添加剤ポリマーは、以下の一般式(I)を有するモノマーから形成された第1の単位を含む:
式(I):
【化15】
式中、Pは重合可能な官能基であり、R
1は、置換および非置換のC1〜C20線状、分岐および環式炭化水素、好ましくはフッ素化されたおよびフッ素化されていないC1〜C15アルキル、さらに好ましくはフッ素化されたおよびフッ素化されていないC3〜C8アルキル、最も好ましくはフッ素化されたおよびフッ素化されていないC4〜C5アルキルから選択され、R
1は好ましくは、液浸リソグラフィにおいて使用される場合により高い水後退接触角をもたらすように分岐されており、並びにフルオロアルキルおよびフルオロアルコールなどのハロアルキルおよびハロアルコールのR
1置換が好適であり;Zは、置換および非置換の線状または分岐脂肪族(例えば、C1〜C6アルキレン)および芳香族炭化水素、並びにそれらの組み合わせから選択されるスペーサー単位であり、このスペーサー単位は場合によっては−O−、−S−および−COO−から選択される1以上の連結部分を有し、並びにnは0〜5の整数である。
【0034】
重合可能な官能基Pは例えば、以下の一般式(P−1)、(P−2)および(P−3)から選択され得る:
【化16】
式中、R
2は水素、フッ素、並びにフッ素化されたおよびフッ素化されていないC1〜C3アルキルから選択され、Xは酸素または硫黄であり;
【化17】
式中、R
3は水素、フッ素、並びにフッ素化されたおよびフッ素化されていないC1〜C3アルキルから選択され;
【化18】
式中、mは0〜3の整数である。
【0035】
好ましくは、添加剤ポリマーは下記一般式(I−1)を有するモノマーから形成された第1の単位を含む:
【化19】
式中、R
2およびXは上に定義された通りであり、R
4は、置換および非置換のC1〜C20線状、分岐および環式炭化水素、好ましくは、フッ素化されたおよびフッ素化されていないC1〜C15アルキル、より好ましくは、フッ素化されたおよびフッ素化されていないC3〜C8アルキル、最も好ましくはフッ素化されたおよびフッ素化されていないC4〜C5アルキルから選択され、好ましくは、R
4は、液浸リソグラフィにおいて使用される場合により高い水後退接触角をもたらすように、分岐されており、並びに、フルオロアルキルおよびフルオロアルコールなどのハロアルキルおよびハロアルコールのR
4置換が好適である。
【0036】
一般式(I)の例となる好適なモノマーは、以下に説明されるが、これらの構造に限定されるものではない。これらの構造の目的のために、「R
2」および「X」は、上に定義された通りである。
【0037】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
【化44】
【化45】
【化46】
【化47】
【化48】
【化49】
【化50】
【化51】
【化52】
【化53】
【化54】
【化55】
【化56】
【化57】
【0038】
添加剤ポリマーは、第1の単位と異なる単位をさらに含み、それは、塩基性部分を有するモノマーから形成される。この単位は、未露光(暗)であることが意図されるフォトレジストの領域において酸を中和する目的で存在し、その酸は、フォトレジスト層の表面領域においてそれた光によって生成される。これは、未露光エリアの望まれない脱保護反応を制御することによって、焦点がぼけたエリアにおける焦点深度および露光寛容度の向上を可能にすると考えられる。その結果、形成されたレジストパターンにおける、プロフィールの不規則性、例えば、ネッキング、およびT−トッピングが最小化または回避され得る。
【0039】
塩基性部分含有単位は、その重合性単位が(アルキル)アクリレート、ビニル、アリルおよびマレイミドから選択されるモノマー、並びにその塩基性部分がアミン、例えば、アミノエーテル、ピリジン、アニリン、インダゾール、ピロール、ピラゾール、ピラジン、グアニジンおよびイミン;アミド、例えば、カーバメート、ピロリジノン、マレイミド、イミダゾール、およびイミド並びにそれらの誘導体である窒素含有基であるモノマーの1種以上から選択されるモノマーから形成されることが好ましい。これらのうち、(アルキル)アクリレート重合性基およびアミン含有塩基性部分が好ましい。添加剤ポリマーの塩基性部分含有単位の形成において使用される典型的に好適なモノマーの例としては、下記のものが挙げられる。
【0040】
【化58】
【化59】
【化60】
【化61】
【化62】
【化63】
【化64】
【化65】
【化66】
【化67】
【化68】
【0041】
塩基性部分含有単位を形成することに使用されるこれらのモノマーのうち、以下のものが好ましい:
【化69】
【0042】
添加剤ポリマー中の塩基性部分含有単位(単一または複数種)の含有量は、酸誘導脱保護反応が層の明るい領域(それらの領域は露光されることが意図される)で生じることを可能にしながら、フォトレジスト層の暗い領域においてそのような反応を実質的または完全に除去するために十分であるべきである。添加剤ポリマー中の塩基性部分含有単位(単一または複数種)の所望の含有量は、例えばフォトレジスト層中の光酸発生剤の含有量に依存する。しかし、塩基性部分含有単位は比較的高い表面エネルギーを有する傾向があり、過度に高い含有量がマトリックスポリマーからの添加剤ポリマーの分離に悪影響を及ぼす可能性がある。塩基性部分含有モノマーのpKa(水中)は5〜50が好ましく、より好ましくは8〜40、最も好ましくは10〜35である。塩基性部分含有モノマーおよび添加剤ポリマーの全体としてのpKa値は、典型的には同一または実質的に同一の値を有する。一般式Iのモノマー単位および塩基性部分含有単位を含有すると、マトリックスポリマーに対する添加剤ポリマーの表面エネルギー、したがって、簡単な方法で2つのポリマーの混合(および分離)の程度の微調整が可能となる。典型的には、添加剤ポリマー中の塩基性部分含有単位(単一または複数種)の含有量は、添加剤ポリマーを基準にして0.1〜30モル%、好ましくは0.5〜20モル%、さらに好ましくは2〜15モル%である。
【0043】
フォトレジスト組成物に役立つ添加剤ポリマーの例としては下記のものが挙げられる:
