特許第6254402号(P6254402)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6254402
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】流量制御弁
(51)【国際特許分類】
   F16K 11/07 20060101AFI20171218BHJP
   F16K 11/087 20060101ALI20171218BHJP
   F16K 5/06 20060101ALI20171218BHJP
   F16K 31/04 20060101ALI20171218BHJP
【FI】
   F16K11/07 K
   F16K11/087 Z
   F16K5/06 Z
   F16K31/04 K
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-193853(P2013-193853)
(22)【出願日】2013年9月19日
(65)【公開番号】特開2015-59615(P2015-59615A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年3月3日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立オートモティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(72)【発明者】
【氏名】村上 信吾
【審査官】 鈴木 貴雄
(56)【参考文献】
【文献】 特表2005−510668(JP,A)
【文献】 実公昭50−043236(JP,Y1)
【文献】 特開2006−138347(JP,A)
【文献】 実開昭60−108873(JP,U)
【文献】 特開昭54−085427(JP,A)
【文献】 実公昭50−016250(JP,Y1)
【文献】 実開昭57−028959(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0238159(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/148126(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 5/04 − 5/06
F16K 11/07
F16K 11/087
F16K 31/04
F01P 7/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断面ほぼ円形の弁体収容部に設けられ、流体の導入又は排出に供する主連通口と、前記弁体収容部と径方向から連通して当該弁体収容部内の流体の導入又は排出に供する第1〜第3連通口とを有するハウジングと、
前記ハウジング内に回転自在に支持され、その回転位置に応じて前記第1〜第3連通口との重合状態が変化する第1〜第3開口部を有するほぼ筒状の弁体と、
前記弁体の回転位置を制御するアクチュエータと、
前記弁体の回転角度を規制する規制手段と、
を備え、
前記第1開口部及び第2開口部が、前記弁体の外周面において軸方向に並列配置され、
前記第3開口部が、前記第1開口部又は第2開口部に対し前記弁体の外周上において異なる周方向位置であって少なくとも一部が軸方向に重合するように設けられ
前記弁体は、前記第1〜第3開口部の周域が球面状に形成され、
前記第1〜第3開口部の各球面状の部分は、前記弁体において異なる軸方向位置に曲率中心を有する第1〜第3曲面によって構成され、
前記規制手段は、前記第1〜第3曲面のいずれかの周方向端部と、前記ハウジングに設けられ、前記第1〜第3曲面のいずれかの周方向端部と当接する凸状の規制部と、によって構成されることを特徴とする流量制御弁。
【請求項2】
横断面ほぼ円形の弁体収容部内に冷却水を導入する導入口と、外部から接続される各配管と連通して前記弁体収容部内の冷却水の吐出に供する第1〜第3吐出口とを有するハウジングと、
前記ハウジング内に回転自在に支持され、その回転位置に応じて前記第1〜第3吐出口との重合状態が変化する第1〜第3開口部を有するほぼ筒状の弁体と、
前記弁体の回転位置を制御するアクチュエータと、
前記弁体の回転範囲を規制する規制手段と、
を備え、
前記第1開口部及び第2開口部が、前記弁体の外周面において軸方向に並列配置され、
前記第3開口部が、前記第1開口部又は第2開口部に対し前記弁体の外周上において異なる周方向位置であって少なくとも一部が軸方向に重合するように設けられ
前記弁体は、前記第1〜第3開口部の周域が球面状に形成され、
前記第1〜第3開口部の各球面状の部分は、前記弁体において異なる軸方向位置に曲率中心を有する第1〜第3曲面によって構成され、
前記規制手段は、前記第1〜第3曲面のいずれかの周方向端部と、前記ハウジングに設けられ、前記第1〜第3曲面のいずれかの周方向端部と当接する凸状の規制部と、によって構成されることを特徴とする流量制御弁。
【請求項3】
前記第1〜第3連通口又は前記第1〜第3吐出口にそれぞれ設けられ、前記第1〜第3連通口又は前記第1〜第3吐出口と前記第1〜第3曲面との間をシールするシール部材をさらに備え、
