特許第6254410号(P6254410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎総業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6254410-コネクタ 図000002
  • 特許6254410-コネクタ 図000003
  • 特許6254410-コネクタ 図000004
  • 特許6254410-コネクタ 図000005
  • 特許6254410-コネクタ 図000006
  • 特許6254410-コネクタ 図000007
  • 特許6254410-コネクタ 図000008
  • 特許6254410-コネクタ 図000009
  • 特許6254410-コネクタ 図000010
  • 特許6254410-コネクタ 図000011
  • 特許6254410-コネクタ 図000012
  • 特許6254410-コネクタ 図000013
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6254410
(24)【登録日】2017年12月8日
(45)【発行日】2017年12月27日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/52 20060101AFI20171218BHJP
   H01R 13/74 20060101ALI20171218BHJP
   H01R 13/631 20060101ALN20171218BHJP
【FI】
   H01R13/52 301B
   H01R13/74 A
   !H01R13/631
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-207899(P2013-207899)
(22)【出願日】2013年10月3日
(65)【公開番号】特開2015-72795(P2015-72795A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2016年9月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】池谷 謙一
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−131473(JP,A)
【文献】 特開2013−131474(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
H01R 13/74
H01R 13/631
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体に設置されるアウタハウジングと、
前記筐体に設置されている相手側コネクタの端子に接続される端子が設けられており、前記端子が前記相手側コネクタの端子に接続されるインナハウジングと、
前記アウタハウジングと前記インナハウジングとの間に設けられ、前記アウタハウジングに対する前記インナハウジングの位置が目標値に対して所定の量だけ三次元空間の3方向で位置ずれをした場合でも、前記アウタハウジングと前記インナハウジングとの間のシール性を確保する第1のパッキンと、
を有し、
前記アウタハウジングは、筒状に形成されている本体部を備えて構成されており、
筒状に形成されている前記アウタハウジングの本体部の貫通孔の周囲であって前記アウタハウジングの本体部の先端には、前記第1のパッキンが設置されている環状の凹部が設けられており、
前記アウタハウジングの本体部の環状の凹部に設けられている前記第1のパッキンの一部が、前記アウタハウジングの本体部の先端から環状になって僅かに突出しており、
前記インナハウジングは、鍔部とこの鍔部から突出している本体部とを備えて構成されており、
前記インナハウジングが前記アウタハウジングに設置された状態では、前記インナハウジングの本体部の一端部が前記アウタハウジングの本体部の貫通孔に入り込んでおり、前記インナハウジングの鍔部が、前記アウタハウジングの本体部の環状の凹部に設けられている前記第1のパッキンに接しており、前記アウタハウジングの本体部の貫通孔への前記インナハウジングの本体部の挿入方向で、前記第1のパッキンが前記アウタハウジングの本体部の凹部の底面と前記インナハウジングの鍔部とで挟まれていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタにおいて、
前記アウタハウジングと前記インナハウジングとの間のシール性の確保は、前記第1のパッキンが弾性変形することによってなされるように構成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコネクタにおいて、