【0044】
【化70】
【化71】
【化72】
【化73】
【化74】
【化75】
【0045】
フォトレジスト組成物は典型的には単一の添加剤ポリマーを含むが、場合によっては上記のような1以上のさらなる添加剤ポリマーを含むことができる。フォトレジスト組成物に使用される好適なポリマーおよびモノマーは商業的に入手可能である、および/または当業者によって容易に製造され得る。
【0046】
添加剤ポリマーは典型的には、比較的少量で、例えば、フォトレジスト組成物の全固形分を基準にして0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%、さらに好ましくは1〜3重量%の量でフォトレジスト組成物中に存在する。添加剤ポリマーの含有量は、例えば、フォトレジスト層中の光酸発生剤の含有量、添加剤ポリマー中の塩基性部分含有単位(単一または複数種)の含有量、およびリソグラフィがドライであるか、液浸タイプのプロセスであるかに依存するであろう。例えば、液浸リソグラフィについての添加剤ポリマー下限は概して、レジスト成分の漏出を妨げるための必要性によって決定される。過度に高い添加剤ポリマー含有量は典型的にはパターン分解を生じさせる。添加剤ポリマーの重量平均分子量は典型的には400,000未満、好ましくは5000〜50,000、より好ましくは5000〜25,000である。本発明のフォトレジスト組成物に使用するのに好適な添加剤ポリマーおよびこの添加剤ポリマーを製造するためのモノマーは商業的に入手可能であり、および/または当業者によって製造され得る。
【0047】
感光性組成物は、活性化放射線への露光の際に組成物のコーティング層中に潜像を生じさせるのに充分な量で使用される光酸発生剤(PAG)をさらに含む。例えば、光酸発生剤はフォトレジスト組成物の全固形分を基準にして約1〜20重量%の量で好適に存在する。典型的には、より少ない量の光活性成分が化学増幅型レジストのためには好適であろう。
【0048】
好適なPAGは化学増幅型フォトレジストの技術分野で公知であり、例えば、オニウム塩、例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムp−トルエンスルホナート;ニトロベンジル誘導体、例えば、2−ニトロベンジルp−トルエンスルホナート、2,6−ジニトロベンジルp−トルエンスルホナート、および2,4−ジニトロベンジルp−トルエンスルホナート;スルホン酸エステル、例えば、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、および1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン;ジアゾメタン誘導体、例えば、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン;グリオキシム誘導体、例えば、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、およびビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム;N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル;並びに、ハロゲン含有トリアジン化合物、例えば、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、および2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンが挙げられる。このようなPAGの1種以上が使用され得る。
【0049】
本発明のフォトレジスト組成物に好適な溶媒には、例えば、グリコールエーテル、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート;乳酸エステル、例えば、乳酸メチル、乳酸エチル;プロピオン酸エステル、例えば、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、エチルエトキシプロピオナート、およびメチル−2−ヒドロキシイソブチラート;セロソルブエステル、例えば、メチルセロソルブアセタート;芳香族炭化水素、例えば、トルエンおよびキシレン;並びにケトン、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノンが挙げられる。溶媒のブレンド、例えば、上述の溶媒の2種類、3種類もしくはそれより多い種類のブレンドも好適である。溶媒はフォトレジスト組成物の全重量を基準にして典型的には90〜99重量%、より典型的には95〜98重量%の量で組成物中に存在する。
【0050】
フォトレジスト組成物のための他の任意の添加剤としては、例えば、化学線およびコントラスト染料(actinic and contrast dyes)、ストリエーション防止剤(anti−striation agents)、可塑剤、速度向上剤、増感剤などが挙げられる。このような任意の添加剤は、使用される場合には、典型的には、フォトレジスト組成物の全固形分を基準にして0.1〜10重量%のような少量で組成物中に存在するが、充填剤および染料は比較的高濃度、例えば、フォトレジスト組成物の全固形分を基準にして5〜30重量%で存在することができる。
【0051】