前記シール部材は、前記第1〜第3曲面のいずれかの周方向端部と前記規制部とが当接したとき、前記第1〜第3曲面の周方向端部とは接触しないように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の流量制御弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車用冷却水の流量制御に供する流量制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車用冷却水の流量制御に適用される従来の流量制御弁としては、例えば以下の特許文献1に記載されたようなものが知られている。
【0003】
すなわち、この流量制御弁は、ラジエータに接続される第1排出口と暖房熱交換器に接続される第2排出口とオイルクーラに接続される第3排出口とが軸方向に沿って並列に設けられた円筒状のハウジングと、該ハウジング内に回転自在に支持され、その回転位置(位相)に応じて前記各排出口との重合状態が変化する第1〜第3開口部を有する筒状の弁体と、から構成され、電動モータにより車両運転状態に応じて前記弁体の回転位置が制御されることで、冷却水の分配先及び流量を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2010−507762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の流量制御弁では、前記各排出口が軸方向に並列に配置された構成となっているため、弁全体の大型化を招来してしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、かかる技術的課題に鑑みて案出されたもので、弁全体の小型化を図り得る流量制御弁を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、横断面ほぼ円形の弁体収容部に設けられ、流体の導入又は排出に供する主連通口と、前記弁体収容部と径方向から連通して当該弁体収容部内の流体の導入又は排出に供する第1〜第3連通口とを有するハウジングと、前記ハウジング内に回転自在に支持され、その回転位置に応じて前記第1〜第3連通口との重合状態が変化する第1〜第3開口部を有するほぼ筒状の弁体と、前記弁体の回転位置を制御するアクチュエータと、前記弁体の回転角度を規制する規制手段と、を備え、前記第1開口部及び第2開口部が、前記弁体の外周面において軸方向に並列配置され、前記第3開口部が、前記第1開口部又は第2開口部に対し前記弁体の外周上において異なる周方向位置であって少なくとも一部が軸方向に重合するように設けられたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1、第2連通口(第1、第2開口部)と第3連通口(第3開口部)とが軸方向において重合するように構成されていることで、弁の軸方向の小型化を図ることができる。
【0009】
また、本発明では、弁体の回転角度を規制することで、弁体の回転位置制御に係る適切な基準の決定が可能となる結果、当該基準を基に弁体の良好な回転位置制御を行えるメリットもある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る流量制御弁の第1実施形態を表した自動車用冷却水の循環系のシステム構成図である。
図2】本発明に係る流量制御弁の分解斜視図である。
図3図2に示す流量制御弁の正面図である。
図4図3のA−A線断面図である。
図5図3のB−B線断面図である。
図6図2に示すフェールセーフ装置の縦断面図である。
図7図2に示す弁体単体を表した斜視図であって、(a)〜(c)はそれぞれ別の視点から見た状態を示す図である。
図8】本発明に係る流量制御弁の作動状態の説明する図であって、(a)は第2排出口のみが連通した状態、(b)は全ての排出口が非連通となる状態、(c)は第1排出口のみが連通した状態、(d)は第1、第2排出口が連通した状態、(e)は全ての排出口が連通した状態を示す弁体収容部の展開図である。
図9】本発明に係る流量制御弁の第2実施形態を表した図4に相当する縦断面図である。
図10図9に示す弁体の斜視図である。
図11】本発明に係る流量制御弁の第3実施形態を表した図4に相当する縦断面図である。
図12図11に示す弁体の斜視図である。
図13】本発明に係る流量制御弁の第4実施形態を表した図4の要部拡大図に相当する断面図である。
図14図13のC−C線断面図である。
図15】本発明に係る流量制御弁の他例を現した図2に相当する分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る流量制御弁の各実施形態を図面に基づき説明する。なお、下記各実施形態では、本発明に係る流量制御弁を従来と同様の自動車用冷却水(以下、単に「冷却水」と略称する。)の循環系に適用したものを例に説明する。
〔第1実施形態〕