前記相手側コネクタは、前記筐体内に設置されており、
前記筐体には、貫通孔が設けられており、前記アウタハウジングにも、貫通孔が設けられており、
前記アウタハウジングは、この貫通孔が前記筐体の貫通孔の内側に位置するようにして前記筐体の外側で前記筐体に設置されるように構成されており、
前記インナハウジングは、この一部が前記アウタハウジングの貫通孔に挿入されることで前記アウタハウジングに設置されるように構成されており、
前記筐体と前記アウタハウジングとの間に第2のパッキンが設けられていることを特徴とするコネクタ。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のコネクタにおいて、
前記アウタハウジングは、ボルトによって前記筐体に固定され、前記ボルトが締め付け不足のときには、前記アウタハウジングと前記筐体との間に隙間が形成されるように構成されていることを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに係り、特に、アウタハウジングとインナハウジングとの間にパッキンを設けることでアウタハウジングとインナハウジングとの間をシールするものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図11図12で示すようなコネクタ(ハーネス側コネクタ)301が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
ハーネス側コネクタ301は、機器への固定に使用される固定部302が一体に形成された端子結合部303と、機器防水部305とに分割されている。
【0004】
そして、コネクタ301の嵌合時には、機器側コネクタ(相手側コネクタ)307の間口位置に合わせて端子結合部303が位置決めされ、機器筐体309の貫通孔311に対して、機器防水部305が独立して位置決めされるようになっている。これによって、端子の接続の信頼性と防水性能とを両立させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−131474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来のコネクタ301では、固定部302が端子結合部303と一体で形成されているので、機器側コネクタ307のZ方向の取り付け位置がプラス方向にずれてしまうと、図10で示すように、固定部302と機器筐体309との間に隙間313が形成されてしまう。
【0007】
隙間313が、ボルト(固定部302を用いてハーネス側コネクタ301を機器筐体309に設置するためのボルト)の締め込み不足に起因して形成されたものなのか、もしくは、ハーネス側コネクタ301の位置ずれに起因して形成されたものか、区別がつかない。
【0008】
これにより、嵌合保証(ハーネス側コネクタ301と機器側コネクタ307との嵌合保証)をすることができないという問題がある。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、筐体に設置されている相手側コネクタに嵌合させるコネクタにおいて、防水性と嵌合保証を得ることができるものを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、筐体に設置されるアウタハウジングと、前記筐体に設置されている相手側コネクタの端子に接続される端子が設けられており、前記端子が前記相手側コネクタの端子に接続されるインナハウジングと、前記アウタハウジングと前記インナハウジングとの間に設けられ、前記アウタハウジングに対する前記インナハウジングの位置が目標値に対して所定の量だけ三次元空間の3方向で位置ずれをした場合でも、前記アウタハウジングと前記インナハウジングとの間のシール性を確保する第1のパッキンとを有し、前記アウタハウジングは、筒状に形成されている本体部を備えて構成されており、筒状に形成されている前記アウタハウジングの本体部の貫通孔の周囲であって前記アウタハウジングの本体部の先端には、前記第1のパッキンが設置されている環状の凹部が設けられており、前記アウタハウジングの本体部の環状の凹部に設けられている前記第1のパッキンの一部が、前記アウタハウジングの本体部の先端から環状になって僅かに突出しており、前記インナハウジングは、鍔部とこの鍔部から突出している本体部とを備えて構成されており、前記インナハウジングが前記アウタハウジングに設置された状態では、前記インナハウジングの本体部の一端部が前記アウタハウジングの本体部の貫通孔に入り込んでおり、前記インナハウジングの鍔部が、前記アウタハウジングの本体部の環状の凹部に設けられている前記第1のパッキンに接しており、前記アウタハウジングの本体部の貫通孔への前記インナハウジングの本体部の挿入方向で、前記第1のパッキンが前記アウタハウジングの本体部の凹部の底面と前記インナハウジングの鍔部とで挟まれているコネクタである。