本発明のレジスト組成物の好ましい任意の添加剤は追加塩基であり、これは現像されたレジストレリーフ像の解像度を向上させることができる。好適な塩基性クエンチャーとしては、例えば、線状および環式アミド類並びにその誘導体、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ピバルアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N1,N1,N3,N3−テトラブチルマロンアミド、1−メチルアゼパン−2−オン、1−アリルアゼパン−2−オン、およびtert−ブチル1,3−ジヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−2−イルカルバマート;芳香族アミン、例えば、ピリジンおよびジ−tert−ブチルピリジン;脂肪族アミン、例えば、トリイソプロパノールアミン、n−tert−ブチルジエタノールアミン、トリス(2−アセトキシ−エチル)アミン、2,2’,2’’,2’’’−(エタン−1,2−ジイルビス(アザントリイル)テトラエタノール、および2−(ジブチルアミノ)エタノール、2,2’,2’’−ニトリロトリエタノール;環式脂肪族アミン、例えば、1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン、tert−ブチル1−ピロリジンカルボキシラート、tert−ブチル2−エチル−1H−イミダゾール−1−カルボキシレート、ジ−tert−ブチルピペラジン−1,4−ジカルボキシレート、およびN(2−アセトキシ−エチル)モルホリンが挙げられる。これらの塩基性クエンチャーのうち、1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジンおよびトリイソプロパノールアミンが好ましい。追加塩基は好適には比較的少量で、例えば、PAGに対して1〜20重量%、より典型的にはPAGに対して5〜15重量%で使用される。
【0052】
本発明に従って使用されるフォトレジストは一般的に公知の手順に従って調製される。例えば、本発明のレジストは、フォトレジストの成分を好適な溶媒に溶解することによりコーティング組成物として調製され得、好適な溶媒には、例えば、グリコールエーテル、例えば、2−メトキシエチルエーテル(ジグリム)、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタート;乳酸エステル、例えば、乳酸エチルまたは乳酸メチル、乳酸エチルが好ましい;プロピオン酸エステル、特にプロピオン酸メチル、プロピオン酸エチルおよびエチルエトキシプロピオナート;セロソルブエステル、例えば、メチルセロソルブアセタート;芳香族炭化水素、例えば、トルエンもしくはキシレン;またはケトン、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンおよび2−ヘプタノン:の1種以上が挙げられる。フォトレジストの所望の全固形分量は、組成物中の具体的なポリマー、最終層厚さおよび露光波長などの要因に依存する。典型的には、フォトレジストの固形分量は、フォトレジスト組成物の全重量を基準にして1〜10重量%、より典型的には2〜5重量%で変化する。
【0053】
本発明は、フォトレジストレリーフ像を形成する方法および本発明のフォトレジストを用いて電子デバイスを製造する方法をさらに提供する。本発明は、本発明のフォトレジスト組成物でコーティングされた基体を含む新規製造物品も提供する。本発明による方法は、以下に
図2A〜Cを参照して説明され、ネガティブトーン現像プロセスによってフォトリソグラフィパターンを形成するための例となるプロセスフローを示す。
【0054】
図2Aは様々な層および特徴を含むことができる基体100の断面を示す。基体は、半導体、例えばケイ素、または化合物半導体(例えば、III−VまたはII−VI)、ガラス、石英、セラミック、銅などの材料からなることができる。典型的には、基体は半導体ウェハ、例えば、単結晶シリコン、または化合物半導体ウェハであり、基体はその表面上に形成された1以上の層およびパターン形成された特徴を有していてもよい。パターン形成される1以上の層102が基体100上に設けられてもよい。場合によっては、例えば、基体材料にトレンチを形成することが望まれる場合には、下にあるベース基体材料自体がパターン形成されてよい。ベース基体材料自体をパターン形成する場合には、このパターンは基体の層に形成されると見なされるものとする。
【0055】
この層としては、例えば、1以上の導電層、例えば、アルミニウム、銅、モリブデン、タンタル、チタン、タングステン、このような金属の合金、窒化物もしくはケイ化物、ドープされた非晶質ケイ素、またはドープされたポリシリコン、1以上の誘電層、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、もしくは金属酸化物の層、半導体層、例えば、単結晶シリコン、並びにこれらの組み合わせが挙げられてもよい。エッチングされる層は様々な技術、例えば、化学蒸着(CVD)、例えば、プラズマ助長CVD、低圧CVDもしくはエピタキシャル成長;物理蒸着(PVD)、例えばスパッタリングもしくは蒸発;または電気めっきによって形成され得る。エッチングされる1以上の層102の具体的な厚みは、材料および形成される具体的なデバイスに応じて変化する。
【0056】
エッチングされる具体的な層、膜厚および使用されるフォトリソグラフィ材料およびプロセスに応じて、層102上に、ハードマスク層および/またはフォトレジスト層104がこの上にコーティングされるボトム反射防止コーティング(bottom antireflective coating;BARC)を配置することが望まれる場合がある。例えば、エッチングされる層がかなりのエッチング深さを必要とし、および/または具体的なエッチング剤がレジスト選択性に劣る非常に薄いレジスト層を使用する場合には、ハードマスク層の使用が望まれる場合がある。ハードマスク層が使用される場合には、形成されるレジストパターンはハードマスク層に写され得、これは次いで、下にある層102をエッチングするためのマスクとして使用され得る。好適なハードマスク材料および形成方法は当分野において公知である。典型的な材料としては、例えば、タングステン、チタン、窒化チタン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、非晶質炭素、酸窒化ケイ素および窒化ケイ素が挙げられる。ハードマスク層は単一層または異なる材料の複数の層を含むことができる。ハードマスク層は、例えば、化学または物理蒸着技術によって形成され得る。
【0057】