図1図8は本発明に係る流量制御弁の第1実施形態を示し、この流量制御弁CVは、図1に示すように、エンジンEGのシリンダヘッドCHの側部に配設され、ウォータポンプWPによって加圧され前記シリンダヘッドCH内を通流した冷却水を、第1〜第3配管L11〜L13を介して暖房熱交換器HT、オイルクーラOC及びラジエータRD側へとそれぞれ分配すると共に、その各流量を制御するものであって、図2図4に示すように、前記シリンダヘッドCHへの反取付側となる一端側に幅方向へと延出する横断面長円状の減速機構収容部14が形成され、該減速機構収容部14の幅方向一端側に偏倚するかたちでその内側面にほぼ円筒状の弁体収容部13が接続されてなるハウジング1と、前記弁体収容部13と前記減速機構収容部14の間に挿通配置され、前記両部13,14間に配設された軸受6によって回転自在に支持された回転軸2と、該回転軸2の一端部に一体回転可能に取付固定され、前記弁体収容部13内において回転自在に収容されたほぼ円筒状の弁体3と、前記弁体収容部13に対して並列に、かつ、その出力軸4bが前記減速機構収容部14の幅方向他端側の内部へと臨むようなかたちで当該減速機構収容部14の内側面に取付固定され、前記弁体3を駆動する電動モータ4と、該電動モータ4の出力軸4bと前記回転軸2との間に介装され、電動モータ4の出力軸4bの回転速度を減速して回転軸2へと伝達する減速機構5と、から主として構成されている。
【0012】
前記ハウジング1は、アルミニウム合金材料により鋳造されてなるもので、主として前記弁体収容部13を構成する第1ハウジング11と、主として前記減速機構収容部14を構成する第2ハウジング12と、から構成され、当該両ハウジング11,12がその外周縁部に嵌着されるコ字形状の複数のクリップ7によって挟持固定されている。
【0013】
前記第1ハウジング11は、その一端側に、前記シリンダヘッドCH内と連通して当該シリンダヘッドCH内から冷却水を導入する主連通口である導入口10が開口形成され、その外周域に設けられる第1フランジ部11aを介して前記シリンダヘッドCHに取付固定される。また、この第1ハウジング11の他端側は、前記減速機構収容部14を隔成する端壁11bによって閉塞されると共に、当該端壁11bと一体に構成される第2フランジ部11cを介して前記第2ハウジング12と接合される。なお、前記端壁11bのうち幅方向一端側の領域には、前記回転軸2を挿通支持する軸挿通孔11dが貫通形成され、他端側の領域には、前記電動モータ4の内端部(出力軸4b側の端部)が嵌挿保持されるモータ嵌挿孔11eが貫通形成されている。
【0014】
前記弁体収容部13は、図1図5に示すように、その外周部に、それぞれ異なった所定の内径に設定され、前記第1〜第3配管L11〜L13との接続に供するほぼ円筒状の第1〜第3連通口である第1〜第3排出口E1〜E3が径方向に沿って突出形成されている。すなわち、前記暖房熱交換器HTと連通する中径状の第1排出口(第1吐出口)E1と、前記オイルクーラOCと連通する小径状の第2排出口(第2吐出口)E2と、が弁体収容部13の軸方向に沿って並列に隣設され、前記第1排出口E1が端壁11b側、前記第2排出口E2が導入口10側に、それぞれ偏倚して設けられている。一方で、前記ラジエータRDと連通する大径状の第3排出口(第3吐出口)E3は、前記第1、第2排出口E1,E2とは異なる周方向位置であって、軸方向において当該第1、第2排出口E1,E2と重合するように設けられている。
【0015】
前記第1〜第3排出口E1〜E3には、それぞれ各基端側に円筒状の第1〜第3シール保持部材H1〜H3が嵌着されると共に、該第1〜第3シール保持部材H1〜H3の前記弁体3との対向端部に、当該各排出口E1〜E3と弁体3の外周面(後述の第1〜第3軸方向領域X1〜X3)との間を液密にシールする円環状の第1〜第3シール部材S1〜S3が、弁体3の外周面と摺接可能に配設されている。具体的には、前記各シール保持部材H1〜H3の前記弁体3との対向端部の内周縁に切欠形成された第1〜第3シール保持部H1a〜H3a内に前記各シール部材S1〜S3が嵌挿され、該各シール部材S1〜S3が嵌挿された前記各シール保持部材H1〜H3が、前記各排出口E1〜E3の基端部にそれぞれ段差縮径状に設けられた第1〜第3シール取付部E1a〜E3aの内周面に圧入固定されている。
【0016】
また、前記第1〜第3排出口E1〜E3の先端側には、前記図示外の各配管との接続に供する円筒状の第1〜第3アダプタA1〜A3を収容保持する第1〜第3アダプタ保持部E1b〜E3bが設けられ、前記各シール取付部E1a〜E3aの段部にそれぞれ突き当てるかたちで当該各アダプタ保持部E1b〜E3b内へと嵌挿されることにより、前記各アダプタA1〜A3が当該各アダプタ保持部E1b〜E3bの内周面に圧入固定されている。
【0017】
なお、前記第1〜第3アダプタA1〜A3は、いずれも同形状に形成されてなるもので、前記各アダプタ保持部E1b〜E3b内に圧入固定される第1〜第3被保持部A1a〜A3aと、前記第1〜第3配管L11〜L13の取付固定に供する第1〜第3配管取付部A1b〜A3bと、から構成されている。かかる構成に基づき、前記各配管L11〜L13は、ゴム材料等からなる可撓性を有するもので、いずれも前記各配管取付部A1a〜A3aに外嵌された状態で各外周面に巻回される図示外のバンド部材によって締結される。
【0018】