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコネクタにおいて、前記アウタハウジングと前記インナハウジングとの間のシール性の確保は、前記第1のパッキンが弾性変形することによってなされるように構成されているコネクタである。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載のコネクタにおいて、前記相手側コネクタは、前記筐体内に設置されており、前記筐体には、貫通孔が設けられており、前記アウタハウジングにも、貫通孔が設けられており、前記アウタハウジングは、この貫通孔が前記筐体の貫通孔の内側に位置するようにして前記筐体の外側で前記筐体に設置されるように構成されており、前記インナハウジングは、この一部が前記アウタハウジングの貫通孔に挿入されることで前記アウタハウジングに設置されるように構成されており、
前記筐体と前記アウタハウジングとの間に第2のパッキンが設けられているコネクタである。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のコネクタにおいて、前記アウタハウジングは、ボルトによって前記筐体に固定され、前記ボルトが締め付け不足のときには、前記アウタハウジングと前記筐体との間に隙間が形成されるように構成されているコネクタである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、筐体に設置されている相手側コネクタに嵌合させるコネクタにおいて、防水性と嵌合保証を得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るコネクタと相手側コネクタとが、筐体から外されている状態を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係るコネクタの斜視図であって、図1におけるII矢視図である。
図3】本発明の実施形態に係るコネクタの分解斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るコネクタを、筐体に設置する前の状態を示す斜視図である。
図5図4におけるV−V断面を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係るコネクタを、筐体に設置し終えた状態を示す斜視図である。
図7】(a)は、アウタコネクタに対するインナコネクタの位置ずれが無い状態を示す図であり、(b)はアウタコネクタに対するインナコネクタの位置ずれが有り、この位置ずれが吸収された状態を示す図である。
図8】(a)は図6におけるVIIIA―VIIIA断面を示す図であり、(b)は(a)におけるVIIIB部の拡大図である。
図9図6におけるIX矢視図である。
図10図9に対応した図であって、アウタコネクタと筐体との間に隙間が形成されている状態を示す図である。
図11】従来のコネクタを示す図である。
図12】従来のコネクタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係るコネクタ(たとえばメスコメクタ)1は、図1図3等で示すように、アウタハウジング(機器防水部材)3とインナハウジング(端子結合部材)5と第1のパッキン(インナパッキン)7とを備えて構成されている。
【0017】
アウタハウジング3は、たとえば絶縁性の合成樹脂で構成されており、筐体9に一体的に設置されるように構成されている。
【0018】
インナハウジング5は、たとえば絶縁性の合成樹脂でアウタハウジング3とは別体で構成されている。インナハウジング5には、端子(たとえばメス端子)11が設けられている。端子11は、筐体9に一体的に設置されている相手側コネクタ(たとえばオスコネクタ)13の端子(たとえばオス端子)15に接続されるようになっている。
【0019】
そして、インナハウジング5が、相手側コネクタ13やアウタハウジング3に対する位置決めがされて相手側コネクタ13やアウタハウジング3に一体的に設置されることで、メス端子11が相手側コネクタ13のオス端子15に接続されるように構成されている。
【0020】
第1のパッキン(第1のシールパッキン)7は、ゴム等の絶縁性を備えた弾性体で構成されて環状に形成されており、アウタハウジング3とインナハウジング5との間のシール性を確保するために、図8等で示すように、アウタハウジング3とインナハウジング5との間に設けられている。
【0021】
そして、インナハウジング5のアウタハウジング3に対する位置ずれが発生しても、アウタハウジング3とインナハウジング5との間のシール性(封印機能)を確保するようになっている。