基体および/または下にある層が、フォトレジスト露光中に有意な量の入射放射線を反射し、その結果、形成されたパターンの品質が悪影響を受けるであろう場合には、ボトム反射防止コーティングが望まれる場合がある。このようなコーティングは焦点深度、露光寛容度、ライン幅均一性およびCD制御を向上させることができる。レジストが深紫外光(300nm以下)、例えば、KrFエキシマレーザー光(248nm)またはArFエキシマレーザー光(193nm)に露光される場合には、反射防止コーティングが典型的に使用される。反射防止コーティングは単一層または複数の異なる層を含むことができる。好適な反射防止材料および形成方法は当分野において公知である。反射防止材料は商業的に入手可能であり、例えば、ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズエルエルシー(米国、マサチューセッツ州、マルボロ)により、AR
(商標)40AおよびAR
(商標)124反射防止材料などのAR
(商標)で販売されているものがある。
【0058】
上記されるような本発明の組成物から形成されたフォトレジスト層104は、基体上に適用される。フォトレジスト組成物は、典型的には、スピンコーティングによって基体に適用される。スピンコーティング中に、フォトレジスト中の添加剤ポリマーは、形成されたレジスト層の上面に分離し、典型的には、上面直下の領域中のマトリックスポリマーとの混合を伴う。コーティング溶液の固形分量は、所望の膜厚を提供するために、使用される具体的なコーティング装置、溶液の粘度、コーティングツールの速度および回転の時間量に基づいて調節され得る。フォトレジスト層104の典型的な厚みは約500〜3000Åである。
【0059】
フォトレジスト層は、次いで、ソフトベークされ得、層内の溶媒含有量を最小限にすることができ、それにより、粘着性のない塗膜を形成し、この層の基体に対する接着性を向上させることができる。ソフトベークはホットプレート上でまたはオーブン内で行われ得、ホットプレートが典型的である。ソフトベーク温度および時間は、例えば、フォトレジストの具体的な材料および厚みに依存する。典型的なソフトベークは約90〜150℃の温度で、約30〜90秒の時間で行われる。
【0060】
フォトレジスト層104は次いで、フォトマスク110を通した活性化放射線108に露光されて、露光領域と未露光領域との間に溶解度の差を作り出す。本明細書における、組成物を活性化する放射線へのフォトレジスト組成物の露光についての言及は、その放射線がフォトレジスト組成物に潜像を形成することができることを意味する。フォトマスクは光学的に透明な領域112および光学的に不透明な領域114を有し、これらはそれぞれ、その後の現像工程において、レジスト層が残る領域およびレジスト層が除去される領域に対応する。露光波長は、典型的には、サブ(sub)400nm、サブ300nmまたはサブ200nmであり、248nm、193nmおよびEUV波長が典型的である。フォトレジスト材料は、電子線露光と共にさらに使用され得る。本方法は液浸またはドライ(非液浸)リソグラフィ技術における使用を見いだす。露光エネルギーは典型的には約10〜80mJ/cm
2であり、露光ツールおよび感光性組成物の成分に依存する。
【0061】
フォトレジスト層104の露光の後で、露光後ベーク(PEB)が行われる。PEBは、例えば、ホットプレート上でまたはオーブン内で行われ得る。PEBの条件は、例えば、具体的なフォトレジスト材料、および層厚みに応じて決定される。PEBは典型的には約80〜150℃の温度で、約30〜90秒の時間で行われる。極性が切り替えられた領域と切り替えられていない領域(それぞれ露光領域および未露光領域に対応する)との間の境界(点線)によって定められた潜像116は、
図2Bで示されるようにフォトレジスト内に形成される。添加剤ポリマーの塩基性部分は、それた光や散光光が存在する可能性があるフォトレジスト層の暗い領域での極性スイッチを防ぎ、結果として垂直壁を備えた潜像をもたらすと考えられる。これは、暗い領域中のPAGによって生成された酸の中和の結果である。その結果、それらの領域中の酸不安定基の切断は、実質的に防止され得る。
【0062】
露光したフォトレジスト層は次いで現像されてフォトレジスト層104の未露光領域を除去し、露光領域を残して、
図2Cに示されるような垂直サイドウォールを有するコンタクトホールパターン118を備えたオープンレジストパターン104’を形成する。現像剤は典型的には有機現像剤であり、例えば、ケトン、エステル、エーテル、炭化水素およびこれらの混合物から選択される溶媒である。好適なケトン溶媒には、例えば、アセトン、2−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、1−オクタノン、2−オクタノン、1−ノナノン、2−ノナノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、フェニルアセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトンが挙げられる。好適なエステル溶媒には、例えば、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオナート、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸ブチル、ギ酸プロピル、乳酸エチル、乳酸ブチルおよび乳酸プロピルが挙げられる。好適なエーテル溶媒には、例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、およびグリコールエーテル溶媒、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルおよびメトキシメチルブタノールが挙げられる。好適なアミド溶媒には、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、およびN,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。好適な炭化水素溶媒には、例えば、芳香族炭化水素溶媒、例えば、トルエンおよびキシレンが挙げられる。さらに、これらの溶媒の混合物、または上記以外の溶媒と混合された1種以上の示された溶媒、または水と混合された1種以上の示された溶媒が使用されてもよい。他の好適な溶媒には、フォトレジスト組成物に使用される溶媒が挙げられる。現像剤は、2−ヘプタノンまたは酢酸ブチル、例えば、n−酢酸ブチルであることが好ましい。