また、前記第1ハウジング11における第3排出口E3の側部には、電気系の失陥時など弁体3を駆動できない非常時に弁体収容部13と第3排出口E3とを連通可能にするフェールセーフ装置20が設けられ(図1参照)、当該弁体3の不動状態であっても、ラジエータRDに対しては冷却水の供給を確保することで、エンジンEGのオーバーヒートを防ぐことが可能となっている。このフェールセーフ装置20は、図1図6に示すように、主としてサーモエレメント21、弁プレート部材22、コイルスプリング23及びプラグ24により構成されてなるもので、周知のワックス・ペレット型などのサーモスタットと同様の原理で作動するものである。
【0019】
具体的には、第1ハウジング11における第3排出口E3の側部に、外端側となる一端側が外部に開口し、他端側に弁体収容部13と連通する流入孔15aが貫通形成された円筒状のバルブ収容部15が隣設されると共に、該バルブ収容部15の側部に、前記第3排出口E3と連通する流出孔15bが貫通形成されている。前記バルブ収容部15の一端側開口部は前記プラグ24によって閉塞され、当該バルブ収容部15の他端側には、前記流出孔15bよりも内端側の軸方向位置に、段差状に縮径形成されたサーモ収容部15cが設けられていて、該サーモ収容部15c内に、前記サーモエレメント21が収容配置されている。そして、前記サーモ収容部15cの流出孔15b側の開口を閉塞するように前記弁プレート部材22が配置されると共に、この弁プレート部材22とプラグ24との間にコイルスプリング23が弾装され、所定温度を超えると前記サーモエレメント21内部に充填されたワックスが膨張することによってロッド21aが突出作動し、これによって弁プレート部材22がコイルスプリング23の付勢力に抗して押し退けられることで、前記流入孔15aと流出孔15bとが連通するようになっている。なお、かかる温度上昇のほか、冷却水の圧力が所定圧力を超えた場合にも、弁プレート部材22がコイルスプリング23の付勢力に抗して押し退けられることにより、前記流入孔15aと流出孔15bとが連通するようになっている。
【0020】
前記第2ハウジング12は、図2図4に示すように、前記第1ハウジング11と対向する一端側が開口する横断面コ字状に形成されてなるもので、この開口部が前記第2フランジ部11cの外周縁に立設された凸部と嵌合することによって第1ハウジング11と接続され、前記減速機構収容部14が構成されるようになっている。なお、前記両ハウジング11,12の接合に際しては、前記第1ハウジング11の凸部と前記第2ハウジング12の開口部との間に環状のシール部材SLが介装されることによって、減速機構収容部14内が液密に保持される構成となっている。
【0021】
前記回転軸2は、その軸方向中間部に設けられる軸受部2aを介して前記軸挿通孔11d内に収容配置される前記軸受6によって回転自在に支持される。また、この回転軸2の一端部は、前記軸受部2aとほぼ同径に設定されて前記弁体3の取付固定に供する弁体取付部2bとして構成されると共に、他端部が、前記軸受部2aに対し比較的小径に形成されて前記減速機構5のうち後述する第3ギヤG3の取付固定に供するギヤ取付部2cとして構成されている。さらに、前記軸受部2aと前記弁体取付部2bの間は、段差状に拡径した大径状のシール部2dとして構成され、このシール部2dの外周には1対の第1、第2シールリングR1,R2が直列に配設され、これら両シールリングR1,R2によって、弁体収容部13内の冷却水の減速機構収容部14内への流入が抑止されている。
【0022】
ここで、前記各シールリングR1,R2については、それぞれ各外周面にいわゆるフッ素樹脂加工など、摩擦抵抗(摺動抵抗)を低減する低摩擦処理が施されていることが望ましい。これにより、前記回転軸2の摺動抵抗の低減化が図れ、電動モータ4の消費電力を低減に供される。
【0023】
なお、前記シール部2dにおける前記両シールリングR1,R1間は、第1ハウジング11の軸挿通孔11dに対し径方向に貫通形成されたドレン孔11fに臨む構成となっていて、このドレン孔11fによって、弁体収容部13側から第1シールリングR1によるシール部を超えて前記両シールリングR1,R2間に漏出した冷却水が外部へと排出可能となっている。
【0024】
前記弁体3は、図2図4及び図7に示すように、その軸方向一端が、前記第1ハウジング11の導入口10からの冷却水をその内周側空間内に取り込む流入口3aとして開口形成され、他端が端壁3bにより閉塞されている。そして、この弁体3の軸心に相当する端壁3bの中央部には、前記回転軸2への取付に供する筒状の軸固定部3cが軸方向に沿って貫通形成され、この軸固定部3cに一体に設けられる金属製のインサート部材3dを介して回転軸2の弁体取付部2b外周に圧入固定されるようになっている。
【0025】
また、前記弁体3は、約180°の角度範囲内で回動することによって機能するもので、その軸方向及び周方向の各領域に応じて異形に形成されている。すなわち、この弁体3の前記第1、第2排出口E1,E2に臨む第1半周領域D1では、その軸方向他端側(前記端壁3b側)の第1軸方向領域X1における前記第1排出口E1と同一の軸方向中心となる第1軸方向位置P1に、軸方向にて前記第1排出口E1と過不足なく重合する軸方向幅に設定された長孔形状の第1開口部M1が周方向に沿って設けられ、その軸方向他端側(前記導入口10側)の第2軸方向領域X2における前記第2排出口E2と同一の軸方向中心となる第2軸方向位置P2に、軸方向にて前記第2排出口E2と過不足なく重合する軸方向幅に設定された円形状の第2真円開口部M2a及び長孔形状の第2長円開口部M2bによって構成される第2開口部M2が設けられている。一方、前記弁体3の前記第3排出口E3に臨む第2半周領域D2では、その軸方向中間部に存する第3軸方向領域X3における前記第3排出口E3と同一の軸方向中心となる第3軸方向位置P3に、前記第3排出口と過不足なく重合する円形状の第3開口部M3が設けられている。そして、前記第1〜第3軸方向領域X1〜X3は、いずれも縦断面が球面状、すなわち同一の曲率Cを有する第1〜第3曲面として構成され、かつ、当該曲率Cが前記弁体3の回転半径と同一となるように構成されている。