【0022】
インナハウジング5のアウタハウジング3に対する位置ずれは、インナハウジング5の端子11を相手側コネクタ13の端子15に接続することで発生するものである。また、この位置ずれは、インナハウジング5の位置の目標値に対して、インナハウジング5が所定の量だけ三次元空間(三次元物理空間)の3方向(お互いが直交しているX方向、Y方向、Z方向のうちの少なくともいずれかの方向)に移動することで発生する。
【0023】
さらに説明すると、アウタハウジング3に対してインナハウジング5が、X方向、Y方向、Z方向のうちの少なくともいずれかの方向で所定の範囲内の位置ずれをしても、インナパッキン(インナシールパッキン)7は、アウタハウジング3とインナハウジング5との間のシール機能を確保することができるようになっている。すなわち、アウタハウジング3とインナハウジング5との間を水等が通過しないようになっている。
【0024】
たとえば、アウタハウジング3に対してインナハウジング5が、X方向のみで所定の範囲内の位置ずれをしている場合、Y方向のみで所定の範囲内の位置ずれをしている場合、Z方向のみで所定の範囲内の位置ずれをしている場合、X方向およびY方向で所定の範囲内の位置ずれをしている場合、Y方向およびZ方向で所定の範囲内の位置ずれをしている場合、Z方向およびX方向で所定の範囲内の位置ずれをしている場合、もしくは、X方向およびY方向およびZ方向で所定の範囲内の位置ずれをしている場合において、インナパッキン7が、アウタハウジング3とインナハウジング5との間のシール機能を確保することができるようになっている。
【0025】
さらに、X方向に延びた所定の軸(A軸)やY方向に延びた所定の軸(B軸)やZ方向に延びた所定の軸(C軸)まわりで、アウタハウジング3に対するインナハウジング5の姿勢(位置)が所定の範囲内でずれた場合であっても、インナパッキン7が、アウタハウジング3とインナハウジング5との間のシール機能を確保することができるようになっている。
【0026】
また、アウタハウジング3に対するインナハウジング5の位置が目標値に対して所定の量だけ三次元空間の3方向(A軸、B軸、C軸まわりの姿勢を含む場合もある)で位置ずれをした場合におけるアウタハウジング3とインナハウジング5との間のシール性の確保は、インナパッキン7が弾性変形することのみによってなされるように構成されている。
【0027】
相手側コネクタ13は、筐体9内に設置されている。筐体9には、貫通孔17が設けられており、アウタハウジング3にも、貫通孔19が設けられている。
【0028】
そして、アウタハウジング3は、この貫通孔19が筐体9の貫通孔17の内側に位置するようにして筐体9の外側で筐体9に設置されるように構成されている。また、インナハウジング5は、この一部がアウタハウジング3の貫通孔19に挿入されることでアウタハウジング3に設置されるように構成されている。
【0029】
さらに、筐体9とアウタハウジング3との間のシール性を確保するために、筐体9とアウタハウジング3との間に環状の第2のパッキン(アウタパッキン;アウタシールパッキン)21が設けられる。アウタパッキン21も、インナパッキン7と同様に、ゴム等の絶縁性を備えた弾性体で構成されて環状に形成されている。
【0030】
コネクタ1や筐体9や相手側コネクタ13についてさらに詳しく説明する。
【0031】
コネクタ1のアウタハウジング3は、図3等で示すように、たとえば矩形な筒状に形成された本体部23と鍔部25とを備えて構成されている。筒状の本体部23の中心軸の延伸方向とZ方向とはお互いに一致しており、筒状の本体部23の内側の空間によって、アウタハウジング3の貫通孔19が形成されている。
【0032】
鍔部25は、所定の厚さを備えた平板状に形成されており、Z軸方向の一端部側で本体部23の外周から概ねX方向の両側に突出している。また、本体部23の外周から突出している鍔部25の厚さ方向はZ方向になっており、一対の鍔部25のそれぞれには、鍔部25をこの厚さ方向で貫通している貫通孔27が設けられている。貫通孔27は、アウタハウジング3を、ボルトBT(図6参照)等の締結具を用いて筐体9に設置するときに使用されるものである。
【0033】
なお、ボルトBTの締め付けが不足していると、図10で示すように、隙間313が形成され、ボルトBTの締め付けが適切になされていれば、図9に示すように、鍔部25が筐体9に密着するようになっている。
【0034】
アウタハウジング3の本体部23は、Z軸方向で鍔部25の他端から突出している。この突出している本体部23の外周には、矩形な環状のアウタパッキン21を設置するための環状の切り欠き(溝でもよい)29が設けられている。環状の切り欠き29にアウタパッキン21が入り込むことで、アウタパッキン21がアウタハウジング3に設置されるようになっている。なお、アウタハウジング3に設置されている状態では、アウタパッキン21の外径は、本体部23の外径よりも僅かに大きくなっている。