【0063】
有機溶媒の混合物は、現像剤、例えば、第1および第2の有機溶媒の混合物として使用することができる。第1の有機溶媒は、メチル−2−ヒドロキシイソブチラートおよび乳酸エチルなどのヒドロキシアルキルエステル;プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)などの線状または分岐のC
5〜C
6アルコキシアルキルアセテートから選択することができる。第1の有機溶媒のうち、2−ヘプタノンおよび5−メチル−2−ヘキサノンが好ましい。第2の有機溶媒は、n−酢酸ブチル、n−酢酸ペンチル、プロピオン酸n−ブチル、n−ヘキシルアセテート、n−ブチルブチラートおよびイソブチルブチラートなどの線状または分岐非置換のC
6〜C
8アルキルエステル;並びに、4−オクタノン、2,5−ジメチル−4−ヘキサノンおよび2,6−ジメチル−4−ヘプタノンなどの線状または分岐のC
8〜C
9ケトンから選択することができる。第2の有機溶媒のうち、n−酢酸ブチルおよびプロピオン酸n−ブチルおよび2,6−ジメチル−4−ヘプタノンが好ましい。第1および第2の有機溶媒の好ましい組み合わせとしては、2−ヘプタノン/プロピオン酸n−ブチル、シクロヘキサノン/プロピオン酸n−ブチル、PGMEA/プロピオン酸n−ブチル、5−メチル−2−ヘキサノン/プロピオン酸n−ブチル、2−ヘプタノン/2,6−ジメチル−4−ヘプタノンおよび2−ヘプタノン/n−ブチルアセテートが挙げられる。これらのうち、2−ヘプタノン/n−ブチルアセテートおよび2−ヘプタノン/プロピオン酸n−ブチルは特に好ましい。
【0064】
有機溶媒は、現像剤の全重量を基準にして、典型的には90重量%〜100重量%の総量で、より典型的には95重量%より多く、98重量%より多く、99重量%より多く、または100重量%で現像剤中に存在する。
【0065】
現像剤材料は、フォトレジストに関して上述したような界面活性剤など任意の添加剤を含んでいてもよい。このような任意の添加剤は、典型的には少量で、例えば、現像剤の全重量を基準にして約0.01〜5重量%の量で存在する。
【0066】
現像剤は、典型的には、スピンコーティングで基体に適用される。現像時間はフォトレジストの未露光領域を除去するのに有効な期間であり、5〜30秒の時間が典型的である。現像は典型的には室温で行われる。現像プロセスは現像の後にクリーニングすすぎを使用することなく行われ得る。これに関して、現像プロセスが、このような追加のすすぎ工程を不要にする残留物非含有水面を生じさせることができることが見いだされた。
【0067】
レジストパターン104’をエッチングマスクとして用いて、存在する場合には、BARC層が選択的にエッチングされて、下にあるハードマスク層を露出させる。ハードマスク層は、次いで、レジストパターン104’を再びエッチングマスクとして使用して、選択的にエッチングされて、結果として、パターン形成されたBARCおよびハードマスク層を生じさせる。BARC層およびハードマスク層をエッチングするのに好適なエッチング技術および化学物質は、当分野において知られており、例えば、これらの層の具体的な物質に依存する。反応性イオンエッチングのようなドライエッチングプロセスが典型的である。レジストパターン104’およびパターン形成されたBARC層は、次いで、既知の技術、例えば、酸素プラズマアッシングを用いて、基体から除去される。
【0068】
ハードマスクパターンをエッチングマスクとして使用して、1以上の層102が選択的にエッチングされる。下にある層102をエッチングするのに好適なエッチング技術および化学物質は当分野において知られており、反応性イオンエッチングのようなドライエッチングプロセスが典型的である。パターン形成されたハードマスク層は、次いで、公知の技術、例えば、反応性イオンエッチングのようなドライエッチングプロセスを用いて、基体表面から除去され得る。得られる構造はエッチングされた特徴のパターンである。別の典型的な方法においては、ハードマスク層を使用することなく、レジストパターン104’を用いて直接に、層102をパターン形成することが望ましい場合がある。直接パターニングが使用され得るかどうかは、関連する物質、レジスト選択性、レジストパターン厚みおよびパターン寸法などの要因に依存するであろう。
【実施例】
【0069】
マトリックスポリマー(MP)合成
以下のフォトレジストポリマー(PP)の合成に以下のモノマーが使用された:
【化76】
【0070】
実施例1:ポリ(ECPMA/MCPMA/MNLMA/HADA)(MP−1)の合成
ECPMA(5.092g)、MCPMA(10.967g)、MNLMA(15.661g)およびHADA(8.280g)のモノマーを60gのプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)に溶解させた。モノマー溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器および機械式撹拌装置を備えた500mLの三つ口フラスコにPGMEA(27.335g)を入れ、窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。続いて、反応フラスコ中の溶媒を80℃の温度にした。V601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチラート)(0.858g)を8gのPGMEAに溶解し、開始剤溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。開始剤溶液を反応フラスコに添加し、次いで、モノマー溶液を十分な撹拌および窒素環境下で3時間滴下して反応器に供給した。モノマー供給が完了した後、重合混合物をさらに1時間80℃で撹拌した。合計4時間の重合時間(3時間の供給および1時間の供給後の撹拌)後、重合混合物を室温に冷却した。メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)(1634g)中で沈殿が行われた。沈殿された粉末をろ過して収集し、一晩風乾し、120gのTHFに再溶解し、MTBE(1634g)に再沈殿した。最終ポリマーをろ過し、一晩風乾し、さらに60℃で48時間真空下で乾燥して、31.0gのポリ(ECPMA/MCPMA/MNLMA/HADA)(15/35/30/20)共重合体(MP−1)(Mw=20,120およびMw/Mn=1.59)を得た。