【0026】
ここで、前記第1〜第3開口部M1〜M3の各形状及び周方向位置は、弁体3の回動に伴い図8に示した後述する第1〜第5状態の順に前記第1〜第3排出口E1〜E3との連通状態が切り替わるように設定され、かかる設定とすることによって、弁体3の周長、すなわち当該弁体3の外径を最小化が実現されている。
【0027】
また、前記弁体3は、前記第1〜第3軸方向領域X1〜X3がそれぞれ球面形状となるように構成されていることで、前記各半周領域D1,D2の境界部には、それぞれ被規制部としての段差部3e,3eが形成されている。そして、この段差部3e,3eは、当該弁体3の回動に伴い、弁体収容部13の内周に突設された規制部13aと当接することによって、当該弁体3の回転角度又は回転範囲を規制することが可能となっている。すなわち、かかる段差部3e,3eと規制部13aとでもって本発明に係る規制手段が構成され、該規制手段により弁体3の回転角度又は回転範囲を規制することで、電動モータ4の回転位置制御に係る当該回転位置の基準を設定することが可能となっている。なお、かかる構成にあたって、前記段差部3e,3eと第3シール部材S3とは相互に接触しない構成とすることで、第3シール部材S3の損傷の防止が図られている。
【0028】
前記電動モータ4は、図2図4に示すように、その外装たるモータハウジング4aの内端部(出力軸4b側の端部)が前記モータ嵌挿孔11eへと嵌挿されることにより、第1ハウジング11に取付固定されている。そして、この電動モータ4は、車載の電子コントローラ(ECU)8により駆動制御され、車両運転状態に応じて前記弁体3を回動制御することにより、前記ラジエータRD等に対しての冷却水の適切な分配を実現する。
【0029】
前記減速機構5は、電動モータ4の出力軸4bの外周に一体回転可能に固定され、その外周に所定の第1歯部G1aが形成された円形状の駆動ギヤである第1ギヤG1と、第1ハウジング11の幅方向中間位置に回転自在に支持される支持軸9の外周に一体回転可能に固定され、その外周に前記第1歯部G1aと噛合可能な所定の第2歯部G2aが形成された円形状の中間ギヤである第2ギヤG2と、前記回転軸2のギヤ取付部2cの外周に一体回転可能に固定され、その外周に前記第2歯部G2aと噛合可能な所定の第3歯部G3aが形成されたほぼ半円形状の従動ギヤである第3ギヤG3と、によって構成されている。かかる構成から、前記第1ギヤG1により伝達される電動モータ4の駆動力に基づいて第2ギヤG2が回転駆動され、該第2ギヤG2により伝達される駆動力でもって第3ギヤG3が所定角度範囲で回動することとなる。
【0030】
以下、本実施形態に係る流量制御弁の具体的な作動状態を、図8に基づいて説明する。なお、当該説明にあたって、図8では、弁体3の第1〜第3開口部M1〜M3については破線で示す一方、第1ハウジング11の第1〜第3排出口E1〜E3についてはハッチングを施し、当該両者E1〜E3,M1〜M3が連通した状態を塗り潰して表示することにより、便宜上、前記各排出口E1〜E3と前記各開口部M1〜M3の相対的な識別を図っている。
【0031】
すなわち、前記流量制御弁においては、車両運転状態に基づいて演算され、出力される前記電子コントローラ8からの制御電流により電動モータ4が駆動制御されることで、前記車両運転状態に応じて前記排出口E1〜E3と前記各開口部M1〜M3の相対関係が以下の状態となるように、弁体3の回転位置(位相)が制御されることとなる。
【0032】
図8(a)に示す第1状態では、第2開口部M2(M2a)のみが連通状態となって、第1、第3開口部M1,M3については非連通状態となる。よって、当該第1状態では、かかる連通状態に基づいて、第2排出口E2から第2配管L2を通じてオイルクーラOCに対してのみ冷却水が供給され、前記両者E2,M2をずらしてそれぞれの重合量を変化させることにより、その供給量を変化させることができる。
【0033】
前記第1状態の後、図8(b)に示す第2状態では、第1〜第3開口部M1〜M3のいずれもが前記各排出口E1〜E3に対して非連通状態となる。これによって、当該第2状態では、暖房熱交換器HT、オイルクーラOC及びラジエータRDのいずれに対しても冷却水が供給されないこととなる。
【0034】
前記第2状態の後、図8(c)に示す第3状態では、第1開口部M1のみが連通状態となり、第2、第3開口部M2,M3については非連通状態となる。よって、当該第3状態では、かかる連通状態に基づいて、第1排出口E1から第1配管L11を通じて暖房熱交換器HTに対してのみ冷却水が供給され、前記両者E1,M1をずらしてそれぞれの重合量を変化させることにより、その供給量を変化させることができる。
【0035】