【0035】
また、アウタハウジング3の本体部23には、矩形な環状のインナパッキン7を設置するための環状の溝31が設けられている。溝31は、鍔部25から突出している本体部23の先端に形成されている(先端面から鍔部25側へ凹んでいる凹部で構成されている)。溝31の内径は本体部23の内径(貫通孔19の径)よりも大きくなっており、溝31の外径は本体部23の外径よりも小さくなっている。
【0036】
アウタハウジング3の本体部23の溝31に設置された状態では、インナパッキン7は、本体部23の先端から僅かに突出している。この突出している部位は、インナパッキン7の一部であり矩形な環状になっている。
【0037】
コネクタ1のインナハウジング5は、たとえば矩形な筒状に形成された本体部33と鍔部35とを備えて構成されている。筒状の本体部33の中心軸の延伸方向とZ方向とはお互いに一致しており、筒状の本体部33には、電線37が延出しているメス端子11が挿入されて設置されるキャビティ39が形成されている。電線37はカシメ等によってメス端子11に設置されている。
【0038】
鍔部35は、所定の厚さを備えた矩形な平板状に形成されており、Z軸方向の中間部で本体部33の外周全周からX方向Y方向に突出している。本体部33の外周から突出している鍔部35の厚さ方向はZ方向になっている。
【0039】
これにより、インナハウジング5の本体部33は、Z軸方向で、鍔部35の一端および他端から突出している。
【0040】
インナハウジング5の本体部33の外径は、アウタハウジング3の本体部23の貫通孔19の内径よりも小さくなっており、インナハウジング5の鍔部35の外径は、アウタハウジング3の本体部23の外径と等しいか、もしくは、本体部23の外径よりも僅かに大きくなっている。
【0041】
電線37が設置されたメス端子11が設置されたインナハウジング5では、電線37がZ方向で本体部33の一端から延出している。電線37が延出しているインナハウジング5をアウタハウジング3に設置した状態では、Z軸方向での本体部33の一端部(鍔部35から突出している部位)が、アウタハウジング3の貫通孔19に入り込んでおり、電線37は、本体部33の一端から延出している。
【0042】
インナハウジング5をアウタハウジング3に設置した状態では、インナハウジング5は、アウタハウジング3に対して、X方向やY方向で移動自在(本体部33の外径と貫通孔19の径との間の寸法差の範囲内で移動自在)になっている。
【0043】
また、インナハウジング5をアウタハウジング3に設置した状態では、インナハウジング5の鍔部35が、アウタハウジング3に設置されているインナパッキン7に接しており(図8(b)参照)、鍔部35とアウタハウジング3の本体部23との間はZ方向で僅かに離れており、インナパッキン7の弾性変形により、インナハウジング5がアウタハウジング3に対して、Z方向で移動し、A軸まわり、B軸まわり、C軸まわりで回動するようになっている。なお、インナハウジング5のアウタハウジング3に対する上記移動・回動範囲は、鍔部35がインナパッキン7に所定の押圧力(シール性を維持できる押圧力)で接していることと、鍔部35がアウタハウジング3の本体部23の先端に当接することとによって規制されるようになっている。
【0044】
筐体9は、この外形と内形とがたとえば直方体状に形成されており、貫通孔17は、筐体9を構成している1つの平板状の壁部41に設けられており、壁部41をこの厚さ方向(Z方向)で貫通している。
【0045】
貫通孔17の内径は、アウタハウジング3の本体部23の外径とほぼ等しくなっている。アウタハウジング3を筐体9に設置した状態では、アウタハウジング3の本体部23が貫通孔17に嵌り、アウタハウジング3の鍔部25が筐体9の外側で壁部41に当接して、X方向、Y方向およびZ方向で、筐体9に対するアウタハウジング3の位置決めがなされている。
【0046】
また、アウタハウジング3を筐体9に設置した状態では、アウタパッキン21が弾性変形して潰れ、筐体9とアウタハウジング3との間のシール性が確保されている。
【0047】
さらに、インナハウジング5は、一部が筐体9内に位置し他の部位がアウタハウジング3の貫通孔19内に位置しており、電線37が、インナハウジング5のところからアウタハウジング3の貫通孔19を通って筐体9の外部に延出している。
【0048】
相手側コネクタ13には、オス端子15が設けられており、オス端子15は、筒状のフード部43で囲われている。そして、フード部43が貫通孔17側を向くうようにして、ボルト等(図示せず)の締結具により、相手側コネクタ13が筐体9の内部で筐体9に一体的に設けられている。フード部43の内径は、インナハウジグ5の本体部33の外径とほぼ等しくなっている。