【0071】
実施例2:ポリ(MCPMA/OTDA/HADA)(MP−2)の合成
MCPMA(17.233g)、OTDA(13.695g)、およびHADA(9.108g)のモノマーを60gのPGMEAに溶解させた。モノマー溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器および機械式撹拌装置を備えた500mLの三つ口フラスコにPGMEA(30.837g)を入れ、窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。続いて、反応フラスコ中の溶媒を80℃の温度にした。V601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチラート(2.359g)を8gのPGMEAに溶解し、開始剤溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。開始剤溶液を反応フラスコに添加し、次いで、モノマー溶液を十分な撹拌および窒素環境下で3時間滴下して反応器に供給した。モノマー供給が完了した後、重合混合物をさらに1時間80℃で撹拌した。合計4時間の重合時間(3時間の供給および1時間の供給後の撹拌)後、重合混合物を室温に冷却した。MTBE(1694g)中で沈殿が行われた。沈殿された粉末をろ過して収集し、一晩風乾し、120gのTHFに再溶解し、MTBE(1694g)に再沈殿した。最終ポリマーをろ過し、一晩風乾し、さらに60℃で48時間真空下で乾燥して、28.535gのポリ(MCPMA/OTDA/HADA)(50/30/20)共重合体(MP−2)(Mw=13,474およびMw/Mn=1.64)を得た。
【0072】
実施例3:ポリ(MCPMA/OTDA)(MP−3)の合成
MCPMA(17.234g)およびOTDA(22.766g)のモノマーを60gのPGMEAに溶解させた。モノマー溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器および機械式撹拌装置を備えた500mLの三つ口フラスコにPGMEA(30.837g)を入れ、窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。続いて、反応フラスコ中の溶媒を80℃の温度にした。V601(ジメチル−2,2−アゾジイソブチラート)(2.359g)を8gのPGMEAに溶解し、開始剤溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。開始剤溶液を反応フラスコに添加し、次いで、モノマー溶液を十分な撹拌および窒素環境下で3時間滴下して反応器に供給した。モノマー供給が完了した後、重合混合物をさらに1時間80℃で撹拌した。合計4時間の重合時間(3時間の供給および1時間の供給後の撹拌)後、重合混合物を室温に冷却した。MTBE(1694g)中で沈殿が行われた。沈殿された粉末をろ過して収集し、一晩風乾し、120gのTHFに再溶解し、MTBE(1694g)に再沈殿した、最終ポリマーをろ過し、一晩風乾し、さらに60℃で48時間真空下で乾燥して、33.058gのポリ(MCPMA/OTDA)(50/50)共重合体(MP−3)(Mw=13,109およびMw/Mn=1.80)を得た。
【0073】
添加剤ポリマー(AP)合成
以下の添加剤ポリマー(AP)の合成に以下のモノマーが使用された:
【化77】
塩基性部分含有モノマーについての水中のpKa値は以下の通りである:TBAEMA=8.99±0.1;DEAEMA=9.18±0.25;DMAEMA=8.18±0.28およびDMAPMA=9.39±0.28。
【0074】
実施例4:ポリ(iBMA/nBMA)(75/25)(AP−1)の合成
30gのiBMAおよび10gのnBMAのモノマーを60gのPGMEAに溶解させた。モノマー溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器および機械式撹拌装置を備えた500mLの三つ口フラスコにPGMEA(32.890g)を入れ、窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。続いて、反応フラスコ中の溶媒を80℃の温度にした。V601(3.239g)を8gのPGMEAに溶解し、開始剤溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。開始剤溶液を反応フラスコに添加し、次いで、モノマー溶液を十分な撹拌および窒素環境下で3時間滴下して反応器に供給した。モノマー供給が完了した後、重合混合物をさらに1時間80℃で撹拌した。合計4時間の重合時間(3時間の供給および1時間の供給後の撹拌)後、重合混合物を室温に冷却した。メタノール/水(8/2)混合物(1730g)中で沈殿が行われた。沈殿されたポリマーをろ過して収集し、一晩風乾し、120gのTHFに再溶解し、メタノール/水(8/2)混合物(1730g)に再沈殿した。最終ポリマーをろ過し、一晩風乾し、さらに25℃で48時間真空下で乾燥して、33.1gのポリ(iBMA/nBMA)(75/25)共重合体(AP−1)(Mw=9,203およびMw/Mn=1.60)を得た。
【0075】
実施例5:ポリ(iBMA/TBAEMA)(95/5)(AP−2)の合成