前記第3状態の後、図8(d)に示す第4状態では、第3開口部M3のみが非連通状態となって、第1、第2開口部M1,M2(M2b)については連通状態となる。よって、当該第4状態では、かかる連通状態に基づいて、第1、第2排出口E1,E2から第1、第2配管L11,L12を通じてそれぞれ暖房熱交換器HT及びオイルクーラOCに対して冷却水が供給され、当該両者E1〜E2,M1〜M2をずらしてそれぞれの重合量を変化させることにより、その供給量を変化させることができる。
【0036】
前記第4状態の後、図8(e)に示す第5状態では、第1〜第3開口部M1〜M3のいずれもが前記各排出口E1〜E3に対して連通状態となる。よって、当該第5状態では、暖房熱交換器HT、オイルクーラOC及びラジエータRDのいずれに対しても冷却水が供給され、これら両者E1〜E3,M1〜M3をずらしてそれぞれの重合量を変化させることにより、その供給量を変化させることができる。
【0037】
以上のことから、本実施形態に係る流量制御弁では、前記弁体3において、前記第1〜第3開口部M1〜M3の1つである第3開口部M3と、残余の第1、第2開口部M1,M2とが軸方向において重合するように構成されていることから、弁体3の軸方向の小型化が可能となり、これによって、弁全体のコンパクト化を実現することができる。
【0038】
特に、本実施形態では、比較的軸方向幅の小さい第1開口部M1と第2開口部M2とが軸方向に並列に配置され、相対的に軸方向幅の最も大きい第3開口部M3が前記第1、第2開口部M1,M2に対し軸方向において重合する構成となっていることから、弁体3の軸方向の小型化に基づく弁全体のコンパクト化をより効率的に実現することができる。
【0039】
加えて、本実施形態の場合においては、前記各開口部M1〜M3の外周域、すなわち前記各排出口E1〜E3に配設される前記各シール部材S1〜S3と摺接する前記各軸方向領域X1〜X3が全て同一の球面状(相互に同一の曲率C及び回転半径からなる曲面状)に形成されていることで、複雑な構成を伴うことなく極めて簡素な構成をもって、円環状の前記各シール部材S1〜S3に対しての前記各開口部M1〜M3の外周域たる前記各軸方向領域X1〜X3の接触線圧の均一化が図れ、前記各シール部材S1〜S3に対する良好な密着性を確保することができる。この結果、当該各シール部における冷却水のリークを最小限に抑えることができ、冷却水の適切な流量制御に供される。
【0040】
さらに、本実施形態の場合には、前述のように、前記弁体3における前記各開口部M1〜M3の配置構成等が、作動状態における前記各排出口E1〜E3との連通状態が前記第1〜第5状態の順に遷移するように構成されることで、当該弁体3の外径が最小に設定され、これによって前記軸方向のみならず、径方向についての小型化も図れ、弁全体のさらなる小型化に寄与できる。
【0041】
また、前記第2、第3開口部M2,M3については、周方向に沿った長円孔として連続的に形成したことにより、短いスパンで真円孔を多数設ける場合と比べて、当該各開口部M2,M3を効率的に形成することができ、製造コストの低減化に供される。
【0042】
さらに、前記第2開口部M2については、前記第2真円開口部M2aと前記第2長円開口部M2bでもって、開口部を周方向に複数設ける構成としたことで、流路の構成に不要な開口面積を低減することができ、これによって、弁体3の剛性低下を抑制することが可能となっている。
【0043】
また、前記流量制御弁CVでは、弁体3の回転角度又は回転範囲を規制することにより、弁体3の回転位置制御に係る適切な基準の決定が可能となる結果、当該基準を基に弁体3の良好な回転位置制御を行えるメリットもある。
【0044】
しかも、本実施形態に係る前記段差部3e,3eは、前記第1〜第3軸方向領域X1〜X3を球面形状に構成することで必然的に形成されるものであるが故、弁体3について別途追加工をすることなく被規制部としての段差部3e,3eの形成が可能となって、当該弁体3の良好な生産性を確保できると共に、当該弁体3の大型化の抑制にも供される。
〔第2実施形態〕
図9図10は、本発明に係る流量制御弁の第2実施形態を示したもので、前記第1実施形態に係る規制手段の構成を変更したものである。なお、本実施形態においても、流量制御弁CVの基本構成は前記第1実施形態と同様であるため、前記第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付すことにより、具体的な説明については省略する。
【0045】
すなわち、本実施形態では、前記規制手段が、前記弁体3の軸方向一端より軸方向に沿って突出形成された被規制部としての軸方向突部3fと、弁体収容部13の端壁に突設され、前記軸方向突部3fと当接することで弁体3の回転角度又は回転範囲を規制する規制部13bと、によって構成されている。なお、前記軸方向突部3fは、弁体3の一端外周縁に突設されることで、当該弁体3の回動規制時における耐トルク性の向上が図られている。
【0046】
このように、本実施形態においては、前記軸方向突部3fが弁体3の軸方向一端より軸方向に沿ったかたちで設けられていることによって、当該弁体3の回動支持点により近い位置にて回動規制を行うことが可能となる。このため、回転トルクによるねじりの影響を受けにくく、規制手段としての位置制御基準の精度向上や耐久性の向上に供される。