【0049】
相手側コネクタ13が筐体9に設けられている状態では、X方向およびY方向で、フード部43の中心軸(Z方向に延びている中心軸)と、筐体9の貫通孔17の中心軸(Z方向に延びている中心軸)とは、お互いに一致していることが目標である(望ましい)。しかし、実際には、組み付け誤差等によって僅かにずれている。Z方向やA軸B軸C軸まわりでも同様の事態が発生している場合がある。
【0050】
コネクタ1の端子11を相手側コネクタ13の端子15に接続するために、コネクタ1を相手側コネクタ13が設置されている筐体9に設置した状態では、インナハウジング5の本体部33(電線37が延出している側とは反対側の本体部の部位)が、相手側コネクタ13のフード部43に嵌り込んでいる(嵌合している)。すなわち、相手側コネクタ13の間口位置に合わせて、インナハウジング5の相手側コネクタ13に対する位置決めされている。
【0051】
この位置決めによって、アウタハウジング3に対するインナハウジング5の若干の位置ずれ(X方向、Y方向の位置ずれであって、Z方向、A軸まわり、B軸まわり、C軸まわりでの位置ずれを含む場合がある。)が発生する。しかし、この位置ずれが発生しても、インナパッキン7が弾性変形することで、アウタハウジング3とインナハウジング5との間のシール性が維持されるようになっている。
【0052】
次に、コネクタ1の設置動作について説明する。
【0053】
初期状態として、図4図5等で示すように、筐体9の内部に相手側コネクタ13が設置されており、アウタハウジング3にアウタパッキン21とインナパッキン7とインナハウジング5とが設置されている。
【0054】
上記初期状態において、アウタハウジング3から突出しているインナハウジング5の本体部33と、アウタハウジング3の鍔部25から突出している本体部23とを、筐体9の貫通孔17に挿入し、コネクタ1のメス端子11を相手側コネクタ13のオス端子15に接続させる(図6図8図9等参照)。このとき、インナハウジング5の相手側コネクタ13に対する位置決めがなされ、アウタハウジング3に対してインナハウジング5が僅かに移動する(図7等参照)。
【0055】
続いて、アウタハウジング3をボルトBTによって筐体9に固定する。このとき、ボルトBTが締め付け不足のときには、アウタハウジング3(鍔部25)と筐体9との間に、Z方向で隙間313が形成される(図10参照)。
【0056】
コネクタ1によれば、アウタハウジング3とインナハウジング5とに分割されており、アウタハウジング3に対するインナハウジング5の位置が目標値に対して所定の量だけ三次元空間で位置ずれをした場合であっても、インナパッキン7によってアウタハウジング3とインナハウジング5との間のシール性を確保することができるので、コネクタ1(インナハウジング5)を筐体9に設置されている相手側コネクタ13に嵌合させたときにインナハウジング5が位置ずれしても、コネクタ1の隙間を無くすことができ、防水性、端子11,15同士の接続保証を含む嵌合保証を得ることができる。
【0057】
また、コネクタ1によれば、アウタハウジング3とインナハウジング5との間のシール性の確保が、インナパッキン7が弾性変形することによってなされるように構成されているので、コネクタ1の構成が簡素になっている。
【0058】
また、コネクタ1によれば、アウタハウジング3が筐体9の外側で筐体9に設置されるように構成されており、インナハウジング5の一部がアウタハウジング3の貫通孔19に挿入されることでインナハウジング5がアウタハウジング3に設置されるように構成されており、筐体9とアウタハウジング3との間にアウタパッキン21が設けられているので、筐体9内への水等の浸入を確実に防止することができる。
【0059】
また、コネクタ1によれば、アウタハウジング3に対してインナナウジング5が所定の範囲内で移動自在になっているので、端子11,15同士の接続によってインナウジング5のZ方向での位置ずれが発生しても、アウタハウジグ3を筐体9に固定するためのボルトBTの締め込みが適切になされていれば、図10で示すように隙間313が形成されることが無くなり(図9で示すようにZ方向で筐体9とアウタハウジグ3との間の隙間が無くなり)、隙間が形成されていないことを確認することで、アウタハウジグ3を筐体9に固定するためのボルトBTの締め込み不足を容易に発見することができ、嵌合保証を得ることができる。
【符号の説明】
【0060】
1 コネクタ
3 アウタハウジング
5 インナハウジング
7 第1のパッキン
9 筐体
11 コネクタの端子
13 相手側コネクタ
15 相手側コネクタの端子
17 筐体の貫通孔
19 アウタハウジングの貫通孔
21 第2のパッキン
BT ボルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12