37.433gのiBMAおよび2.567gのTBAEMAのモノマーを60gのPGMEAに溶解させた。モノマー溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。凝縮器および機械式撹拌装置を備えた500mLの三つ口フラスコにPGMEA(28.311g)を入れ、窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。続いて、反応フラスコ中の溶媒を80℃の温度にした。V601(1.276g)を8gのPGMEAに溶解し、開始剤溶液を窒素での20分間のバブリングによって脱ガスした。開始剤溶液を反応フラスコに添加し、次いで、モノマー溶液を十分な撹拌および窒素環境下で3時間滴下して反応器に供給した。モノマー供給が完了した後、重合混合物をさらに1時間80℃で撹拌した。合計4時間の重合時間(3時間の供給および1時間の供給後の撹拌)後、重合混合物を室温に冷却した。メタノール/水(8/2)混合物(1651g)中で沈殿が行われた。沈殿されたポリマーをろ過して収集し、一晩風乾し、120gのTHFに再溶解し、メタノール/水(8/2)混合物(1651g)に再沈殿した。最終ポリマーをろ過し、一晩風乾し、さらに25℃で48時間真空下で乾燥して、28.3gのポリ(iBMA/TBAEMA)(95/5)共重合体(AP−2)を得た。
【0076】
追加の添加剤ポリマー
追加の塩基性部分含有添加剤ポリマーを上記説明した手順を使用して合成した。AP−1およびAP−2に関するものを含む結果を表1にまとめる。
【0077】
【表1】
*重合におけるモル供給比率
**モノマーに対するモル割合
NA=入手せず
【0078】
マトリックスポリマー(MP)および添加剤ポリマー(AP)の特性評価
マトリックスポリマーおよび添加剤ポリマーを固形分を基準にして10重量%の量でPGMEAに溶解し、0.2ミクロンの孔サイズを有するテフロン(登録商標)フィルターを通してろ過された。ろ過された溶液を200mmの裸のシリコンウェハ上に覆い、60秒間120℃でソフトベークして4000Å以下のフィルム厚さを得た。液浸リソグラフィにおける添加剤ポリマーの使用は、一般的に、70°より高い水後退接触角を必要とし、ウォーターマーク欠陥を引き起こすことのない露光システムの高い走査速度を可能とする。
【0079】
DI水、ジエチレングリコールおよびジヨードメタンに対して静的接触角(SCA)、後退接触角(RCA)、前進接触角(ACA)および転落角(SA)が各サンプルについて測定された。静的および動的接触角はKRUSS(クルス)ドロップシェイプ分析装置モデル100を用いて測定された。動的接触角測定のために、DI水の液滴サイズは50μl(マイクロリットル)であり、およびウェハステージ傾斜速度は1ユニット/秒であった。水滴が試験ウェハ表面に配置された後で、ウェハステージは直ちに傾斜を開始した。ウェハステージが傾斜している際に、液滴がその元の位置から滑り落ちるまで、液滴のビデオが20フレーム/秒の速度で撮られた。次いで、ビデオの各フレームが分析され、液滴がちょうど滑り始めるときのフレーム上の液滴の像が、その対応する接線によって、動的接触角(後退および前進)を決定するために使用された。転落(sliding)角は液滴がちょうど滑り始めたときのフレームに対応するウェハステージ傾斜角である。静的接触角測定においては、水滴は2.5μlであり、かつ傾斜していない試験ウェハ表面上に配置された。接触角は液滴の両側の接線によって決定された。報告される静的接触角は液滴の左および右側からの接触角の平均であった。表面エネルギーが拡張Fowkesの理論を使用して水、ジヨードメタンおよびジエチレングリコールの静的接触角に基づいて算出された。結果は表2に示される。
【0080】
【表2】
NA=未測定
【0081】
実施例12(比較):フォトレジスト組成物1(PC−1)
配合物における添加剤としてポリ(iBMA/nBMA)(75/25)(AP−1)を使用してPC−1が調製された。1.063gのPP−1を19.360gのPGMEAおよび19.360gのメチル−2−ヒドロキシイソブチラートに溶解した。この混合物に、0.179gの以下に説明する「PAG A」、0.012gの1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジンクエンチャーおよび0.026gのAP1を添加した。得られた混合物は機械ローラー上で3時間ロールされ、次いで0.2ミクロンの孔サイズを有するテフロン(登録商標)フィルターを通してろ過された。
【化78】
【0082】
実施例13:フォトレジスト組成物2(PC−2)
配合物における添加剤としてポリ(iBMA/TBAEMA)(95/5)(AP−2)を使用してPC−2が調製された。1.063gのPP−1を19.360gのPGMEAおよび19.360gのメチル−2−ヒドロキシイソブチラートに溶解した。この混合物に、0.179gの上に説明する「PAG A」、0.012gの1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジンクエンチャーおよび0.026gのAP2を添加した。得られた混合物は機械ローラー上で3時間ロールされ、次いで0.2ミクロンの孔サイズを有するテフロン(登録商標)フィルターを通してろ過された。
【0083】
実施例14(比較):フォトレジスト組成物3(PC−3)
配合物における添加剤としてポリ(iBMA/nBMA)(75/25)(AP−1)を使用してPC−3が調製された。1.063gのPP−2を19.360gのPGMEAおよび19.360gのメチル−2−ヒドロキシイソブチラートに溶解した。この混合物に、0.179gの上に説明する「PAG A」、0.012gの1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジンクエンチャーおよび0.026gのAP1を添加した。得られた混合物は機械ローラー上で3時間ロールされ、次いで0.2ミクロンの孔サイズを有するテフロン(登録商標)フィルターを通してろ過された。
【0084】
実施例15:フォトレジスト組成物4(PC−4)