【0047】
また、前記規制手段が弁体3の軸方向端に設けられていることで、例えば軸方向の途中位置に設けられる場合と比べて、弁体3の回動規制時における規制手段と前記各シール部材S1,S3との干渉を招来し得ず、前記各シール部材S1,S3によるシール領域の狭小化を回避できるメリットもある。換言すれば、かかる構成とすることで、被規制部が前記各シール部材S1,S3によるシール領域の設定範囲を制限するおそれがなく、当該各シール部材S1,S3による良好なシール性の確保と適切な回動規制に基づいた弁体3の良好な回転位置制御との両立を図ることができる。
〔第3実施形態〕
図11図12は、本発明に係る流量制御弁の第3実施形態を示したもので、前記第1実施形態に係る規制手段の構成を変更したものである。なお、本実施形態においても、流量制御弁CVの基本構成は前記第1実施形態と同様であるため、前記第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付すことにより、具体的な説明については省略する。
【0048】
すなわち、本実施形態では、前記規制手段が、前記弁体3の軸方向の一端部外周から径方向に沿って突設された被規制部としての径方向突部3gと、弁体収容部13の端壁に突設され、前記径方向突部3gと当接することで弁体3の回転角度又は回転範囲を規制する規制部13cと、によって構成されている。なお、前記径方向突部3gは、弁体3の回転支持点により近い当該弁体3の軸方向一端縁に突設されている。
【0049】
このように、本実施形態においても、前記規制手段が弁体3の回転支持点により近い当該弁体3の軸方向一端縁に突設されていることから、前記第2実施形態と同様、回転トルクによるねじりの影響を受けにくく、規制手段としての位置制御基準の精度向上や耐久性の向上に供される。
【0050】
また、本実施形態では、被規制部としての前記径方向突部3gを径方向へと突出させる構成となっていることから、前記規制手段の当接点をより外周側に設定することが可能となる。このため、前記規制手段の回動規制時(当接時)における耐トルク性のさらなる向上を図ることができる。
〔第4実施形態〕
図13図14は、本発明に係る流量制御弁の第4実施形態を示したもので、前記第1実施形態に係る規制手段の構成を変更したものである。なお、本実施形態においても、流量制御弁CVの基本構成は前記第1実施形態と同様であるため、前記第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付すことにより、具体的な説明については省略する。
【0051】
すなわち、本実施形態では、前記規制手段が、前記回転軸2(シール部2d)外周面に径方向に沿って突設された被規制部としての径方向突部2eと、第1ハウジング11の軸挿通孔11dの弁体収容部13側の孔縁に軸方向に沿って突設され、前記径方向突部2eと当接することによって弁体3の回転角度又は回転範囲を規制する規制部13dと、によって構成されている。
【0052】
なお、本実施形態では、被規制部をシール部2dの外周面より突出してなる前記径方向突部2eとして構成したものを例示しているが、当該凸状の構成に限定されるものではない。すなわち、前記構成とは反対に、例えば前記規制部13dを凸状に形成すると共に、前記シール部2dのうち被規制部とする部分を残してそれ以外を凹部として形成し、前記凸状の規制部13dを当該凹部内に臨ませることによって被規制部と当接可能とする構成としてもよい。
【0053】
以上のように、前記規制手段を回転軸2と第1ハウジング11との間に構成することによって、本実施形態においても、前記第1実施形態と同様、弁体3の大型化や前記各シール部材S1〜S3によるシール領域の狭小化を伴うことなく弁体3の回動規制を図ることができる。
【0054】
本発明は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、例えば本発明の特徴とは直接関係しない電動モータ4から弁体3への駆動力の伝達手段(伝達経路)やハウジング1の形状などの細部の具体的構成は勿論、本発明の特徴に関係する、第1〜第3排出口E1〜E3の大きさや、第1〜第3開口部M1〜M3の形状、数量及び配置(周方向位置)などの具体的構成についても、前記作用効果を奏し得る形態であれば、例えば搭載する車両などの適用対象の仕様等に応じて自由に変更可能である。
【0055】
特に、前記規制手段の態様として、前記各実施形態では、当該規制手段の被規制部を弁体3に設けたものを例示して説明したが、当該規制手段は弁体3と第1ハウジング11との間に設けるものに限定されるものではなく、例えば、図15に示すように、前記端壁11bにおける第2ハウジング12との対向面に円弧状の規制部11gを突設し、これを前記第3ギヤG3の周方向端と当接させることによって弁体3の回動規制を行うように構成することも可能である。換言すれば、前記規制手段は、電動モータ4の回転位置基準を設定しうるものであれば、流量制御弁CVのいかなる箇所にも配置することができる。
【0056】
また、本実施形態では、前記流量制御弁の適用の一例として、冷却水の循環系への適用例について説明したが、前記流量制御弁は、当該冷却水のみならず、例えば潤滑油など様々な流体について適用可能であることは言うまでもない。
【0057】
以下、前記実施形態から把握される特許請求の範囲に記載した以外の技術的思想について説明する。
【0058】
(a)請求項1又は2に記載の流量制御弁において、
前記弁体は、前記第1〜第3開口部の周域が球面状に形成され、
前記第1〜第3開口部の各球面部は、前記弁体において異なる軸方向位置に曲率中心を有する第1〜第3曲面によって構成され、
前記規制手段は、前記第1〜第3曲面のいずれかの周方向端部と、前記ハウジングに設けられ、前記各曲面のいずれかの周方向端部と当接する凸状の規制部と、によって構成されることを特徴とする流量制御弁。
【0059】
かかる構成とすることで、前記規制手段の被規制部を、前記各曲面の設定に基づいて当該各曲面の周方向端部に必然的に形成される段差部として構成することが可能となる。このため、被規制部を別途設ける必要がなく、流量制御弁の生産性向上やコスト低減に供される。
【0060】
(b)請求項1又は2に記載の流量制御弁において、
前記規制手段は、前記弁体に突設された被規制部と、前記ハウジングに設けられ、前記被規制部と当接して前記弁体の回転を規制する規制部と、から構成されることを特徴とする流量制御弁。
【0061】
(c)前記(b)に記載の流量制御弁において、
前記第1〜第3連通口にそれぞれ設けられ、該第1〜第3連通口と前記第1〜第3曲面との間をシールするシール部材をさらに備え、
前記第1〜第3曲面のいずれかの周方向端部と前記規制部とが当接したとき、前記シール部材は前記第1〜第3曲面の周方向端部とは接触しないように構成されることを特徴とする流量制御弁。
【0062】
かかる構成とすることで、シール部材の損傷を回避することができる。
【0063】
(d)前記(b)に記載の流量制御弁において、
前記被規制部は、前記弁体に対し、前記アクチュエータを取り付ける側の位置に設けられることを特徴とする流量制御弁。
【0064】
かかる構成とすることで、被規制部は弁体に生じる回転トルクのねじりの影響を受けにくく、当該被規制部の回転位置基準としての精度の向上や、耐久性の向上が図れることとなる。
【0065】
(e)前記(a)に記載の流量制御弁において、
前記第1〜第3曲面が、ほぼ同一の曲率半径に設定されたことを特徴とする流量制御弁。
【0066】
(f)前記(a)に記載の流量制御弁において、
前記第1〜第3曲面の周方向端部は平坦状に形成され、
前記凸部は、前記ハウジングの内周面に突設され前記第1〜第3曲面のいずれかの周方向端部と当接する当接面を有することを特徴とする流量制御弁。
【0067】
(g)請求項1に記載の流量制御弁において、
前記第1連通口は暖房熱交換器と連通し、
前記第2連通口はオイルクーラと連通し、
前記第3連通口はラジエータと連通することを特徴とする流量制御弁。
【0068】
(h)前記(a)に記載の流量制御弁において、
前記第1開口部は、前記第1曲面に形成され、暖房熱交換器と接続される連通口と連通し、
前記第2開口部は、前記第2曲面に形成され、オイルクーラと接続される連通口と連通し、
前記第3開口部は、前記第2曲面と異なる軸方向位置であって周方向に重合する第3曲面に形成され、ラジエータと接続される連通口と連通することを特徴とする流量制御弁。
【0069】
(i)前記(h)に記載の流量制御弁において、
前記第1曲面において径方向距離が最大となる軸方向位置が、前記第2曲面及び第3曲面においてそれぞれ径方向距離が最大となる軸方向位置の間に設定されていることを特徴とする流量制御弁。
【0070】
(j)前記(b)に記載の流量制御弁において、
前記被規制部は、前記弁体の軸方向端面に突設されていることを特徴とする流量制御弁。
【0071】
(k)前記(b)に記載の流量制御弁において、
前記被規制部は、前記弁体の外周面に突設されていることを特徴とする流量制御弁。
【0072】
(l)前記(j)又は(k)に記載の流量制御弁において、
前記被規制部は、前記第3開口部が形成される周方向領域に設けられることを特徴とする流量制御弁。
【0073】
(m)請求項1又は2に記載の流量制御弁において、
前記弁体は、回転軸を介して回転自在に支持され、
前記規制手段は、前記回転軸の外周面に突設された被規制部と、前記ハウジングに設けられ、前記被規制部と当接して前記弁体の回転を規制する規制部と、から構成されることを特徴とする流量制御弁。
【0074】
(n)請求項1又は2に記載の流量制御弁において、
前記弁体は、回転軸を介して回転自在に支持され、
前記規制手段は、前記回転軸の外周面に周方向に沿って凹溝を形成することで構成される被規制部と、前記ハウジングに設けられ、前記被規制部と当接して前記弁体の回転を規制する規制部と、から構成されることを特徴とする流量制御弁。
【符号の説明】
【0075】
1…ハウジング
2e…径方向突部(規制手段)
3…弁体
3e…段差部(規制手段)
3f…軸方向突部(規制手段)
3g…径方向突部(規制手段)
4…電動モータ(アクチュエータ)
10…導入口(主連通口)
13…弁体収容部
13a〜13d…規制部(規制手段)
E1〜E3…第1〜第3排出口(第1〜第3連通口、第1〜第3吐出口)
M1〜M3…第1〜第3開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15