配合物における添加剤としてポリ(iBMA/TBAEMA)(95/5)(AP−2)を使用してPC−4が調製された。1.063gのPP−2を19.360gのPGMEAおよび19.360gのメチル−2−ヒドロキシイソブチラートに溶解した。この混合物に、0.179gの上に説明する「PAG A」、0.012gの1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジンクエンチャーおよび0.026gのAP2を添加した。得られた混合物は機械ローラー上で3時間ロールされ、次いで0.2ミクロンの孔サイズを有するテフロン(登録商標)フィルターを通してろ過された。
【0085】
実施例16(比較):フォトレジスト組成物5(PC−5)
配合物における添加剤としてポリ(iBMA/nBMA)(75/25)(AP−1)を使用してPC−5が調製された。1.063gのPP−3を19.360gのPGMEAおよび19.360gのメチル−2−ヒドロキシイソブチラートに溶解した。この混合物に、0.179gの上に説明する「PAG A」、0.012gの1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジンクエンチャーおよび0.026gのAP1を添加した。得られた混合物は機械ローラー上で3時間ロールされ、次いで0.2ミクロンの孔サイズを有するテフロン(登録商標)フィルターを通してろ過された。
【0086】
実施例17:フォトレジスト組成物6(PC−6)
配合物における添加剤としてポリ(iBMA/TBAEMA)(95/5)(AP−2)を使用してPC−6が調製された。1.063gのPP−3を19.360gのPGMEAおよび19.360gのメチル−2−ヒドロキシイソブチラートに溶解した。この混合物に、0.179gの上に説明する「PAG A」、0.012gの1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジンクエンチャーおよび0.026gのAP2を添加した。得られた混合物は機械ローラー上で3時間ロールされ、次いで0.2ミクロンの孔サイズを有するテフロン(登録商標)フィルターを通してろ過された。
【0087】
実施例18〜23:リソグラフィ処理
TEL CLEAN TRACK LITHIUS i+コーター/デベロッパーにおいて、300mmシリコンウェハがAR
(商標)40A反射防止剤(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)でスピンコートされ、840Åの第1のBARC層を形成した。このウェハは60秒間215℃でベークされ、200Åの上部BARC膜を生じさせた。次いで、AR
(商標)124反射防止剤(ロームアンドハースエレクトロニックマテリアルズ)を使用して、第1のBARC上に第2のBARC層がコーティングされ、そして205℃で60秒間ベークされて、200Åの上部BARC層を生じさせた。次いで、TEL CLEAN TRACK LITHIUS i+コーター/デベロッパーにおいて、この二重BARCコートしたウェハ上にフォトレジスト組成物がコーティングされ、90℃で60秒間ソフトベークされて、900Å以下の厚みを有するレジスト層を提供した。
【0088】
ウェハは、1.35NA、0.9アウターシグマ、0.7インナーシグマの環式照明条件を用いて、ASML TWINSCAN XT:1900i液浸スキャナにおいて、マスクを通して露光された。露光されたウェハは、90℃で60秒間露光後ベークされ、次いで、TEL CLEAN TRACK
(商標)LITHIUS
(商標)i+コーター/デベロッパーにおいて、n−ブチルアセテート(NBA)現像剤を使用して25秒間現像されて、ネガティブトーンパターンを生じさせた。日立CG4000CD SEMにおいて測定されたCD値をプロットすることにより、45nmホールをプリントするための最適エネルギー(E
op)が、60nm(マスク上の不透明ポストの直径)でマスクCDおよび90nm(マスクCD+不透明ポスト間の距離)でピッチCDを使用する露光エネルギーの関数として、単一露光NTDプロセスについて決定された。フォトレジストの露光寛容度(EL)が決定された。ELは、下記式による目標CD(CD
t)の±10%以内の露光エネルギー(mJ/cm
2)あたりのCD変化(ΔCD)によって定義される:
【0089】
【数1】
【0090】
45nmのホールの局部CD均一性(CDU)が240CD値の3σとして測定された。各ウェハについて、20の画像がダイあたり撮られ、画像当たり12のコンタクトホール測定が250Kでとられた。結果を表3に示す。
【0091】
【表3】
【0092】
表3で観察されるように、塩基性部分含有添加剤ポリマーがフォトレジスト配合物に含まれる場合に、喪失した(閉じた)コンタクトホールの存在は観察されなかったが、それらの発生は、塩基性部分含有添加剤ポリマーを使用しない比較の組成物について観察された。それは、添加剤ポリマーの塩基性部分は、そうでなければ喪失したコンタクトホールをもたらす可能性があるレジスト層の表面領域中の過度の酸の拡散を有効に中和することができると考えられる。さらに、塩基性部分含有添加剤ポリマーを含むフォトレジスト組成物は、E
opの減少および改良されたCDUを示した。
【0093】
実施例24〜32
表4に記載されたフォトレジスト組成物を使用する以外、実施例18〜23で上記説明するようにリソグラフィ処理が行われる。これらの実施例について、以下の追加のマトリックスポリマーおよびPAGが使用される。
【0094】
【化79】
【化80】
【化81】
【化82】
【化83】
【化84】
【0095】
【表4】
【0096】
PGMEA=プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテー;
GBL=ガンマブチロラクトン;
CHO=シクロヘキサノン;
HBM=2−ヒドロキシイソ酪酸メチルエステル;
DDEA=ドデシルジエタノールアミン;
tBOC−4HP=1−(tert−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン